12月1日、「現代用語の基礎知識選 2025T&D保険グループ新語・流行語大賞」で高市氏の「働いて働いて~」が年間大賞に選出され、本人が登壇して「長時間労働を美徳とする意図はない」とスピーチ。同じ日にはサウジアラビアの投資家向けに漫画のセリフを引用して「日本に投資せよ」と呼びかけた。ジャーナリストの岩田明子氏は「支持を集める“高市節”の奔放さがそのまま外交や政局を動かす力にもなり得るだけに、今後どんな言葉が発せられるのかが日本の行方を左右しかねない」と指摘する。(以下、岩田氏の寄稿)。◆高市語録 流行語大賞に “高市語録”が話題だ。12月1日には自民党総裁選後に発した「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が流行語大賞に選ばれ、サウジアラビアの投資ファンドのイベントで「いいから黙って全部オレに投資しろ!」とスピーチしたことも話題を呼んだ。 後者は漫画『進撃の巨人』の有名なセリフだが、安倍元首相が’13年にNY証券取引所で発した「バイ・マイ・アベノミクス」を連想した人も多いだろう。日本のソフトパワーに対する海外人気の高さを意識しながら安倍路線継承をアピールした、高市氏らしい言い回しだったと感じる。 石破茂前首相も「楽しい日本」という国家像を示したセリフが話題になったが、好意的に受け止められたとは言い難い。高市氏の言葉は高い支持を得ているという点で、安倍元首相や、「自民党をぶっ壊す」「人生いろいろ、会社もいろいろ」などの記憶に残るフレーズをたびたび発した小泉純一郎元首相に通ずる。 一方で、歴代首相と異なる面もある。高市氏は国会答弁などで、自身が関節リウマチに悩んでいることや、下着などをネット通販で買うことをあけすけに話す。トランプ大統領とのやり取りについても、明かしても問題のないギリギリの線を攻めるかのように披露する。こうした“高市節”がしばしば人を惹きつける。◆年末解散に絡む発言にも要注目 とはいえ、首相の発言は重い。台湾有事に関する答弁が典型例だ。歴代首相が有事の際の日本の対応について「個別具体的な状況に即し、情報を総合して判断する」という姿勢を貫くなか、高市氏は一歩踏み込んで「中国による武力の行使を伴うものであれば存立危機事態になりうる」と話した。この発言に猛反発した中国側は自国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、日本からの水産物の輸入を停止。日中関係は急速に冷え込んだ。
「おこめ券」窮地の鈴木農相、同学年の前大臣・小泉進次郎との評価を分けた〈国民を向いた政治〉
「自治体によってはクーポンかもしれないし、電子マネーポイントかもしれない。また、農水大臣が大好きな“おこめ券”かもしれない。いろんなやり方があるかもしれない」
12月9日の衆院予算委員会で、物価高対策の質疑の中で「農水大臣が大好きなおこめ券」と発言した高市早苗首相(67)。「農水大臣」とは、渦中の農林水産省・鈴木憲和農相(43)を名指ししたものだが、“部下”の仕事ぶりに心中はいかにーー。
スーパーで販売される平均価格は5キロ4335円と、政府備蓄米放出で一時は3500円台まで下がったコメ価格だが、新米が市場に出回り始めた9月ごろから“リバウンド”の様相を見せている。
安価なアメリカ産「カルローズ」が店頭から消え始めている一方、高価格のブランド米は大量に積み上げられ、国産米の在庫が余っているにも関わらず卸売会社は価格を下げる気配はない。片や、消費者の“コメ離れ”も歯止めがきかず、令和のコメ騒動は悪循環の様相を極めている。
コメ価格高騰の打開策として、鈴木農相の肝入りとして詰められている「おこめ券」配布。2025年10月の就任時より、政府として「コミット(関与)しない」と市場価格への介入を否定した大臣だが、農水省による代替案が「大好きなおこめ券」というわけだ。
おこめ券でJAに12%の経費、手数料
「つまりコメ価格が暴落する前に、使用期限つきのおこめ券を配って消費者には高値のままで買い取ってもらおう、と。コメ業者を税金を使って救済しよう、と各方面から勘ぐられてしまった。
そして、おこめ券を発行するJAに12%の経費、手数料が転がり込む仕組みも明るみになり、鈴木農相が弁明するほどに“おこめ券の裏側”が浮き立つ事態になっています」(全国紙・社会部記者)
“米どころ”山形県を地盤とする鈴木農相は、東京大学法学部卒業後に進んだ農水省で政策立案に携わった元エリート官僚だ。いわゆる“族議員”であることも、JAやコメ卸売の業界団体である「全国米穀販売事業共済協同組合」との利権疑惑に拍車をかけているようだ。
その鈴木農相は9日の会見で、おこめ券にまつわる疑念を向けられると、「私がJAグループに何か利益誘導するということは全くない」と明確に否定。発案についても独断ではなく、「事務方の皆さんと議論した結果」と反論して“潔白”を主張している。
「とはいえ消費者が求めているのは、税金を投入するおこめ券を配布するよりも、スーパーのコメ価格を安定して下げられる政策です。それを承知の上で、農相は“大好きなおこめ券”にこだわっているのか……」(前出・記者)
そんな鈴木農相に対するネガティブなニュースが連日伝えられているが、前任である小泉進次郎防衛相(44)の評価は上がっている。
国民を向いていたのは小泉大臣
2025年5月、政府備蓄米の放出をもって「5キロ2000円」の実現を目指し、卸売業者を通すことなく小売業者に直接届ける随意契約の仕組みなども講じた、石破茂(68)前政権において「コメ担当大臣」として奔走した前農相。
《最初からずっと米価格を下げようという雰囲気すらない人。進次郎の政策が良かったわ》 《鈴木氏の説得力0%。 米価格も高値止まり。 国民への想い0%? カリスマ的存在、小泉氏行動力、結果としてもスピーディー》 《鈴木農水大臣はJAの犬なのですね 結局、団体からの支持や献金などが目的なんだね… 国民を向いていたのは小泉大臣だったのに ホント残念》
ネット上でも鈴木農相のおこめ券に呆れ、国民目線でのコメの店頭価格を下げようとした「進次郎のほうがよかった」などの声も出始めている。
与党に近しい政治ジャーナリストは「鈴木農相が支持されない理由」について、
「おこめ券の配布然り、“消費者、国民のためよりも先にコメ業界を救済したい”との、いかにも役人的な思惑が透けてしまうのでしょう。一方の進次郎はというと、備蓄米放出には賛否があったものの、懸命に“国民のための政治”をしているように映ったのだと思います。
実は進次郎が備蓄米放出に動き始めた当時、鈴木大臣は“いち専門家”として本人に進言をしていたと聞きます。その上で、進次郎は大臣の考え方とは異なった、自分の政策を推し進めた経緯があります」
守られるべき「農家の生活」
自身が農相に就任すると、のっけから備蓄米の放出を否定して、前任が立ち上げた「米対策集中対応チーム」解散も示唆。進次郎とは真っ向対立するかのような政策を主導している鈴木農相。
「進次郎とは同学年で、党内でも近い関係とも聞きます。鈴木大臣は彼を“目の敵”にしているわけでもなく、またJAやコメ業者に恩を売るつもりもなく、まずは国民に安定してコメを供給するために、生産者である“農家の生活”を守ろうとしているのだと思います。
もちろん進次郎の備蓄米放出もパフォーマンスではなく、彼なりに国民の生活を優先した上で必要とした政策です。政策面では相容れない両者ですが、どちらも農相の仕事として間違ってはいないでしょう」(政治ジャーナリスト)
生粋の農水族で“米マニア”を自称する鈴木農相。大好きなのは「おこめ券」か、それとも「おこめ」なのか。
国際電話をブロック 民間アプリを警察庁が認定 特殊詐欺対策で
国際電話を悪用した特殊詐欺の被害を防ごうと、警察庁は11日、スマートフォンへの国際電話をブロックする民間事業者のアプリを「警察庁推奨」として認定する制度を始めると発表した。民間のアプリに警察庁がお墨付きを与えて利用促進を図るのは初めて。来年3月ごろまでに推奨アプリを決定する。
警察庁によると、今年1~10月に特殊詐欺に悪用された電話のうち76%は、「+1」や「+44」といった国番号から始まる国際電話だった。海外拠点から警察官をかたってだます手口が多発していることなどから増加傾向にあるという。
また、詐欺の電話は固定電話と携帯電話にかかってくるが、携帯電話へかかる割合が増加傾向にある。詐欺グループが被害者に最初に接触する手段が電話だった場合、そのうち携帯電話にかかった割合は、2024年の25%から、25年は1~10月で41%と増えている。
そこで警察庁は「特殊詐欺の被害防止には、携帯電話にかかる国際電話の遮断が効果的」とし、「警察庁推奨アプリ」の認定制度を新設する。
対象は、国際電話と、国内で過去に詐欺に使われた電話番号の発着信を遮断でき、利用者が無料で使えるアプリとする。同様の民間のアプリは有料版が既にあるが、事業者が利用者に無償提供することで普及を図る。
警察庁が発信する最新の手口などの防犯情報を通知できる機能を備えることも条件とする。事業者には、人工知能(AI)といった最新技術の活用を求めるほか、詐欺の電話番号を蓄積してデータベースを構築することも期待する。
米アップルが提供するスマホの基本ソフト「iOS」については、国際電話の一括遮断ができない仕様のため、詐欺の電話番号を遮断できるアプリを対象とする。
推奨アプリは、警察庁のロゴやエンブレムなどの使用や「警察庁推奨」との表記が可能。企業にとっては、社会貢献によるイメージ向上がメリットになる。
警察庁は11日から事業者の募集を始めた。採用した事業者には、アプリの効果を把握するため、利用者数や詐欺電話の遮断件数を定期的に報告してもらう。【深津誠】
日向山の山火事 消火活動続く 神奈川・伊勢原市
9日、神奈川県伊勢原市の日向山で発生した山火事は依然鎮圧に至らず、11日もヘリコプターによる消火活動が行われています。
9日、伊勢原市の日向山で発生した山火事は、火や煙の勢いは収まっているもののいまも鎮圧には至っていません。
神奈川県は10日夕方、「消火の能力が不足するため」として自衛隊に災害派遣を要請し、消防によりますと11日は午前7時半から自衛隊と消防のヘリコプターあわせて5機で放水による消火活動が行われています。
これまでに確認された焼失面積は少なくとも600平方メートルで、ケガ人や民家への被害は確認されていないということです。
「魔が差した。好意を持ってくれていると」 ゆうパック配達先の客に抱きつく 日本郵便の委託先の50代男性元従業員が不適切行為
兵庫県内の郵便局で集配業務を委託している会社の50代の男性元従業員が、先月14日、ゆうパックの配達中に、配達先の客に抱きつき、無理やりキスをするなどの不適切な行為を行っていたと日本郵便が発表しました。
先月17日、郵便局に被害者の家族から連絡があり発覚したということです。配達先の住所から元従業員を特定し聞き取りを行ったところ、元従業員は行為を認め、「魔が差した。好意を持ってくれていると思っていた」と話したということです。
日本郵便は17日付で契約を解除したということです。
「弊社側の対応の不手際により、被害にあった客への連絡ができない状況が続いている」としたうえで、誠心誠意を尽くして対応することと、コンプライアンス指導の徹底に努めるとコメントしています。
また、「社会的・公共的役割を担い、信用を第一とする弊社として、このような事案が発生しましたことについて、重ねてお詫び申し上げます」とコメントしています。
同性婚訴訟、原告カップル側が最高裁に上告 2審初の「合憲」に不服
同性同士の婚姻を認めていない現行の民法や戸籍法の規定が憲法に反するかが争われた訴訟で、原告の同性カップル側は11日、高裁段階で初の「合憲」判断を示した東京高裁判決(11月28日)を不服として最高裁に上告した。他の高裁判決5件はいずれも「違憲」としており、最高裁は来年度中にも統一判断を示す可能性がある。
東京高裁判決は、憲法が保障する婚姻の自由は異性同士が対象で、同性カップルは想定されていないと指摘。夫婦とその子どもを一つの家族として設計した現行制度は「合理性がある」などとし、憲法違反と断じることはできないと結論付けた。
ただし、性的指向などに従った法制度上の取り扱いを受けることは重要な法的利益だとし、現在の状況が続けば「憲法違反の問題が生じることは避けられない」とも言及。「まずは国会で審議が尽くされるべきだ」とした。
一連の訴訟は、婚姻の自由を定めた憲法24条1項▽個人の尊厳と両性の平等に基づいた家族法の制定を求める24条2項▽法の下の平等を求める14条――に反するかが主な争点。同性カップル側は立法措置を講じていないとして、国に損害賠償も求めているが、1、2審通じて認めた司法判断は出ていない。【安元久美子】
「盗難の事実ない」情報共有されず…警察が男性2人に不必要な捜索と差し押さえ実施 福島
いわき中央警察署が住居侵入・窃盗事件を捜査する際に、本来必要のない捜索差し押さえを行う不適切な捜査があったことがわかりました。
県警によりますと、今月1日に、いわき市に住む男性から自宅リビングにあった財布などが入ったバッグが盗まれたと届け出があり、いわき中央警察署が捜査を始めました。その後の5日に男性からバックは別の場所に置き忘れ、盗難の事実がなかったとの連絡がありましたが、その情報が捜査員らに共有されず、いわき市に住む50代男性と20代男性に対して、本来必要のない捜索と携帯電話などの差し押さえを行ったということです。県警は男性2人に謝罪し、「再発防止に努めていく」とコメントしています。
【速報】“年収の壁”168万円への引き上げ案を自民党が検討 「基礎控除」「給与所得控除の最低額」を物価上昇率に合わせ 案をもとに国民民主などとも協議へ
自民党は来年度の税制改正で、いわゆる「年収の壁」の見直しをめぐり、いまの160万円から168万円に引き上げる案を検討していることが分かりました。
所得税が生じる「年収の壁」は去年まで103万円でしたが、今年から課税最低限が160万円に引き上げられ、政府・与党は来年度の税制改正で物価の上昇率に合わせたさらなる引き上げを検討しています。
自民党はこの「年収の壁」について、来年度の税制改正でいまの160万円から168万円に引き上げる案を検討していることが分かりました。
「基礎控除」と、会社員が対象で年収に応じて額が変わる「給与所得控除」の最低額を、それぞれ直近2年間の消費者物価の上昇率を基に2年に1回引き上げるということです。
自民党はこの案をもとに、今後、178万円への引き上げを求めている国民民主などとも協議をおこなう見通しです。
神戸女性ストーカー殺人事件で男を起訴、神戸地検 遺族「最大限厳しい処罰を」とコメント
神戸市中央区のマンションで8月、会社員の女性(24)が刺殺された事件で、殺人容疑などで逮捕、送検された谷本将志容疑者(36)について、神戸地検は11日、殺人やストーカー規制法違反などの罪で起訴した。
起訴状によると、8月18日から女性の職場付近などでつきまといを続け、20日午後7時20分ごろ、女性の自宅マンションに侵入。エレベーター内で女性の胸などペティナイフ(刃渡り約12・5センチ)で刺して殺害したとしている。
谷本被告は現場から逃走し、事件から2日後の同22日、現場から約400キロ離れた東京都奥多摩町で身柄を確保された。
捜査関係者によると、谷本被告は、兵庫県警の取り調べに対し「好みのタイプの女性だと思い後をつけた」「エレベーター内で叫ばれたので刺した」などと供述。事件当日に神戸市内で凶器のナイフを購入したことも判明している。
地検は谷本被告の精神状態を調べるための鑑定留置を今月まで実施。刑事責任能力を問えると判断した。県警は鑑定留置中の11月中旬に、女性に対するストーカー規制法違反、邸宅侵入、銃刀法違反の容疑で追送検していた。
◇
女性の遺族は11日、代理人を通じてコメントを発表した。コメントの全文は次の通り。
本日、犯人が起訴されたとの報告を受けました。逃走した犯人を逮捕し、起訴までもってきていただいたことに、まずは御礼申し上げます。
事件により私どもの生活は一変しました。日々、平穏を取り戻したいと思いながら過ごしていますが、娘がいない日常に慣れることはありません。ふとした瞬間に寂しさや悔しさが襲ってきて涙が止まらないことがあります。
事件当初から、犯人に狙われ殺害された被害者として、娘のことが実名や直前の映像とともに大々的に報じられることも、家族にとっては耐え難いものでした。最近では、心情に寄り添ったご対応に感謝しております。
これから裁判に向けた準備が進んでいくと聞いています。裁判でどのような結果になったとしても、娘が帰ってきてくれることはなく、娘がいない日常に変わりはありません。ですが、そうであれば、せめて犯人には最大限厳しい処罰を受けてほしいというのが私どもの今の思いです。
華やかな雰囲気の晩さん会、2人は受賞の喜びかみしめる…メダルを手にした坂口志文さん「重たいですね」
【ストックホルム=長尾尚実】ノーベル賞を受賞した大阪大特任教授の坂口志文(しもん)さん(74)と京都大特別教授の北川進さん(74)は10日(日本時間11日)、授賞式に続いて開かれた晩さん会に出席した。スウェーデン王室のメンバーらに囲まれる華やかな雰囲気の中、2人は受賞の喜びをかみしめた。
授賞式後、坂口さんは渡されたメダルを手に「結構、重たいですね」と喜び、長年の研究を支えた医師で妻の教子(のりこ)さん(72)と一緒に記念撮影していた。
晩さん会は午後7時(日本時間11日午前3時)からストックホルム市庁舎で始まり、約1300人が出席した。坂口さんと北川さんは、会場の大広間「青の間」で色とりどりの花が飾られた中央テーブルに着席。北川さんは地元産の食材を生かした料理を堪能しながら、隣に座ったビクトリア皇太子との会話を楽しんでいた。
会では、生理学・医学賞受賞者3人を代表し、米システム生物学研究所のメアリー・ブランコウ博士が「私たちの成功は数年に及ぶ基礎的な研究を続けてきたからこそだ」とスピーチ。
化学賞は受賞者3人のうち、米カリフォルニア大バークレー校のオマー・ヤギー教授が「発展途上国でMOF(モフ)(金属有機構造体)の科学を前進させようと奮闘している世代が出ている」と述べた。
免疫研究に「深い感謝」…患者
坂口さんのノーベル生理学・医学賞の受賞に、免疫の異常で起こるとされる病気の患者からも称賛の声が上がった。坂口さんが発見した「制御性T細胞(Tレグ)」を活用することで、患者は新たな治療法が生まれる可能性があると期待を抱いている。
国立病院機構大阪医療センター(大阪市)の加藤研・1型糖尿病センター長(53)は、自身も13歳の時に1型糖尿病を発症した。「(患者から)『坂口先生の研究は期待していいですか』と尋ねられる機会が増えた」と話す。
1型糖尿病は、免疫細胞が膵臓(すいぞう)の組織を攻撃し、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が分泌されなくなる。国内の患者は推計10万~14万人とされ、インスリン注射を生涯続けるが、効きすぎると低血糖を起こして意識障害を起こすこともある。加藤さんは「命に関わることもあるのに見た目には分からず、周囲から理解されにくい」と指摘する。
高校生の時は人目を気にして保健室で注射をしたり、修学旅行の参加を見送ったりした。試験中に低血糖にならないようアメをなめたこともあった。今は腹部に針を刺し、インスリン製剤を24時間投与できる装置を装着して診療にあたる。
加藤さんは「Tレグを活用した新薬ができ、患者がインスリン注射から解放されるようになればうれしい」と話す。
創薬に向けた動きも出始めている。米国では、来年にも自己免疫疾患の患者に対する臨床試験が実施される。日本では、全身の皮膚や口の中に水ぶくれができたり、ただれたりする難病「天疱瘡(てんぽうそう)」に対する臨床試験が計画されている。
この病気は、国内に約3000人の患者がいるとされる。その一人である福岡県の女性(47)は、症状がひどい時は水ぶくれが破れて衣服にくっつき、皮膚がめくれ、寝ている間も痛みは治まらない。鏡を見るたび、自分の肌と向き合うのがつらいという。
女性は、坂口さんの受賞について「病気を理解しようとしてくれる研究者がいることが日々の支えで、大きな喜びと深い感謝を感じている」と話している。