クルド難民の過酷な生活。仕事中に大ケガも労災を渋られ無収入に

今や283万人の在留外国人が暮らす日本。コロナ禍で多くの人々が困窮するなか、外国人が置かれた環境は、さらに過酷なものだった。仕事もできず、帰国もできない…そんな彼らの極貧生活に迫る。今回はクルド難民の男性を取材した。

◆迫害を逃れて来日するも、待っていたのは過酷な労働
アラン・ワッカスさん(仮名・48歳・難民申請中)

「トルコでは飲食店を経営していて、スタッフを数人抱えていました。どうしてこうなったのか……」

そう言って肩を落とすのは、クルド難民のアラン・ワッカスさん(仮名・48歳)だ。トルコでの比較的裕福な暮らしから一転、日本での生活苦を余儀なくされている。

「母国を持たないクルド民族は、トルコ・イラク・イラン・シリアなどにまたがって生活しています。ですが、少数派民族ということもあり、現在はトルコなどで激しい弾圧を受けています」

ワッカスさん一家も、石もて追われるように来日した。

「現在、日本には2000人超のクルド人がいます。特に多いのは埼玉県蕨市や川口市。私の親戚や知り合いも’90年代から日本に住んでいるので、仕事を紹介してもらえると思ったんです。それで就いた仕事が解体業でした。クルド人は頑丈ですが、40代の身にはとてもキツい仕事です。しかし、知人伝手ではこれ以外に選択肢はありませんでした」

給料は一日1万5000円。月20日ほどシフトに入るので、月収は手取りで25万円程度になる。

「アパートの家賃6万5000円に加え、妻と子供3人分の学費や生活費を払うと、手元にはほとんど残りません。特に去年からのコロナ禍で仕事も給料も減りました」

◆仕事中に右手を骨折、会社は労災にせず…

そして、昨年12月、さらなる悲劇がワッカスさんを襲った。

「廃棄物を処理している際に、ユンボの操作ミスで右手を骨折してしまったんです。全治3か月の大ケガでしたが、会社は労災扱いにはしてくれなかった。『日本語もろくに話せないお前を雇っているんだ。それだけでも感謝しろ』と、社長に冷たく言われました」

働くこともできず、困窮したワッカスさんは支援団体に相談。事故から数週間後、ようやく労災認定が下りた。

「1月下旬からは通常勤務時の8割程度を受給できる予定ですが、現在は無収入。知人からの借金や、無利子のコロナ特別貸付金でなんとか乗り切っています。ただ、ケガが治っても前の職場に復職するのは気が重い。もともと、お金が目的で日本に来たわけでもないですから……。政情が落ち着いたら、一刻も早くトルコに帰りたいです」

ワッカスさん含め、親戚や知人の多くは解体業などの過酷な仕事に従事。まもなく高校を卒業する息子も、同様の職種に就く予定という。

生活のメドも立たないなか、ワッカスさんは母国の平和に一縷の望みを懸けている。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[緊急ルポ]在留外国人の極貧生活]―

抗体保有率、東京0.91%=新型コロナ、前回の9倍―厚労省

厚生労働省は5日、新型コロナウイルスへの感染歴を調べる抗体検査を行った結果、東京都での陽性率(保有率)が0.91%だったと発表した。大阪府は0.58%、愛知県0.54%などとなった。東京は昨年6月実施時の約9倍に増加した。
田村憲久厚労相は閣議後の記者会見で、「自治体でばらつきがあるが、いずれにしても1%足らずだ」と指摘。国民の多くが感染して抗体を持つ「集団免疫」が成立する状態ではなく、引き続き感染対策が必要とした。
抗体検査は2回目で、厚労省は昨年12月14~25日、東京など5都府県で同意を得た住民を対象に実施。東京3399人、大阪2746人、愛知2960人、宮城2860人、福岡3078人が参加した。
その結果、各地の保有率は、東京0.91%(前回0.10%)、大阪0.58%(同0.17%)、宮城0.14%(同0.03%)だった。新たに対象に加えた愛知は0.54%、福岡は0.19%。
人間の体内では、感染症にかかった後、同じウイルスが再び入ってきた際に体を守る特殊なタンパク質(抗体)が作られる。抗体検査はこのタンパク質の有無などを基に、体内に免疫があるかを調べる。新型コロナは感染者の約8割が軽症か無症状なため、抗体検査による感染状況の把握が有効とされる。
厚労省は保有率を正確に判定するため、前回検査と同様に、2社の試薬の両方で確認された人を抗体保有者と定義した。
[時事通信社]

玉川徹氏、森会長の進退は「国民が引導を渡さないとダメ。辞めてください」

5日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)で、女性蔑視と受け取られる発言が波紋を広げている東京五輪組織委員会の森喜朗会長(83)が4日、都内で会見を開いたことを報じた。
森氏は、会見で発言について書面を見ながら「五輪パラリンピックの精神に反する不適切な表現だったと認識している。まず深く反省している。そして発言した件について撤回したい。不愉快な思いをされた皆様にはお詫びを申し上げたい」と謝罪した。
会長職の辞任については「辞任するって考えはありません」と断言し、「一生懸命、献身的にお手伝いして7年間やってきた。自分からどうするってことはない。みなさんが邪魔だとおっしゃるなら、おっしゃる通り老害を掃いてもらえたらいい」と話した。一方で、記者に向かって「面白おかしくしたいから聞いているんだろう?」といら立つ場面もあった。
コメンテーターで同局の玉川徹氏は、今回の会見に「もう発言がどうだったかっていう過去を問題にする段階ではなくて、今後が問われるんだと思います。つまり森会長をどうするかっていうことです。謝罪したから、もういいんじゃないかっていうふうなことにはできないと思います。日本のためにならない」と述べた。
続けて「これは、五輪っていう範疇の問題じゃなくて、日本人と性差別の問題になっています、世界的に。日本は性差別とどう向き合うのかを問われている段階だと思います」などと指摘した。
さらに森会長の進退について「本来であればしかるべき立場の人、総理大臣とか東京都知事とか、組織の内部の人、自浄作用として森さんに引導を渡さないといけないと思います。でもどうも引導渡せないんだな、昨日から見ていると。だとしたら国民が引導を渡さないとダメです」とした上で「私も国民の1人として言います。もう辞めてください」と要求した。
続けて「辞めなかったら、謝罪したからいいよって日本全体が認めたことになっちゃうんです。それはよくない」と繰り返していた。

75歳医療費、2割負担へ 年収200万円以上対象

政府は5日、75歳以上の医療費窓口負担について、年金を含む年収200万円以上の人を対象に1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。実施時期は2022年度後半とし、法成立後に政令で定める。引き上げ対象は約370万人。高齢者に手厚い給付の仕組みを見直し、現役世代の負担軽減を図る狙い。
現在、75歳以上の人の医療費窓口負担は原則1割。単身で約383万円以上と現役世代並みの収入がある人は3割を負担している。これに2割負担の枠を新設する。単身だと年収200万円以上、夫婦世帯では合計年収320万円以上の人を対象にする。

コロナ禍で孤立感深める妊産婦 里帰りや立ち会い出産かなわず 長野県など相談支援

新型コロナウイルスの感染拡大で長野県外との往来自粛や「3密」回避などが求められ、妊産婦が県外にある実家での里帰り出産を諦めたり、夫の立ち会い出産がかなわなかったり、県外に住む家族からのサポートを受けられなかったりして、孤立感を深めている。新型コロナの収束が見えない中、妊産婦への支援が欠かせない。【坂根真理】
「妊婦健診に行っても感染しないか不安で、とても負担だった」「外出が怖くてできない。ずっと家で一人で子育てをして、授乳や育児の不安で精神的に落ち込んだ」「県外の実家に里帰りができず、育児への不安が強い」――。
県内最多の人口を誇る長野市の年間出生数は約2700人。生後3カ月までの乳児がいる家庭への全戸訪問や、産後ケアなどで関わった保健師らから、新型コロナの影響を受けて孤独や不安を抱える母親の声が、市に数多く寄せられている。
新型コロナが海外でも猛威を振るい、国際線が欠航となったことから、外国籍の母親が母国で出産できなくなり、異国の日本で孤独な出産を余儀なくされたケースもあった。
感染防止のため立ち会い出産や面会を制限した病院も少なくなく、「切迫早産で早めに入院し、入院が長期化しているのに、旦那さんにすら面会できず、号泣した妊婦さんもいた」と市保健所の担当者は明かす。両親学級や母親学級の中止や回数減で、育児の不安が増した家庭もあった。
同市によると、昨年4~10月に新生児訪問を希望しなかった母親は44人(2・9%)で、昨年同期(1・1%)から1・8ポイント増えた。うち、新型コロナの感染を心配して断ったのは8人だった。
担当者は「(訪問を拒否した母子は)4カ月児健診には来てくれているので(赤ちゃんの状況の)把握はできている。コロナ禍の母親たちが置かれている現状には、想像以上のつらさや大変さがあり、通常以上に母親に寄り添った相談支援に努めた」と振り返る。
県も支援に乗り出した。昨年8月、「新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業」を打ち出し、新型コロナ対策をまとめたリーフレットの作成や、不安を抱える妊産婦が出産前にPCR検査を受けられるようにしたことに加え、助産師や保健師など専門職による相談支援を充実させた。母親が孤立を深めれば、産後うつの深刻化や、子どもへの虐待リスクが高まる恐れがあるためだ。
また、県助産師会(松本市)は無料で電話相談(火、木曜午前10時~午後4時、0263・31・0015)を受け付けている。オンラインの集団相談会も月1回のペースで開催しており、次回は2月10日の予定。今後もオンラインの相談会は継続していくという。
同会の担当者は「なかなか外出ができず、家で鬱々としているようであれば、誰かとお話しすることで安心感が生まれると思う。具体的な相談がなくても『誰かと話したい』時に気軽に利用してほしい」と呼び掛けている。詳細は同会のサイト(https://nagano-midwife.com/)。

「news23」星浩氏、森会長の進退で「国民の中で辞めさせられるのは菅さんだけ」

4日放送のTBS系「news23」(月~木曜・午後11時、金曜・午後11時半)で、女性蔑視と受け取られる発言が波紋を広げている東京五輪組織委員会の森喜朗会長(83)がこの日、都内で会見を開いたことを報じた。
森氏は、発言について書面を見ながら「五輪パラリンピックの精神に反する不適切な表現だったと認識している。まず深く反省している。そして発言した件について撤回したい。不愉快な思いをされた皆様にはお詫びを申し上げたい」と謝罪した。
会長職の辞任については「辞任するって考えはありません」と断言し、「一生懸命、献身的にお手伝いして7年間やってきた。自分からどうするってことはない。みなさんが邪魔だとおっしゃるなら、おっしゃる通り老害を掃いてもらえたらいい」と話した。一方で、記者に向かって「面白おかしくしたいから聞いているんだろう?」といら立つ場面もあった。
番組では、国会でこの発言を聞かれた菅義偉首相は「あってはならない発言」と述べる一方で進退には言及しなかったことを伝えた。
ジャーナリストの星浩氏は、菅首相の対応を受け「組織委員会は東京都とJOCが設立した団体で森さんをトップに指名したのは、安倍前総理で菅さんもその路線を継承している」と解説し「今、国民の中で森さんを辞めさせられるのは、1人だけ。菅さんだけなんです、事実上。菅さんは、今の全体状況とか五輪どうするとかそういう問題を含めて、森さんが本当に会長にふさわしいかどうかを判断する必要があると思います」と指摘していた。

奈良放火殺人事件の21歳被告、接見で黙秘を示唆 10日から裁判員裁判

奈良県橿原市で2019年11月、アパート火災の焼け跡から桜井市の山岡直樹さん(当時28歳)が遺体で見つかった事件で、殺人と現住建造物等放火などの罪で起訴された元会社員、竹株脩(しゅう)被告(21)の裁判員裁判が10日から始まる。毎日新聞は4日までに計5回、被告と接見。被告は「弁護人は無罪を主張する方針だが、(自身は)やったともやってないとも言うつもりはありません」と黙秘を示唆した。【林みづき、小宅洋介】
竹株被告は接見で、認否や動機に関する質問には答えなかったが、事件後、出頭するまで約3週間に及んだ逃亡生活の一端を語った。新幹線で向かった福岡でネットカフェなどに滞在した後、いったん橿原市の現場に戻り、再び福岡に行ったと証言。捜査関係者によると、竹株被告は19年12月11日夜から12日にかけて夜行バスで福岡から大阪に移動、15日朝、「金がなくなった」と橿原署に1人で出頭した。
起訴状によると、竹株被告は11月24日夜、通行人を無差別に殺害する目的で、桜井市の路上を歩いていた山岡さんの首付近になたをたたきつけて負傷させ、その後、車で橿原市内のアパートの自室に連れ去り、部屋に火を放って山岡さんを窒息死させたとされる。
竹株被告は捜査段階では容疑を認める供述をしていた。地検は竹株被告の刑事責任能力を調べるため、約4カ月間の鑑定留置を経て20年5月15日、起訴に踏み切った。
遺族「せめて被告人は真実を語って」
初公判を前に、山岡さんの父康了(やすのり)さんは「私たちの大切な直樹が無差別に命を奪われてから1年以上がたちました。ようやく裁判が始まります。私たちがどれだけ願っても直樹はもう帰ってきません。せめて被告人が真実を語ることを望みます」とのコメントを発表した。
犯行の動機解明が最大の焦点
なぜ、山岡さんが事件に巻き込まれたのか。裁判での最大の焦点は、検察側が起訴状で「無差別」と指摘した動機の解明だ。被告と被害者との接点は、いまだ明らかになっていない。被告は事前に刃物を購入し、自身の銀行口座から逃亡資金を引き出したとされ、「計画性」の有無も焦点だ。一方、検察が被告を鑑定留置した経緯もあり、法廷では責任能力の有無が争われる可能性もある。裁判所がこうした点をどう認定し、真実を知りたいと願う遺族の思いに応えるのか、注目される。【小宅洋介】
「起訴内容、何とも思わなかった」 竹株被告との主な一問一答
竹株被告と記者の主なやりとりは次の通り。
――事件のことについて思い出したり、考えたりするか
◆うーん、ときどきですね。
――起訴状は読んだのか、起訴内容についてどう思うか
◆はい、一応(読みました)。特に何とも思わなかった。
――起訴内容は認めるか
◆今は答えるつもりはないです。裁判の時には言おうと思っています(1月28日)。やってないって言うつもりがないので。でも、やったって言うつもりもありません(2月4日)。
――黙秘するつもりなのか
◆はい。
――弁護人の方針を聞いているか
◆無罪を主張する方針だと聞きました。
――起訴状にあるように「無差別」だったのか
◆今は答えるつもりはありません。
――「別人として生きたい」「生まれ変わりたい」などと考え、被害者を身代わりに殺害したのではないか
◆いや、それは全然違いますね。
――犯行後、福岡などへ約20日間逃げたのは事実か
◆はい。近鉄で京都に出て、新幹線で博多へ行きました。(福岡では)ぼーっとしてました。2、3週間たって1回、新幹線で奈良に帰ってきました。
――何のために戻ったのか
◆いろいろです。一応、(部屋を)見に来ました。
――その後はどうしたのか
◆福岡に戻りました。たまに散歩に行ったり。1回歩いて佐賀の方まで行きました。(奈良に)2回目に帰ってきたときは、新幹線に乗るお金が無かったので、夜行バスに乗りました。(警察に出頭するまでは)2、3日ぐらい。
――罪の意識や後悔はないか。被害者や遺族への思いは
◆答えるつもりはありません。
――将来どうなりたいか
◆(何もやりたいことは)ないです。

元衆院議長、首相発言に「美しい日本語で」と苦言…「素直におわびを申し上げる」の正解示す

自民党の伊吹文明・元衆院議長は4日の二階派会合で、菅首相が記者会見で「素直におわびを申し上げる」と述べたことについて、「日本語として違和感があった」と指摘した。正しいのは「率直におわび」「心からおわび」だとし、「美しい日本語で話すように官邸スタッフは注意してもらいたい」と苦言を呈した。
首相の発言は、自民党議員3人が東京・銀座のクラブに深夜まで滞在した問題を受け、2日に謝罪した際のもの。

天皇誕生日会見 最大の関心事は陛下の「眞子さま結婚問題」への回答

2月23日、天皇陛下は61才の誕生日を迎えられる。秋篠宮家の長女・眞子さま(29才)にとってもその日は大きな意味を持つことになった。
「誕生日会見に向けて、担当記者たちは宮内庁に質問を提出済み。そのなかには、国民の関心事である眞子さまのご結婚についての質問も入っているそうです」(宮内庁関係者)
昨年11月、眞子さまは、小室圭さん(29才)との結婚についてのお気持ちを文書で公表された。
「そこで眞子さまは、結婚の意思が変わらないことだけでなく、文書の公表を天皇皇后両陛下に報告したこと、そして、両陛下が眞子さまのお気持ちを尊重して静かに見守っておられることへの感謝を綴られました。また昨年12月、宮内庁長官が公の場で小室家側に説明を求めたこともありました。そうした経緯で、それまで秋篠宮家のプライベートなことだった眞子さまのご結婚問題が、いまや皇室全体のこととなったわけです。
誕生日会見では天皇家の長として、陛下は質問に答えざるをえないでしょう。相当に悩ましいはずです。やはり“静かに見守る”などという表現に留めるしかないのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
父・秋篠宮さまは昨年11月、《結婚と婚約は違います》と含みを持たせながらも、《結婚することを認めるということです》と発言された。苦渋の決断を感じさせるが、秋篠宮ご夫妻も娘の結婚は認めざるをえないお立場にあった。
「そもそもご夫妻は、交際を最初から認めていらっしゃった。デートには皇宮警察の警備がいたので親しい仲であることを知らないはずはなく、眞子さまは早い段階で小室さんを秋篠宮邸に招き入れて、紹介もしています。当初からご夫妻公認の交際だったのだから、娘の手前、いまさら“結婚するな”とは言えないでしょう」(皇室関係者)
2017年11月、紀子さまが《小室さんの優しいピアノの音色を聴きながら、私たちは心和むひとときを過ごしました》というエピソードを明かされた通り、ご夫妻も小室さんを認めていらしたのだ。大きな進展はあるのだろうか。
※女性セブン2021年2月18・25日号

上智大は男女別廃止、アメリカは水着審査撤廃……2020年代に「ミスコン」は消えるのか

多くの女性アナウンサーやタレントを輩出してきた上智大学のミスコンテストは、2020年「ソフィアンズコンテスト」へと変貌した。ミス/ミスターコンという性別ごとの開催をやめ、性別統一的なコンテストとすることで、募集要項から性別規定をなくしている。
ソフィアンズコンテスト主催団体は、既存のコンテストが持っていた「女らしさ/男らしさ」という性別二元的なあり方を打ち破り、新たな上智大生らしい魅力を実現できる場にすることを目指すと発表している。
また、この制度改革は、大学が理念として掲げる「ダイバーシティ」(国籍やセクシュアリティなどの個々人の違いを尊重すること)に即したコンテストのあり方を模索した結果であると説明している。
世界で進む「ミスコンの制度改革」
はたして、このような制度改革は性別に関する新しい感性や文化を育むものか、それともミスコン的イベントを存続させるための言い訳でしかないのか。
これは、今後の展開を見ていくことでしか答えられない問題だが、実はこのような「ミスコンの制度改革」は近年、世界の様々なミスコンで活発になされている。そこで、これまでのミスコン批判とそれに応えたミスコンの変化を少し紐解いてみよう。
「ルッキズム」を助長……ミスコン批判の始まり
ミスコンに対する反対運動が始まるのは1960年代末からである。主にルッキズム(外見至上主義)を助長するものとして、ミスコンは批判されてきた。
ルッキズムとは、外見の「良し悪し」によって人を判断し、その人に対する態度を変えることを指す。
とくに社会的・職業的な地位や権力をもたない女性たちはこのような扱いを受けることが多かった。そもそも女性の外見の「良さ」とは純粋な美しさだけでなく、(異性愛者男性にとっての)性的対象としての望ましさも意味してきた。
そのため、外見評価の場は人格を無視し性的対象としてのみ捉えた蔑視発言を伴うことが多く、セクハラも起きやすい。
また、外見の「良さ」の判断基準には、暗黙のうちに人種差別的感情が入り込んでおり、白人の持つ属性を「美しい」とする偏りがあることも指摘されてきた。
ミスコンは、ルッキズムがもたらす女性差別や人種差別を温存するものになっているとして問題視されてきたのだ。
「ミス・アメリカ」は2019年大会から水着審査を撤廃
これらの批判に応答するように、ミスコンそのもののあり方が変わってきている。
アメリカでは1980年代から少しずつ、非ヨーロッパ系アメリカ人や障害をもつ女性などの多様な人々が入賞者として選ばれるようになってきていた。
2019年には世界の5大ミスコンの優勝者はすべて「ブラック」女性となった。ミスコンという場を用いた「多様な美」の提示が目指されていることがわかる。
また、2017年から起こった #MeToo 運動をきっかけに、「ミス・アメリカ」は2019年大会から水着審査を撤廃し、自分にとっての「正装」でのインタビュー審査に変えた(ちなみに「ミス日本」は2020年現在も水着審査を行っている)。女性を性的対象化する要素をミスコンから払拭しようと努めていることがうかがえる。
このように、ミスコンは美と性的魅力をめぐる「社会的な正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」の観点をもって変化している。この改革を通して、批判も多いミスコンの「社会的意義」を確保し、ミスコンを開催することの正当性を獲得しようとしていると分析できるだろう。
性暴力事件で問題化した大学ミスコン
冒頭で挙げた上智大学のミス/ミスターコンの制度改革も、大きくはこのようなミスコンをめぐる世界的な変化の潮流の中に位置づけて理解することができる。
ここ十数年の日本のミスコンを振り返ってみると、大学のミスコン運営団体における性暴力事件で、注目を集めることが多かった。
2003年には早稲田大学公認サークル「スーパーフリー」が数年にわたって大規模で組織的な集団準強姦を行っていたことが明らかとなったが、その年の早稲田大学のミスコンは、この事件をパロディ化し事件の重大さを矮小化するようなイベントを行った。
その結果、大きな社会的非難を浴び、2004年以降のミスコンを中止せざるを得なくなっている(ただし、代替となる「ファッションショー」は2007年から開催されている)。
慶應義塾大学ではミスコンを主催する広告学研究会の学生が、2009年に公然わいせつ容疑で書類送検され、2010年のミスコンが中止。
2016年には同じく広研の学生が集団準強姦事件を起こし、大学から広研への解散命令が出され、その年のミスコンが中止された。
しかし、女性アナウンサーの登竜門ともなっている慶應大学のミスコンは、どちらのケースでも翌年から復活している(このミスコンは賞金及び運営資金を提供する数々の協賛企業があることでも知られている)。
2019年にも、ミスコン出場女性に対する運営団体メンバーからのセクハラがあったと告発されており、問題は絶えない。
これらの事件は、ミスコンと女性への性暴力・女性蔑視が密接に絡みあっていることを改めて明らかにした。
法政大学はミスコンに対して「容認できるものではありません」
大学はミスコンに対する厳しい態度を鮮明にしている。
法政大学は2019年に改めて声明を出し「人格を切り離したところで、都合よく規定された『女性像』に基づき、女性の評価を行う」ミスコンは「容認できるものではありません」と断言し、「本学施設を利用しての」ミス/ミスターコン等のイベント開催は「一切容認されない」と立場を明瞭にした。国際基督教大学(ICU)は2011年からミスコンを全面中止している。
世界的潮流として、批判に応答したミスコンの制度改革が様々に進んでいる。だが、ミスコンそのものが持つルッキズムの助長という問題を解消するのが難しいのも事実だ。社会とミスコンの変貌のなかで、ミスコン賛否の議論は新たな段階を迎えている。
(高橋 幸/文春ムック 文藝春秋オピニオン 2021年の論点100)