大阪の緊急事態宣言、首相「速やかに判断したい」…東京と兵庫も「状況踏まえて」

菅首相は20日、新型コロナウイルスの感染が拡大している大阪府に緊急事態宣言を発令するかどうかについて、「状況を精査し、対策の中身も検討して速やかに判断したい」と述べた。
首相官邸で記者団の質問に答えた。東京都と兵庫県についても「(両都県が宣言発令の)要請を考えていることは聞いている。状況を踏まえて判断したい」と述べた。

国内で新たに4342人感染…大阪1153人、22日連続で全国最多

国内の新型コロナウイルスの感染者は20日、47都道府県と空港検疫で新たに4342人が確認された。大阪府は1153人の感染者が確認され、22日連続で全国最多となった。隣接する和歌山県でも新規感染者が過去最多を更新。全国の死者は45人で、重症者は31人増えて769人だった。
東京都内では、新たに711人の感染が判明した。火曜日に700人超となるのは1月26日(1026人)以来。1日当たりの感染者は20日連続で前週の同じ曜日を上回った。
直近1週間の平均新規感染者は629・3人で、前週の492人から27・9%増。重症者は前日から3人増の50人となった。
大阪府によると、感染者1153人は火曜日としては過去最多となった。50~80歳代の男女8人が死亡し、うち1人は療養先が決まる前に自宅で亡くなった。

軍から「国に貢献しろ」 サイバー攻撃関与疑いの元中国留学生

平成28~29年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内約200の航空・防衛関連組織や大学などが狙われた大規模なサイバー攻撃があり、攻撃に使われた日本のレンタルサーバーを虚偽の情報で契約したとして、警視庁公安部は20日、私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで、中国籍で、中国国営の大手情報通信会社に勤務していたシステムエンジニアの30代の男を書類送検した。
公安部によると、男は中国共産党員。一連の攻撃は中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊が主導した疑いがある。他国機関による日本国内への大規模サーバー攻撃が捜査で明らかになるのは異例。
送検容疑は、28年9月から29年4月、5回にわたり虚偽の住所や偽名を申請し、サイバー攻撃に使われた日本のレンタルサーバーと契約したとしている。
公安部によると、一連の被害は28年6月~29年4月に発生。手口から、中国人民解放軍のサイバー攻撃専門部隊「61419部隊」の指揮下にある「Tick」と呼ばれるハッカー集団の関与が浮上した。
発信元サーバーを特定した結果、男が契約者で、サーバーを使うためのID情報などをインターネット上で販売していたことが判明。一部が、Tick側に売却されていたことが確認された。公安部は、Tick側が、発信元を特定されにくくする「踏み台」のサーバーを得る目的で男と接触を図ったとみている。
一方、別の中国籍の元留学生の男も、軍側から指示を受け、偽名でレンタルサーバーを契約するなどした疑いがあることが判明。公安部はこの男と、党員の男に任意で事情を聴いたが、いずれもその後に出国した。聴取の過程で、元留学生の男の指示役としてさらに別の男女の関与を把握しており、捜査を継続する。
JAXAは、情報漏洩(ろうえい)などの被害はなかったとしている。
民間人使い侵食
今回のサイバー攻撃事件では、事実上“中国国営”のハッカー集団とされる「Tick」の関与が判明した。中国側が攻撃ツールの提供を求めたのは、中国共産党員や元留学生。民間人を加担させ巧妙に侵食する実態が浮かぶ。中国は2017年、あらゆる組織や個人に政府の諜報活動への協力を義務付ける「国家情報法」を施行。活動は活発化し、脅威は深刻さを増しつつある。
「国に貢献しろ」。捜査関係者によると、事件への関与が浮上した元留学生の男は中国人民解放軍の人物からこう指示を受け、工作への協力を求められた。警視庁公安部の任意聴取に男はこのいきさつを明らかにしたが、その後出国した。
男は書類送検された中国共産党員の男と同様、偽名で日本のレンタルサーバーを契約、IDを軍側に渡すなどしたとみられる。
国家情報法は世界中の中国人民が対象で、各地の幅広い人脈を活用する狙いがある。協力の対価に報酬が与えられる場合も多いとされるが、強制的に諜報活動への協力を求めるもので、日中関係者らは「身の安全への恐怖と、強烈な同調圧力がある」と指摘する。
「防止法」なく
こうした中、スパイ行為そのものを取り締まる「スパイ防止法」がない日本では、官民問わずあらゆる組織や人物を介して仕掛けられる中国当局の諜報活動には無防備で、法整備など対策の検討が続いている。
情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)によると、Tickの存在は平成20年に確認され23年ごろから日本企業で被害が出始めた。国家の支援を受けて攻撃を行う「ステートスポンサード」の組織で、関係者によると、中国は「APT10」など同種のサイバー攻撃集団を複数、抱えているとされる。なかでもTickの技術力は「群を抜き、脅威度は最も高い」(捜査関係者)といい、捜査当局は実態の全容把握を進める方針だ。

「政治家はリスクと責任を負え!」3度目の緊急事態宣言に尾身会長も激怒(1)

変異ウイルスが爆発的に猛威を振るっている大阪府の吉村洋文知事は2021年4月20日、3度目の緊急事態宣言の発出を政府に要請した。同じく変異ウイルスが急拡大している東京都の小池百合子知事も宣言を要請する構えだ。
いったい、なぜ「第4波」を止められなかったのか。
政府分科会の尾身茂会長は、
と憤る。
政治リーダーたちのふるまいを、主要メディアの報道から探ると――。
医療専門家「大阪は宣言を出してももう遅い」
大阪府の吉村洋文知事は4月20日、政府に緊急事態宣言の発出を要請したが、医療専門家の間では「もう手遅れだ」という声が上がっている。
テレビ朝日(4月18日付)「専門家『大阪は〈今すぐ〉緊急事態宣言でも…遅い』」が、こう伝える。
として、松本哲哉教授の話をこう紹介した。
司会者に、「番組の調査では東京都も50%以上、『N501Y』に置き換わっていますが、どうしたらよいでしょうか」と聞かれると、松本教授はこう答えたのだった。
それにしても、大阪府はなぜ「もう遅い」と言われる状態になるまで手をこまねいていたのか。吉村知事が2度目の緊急事態宣言の解除を急ぎ過ぎたことに加え、3度目の宣言要請の判断が遅れるという二重のミスを犯したたことを各メディアが指摘する。
朝日新聞(4月20日付)「解除50日、3度目宣言へ 医療危機、経済配慮の知事が一転」がこう伝える。
専門家の意見に耳を貸さなかったわけだ。こうした吉村氏について、大阪府幹部は、こう評価したという。
訪米の菅首相に忖度して後手に回った吉村知事
毎日新聞(4月20日付)「まん延防止効果薄く 大阪・緊急事態宣言要請へ」も、こう指摘する。
というありさまで、呑気にかまえていたわけだ。
大阪府の検査では82.8%を「N501Y」の変異がある英国株が占めているから、極めて危険な状態だった。国際医療福祉大学の和田耕治教授(公衆衛生学)は、毎日新聞の取材に、
と、対応の弱さを問題視する。
結局、吉村知事は4月18日、日曜日なのに過去最多の驚くべき感染者数が出て、緊急事態宣言の要請に舵を切ったわけだが、バイデン米大統領との首脳会談(4月17日)に臨む菅義偉首相に「忖度」したから遅れたと指摘するのは週刊AERAのオンライン版(4月19日付)「菅首相の訪米で吉村大阪府知事が『忖度』 緊急事態宣言遅れ、医療崩壊を招く」である。こう報じる。
というのだ。
尾身茂氏「政治家はリスクと責任を負うべし」
一方、政府側も行き当たりばったりの対策しか考えていないようだ。朝日新聞(4月20日付)「解除50日、3度目宣言へ 止まらぬ人流、追加対策どう」が、こう指摘する。
それは各種データから、大阪駅や東京などの人出が減らないどころか、逆に増える傾向がみられたからだ。朝日新聞がこう続ける。
と、あれやこれや述べるだけで、明確な根拠に基づいて対策を考えているわけでない。
こんな政治家たちの無責任ぶりに憤りを見せたのが、政府の対策分科会の尾身茂会長だった。朝日新聞(4月20日付)「尾身茂氏インタビュー 大阪支援『オールジャパンで』」の取材に応じて、こう語ったのだ。
そして、尾身氏は政策を決める政治家のリーダーシップについて、こう糾弾した。
と語った。
そして、朝日新聞記者が「東京五輪は医療現場からも開催を不安視する声が上がっているが」と聞くと、こう答えた。
と事実上、中止すべきだと語ったのだった。
(福田和郎)

4342人感染、45人死亡 国内の新型コロナ

国内で20日、新たに4342人の新型コロナウイルス感染者が確認された。大阪1153人、東京711人、兵庫427人など。和歌山は55人、佐賀は38人でそれぞれ最多を更新した。死者は大阪8人、千葉と兵庫で各7人など計45人だった。
厚生労働省によると、重症者は前日から31人増えて769人となった。
過去の感染者を京都と福岡がそれぞれ1人取り下げた。沖縄は16人の追加を公表した。

吉村知事 緊急事態宣言の解除基準には「かなり厳しくみないといけない」 変異株の感染拡大速度に懸念

新型コロナウイルス感染急増を受け、政府に3度目の緊急事態宣言の要請を正式決定した大阪府の吉村洋文知事(45)が20日夕、MBSテレビの報道情報番組「よんチャンTV」に生出演。番組内で質問が出た「宣言の解除基準」について、自らの考えを明かした。

2度目の発令となった前回は「直近1週間の新規感染者数の平均が300人以下」もしくは「重症病床の使用率が60%未満」のどちらかの基準を下回ることが一つの条件だった。吉村知事は「まだ始まってもないので、解除の話をするのは違うと思います」と前置きはしつつも、「期間を明確に定めるのは重要だと思う。最後は国が決めることですが、僕自身は3週間から1カ月間ぐらい、強い措置を集中的にやるべきではないかと思っている」と言及し、さらに「解除基準、対策はかなり厳しくみないといけない」と加えた。

特に懸念したのが、今回の変異株の感染拡大速度が速く、若年層でも重症化率が高まっていること。同知事は「今までになかった状況が出てきている。今までの固定概念をおいて、新しいものだと思って、対策をするぐらいでないといけない」とした。抑え込みの割合について、再び質問が出たことには、「まずは感染の減少傾向に持っていくこと。今は拡大傾向になっていて、まん延防止等重点措置によって、ちょっと速度は遅くなっていますが、(感染者数のグラフを指さして)まずは山を抑える。上がるか、下がるかしかない。下がる波に乗せていかないといけない。(下がる傾向の)波に入れば、重症病床の使用率も下がっていく」と、強い口調で決意を示していた。

「科学が政治の召し使いになる」 学術会議問題、学者ら声明

日本学術会議の任命拒否問題で、学者や映画監督、元官僚らの有志が20日、東京都内で記者会見し、任命拒否や政府が進める在り方の見直しに抗議する声明を発表した。「政権の思い通りの組織に改編され、学問の自由が奪われれば、科学は批判の力を持たない政治の召し使いになる」と訴えた。
声明では菅義偉首相に対し、任命拒否した理由の説明や速やかな任命を要請。在り方の見直しに関わる井上信治科学技術担当相には、自民党の提言ではなく、学術会議側の自主的な改革案が実現するよう求めた。
賛同者は20日時点で、ノーベル物理学賞受賞の益川敏英京都大名誉教授や作家の赤川次郎さんら125人。

五輪開催へ高まる懸念=宣言要請めぐり都民―新型コロナ

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪府が20日、緊急事態宣言の発出を国に要請した。東京都も宣言要請を検討しており、都民らからは約3カ月後に迫った東京五輪への影響を懸念する声が上がった。
「このまま感染者が増え続ければ五輪開催は難しいのではないか」と語るのは、千代田区の会社員木下浩平さん(37)。都に対し「大阪のように歯止めが利かなくなってからでは遅い。早めの対策が重要だ」と早期要請を求めた。
銀座では医療従事者の40代女性が「街に出ることへの危機感を強めるためにもやむを得ない」と宣言の効果に期待を示した。「五輪は開催してほしいが、中止する場合は早めに決めるべきだ」と語った。
都内の会社に勤める千葉県松戸市の70代男性は「(五輪を)やってほしい思いはある」と語る一方で、「海外から大勢の人が来ると感染拡大のリスクがある」と表情を曇らせた。
有楽町のドイツ料理店「バーデンバーデン」の店長(48)は「中途半端に宣言の発令と解除を繰り返すなら、厳しい措置でしっかりと封じ込めた方がいい」と語った。
[時事通信社]

市のワクチン予約返信メール、「内容おかしい」と指摘続出…接種日時などに誤り

茨城県取手市は20日、新型コロナのワクチン接種をインターネットで予約した高齢者501人に、予約日時などが異なる内容のメールが誤送信されたと発表した。予約番号が空白になっていたり、接種日時が間違っていたりしたという。
市によると、情報処理会社に委託した予約システムにプログラムミスがあった。市は順次、正しい情報を送り直す。いずれも5月8日以降の予約で、接種日程に影響はないという。
市は19日午前8時半に80歳以上の予約受け付けを開始。間もなく「返信メールの内容がおかしい」との指摘が複数寄せられた。

東京都、緊急事態宣言を要請へ 小池知事、二階氏に意向伝える

東京都は新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため、政府に緊急事態宣言の発令を要請する方針を固めた。小池百合子知事が20日に自民党の二階俊博幹事長に面会し、要請する意向を伝えた。都は22日に感染状況を分析するモニタリング会議を開き、専門家の意見を聞いて最終判断する見通し。休業要請の実施も検討しており、詳細について国と調整を進めている。
小池氏は二階氏と面会後、報道陣に「変異株の拡大のスピードに(対応が)遅れてはならないという危機感を持っている。国と連携を図ることで、感染拡大が収まるベストな方法を進めていきたい」と述べた。
都内では新型コロナの新規感染者が20日に711人確認され、直近7日間の平均が629・3人にまで上昇するなど、感染拡大が収まる気配はない。感染力が強いとされる変異株「N501Y」の広がりも懸念され、20日には感染疑い例が1日として過去最多の115人報告された。
都内は今月12日に「まん延防止等重点措置」が適用されたが、繁華街などでは人の流れがそれほど減っていない。今月末にはゴールデンウイークが始まり、さらに人の流れが増えると予想されることから、早期に宣言を出して対策を進めることが必要と判断したとみられる。
小池氏は18日に「できるだけ早く対策を打つことによって効果をより有効に出せる。緊急事態宣言の要請も視野に入れ、スピード感を持って検討するように職員に指示した」と述べ、宣言の発令を念頭に準備を進める考えを明らかにしていた。【斎川瞳、野間口陽】