4月中の党首討論見送り=野党、高市首相出席の審議要求

自民党は16日、4月中の党首討論開催を見送る方針を野党に伝えた。高市早苗首相とモンテネグロ大統領の会談が入ったことが理由。野党は代わりの措置として、衆院予算委員会で首相が出席する集中審議を行うことなどを要求した。
与野党は党首討論を毎年4~6月に毎月開くとする合意に従い、今月は22日を軸に調整してきた。中道改革連合や国民民主党など野党5党は国対委員長会談を行い、集中審議の他に5~7月の党首討論毎月実施を求めることで一致。中道の重徳和彦国対委員長が自民の梶山弘志国対委員長に申し入れ、梶山氏は「政府に伝える」と答えた。 [時事通信社]

中国大使館 脅迫状や爆破予告が相次ぎ「テロの脅威にさらされている」と日本政府や警察の対応を批判

都内の中国大使館は、大使館に対して、脅迫状や爆破予告が相次ぎ、「テロの脅威にさらされている」などと日本政府や警察の対応を批判しました。
中国国営メディアによりますと、16日午後、都内にある中国大使館は会見で、先月5日に大使館に脅迫状が届き、大使館や領事館に攻撃をするなどと書かれていたことを明らかにしました。
送り主は、元警察官と元自衛隊員で構成していると自称する団体だったということです。
事件との関係は不明ですが、脅迫状の19日後には、中国大使館に侵入したとして、自衛官の村田晃大容疑者が逮捕されていて、大使館は、脅迫状を受け取った直後に日本側に通報したものの、日本の警察は十分な措置を講じなかったと説明しています。
さらに事件の1週間後には、予備自衛官と名乗る人物からインターネット上に「中国大使館に遠隔操作式の爆弾を設置した」などと脅迫があり、警視庁が大使館内の確認作業を行ったということです。
中国大使館は、こうした脅迫が国際法に違反していて、中国の主権と尊厳を侵害していると強調しています。

知床沖観光船事故、運航会社社長に禁錮5年を求刑 専門家「きちんと罪をつぐなうところを重視か」

乗客乗員26人が知床沖の観光船沈没事故の運航会社社長、桂田精一被告の刑事裁判で、きょう(16日)釧路地検は禁錮5年を求刑しました。
男性検察官)
「被告人について禁錮5年に処することが相当と思料する」。
求刑が言い渡されたとき桂田被告は少しうつむいた状態で淡々と話を聞いていました。
2022年4月、知床沖で観光船「KAZUI」が沈没した事故。
起訴状などによりますと運航会社の社長=桂田精一被告は悪天候が予想される中運航管理者などでありながら運航の中止を指示せず観光船「KAZUI」を沈没させ、乗客乗員26人を死亡させた業務上過失致死の罪に問われています。
去年11月の初公判で桂田被告は事故について謝罪した上、次のように話しました。
桂田被告)
「当日の朝、カズワンの出航に関して船長から荒れる前に引き返すと言われそれなら大丈夫だろうと思い出航しました。しかし事故は起きました。私にはこの内容が法律に反するか分かりませんので法律家に判断していただきます」。
裁判の最大の争点は桂田被告が「事故を予見できたかどうか」。弁護側は「事故原因はハッチの不具合であり航行は船長の判断」などとして無罪を主張しています。
高橋海斗記者)
「桂田被告が釧路地裁へと入っていきます。いま報道陣に向かって一礼しました。2日間に渡り行われる論告求刑、今日はこれから被害者ご家族の意見陳述が行われます」。
きょう(16日)の裁判では息子を亡くした男性が出廷し桂田被告による運航判断の異常さを訴えました。
男性)
「この裁判の争点は事故を予見できたかどうかとされているが、予見しなければならない義務を怠ったことこそが問題だと思う」。
また息子が行方不明の男性は。
息子が行方不明の男性)
「お骨の一欠片になっても私たちのもとに息子が戻ってくることができないことを考えたら、悔しくて、辛すぎて、悲しすぎて、怒りで胸が詰まって張り裂けるほど苦しい思いをしています」。
そして検察側は桂田被告に対し禁錮5年を求刑しました。
女性検察官)
「弁護側は、『ハッチのふたが破損していたことは予見できないため、乗員乗客に死者が出ることも予見できない』と主張しているが、「KAZUI」に危険が生じることは、被告人が気象海象を把握していれば、予見できるとゆうに認められる」。
この求刑について法律に詳しい専門家は。
慶応義塾大学法学部・南健悟教授
「多数亡くなられたり行方不明になられているので、結果の重大性を鑑みれば十分あり得る求刑だと思う。労務をさせることが今回重要なのではなくて、基本的にはきちんと罪をつぐなっていただくところを重視しているのかもしれない」。
求刑を聞いた乗客家族は。
息子が行方不明の男性
「本当だったら5年×26人分ですよね。そのくらいのことだと私は思う」。
裁判はあす(17日)も開かれ、弁護側による最終弁論と桂田被告の最終陳述が予定されています。

高市首相、医療物資などの流通目詰まり「解消が着実に進みつつある」

高市首相は16日午後に開かれた中東情勢に関する関係閣僚会議で、供給不足が懸念される医療物資などの流通の目詰まりは「解消が着実に進みつつある」と強調しました。
高市首相
「流通の目詰まりの解消が着実に進みつつあります。医療において、万が一の事態は絶対に許されません。上野厚労相は赤沢経産相と連携して、医療分野での目詰まりゼロに全力で取り組んで下さい」
高市首相は、「医療分野において、消毒液、人工透析用の注射針や献血バッグなどで流通の目詰まり解消が着実に進みつつある」と強調しました。その上で、国が備蓄している医療用手袋5000万枚を、来月から放出すると明らかにしました。
また、ガソリンや軽油などについても補助を継続し、ガソリンは、全国平均価格が170円に抑制できているとしたうえで、「日本全体として、必要となる量は確保できている」と強調しました。

遺体を移動?遺留品なぜ点在?元刑事が“残る謎”を検証

12日に安達結希さん(11)の靴が発見され、5日目で父親の逮捕に至りましたが、いまだ分かっていないことが多くあり捜査が続いています。なぜ事件は一気に動いたのか。元京都府警の刑事と現場に向かい“残る3つの謎”について取材しました。
【画像】「第三者の介在」も?
11歳男児“殺害認める”供述
この事件、逮捕後もいくつかの疑問が残されています。
元京都府警捜査1課
吉野明彦さん

「かなりレアなケース。遺体を次々移動させていく事件は経験したことない。あまり聞いたことがない」
遺体を遺棄した場所について警察は、13日に遺体が見つかった山林だけでなく、それ以前に南丹市内の「某所」に遺棄していたとみています。
警察(会見から)

「(Q.何回遺体を移動させた?)確認できていない。数カ所としている。10カ所、20カ所などに転々としているわけではない」
遺体を南丹市の複数カ所に移動させている可能性がありますが、1日単位で転々としているわけではないといいます。
遺体を移動させた理由について、元京都府警捜査1課や鑑識課に所属した吉野明彦さんは…。
「第一次的にご遺体を隠していた場所が、やはり捜査の手が近づいてきているのではと、犯人が察した可能性は十分考えられますね。その場しのぎです」
今月7日には、警察は自宅周辺を大規模捜索しています。3.5キロの地点で、靴も見つかっています。
警察は16日の会見で、「10日以降に遺棄した可能性もある」としました。
自宅近くを警察が捜索している状況で遺体を移動できるのでしょうか。
「あれだけ人の目がある中、家族が何かを動かしたら目につく。マスコミや警察も見ている。特異な行動はできないのでは」
なぜ遺体と別に?
また警察は、リュックや靴が発見された場所だけでなく、7日に自宅周辺の大規模捜索をしていますが、何かが見つかったという情報はありません。
ここも、遺体が移動した複数カ所の一つということは考えられるのでしょうか。
「(Q.自宅の裏山を当時60人体制で捜索)生活拠点の近く(を探すのは)考えられる。父親の行動範囲で犯罪が行われたのが大前提。その一つは生活拠点である自宅。そこをしっかり検証する」
もう一つ残る謎は、リュックや「靴」はなぜ遺体と別の場所にあったのか。
「靴は見つけにくい場所に置かれていたというのであれば、やはり発見されにくい所、隠したい所に置いたというのが想像できる」
靴が誰のものかは現在も分かっておらず、リュックの発見は、安達容疑者以外の親族だとしています。
「リュックが全く別の場所ということは、何らかの手が加えられていることが想像できる。あくまで想像になるが、第三者の介在が考えられる」

「(Q.誰が置いたかで事件の方向性が変わる?)見直さなければならない部分が出てくる」
(2026年4月16日放送分より)

京都・南丹市の事件で送検される安達容疑者として別人を3回放送…関西テレビが謝罪

関西テレビ(大阪市)は16日、京都府南丹市で安達結希(ゆき)君(11)の遺体が見つかった事件を報じた同日のニュースで、死体遺棄容疑で逮捕、送検された父親の会社員安達優季(ゆうき)容疑者(37)について、別人の映像を誤って放送したと明らかにした。同日のニュース番組で訂正し、謝罪した。
同社によると、京都地検に送検された安達容疑者とは別の人物が映った映像を安達容疑者として3回放送した。同社は「信頼回復に向けて、原因の検証と再発防止に取り組む」とコメントした。

熊本地震の本震から10年「死ぬ目にあった」益城町の遺構保存会が伝える震災の教訓 鹿児島

(キャスター)

熊本地震の本震発生からきょう4月16日で10年です。記者とお伝えします。
(記者)

きょう4月16日は熊本市で犠牲者合同追悼式がありました。前震と本震をあわせ震災による死者は278人、4万3000棟以上の建物が全半壊しました。
熊本県益城町には地域の住民が保存している震災遺構があります。この場所を歩き保存会の人たちに“伝えたい思い”を聞きました。
熊本地震の本震発生から10年
熊本県益城町です。10年前の4月16日、この町を激しい揺れが襲いました。
午前1時25分、益城町では2日前に続いて震度7の揺れを観測。町内では一連の地震で住宅など6259棟が全半壊、45人が倒壊した住宅の下敷きになるなどして死亡しました。
震災遺構を保存・紹介する活動「平田震災遺構保存会」
(井村准教授)「地層が大きくずれているということは何回も(地震が)起きている」
先日、鹿児島大学・井村隆介准教授と益城町の「平田震災遺構保存会」を訪ねました。
保存会は2021年、地震の教訓を後世に伝えようと住民らが設立。平均年齢75歳のボランティア11人が7か所の震災遺構を保存・紹介する活動を行なっています。
平田地区は熊本地震を引き起こした布田川断層帯の真上にあり5人が犠牲となりました。
(平田震災遺構保存会 濱田雅之会長)「(我々は)皆、死ぬような目に遭った。災害があった時にはまず命を守らないといけないということを伝えている」
当時のままの姿…コンクリートの床に大きな亀裂
最初に訪ねたのは地元の消防団が使っていた小屋です。震災前は消防車の車庫として使われ当時のまま残されています。断層に沿って地面がずれ動いた影響でコンクリートの床に大きな亀裂が入っていました。
(ガイド 井上美喜男さん)「前震の時、平田地区はほとんど被害はなかった。本震の時に大きく(床を)引き裂いた。目の前に来て(亀裂を)のぞくことができる」
(鹿児島大学 井村隆介准教授)「こうやって残されているところしか逆に言うと残っていない。だからそういう意味で貴重なものを残してもらっているなという感じ」
当時の考えは「しばらくの間は大きな地震は起こらない」だった
こちらは保存会が中心となって調査している断層です。
(記者)「こちら削ってみると、粒が荒いのが確認できるが、こちらの断層を境に削ってみると、粒が細かくて粘土のようになっているのが確認できる」
保存会によりますと、断層に沿って地層が30センチから50センチほどずれていたことが確認されたということです。
この断層について、熊本県や地震の専門家が震災前から調査していましたが、当時は「しばらくの間は大きな地震は起こらない」という考えが主流だったといいます。
(井村隆介准教授)「(断層は)1000年前くらいに動いていれば大丈夫かなというのがそれまでの常識。実際に調べてみるともう少し短い間隔だったかもしれないということが分かってきた、というのがこの10年」
全国的に断層の調査が進んでいないのが現状
熊本地震は震源が浅く揺れが大きな「直下型地震」でした。
こちらは鹿児島県の防災計画で想定されている地震です。12か所でマグニチュード7以上の地震が想定されていてこのうち鹿児島湾や県西部など6か所が「直下型地震」です。
地震のメカニズムを知るためにも井村准教授は断層の調査の必要性を訴えますが、鹿児島を含め全国的に調査が進んでいないのが現状です。
(鹿児島大学 井村隆介准教授)「(地震が)起こると予算がつき、いろんなところで(調査を)する、でも起こったところでやっているから他のところには予算がつかず、できない」
(ガイド 坂本文隆さん)「(地震について)忘れてしまうということが(我々は)基本的にある。地震のことや地球のことを知る上で本物がないといけない。本物があるということがまず基本的に必要」
「一人ひとりが普段から防災について考えて」
熊本地震から10年。井村准教授は「一人ひとりが普段から防災について考えてほしい」と話します。
(鹿児島大学 井村隆介准教授)「研究者からこういう情報が出たらこう動けばいいではなく、普段から積極的に自分から情報を取りに行ったり、情報を作る・発信するためのことをしたりしないといけない」
取材を振り返って「“本物”を見て防災について学ぶことの重要性」
(キャスター)

取材を振り返ってあらためて何を感じましたか?
(記者)

「消防小屋」で見た地面の亀裂は深さ50センチほどで地震のエネルギーの大きさを目の当たりにしました。また、保存会の方たちは高齢で震災の記憶を後世にどうつないでいくか課題だと話していたことも印象に残っています。
震災遺構のような“本物”を見て防災について学ぶことの重要性を感じる取材でした。

男児に長時間正座強要 相模原の認定こども園で虐待、市が改善勧告

相模原市内の私立の幼稚園型認定こども園で2024、25年、当時園長だった男性が男児1人に対して長時間正座させ、両手にバケツを持たせて立たせたとして、市が虐待行為と認定して改善勧告を出したことが市などへの取材で判明した。
関係者によると、男性は26年3月末まで、園を運営する学校法人の理事長と園長を兼務。25年9月、年長組の男児1人と別の園児との間でいさかいがあり、男児を職員室で正座させた。園から男児の親に連絡はなく、男児も家庭内に伝えなかったため、男児の親は同級生の保護者から聞いて知ったという。
この事案の情報を得た市は、県と合同で同10月に園に立ち入り調査を実施し、男性を除く教職員約30人から聴取した。その結果、正座は昼休みを挟んで計2時間に及んだほか、24年には男性が男児に対して両手にバケツを持たせて立たせていたことを把握した。
この2件について市は、時間や男児に与える影響などを総合的に判断して虐待行為と認定。県も同様に認定したとみられる。県と市は25年12月、再発防止のための改善策提示を求めて園側に勧告した。
一方、園側は同11月、男性が26年3月末で理事長兼園長の職を辞任することなどを文書で保護者に通知した。勧告後の同年2月には、改善や再発防止に関する報告書を市と県に提出した。県と市は、実際に園長が交代したことを把握しているという。
市こども・若者政策課は「現在は報告書を審査している段階。こうした虐待行為はあってはならないことで、再発防止に努めたい」とコメントした。
男児の父親も毎日新聞の取材に応じ、「園側は説明責任を十分に果たしていない。前園長は4月以降も『形を変えて(園の運営に)関与する』と言っていたが、完全に身を引いてもらいたい」と憤った。また、市に対して「勧告をしたことなどは市への情報公開請求で知った。当事者にもっと情報提供をすべきだ」と注文を付けた。
毎日新聞は園側に取材を申し込んだが、「拒否する」として14日午後7時までに応じていない。【佐藤浩】

共産党・小池晃議員の「国会議員に逆らうな」動画拡散が波紋…辺野古ボート転覆事故で「謝罪なし」の党の姿勢に批判

SNS上で、日本共産党の小池晃参議院議員が過去に投稿した動画が拡散され物議を醸している。問題の動画は、2015年11月に投稿されたもの。ほんの20秒ほどの動画だが、冒頭で男性が海上を並走する海上保安庁のボートに向かって「国会議員に逆らうな!」と叫んでいるのが聞こえる。
「国会議員に逆らうな!」動画が拡散
小池議員はこの動画を《別の船で意識を失った人がいると聞いて、船で急行したのですが、海保が猛然とブロック仕掛けて、この後私達の船に三人乗り込んできました》《「定員オーバーだ」の指摘も完全無視。暴虐の限りを尽くしています》と海保への苦情とともに投稿。どうやら辺野古・大浦湾で米軍の新基地建設への抗議活動中に、海保の船が接近してきた際の映像のようだ。
「辺野古といえば3月16日、修学旅行で来ていた高校生が乗った船が転覆し、女子生徒と船長が死亡した痛ましい事故がありました。船がいわゆる“抗議船”だということは生徒側に事前に知らされておらず、大きな問題になっています」(地方紙政治部記者)
事故後、共産党幹部は会見で党と船長との関係を尋ねられているが――。
3月18日の会見では田村智子委員長が「人命が失われている以上、責任があると協議会側も認めている。事故などが決して起きないような調査活動が求められる」とコメント。23日には小池晃議員も「決して共産党だけの船でもないし、色々な人が関わって運営していた船だ」と共産党が主体ではないと強調している。
また、26日には田村氏が「事故の究明が求められるということ以上に、私からコメントのしようがない」と語るなど、曖昧な回答に終始していた。
共産党の地方組織が加わる『ヘリ基地反対協議会』
「しかし、4月2日に事態は急展開しました。転覆した抗議船2隻を運行する『ヘリ基地反対協議会』に、共産党の地方組織が加わっていることを田村委員長が明かしたのです。“構成団体として真摯な対応をしたい”“事故に遭った高校生にお見舞い申し上げたい”と話していますが、最後まで遺族への謝罪の言葉はありませんでした…。約半月もの間、共産党が当事者であることを隠していたことになります」(前出・地方紙政治部記者)
6日の会見で、共産党から同協議会への資金援助について聞かれた小池議員は、「手元に資料がない。今すぐ答えることは難しい」と回答している。今回、小池氏が過去に投稿していた動画が拡散したことで、ネット上には
《こんな船に何も知らない高校生乗せてたって、信じられない》
《意識を失った人がいたなら、尚更海保に任せるべきだろ。その高慢さが女子高生を死亡させたんじゃないのか》
《国会議員に逆らうなって、あんたら何様?》
《暴虐の限りを尽くしてるのはあなたたちの方》
と批判が殺到している。
のらりくらりと追求をかわしてきた日本共産党。失った命は取り戻せないが、せめて誠実な姿勢を見せてほしい。

高市政権「まさかの菅政権化」か…自民関係者「官邸と党はうまくいってない」高支持率でも危うい権力基盤と「ポスト高市」の足音

高支持率を維持しながらも、政権の足元では“きしみ”が広がっている。高市早苗首相が主導した電撃解散は歴史的大勝をもたらした一方で、党執行部との間に深い溝を残した。「みんな怒り狂っていた」と語られるほどのコミュニケーション不全──。さらに派閥という後ろ盾を持たない統治スタイルのもと、水面下では「ポスト高市」をにらんだ再編の動きも始まっている。高支持率の陰で進む“菅政権化”の実態とは?
【画像】「反高市派グループ結成か」とも報じられた自民党の議員
首相官邸サイドと党執行部「うまくっているとは言い難い」
「首相官邸サイドと党執行部のコミュニケーションは、うまくいっているとは言い難い」
自民党関係者は高市政権の発足後、党ナンバー2である鈴木俊一幹事長をはじめとする執行部との距離感を懸念する。実際、首相は1月の通常国会冒頭での衆院解散・総選挙の意向を事前に執行部と共有しなかった。
言うまでもなく、解散権は「首相の専権事項」とされるが、選挙は幹事長が取り仕切るものだ。
4月6日の参院予算委員会で首相はこのように述べている。
「通常国会が開いたら早い時期に解散を考えているということは、(連立パートナーの日本維新の会・吉村洋文代表に)伝えましたが、何日に解散するということは伝えていません」「自民党の執行部にも伝えていなかったので、みんな怒り狂っていた」
あくまでギリギリまで考え抜いた末の判断だったと強調する首相だが、その言葉通り受け取る者は政界で少ない。
首相は4月10日になって自民党の麻生太郎副総裁や鈴木幹事長、萩生田光一幹事長代行を官邸に招き、1時間ほど昼食をともにしたが、これも党執行部側とのコミュニケーション不足を痛感していたからだろう。
政権発足から半年が経つが、高市首相誕生の立役者である麻生氏らとの会食が昨年12月以来2度目という少なさも気になるところだ。
たしかに1月の電撃解散で総選挙は歴史的大勝を果たし、衆院側は自民党単独で過半数を大きく上回る。だが、参院では自民会派と日本維新の会を足しても過半数に足りない。
高市氏と年度内成立をめぐりゴリ押し要求された党執行部との亀裂
首相の強い意向を受けて衆院では2026年度当初予算案を異例の審議スピードで通過させたものの、少数与党である参院自民党は丁寧に審議時間を積み上げることを優先し、予算成立は年度をまたいで4月7日にずれ込んだ。
首相は「つなぎ予算」としての暫定予算編成に不満だったというが、総選挙圧勝で「万能感」を得たような高市氏と年度内成立をめぐりゴリ押しを要求された党執行部との亀裂は残る。
歴代政権を眺め、筆者が感じるのは菅義偉内閣との類似点だ。菅氏は史上最長の長期政権となった安倍晋三内閣で官房長官を務め、辞意表明した安倍元首相の後継として自民党総裁選で勝利。2020年9月に第99代内閣総理大臣に就いた。
安倍政権時代の路線を引き継いだことも評価され、当時の読売新聞の世論調査(2020年9月19、20日実施)によれば発足直後の内閣支持率は74%と歴代3位の高水準だった。政党支持率も自民党は47%にまで上昇し、2013年4月の48%に次ぐ高さになったほどだ。
読売新聞が昨年10月21、22日に実施した世論調査を見ると、高市内閣発足直後の支持率は71%で歴代5位の高さとなった。以降も高支持率は続き、今年の総選挙直後の各種世論調査でも6~7割の高水準を維持している。女性や無党派層に好感されていることが特徴的と言える。
絶対的な「後ろ盾」なくして求心力を保つことは困難
ただ、菅氏も高市氏も自前の「派閥」を持たず、無派閥議員として内閣総理大臣に就任している。自民党派閥をめぐる「政治とカネ」問題をきっかけに派閥そのものは麻生派を除き解散されることになったが、派閥という「後ろ盾」がなければ数がモノを言う政界において基盤が脆くなりやすい。
もちろん、派閥という単位ではなくとも菅氏はグループを率い、高市氏も思想・信条をともにする側近たちに支えられる。とはいえ、高支持率があるうちは良くても下落が続いたり急落したりする事態を招けば、絶対的な「後ろ盾」なくして求心力を保つことは困難になるのが永田町の常識だ。
実際、菅政権は高い支持率を得て発足したものの、新型コロナウイルス対応などをめぐり国民から「NO」を突きつけられ、支持率の低迷が続いた。自民党総裁任期や衆院選が迫る中で「不人気宰相では戦えない」との声が党内で急速に広がり、内閣改造や党役員人事の刷新も果たせず退陣を余儀なくされている。
「我こそが、安倍晋三元首相の継承者」
派閥以外の議員を側近として内閣や党幹部に配置し、個人的な「縦」の繋がりを重視する傾向も菅、高市両氏に共通する。加えて、安倍政権時代の流れをくむ議員やスタッフたちを周囲やアドバイザーに置く流れも同様と言えるだろう。それは「我こそが、安倍晋三元首相の継承者」と自負しているからに他ならない。
だが、安倍氏は当時の党最大派閥「清和政策研究会」という後ろ盾があった上、保守政治家の代表格として派閥横断的な支援グループも存在していた。その両輪が政権基盤を安定させることに大きく寄与していた点は菅、高市両氏と大きく異なる。
2月の総選挙で大勝した自民党内では「派閥再結集」の動きが活発化している。4月頭に旧二階派のメンバー約20人が会合を開き、武田良太元総務相を中心とする塊を目指すと報じられたほか、「ポスト高市」を狙う小林鷹之政調会長の下には若手・中堅議員らが集まっている。
旧岸田派の林芳正総務相や石井準一参院議員らも自らの側近たちと会合を重ね、グループとしての「塊」を意識した動きを見せる。
支持率は依然として高いが「下落トレンド」に
こうした流れは高市首相にとって「後の脅威」となり得るものだろう。今秋に予定される内閣改造や党役員人事、さらには内閣支持率が低迷した際に「親高市」となるか、「非高市」となるかで政権運営は全く異なる状況を迎えることになる。
高市首相は2月の衆院選で「私か、私でないか」を国民に問うたが、最近は首相の党内外に対する姿勢も同様だ。自らを全面的に支持するのか、それ以外なのかを仲間である自民党議員や官僚たちにも迫っているように映る。
足元の各種世論調査を見ると、高市内閣の支持率は依然として高いものの、下落トレンドに入っている。毎日新聞が3月28、29日に実施した調査で支持率は前月に比べて3ポイント減の58%となり、2カ月ぶりに60%を割った。不支持率は28%だ。
共同通信の調査(4月4、5日)は支持率63.8%で前回調査から0.3ポイント減となり、不支持率は前回から2ポイント増の26.0%となった。JNNの調査(4月4、5日)も支持率71.5%で0.3ポイント減だった。
もちろん、下落率は誤差の範囲と言えるレベルものであり、いまだ高水準にあるのは変わらない。ただ、菅内閣が新型コロナ対応などをめぐり支持率が急落したことを踏まえれば、最近の物価上昇やイラン情勢の悪化などを起因とした変動がいつ起きても不思議ではない。
「支持率頼りの政権運営」は瓦解しかねない
内閣支持率や自民党の政党支持率が高くても、3月の石川県知事選や市長選では自民系候補が連敗していることも気がかりだ。
高市首相は、安倍元首相の「後継者」として憲法改正や靖国神社参拝などを保守層から期待されてきた面もある。だが、最近は現実路線に舵を切るシーンが目立ち、歴代政権が踏み込むことができなかった大胆な決断や政策転換を果たせているとは言い難い。
こうした言動にはコアな支持層からも「期待外れ」の声が上がるのは当然だ。政権の物価高対策に対する国民の評価も低迷しており、消費税減税の早期実現も遠ざかっていけば、カギを握る無党派層や女性の支持も離れて「支持率頼りの政権運営」は瓦解しかねない。
高市首相は1月の記者会見で「国論を二分するような大胆な政策、改革に批判を恐れることなく、果敢に挑戦していくためには国民の信任も必要」と述べて衆院解散を断行したが、政権発足から半年が経つ今もその中身やスケジュールは明らかではない。
2026年度当初予算は成立したものの、「サナエノミクス」と呼ばれる経済政策によって国民生活が良い方向に変わったと感じる向きも少ないのではないか。
虎視眈々と「ポスト高市」を狙っている面々
若年層や女性に人気の高市首相だが、これからの物価高対策や消費税減税のスケジュール、所得向上策で国民の期待を裏切ることになれば、菅内閣と同じ轍を歩む可能性も否定できない。
支持率の動向に加え、今秋に予定される内閣改造・党役員人事でどのような人選をするのかも重要な要素となるだろう。
衆院選で歴史的大勝を果たした高市首相は、2028年の参院選までに衆院を解散しなければ大型国政選挙を経ずに政権運営を続けられる「ゴールデンタイム」を手に入れた。だが、激動の国際情勢や物価上昇への対応などに躓けば「期待」は「失望」へと変わり得る。
その時、虎視眈々と「ポスト高市」を狙っている面々が一気に浮上し、次の宰相選びに向かって動き出すことだろう。支持率頼みの政権運営は「退場」への恐怖と闘い続けることになりそうだ。
文/竹橋大吉