「地上の楽園」と宣伝された北朝鮮への帰還事業を巡り、北朝鮮政府の責任を認め、脱北者ら4人に計8800万円を賠償するよう命じた判決が2月、確定した。原告女性が40年間にわたり強いられた悲惨な生活の実態を明かし、「判決が北朝鮮に残された人を救うきっかけになってほしい」と訴えた。(中村俊平)
「原告らは北朝鮮に人生の大半を奪われたと言っても過言ではない」。1月26日、東京地裁の法廷に響く神野泰一裁判長の判決言い渡しを聞きながら、原告の一人、斎藤博子さん(84)はハンカチで涙をぬぐった。「これまでの苦難を裁判所にようやくわかってもらえた」と語る。
福井県出身で、中学卒業後、17歳の時に在日朝鮮人の夫と出会って結婚した。間もなく、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の構成員が自宅を訪ねてくるようになった。「病院代が無料」「きれいなアパートに住める」「食べ物の心配もいらない」。北朝鮮への渡航を何度も勧められた。
日本と北朝鮮の両赤十字の協定に基づき、1959年に始まった帰還事業への勧誘だった。「日本人妻は3年で帰国できる」とも聞かされ、20歳だった61年、夫や幼い長女と船に乗り込んだ。84年まで続いた同事業では、在日朝鮮人ら計約9万3000人が北朝鮮に渡り、うち約1800人は斎藤さんのような日本人妻だったとされる。
中国との国境に近い町での生活は、「楽園」とはかけ離れていた。割り当てられた8畳ほどの薄暗いアパートは、天井に裸電球がついているだけ。風呂はない。家族3人に15日分の食料として配給されたのは、米1キロと小麦粉だけだった。「だまされた」。約束の3年が過ぎても日本に戻れなかった。新たに5人の子をもうけたが、結核を患った夫は薬を手に入れることができないまま、94年に亡くなった。
この頃、飢饉(ききん)があり、配給は途絶えた。家族で銅線の密売や窃盗をして得たお金で食料を買ったり、野草で飢えをしのいだりした。「あのひもじさは思い出すのも嫌だ」。各地で餓死者が続出し、路上に転がる遺体をトラックが毎週のように回収していたという。
脱北を手引きするブローカーと知り合い、子どもたちに「先に行って」と背中を押されて、2001年、いかだで国境の川を越えて中国に脱出した。北京の日本大使館を経由し、40年ぶりに日本の土を踏んだ。
6人の子のうち四女は04年に脱北したが、残る5人は連絡が取れず、長女らは亡くなったと聞いた。孫8人の安否もわからない。
日本ではスーパーでパートとして働き、現在は脱北者の支援団体や生活保護を頼りに大阪府内で暮らす。
NPO法人「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」によると、帰還事業の参加者や家族で日本に戻ったのは約200人。大多数は北朝鮮に残されたままという。
斎藤さんは現地に残された人々の存在や窮状を広く知ってほしいとの思いから、18年に訴訟を起こした。地裁判決は「北朝鮮は、事実と異なる情報を流して原告らを誤信させた」「精神的、肉体的苦痛は甚大だ」と指摘。各1億円の賠償を求めた原告1人につき、2200万円を支払うよう北朝鮮に命じた。原告、被告とも控訴せず、判決は2月10日に確定した。
斎藤さんは「子や孫と連絡がとれず、つらい。日本政府には、北朝鮮に残された人々が日本に戻れる道を探ってほしい」と話す。日本政府は、北朝鮮政府に日本人妻の安否を調査するよう要請しているが、進展はないという。
異例訴訟、弁護団は評価
訴訟は異例の経過をたどった。北朝鮮に訴状が届かず、東京地裁は提訴の事実を地裁前に掲示して届いたとみなす「公示送達」を実施。その上で、2022年、「渡航の勧誘行為から20年以上がたち、賠償請求権は消滅した」と訴えを退けた。
これに対し東京高裁は23年、「北朝鮮に留め置いた行為も一体として評価すべきだ」として審理を地裁に差し戻した。地裁は1月26日、差し戻し後の判決で、不法行為は原告らが脱北した01~03年時点まで続いており、提訴した18年までに20年が経過していないとして、原告勝訴とした。
北朝鮮側は訴訟に一度も出廷せず、主張書面も提出しなかった。賠償に応じる可能性は低いが、原告弁護団は「帰還事業の違法性が公の記録として残った意義は大きい」と強調する。今後、日本国内に存在する北朝鮮の財産を探し、回収も検討するという。
「news」カテゴリーアーカイブ
行方不明2519人に=東日本大震災15年―警察庁
警察庁は9日、東日本大震災から15年となるのを前に被害状況を発表した。岩手県で1人の遺骨の身元が判明し、死者は12都道県で計1万5901人、行方不明者は6県で計2519人となった。
宮城県南三陸町で見つかっていた遺骨の一部が昨年10月、震災で行方不明になっていた岩手県山田町の女児=当時(6)=のものと判明した。
発見場所の宮城の死者数として計上されるため、行方不明者は宮城1213人、岩手1106人、福島196人。死者は宮城9545人、岩手4675人、福島1614人となった。 [時事通信社]
高市首相、遅刻「あってはならない」
高市早苗首相は9日の衆院予算委員会で、小野田紀美経済安全保障担当相が6日の閣議に遅刻したことに関し「本来あってはならないことだ。しっかりと気を付けていく」と述べ、再発防止に努める考えを示した。中道改革連合の小川淳也代表への答弁。
衆院文部科学委員会の斎藤洋明委員長(自民党)が6日の同委理事会に遅刻したことについても、首相は「与党として気を引き締めて対応していく」と語った。小川氏は相次ぐ遅刻を受け、首相に「一言檄(げき)を飛ばしてほしい」と求めた。 [時事通信社]
川口市長選で買収容疑=ビル管理会社社長を逮捕―埼玉県警
2月投開票の川口市長選で、特定の候補者を当選させる目的で自社の従業員に現金を渡したとして、埼玉県警は9日、公選法違反(買収)容疑で、ビル管理会社「クリーン工房」(さいたま市)社長、川鍋大二容疑者(78)=東京都港区台場=を逮捕し、関係先を家宅捜索した。
県警によると、同容疑者は「現金を渡したのは事実だが、会社の規定に定められたものだった」と一部否認しているという。県警は過去にも同様の買収を繰り返していた疑いがあるとみて捜査を進める。 [時事通信社]
長射程ミサイル、31日に配備と発表 熊本・健軍駐屯地
有事の際の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)となる長射程ミサイルを陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市東区)に配備する計画で、防衛省九州防衛局は9日、ミサイルを31日に配備すると発表した。9日未明に駐屯地へ関連機材を搬入していた。
健軍駐屯地に配備されるのは国産の地上発射型「12式地対艦誘導弾」を改良した「能力向上型」で、射程は約1000キロ。【野呂賢治、中里顕】
中東情勢悪化に伴う影響「予断持てず」、原油動向次第で対策=高市首相
Takaya Yamaguchi
[東京 9日 ロイター] – 高市早苗首相は9日の衆院予算委員会で、中東情勢悪化に伴う日本経済への影響について「予断を持って判断するのは困難」と述べた。ただ、政府として即座に打つべき対策については「相当なスピード感を持って手を打っていく」とも言及。原油価格の動向次第でガソリンや電気、ガス代の追加補助を視野に入れる意向を示した。
追加策を巡り、首相は衆院予算委で「先週前半から検討に入っている」と語った。今年度予算の予備費に加え、2026年度予算案で計上した予備費活用が念頭にあるとみられる。
中東情勢の悪化を踏まえ、中道改革連合の小川淳也代表は週内にも26年度予算案の組み替えを提起すると語った。エネルギー価格の高騰対策と防衛増税の見送りを盛り込む構えだ。
これに対し、高市首相も答弁の中で、今後のリスクへの備えに万全を期す考えを強調した。一方、現時点で「追加の予算措置を考えているわけではない」と述べた。
首相は、26年度予算の年度内成立を目指す考えを重ねて示し、暫定予算の編成に関しては「指示していない」と語った。
衆院予算委では、赤沢亮正経済産業相が石油備蓄の放出に対する見解を質され、「JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)とは、日ごろから密に連絡を取りながら、いつでも適切な対応を行うことができる体制をとるよう伝えている」と説明した。
赤沢経産相は「あらゆる選択肢を排除せず、エネルギーの安定供給に万全を期していく」と応じた。
19日の日米首脳会談に先立ち、首相が「現時点で米側から防衛費のGDP(国内総生産)比の具体的な数字の提案があったということは一切ない」と言及する一幕もあった。「どういった形で防衛力を強化するかは、主体的に日本が判断する」との考えを改めて示した。
一方、為替円安に関し、金利や成長率などが為替相場に与える影響について、高市首相は「一概に申し上げるのは困難」とかわした。
今後も、責任ある積極財政の考え方に基づき「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく」と述べた。
【全国初摘発】未承認電子タバコ“ニコパフ”を違法に販売か…大学生ら2人を書類送検 若者たちの間で蔓延している実態も 専門家は「危機意識が低いのでは」
ニコチン入りの電子タバコいわゆる「ニコパフ」の販売をめぐり、大阪府警が全国初摘発。若者たちの間で蔓延している実態も。
薬機法違反の疑いで書類送検されたのは、京都府の男子大学生(21)と18歳の男性です。
ニコパフとは、ニコチン成分が含まれる液体を電気で加熱し、気化させた蒸気を吸う電子タバコを指します。
同様にニコチンを含む市販の紙タバコとは異なり、液体製品は薬機法上の「医薬品」に
分類されるため、国の承認を得ずに譲渡・販売することが禁止されています。
警察によりますと、男子大学生は去年11月、国の承認を受けていないニコチン入りの電子タバコニコパフ10個を4万円で男性に販売。
男性は、このうち1個を大阪府の女子高校生(17)に4500円で転売した疑いが持たれています。
発端は、男子大学生が韓国旅行から帰ってきた友人に誘われ、ニコパフを吸ったことでした。
(男子大学生)「(紙・加熱式)タバコよりもニコパフの方がおいしいし、これから吸うんやったらこっちのほうがいいんじゃないか」
男子大学生は当初、自分が吸うためにニコパフを海外の通販サイトを通じて購入していましたが、その目的が次第に「転売」へと変わり、購入者をSNSで募って、1個あたり4000円~4500円ほどで販売。
売り上げは約28万5000円に上ったとみられています。
ニコパフは他人への譲渡・販売が禁じられているのですが、大阪・ミナミで聞いてみると……
(20代)「(Qどこで手に入れた?)これ、友達からの“回し”でもらってるだけなんで。(Q友達も吸っている?)あ、はい。吸ってます」
(20代)「海外でちゃんと買ったり、ちゃんとしたブランドとかで買えば、3000~4000円で買えるけど、6000円とか7000円で転売している若い奴は多い」
ニコパフは 未成年の間でも広がっているといいます。
(14歳)「ニコパフやったら、この辺の子たち吸っている子多いですよ。ちょっとやんちゃな中学生とか高校生とか。違法やけど、誰かから買ったりして、バレへんかったらええやん」
タバコの健康被害などに詳しい専門家は、ネットや個人間のやり取りで手軽に入手できてしまうニコパフが、違法薬物に手を染める入口になってしまう危険性を指摘します。
(医学ジャーナリスト・石田雅彦さん)「依存性が強いのが、ニコパフの特徴。中に何が入ってるかわからないのが一番恐ろしい。気がつかないうちに、大麻成分が入ったリキッドを吸ってしまっていたとか、そういうことで健康被害が起きてしまうこともある。非常に危機意識がいま低いんじゃないかと」
全国初の摘発となった「ニコパフ」の違法販売。警察は取り締まりを強化していく方針です。
元中日投手の上田洸太朗容疑者、知人女性からショルダーバッグ盗んだ疑い…転売目的か
富山県警富山南署は9日、同県高岡市福岡町下蓑新、自称会社員上田洸太朗容疑者(23)を窃盗の疑いで逮捕した。
発表によると、上田容疑者は昨年12月26日から今年1月20日までの間に、富山市内に住む知人女性のアパートからショルダーバッグ1個(販売価格約20万円)を盗んだ疑い。調べに対し、「ショルダーバッグを盗んだことに間違いない」と容疑を認めているといい、同署は転売目的だったとみて調べている。
上田容疑者は高岡市出身で、プロ野球・中日ドラゴンズの元投手。中日から育成ドラフト2位で指名され、2021年に入団した。24年に戦力外通告を受けていた。
裸祭り意識不明の1人死亡 岡山「西大寺会陽」で
岡山市東区で先月開かれた「裸祭り」で、参加者3人が意識不明の重体となり搬送された事故で、県警は9日、3人のうち岡山市の40代男性が死亡したと明らかにした。県警によると、死因は低酸素脳症だった。
搬送された残り2人のうち、岡山県美作市の40代男性はその後意識が回復している。
裸祭りとして知られる「西大寺会陽」は、まわし姿の男たちが福男を目指し宝木を奪い合う奇祭。
【判決詳報】1人暮らし女性狙いマンション侵入 性的暴行加え、同棲の男性にも「家族ごと殺す」などと脅迫…男(23)に拘禁刑12年 撮影や職場把握など様々な隠ぺい工作を「卑劣極まりない」と指弾 大阪地裁
1人暮らしの女性が住んでいそうなマンションに狙いをつけ、帰宅する女性を襲う計画を立てたのは、インターネットの掲示板で知り合った面識のない男3人。男は住民の後について、オートロックのマンションに侵入していました。大阪地裁は、9日、女性に性的暴行を加えたなどとして、男1人に対し、拘禁刑12年の判決を言い渡しました。
▼「静かにしろ、殺されたいんか」脅迫し侵入、性的暴行の様子を撮影
判決によりますと、中国籍の渡辺哲理こと李博倫被告(23)は去年6月、大阪府内のオートロック付きのマンションに住民の後について侵入した翌日の深夜、ネット上で知り合った山下高志被告(44)と相馬崇司被告(33)と共謀し、同じマンションにおいて、20代の女性に対し、背後から口をふさぎ、「静かにしろ、殺されたいんか」などといって脅迫。押し倒しながら女性の住宅に侵入しました。
包丁のようなものを突きつけた李被告は、女性の口に布のようなものを詰め込み、両手首にガムテープを巻きつけ、性的暴行を加え、全治10日のけがをさせました。また、その様子を6回にわたり撮影しました。
▼女性と同棲の男性にも「通報してみ、家族ごと殺すぞ」
さらに、女性と同棲していた20代の男性が帰宅した際にも包丁のようなものを押し付け、電話で「通報してみ、家族ごと殺すぞ」などと言って、服を脱がせ、両手首と両足首をガムテープで巻きつけるなどの暴行脅迫を加え、全治14日間のけがをさせました。
これまでの裁判で李被告は起訴内容を認めていて、検察側は「犯行に至る経緯や動機に酌量の余地はない。計画的犯行である上、犯行態様が卑劣極まりない」と懲役13年を求刑していました。
▼「種々の隠ぺい工作をしており卑劣」判決は『拘禁刑12年』
大阪地裁の荒木未佳裁判長は9日の判決で、
「1人暮らしの女性が多いマンションを狙い、1人でエレベーターに乗る女性に同乗して居住階を把握した後、共犯者を呼び寄せ、女性を背後から襲い、強く脅迫して、通報できない心理状態に陥れるなど、周到に準備された犯行で、計画性が非常に高い」
「約1時間半にわたり3人で性的暴行を加えて様子を撮影し、『同意書』なる書面を書かせ、身分証の写真を撮り、職場や実家の住所などを聞きだし、他言すれば家族ごと殺す、動画をばらまくと言うなどして、種々の隠ぺい工作をしており卑劣である」などと指弾。
「女性は、安心できる場所であるはずの自宅において、一生ぬぐえないほどの強い精神的苦痛を受け、女性は一人で外出することにも困難を感じるなど、被害者2人の今後の生活に多大な影響を及ぼした」などとして拘禁刑12年の判決を言い渡しました。