交差点内でタクシーと軽トラが衝突 歩行者の女性巻き込まれ意識不明 札幌市

札幌市中央区の市道で2025年8月17日、タクシーと軽トラックが衝突する事故があり、近くを歩いていた女性が巻き込まれました。
女性は意識不明の状態で病院に搬送されました。
事故があったのは、札幌市中央区南7条西6丁目の市道が交わる交差点です。
17日午後8時10分ごろ、目撃者から「車と車の事故で、歩行者が巻き込まれている」と警察に通報がありました。
警察によりますと、タクシーと軽トラックが交差点内で衝突したあと、女性が巻き込まれたということです。
女性は成人とみられています。
警察は双方の運転手から話を聞くなどして、当時の状況を詳しく調べています。

一夜にして消えた「赤い王宮」 首里城火災 原因と責任の所在は? 訴訟で注目集まる 深層リポート

沖縄のシンボルだった「赤い王宮」はなぜ、一夜にして失われたのか-。那覇市の首里城で令和元年10月、火災で正殿などを焼失したのは、指定管理者の沖縄美ら島財団が防火管理上の注意義務を怠ったためとして、沖縄県内の住民8人が、県が財団に約2億円を賠償請求するよう訴訟を提起した。火災の原因も責任の所在も明確になっておらず、住民らは訴訟を通じて原因を究明したい考えだ。
原因「コードの短絡」
「コードを踏みつけたり、ひっかけたりした可能性は十分に考えられる」
今月7日、那覇地裁(片瀬亮裁判長)で開かれた口頭弁論で、火災分析などに詳しい京都市の技術士、鍵谷司氏(80)が証人として出廷し、こう証言した。
那覇市消防局は令和2年3月、火災の原因について「焼損が激しく、特定には至らなかった」と結論付けたが、出火元とみられる正殿1階の延長コードが原因となった可能性が高いとも指摘していた。記録を確認した鍵谷氏は「火災原因は照明につながるコードのショート(短絡)以外考えられない」と述べ、火災原因を「特定できない」とした市消防局や県警の結論を疑問視した。
鍵谷氏によると、出火当時、正殿内の分電盤室には、発光ダイオード(LED)照明器具2基につながる延長コードが置かれていた。管理が国から県に移行するタイミングで新しい展示施設ができ、財団がその見学通路を分電盤室を通るルートに変更したことで、コードが不特定多数の人に踏みつけられ、コードの銅線が損傷、断線した可能性があるという。
正殿の電気系統は午後9時半に自動的にブレーカーが落ちる設定になっていたが、防犯カメラと照明の電源は常時通電状態となっていた。火災現場で見つかった照明につながるコードには溶融痕があった。
調査結果に批判の声
鍵谷氏は、コンセントからプラグが抜かれていた近くの送風機のコードには溶融痕がなかったことに着目。照明のコードの溶融痕は火災の熱によるものでなかったとの見方を示して「コードが踏みつけられ、断線した部分から発熱した」と推定した。
消防試験研究センターの燃焼実験の目的も、火災による熱で溶融したか、ショートかどうかという実験としては不十分であったと指摘。その上でコードに使われる銅の融点より高い温度で燃焼実験が行われていたとして「普通は温度をコントロールできる電気炉を使うのに、炭火を使って加熱していた。信じられない」と語った。
原告の代理人、徳永信一弁護士は「溶融痕はショートによっても、火災の熱によっても生じ得るとの論法で『原因不明』という結論になったが、わざわざ(原因を)分からないようにしたのかと思いたくなる調査結果のまとめ方だ」と批判する。
焼失した正殿は現在、復元工事が進んでおり、8年秋の完成を目指している。
原告の男性は「延長コードのコンセントプラグを抜いていれば首里城は燃えなかった。なぜ燃えたのかうやむやのまま再建が進むのは納得がいかない」と強調する。
司法の場で火災原因と責任の所在はどこまで明らかになるのか。地裁の判断が注目される。

首里城火災 令和元年10月31日午前2時半ごろ、正殿から出火し、正殿や南殿など主要建築7棟約4800平方メートルが焼失した。首里城の管理・運営を県から委託されている沖縄美ら島財団が収蔵していた文化財も焼失。施設にはスプリンクラーがなく、鎮火まで約11時間かかった。首里城は琉球の国王一家が暮らしたかつての王宮で、行政府でもあった。15~16世紀に完成したとみられる。創建以来、度重なる火災に見舞われており、焼失は5回目だった。
記者の独り言 首里城が焼け落ちる姿は痛々しく、多くの県民が喪失感を抱いた。夜間を想定した防災訓練が行われておらず、初期消火の課題も浮き彫りとなった。教訓を踏まえ、再建中の正殿にはスプリンクラーが設置され、夜間訓練も行われるようになったが、裁判を傍聴し、二度と悲劇を繰り返さないためにも、火災原因を究明した上で改めてリスク管理を検証することが必要だと感じた。(大竹直樹)

1か月記念のデートで相手は“豹変” 女子高校生は教室や公園でも性被害に 3年の月日が経ち“いじめ重大事態”に認定されるも…「社会に絶望しました」

「交際1か月記念のデート」で、当時交際していた男子生徒から、学校の教室や近所の公園など、様々な場所で性被害を受けた女性は、高校3年生から大学3年生となり、もう就職活動が目の前に迫ってきていた。
三重県四日市市にある私立暁学園暁高校で2022年、当時3年だった女子生徒が交際していた男子生徒から受けたとされる性被害について、学校が設置した第三者委員会が「女性は心理的苦痛を感じていた」として、いじめ重大事態に認定したことが関係者への取材で分かった。
焦点は「交際関係にあったカップルの性行為が、いじめに該当するのかの判断」だ。
大学教授や弁護士ら4人で構成された第三者委員会が今年6月にまとめた31ページにわたる報告書によると、性行為は通常望まない人の出入りがある場所で行われ、被害女性の心理的負担になったと認定した。
女子高校生への支配は教室や通学路でも…
確かに、性行為は学校内の教室、通学路、公園、グラウンド、公衆トイレなどで繰り返され、それは約4か月間で20回以上にも上った。別れたいと告げると謝り「別れるのなら死ぬぞ」と逆に脅してくる。
その後、女性は欠席や早退を繰り返し、PTSD・心的外傷後ストレス障害と診断されたのだが、第三者委員会は、その原因は男子生徒によるいじめだと結論づけたのだ。
また、暁高校は、被害直後の2022年11月には事案を把握していたが、三重県から「いじめとして調査すべき」との再三の助言があったにも関わらず、十分な対応をとらなかった。学校は事の重大さ、深刻さを認識していなかったといわざるを得ない。
「ホッとした」と話す一方で…
両親は当初から「相手は同級生で、学校内で起きていること。いじめ重大事態として扱って欲しい」と学校へ働きかけたが「生徒間のトラブルではなく、男女間のトラブル」と、学校ではなく警察が主体的に調査すべきではないかと回答していた。第三者委員会は、これを「いじめに対する認識の欠如が原因」だと断じた。
3年にわたり、学校に第三者委員会の設置を求めてきた母親は「これまでの学校や第三者委員会の対応から認定はしないつもりだろうと思っていたので、ホッとした」と話す一方、調査を尽くしているとはいえないとして、報告書の内容には到底納得できないと不満を口にした。
「明らかに事実や評価に誤りがある」として第三者委員会へ訂正を求める考えだ。
立ちはだかる“法律の壁”
当初から被害者家族を支援してきた一般社団法人「ヒューマンラブエイド」の仲野繁共同代表は、私の取材に「交際中でも被害者がどう思うかが極めて重要で、望まない性行為はいじめの重大事態に当たると明確に示された」と話したうえで、「同じような学校内での被害者に希望を与える内容で、教育界において前進」と評価した。
こうした性被害は、結婚していれば、DV防止法の適用となるが、交際している場合は適用されない。また、この事案は2022年の出来事で、翌年に新設された不同意性行等罪に該当せず、警察にも取り合ってもらえなかった。立ちはだかる法律の壁、それでも学校側へ粘り強く訴えた被害女性と両親。
私は、その経緯を取材してきたが、幾度にもわたる学校との折衝は壮絶そのもので、母親も心を患ってしまうのでないかと心配になるほどだった。
普通なら折れそうになる心を奮い立たせてきたのは、今なお苦しむ娘を救いたい思いと、もっと違った青春時代を送ることができたはずの娘の未来を奪われたことへの怒りだったのかもしれない。
「社会に絶望しました。誰のことも信用できません」
母親が被害者の娘に、この報告書の内容の一部を伝えると一言呟いた。
「えっ?認定したんや」
悲しいような、怒っているような、呆れているような表情をして、その場を離れたと母親は語っていた。
被害女性本人が第三者委員会に宛てた手紙には、こう記されている。
「私は公の機関なら当然助けてくれるだろうと思っていましたが、これが大人のすることなのか…と社会に絶望しました。誰のことも信用できません。こんな大人にはなりたくないと強く思います」
今もPTSDの症状に苦しみながら、時折涙が自然と溢れ、「いなくなりたい」と思ってしまうこともあるという。
信頼していた先生ら学校も、そして警察も。手を伸ばしても誰も握り返してくれなかった社会への絶望感はいかばかりだったか。救いを求める生徒に寄り添い、助けるのが学校であり、警察ではないのか。
いじめ重大事態と認定されても、被害女性の時計の針を戻すことはできない。でもこの一歩で、彼女に少しでも光が差すことを願わずにはいられない。
【CBCテレビ論説室長 大石邦彦】

「誰がこんな泥舟に乗りたいもんか」後任幹事長も決まらない石破政権…「総裁選前倒し」規定発動の前にささやかれる自壊シナリオ

先の参院選では自民党は大敗した。昨年の衆院選、今年の都議選に続き、さきの参院選でも敗れノックアウト寸前の石破茂政権。総理退任論が党内外から湧き上がるなか、政権はいつまで続くのか? 石破総理本人は並々ならぬ続投への意欲を隠さないが、自民党内では「反石破派」による包囲網が刻一刻としかれつつある。
【画像】反石破派に軍配があがった両院議員総会の様子
反石破派に軍配があがった両院議員総会

最高気温が35度とうだるような暑さだった8日の東京・永田町。自民党本部では両院議員総会が開かれた。党大会に次ぐ意思決定機関と言われる会合の席で、石破総理は改めて「続投」への意欲を見せた。
総会には党所属議員297人のうち、253人が出席。そのうち35人が発言した。石破総理が自身のX(エックス)にアップした写真では、空席が目立ってみえるが、実際には8割以上の党所属議員が出席していた。
この総会については、開催前から水面下で石破執行部と反石破派の間で苛烈な駆け引きが繰り広げられていたことが取材によってみえてくる。結論から先に書いてしまうと、反石破派側に軍配が上がったと言えるだろう。
自民党史上初の「総裁選前倒し」実現か
両院議員総会は党所属議員3分の1の署名で執行部に対して、開催を求めることが出来る。旧茂木派などが中心になって今月上旬にはほぼ署名は集まった。
そうした情報を入手し、署名が提出されることが不可避とみた石破執行部側では森山裕幹事長が先手を打った。
前もって「両院議員総会で総裁の辞任は決められない」という自民党のルールがあることを石破降ろし側へ通告した。開催日も議員が地元に戻る金曜の午後に設定し、2時間で終わるように仕組む念の入れようだった。
それに対して、石破降ろし側は「石破総理を辞任に追い込む」という直接対決から、「総裁選前倒し」の可否と検討を求める、という防衛ラインをあえて下げる作戦をひそかに練っていた。
出席した議員に取材すると2時間の流れはこうだ。まず冒頭で石破総理が「関税交渉、米問題、防災をどうするのか。引き続き日本国に責任を持っていく」と続投を宣言した。
「有村会長のナイスな裁定だった」(閣僚経験者)
それに対して、旧安倍派の青山繁晴参院議員がマイクを握って「総理は辞めるべきだ」と公然と辞任を求めた。そうした「石破降ろしの声」をひな壇に座り、相手を見ずに腕を組んで聞き置くようなしぐさの石破総理に対し、「いつまで続けるつもりだ」など罵声も飛び交ったという。
局面が変わったのは開会から1時間ほどたってから。司会進行役の有村治子両院議員総会長がこう切り出した。
「総裁選を前倒して実施するべきかどうかに絞って意見をお願いします」
ここで臨時総裁選を実施するべきだという声が続き、有村会長が「総意でよろしいですね?」と問いかけると、拍手が巻き起こった。この瞬間、総裁選前倒しに向けて検討と準備を進めていくことが決まった。
「党則に則って総裁選が前倒しされるだろう。この流れをつくった有村会長のナイスな裁定だった」(出席した閣僚経験者)。
有村氏は「石破総理の続投を認めない」と語ったとされる麻生太郎元総理が率いる麻生派に所属している。「反石破派」と事前に入念に打ち合わせたとみられるスムーズな進行だった。それまで「石破は辞めろ」といっていた反石破派の議員たちも一気に歩調を合わせたからだ。
総裁選の前倒しとは?
自民党の総裁任期は3年だ。昨年9月に総裁選を制した石破総裁の任期はあと2年残る。自民党の党則に総裁をクビにできる規定はない。
ただ、総裁選を前倒して実施することができる規定がある。党則6条4項にある「総裁選前倒し規定」だ。事実上の「総裁リコール規定」と言われている。
2001年の「森降ろし」のときだ。「自民党には自分たちが選んだ総裁を辞めさせる規定がないじゃないか」と気づかされることになり、2002年に新たに設けられた規定だ。
「自民党に所属する国会議員と都道府県連代表の総数の過半数の要求があれば臨時の総裁選が行われる」と記してある。
自民党の党所属議員は衆参295人(衆参議長除く)。都道府県連代表が47人。総数342人中の172人の要求が必要だ。ただ、これまでこの規定が行使されたことは一度もなく、172人の賛否の意思確認の方法などは明記されていない。
今後の意思確認の方法などを総裁選選挙管理委員会で決めてから、同委員会が意思確認を実施していくことになる。
山場は参院選の総括と森山幹事長の去就
ただ、同委員会は11人中6人がいまは落選していて欠員だ。委員長の逢沢一郎衆院議員は海外出張などもあり、動き出すのは早くても8月下旬以降になるだろう。
お盆休み明けの19日にも初回となる会議を開く予定だが、欠員を補充して意思確認の方法を定めることから始めることを考えれば、「少なくとも1カ月以上はかかる」(同委員会のメンバー)とみている。
総会は「反石破派」の作戦勝ちだった。ただ、その意思確認やその方法の確立には相当の時間がかかる。その前にやってくる山場が今回の歴史的な大敗をめぐる「参院選の総括」だ。
8月の最終週にも開催予定だが、その席で森山裕幹事長は「責任を明らかにしたい」と自らの辞任を示唆している。
「石破政権は森山幹事長でもっている」
与野党限らず、永田町ではもはや定説と言えるだろう。自民党内に派閥など足場のない石破総理に代わって党内ににらみを利かせ、野党との太いパイプで少数与党国会を乗り切ってきた。石破総理も「森山さんがいなければ政権運営はできない」とその存在の大きさを認めている。
その森山幹事長が8月末に退任意向を表明したらどうなるか。9月末の自民党の役員任期を前に後任の幹事長を決めなければならない。いつ終わるか分からない政権だ。後任の幹事長選びは難航するだろう。
党内を見渡してみて、石破総理に近い議員の一人は野田聖子元総務大臣の名前を挙げる。自民党史上初の女性幹事長と話題性はあるが、衆参の少数与党という状況で、野党との折衝などとても森山幹事長の後任が務まるとは思わない。
「誰がこんな泥舟に乗りたいもんか」
備蓄米への素早い対応で評価を上げた小泉進次郎氏を挙げる声もある。ただ、小泉氏自身が今回の大敗を「重く受け止めるべきだ」と語っていて、今以上に石破総理を支える側に回ることはないだろう。
後任の幹事長が決められない。さらに同じ党四役のうち、木原誠二選挙対策委員長も総括後に辞任すると表明している。総務会長の鈴木俊一、政調会長の小野寺五典の両氏も9月以降の続投については否定している。鈴木氏は麻生派で、小野寺氏は旧岸田派だ。
つまり、石破総理が9月の自民党役員人事を乗り切るのは極めて難しい。「誰がこんな泥舟に乗りたいもんか」(旧岸田派の議員)。
8月最終週の総括までに石破総理が森山幹事長を慰留で説得できなければ、「総裁選前倒し」規定が発動される前に、自壊する可能性がある。
<後編>豊田章男経産相、安野貴博デジタル相、幹事長はまさかの…石破「やけくそ」崖っぷち改造内閣の顔ぶれを占う に続く
文/長島重治
〈豊田章男経産相、安野貴博デジタル相、幹事長はまさかの…石破「やけくそ」崖っぷち改造内閣の顔ぶれを占う〉へ続く

〈学歴詐称疑惑〉田久保市長を刑事告発した建設会社社長が独白…私的なLINEをさらされ「喧嘩売ってんだな」「捜査は動いています」

〈〈田久保市長・独白90分〉「雰囲気がよそよそしかったのでスマホの録画ボタンを押したんです」卒業証書チラ見せ騒動の詳細と、今も市長の座にしがみつく理由 〉から続く
学歴詐称問題が拡大する静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が8月11日、突然自身のXとFacebookで知人からのLINEのメッセージをさらした。相手はことし5月の市長選で田久保市長に破れた前市長の後援会長を務め、また同市長を公職選挙法違反で刑事告発している市内の建設会社社長・山口喜廣氏。田久保市長はLINEをさらした理由について、集英社オンラインのインタビュー内で「何が起きているのか市民のかたに知っていただくことも大事なことかと思った」と語っている。山口氏はどう感じているのだろうか。本人に話を聞いた。
〈画像〉1992年3月31日除籍…田久保市長が持参した東洋大学の在籍期間証明書
刑事告発した理由「一緒にやっていくのは無理だと思った」
――田久保市長とはどのような関係ですか?
市議を2期務めた田久保さんが最初に(市議選に)立候補する前から県議も交えてご飯を食べ、『できる限り応援します』って私が声をかけました。田久保さんはメガソーラー事業反対を掲げて市議になりました。
昨年12月に、当時2期目の市長だった小野達也氏が「3期目を目指したい」と言ってきました。僕は「小野さん、評判悪いよ。市民のためにこういうことをしなきゃいけないけどやってくれるの?」って聞くと「やる」と言う。
それで後援会会長を引き受け、政治資金パーティーを開いたりしました。
――田久保市長が5月の市長選に出馬すると表明する前ですね?
はい。田久保さんは4月4日に立候補を表明し、その後に僕の友人から「田久保に会ってほしい」とLINEが来たんです。僕は伊東を良くしてくれるのは小野さんだけではないと思っているから4月14日に田久保さんに会いました。
田久保さんは「周りに人がいない(場所の)方がいいですか」とLINEで聞いてきたけど僕はそんなこと関係ないから喫茶店で会って、その姿をみんな見てます。
その時に小野さんへの評価が僕と田久保さんで合致したんです。それで「選挙で小野が勝ったら俺は小野にやらせるよ。俺、約束したからね。その代わり、田久保さん勝ったら、田久保さんやってよ。俺も協力するから」っていう話をしたんです。
――5月25日の市長選で田久保さんが勝ちました。
そしたら田久保さんから「29日に登庁して市長になる前に会いたい」とLINEが来ました。それで27日の9時から12時ぐらいまで(会って)話をしたんです。「4月14日に意見は一致してたから、市民、伊東のために頑張ろうね」って。
当選証書の写真も撮らせてもらいました。その後も「定期的に会食しながら意見交換させてください」ってLINEしてきました。
だから刑事告発は(応援していた候補が)選挙で負けた腹いせだとみんな誤解しているんですけど、全然そうじゃないんです。
――では告発した理由は何ですか?
一緒に伊東を良くしようという話をしたのに、(田久保市長が「大卒ではなく除籍だった」と認めた)7月2日の会見がありました。それを見て一緒にやっていくのは無理だと思ったんです。
ある田久保さんの支持者は「学歴なんて関係ねえ。この先伊東市を良くすりゃいいんだ」って言うけど、やっぱり(経歴詐称は)公職選挙法に触れるじゃないですか。
だから俺は、支持者が言うことを真に受けるような市長ではダメで、ちゃんと刑事告発して真偽を確認しようと思いました。
「離れていった元の支持者や市民らへの脅しだと思います」
――田久保市長は偽造の疑いがある卒業証書を静岡地検に提出すると7月7日夜の記者会見で表明しましたが、その後あなたに刑事告訴されたことが分かったと言ってその約束を撤回しました。同じ理由で市議会の調査特別委員会(百条委)にも提出しません。
私は7月7日午前7時37分に彼女にLINEで「11時に告発します」と伝え、すぐに既読になりました。田久保さんの記者会見で同席した弁護士も「告発された」と発言しています。
なので記者会見の時に田久保さんが告発を知らないはずがないのに、私の告発で「状況が変わった」と言って約束を守りませんでした。
あの記者会見では市長を辞職し、出直し選挙に再出馬するとも約束しましたが、それも破りました。あの時は選挙で勝てると思っていたのに、その後、支持者がどんどん離れ、再選できないことを悟って辞職しないことにしたんだと思います。
状況が変わったと言うなら支持者が減ったことでしょう。
――8月11日に田久保市長は、8月6日に受けたというLINEのスクショを自分のXとFacebookで発信者を明かさずに公開しました。
そこには〈明日、文春砲を撃たれるみたいです。(中略)信頼回復は無理です!二人で話をした事を実現するのは無理なんです。(中略)私は副市長にどうですか!?と考えて田久保市長へ打診しようかと考えました。周りからも副市長になり田久保市政を支えてやれと言われました。私が副市長ならば議会を掌握出来ると皆様が考えたんだと思います。(中略)田久保市長、私と会話してください。マスコミには言いません。〉(原文ママ)と書かれています。これは山口さんが送られたものですか?
そう、隠すことはしません。文春砲でプライベートに関する記事が出るようなので、田久保さんにもう(市長を)辞めた方がいいと助言するというのが一番の目的でした。
副市長の件は、市長当選直後の5月29日に、田久保さんの熱烈な支持者から私が副市長になってくれと言われたことはあります。「私なら議会を掌握できるという方もいますよ」と言ってるだけで、俺がやりたいなんて書いてないです。
田久保さんのことを思って「俺はここまで考えたんだよ。だから俺と話してくれよ」と。言葉足らずのところはあるかもしれないけど意図はそういうわけです。
――では、田久保市長がこのスクショをさらした狙いは何だと思いますか?
完全に俺に喧嘩売ってんだなって思ってます。心情的にはプライバシー侵害で訴えたいです。
俺がメガソーラーの推進派で、新図書館推進派で、建設業の利権があるとか言われましたが、俺は公共事業なんて1円もやってないし、メガソーラー関連の仕事なんて1回もやったことありません。
全部地元新聞のインタビューで否定してやりました。だからもう多分(私を攻める)ネタがないんですよ。
田久保さんに不利な話をしたら、いちいち開示します(さらします)よっていう姿勢を見せることは、離れていった元の支持者や市民らへの脅しだと思います。
――田久保市長は13日にこれまで拒んできた百条委の尋問に出頭しました。
ここで出席を拒否すると刑事告発に至る。だから一応出ておこうという考えだと思います。だけど結局今回、答弁拒否のような返事をしているので、(百条委に)刑事告発をしてほしいです。
また私の告発は7月28日に受理され、県警はすでに市幹部から事情を聴いており捜査は動いています。

現役市長が自分を告発した人物との私信を、あたかも報復するかのようにさらしているが、こんなことで市民の個人情報の管理は大丈夫なのだろうか。田久保市長の訴えを伊東市民はどう受け取るのか。まだまだ市長の言動には注目が集まりそうだ。
※「集英社オンライン」では、今回の記事についてのご意見、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

クマに襲われる恐怖「かじられているのが分かった」住宅街での対策に新たな課題 配達員死亡から1か月

【動画】クマに襲われる恐怖 いまなお残る生活への影響「猛暑でエサ不足深刻」対策に新たな課題 配達員死亡から1か月 北海道福島町
北海道福島町の住宅街で、男性がクマに襲われ死亡してから8月12日で1か月です。
町内ではいまも住民生活に影響が残っているほか、駆除された当時の状況を改めて取材すると、住宅街のクマ対策について新たな課題も見えてきました。
新聞配達員の男性を襲ったクマ 4年前には女性も…駆除の一部始終
7月18日未明の道南・福島町。
ただならぬ緊張感が漂っていました。
そして・・・
(山本記者)「いま大きな銃発音が鳴り響きました。住宅街に銃声が鳴り響きました」
福島町で男性を襲い死亡させたクマが駆除された瞬間です。
駆除されたのは体重218キロ。
年齢は8歳から9歳ぐらいのオスでした。
駆除の瞬間、その緊迫した様子を警察が話しました。
(函館方面松前警察署 権藤要署長)「ハンターの話では、草藪の中で音が移動していた。クマが(ハンターの)正面に行って、姿かたちは見えないが、ゆっくり近づいてくるのがわかった。ハンターも1~2歩下がってしまったそうですが、ぐっとこらえた。ヒグマは人を襲う前に頭を伏せるそうなんですが、ハンターの3メートルくらい手前で身をかがめた。この瞬間だということで発射した」
一か月前、新聞配達中だった佐藤研樹さん52歳がクマに襲われ死亡しました。
藪へと引きずり込まれた佐藤さんの遺体には、腹部を中心に多数の噛まれた痕がありました。
町内では当時、駆除されたと思われるクマの目撃が相次いでいました。
その後、クマの毛を分析した結果、4年前にも77歳の女性を死亡させていたクマだったとわかりました。
クマに襲われるという恐怖は、一体どれほどのものなのかー
クマに襲われる恐怖「かじられているのが分かった」
(福原誠章さん)「ガーッと引っかかれたと思う。頭蓋骨が割れて、病院に運ばれたけども、目はどうしようもなくて。2人ともよく助かった。奇跡だと思っている」
こう話すのは3年前、道南の松前町でクマに襲われた福原さん夫婦です。
福原さんは妻とともに自宅近くで畑作業をしていたところ、突然体長2メートルほどのクマに襲われたといいます。
鋭い爪の衝撃で福島さんは片目を失明、妻の春子さんも顔などを40針以上縫う重傷で、入院を余儀なくされました。
(福原春子さん)「大きい音とともに、パッと口の開いたクマが顔をのぞかせた。この辺からガリガリガリガリ (頭を)かじっているのがわかった。やっぱり(頭を)かじられていた。私の顔なくなっちゃうんだなと思った、その時は」
福島町のクマ襲撃は他人事に感じられなかったといいます。
(福原誠章さん)「かわいそうだな、かわいそうだな、まかり間違えば自分たちもそうだったなと。本当に胸が苦しくなる」
クマ駆除後も残る影響…福島町
男性が死亡した福島町では、クマが駆除された後も影響が色濃く残っていました。
(吉岡記者)「クマが駆除された現場から400メートルほど離れたビーチです。海水浴日和ではありますが、誰一人姿は見えません」
毎年夏休みに賑わうというビーチには、波の音だけが響いていました。
町内のヒグマ注意報は11日で終了しましたが、夏祭りや花火大会は中止となりました。
町民の不安な日々は今も続いています。
(福島町民)「クマの活動しない時間帯をねらって過ごしています。やっぱり買い物の回数は減りました。こわくて」
(福島町民)「ここを通っている映像を見てしまったので怖くて。駆除された後でも夕方になると外に出られないです。出ないようにしています」
町では今回のクマを駆除したあとも対策を進めています。
町は生い茂っていた草やぶの大部分を刈り取りました。
クマは草やぶに沿って住宅街に近づくためです。
また、駆除されたクマはゴミ置き場の生ごみを狙って何度も出没していたため、町はゴミ出しのルールを徹底するよう今も呼び掛けています。
さらにー
(吉岡記者)「何度もクマの目撃があった住宅街のすぐ近く、山沿いの道には電気柵が設置されました。1.5キロにわたって続いています」
町ではクマ対策費としておよそ2800万円を盛り込んだ一般会計補正予算案が可決されるなど、クマ対策に追われています。
2025年のクマに関する警察への通報は7月末までで2003件と、過去10年で最多の通報件数だった2023年を上回るペースです。
道南ではクマによる食害が連日のように発生しています。
専門家は、猛暑の影響でクマのエサが不足していると指摘し、今後もより警戒が必要だと訴えます。
(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「8月に入ってクマのエサ不足が深刻になっている。未然の防除がきちんと行われたうえで、それでも人の生活圏に入ってくるクマに関しては適切に駆除していくことが大事」
しかし、9月以降再びクマが現れたらー
町は新たな課題に直面することになります。
改正鳥獣保護管理法 発砲の判断と責任は「自治体」に…新たな課題も
(吉岡記者)「ハンターは警察からの発砲命令を受けてこの場所でクマを駆除しました。しかし9月からは、市町村の責任でハンターが発砲することになります」
9月1日、改正鳥獣保護管理法が施行されます。
これまで原則禁止されていた市街地での銃を使ったクマ駆除が、住民の安全確保などの条件を満たせば可能になります。
ただ、発砲の判断と責任は自治体が負うことになります。
今回福島町でクマが駆除されたのは、発砲が原則禁止されている住宅街の中の茂みでした。
警察が発砲の判断をしましたが、クマがいた茂みがなだらかな坂になっていて、その下にある地面に銃弾があたっても、人や民家に到達するのを遮る壁「バックストップ」になるとして、発砲を許可したといいます。
(函館方面松前警察署 権藤要署長)「人への危害が絶対に及ばないこと、バックストップが確保されていることなど、その場の状況に応じて安全性をその都度判断していく難しさはあります」
今後、状況に応じた判断が自治体の職員に求められますが、職員たちは限られた人数で看板設置やパトロールなど、クマ対策に追われているのが現状です。
(福島町 鳴海清春町長)「我々は予算・人的制限もあってその中でやっている。今だって職員が寝ないでやっているわけですから、やれることは最大限やってきたつもり」
さらに、9月から発砲を判断することについて問われるとー
(福島町 鳴海清春町長)「いくらいいことを言っても我々は素人でありますので。ハンターの判断を我々が後押しするような形で判断する」
今まで発砲の判断を担っていた警察は、関係機関が今まで以上に普段から連携する必要があると指摘します。
(函館方面松前警察署 権藤要署長)「役場とハンターと警察が同じ温度感で対処することが重要。訓練などを通して意思疎通を図って信頼関係を築いておくことが大切」
男性がクマに襲われた死亡してから1か月。
クマと人が共存するためにー
自治体は、ハンター・警察との新たな体制づくりという新たな課題に直面しています。

今日は東海から西日本を中心に厳しい残暑 体温に迫る暑さも

今日16日(土)は晴れる所が多くなり、西日本や東海を中心に猛烈な残暑になるとみられます。
昼は最高気温が35℃以上の猛暑日となる地点が続出し、体温に迫る暑さとなるところもありそうです。引き続き熱中症対策を万全にお過ごしください。
各地で猛暑日予想 お出かけの際は熱中症対策を万全に
勢力を強めた太平洋高気圧が西日本から東日本を覆うため、今日から明日17日(日)は晴れて強い日差しの照りつけるところが多くなりそうです。
北日本は朝は涼しい体感でも昼間は気温が上昇します。広い範囲で30℃を超える予想で、札幌の予想最高気温は32℃です。
東日本でも最高気温が30℃を上回る地点が多くなる見込みで、東京は32℃が予想されています。
特に東海から西日本にかけては猛烈な残暑となるとみられ、各地で最高気温が35℃以上の猛暑日が予想されています。名古屋や大阪で35℃、京都で36℃、山口で37℃の予想です。
お盆休みを利用してお墓参りやお出かけをされる方も多いと思われますが、帽子や日傘などでの日差し対策、屋外での長時間の活動を避け涼しい場所で休憩するなど、熱中症に十分に注意してください。
お盆休み明けも残暑が継続
太平洋高気圧は来週にかけて日本列島を覆い、上空1,500m付近には+18℃以上の暖気が流れ込む見通しです。
特に東海や近畿で厳しい残暑となるとみられ、名古屋では1週間以上猛暑日が続く予想です。週前半は東京都心でも猛暑日が予想されています。
体調管理をしっかり行って、熱中症にならないよう注意をしてください。

子どもへの性暴力防ぐフランスの現状~小児性愛者からの相談受ける専門窓口も

フランスでは子どもへの性暴力を防ぐため、教員や医師らに研修を行う公的なセンターが全国にあり、またそれとは別に「小児性愛」の人が性暴力を起こしそうだといった不安を相談できる公的窓口もあるということです。フランスの実情についての講演会を取材しました。
フランスでは、子どもへの性暴力加害者や性的に問題がある行動を見せる子どもを早期に見つけて、支援などにつなげるよう、教員や警察官などに研修を行う公的なセンター(CRIAVS=クリアヴス)が全国各地にあり、これは2006年、保健省が設置したものだということです。クリアヴスで働く専門家、セバスチャン・ブロショ氏が来日し13日、埼玉県内で講演会を行いました。
クリアヴスは教員、児童福祉の教育担当者、宗教関係者や警察官、医師などへの研修のほか、病院などでの対応の支援、性暴力予防キャンペーン実施、教員ら専門職向けに性的同意を学べるゲームなどを開発し無料提供、性暴力に関する研究の支援なども行っているということです。
クリアヴスは「加害者に対応する専門職のためのリソースセンター」の略称ですが、この講演会の通訳を務めたフランス在住の子ども家庭福祉研究者、安發明子(あわあきこ)さんによりますと、センターの主な活動は「性加害をした大人」のケアを担うためというよりは、子どもの段階で性的問題行動をするケースに周りの大人たちが早めに気づき、必要な場合には、その子どもを専門家による治療などにつなげることだということです、子ども時代など早い段階で性的な問題を抱える人を見つけ、排除するのではなく、適切にケアすれば、子どもへの性加害を減らせるといった考え方です。
性的な問題行動をする子どもが全て性加害者になるわけではないものの、性加害者の多くが性的問題行動について適切な対応がされなかった背景があるとわかっているということです。教員などは、子どもたちが示す性的問題行動とは何か、どういう場合に専門家につなげる必要があるのかといった知識を十分に学ぶことが重要で、そのためにクリアヴスが研修や啓発を行います。フランスには「子どもと若者の性的行動」といった冊子があり、それぞれの年代の子どもが見せる性的な行動や関心について、発達段階にふさわしいもの、心配なもの、専門家の助けが必要なもの(その子ども自身が性に関して混乱している可能性があり、専門家によるケアなどが必要)がわかりやすく区分けされて示されています。
ブロショ氏は講演の中で、フランスでは、子どもに持続的に性的関心を持つ「小児性愛」(ペドフィリア)と実際に性的な加害をする「小児性犯罪」(ペドクリミナリテ)を区別してとらえていると説明しました。そして、小児性愛者が、「自分が犯罪を起こしそうだ」などと不安を抱く場合、相談できる公的な専用窓口(STOPという名称)があり、医療機関の紹介など含め支援を受けられるということです。
ブロショ氏によると、小児性愛になる原因はわかっておらず、男性の3~6%、女性の1~3%いるとされ、性的な対象が特定の年齢に非常に限定される場合と子どもと大人両方を対象とする場合があるということです。そして、重要な点として、小児性愛であることは本人が選んだことではない、大多数は子どもへの性加害行為をしないと考えられていることをあげました。ブロショ氏は「子どもへの性的な気持ちを持つかどうかは選べないが、どう行動するかは選ぶことができる。小児性愛者は助けを求められる(相談)場所を知っておくべき」と述べ、そうしたことが子どもへの性暴力を防ぐことになるということです。
ブロショ氏は、性的な好奇心や衝動は、成長過程で自然に出てくるもので健全なことだとした上で、日本人向けに、炊飯器にたとえて解説しました。米を炊く際、蒸気(性衝動)はコントロールされつつ、外に安全に放出される必要があり、無理にではなく、適切な形で抑制、受容する必要があると強調しました。そして大人は家庭や学校、児童養護施設などあらゆる場所で、子どもが性への好奇心を持って質問してきた場合、丁寧に答える姿勢が必要で、子どもに関わる職業に就く人や親は性教育の研修を受け、説明できるようにすべきだと話しました。そして、子どもや思春期の若者が、性暴力にあったり、ポルノへの接触、早期に性的対象にされる、などがあると感情面や性的機能が混乱するリスクがあるとして、性暴力はもちろん、児童ポルノなども放置しないようにし、それらが起きた時は、被害者であれ加害者であれ、できるだけ早く適切な支援が必要だということです。
フランスでは、3歳から「心理的社会的能力」を育成するということです。これは性的関係だけでなく、人間関係全般に必要な力で、感情のコントロール、共感性、人間関係の築き方などを学ぶもの。この能力がないと、暴力をふるう、または相手の期待に応えなくてはと思い込み、被害を受けるリスクも高まるということです。
性暴力は、大人と子どもの間だけでなく、思春期のカップルでも起こるということです(望まない性的な接触や性行為など)。しかし、若者自身がそれを「暴力」だと認識できないこともあるため、パリ市は全ての子どもに、どこまでが良好な関係で、どういったことが「暴力」にあたるのか、具体的な行動を一覧にした細長い「スケール(定規)」形のパンフレットを配布しているということです。
ブロショ氏は、性暴力を防ぐための考え方として、1+1=1ではなく、1+1=3だと説明しました。性加害者の多くやDVを経験しているカップルは、1+1=1、つまり相手との関係性の中で自分を見失い、相手と自分がいっしょくたになっている状態だといいます。しかし、実際には、自分と相手は別の人間で、境界があり、それぞれが違う気持ちを持っている。さらに周りには社会や制度、法律といった大きな枠組みがあり、それらが適切な境界や限界を示してくれる。それが自分と相手、それに社会、あわせて「3」だととらえる考え方だということです。
自分と相手が一体化して区別がないと、相手の感情がわからず、相手に何をしても構わないという感覚になるほか、逆に、相手の期待に応えないといけないと思い込み、いやだと言えないことにもつながるということです。こうした関係を脱するには、まずは自分が誰なのかを考え理解する、すると「相手は自分とは別だ」とわかるということです。子どもであれ、大人であれ、ひとりの人間として「私自身として存在する」ことを学ぶのが重要だということです。
ブロショ氏は親子関係についても言及。フランスでは性行為がなくても、「近親姦的な空気」の家庭があるという理論を1980年代に、ある精神科医が打ち出したということです。「近親姦的」とは、子どもに自分の立ち位置が与えられず、家族それぞれの関係性が曖昧で、個々人の境界線も曖昧な状態を指し、多くの性加害者がこうした家庭環境で育った経験があると指摘しました。ブロショ氏は、集団を重んじる日本と個人主義が過剰なフランスでは感覚が異なることに理解を示した上で、集団に属しながらも自分自身の個や境界を保つことが大切だ、と強調しました。
今後、日本でも、子どもへの性暴力を防ぐため、日本版DBS(性犯罪歴がある人が子どもに接する職業に就けなくなる仕組み)の導入や初犯を防ぐための研修を学校や保育園などで職員向けに行うことなどを含む新たな制度が施行されます。講演会で通訳と背景の解説も行った研究者、安發(あわ)明子さんは、日本テレビの取材に対し、「フランスでは、教師などに研修を行う公的センター=クリアヴスはフランス保健省が設置しているため、考え方が統一されている。今後、日本で研修を各現場に任せると質にばらつきが出る恐れがあり、国が一定の内容を示す必要があるのではないか」と指摘しました。

【記事資料】(安發明子さん提供) ・暴力定規 ・性的 問題行動について知り、対応する

埼玉県警が「ポリスカード」制作 QRコードを読み込むと…

子供に交通安全を呼びかけようと、埼玉県警が警察署や県警本部などを載せたカードゲーム風の「ポリスカード」を制作した。今後、各署で開催される交通安全キャンペーンなどで配布される。
狙いは子供への交通安全啓発。カード表面には警察署の写真と、管内についての解説が掲載されている。裏面のQRコードをスマートフォンで読み取ると、管内の小学校周辺での交通事故発生状況をまとめたウェブサイトにつながる。県警の担当者は「子供たちの間でカードコレクションが流行していることから作成しました。交通安全を考えるきっかけにしてもらえれば」と話した。
図柄は39署と県警本部の計40種類で、ノーマルカード1260枚と、キラキラした加工が施されたレアカード80枚が制作された。ノーマルカードは各署のイベントで配布し、レアカードは交通安全に貢献した人などに各署が贈呈する。
配布するイベントについての情報は県警交通総務課公式X(ツイッター・@spp_koutusoumu)で発信する。【田原拓郎】

こだま764号の煙は「9号車の床下」から…3800人に影響の東海道新幹線、16日は始発から通常運行

15日午後9時45分頃、東海道新幹線の米原―岐阜羽島間を走行中の新大阪発静岡行き「こだま764号」(16両)から発煙が確認され、岐阜羽島駅で停車して運転を取りやめた。乗客約250人は同駅で降り、後続の新幹線に乗り換えた。1人が頭痛を訴えたという。
JR東海などによると、9号車の床下から煙が出たといい、同社で原因を調べている。上りの新幹線4本に最大52分の遅れがあり、約3800人に影響があった。東海道新幹線は16日始発から通常通り運行している。