東京都は16日、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減った個人事業主らの家賃支払いを支援する都の「家賃等支援給付金」で不正受給があったと発表した。都は国の給付金に上乗せして独自に支援しており、都の給付金で不正受給が確認されたのは初めて。
都によると、不正受給したのは港区六本木3のウェブサイト制作会社「トゥーサウザンド」。昨年9月、月額8万5000円の事務所家賃を18万5000円と偽って申請し、給付金4万6250円を不正受給した。申請時に提出した賃貸借契約書も家賃部分を改ざんしていたという。
昨年12月に警視庁から捜査照会があり発覚。都の調査に不正受給を認めたという。都は全額返還を求めている。【斎川瞳】
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女性のつえ挟んだまま地下鉄発車、衝撃で胸椎を折る重傷…653万円賠償命じる
名古屋市営地下鉄でドアにつえが挟まったまま発車したことで重傷を負ったとして、市内の60歳代女性が市に6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、名古屋地裁であった。前田郁勝裁判長は運転士の過失を認め、市に653万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は脊髄炎や骨粗しょう症の持病があり、つえを使っていたが、2016年12月26日、市営地下鉄桜通線で、終点の徳重駅で降りる直前にドアが閉まり、つえが外に出た状態で挟まった。電車が別の線路に入るため発進した際、つえがホームドアに当たるなどし、車内でつえを握っていた女性が衝撃で胸椎を折る重傷を負った。女性には、歩行が困難になる後遺症も残った。
前田裁判長は、運転士はつえが挟まったドア付近に人が集まっていたのに発車させたとし、「事故を防ぐ注意義務に違反した過失がある」と認定。一方、骨折は骨粗しょう症の影響もあり、ドアが閉まる直前につえを差し出した女性にも過失があったと判断した。
市交通局は「判決内容を精査し、対応を検討する」としている。
汗でぬれて風邪ひかないように…「体操着の下、肌着禁止」一部小学校で指導
川崎市立小学校の一部で「体操着の下に肌着を着るのは禁止」という指導がされていたことがわかった。市教育委員会は、市立の全114小学校を対象に調査を始めており、各校の指導の現状把握に努めるとしている。
9日の市議会予算審査特別委員会で、山田瑛理議員(自民)から「小学生の保護者から『体操服の下の肌着を禁止されている』という相談があった」と指摘があり、市教委は「市教委としてそうした指導はしていない」と答弁。ただ、一部の学校では、低学年の児童に対し、「汗でぬれた肌着を着ていて風邪をひかないように」という指導をしていたことを確認したという。同委員会以降、市教委には、10件以上の批判の電話やメールが集まっているという。
読売新聞の取材に市教委は「誤解を受けるような指導はしないよう当該校に対応を見直してもらう方向で検討している」と答えた。肌着の替えも持ってくるよう指導していくという。
「ありがとう」死刑囚は最後にほほ笑んだ 教誨師が塀の中の経験から思うこと
「教誨(きょうかい)師」の活動をご存じだろうか。2018年2月に死去した俳優大杉漣さんの最後の主演映画「教誨師」(18年10月公開)を見た人はお分かりだが、宗教を通じて死刑囚や受刑者と向き合い、心情の安定を図り、罪に向き合うよう促す役割を果たす。教誨師が塀の中で何を経験し、何を思うのかを取材した。(共同通信=今村未生)
▽死刑直前のミサ
聖イグナチオ教会協力司祭のスペイン人神父、ハビエル・ガラルダさん(89)は、20年間にわたり、東京拘置所(東京都葛飾区)で教誨師を務める。日本語は堪能で、これまでに6人の死刑囚と向き合ってきた。
東京拘置所の敷地内を歩くガラルダさん=3月15日午前
その中で忘れられない記憶は、約10年前、刑執行を直後に控えた死刑囚にミサを執り行ったときのことだと、顔を時折しかめながら振り返った。いつか執行の日が来ると分かっていても、対話を重ねた人物が今まさに死ぬという現実は「ショックだった」と言う。
その死刑囚は驚くほど落ち着いていた。ガラルダさんが「(刑確定から執行まで)早かったですね」と声を掛けると、ほほ笑んだ。最後に「ありがとうございました。悪いことをした。申し訳ない。許してほしい」と話し、顔に布をかぶせられ、刑場へ連れて行かれた。約30分後、遺体と対面し、拘置所幹部らと一緒に献花した。
「旅立つときの心情安定のため」(法務省幹部)との理由で、死刑囚は希望すれば執行直前も教誨を受けられる。ガラルダさんが長年の経験の中でも担当したのはこの1回だけだ。この後も、執行前日に拘置所から来られるかどうかを確認する電話が入ったことがあるが、予定があり断った。執行とは打ち明けられていなかった。別の教誨師に声が掛かったそうだが、ガラルダさんは「すごく残念だった。(執行された)彼は寂しかったでしょう」と話し、悲しい顔を見せた。
一方でガラルダさんは、拘置所の職員にも温かいまなざしを向ける。「さま ざまな場面で、死刑囚は職員にとても大切にされていると感じる」。対話の場と なる教誨室はいつも、職員によって花が飾られているという。
▽人間として成長
ガラルダさんは1958年、宣教師として来日。両親が明治時代、新婚旅行で訪れた日本に縁を感じていた。スペインで出所者の支援などに取り組んだ兄に倣って、教誨師の仕事を引き受けた。
東京拘置所には2000年から月1回、足を運ぶ。死刑囚と対面するのは6畳ほどのキリスト教専用の教誨室。時間は1人30分。刑務官が立ち会うものの、面会室のように死刑囚との間を仕切るアクリル板はない。
ガラルダさんが、これまでに受け持った死刑囚との対話の一端を明かした。一人は哲学が好きで「本を読んで感動しても、人と話せないことがつらい」と話す。別の一人は自身を灯台に例え「私の歩んだ道を歩まないよう示すことが、私の生きる道だ」と語る。
取材に応じるガラルダさん=2020年9月
ガラルダさんは「彼らは人間として成長している」と感じている。「死刑囚には考える時間があり、『深いところの自分』と仲良く話すからだ」。ガラルダさんはこれを「充実した沈黙」と表現する。ただ、「浅いところの自分」としか話せない死刑囚は罪と向き合えず、境遇に不満を述べるのだそうだ。
「沈黙」の程度にも注意が必要と考えている。家族と疎遠で面会者がいない死刑囚も多い。このため「アウトプットの機会がなく、内にこもり、自己弁護と憎しみを生んでしまうことがある」。高齢で膝も悪いガラルダさんが通い続けるのは、貴重な会話の機会を奪わないようにするためだ。
▽まずは議論を
死刑制度には賛成できない。「正義の名の下に、改心した人の命を奪う必要はあるのか。政府がリーダーシップを取って、まずは議論するべきだ」。一方で「反対派の一部は、執行の暴力性をセンセーショナルに強調しすぎている」と感じており、「死刑という『報復』によって被害者遺族が本当に救われるのかという視点で考えてみたらどうか」と提案する。
× × ×
全国教誨師連盟の資料によると、教誨は明治の初めに真宗大谷派の僧侶が受刑者に説教を行ったことが始まりとされる。1908(明治41)年に監獄法が施行され、法律に基づき実施されるようになった。
監獄法に代わる現在の刑事収容施設法は「施設の長は、収容者が宗教上の教誨を受けることができる機会を設けるよう努めなければいけない」と規定しており、収容者は希望すれば教誨を受けられる。信教の自由があるため義務ではない。
現在約1800人が全国各地の刑務所や拘置所など矯正施設にボランティアとして通う。ガラルダさんはキリスト教の神父だが、仏教や神道をはじめさまざまな宗教の教誨師がいる。
× × ×
2003年から府中刑務所に通う田沢衛さん(49)と、東京拘置所で08年から女性受刑者を担当する三浦聖令さん(50)にもそれぞれインタビューを行い、これまでの経験を通して感じた思いを語ってもらった。
▽田沢衛さん
私の宗派である浄土真宗本願寺派は古くから教誨活動に携わってきた。私自身も受刑者がどういう悩みを持っているか興味があり、教誨を引き受けた。府中刑務所で実際に彼らと触れ合ってみて、問題を抱えている人が多いと感じる。
取材に応じる田沢さん=2020年9月
受刑者から、被害者のため、死に目に会えなかった自身の肉親のため、お経を上げてほしいと頼まれることがある。涙を流す人もいる。心に響くものがあるから涙が出るので、内面をもっと豊かにすれば、もう二度と刑務所には戻って来ないと思う。
教誨師になり、自分自身にも変化があった。以前は、受刑者に偏見もあったが、複雑な事情を持つ人もいると知った。ただ、事情があっても、自分の都合で人に迷惑を掛けたり、苦しませたりしてはならない。それを自覚してもらうことが教誨師の役割だと思う。被害者や遺族、自分の家族の思いを理解してほしい。
教誨師が向き合うのは受刑者だ。被害者や遺族の悲しみに直接寄り添うわけではない。ただ、仏教ではすべてが縁でつながっていると考える。受刑者に罪の意識を持ってもらい、間接的にでも、被害者や遺族の苦しみを癒やすことができればと考えている。
▽三浦聖令さん
小学校の教員を務めた後、実家の寺を継いだ。僧侶になってから、心理学を勉強したくて大学に入学。授業で罪を犯した少年の絵を見て、ショックを受けた。家族の中で居場所がなく、自身を透明人間として描いていた。この子たちを社会が救わないといけないと思った。
取材に応じる三浦さん=2020年9月
東京拘置所で女性受刑者の集合教誨を月1回、行っている。受刑者自身が暴力や性被害を受けていることが多い。薬物依存や窃盗癖がある人については、正しい知識や治療が必要とも感じる。社会復帰後に困った際の対処方法を学んでほしい。
教誨は、もともと彼女たちが持つ、きれいで柔らかな心に気付かせる活動だと考えている。私も彼女たちに話をすることで、一緒に成長させてもらっている。
自分自身の話をすることもある。4年前、脳に腫瘍が見つかった。良性だったが、教誨師を続けられないかもしれないと思った。人生何が起こるか分からない。生かされているありがたさを感じた経験を伝えている。
彼女たちは、家族や子どもともう一度向き合いたいと強く思っている。誰かの手を借りてもいいんだよ、と伝えたい。出所後の彼女たちを許容する社会であってほしい。
閣僚に出す「お茶が薄い、段取り悪い」同僚の右腕つかんで室外へ…軽傷負わす
閣議で閣僚らに出すお茶の濃さなどを巡り、トラブルになった同僚に暴行して軽傷を負わせたとして、傷害罪に問われた内閣官房職員の男の被告(42)(起訴休職中)に対し、東京地裁(鈴木巧裁判官)は16日、求刑通り罰金30万円の判決を言い渡した。
判決によると、被告は2019年7月29日、東京・永田町の首相官邸4階の給湯室で、閣議の開始前にお茶を出した同僚の男性に「お茶が薄い。段取りが悪い」などと注意した。その際、同僚に素っ気ない態度を取られたと感じ、右腕をつかんで室外に押し出すなどして全治2週間の軽傷を負わせた。
被告側は公判で「暴行はしていない」などと無罪を主張したが、判決は、被告自身が上司に暴行を認める説明をしていたことを踏まえ、暴行はあったと認定した。
【独自】宣言は21日解除へ、閣僚「効果薄れた…仕切り直しだ」
政府は、新型コロナウイルス対策として首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言について、期限の21日で解除する方針を固めた。18日に専門家の意見を聞いた上で、政府対策本部で解除を正式決定する運びだ。実現すれば、宣言は約2か月半で全面解除にこぎつけることになる。
複数の政府関係者が16日、明らかにした。菅首相は17日に田村厚生労働相や西村経済再生相ら関係閣僚と協議し、全面解除の考えを確認する見通しだ。翌18日、専門家でつくる基本的対処方針等諮問委員会に解除の方向を示す。
1都3県の感染状況を示す指標は、解除に向けた基準を満たしており、政府内では解除論が大勢を占める。ただ、新規感染者数の下げ止まりが感染再拡大への懸念材料となっている。閣僚の一人は16日、「宣言の効果が薄れている。解除で一度、仕切り直さないといけない」と述べた。
政府はこれまで、予定通り21日で解除できるかどうかを慎重に見極めていた。首相は16日、東京都内で記者団に「病床使用率など客観的な数字を参考にしながら、専門家の意見を聞く中で判断したい。もうしばらく時間をかけたい」と語った。
政府は宣言解除に合わせ、感染再拡大の防止策として〈1〉ワクチン接種の推進〈2〉変異したウイルス対策の強化〈3〉監視のための検査拡充〈4〉医療提供体制の充実――を打ち出す予定だ。
【独自】尖閣奪還、上陸を想定…中国けん制へ日米「共同演習」で一致
岸防衛相は16日、オースティン米国防長官と防衛省で会談し、沖縄県の尖閣諸島の有事に備え、自衛隊と米軍による共同演習を実施することで一致した。日本側は陸海空の自衛隊、米側は海兵隊と陸海空軍が参加する予定だ。尖閣諸島が侵略された場合の奪還や、上陸を想定した役割分担などを確認する。領海侵入を繰り返す中国をけん制する狙いがある。岸氏は2プラス2後の共同記者会見で「米軍と自衛隊が共に行動する姿を示すことが抑止力の観点から重要だ」と語った。
小池百合子都知事、新型コロナ感染者「どこかでポーンと跳ね上がることを懸念」
東京都の小池百合子知事(68)は16日夕、都庁で記者団の取材に応じ、21日を期限に首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言に関して、「今さまざまな分析をしております」と述べ、解除や再々延長については言及しなかった。
小池氏は「いずれにしてもこの状況で残念ながら下げ止まっている。そして、もう経験しているが、どこかで(新規感染者数が)ポーンと跳ね上がることを懸念しております」との現状認識を示し、「そうならないように、都としてPCR検査や変異株の分析、医療提供体制の確保を徹底して強化できるように進めている」と語った。
宣言解除を巡っては、神奈川県の黒岩祐治知事が15日に、「解除の方向が、いいのではないか」との認識を示した一方で、埼玉県の大野元裕知事は、「解除の要請を行う段階にはない」と言及。千葉県の森田健作知事は16日に、「国が判断することだ」と指摘した。首都圏首長の足並みが乱れる中、小池氏は態度を明確にしていない。
東京都はこの日、新型コロナウイルスの感染者が新たに300人確認されたと発表した。先週火曜日(9日)の290人を上回り、8日連続で前週の同じ曜日の感染者数を上回った。感染者数の直近7日間平均は289人で、前週(261・7人)の110・4%となり増加に転じた。
元SKE・山田樹奈容疑者 投資詐欺で逮捕、助言名目で50万円だまし取った疑い
為替相場の変動を予想して投資する金融商品「バイナリーオプション」の助言名目で金をだまし取ったとして、愛知県警は16日、詐欺や特定商取引法違反(不実告知)容疑などで、SKE48の元メンバーで無職の山田樹奈容疑者(22)=名古屋市中区=を逮捕した。ほかに自営業車館宙生容疑者(24)=同=ら男女3人を逮捕した。山田容疑者は詐欺容疑について否認している。
4人の逮捕容疑は昨年1月、バイナリーオプションで高額な利益を得る方法があるように装い、助言名目で愛知県田原市の男性会社員=当時(23)=から現金50万円をだまし取り、契約書を交付しなかった疑い。
県警は19年8月~20年3月、100人以上から約5800万円を詐取した疑いがあるとみて全容解明を急ぐ。
車館容疑者が指示役だったとみられる。山田容疑者は出会い系アプリなどで勧誘する役割で、偽名を使い、SKEのメンバーだったことは伏せていた。
山田容疑者は13年に研究生として劇場公演デビューし、15年にSKE48の正規メンバーに昇格。選抜総選挙には13~18年と6回参加したが、いずれも圏外だった。おバカキャラで知られ、19年1月にグループを卒業した。
17年には愛知県警中署の一日警官として適切な110番の利用を呼びかけていた。
生活保護申請者に不適切対応、横浜市の非情すぎる発言 “録音テープ”の中身を公開
「生活保護の申請をしたい」横浜市の神奈川区福祉事務所を訪れたひとりの女性が申し入れた。すると面接担当者は誤った条件を提示し、本来は有効のはずの申請書を受け取らなかった。市は対応の不適切を認め、謝罪会見をすることになったが、なぜ、このようなことが起こるのだろうか。今回、福祉事務所に抗議した、生活困窮者の支援活動を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏が、その全容を語る。
仕事と住まいを失った女性Aさんの所持金は9万円でした。数日後には携帯代金や各種支払い(約2万円)が引き落とされる予定となっています。先行きが不安だったAさんは、節約をしようと考え公園で過ごしていました。
そして翌日の2月22日、Aさんは横浜市神奈川区の福祉事務所を訪ね、アパートで生活できるよう生活保護の申請をしたいと申し出ました。
ところが、対応した福祉事務所の職員は、生活保護の申請を希望するAさんを退け、記録に「申請の意思なし」と記載したのです。Aさんは福祉事務所を訪れる前に、困窮者支援団体や弁護士にも相談しており、インターネットからダウンロードした生活保護申請書を持参していました。また、支援者たちの助言に基づき、職員とのやり取りの一部始終を録音していたため、今回の悪質な追い返し(水際作戦)が明るみに出ることになったのです。
Aさんからの連絡を受けた私たち『つくろい東京ファンド』は、協力する5団体と横浜市市議とともに、神奈川区に対して要望書を提出し、Aさんに対する謝罪と今後の対応改善を求め記者会見を行いました。
では、神奈川区の対応の何が問題だったか。ツッコミどころが満載すぎてひと言ではとても説明できないため、また、生活保護の申請希望者を追い返す行為は、福祉事務所による違法行為であることを広く知ってもらうため、録音していたテープを文字にして解説したいと思います(なお、Aさんのプライバシーに関する発言に関しては伏せてあります)。
◆ ◆ ◆
相談係:受付表に「お住まいなし」って書いてあるんですけど? 状況教えてもらってもいいですか?
Aさん: 今現在の状況は仕事がなくて、来月までにはお給料入る予定なんですけど。今はお仕事なくて、住所がなくて、カプセル(ホテル)とかネットカフェとか(に泊まっています)。あと、何を言えばいいですか?
相談係:お家のない状態だと、ホームレスの方の施設があって、そちらに入ってもらう。そちらは女性の方なので女性相談になる。
◆ ◆ ◆
注目したいのは、ここで相談係はまるで施設入所が生活保護の前提であるかのような説明をしていますが、これは虚偽の説明にあたります。施設入所の強制は生活保護法30条違反にあたります。本人が嫌がる場合は別の選択肢を考える責任が福祉事務所側にはあります。
◆ ◆ ◆
Aさん:私が家がないからどうしようかとなってなってるときに、埼玉のNPO法人の人に連絡して。
相談係:埼玉? 埼玉にもいたの?
Aさん:埼玉にはいないです。ツイッターで連絡しました。“もし申請して断られたら同行してあげます”って言われて、それは申し訳ないなぁと。(生活保護申請)できないんですか?
相談係:ほかの自治体の場合だと、お家のない人にはお家を見つける費用とかを援助できるよ、っていう情報としてはあると思うんですけど、ここの場合はホームレスの人の場合は、今日明日泊まる方の部屋がすぐあるわけではないので、施設にご案内するという形になるんだけど。
◆ ◆ ◆
この相談係の説明には、大変、驚きました。
相談係はまるで、アパートの初期費用を生活保護で支給することを都市伝説か、風の噂のごとく話していますが、真っ赤なウソです。そして、神奈川区では生活保護の申請が施設入所前提だとここでも虚偽の説明を繰り返しています。
◆ ◆ ◆
Aさん:聞いたところによれば、家がなくても保護申請はできますってNPO法人の方に言われたんですけど、それは違うんですか?
相談係:保護申請自体はできるんだけど、(以下音声不明瞭)
Aさん: じゃあ、申請ができるなら申請したいんですけど……
相談係:今日はどこから来たの?
Aさん:今日は……昨日は外で寝ました。昨日はあったかかったので公園。
◆ ◆ ◆
「申請したい」と意思を示した途端に話題そらしたのです。間髪いれぬこの華麗な切り返しを生の音源で聞いていると、福祉事務所は普段からその技術を磨いているようにすら思えてしまいます。Aさんはここまでに控えめに、あるいは直接的に三度の生活保護申請の意思を示していますが、申請には至りません。
このあと、Aさんの所持金が9万円あること、3月に5万円のバイト代が入る予定であること、でも今は仕事がないこと、支援団体にも生活保護を利用するよう勧められたことを話し、Aさんはどうにか生活保護の申請をしたいと相談係に訴えました。
それを聞いたあと、相談係は一時退席し、事務所の奥へ消えたと言います。そして誰かと相談して戻って来た相談係は、スラスラとよどみなく以下の説明をしはじめます。
◆ ◆ ◆
相談係:お待たせいたしました。今、現時点で問題になっているのは「お家」なんですよ。お家がないのだから、申し込みしたとしてもお家がない状態のまんまだと、住むところがない状態だから、却下になる可能性が出てきちゃうんですよ。 あと、生活保護を申請するときに、持っていていいお金の上限というのがあって、申込時点で持っているお金が上限を超えてしまっている場合は、ここの収入の方に充当されていっちゃうんですよ。そうすると手続きとしてもあまりお得でないというか、損しちゃうので、今の金額からいうと、超えちゃってるから、手続きしたとしても却下になる可能性がある。
◆ ◆ ◆
解説します。
相談係はAさんの所持金が多すぎるから申請をしても却下になる可能性があるとおっしゃっています。確かに、所持金が最低生活費(約13万円)を上回っていれば、生活保護の要否判定で却下になりますが、Aさんの所持金は9万円で最低生活費を下回っています。
生活保護費(最低生活費)は単身世帯の場合、7万~8万円の生活扶助と、横浜市では上限5万2000円の住宅扶助で成り立っており、この相談係は「あなたは住まいがないのだから」と住宅扶助分を計算に入れなかった模様。しかしこれは誤りです。住まいのない状態で申請したとしても、申請後にはホテル等に一旦は宿泊することとなるため、最低生活費の算出には住宅扶助費(宿泊費の実費)も参入されなくてはならないのです。(3月8日、厚生労働省社会・援護局保護課保護係に確認済み)
Aさん:質問いいですか? あ、質問いいですか?
相談係:はい
Aさん:んーと、一応そのごめんなさい、NPO法人の人は、住所がなくても住民票がどっかにあっても、そこにいる場所で申請はできるって言われたんです。
相談係:あ、そうそうそう。
Aさん:却下になる可能性があるということは、生活費を超えるってことですか?
相談係:今住むところがないってことは、住む家賃がかかってないんだから。
Aさん:でも、今日から9万円引かれてるわけで……ここの最低生活費っていくらですか?
相談係:生活費だけでいうと、7万5000円。もしできるんだったら、敷金礼金がかからない物件を見つけて、それが例えば神奈川なのか東京なのかわからないけど、その住所のあるところで手続きをするのがいいのかなと。もしアパートとか見つけられないというのなら、宿泊所というところ? この辺だと中区の寿町というところにたくさんあるんだけど、そこに住民票を移して手続きをすると。それだと住んでいるところがあるから手続きできます。
◆ ◆ ◆
この会話に至っては、相談係は既に自己矛盾を起こしています。
「住所がなくても、住民票がなくても今いる場所で申請できると聞いている」と言うAさんに同意しておきながら、文字どおり、舌の根も乾かぬうちに簡易宿泊所等に住民票設定しないと生活保護の申請ができないと説明しています。その後、困り果てたAさんの声がテープには残されていて胸が痛みました。
◆ ◆ ◆
Aさん:じゃあ、今は申請はできなくて却下されるというわけですか?
相談係:申請自体はできるけれど、したとしてもメリットあんまりなくなっちゃうから。家を見つけて来た状態でしたほうが確実なんじゃないかなと。
Aさん:う―――ん。
相談係:敷金とか礼金とか初期費用がかかるところが多いんだけど、それがかからないところをさがして。
Aさん:私、保証人を立てられないので、いろいろ探してたんですけど、まぁ、9万円じゃあ難しかったんです。しかも、なくなった段階でお金が引かれてしまったら7万円もないと思うんですけど、どうしようかなぁ……。うううん、うううううん……。困るなぁ……でも、申請はできるんですよね。
相談係:申請はしたとしても、住むところがない状態だと(音声不明瞭)
◆ ◆ ◆
怒りしか湧きません。みなさんもちょっと考えてみてください。家がなく、手持ちのお金が9万円で、月末には2万円引き落とされることがわかっている。現在無職。頼る人は誰もいない。生活保護も拒まれ続けていて利用できていない。
このような状況の人に部屋を貸してくれる不動産屋が、大家さんが、いますか?
相談係は盛んに敷金礼金がかからない部屋と言っていますが、一般的にゼロゼロ物件と呼ばれるその手のアパートは、のちのちトラブルになりがち。だから福祉事務所も生活保護利用者のアパート転宅時には、どこの自治体も「ゼロゼロ物件は避けてね」と常々言っています。
これほどまでにゼロゼロ物件を熱烈に推してくる自治体も珍しい。少なくともこれから保護し、生活再建を助けようとする立場の人間が言う言葉ではありません。
Aさん:その資料あります? 横浜市はホームレスだと申請できません、みたいな。
相談係:ううん、申請はできるんだけど、申請しても生活保護を受けれるか受けれないかは別問題ですよと。
Aさん:ううううううん、でも家がないから……。申請の紙ってもらっていいんですか? 一応、コピーして申請書を書いて持って来たんですけど。
相談係:申請の紙は、お申込みのときにおわたしするので、前もっておわたしするということはしてないです。
Aさん:ううううん。どうしようっかなぁ。
◆ ◆ ◆
Aさんはとても聡明な方で、相談係の説明の裏付けとなるものを入手しようと、混乱するなかで頑張ります。不安と失望のなかで弱ってきたAさん、その一方で、相談係の方は迷いも消えたような違法行為を繰り返します。
ここでの発言の問題点は、申請用紙を持参したにも関わらず、それを受け取らなかったこと。とても悪質な水際作戦です。申請は、その意思が確認できるものであればフォーマットは何でもよく、それこそ広告の裏に「生活保護を申請します。●月●日 神奈川花子」と書いたものでも有効なんです。
◆ ◆ ◆
相談係:アパートとか見つけられないというんだったら、簡易宿泊所をご案内しますけど、どこに泊まるかは自分で探してもらわないと。
Aさん:ちょっと私も頭がアレなんで、もう一回、弁護士とNPOの人に話してみます。
相談係:勘違いしてほしくないのは、申請自体を受けないってことじゃないよってことです。
Aさん:でも、申請のこの紙出しても受け取ってくれないんですよね。
相談係:申請自体はできるけど、だからといって生活保護になるかどうかは別だよって。
Aさん:でもなかなかこんな感じで、私じゃあ話にならないのでこの紙(しおり)もらっていきます。ありがとうございます。
◆ ◆ ◆
相談係は、Aさんに弁護士と支援団体に相談すると言われ、慌てて「申請自体は受けないってことではない」と言っています。しかしこれまでのやり取りで、何度も申請を希望しているAさんに対し、この相談係は、何度退けてきたと思っているんでしょうか。
混乱の極みのなかで、Aさんが持参した申請用紙を差し出そうとしたのに受け取らない。鉄壁の守りです。市民の命と生活を守るはずの福祉事務所が、助けを求めてきた人を追い払う。そのために虚偽の説明を重ねに重ねる。そんな行為は一体なにを守っていることになるのだろう。
Aさんのやり取りに対し、疑問に思った私たちは福祉事務所に申し入れをし記者会見を行いました。すると同じ日の夕方、横浜市も記者会見を開き「対応が不適切だった」と認め謝罪をしました。
そこで配られた『横浜市記者発表資料 神奈川区における生活保護申請対応について』という資料があります。これを見たとき、本当に反省している? と思ったのが正直な感想です。
資料の中で横浜市は神奈川区での対応を「重要な問題と認識している」と書いておきながら、その経緯ではこう書いてあります。
《区からは、当事者の生活状況を聞き取りながら生活保護制度について説明しました。当事者より「再度関係者と相談する」と申し出があり、相談を終了しました。》
前述した、区とAさんのやり取りの“会話記録”を読んで、あのやり取りのなかで生活保護制度の説明が十分になされていたと思われるでしょうか? また、そのほとんどが虚偽であったことを考えれば、「制度の説明」なんてよく言えたものだと、再び怒りが湧いてきました。
そして、区側が申請の受け付けをしなかったのが、「再度関係者と相談する」と言って席を立ったAさんの意思であったかのような書かれ方をされているのも心外です。
また、神奈川区の福祉事務所内には、「録音禁止」という貼り紙がされていることがAさんの証言でわかりました。市議が即座に動き、貼り紙撤去の運びとなりました。
私自身、これまでの活動のなかで「録音禁止」を別の自治体で目にしたことがありますが、理由を聞けば「ほかの相談者のプライバシー保護のため」などと言うのでしょうが、それは個室の面談室にも貼ってあります。そういう自治体は、録音されたら困る事情を抱えていると考えて然るべきです。市民が公務員の言動を録音してはいけないという法律などありません。
横浜市や川崎市は、福祉事務所に専門職(社会福祉士、精神保健福祉士)を採用することで知られています。この相談係も新米ではなく、福祉事務所での勤務歴8年の専門職採用でした。
職員が一流ぞろいのはずの福祉事務所で、一体どうしてこんなことが起きるのでしょう。
ひとつには、神奈川県に住まいをなくした方を対象にした一時滞在施設が少ないことがあげられます。個室の施設が少なく、コロナ前なら8人部屋(コロナ中は4人)の施設や、個室ならば寿町にある簡易宿泊所と選択肢が限られています。
寿町は多様な人々を内包する懐の深い街ではありますが、そういうところに馴染めない人たちも増えてきています。それは、障害があったり、集団生活が苦手な人や若い世代の人たちや女性です。そういう人たちの一時待機場所がないから追い返す、ではなく、短期間だけビジネスホテルやネットカフェなどを駆使しながら、その間にアパートを探してもらうなどの方策をとるほうが、相談者も安心ですし、職員も志を保ちつつ誇りを持って仕事ができるのではないでしょうか。
今回の“事件”は、対応した相談係ひとりの落ち度では決してなく、組織的なものであったと私たちは確信しています。似たようなケースがいくつも報告されていますし、状況から考えても組織的と考えるほうが自然だからです。今回の失敗を言葉だけの謝罪で終わらせるのではなく、名実ともに理想的な福祉運用をする自治体に変わっていくことを期待しています。
「私のような目にあった人が、たくさんいるんじゃないかと心配になった」
窮地にあっても他者に思いを馳せたAさんの言葉を最後にしたためて。
小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を出版。