違法薬物パーティーの疑い ベトナム人8人逮捕、警視庁

東京都豊島区のカラオケバーで麻酔薬ケタミンなどを所持したとして、警視庁は18日までに、麻薬取締法違反の疑いで無職ブオン・ティ・ホン容疑者(27)=新潟県三条市=らベトナム国籍の男女8人を逮捕した。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の期間中、薬物パーティーを開いていたとみて調べている。
警視庁によると、8人は「私のものではない」などと容疑を否認。17日未明にカラオケバーを摘発した際、ベトナム人約40人がおり、椅子の下の収納スペースに隠されていたケタミン15袋とMDMA61錠を押収した。

大火砕流の遺構整備始まる 雲仙・普賢岳の取材拠点「祈りの場に」

3月中に完成予定
死者・行方不明者43人を出した長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流発生から6月3日で30年。島原市の安中(あんなか)地区町内会連絡協議会(阿南逹也会長)は17日、報道関係者らが犠牲となった同市北上木場町の取材拠点「定点」周辺を災害遺構にする整備工事に着手した。火砕流の爆風で吹き飛ばされた当時の場所に残る毎日新聞の取材車両などを1カ所に集めて展示する。3月中に完成予定。
1991年の大火砕流では、消防団員や報道関係者らが現場から逃げ遅れて犠牲になった。毎日新聞は、火砕流撮影で定点にいた写真部の石津勉記者(当時33歳)ら社員3人が死亡。災害後、現場一帯は立ち入りを禁じる国の砂防指定地となったが、「いのりの日」(6月3日)は一般公開されている。
大火砕流の遺構では2003年、地元有志が消防団員の詰め所だった「北上木場農業研修所」跡に、掘り起こした消防車とパトカー2台を展示した。今回は大火砕流から30年に向け、同協議会が住民や遺族らの理解を得ながら調整を進めてきた。
17日は重機を搬入する本格工事を前に、町内会長や住民ら約70人が定点の周辺約3000平方メートルで除草作業などに従事した。阿南会長は「災害を後世に伝えなくてはならないという思いで多くの人が参加してくれた。未来永劫(えいごう)、ここを祈りの場として残す努力をしていく」と述べた。【近藤聡司】

兵庫・丹波、商品券2万円を否決 市長が当初「現金5万円給付」

兵庫県丹波市議会は18日の予算決算常任委員会で、市内で使える2万円分の商品券を全市民に支給するための事業費約13億円を盛り込んだ補正予算案を賛成少数で否決した。
補正予算案は、昨年11月の市長選で新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済支援策として「現金5万円給付」を掲げ当選した林時彦市長が、方針を変えて議会に提出していた。市議からは「現実的ではない」「思慮が足りない」などと批判が相次いでいた。
補正予算案では、国の地方創生臨時交付金の約5億7900万円や、2~3月に実施予定の水道料金減免を中止して捻出する8400万円などを財源とする予定だった。

絶滅危惧種のトモエガモ 長野・松本城に飛来

国宝・松本城(松本市)のお堀に、絶滅危惧種の渡り鳥でカモ科のトモエガモが現れ、野鳥愛好家の話題になっている。
全長約40センチで、カルガモより小さい。雄は顔に黒や白、濃緑、黄色の羽毛によるともえ形の模様が入っていることから名付けられた。シベリア東部で繁殖し、アジアの温帯地域で越冬する。日本には冬鳥として渡来するが、個体数が少なく、環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類。
写真を撮影した日本報道写真連盟会員の松下幸男さん(73)によると、姿が確認できたのは雄1羽で、水面を泳いだり、頭部を背中の羽毛に入れて休んだりしていた。松下さんは「初めて見たが、緑色の羽毛が朝日に輝き、きれいだった」と話した。【武田博仁】

事業者支援、義務規定に コロナ特措法案、自民了承

自民党は18日午前、新型コロナウイルス感染症対策本部などの合同会議を党本部で開き、政府が通常国会に提出する新型コロナ特別措置法や感染症法の改正案を了承した。事業者に対する国や地方自治体の支援に関し「講ずるものとする」と明記し、先に概要で示した努力規定から義務規定に修正。緊急事態宣言の前段階の対策として「まん延防止等重点措置」を新設した。営業時間短縮要請を拒否した事業者や、入院を拒んだ感染者に対する罰則を導入する。
公明党も18日午後の党会合で改正案を大筋了承した。政府は22日に閣議決定する方針。1本にまとめた「束ね法案」として2月初旬の成立を目指す。

国内感染33万1271人=死者は4538人―新型コロナ

国内で確認された新型コロナウイルス感染者は18日午前10時現在、クルーズ船の乗船者らを含め累計33万1271人で、前週より4万1779人増えた。増加人数が16週ぶりに前週を下回った。累計死者数は458人増の4538人。増加人数は9週連続で前週を上回り、過去1カ月間で1700人近く増えた。
都道府県別の累計感染者は、東京都の8万5470人(前週比1万526人増)が最多で、大阪府3万8095人(同3642人増)、神奈川県3万3187人(同5842人増)と続いた。
死者は大阪府が初めて東京都を上回り、全国最多となる742人(前週比69人増)。以下、東京都725人(同40人増)、北海道538人(同32人増)、神奈川県356人(同38人増)などだった。死者が一人も出ていないのは島根県だけ。
[時事通信社]

治療法研究、患者の支えに 梶龍兒・国立病院機構宇多野病院長 ALS嘱託殺人

私は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんを診察しながら治療法の研究を続け、今は難病拠点病院の院長も務めている。ALSと長年向き合ってきたので今回の嘱託殺人事件には衝撃を受けた。女性患者が亡くなる前にできることはなかったのか悔やまれる。
ALSは発症すると数年間で手足をはじめ、呼吸に必要な筋肉がまひし、人工呼吸器を着けなければ死に至る進行性の難病だ。原因は遺伝子の異常など複数考えられており、いずれも最終的には神経細胞が壊れていく。これまでに国内外で100種類以上の薬剤の治験が行われたが、二つを除いて全て失敗してきた。その二つは治療薬として国内承認されているが、病状の進行を遅らせ、平均余命を約90日延ばすといった効果にとどまる。今は有効な治療法がないことが、患者の絶望感につながっている。
私たちの研究チームは、既存薬に用いられるメチルコバラミンという物質を大量に筋肉注射する手法で平均余命を約600日延ばす臨床研究を続け、良い結果が出てきた。海外では一部の遺伝性のALS患者に対する遺伝子治療も、病状の進行を止める効果が期待されている。早期診断、早期治療ができれば大半の日常生活は困らない状態にできる可能性はある。懸命に治療法を研究している人がいて、見捨てられていないと感じてもらうことが、患者の心の支えになると思う。
ただ、現状はALS患者が社会の中で、もっと人間らしく生きられる方法を考えることが先決だ。事件を受けて、難病拠点病院として患者の心のケアまで含めた相談と支援の体制拡充に取り組んでいる。今回の女性患者は実際に診ていないので軽々しく言えないが、不安を和らげることができていたらと思う。当院がそうした役割を担いたい。
医師2人が初対面の患者を薬物で死なせたとされる今回の事件は論外だが、患者の自己決定権の尊重については、国内でも慎重に検討する余地があると思う。
忘れられない出来事がある。かつて担当した入院患者が目の動きでワープロを扱い文章を書いていた。ある日、回診に行ったら「呼吸器を外してくれ、外してくれ」と20行にわたり書いてある。その人の家族は介護のため病院近くに転居しており、迷惑をかけるのがつらいと何回も語っていた。一時の気の迷いではなく、主治医として願いをかなえてあげたいと苦悩した。
日本では一度、人工呼吸器を装着すると終末期の例外を除いて外せない。だから遠慮する人が少なくなく、着用の障壁になっている。患者の自己決定で呼吸器を外せる選択肢もある方が着ける人が増え、救える命も増えるはずだ。【聞き手・千葉紀和】
かじ・りゅうじ
1954年生まれ。京都大医学部卒。医学博士。専門は脳神経内科。徳島大医学研究科特命教授。世界神経学連盟筆頭副理事長、日本神経学会元理事。編著書に「不随意運動の診断と治療」など。

「ペットに罪はない」飼い主逮捕で生命のピンチ 「無報酬で世話する」内海文志弁護士

ペットを飼っている被疑者が身柄を拘束されたとき、身寄りが全くなければ、ペットの世話はどうしたらよいのか。その職責のなかに「ペット預かり」はないと考えられているものの、弁護士が役目を担うべきだろうか。 「微罪での逮捕であっても、ペットにとっては死刑同然だ」と話す内海文志弁護士は、2015年~2016年にかけて実際に4頭の「被疑者の飼い犬」を無報酬で預かった経験を語る。 20年前、ある事案によって飼い主に置き去りにされた母犬と暮らした3カ月が、そうさせたのだという。(編集部・塚田賢慎) ●預かりました 「被疑者のペット預かり問題」について、弁護士らに体験や意見を聞いた企画で、登場したのが、内海文志弁護士だった。 知り合いの弁護士に頼まれ、二つ返事で、被疑者のペットを預かることした。 ●動物好きな内海先生なら大丈夫だろ ーーどのような経緯で預かったのでしょうか 自分自身の案件ではないのですが、弁護人のツテで、「被疑者のペットの犬を預かってくれないか。内海の家は部屋も空いているし、動物好きだろ」と声がかかりました。 たしかに、動物に興味のない刑事弁護人の中には、犬の名前や、飼われている頭数すら聞いていないこともありますが、僕はもともと、千葉県動物愛護推進員も務めていました。 連絡を受けた一両日中には、担当の刑事弁護人に鍵を宅下げしてもらうなどして、被疑者の自宅から僕の自宅に連れていったわけです。 預かったのは3度です。1度はミニチュアダックスフントと雑種が2匹一緒でした。あとはトイプードルが1匹ずつです。 僕は犬の問題にも取り組んでいたので、動物保護の団体とも交流がありました。家に連れ帰った犬をしばらく飼ったあとで、団体にお預けして里親を探してもらいました。 同時に、担当の刑事弁護人の先生には、被疑者から「所有権放棄書」を取ってもらいました。所有権を放棄しないと、譲渡できないからです。トラブルを避けるためにも意味があります。 トラブル抑止ということでは、自宅に入ることで、あとあと文句を言われそうな場合には、合意書を書くのもよいでしょう。ですが、生き物の命が優先です。合意書の前に、現場に行きます。 ーートラブルを起こすような人が多かったのですか 精神的に不安定で、書いた後になって「睡眠薬を飲まされて眠っている間に書かされた。犬を返せ」と言う人もいました。 事件を起こしてしまうかたの中には、動物を虐待してしまうかたもいます。
ペットを飼っている被疑者が身柄を拘束されたとき、身寄りが全くなければ、ペットの世話はどうしたらよいのか。その職責のなかに「ペット預かり」はないと考えられているものの、弁護士が役目を担うべきだろうか。
「微罪での逮捕であっても、ペットにとっては死刑同然だ」と話す内海文志弁護士は、2015年~2016年にかけて実際に4頭の「被疑者の飼い犬」を無報酬で預かった経験を語る。
20年前、ある事案によって飼い主に置き去りにされた母犬と暮らした3カ月が、そうさせたのだという。(編集部・塚田賢慎)
「被疑者のペット預かり問題」について、弁護士らに体験や意見を聞いた企画で、登場したのが、内海文志弁護士だった。
知り合いの弁護士に頼まれ、二つ返事で、被疑者のペットを預かることした。
ーーどのような経緯で預かったのでしょうか
自分自身の案件ではないのですが、弁護人のツテで、「被疑者のペットの犬を預かってくれないか。内海の家は部屋も空いているし、動物好きだろ」と声がかかりました。
たしかに、動物に興味のない刑事弁護人の中には、犬の名前や、飼われている頭数すら聞いていないこともありますが、僕はもともと、千葉県動物愛護推進員も務めていました。
連絡を受けた一両日中には、担当の刑事弁護人に鍵を宅下げしてもらうなどして、被疑者の自宅から僕の自宅に連れていったわけです。
預かったのは3度です。1度はミニチュアダックスフントと雑種が2匹一緒でした。あとはトイプードルが1匹ずつです。
僕は犬の問題にも取り組んでいたので、動物保護の団体とも交流がありました。家に連れ帰った犬をしばらく飼ったあとで、団体にお預けして里親を探してもらいました。
同時に、担当の刑事弁護人の先生には、被疑者から「所有権放棄書」を取ってもらいました。所有権を放棄しないと、譲渡できないからです。トラブルを避けるためにも意味があります。
トラブル抑止ということでは、自宅に入ることで、あとあと文句を言われそうな場合には、合意書を書くのもよいでしょう。ですが、生き物の命が優先です。合意書の前に、現場に行きます。
ーートラブルを起こすような人が多かったのですか
精神的に不安定で、書いた後になって「睡眠薬を飲まされて眠っている間に書かされた。犬を返せ」と言う人もいました。
事件を起こしてしまうかたの中には、動物を虐待してしまうかたもいます。

米軍移転問題に揺れる鹿児島・西之表 八板俊輔市長に聞く「同意できない」と表明した意図は

【注目の人 直撃インタビュー】

八板俊輔氏(鹿児島県西之表市長)

鹿児島県・種子島の北部を占める西之表市が無人島の行く末をめぐって揺れている。米軍空母艦載機による離着陸訓練(FCLP)の移転候補地の馬毛島だ。一昨年の買収劇は菅首相肝いりの「スガ案件」と呼ばれ、160億円もの血税が投入された。政府算定評価額の3倍超えだ。急展開した迷惑施設の建設計画に地元の賛否は割れる。市長は昨年11月、岸防衛相に「同意できない」と通告したが、対抗策はあるのか。話を聞いた。

■地域分断は絶対にさせない

――種子島の西約10キロに位置する馬毛島買収の起点は、日米両政府による2011年の訓練移転候補地の合意です。艦載機部隊が配備されている米軍岩国基地(山口県)から現在FCLPを実施している硫黄島は約1400キロと遠い。馬毛島は約400キロで格好の立地との理由です。トランプ政権の圧力に屈した政府は自衛隊基地整備を前面に押し出し、一気に動いた。一方、住民グループは約30万人分の反対署名を集め、防衛省に提出。西之表市民の人口の4割に当たる6000人超も署名しました。市長もFCLP移転反対を訴えて17年に初当選しましたね。

私は市長になってからは反対とは言っておらず、昨年10月に「同意できない」と表明しました。西之表市民には賛成、反対だけでなく、どちらでもない立場の人たちがいますし、市長はすべての市民の代表です。私が市長として反対と発言すると、地域やコミュニティーの分断をあおることになります。実際に伝統行事ができなくなったりもした。馬毛島を守ることは市長選に出る大きな理由でしたが、市長の職というのは人口減少などあらゆる問題に取り組む覚悟がないとできません。米軍基地や原発、公共事業など、ひとつの社会問題が地域を分断する事例をこれまでいくつも見てきました。種子島では、それを絶対にさせたくないんです。反対と明言しないことでマイナスはありましたが、守るべきは地域社会なんです。防衛省の人たちは仕事だから基地をつくろうとするのはしょうがないが、それで地域を分断してほしくないのです。

――それでは「同意できない」とはどういう意図なのでしょうか。

「賛成」「反対」は誰でも言えますが、「同意できない」は地元の当事者しか使えない言葉です。賛成派の意見も聞いていますし、防衛省に行って施設をつくりたいと話す大臣に質問し、防衛省から回答ももらいました。その上で私は同意できないと表明しました。それは反対より重く、強いのです。賛成、反対、いずれの立場の市民も米軍施設建設に疑問を持っています。私は防衛省とやりとりをして言い分を聞いてきましたが、きちんと答えません。

――どのようにですか。

防衛省は地元の理解がなければ建設は進めないと言う。しかし、地元の理解を得たことを、どのように判断するのかを明確に答えない。市民の質問に答えるため、環境アセスメントが必要だとも言います。私はその論理は受け付けません。このような状況で同意はできない。つまり「これ以上、計画を進めるな」と防衛省に言っているのです。反対か賛成かの言い方では、反対ということです。

――防衛省による海上のボーリング調査に、地元の種子島漁協は同意していますね。

市長権限でやめろとは言えない。一番の当事者である漁業者の代表組織の判断です。漁協はボーリング調査をしないと基地の影響がわからないと同意し、鹿児島県知事が許可をしたのですが、調査自体が漁場に影響を与えます。

戦後初の「生地」米軍に差し出すを重大性

――FCLP移転の賛成・容認派はどういう理由で受け入れるとしているのですか?

経済の問題が大きい。基地経済の効果を期待しているのです。基地ができれば自衛隊員が種子島に100人から200人移住するといわれています。一時的には米軍再編交付金も出ます。しかし、再編交付金が出ることで、出なくなる交付金もある。その割合が多くなれば基地依存から抜け出せなくもなります。それよりも島の資源を生かして、持続可能な社会の構築に動いたほうが底堅いものになると思います。

――受け入れ派は自衛隊基地だと強調していますが、米軍のためなのは疑いようがありません。

日本国として、独立国として、この話を突き詰めると、米軍に土地を提供するということなんです。馬毛島のようなまっさらな土地を防衛省は「生地」と呼んでいます。戦後、「生地」に米軍施設をつくったことがあるのかを防衛省に確認したところ、ありませんでした。すべて自衛隊施設の中でした。馬毛島に米軍施設をつくることの重大性に国民はまだ気づいていない。日本政府はそれをわかっていて、自衛隊ならいいじゃないかと強調する。占領時代の日米行政協定が日米地位協定になりましたが、米軍の権限は温存され、実質的に変わっていない。日本は植民地なんです。

――馬毛島はどうあるべきだとお考えですか。

就任直後に利活用計画を出し、それに沿って努力しています。島を知ってもらうためです。あの島には弥生時代から歴史があり、未解明なことが多いままなので市史編纂を始めました。また、子供たちを島に連れて行っています。昔は卒業記念に島に行ったり自由に往来していたのですが、それができなくなっている。無人島になって40年で、市民にも、どういう島か知らない人が増えています。自分は関係ないし、国の役に立つなら基地をつくってもいいじゃないかと考えても無理もない。知ることにはプラスとマイナスがあります。ただ、知っていれば簡単にはイエスとは言わないはずです。私が馬毛島に渡航した体験を踏まえてそう思います。

――国が地権者の立石建設側から馬毛島を巨額買収したことをどう思いますか。

国は、国民が納得する税金の使い方をしないと。一方、民間の側は、経費を少なくして収入利益を得るのは普通のことでしょう。

――馬毛島に初めて渡航したのはいつですか。

小さい頃から馬毛島は港から毎日見ていたのですが、行ったことはなかったんです。石油備蓄基地だ、使用済み核燃料保管施設だ、米軍基地だと次々に持ち上がる島を港から見て胸が痛んでいました。それで、退職してフリーになったときに渡りました。

――当時は民間企業が大部分を所有していました。

上陸して、改めて島に米軍施設などつくらせちゃいけないと思いました。それで「馬毛島漂流」という本を書きました。島に行っただけだと本にはならないけど、帰りに漂流もどきをしたことが物語になり、本になった(苦笑い)。ある漁師に本を見せたら、「俺も漂流したから、おまえは漂流の後輩だ。船もタダでやる」とも言われた。私は自分の操縦でポルトガルに行きたいと本気で思っていて1級船舶免許も取得しました。だけど、その船は別の方が譲り受けられたそうです。

――馬毛島はどんな場所ですか。

5月初めの八十八夜から7月までトビウオやアラ(クエ)漁があります。ちょうど産卵期なんです。昔は島のトーチカからトビウオを見つけたら漁船に旗で合図を送ったようです。周囲12キロの東シナ海はいまでも巨大な漁場です。島の樹木の葉が海に流れ、プランクトンがつき、それをキビナゴなど小魚が食べ、カツオなど大きな魚もやって来る。水イカやトコブシも取れる。鹿児島だけでなく宮崎の漁船団も来ます。お相撲さんの間でも九州場所は人気だそうです。ちゃんこ鍋にアラが入るからです。だけど、いま漁師もどんどん減っています。漁港も整備し、漁業を持続可能にしないといけない。私はそれをやりたいんです。

――再選に挑む市長選(24日告示、31日投開票)が迫っています。

まず、西之表市にとって一番大事な漁業や農業などを商業や観光の軸に据えるということ。高齢者が多いため人口減少はありますが、最近では南西諸島へUターンする若者が増えているという調査結果もあります。仕事がないと言われていますが、あるんです。求職と求人にミスマッチがあるんです。東京にあるようなものはないですが、離島はカネがかからないし、食べ物をもらったり、食べようと思えば食べていけるんです。島の食料自給率は280%です。コロナ禍をきっかけに移住も受け入れていきたい。昔から島は移住者の受け皿になってきました。しかし、米軍施設ができれば出ていく人もいることを考えると、できると失うもののほうが大きい。防衛省に早く米軍施設をあきらめてもらわないと何も始まりません。

(聞き手=平井康嗣/日刊ゲンダイ)

▽やいた・しゅんすけ 1953年、鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。早大政経学部卒業後、朝日新聞社入社。社会部記者。鉄砲伝来450周年取材でポルトガルに派遣。沖縄も15年以上担当。熊本総局長などを経て、12年に退職して帰郷。17年から現職。著書に「馬毛島漂流」(石風社)。

警察署長以下12人感染、副署長ら52人が濃厚接触で自宅待機

北海道内では17日、新型コロナウイルスの感染者が新たに124人確認された。1日当たりの感染者の確認は12日連続で3桁が続いた。死者は4人だった。北海道警栗山署など新たに2か所でクラスター(感染集団)が確認された。道警でクラスターが確認されたのは初めて。
死者は札幌市の90歳代男性と小樽市の性別・年代非公表の2人、年代・性別・住所非公表の1人。
栗山署では署長を始め、20~60歳代の男女12人の感染が確認された。いずれも軽症や無症状という。副署長など濃厚接触者ら52人が自宅待機中。署長や副署長の業務を道警本部の幹部らが代行し、業務に支障はないという。
札幌市の感染者は50人。医療機関で患者と職員計5人の感染が確認され、新たなクラスターと確認された。既にクラスターが発生していた有料老人ホームや介護老人保健施設など4施設でも感染者が増えた。
16日まで3日連続で過去最多を更新した函館市では、前日より18人少ない12人だった。クラスターが発生した市内の社会福祉施設「明和園」で職員1人の感染がわかり、感染者は計30人になった。小樽市では13人の感染が判明。北仁会石橋病院の感染者は患者2人増の計116人となった。