大阪“出直しダブル選”に他党から批判の声「大義がわからない」「党利党略」

大阪府の吉村知事と大阪市の横山市長が「大阪都構想」への3度目の挑戦に向け信を問おうと、衆議院が解散されれば辞職し、出直し選に臨む意向を固めたことに対し、他党から「誰も望んでいない」など批判の声が相次いでいます。
吉村知事は衆議院が解散された場合、横山市長とともに辞職し、出直しダブル選に出馬する意向です。「大阪都構想」はこれまでに2度、住民投票で否決されましたが、吉村知事は、知事選などの民主的プロセスを経れば挑戦は可能との認識です。
前回の住民投票では、都構想に賛成した公明党は、府本部の幹部から「大義がわからない」との声が上がっています。また、自民のある地方議員は「維新の伸び悩む支持率を上げるための党利党略。誰も望んでいない選挙だ」と批判しています。

中部電に月内立ち入り検査決定 原子力規制委「重い処分検討」

中部電力が浜岡原発(静岡県)の耐震設計に関わるデータを不正操作していた問題を巡り、原子力規制委員会は14日の定例会合で、同社本店(名古屋市)を月内に立ち入り検査すると決めた。山中伸介委員長は会合後の記者会見で「重い処分を検討しなければならない深刻な事案」と述べた。規制委は原子力施設を持つ他の電力会社や研究機関などの担当者を呼び、審査資料の適切な作成を徹底するよう注意喚起した。
定例会合では、昨年12月以降取りやめている浜岡3、4号機再稼働の前提となる審査を当面実施しないことも正式決定。同日、中部電に報告徴収命令を出し、3月末までに不正の内容や経緯に関する資料を提出するよう求めた。規制委による調査には数カ月以上かかる見通し。山中氏は会見で、中部電の対応によっては審査不合格も選択肢に含めて検討すると説明した。また「一義的な責任は事業者にあるが、不正が起きづらい審査になるよう継続的に改善していきたい」と述べた。
立ち入り検査では、不正に関わった中部電社員らに事情を聴くなどして、動機や経営陣の関与について調べる。

〈維新はもう用済み?〉「もはやメチャクチャ」身内からも大ブーイングの出直し大阪ダブル選、背景には不祥事による超低支持率が…自民から切られないための策の行方

日本維新の会代表を務める吉村洋文・大阪府知事と、同副代表の横山英幸・大阪市長が任期途中で辞職し、次期衆院選に合わせて「出直し知事・市長選」に臨む意向を固めたことを1月13日に報道各社が報じた。ダブル選を仕掛けることで、メディア露出を高め、衆院選での党勢拡大につなげたい考えもありそうだ。度重なる不祥事によって、連立パートナーの自民党の一部からも、維新への忌避感が高まっている。
【画像】高市総理に解散の助言をしたといわれている人物
3度目の都構想挑戦を問うためのダブル選「やるにしてもここではない」
吉村氏と横山氏は辞職するものの、再度同じポストを狙い、「出直し知事・市長選」に挑戦する方針だという。ただ、仮に当選したとしても、両氏の任期は2027年4月までと変わることはない。
それでも、吉村氏があえて衆院選に合わせて出直し選を仕掛けるのは、維新の結党以来の悲願である「大阪都構想」を再び推進するために、民意を問うためだとされる。知事・市長のダブル選で勝利し、府民から“お墨付き”を得たということになれば、都構想を再び推進する大義名分ができる、というわけだ。
大阪都構想とは、政令指定都市である大阪市が担う広域行政機能を大阪府に集約することで「二重行政」を解消し、東京のような「都」をつくる統治機構改革だ。しかし、都構想をめぐっては、2015年と2020年の2度にわたって、住民投票で否決されてきた経緯がある。
吉村氏自身、2020年の二度目の住民投票の後、「大阪都構想は間違っていたのだと思います。僕は政治家を続ける中で、都構想に挑戦することはもうないと思う。本当にやり切ったという思いだ」とまで言い切っていた。
こうした経緯があるにもかかわらず、3度目の都構想挑戦を問うためのダブル選を行なうという判断には、維新関係者は「もはやメチャクチャですね」と漏らす。維新創設者の橋下徹氏は1月13日に自身のXで「やるにしてもここではないと思う」と投稿している。
維新は、自民党との連立合意政策として災害時に首都機能をバックアップする副首都を国が指定する「副首都法案」を盛り込んでおり、通常国会での成立を目指している。
松井一郎・前大阪府知事は同日にXで、「橋下さんも僕も都構想を実現して貰いたいが今回の吉村さんのやり方では党内でも一枚岩とならないだろう」と述べた上で、まずは副首都法案の成立を優先させるべきだという見解を示している。
不祥事体質で維新の政党支持率は3%台
こうして“身内中の身内”からも「無理筋」という批判が相次ぐ中、あえて「都構想」を掲げて、出直し選を仕掛ける理由は一体何なのか。
「他に看板政策が乏しいことはもちろんありますが、一番は、都構想そのものというより、衆院選対策ということでしょう」
そう解説するのは、大阪を地盤とする自民党の前職議員だ。連立入りしたものの、1月のNHKの世論調査でも、維新の政党支持率は3%台と低調で、立憲民主党や国民民主党といった野党の後塵を拝している。
背景にあるのが、維新の根深い不祥事体質だ。連立入りして以降も、秘書給与還流問題や、いわゆる国保逃れ問題など、所属議員の不祥事が相次いで報道されてきた。
「党勢が低迷する中で、維新の全国政党化はもはや不可能な状況です。それでも、お膝元の大阪の議席だけは、何とか独占を死守したい。解散総選挙にあわせて、知事と市長ポストのW選も仕掛けることで、メディア露出をさらに高め、維新への“応援ムード”を高めるというのが、一番の狙いでしょう。
そもそも、馬場伸幸顧問をはじめ、維新国会議員団の主要メンバーには、党の看板になるような人が乏しい。やはり、吉村氏が前面に出てこないと盛り上がらない。露骨に政局的な動きですが、大阪における“吉村人気”は健在ですから、選挙対策としては非常に有効なのも事実です」(前出・大阪を地盤とする自民前職)
とはいえ、維新をめぐる今後の展望には不安材料も付きまとう。維新は、自民党との連立合意政策にもある「議員定数削減法案」を重要視している。しかし、野党の反発はもちろん、自民党内からも「合理性のない、稚拙な案だ」との批判が根強く、臨時国会での成立は断念せざるを得なかった。
「議員定数削減法案をはじめ、維新との連立合意政策の中には、実現不可能とみられるものが少なくなく、今後もハレーションは起きてくるだろう。選挙制度改革の議論をめぐっても、自民党内には、維新案よりも、中選挙区連記制を掲げる国民民主案に賛同する声が多かったりもします」(自民党衆院ベテラン議員)
「維新の役割は済んでいる面もあります」
維新の吉村氏や、藤田文武共同代表は、高市総理と個人的な信頼関係を醸成しつつあるとされる。しかし、実は自民党内でそれに対する歓迎ムードは乏しいのだ。自民党の参院ベテラン議員はこう語る。
「そもそも維新との連立は、少数与党となった自民党が、公明党の離脱を受けて、国会の首班指名選挙を乗り切るために、組んだものです。もう役割は済んでいる面もあります。維新の掲げる、“身を切る改革”は高市政権の路線に反する、コストカット型の政策ですからね。
経済政策において、高市内閣政権が掲げる“責任ある積極財政”を進めていく上で、維新の存在はネックになる可能性がある。不祥事も多いし、連立をいつまでも続けるのは得策ではないのです」
維新と自民党の衆院選における選挙区調整の機運は、今のところ乏しい。高市政権は、昨年末に、国民民主党が求めていた、所得税の非課税枠「年収の壁」を178万円まで引き上げるなど、他党との連携も深めてもいる。
連立の先行きや、党としての将来展望が描きづらい中、金城湯池である大阪の議席独占だけは、なんとしても死守しておきたい――。衆院選に合わせた「出直しダブル選」には、そんな窮余の策という面もありそうだ。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

【速報】ノーヘルでバイクを運転し、警察官をはねて逃走16歳の少年を殺人未遂容疑で逮捕 堺・南区

殺人未遂などの疑いで逮捕されたのは、16歳の高校生の少年です。

捜査関係者によりますと、少年は1月12日、堺市南区美木多上で交通事故の対応をしていた男性巡査長(44)をバイクではねて、殺害しようとした疑いなどがもたれています。

少年はヘルメットを着用せずにバイクで走行していて、巡査長が停止を求めましたが、減速せず、そのまま巡査長に突っ込んだということです。

巡査長は左ひざを打撲する軽傷を負いました。

バイクにはナンバープレートが付いておらず、少年はバイクをその場に乗り捨てて逃走していました。

「空地でせん定くずを焼却していた火が燃え広がった」岡山市南区の大規模な山火事 出火原因は「たき火」と結論 岡山市消防局

岡山市南区で2025年3月に発生した大規模な山火事について岡山市消防局が「出火原因はたき火」と結論付けました。

(岡山市消防局予防課/植松謙二 課長) 「出火原因につきましては、たき火です。空地において剪定くずを焼却していた火が燃え広がったものです」

14日に開かれた岡山市議会の総務委員会で岡山市消防局が明らかにしました。

2025年3月23日に岡山市南区で発生した山火事では岡山県で過去最大規模の約486haが焼けました。
市消防局は2025年11月まで行った現地調査の結果、出火場所は南区飽浦で消防への通報の約15分前、午後2時45分ごろからたき火が燃え広がったと結論付けました。

また、当初、建物の被害は倉庫と空き家の合わせて6棟としていましたが、他の倉庫7棟と農作業用の物置6棟も焼けたことが分かり被害は合わせて19棟になりました。

市消防局によりますと、市の条例により、たき火をするときは消防署への届け出が必要ですが、今回たき火をしていた人は届け出ていなかったということです。
誰がたき火をしていたかなどは個人情報に関わるので言えないとしています。
また、被害を受けた人が火災保険に入っていない場合の救済については「民事不介入の原則があるので岡山市が入る余地はない」との認識を示しました。
岡山市消防局によりますと、過去10年間における林野火災の出火原因は約65%が「たき火」でした。 「たき火は原則禁止」とした上で、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等で例外として認められている範囲で、やむをえずたき火をする場合は、以下のことに十分注意するよう呼び掛けています。
【注意事項】 ・周囲に燃えやすいものがある場所でたき火をしない ・監視を徹底し、その場から離れない ・風が強い時、空気が乾燥している時はたき火をしない ・消火の準備をして、残り火は確実に消化する
消防は、周囲に燃えやすいものがあると、わずかな風でもすぐに燃え広がり、消火困難な状況になるため、消火器具を必ず準備し、その場を絶対に離れないよう呼び掛けています。

俳優死亡ひき逃げのキャバクラ送迎車、「白タク」疑い 元社長を逮捕

舞台の稽古(けいこ)を終えた帰り道、俳優の女性は突然、後ろから来た車にはねられ、雨の路上に置き去りにされた。そして亡くなった。
走り去ったワゴン車は、キャバクラ従業員の送迎車だった。事故から3カ月、この送迎は無許可の違法行為だった疑いが浮上した。
2025年10月に帰宅中の俳優がひき逃げされて死亡した事故で、現場から走り去った車が無許可でタクシー営業をする「白タク」だったとして、警視庁交通捜査課は13日、送迎サービス業「ISANA」(東京都豊島区)元社長、小山田栄一容疑者(77)を道路運送法違反(無許可経営)の疑いで逮捕した。この車は自家用車(白ナンバー)だった。また、同じ容疑で役員2人と法人としてのISANA社を書類送検した。
事故は10月16日午前2時45分ごろに発生。東京都練馬区の青梅街道で、自転車に乗っていた俳優の高橋智子さん(当時39歳)がワゴン車にはねられ、搬送先で死亡した。
警視庁や捜査関係者によると、車には事故当時、キャバクラでの勤務を終えた女性4人が乗っており、そのまま現場から走り去った。この事故捜査の過程で、白タクの疑いが判明した。
小山田容疑者らは、共謀して10月16日、国による「一般旅客自動車運送事業」の許可を得ずに、男性運転手(39)に依頼して、キャバクラの女性従業員6人を東京・新橋から新宿区西早稲田や埼玉県狭山市にワゴン車で送らせた疑いがある。車は男性の自家用車で、男性ら3人も白タク行為のほう助の疑いで書類送検された。
小山田容疑者は逮捕前の任意の調べに「運転手には現金で報酬を払っていた。違法とは分かっていた」と説明。役員らは容疑を認めているという。
運転手の男性は、事故があった日の夜に自動車運転処罰法違反(過失致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕され、11月に起訴された。
小山田容疑者らは、在籍するドライバーの出勤を無料通信アプリ「LINE(ライン)」で管理。キャバクラ店の依頼に応じて、当日に車を出せる運転手を探して指示をしていたという。
ISANA社は24年11月に福祉施設の送迎サービスに従業員を派遣するとして設立された。実際は主にキャバクラ従業員の送迎をしており、25年10月までに1億7000万円を売り上げていたという。【菅野蘭】

3歳女児含む3人を病院搬送「家の2階から出火した」と消防通報 2階建て木造住宅から出火

【続報】3歳女児ら病院搬送「家の2階から出火した」やけどや喉の痛み 深川市の住宅で火事
火事があったのは深川市北光町2丁目の2階建て木造住宅です。
1月14日午前6時半前、住人から「家の3階から出火した」と消防に通報がありました。
警察や消防によりますと、当時住宅内には7人がいて、そのうち30代男性と40代女性、そして女児(3)の3人が病院に搬送されました。
けがの程度は確認中ということです。
火は通報から約1時間半後にほぼ消し止められていて、警察や消防が火が出た原因を調べています。

「外国人問題を解決してくれるから」だけではない…高市政権が支持率70%超えの「最強政権」になったワケ

高市早苗政権は、中国との関係で緊張を高めたことに批判を受けながらも、政権基盤そのものは驚くほど安定している。
その一方で、これまで自民党政権批判の受け皿である立憲民主党は、高市政権を激しく批判するほどに支持を落としているように見える。マスコミが日中関係の悪化で政権批判を展開する一方で、SNS世論を中心に、その批判の矛先はむしろ高市批判を強める立憲民主党へと向かう。
対中関係の悪化は、高市首相が台湾有事の際の存立危機事態を具体的に述べたことがきっかけだったが、マスコミが高市首相を批判するかたわらで、SNS世論の批判は、この答弁を引き出した立憲民主党の岡田克也氏により強く向けられた。
このような現象は、単なる政権交代の有無を越え、日本の政治環境そのものが構造的に変化しつつあることの象徴だろう。
なぜ高市政権は安定し、なぜ立憲民主党などのこれまで反自民の中心となってきた野党が支持を落とすのか。その背景には、自民党の性格、安倍政権が残した政治的遺産、そして「新しい保守層」の台頭がある。
ここでは、なぜ新しい保守層が生まれ、それが高市政権や野党にどんな意味を持つのかを中心に考えたい。
自由民主党は、しばしば「保守政党」と一括りにされる。しかし、その成り立ちを振り返ると、単純な保守政党とは言いがたい性格を持っている。
自民党は1955年体制のもと、反共を最大公約数として結集した政党である。そこにあったのは一貫したイデオロギーではなく、「イデオロギーを前面に出さない」という共通点だった。つまり、自民党議員の共通点は基本政策の一致にあるのではなく、「イデオロギーを持たない」ということのみだといっても過言ではないだろう。
戦後日本では、知識人層やマスコミ、教育界において左派・リベラルの影響力が強く、保守勢力が単独で政権を担う土壌は乏しかった。そのため、自民党はリベラルから保守までを内包する“幅の広さ”を持つ政党として発展してきた。
つまり、自民党の性質をひとことでいえば、「イデオロギーがない政治家の集まり」である。
だが、このことは戦後日本では重要である。戦後の日本では、社会主義の影響がアカデミズムを中心に強かった。それが共産党と社会党など野党やマスコミとつながり、実際の支持者の割合以上の影響力を持っていた。
だからこそ、「イデオロギー嫌い」が多い日本人の多くが自民党を積極的・消極的に支持してきて、長期政権を実現してきたわけである(日本人がイデオロギー嫌いであることを指摘した政治系学者に永井陽之助や丸山真男がいる)。
この構造の結果、党内で保守が主導権を握ると、相対的に「右」に位置づけられる。たとえ保守中道の政策であっても、マスコミや野党から「右翼的」「戦前回帰」といったレッテルを貼られやすく、安全保障や憲法の議論はすぐに軍国主義と結びつけられてきた。
1つのイデオロギーや理想を重視する者にとって、自民党は「中道を装った巨大な寄り合い所帯」でしかない。
そもそも日本の「保守」には大きなジレンマがある。それは憲法改正が本来、革新派が進めるべき政策であるのに、日本では現状を守られるべき保守が憲法改正を担っているからだ。憲法は本来、時の政治体制を守るために作られるが、戦後、GHQが憲法を急ごしらえして、当時のトレンドであるリベラル改革的な理想主義が前面に出て、共産党などの革新派にとって都合のよい憲法ができあがった。
通常であれば、憲法改正は「社会変化とともに実現するもの」であるのに、日本における憲法改正は「現状を守るものに戻す」という現実主義的な作業である。
そのため、日本では「保守」が憲法改正、「革新」が護憲というねじれが起こっている。
保守政策を柱に据えた中曽根康弘政権が誕生した1982年当時、日本は高度経済成長を終え、バブル経済を控える停滞期にあった。福祉など分配政策を重視するリベラル政策が財政赤字を生み、国が民間産業を引っ張る「官僚主導」にも限界が見え始めていた。
戦後平和主義による政治体制づくりが制度疲労を起こしたときに、中曽根が掲げた「戦後政治の総決算」は、現実主義的な再設計する試みとして好意的に受け止められた。
また、1980年代初頭はアメリカではロナルド・レーガン政権が誕生し、冷戦が再び激化した時期だった。日米同盟において、日本にも安全保障上の役割拡大が求められ、中曽根はこれを積極的に受け入れた。中曽根首相は日本を「不沈空母」になぞらえる発言をして物議を醸したが、それは日米同盟の強化と日本の国際的な責任を明確化する選択を象徴するものだった。
この厳しい環境下では、理念先行の社会党では自民党の代替になり得るはずがなかった。中曽根首相は自民党で保守改革を行い、日米はロンヤス関係(ロン=レーガン大統領、ヤス=中曽根首相)と呼ばれる蜜月関係を築いた。
この構図は、行政改革を進めた小泉純一郎政権とともに、安倍晋三政権とはいくつもの共通点を持つ。
安倍政権もまた、経済面では金融緩和や雇用安定策といったリベラル寄りの政策を取りつつ、安全保障や国家観では明確に保守色を打ち出した。国際環境では中国が台頭し、アメリカの戦略転換によって「新冷戦」と呼ばれうる状況が進んでいた。
これまで米中と良好な関係を築いていた日本にも、主体的な安全保障対応が求められた。
また、両政権とも、マスコミや知識人層から強い批判を受けながらも、社会の側では現実的な支持を拡大した。これは、理念よりも統治能力や国際環境への適応が重視される局面で、保守改革が受容されたことを示している。
中曽根政権と安倍政権はいずれも、戦後平和主義が行きづまった構造転換期に登場し、保守を前面に出した政権であった。その意味で両者は、時代が要請した「必然の政権」という共通性を持っている。
安倍政権は国家観や安全保障観で中曽根政権と重なるところが多く、時代の要請から長期政権となった。だが、どちらもリベラル派メディアからの批判を一身に浴びて、攻撃対象になり続けた。
安倍政権の本質は「右傾化」ではない。たしかに安全保障では中曽根政権とも重なることが多いが、経済政策を見れば、金融緩和を柱とし、雇用の安定や女性の社会進出、労働規制の強化を進めるなど、リベラル色の強い政策が並んだ。
この経済政策は、既存の保守層だけでなく、若者層や非正規雇用層からも支持を集めた。一方で、安全保障政策を中心にマスコミの批判は激化し、政権支持世論とメディア世論の乖離が顕著になっていく。
その過程でSNS世論が急速に拡大し、「安倍政権を支持するSNS世論」と「安倍政権を批判するマスコミ」という対立構図が先鋭化していく。この対立の中で、公明党に妥協する安倍政権では「まだ生ぬるい」と感じる、より強硬な保守層が形成されていく。
55年体制以後の日本では、自民党以外はリベラル政党で占められてきた。また、自民党内にも野党と変わらないようなリベラル派も数多くおり、実際、平和主義を掲げる公明党と自民党リベラル派は長らく連携して、補完関係にあった。
公明党との連携によって、自民党はむしろリベラル色の強い政党になった。その基本構造は安倍政権になっても変わりはなかった。安倍首相は公明党に配慮するために親中派の二階俊博氏を幹事長に据えて、世界中を駆け回って中国包囲網作りに汗を流しながら、中国への一定の配慮も怠らなかった。
連立政権ゆえ「保守」に徹しきれない「甘さ」から、保守政策に目覚めた一部の保守強硬派には安倍首相への不満も起こり始めていた。ただ、基本的には保守支持層の多くが安倍政権を支え続けた。
だが、コロナ禍も「安倍一強」に微妙な影響を与えた。特にコロナワクチンの悪影響を懸念する人々が、自公政権のワクチン政策に異を唱えて、反ワクチンの機運が盛り上がり、その一部をワクチン政策に批判的な参政党などが吸収したと考えられる。
安倍政権の後、菅政権、岸田政権、石破政権へと移行する過程で、政権のスタンスは徐々にリベラル寄りへと修正されていった。
これは党内融和を重視した結果でもあったが、安倍政権期に形成されて「岩盤支持層」を形成してきた保守層の一部には、耐えがたいほどの不満を蓄積させていった。
さらに旧統一教会問題を契機に、自民党内の保守派は急速に弱体化する。一方で、参政党や日本保守党といった「自民党より右」の政党が支持を伸ばし、自民党は右と左の両方から批判を受ける状況に追い込まれる。
その過程でとくに躍進したのが、「日本人ファースト」を掲げる参政党と、「手取り収入を増やす」を掲げる国民民主党だった。
参政党や日本保守党は、かつての安倍支持者の中でも、とくに外国人問題に対して不満を持つ支持層を中心に伸長した。また、国民民主党は安倍政権がおこなったリベラル的な経済政策をさらに先鋭化することを主張して、同様に勢力を拡大した。
この時期、特筆すべきは、リベラル派マスコミや野党が自民党政権を部分的に擁護し、逆に保守層が自民党を批判するという逆転現象である。自民党内部でも危機感が広がり、これまで公明党と連携してきた党内リベラル派の影響力は低下した。
党内リベラル派は、菅義偉氏が支える小泉進次郎氏を担ぎ出すことで体制維持を図ろうとしたが、これに対し新保守層は激しい反発を示す。結果として、より中道的と見られていた林芳正氏に支持が集まるが、高市早苗氏が党員の圧倒的支持と危機感を持った議員たちによって大方のマスコミ予想を覆す勝利を収めた。
戦後「大きな声をあげる」ことはリベラル派の専売特許だったが、SNSの登場によって保守層が大きな声をあげ1つのムーブメントを作り出した結果だと言える。
高市政権の誕生は、日本政治の座標軸を大きく動かした。まず、公明党が政権から距離を置き、自民党内のリベラル派は孤立する一方で、参政党や国政維新といった自民党より右に位置する政党が存在することで、高市政権は相対的に「中道」に見えるようになっている。
つまり、自公政権で「自民党リベラル派+公明党」の勢力が強まると同時に支持率が下がった反動で、「自民党保守派+(国政)維新」の右寄り政権に切り替わった。
これはかつて「自民党よりリベラル寄り」しかいなかった野党に、「自民党より右派寄り」の野党が誕生したことが大きい。国民政党を自認する自民党にとって、これまでの連携はリベラル寄り政党と組むしかなかったものが、保守寄り連携が可能になったのである。
自民党と維新が連立する構図は、右派が複数存在する状況を生み出し、高市政権の政策を過激ではなく現実的なものとして映し出している。
高市政権は、埼玉県川口市のいわゆる「クルド人問題」で可視化された「外国人問題」に対応する政権として期待されている。これまでであれば、外国人に対して規制を強める対策はリベラル派が批判する「右翼政策」であった。だが、自民党より強い外国人対策を求める参政党の台頭や日本保守党の誕生で、「排外主義」に至らない「管理政策」として、相対的に中道的政策に位置づけられる。
この変化は若者層の支持回復にもつながっている。リベラルで公明党との協調や対中政策を重視する石破政権は、これまでの政策を温存しているだけ、つまり何もしない政権に見えた。それに対して、わかりやすい政策を発信して実現していく高市政権は、「何かを変えてくれる政権」に見える。
また、これまで自民党批判の受け皿だった立憲民主党は、安倍政権でおこなってきた「代案のない批判」に終始する印象だったが、マスコミの援護もあって、それで成立していた。ところが、SNSの切り取り動画などでその様子が視覚化されると、批判はむしろ立憲民主党に多く向くようになる。
野党側では、維新に加え、国民民主や参政党との部分連携も可能となり、高市政権は安倍政権時代以上に柔軟な政治運営ができる環境を手に入れた。また、これまで「自民党の受け皿」としての立憲民主党の働きは、国民民主党などに分散していくと考えられる。
高市政権の安定は、個人の政治手腕だけで説明できるものではない。安倍政権が生み出した強硬的な新保守層、自民党の構造的変化、そして政党配置の再編が重なった結果である。
右に複数の選択肢が生まれたことで、高市政権は「極端な保守」ではなく「中道保守」として認識され、野党は戦後からの対抗軸を失う。この構図が続く限り、高市政権が長期政権となる可能性は高まっている。
この勢力図が維持されるのであれば、高市政権は超長期政権となった安倍政権よりさらに安定政権となり得る可能性がある。ただし、政局は「一寸先は闇」であり、少数与党で連立が必要な高市政権をここで「長期政権になる」と断言はできない。
ただ、中曽根政権や安倍政権のような「一方的な批判」が許されない現状で、長期政権となる環境が整ってきている。経済政策の運営で大きなダメージがあるなどのアクシデントがないかぎり、時は高市首相に味方するのではないだろうか。
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(評論家・千代田区議会議員 白川 司)

出直し前橋市長選挙、小川晶氏はなぜ勝利できたのか…強い批判が同情票に

12日に投開票が行われた出直しの前橋市長選は、既婚の男性職員とホテルに複数回行っていた問題で辞職した小川晶氏(43)の再選で幕を閉じた。全国から注目され、批判も寄せられたが、市民は小川氏を信任した。なぜ勝利できたのか。選挙戦を振り返る。
「今まで以上にしっかりと働きたい」
13日の午後4時前、当選証書付与式の会場となった市役所11階の会議室に、小川氏は神妙な面持ちで現れた。当選証書を手渡された際は軽い笑みを見せたが、その後のあいさつでは「厳しいお声をたくさんいただいた。今まで以上にしっかりと働きたい」と再び表情を引き締めていた。
自身の不祥事を受けて行われた市長選だったが、ふたを開けてみれば、最大のライバルと目された丸山彬氏(40)に1万票差をつける圧勝。投票率が上がった影響もあるが、初当選した2年前を2407票上回った。こうした背景には、小川氏陣営の綿密な戦略があった。
問題判明後、小川氏は記者会見や議会への説明で謝罪したものの、早々に続投に意欲を見せた。この対応を議会側は疑問視。群馬県の山本知事が記者会見や自身のブログで厳しく批判したほか、経済界の反発もあり、市議会は不信任決議案の提出方針を決めた。失職の可能性が高まる中、小川氏は辞職を選んだ。
「おわび行脚」は辞職前から行っていた。出直し選出馬を見越しての行動ではなかったが、結果的に選挙戦に大きな影響を与えた。
「旧町村部の、特に女性からの拒否反応があった」との情報を共有した陣営は、告示日の遊説先にあえて郊外を選択。翌日も郊外を中心に駆け回った。支援者は演説やSNSで、知事らの批判を「行き過ぎたバッシング」などと訴えた。
その効果は、すぐに表れた。告示から数日後の集会では、演説に大きな拍手と「がんばれ!」のエールが送られた。「もう許そうよ、という雰囲気が出てきた」。陣営幹部の一人は、その兆しを肌で感じていた。
自民支持層の4割近くが小川氏支持
読売新聞が12日に行った出口調査では、小川氏は無党派の5割強の支持を得た。自民党の国会議員や県議、保守系市議が丸山氏を支援した中でも、自民党支持層の4割近くが小川氏を支持。ホテル問題の内容から、陣営は女性の支持離れを懸念していたが、女性の支持でも丸山氏を上回った。
知事のブログでの批判も、丸山氏陣営から「同情票が流れた」と指摘する声が出るなど、小川氏を利する側面もあった。
山本知事は13日の定例記者会見で「全て正論を展開した」と強調しつつ、「市民の大多数が思っている感覚をすくい取れていなかった面は、率直に反省しなければいけない」と語った。
一方、有権者の信任を得た小川氏だが、市議会との関係改善は課題として残る。
小川氏は13日、「ご意見を尊重した出直し選挙だった。しっかりと上がってきたため、また連携していけると思う」と述べた。ただ、丸山氏を支援した富田公隆議長は「市民の負託を重く受けとめたい」としつつ、「健全な市政運営、また市政の発展のためにご尽力いただければと思う」と述べるにとどめた。

カンボジアで特殊詐欺疑い、日本人13人を機内などで逮捕…「かけ子」として警察官装い電話か

カンボジア南東部バベットで昨年11月、特殊詐欺に関わったとして、日本人13人が現地当局に拘束された事件で、警視庁と神奈川県警の合同捜査本部は13~14日、13人を航空機で日本に移送し、詐欺容疑で逮捕した。詐欺の電話をかける「かけ子」とみられ、同庁は、カンボジア当局が押収したパソコンやスマートフォンを解析するなどして実態解明を進める。
捜査関係者によると、13人は20~60歳代の男女で、警察官などを装ってうその電話をかけ、現金を詐取した疑いが持たれている。
カンボジアに派遣された捜査員らが13日、現地当局から13人の身柄の引き渡しを受け、日本に移送。同日深夜から14日早朝、羽田、成田両空港に向かう機内などで逮捕状を執行した。
カンボジア当局は昨年11月、バベットの詐欺拠点を摘発し、13人を含む外国人50人超を拘束。地元メディアによると、グループの中には、台湾人32人やフィリピン人8人もいたという。
バベットでは2024年8月上旬、特殊詐欺を行っていた別の日本人グループの男12人が現地警察に保護され、同年10月に茨城県警などが日本に移送し、詐欺容疑で逮捕した。近年はカンボジアなど東南アジアに拠点を置く特殊詐欺グループが増えており、警察当局が摘発を強化している。