17日午前2時45分ごろ、愛知県春日井市上田楽町の住宅で「火が出ている」と近所の住民から119番があった。木造2階建て住宅が全焼し、焼け跡から2人の遺体が見つかった。
春日井署によると、この家には80代の女性と60代の息子が住んでいるとの情報があり、いずれも連絡が取れていない。署は、遺体はこの親子の可能性があるとみて身元の確認を進めるとともに、出火原因を調査する。
現場は住宅街で、隣接する建物1棟も焼けた。
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河野大臣がまさかの裏切り発言?! 海外メディアの「日本は五輪を開催できない」説(井津川倫子)
新型コロナウイルスの感染の勢いが収まらないなか、相変わらず「人類がウイルスに打ち勝った証として東京五輪を開催する」姿勢を崩さない菅義偉首相。追い討ちをかけるように、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「再延期は絶対不可能だ」と発言して注目を集めています。
一方、海外メディアでは五輪開催を疑問視する報道が目立ちはじめましたが、何だか風向きが変わってきたような……。いくつかの国内ニュースを取り上げて「日本は大丈夫か?」の声が広がっているようなのです。とどめを刺したのは、あの大臣の「驚き発言」でした。
あ~あ、「五輪開催は不透明」発言が世界中に広まってしまった!
話題になっているのは、河野太郎行革担当相が海外メディア主催の会合で語った、東京五輪・パラリンピックの開催についての発言です。
東京五輪について、「行われない可能性も含めて先行き不透明だ」としつつ、「開催に最善を尽くす」という考えを示したと報じられていますが、何の変哲もないようなこの発言。日本ではあまり注目を浴びていないようですが、「目のつけどころ」が違う海外メディアは放っておいてくれません!
まずは、ロイター通信の見出しを比較してみましょう。同じニュースを伝えていますが、ニュアンスが違うことが良くわかります。
東京五輪、先行き不透明だが開催に最善尽くす=河野行革担当相(ロイター通信:日本語版) Decision on holding delayed Olympic Games ‘could go either way’, says Japan minister (オリンピック開催の判断は「どちらに転ぶかはわからない」と日本の大臣:ロイター通信英語版)
同じ発言でも、どこにフォーカスをするかでずいぶんと印象が変わるものです。「開催に向けて最前をつくす」を強調した日本語版に比べて、「先行き不透明」を強調する英語版。さて、どちらの「見解」が世界に広まったのか……。各国の報道を見ると一目瞭然です。
Japanese minister casts fresh doubt over Olympics (日本の大臣が、オリンピック開催に新たな疑問を投げかけている:英デイリーメール) cast doubt:疑問を投げかける
Future of Summer Olympics in Tokyo uncertain says Japanese minister (夏の五輪の行方は不透明だ、と日本の大臣:中東のニュースメディア) uncertain:不透明
河野大臣といえば、菅首相と同じ神奈川県出身とあって「菅首相のお気に入り」と報じられています。かたくなに「予定どおり五輪開催」の主張を曲げない菅首相のお膝元で、まさかの「身内からの裏切りか!」と思わせるような海外メディアの報道ぶり。「真意は違う」といくら言いつくろっても「時すでに遅し」でしょうか。
河野大臣は英語が堪能なことで知られていますが、このタイミングでのこの発言はさすがに不注意。政治家の皆さんには「海外メディアを甘く見てはいけない」ことを、しっかりと肝に銘じていただきたいものです。
海外に広がる「日本での開催、無理じゃないの?」
世界中で猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。複数の変異株の出現が確認されるなど、いっこうに収まる気配はありません。
そんななか、開催まで200日を切った東京五輪の開催を疑問視する報道が海外でも目立ちはじめましたが、風向きがちょっと変わってきた様子。世界的なコロナの感染拡大や競技選考会の遅れといったことよりも、「そもそも日本は大丈夫か?」と疑問視する声が大きくなっているのです。
一つ目の要因は、日本国内での緊急事態宣言の再発出です。これまで、欧米諸国と比較して「比較的感染が抑えられている」と見られていた日本でしたが、各国メディアは次のように報じています。
Tokyo’s Covid outbreak adds to doubts over hosting Olympic Games (東京のコロナウイルスの急増で、五輪開催への疑念が増している:英紙ガーディアン)
ガーディアン紙は「緊急事態宣言対象エリアは徐々に拡大されて、日本の人口の半数以上が対象になっている」と延べ、こうした状況下での開催に疑問を呈しています。
海外メディアが指摘する二つ目の要因は、「世論調査」です。NHKなど日本の主要メディアが実施する世論調査で、大多数が「東京五輪は中止か延期」と回答したことに注目が集まっています。こうした状況をロイター通信は、「日本の国民は五輪に冷めている」と分析。この記事は世界中のメディアに転載されました。
Japan set to expand state of emergency, public cools to Olympics (日本は緊急事態宣言の対象エリアを拡大するが、国民は五輪に冷めている:ロイター通信)
3つ目の要因は、日本国内に広がるスポーツ選手や団体の感染状況です。先日、大相撲横綱の白鵬が新型コロナウイルスに感染したニュースは、英BBC放送といった海外の主要メディアでも大きく取り上げられ、日本スポーツ界での感染拡大を強く印象づけました。
さらに、1月に開幕が予定されていたラグビー・トップリーグで、選手・スタッフらの「大量陽性者」が確認されたことから開幕が2月に延期されましたが、「ラグビーの大会もできないのに、五輪ができるのか」と指摘する海外メディアもありました。
今季のトップリーグには海外からスター選手が続々と加入していただけに注目も集まっていたのでしょう。「五輪開催なんて無理じゃないの?」という印象を強めてしまったとすれば皮肉なことです。
それでは、「今週のニュースな英語」は「cast doubt」(疑念を投げかける)を使った慣用句をいくつかご紹介しましょう。
His information cast doubt on that news (彼の情報は、そのニュースに疑問を投げかけている) The consumers cast doubt on the quality of the product (消費社は、その商品のクオリティに疑問を投げかけている) This information cast doubt on the efficacy of the new drug (その情報は、」新しい薬の効果に疑問を投げかけている)
菅首相や森会長が「強気発言」を繰り返す一方で、具体的には何も見えてこない五輪対策。緊急事態宣言の再発出や世論調査の結果、さらにスポーツ界の感染状況といった「事実」を見る限り、残念ながら「日本、だいじょうぶか?」の疑念は増すばかりではないでしょうか。(井津川倫子)
新宿の飲食店「休んでも儲かる」「開けたもん勝ち」 6万円「時短要請」への経営者の複雑な思い
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、緊急事態宣言の対象は、計11都府県に拡大した。政府は感染拡大の要因として飲食店を挙げ、20時までの時短営業を要請。協力すれば、1店舗につき1日6万円の協力金が支給される。 筆者は新宿で、小さなバーを2店舗経営している。どちらの店舗でも、6万円という金額は正直、通常の売上より大きい。 一方で、大きな店舗を複数経営している飲食事業者には、少なすぎる金額だ。時短要請に対し、飲食店はどのような判断・対応をしているのか。緊急事態宣言発令後の新宿の様子や、飲食事業者や取引業者を取材した。(ルポライター・肥沼和之) ●短期的には「休業しても儲かってしまう」 まず筆者の状況からお伝えしたい。筆者が経営するバーは5席と7席。家賃は約20万円と約10万円。客単価は約2000円程度で、コロナ前は一日の売上が2~4万円ほどだった。 第3波が訪れ、昨年11月に22時までの時短要請が出てからは、顕著に客足が減った。売上は平均1万円台、数千円のときもあった。アルバイトスタッフの人件費もかかるため、赤字が続き、協力金がないと立ち行かない状況だ。 今回の時短要請に伴い、お店はどちらも休業することにした。しかし先に書いた通り、1日6万円という金額は、通常の売上より大きい。あくまで短期的な視点だが、儲かってしまうのだ。 コロナの収束が見えない中、また収束後も客足が戻るか分からない状況で、経済的に余裕ができるのは、非常にありがたいというのが、筆者の立場からの本音である。 ただ同時に、複雑な思いもある。1日6万円では全く足りない飲食事業者や、酒屋など取引業者への支援は、十分と言えるのだろうか。もちろん、ほかにも困窮している業界がたくさんあることは重々に理解しているが、本記事では飲食業者・関連業者にフォーカスして実情を届けたい。 ●夜からの営業店が、昼や夕方から開けるように 首都圏に緊急事態宣言が出た翌日の1月9日の夕方、新宿三丁目や新宿ゴールデン街、歌舞伎町など飲食店が多いエリアを歩いた。普段は夜から営業している店が、開店時間を早めて、昼や夕方から開けているのが目立った。 土曜ということもあってか、多くの店には7割ほど客が入っていた。閉店時間を早めるなら、その分早く開店することは、飲食店が事業である以上、自然だろう。そして開けていれば、混み合う場合もある。密の防止という観点だけなら、20時閉店の効果は限定的でしかないのでは、と感じた。
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、緊急事態宣言の対象は、計11都府県に拡大した。政府は感染拡大の要因として飲食店を挙げ、20時までの時短営業を要請。協力すれば、1店舗につき1日6万円の協力金が支給される。
筆者は新宿で、小さなバーを2店舗経営している。どちらの店舗でも、6万円という金額は正直、通常の売上より大きい。
一方で、大きな店舗を複数経営している飲食事業者には、少なすぎる金額だ。時短要請に対し、飲食店はどのような判断・対応をしているのか。緊急事態宣言発令後の新宿の様子や、飲食事業者や取引業者を取材した。(ルポライター・肥沼和之)
まず筆者の状況からお伝えしたい。筆者が経営するバーは5席と7席。家賃は約20万円と約10万円。客単価は約2000円程度で、コロナ前は一日の売上が2~4万円ほどだった。
第3波が訪れ、昨年11月に22時までの時短要請が出てからは、顕著に客足が減った。売上は平均1万円台、数千円のときもあった。アルバイトスタッフの人件費もかかるため、赤字が続き、協力金がないと立ち行かない状況だ。
今回の時短要請に伴い、お店はどちらも休業することにした。しかし先に書いた通り、1日6万円という金額は、通常の売上より大きい。あくまで短期的な視点だが、儲かってしまうのだ。
コロナの収束が見えない中、また収束後も客足が戻るか分からない状況で、経済的に余裕ができるのは、非常にありがたいというのが、筆者の立場からの本音である。
ただ同時に、複雑な思いもある。1日6万円では全く足りない飲食事業者や、酒屋など取引業者への支援は、十分と言えるのだろうか。もちろん、ほかにも困窮している業界がたくさんあることは重々に理解しているが、本記事では飲食業者・関連業者にフォーカスして実情を届けたい。
首都圏に緊急事態宣言が出た翌日の1月9日の夕方、新宿三丁目や新宿ゴールデン街、歌舞伎町など飲食店が多いエリアを歩いた。普段は夜から営業している店が、開店時間を早めて、昼や夕方から開けているのが目立った。
土曜ということもあってか、多くの店には7割ほど客が入っていた。閉店時間を早めるなら、その分早く開店することは、飲食店が事業である以上、自然だろう。そして開けていれば、混み合う場合もある。密の防止という観点だけなら、20時閉店の効果は限定的でしかないのでは、と感じた。
強制性交などの疑い コロナ対策担当の都職員を逮捕
警視庁は15日、東京都保健政策課課長代理、高橋裕巳容疑者(55)を強制性交等の疑いで逮捕した。高橋容疑者の部署は都と保健所の連絡調整などを担い、新型コロナウイルス対策も担当していた。
逮捕容疑は、知人女性に無理やりわいせつな行為をしたとしている。警視庁は事件が発生した場所や日時、認否などは被害者の保護を理由に明らかにしていない。【斎藤文太郎】
お幸せに~!! 新婚男性を雪に投げ落とす「婿投げ」 新潟
新婚男性を雪の中に投げ落として祝福する「婿投げ」が15日、新潟県十日町市松之山湯本の松之山温泉で行われた。
今年の婿さんは市内在住の公務員、相沢朋宏さん(31)。会場周辺には約3メートルの積雪があり、坂の上の薬師堂から思い切り投げられると、周囲に高々と雪煙が上がった。下で待ち構えていた妻の美久さん(35)の元にたどりつくとお互いに笑顔に。二人は「明るい家庭を築きたい」と話した。【板鼻幸雄】
「政府と企業とマスコミが悪い」と思っている人に伝えたいこと
※本稿は、山口周『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
私は、前の章において、主に「消費のあり方」を基軸において考察をすすめながら、私たちの経済活動を、「未来のためにいまを手段化する」というインストルメンタルなものから、「いま、この瞬間の愉悦と充実を追求して生きる」コンサマトリーなものへと転換することを提案しました。
そのような経済のあり方は、必要なものだけを買うというような寂しい消費のあり方ではなく、一方でまた、他者への優越を示すための消費の無間地獄のような奢侈でもない、真に自分と他者の愉悦や官能に直結する、人間的な衝動に基づく活動によって駆動される、と指摘しました。
このような主張は別に筆者のオリジナルではなく、すでに100年以上前からなされていました。ケンブリッジ大学でケインズの指導教官だった哲学教授、ジョージ・エドワード・ムーアは、彼の主著『プリンキピア・エチカ』のなかで、次のような社会ビジョンを提示しています。
ムーアによるこの指摘は、筆者が主張する「インストルメンタルな社会」から「コンサマトリーな社会」への転換という指摘と同じです。第二次産業革命の後期にあって文明化が著しく発展している社会において、ムーアは、あらゆる個人的・社会的営みの目的は、人々をしてコンサマトリーな状況に入らしめることにおかれるべきであり、社会の進歩・発展は、それがどれだけできているかという、ただその一点だけにおいて測られるべきである、と指摘しています。
このムーアの指摘は、GDPという指標がもはや無意味化している一方で、それに代わる新たな「成長を測る指標」を見いだせていない現在の私たちにとって、重大な示唆を与えてくれます。ムーアは、「交友から得られる喜びや美しいものを見たときに感じる悦楽」などに代表される「ある種のこころの状態」に、どれだけ多くの人が至っているか、が「社会の進歩を測る唯一の指標」になると言っています。そして、全ての個人的・社会的活動は、この状態を実現することを目的とする場合に限って正当化されると言っています。
このムーアの指摘を別の言葉で言い換えれば、それは「文明と技術によって牽引される経済」から「文化とヒューマニティによって牽引される経済」への転換ということです。私たちの高原社会を、より鮮やかに彩ってくれるようなモノやコトを生み出し、それを交換することによって、経済を駆動していくということです。それは「人間性と経済、ヒューマニティとエコノミーが一体化した社会」となるでしょう。
このようなコンサマトリーな社会においては、「便利さ」よりは「豊かさ」が、「機能」よりは「情緒」が、「効率」よりは「ロマン」が、より価値のあるものとして求められることになるでしょう。そして、一人一人が個性を発揮し、それぞれの領域で「役に立つ」ことよりも「意味がある」ことを追求することで、社会の多様化がすすみ、固有の「意味」に共感する顧客とのあいだで、貨幣交換だけでつながっていた経済的関係とは異なる強い心理的つながりを形成することになるでしょう。
それはたとえば……
・市井の人々が、あたかもアーティストが衝動に突き動かされて作品に関わるように、それぞれの活動に関わってモノやコトを生み出していく社会です。
・放っておけない世の中の問題を見つけ、それを解決することをビジョンとして掲げる人や組織に、共感する人々が集まって高いエネルギーを放射する社会です。
・目的意識を欠いた無限の成長というナンセンスを求めるような組織には誰も集まらず、誰もが自分のペースで夢中になれる仕事に没頭する社会です。
・見せびらかしや優越のためでなく、自分の生活を真に豊かで瑞々しくしてくれるモノやサービスを購入し、それらによってまた自らの感性や知性も育んでいく社会です。
・未来のために今を、あるいは組織のために個人を犠牲にしろと強迫され、人の尊厳が蔑ろにされることのない社会です。
・困難にある人が置いてけぼりにされ、周囲の人が罪悪感をもちながらも「構っている暇などないから」と俯いて見て見ぬ振りをしなくても良い社会です。
・誰もが自分が住みたい場所に住み、働きたい仲間と働いて、労働の喜びを感じられる社会です。
・子供たちが、資本主義社会の効率的で高機能な部品となるために、ではなく、高原の社会をより豊かで瑞々しいものにするための創造性を育むために、教育が行われる社会です。
・経済成長のためではなく、美しい風景のなかで人々が人生を送るために、さまざまな公共の開発・投資が行われる社会です。
すでに第一章で確認した通り、私たちの社会は、200年にわたって続いた熾烈な文明化の競争、効率化への強迫から、ついに解放され、さらなる上昇を求められることのない穏やかな高原社会に到達しました。
このような高原社会において、かつて私たちが経験したような高成長を志向すれば、それは必然的に非倫理的な領域への侵犯を伴うことになってしまいます。このような社会において、私たちの経済活動は、文明的な便利さを向上させることから、文化的な豊かさを向上させることへと転換し、経済活動と社会の豊かさの増進を同調させていくことが求められます。
さて、ではコンサマトリーな高原社会を成立させるためには、私たちは今後、具体的にどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか。
基本は次の三つとなります。
イニシアチブ1:真にやりたいコトを見つけ、取り組む イニシアチブ2:真に応援したいモノ・コトにお金を払う イニシアチブ3:(1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入
社会変革というにはあまりにも些末な取り組みのように思われるかもしれませんが、私は、これらのイニシアチブを一人ひとりが実行していけば確実に社会は変化していくと考えています。現在の私たちに必要なのは、システムを根底からぶっ壊すようなショックではなく、さなぎの中でイモムシが一度溶け、それが静かに蝶へと変わるようなしなやかで美しい変化です。なぜなら、現在の状況を生み出しているのは、知らないところにいるどこかの誰かではなく、当の私たち自身だからです。
数多くの国際機関や企業と社会変革プロジェクトで協働した社会システムデザイナーのデイヴィッド・ストローは、何か複雑な問題を解決しようとするとき、まず必要なのは「自分自身が、解決しようとしている問題を引き起こすシステムの一部なのだ」ということに気づくことだと指摘しています。いかなる問題であれ、個々のプレイヤーがどのようにしてシステムに関わり、そして無意識のうちに意図せざる問題の発生に関わっているのかを意識することなしにシステムの改善がもたらされることはありません。なぜなら、そのシステムの中で、参加しているプレイヤーがもっとも自由にコントロールできるものは、システムそのものでも、あるいはシステムに参加している他者でもなく、自分自身でしかないからです。
現在の世界にはさまざまな問題が残存しており、多くの人が「政府が悪い、企業が悪い、マスコミが悪い、バカな奴が悪い」と他者を攻撃していますが、このような攻撃の先にやってくるのは「風通しの良い高原社会」とは真逆の、不寛容で、頑迷で、攻撃的で、排他的な、まさに「暗く淀んだ谷間」でしかありません。
もし、いま本書を読んでいるあなたが、世の中は悪い方向に動いていると感じているのであれば、その原因をつくっているのは他者でも政府でも企業でもなく、間違いなく自分自身なのだということをまず認識する必要があります。世界は小さなリーダーシップの積み重ねで大きく変化します。私たちのうち、ある一定の人たちの行動がほんの少しずつ、このような方向へとシフトすることで、100年後の世界は劇的に変化することになるでしょう。
日本では市民主導による社会革命を一度も経験せずにここまで来てしまったために、多くの人々は「そのうち政府に素晴らしいリーダーが出てきて変革を主導してくれるだろう」とぼんやり夢想しているだけで、自ら主体的に関わる、実存主義の言葉でいうところの「アンガージュマン」しようとする人は少ないように思います。社会を変革するのは行政や企業のリーダーの仕事であって、毎日の些事に煩わされている自分のような小市民が社会変革の主導者となることなど考えられないし、そもそも考える必要もない、という考え方です。
これはつまり、世界を変えるのは「大きなリーダーシップだ」という捉え方ですが、実は社会が大きく舵を切るきっかけになるのは、意外や「小さなリーダーシップ」であることが多い、ということも事実です。たとえばアメリカにおける黒人差別是正の大きな契機となった公民権運動は、1955年にアラバマ州でたった一人の黒人女性=ローザ・パークスが、バスの白人優先席を空けるように命じられた際、これを断って投獄されたという、本当に小さな事件がきっかけになっています。いわゆるバス・ボイコット事件です。ローザは当時百貨店で裁縫の仕事をしており、特に人権運動家だったというわけではありません。この事件も、別に革命を起こそうとか公民権運動を主導しようといった「大きな意図」があって起こしたわけではなく、ただ単に「理不尽な命令には従いたくなかった」と彼女は述懐しています。
ここで発揮されているのはごくごく小さなリーダーシップでしかないわけですが、その小さなリーダーシップがやがてアメリカの歴史そのものを変えていくような大きなうねりになって全米の運動につながっていくことになったわけです。
私たちが所属している社会はいうまでもなく「複雑なシステム」で成り立っています。このような「複雑なシステム」は全体を動かすプログラムによって駆動されているわけではなく、システムを構成する個々のサブシステムの挙動によって駆動されています。個々のサブシステムの挙動の変化が別のサブシステムの挙動に変化を及ぼし、それがシステム全体の挙動を変化させるのです。この時、全体の変化をつかさどるのは行政や企業のリーダーではなくシステムの中にいる名もない個人となります。
サイエンスライターのマーク・ブキャナンは、その著書『歴史は「べき乗則」で動く』のなかで第一次世界大戦勃発の原因となったオーストリア皇太子の暗殺が、皇太子を乗せた自動車の運転手の道間違いによって発生している事例を取りあげて、歴史というのは大きな意思決定よりも、どこかで毎日行われているようなちょっとした行為や発言がきっかけになって大きく流れを変えるという、カオス理論で言及されるところのバタフライ効果について論じています。
バタフライ効果とは、もとは気象学者のエドワード・ローレンツが寓意的な仮説、すなわち、蝶の羽ばたきのような小さな撹乱が、遠隔地におけるハリケーンの要因となりうる可能性がある、という提言をもとにした用語です。これをそのまま社会現象に当てはめて考えてみれば、それはまさに、小さな個人個人のちょっとした行動、それはたとえば「一介の市民が差別的扱いに抗って命令を拒否する」といったようなものですが、が大きな歴史のうねりを作りだし、やがて世界のありようを変えてしまう可能性がある、ということです。
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(独立研究者・著述家/パブリックスピーカー 山口 周)
菅総理「国民皆保険」発言は珍しく原稿を見ずに言っていた!? 5分間の質疑を信号無視話法分析
◆物議を醸した1月13日の総理記者会見
以前の記事で取り上げた1月7日の総理記者会見から6日後の1月13日、大阪を含む7府県に緊急事態宣言は拡大することとなり、再び総理記者会見が開かれた。しかし、これまで通り記者は1人1問に制限されて再質問が許されない上、そもそも大半の記者は官邸に質問を事前通告しているように見え、厳しい質問は少なかった。
参考までに質問が許された全8名の所属と名前、質問内容の要約を下表に示す。
この8名の中で、最後に指名されたフリーランス(ビデオニュース)の神保哲生記者は質問の事前通告に応じていなかったと見られ、これまで大手メディアは質問しなかった、政府の責任や役割を問いただす厳しい質問を行っている。
本記事では、この神保記者と菅義偉総理の5分間にわたった質疑をピックアップして、一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
3名の記者の質問に対する菅総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●菅総理:赤信号91% 灰色9%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
実に9割以上が赤信号であり、まったく質問に回答できていない。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
〈*記事中の動画リンクが表示されない配信先で読んでいる場合、動画は筆者のyoutubeチャンネル「赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できます〉
◆菅総理が動揺した神保記者の質問
神保記者は最後の8人目として質問を許された後、約2分間にわたって発言し、政府が本来の責任を果たさずに国民にばかり責任を押し付けている実態を指摘した後、法改正による状況の改善について質問する。その質問内容は以下の通り。(下記の動画リンクの0分27秒~)
司会者(山田真貴子 内閣広報官):『「それでは、恐縮ですが、次の日程ございますので、あと1問とさせて頂きます。では、内閣記者会以外の方で、日本ビデオニュース株式会社の神保さん。』
ビデオニュース 神保哲生記者:『ありがとうございます。えー、ビデオニュースの神保です。あのー、総理、今日、会見を伺っているとですね、基本的に、まあ、国民に、まあ、あのー、色々協力を求めるというお話をずっとされてきましたが、もう一つ我々が是非知りたいのではですね、その間いったい政府は何をやってきたのかなと。国民に協力を求めてるのは、もちろん必要なんでしょうけども、じゃあ政府は何をやってたのかということをですね、知りたい国民が多いと思います。そこで、あの、先ほどですね、ちょっと医療崩壊についての質問があったので、えー、ぜひ伺いたいんですけども、先ほど、まあ、あのー、「日本は日本の独自の医療の仕組みがあるから、違うから」というお答えだけでしたけどもね、日本は、あのー、病床数は世界で、人口あたりの病床数が世界一多い国ですよね。で、今、感染者数はアメリカの100分の1くらいですよね。それで医療が逼迫していて、緊急事態を迎えているっていう状況の総理の説明がですね、単に「医療の体制が違うんです」っていうので、果たして良いのでしょうか。つまり、体制をつくっているのは政治なんじゃないかと。政治が法制度を変えれば、変えられるじゃないですか。
そこで、質問です。もうすぐ国会始まります。例えば医療法によって、いま政府は病院の病床の転換というのは病院任せにするしかない。お願いするしかない状況になってますけども、例えば医療法の改正というのは、あの、ただ単に「システムが違います」じゃなくて、えー、今の政府の中のアジェンダに入ってないんでしょうか。それから、同じくですね、感染症法の改正。これもコロナがですね、当初あんまり、どういう病気か分かんない段階で、2類相当にしてしまった。なので非常に軽症者や無症状者でも、非常に、あのー、厳重に扱わなきゃいけなくなっている。それも、医療に非常に大きな負担になっている。それをですね、それも法制度を変えれば、えー、随分変わってくると思うんですが、そういうことがむしろ政府の仕事ではないのかと。なので、国民に対して、まあ、その、いろいろ犠牲をお願いすると同時に、政府側がこういうことをするって話が、ずーっと待ってて、あのー、総理から出てくるのを待ってたんですけど、なかなか出てこないので、是非そこをですね、特に国会が始まりますので法制度の部分でその2つの法律。えー、今国会で、あのー、えー、改正されるおつもりがあるのかも含めて、あのー、お願いします。』
この質問で触れている前の質疑について補足すると、神保記者の3人前にあたる、5人目のブルームバーグ記者は「米国よりも感染者数が少ないにもかかわらず、医療崩壊が指摘されている日本の医療体制に問題があると考えているか」と質問していた。この質問に対する菅総理の回答は「医療提供体制は国によって違う」「体系が異なるので比べることは難しい」という雑なものであった。この回答に対して神保記者はそもそも体制をつくるのは政治の役割であることを説きながら、医療法改正による病床数の改善、感染症法改正による現場負担軽減に向けて、今国会での法改正について問い質している。
この質問は事前通告されていなかったため、総理自身が回答を考える必要があったためか、問題となった国民皆保険の見直しに関する発言がこの後に唐突に出てくることになる。
◆突然飛び出した「国民皆保険」発言
神保記者の質問に対する菅総理の回答は以下の通り。(下記の動画リンクの2分36秒~)
菅総理:『えー、まず、このー、コロナ感染者への医療について、まあ、政府として、えー、そこに対応してもらってる医療機関に対して、まあ、しっかり支援をさせて頂いたりですね、あるいは、あー、保健所への人員の派遣。そうしたものの体制をつくったり、クラスターが発生すると政府のチームがそこに行って対応するなど、そうしたことについて政府は行ってきました。そして、また、この、医療機関でありますけども、これは、あのー、日本には今の法律がある中でですね、あのー、逼迫状況にならないように、えー、まあ、政府としては、ベッドは数多くあるわけでありますから、それぞれの民間病院にですね、えー、言って、おー、出して欲しいとか。そういう働きかけているのは、ずっと行ってきているということも、おー、事実であります。(赤信号)
そして、この、感染症については先ほど申し上げましたけども、おー、そういう法律改正は行うわけですから、まあ、それと同時に医療法について、今のままで結果的に良いのかどうか、国民かい・・、皆保険。そして、多くの皆さんが、その診察を受けられる今の仕組みを続けていく中で、まあ、今回のコロナがあって、まあ、そうしたことも含めてですね、えー、もう一度検証していく必要があるというふうに思ってます。それによって必要であれば、そこは改正するというのは当然のことだと思います。(赤信号) 』
ビデオニュース 神保哲生記者:『現時点ではお考えになってないということでしょうか?』
菅総理:
『今申し上げましたように、それは検証する必要があるというふうに思ってます。そして、その上のことだと思います。』
司会者(山田真貴子 内閣広報官):『大変恐縮ですが、次の日程ございますので、会見はこちらで結ばせて頂きたいと思います。今挙手されてる方につきましては、各1問メールでお送りください。後ほど総理の回答を書面で返させて頂くと共にホームページでも公開をさせて頂きますので、どうぞご理解いただくようにお願い致します。では、以上をもちまして本日の総理記者会見を結ばせて頂きます。皆様のご協力に感謝申し上げます。』
*司会の発言中、記者席からは「総理、もうちょっとだけ」等の質問を求める声が相次いだが、菅総理は応じることなく退出する
このやりとりを振り返ってみると、菅総理は質問にまったく回答できていない。1段落目、2段落目共に論点をすり替えており、赤信号とした。
1段落目
【質問】今後の政府対応
↓ すり替え
【回答】従来の政府対応
2段落目
【質問】医療法による病床数の改善
↓ すり替え
【回答】医療法による国民皆保険の見直し
◆原稿を見ずに正面を見て「国民皆保険」発言をした菅総理
1段落目は今後の話を聞いているのに、従来の話を延々と述べているに過ぎない。2段落目は「医療法」というキーワードから連想したのか、問題の国民皆保険に関する発言に移っていく。
この2段落目で医療法について言及する中で「今のままで良いのかどうか、国民皆保険」「多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けていく中で、今回のコロナがあって、もう一度検証していく必要がある」等と発言しており、どう考えても国民皆保険の見直しを考えているとしか受け取れない。しかも、これらの発言をしている際、菅総理は珍しく原稿を見ずに正面を向いて発言していることが映像で確認できる。自分の言葉で語っていると考えられることから、これらの発言は菅総理の偽らざる本音なのではないか。(下記の動画リンクの3分58秒~)
翌14日午前に加藤勝信官房長官は定例会見で「国民皆保険制度という根幹をしっかり守ってく中で、検証していく」という意味であったと火消しにかかったが、上記の動画を見れば、かなり苦しい言い訳だと言わざるを得ない。
◆無視された追加質問の要望
この総理発言には記者席もざわつき、司会者が会見終了を告げる中、複数の記者が映像でもはっきりと聞こえるほど大きな声で追加質問を求める声が相次いだ。
だが、この要望は無視され、これまでと同様に「次の日程」を理由に会見は打ち切られた。結局、質問が許された記者は8名のみだった。ちなみに、首相動静でこの会見後の動きを確認したところ、以下のようになっていた。
<首相動静 1月13日>
午後7時1分から同41分まで、記者会見。
同42分から同57分まで、藤井健志官房副長官補、吉田学新型コロナウイルス感染症対策推進室長、厚生労働省の樽見英樹事務次官、福島靖正医務技監。午後8時29分、官邸発。
午後8時35分、東京・赤坂の衆院議員宿舎着。
つまり、菅総理は午後7時41分にこの会見を終えた後、同じ官邸内で身内の会議に15分間だけ出席し、官邸を出発。赤坂の議員宿舎に到着したのは、会見終了から1時間すら経過していない午後8時35分であった。
質問を求める記者の要望に応じることは十分に可能な日程であったにもかかわらず、菅総理は記者会見から逃げ出した。
<文・図版作成/犬飼淳>
【犬飼淳】
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いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
新型コロナ対応、統計で歴然とわかる日韓台の「明暗」
◆大きく感染者数が増大した1月第2週。日本の現状は?
本記事は、筆者にとっては今年最初のHBOL連載記事となります。昨年末の新型コロナ感染症シリーズ35では、第3波エピデミックに筆者が最も恐れていた第三次加速が観測されたことを述べたところで終えました。
その後、年末年始の自由検査(民間検査所)の休業他、検査の著しい減少*にも関わらず日毎新規感染者数は増加を継続し、1月3日からの1月第二週にはたいへんに大きなSpikeを観察しています。
〈*本邦の COVID-19 統計には大きな欠陥がある。医師会検査は陽性のみ、自由検査(民間検査)は原則として陽性判定後医師の診断により COVID-19 感染者と診断が付いたもののみしか統計に入らない。結果、無症状感染者を中心として陽性者の統計漏れが多い。医師会検査、自由検査の陰性結果は保健所が受け取らないために検査数は著しい過小評価となっている。現在検査の多くを占める自由検査は、多くが年末年始に休業していた〉
このSpikeは、1/2以降現れていますが、この2週間前は、12/25のクリスマス、花金、実質的仕事納め、忘年会、民間給料日、プレミアムフライデーを中心とした宴会密集日の前後に該当しており、実際、移動傾向(モビリティ)も高かったことから、筆者はその影響による一過性のものと判断しています。
1月第二週のエピデミックSpikeは、倍加時間(感染者数が2倍になる時間)が10~20日と極めて強烈なもので、この状態が継続すれば2月中旬には本邦は欧州並みの新規感染者発生となってたいへんなことになりますが、幸いなことにこの Spike は一時的なものでした。なお今週後半から引き続いて年末年始の大移動、挨拶回り、宴会効果が主として地方で現れ、次いで来週末には成人式と連休の影響が現れますので、今後の見通しは極めて厳しいです。
筆者は、新規感染者数の二週間変化率と一週間変化率から新規感染者数の倍加時間を評価していますが、執筆時点で倍加時間はいまだに20日と速いです。これは20日で新規感染者の数が二倍になることを意味し、今の状態が継続すると1/14現在では7日移動平均で6千人/日を超えている日毎新規感染者数が1月末までには1万人/日を超え、2月下旬には2万人/日、3月中旬には5万人/日になる事を意味しています。そしてその2週間後までにそれら新規感染者の2~5%(2月末時点で400~1,000人)が毎日死亡することを意味しますので、たいへんに深刻な見通しです。
従って、現在最も強く求められていることは、”倍加時間を引き延ばすこと=感染者との接触による感染機会を大きく減少させること”となります。移動傾向で考えると、12/29以降、移動傾向がそれまでより大阪と東京で25%程度、地方で10%程度減少していますので、それを更に少なくとも25%程度下げる必要があります。これに失敗すると医療はウィルスに圧倒されて機能を失い、社会そのものの機能が失われることになります。成功すればエピデミックは収束に向かい犠牲は抑えられ、復興に着手出来ます。
◆明暗が完全に分かれた日韓台
世界では、「秋の波」とよばれる冬期のパンデミック、日韓での第三波エピデミックは、同じ水際防衛とクラスタ戦略をとる隣国同士且つ事実上の島国*である本邦と韓国でほぼ同時に起こり、規模が酷似した推移をとっています。また新型コロナ・エピデミック対策において世界最優秀国とされる台湾も水際防衛・クラスタ戦略であり島国*でもあります。
〈*韓国は、38度線=軍事境界線を境に北朝鮮と交流が絶たれており、防疫上は今回、島国と扱うことができる〉
日本、韓国、台湾は、人口がそれぞれ1億3千万人、5千2百万人、2千4百万人で、どの国も高齢化が進んでいます。とくに本邦と台湾では既に人口減に転じており、韓国も人口減少が始まります。民族・人種、経済、社会発展の程度も近く、同じ旧西側陣営に属しているため、たいへんに比較に適しています。
1)台湾
昨年2月から3月に渡り、初動の水際防衛、クラスタ戦略に大成功した台湾は、極めて理想的な推移をたどっており、2020/12/22に検疫破りをしたエバー航空のパイロット(第765例)により1件の国内感染(第771例)が発生するまで、253日間国内感染者発生ゼロが続いていました。現在までにこのクラスタは制圧されたと考えられます。
台湾は、安全地帯=バブルが国全体となっており、マスク着用や社会的距離などの一定の制限はありますが、国内はほぼ平時と変わらない平静さを保ち、旺盛な経済・社会・文化活動が営まれています。
中国のような強権的な防疫を行わずにパンデミック対策に成功した台湾は、世界の理想と言えます。
2)韓国
韓国は、2月にキリスト教系カルトと批判される「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」(新天地)による大邱におけるアウトブレイクにより奇襲を受けた形で国内エピデミックが始まりました*が、徹底した検疫、隔離と極端に地域限定的なロックダウンにより制圧しています。
〈*新型ウイルス、韓国で初の死者 宗教団体で集団感染 2020/02/21 BBC〉
その後、水際防衛とIT技術を駆使したクラスタ戦略、段階的な社会的距離の義務化によって市中感染の拡大を防ぐ「K防疫」によってほぼ制圧に成功し、世界の模範とたいへんに高く評価されています*。
〈*ネイチャー「K-防疫の成功は基礎研究への投資のおかげ」 2020/05/28 hankyoreh japan〉
しかし、エピデミック第二波の兆候が見え、対応に追われていた*8/15光復節に右派キリスト教団体であるサラン第一教会がソウルにて5万人ゲリラ集会を開催した結果、大規模な第二波エピデミックSurgeが発生し**、その収束過程の中でベースラインが1.5ppmと第二波前の0.6ppmより一桁高い状態で季節性の第三波エピデミックSurge(秋の波)が始まりました。
韓国では、保守・右派のプロテスタント系宗教団体が防疫破りを行い、深刻なスーパー・スプレッダとなってきた特徴があります***。なお韓国でキリスト教とくにプロテスタントがたいへんに盛んな理由は、朝鮮戦争に遡ります。
〈*2週間で7つの教会が集団感染…政府、「距離措置」レベル引き上げを検討 2020/08/15 hankyoreh japan〉
〈**[ニュース分析]プロテスタント教会が新型コロナ感染拡大の発信源となった理由とは 2020/08/20 hankyoreh japan〉
〈***[寄稿]政治と宗教、別れる時が来た 2020/08/22 ピョ・チャンウォン前国会議員hankyoreh japan〉
韓国で10月上旬に始まった季節性のエピデミック第三波は、徐々にベースラインを上げてゆき、11月上旬から中旬にかけて第三波エピデミックSurgeとなりました。この第三波エピデミックSurgeはたいへんに深刻なもので、韓国では11月と12月に二度にわたる首都圏および全国における社会的距離確保の引き上げ、12月14日からのソウル首都圏における無償の一般PCR検査が開始されました*。その結果、12月20日頃に新規感染者の日毎発生数が頭打ちとなったあと12月30日より収束に向かっています。
〈*ソウル首都圏におけるクラスタ戦略の一部放棄を意味している〉
2021/01/14現在、筆者の評価では、韓国は半減期30日で100万人あたりの新規感染者発生が10ppmまで収束しており、現在の傾向が継続すれば、2月末までにほぼ収束、3月末には、9月末から10月初めの水準まで収束します。韓国では、4月から5月にかけて大規模なPCR検査による市中感染者の徹底的な洗い出しをすれば、夏までには台湾並みの市中感染者が存在しない状態にまで持ち込めるでしょう。この状態で水際防衛とクラスタ戦略に戻せばよく、おそらく現在のCOVID-19ワクチンもそれほど要りません。
第三波エピデミックを収束させるだけでも一時信頼が揺らいだK防疫は世界的に模範として高い評価を得ますし、市中感染を根絶出来れば、全世界の理想となります。
3)日本
本邦は、水際防衛とクラスタ戦略を標榜していますが、昨年の2月上旬には既に破綻していました*。
〈* WHOの進藤奈邦子氏「新型コロナウイルス根絶目指す」2020/02/14日本経済新聞、日本はすでに感染拡大”WHO専門家2020/02/14日テレNEWS24〉
WHOのシニアアドバイザ、進藤奈邦子氏は、2020/02/14報道の時点で「中国以外で、感染経路が追跡できない患者は日本でしか出ていない」と指摘おり、これは少数検査、接触追跡で封じ込めるクラスタ戦略がこの時点で崩壊していることを的確に指摘していました。このことについて氏は、国内講演でも述べているのですが、この最も大切な部分を小さく報じ「新型コロナウイルス根絶目指す」などといった見出しが横行していました。
この時点で既に本邦の検疫は形だけで機能しておらず、底の抜けた桶であった事も指摘されていました。これは現在も抜本的改善がされておらず、12月には、英国変異株の国内市中感染を許しています*。
〈*英から入国…観察中会食 同席2人に変異株2021/01/11日テレNEWS24〉
本邦は、実態の無い、やっているつもり、やっているふりだけで現場を疲弊させるだけのエセと言って良い水際防衛・クラスタ戦略を今に至るも続けており、東部アジア・大洋州の謎々効果諸国(Factor Xと呼称する人も居る)*のなかでマレーシアに次ぐワースト2であり、筆者は、感染率が米欧の1/5,000~1/100**である東部アジア・大洋州の謎々効果が本邦では崩壊する日が近いのではないかと強く危惧しています。
〈* モンゴル、中国、ミャンマー以東の東部アジア・大洋州諸国では、COVOD-19 パンデミックの威力が目立って小さいことが 3 月中下旬頃から米欧で指摘されてきている(筆者が気がついたのは 2 月末)。筆者はこれを「謎々効果」と命名している。その後、これを”Factor X”と命名している人たちもいるが、同じ現象をさしている。謎々効果は原因も現象もよく分からない効果であったが、原因は相変わらず不明ではあるが、COVID-19 パンデミックのこの地域で威力が小さい理由は、100 万人あたり日毎新規感染者が欧米の1/10,000~1/100 であるためである。この地域でも CFR(致命率)は米欧と極端には変わらないために感染してしまえば死ぬ確率は米欧よりやや低いか同程度である〉
〈**本邦は、謎々効果が低下する一方であり、5月中旬には欧米比1/1,000程度の感染率であったものが執筆時点で1/8程度である。本邦の謎々効果は、既に風前の灯火であり、このままの傾向が続くと2月末から3月には欧州と同等になりかねない〉
この本邦のCOVIT-19対策は、台湾や韓国のクラスタ戦略に対して、日本の「空想としてのクラスタ戦略」と呼称できるほどに空虚で効果のほとんど無いものだと言えます。
◆統計にもはっきりと結果が現れている日韓台の差
このことは、統計にもはっきりと結果が現れており、例えば累計感染者数の比率は日本:韓国:台湾で370:85:1であり人口比は5:2:1となります。
累計死者数でも台湾の7名に対して本邦は既に4100人を超えており、韓国は1200人強です。本邦は、1月中に累計死者数で中国を抜き、東部アジア・大洋州でワースト3となることは確実です*。
〈*但し、100万人あたりの死者数では、1月末までにインドネシア、フィリピン、ミャンマーに次ぐワースト4の見込みである〉
このように、日本、韓国、台湾、ついでに合衆国を比較すると以前の記事で指摘したように次のようになります。
台湾:初動とその後の取り組みによって大成功をして世界の理想。近い将来、世界の感染症学の教科書に理想事例として残るであろう
韓国:数度の右派宗教団体による大規模アウトブレイクの奇襲を喰らいながらも制圧に成功し、秋の波も制圧に成功しつつある世界の模範。近い将来、世界の感染症学の教科書に最優秀事例として残るであろう
日本:あらゆる点で国策として故意に誤り、失敗し続けて来ており失敗を正すことも出来ずスウェーデンと並んで大失敗の見世物。近い将来、世界の感染症学の教科書に最悪事例として残るであろう
合衆国:世界最高、最強の実力を持つものの愚劣な国家元首と政権のために世界最悪となった人類史に残る教訓事例。政権交代により猛烈な巻き返しが見込まれる今後の推移がどうであっても近い将来、世界の歴史教科書と感染症学の教科書に興味深い事例として残るであろう
◆この先の見通し
日韓台3国では、この先エピデミック第三波は、温暖・湿潤になる5月頃まで継続する可能性があります。
今の傾向が続けば台湾は、世界最優秀国であり続け、人間の叡智の見本となるでしょう。
今の傾向が続けば韓国は、2月にはほぼ収束し、3月以降は市中感染の掃討に移るものと思われます。韓国も、水際防衛・クラスタ戦略が有効に機能し、英国変異株の侵入も相当程度阻止出来るものと思われます。従って夏までには本格的な復興が始まり、経済・社会・文化活動を謳歌出来るものと思います。但し、事態が収束に向かえば右派宗教団体などからのアウトブレイクの恐れもあり、強い警戒を要します。これは防疫と自由権の衝突という現代国家における本質的な課題です。この課題がいつ火種になるかはわかりませんが、少なくとも第三波エピデミックの収束によって世界の模範になることが期待されます。
本邦についての見通しは極めて暗いです。1月第二週のエピデミックSpikeこそは既述の様におそらく一過性でしょうが、それ以後、例え増加率の拡大が止まっても今の水準で新規感染者数が増え続ければ本邦の医療は遠からずウィルスに圧倒されます。本邦の医療体制は、医療従事者のとてもありえない低賃金重労働に支えられている実態があり、ハードウェアがあってもそれを少人数で支えているためもあって見た目と違い極めて脆弱です。その為に既に関東、関西で医療の崩壊は始まっており、ロックダウンなどにより医療システムを休ませる必要があります。
また6月から指摘し続けているように、世界唯一のジャパンオリジナル・国策エセ科学・エセ医療デマゴギーを信奉・主張する狂った官僚、医系技官、専門家、医療従事者の横行によって本邦は、世界でも数少ない、ブラジルやスウェーデンと並ぶウィルス・ウェルカム大増殖国家となっています。
結果として本邦は、2月3月4月5月と強力な防壁として機能した謎々効果が、最早消滅寸前であり、トーチカがなくなって負ける寸前のスペースインベーダー・ゲームの様相です。これまで 1 年間、本邦を守ってきた謎々効果の消失が現実のものとなってきたことから、医療・介護従事者や法執行職員、行政現業職、お年寄りを最優先対象とした COVID-19 ワクチンの優先接種は緊急の課題となってきています。今の状態が続けば、謎々効果は、60 日以内に消失する恐れがあり、COVID-19 ワクチンは、1 回目接種日から免疫完成までに 6~8週間を要します。
各領域における100万人あたりの日毎新規感染者数と比較すると、本邦は、既に謎々効果の影響があるアジア、アフリカの平均を大きく上回り、世界平均の半分以上まで増加しています。今の傾向が続くと、1月末から2月にかけて世界平均を追い抜き、3月には、南米、欧州に迫る可能性があります。これは謎々効果の完全消滅をも意味し、本邦にとっては全く未知の領域となります。
また、感染力が極めて強い英国変異株の国内感染が発見されたように、既に英国変異株の市中への侵入が生じている場合は、2 月中にはその影響が現れると考えられます。その場合は、想定が全て極めて悲観的な修正を要します。
一方で、昨年12月29日より本邦の移動傾向は東京と大阪を中心として全国的に10~25%減少しており且つ現在もかろうじて継続していることは明るい兆しです。この程度の移動傾向の減少では、不十分でしょうが、更に25%移動傾向を減少させることができれば、英国変異株の市中侵入がない場合に限れば、副作用の大きなロックダウン無しで不完全ながら収束に向かわせることができるかもしれません。
今年は、去年に引き続き統計を用いてCOVID-19エピデミックの実態を観測し続けると共に、諸外国との比較で本邦の特異性が何処にあるのか、また何をどうして誤ってきたのかを解き明かし、エピデミック制圧への一助としてゆきたいと考えています。また、そろそろ COVID-19 の話題以外も執筆を再開したいと考えています。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ36:第三波エピデミック定点観測(1)
<文/牧田寛>
【牧田寛】
Twitter ID:@BB45_Colorado
まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
阪神大震災26年、異例の追悼 継承危機、緊急事態で行事中止も
6434人が犠牲となった1995年の阪神大震災は17日、発生から26年となった。新型コロナの感染が収まらず、兵庫県に緊急事態宣言が再発令された異例の状況。感染対策を重ねて開催にこぎ着けた追悼行事では、午前5時46分、集まった人々が互いに距離を取って黙とうした。短時間の滞在が呼び掛けられた会場もあった。
県内では複数の追悼行事が中止や縮小に追い込まれ、参加を見送る遺族もいた。継承が危ぶまれる中、それぞれの場所で「あの日」に思いをはせた。
神戸市中央区の公園では未明から「1.17のつどい」が開かれ、灯籠を並べて形作った「がんばろう」の文字が浮かび上がった。
元農水相側から「資金必要」 河井被告介し、賄賂認定200万円
元農林水産相の吉川貴盛被告(70)=収賄罪で在宅起訴=をめぐる汚職事件で、贈賄罪などで在宅起訴された鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表の秋田善祺(よしき)被告(87)が平成31年3月に手渡し賄賂と認定された現金200万円について、吉川被告側が「資金が必要」と催促していたことが16日、関係者への取材で分かった。吉川被告は「預かっただけ」などと現金授受に消極的だった旨の供述をしているが、実態は異なる可能性がある。
関係者によると、吉川被告側の現金の要望を伝えたのは、元法相で衆院議員、河井克行被告(57)=公選法違反罪で公判中=だったという。吉川被告と克行被告は衆院初当選が平成8年の同期で交流が長く、秋田被告に吉川被告を紹介したのも克行被告だった。
関係者によると、秋田被告は克行被告から25年に農水副大臣に就任した吉川被告を紹介されて以降、夏は「お中元」、年末には「お歳暮」として現金を提供。3月にも複数回の授受があり、31年も「吉川被告が資金を必要としているらしい」と克行被告から伝えられ、大臣在任中の3月26日に200万円を手渡した。
秋田被告は東京地検特捜部の調べに「養鶏業界を理解してほしかった。現金は渡していたが、同時に何かを依頼したことはない」などと供述。吉川被告とともに現金の授受自体は認めた上で、趣旨を一部否認している。
起訴状などによると、吉川被告は農水相だった平成30年10月~令和元年9月、業界団体が、家畜のストレスを減らす飼育方法「アニマルウェルフェア」(AW)の国際基準案や、日本政策金融公庫の融資に関して便宜を受けたいという趣旨と知りながら、3回にわたり、大臣室などで現金計500万円を受領したとしている。