地下鉄サリン事件 目の不調、PTSDいまも 10年前と状況変わらず 被害者アンケート

オウム真理教犯罪被害者支援機構は10日、地下鉄サリン事件の被害者を対象にしたアンケート結果を公表した。目の不調や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状がある人の割合は10年前の調査からほぼ変わらず、調査に当たった専門家らは「改めて事件の深刻さが表れた」と話す。
調査は機構が筑波大の松井豊名誉教授(社会心理学)らに依頼。機構が把握している被害者ら1058人にアンケートを送り、323人から回答を得た。
現在も「めまい」や「目に異物感」など目に関する症状を訴える人が7割前後いたほか、PTSDのリスクが高い人が26%にのぼった。「いまだに地下鉄に1人で乗ることはできず、報道を見ると過呼吸や涙が止まらない」「電車に乗れない。映画館、会議室などの密室もダメ」といった声が寄せられたという。
事件に対する気持ちを問う設問(複数回答可)では、「事件を風化させたくない」(75%)が最も多く、「後継団体を解散させてほしい」(73%)、「後継団体に怒りを感じる」(62%)と続いた。
また、平成30年に元教祖の麻原彰晃元死刑囚=本名・松本智津夫、執行時(63)=ら教団幹部の死刑が執行されたが「気が晴れなかった」と答えた人も41%いた。
事件や被害者支援について望むことでは、「マスコミの継続的な報道」(40%)、「健康診断」(29%)、「経済的な支援」(23%)の順に多かった。
10日に東京都内で記者会見した松井名誉教授は「化学テロ事件のため、自分の症状がどう変化するか分からないことが不安につながっているのではないか」と推測。機構の宇都宮健児理事長は「後継団体に進めている賠償請求を実現し、救済につなげたい」としている。

日米防衛相が電話会談=イラン情勢巡り

小泉進次郎防衛相は10日、米国のヘグセス国防長官と電話会談した。イラン情勢を巡り、ヘグセス氏が最新の状況や今後の見通しを説明。小泉氏は邦人保護に万全を期すため「重大な関心を持って事態の推移を注視している」と伝えた。
米国とイスラエルによるイラン攻撃後、両氏の協議が明らかになるのは初めて。約20分間行われ、緊密な意思疎通を続けることでも一致した。
一方、高市早苗首相は10日、グラス駐日米大使と首相官邸で面会し、今月予定する自身の訪米に触れ「揺るぎない日米同盟を改めて示す機会になることを楽しみにしている」と語った。トランプ大統領との日米首脳会談は19日にワシントンで行われる予定。
グラス氏は「同盟はかつてなく強固になっている」と指摘し、「自由で開かれたインド太平洋」構想への米国の関与を改めて表明。イラン情勢についても意見を交わした。 [時事通信社]

被災地に追悼のろうそく=宮城・福島で祈り―東日本大震災15年

東日本大震災の発生から15年となるのを前に、被災地の宮城、福島両県で10日夜、ろうそくなどをともし犠牲者を追悼する行事が行われた。
福島県双葉町のJR双葉駅前には「活気にあふれますように」などとメッセージを書いたろうそく約600本が並べられた。同町は2022年8月、一部地域で避難指示が解除されたが住民の帰還は進まず、町内に暮らす住民は約200人(今月1日時点)。集団避難先の埼玉県加須市から同町を訪れた小畑明美さん(59)は「まだきのうのよう」と当時を振り返るとともに、「にぎわう町であってほしい」と再興に期待を寄せた。
宮城県気仙沼市の東日本大震災遺構・伝承館は夕暮れ後、震災遺構の県気仙沼向洋高校旧校舎の中庭に発光ダイオード(LED)の明かりを並べ、「ありがとう 3.11」の文字を浮かび上がらせた。熊谷心副館長(43)は「これまでたくさんの方に支えていただいたことへの感謝を伝えたい」と話した。
京都市から訪れた多那瀬晃さん(65)は、震災直後、支援のため気仙沼市を訪れたことがあるといい、「今年は手を合わせに来なければという思いで15年ぶりに来た」と語った。 [時事通信社]

滋賀の雑木林に60代女性の遺体遺棄 22歳を殺人容疑で再逮捕

滋賀県米原市の雑木林で昨年4月、女性(当時64歳)の遺体が見つかった事件で、滋賀・岐阜両県警の合同捜査本部は10日、死体遺棄容疑で逮捕されていたシリア国籍で無職のモハメド・ハムード容疑者(22)=岐阜県大垣市=を殺人の疑いで再逮捕した。捜査本部は認否を明らかにしていない。
再逮捕容疑は昨年3月14日午後5時半ごろから同8時50分ごろまでの間、岐阜県垂井町の用務員、桐山真弓さんの自宅車庫で、桐山さんの首を刃物のようなもので複数回刺したほか、首を絞めるなどして殺害したとしている。桐山さんの死因は窒息死だった。
ハムード容疑者はこの日のうちに桐山さんの遺体を車で運び、米原市の雑木林に放置したとして2月に逮捕されていた。捜査本部は容疑者が桐山さんの死亡の経緯についても知っているとみて捜査していた。
捜査本部によると、容疑者は2024年6月に来日し、事件当時は派遣社員として働いていた。2人の間に明確な接点は確認されていないといい、捜査本部は動機を詳しく調べる。【礒野健一】

東北3県沿岸42市町村、現役世代の流出が加速…減少率は全国平均の倍

人口は震災前から26万4100人減
東日本大震災から11日で15年となる。岩手、宮城、福島3県の沿岸など42市町村では現役世代(15~64歳)の流出が加速し、震災前と比べた減少率は全国平均の倍近い17%に及ぶことがわかった。42兆円を投じた復興事業でインフラは整備されたが、住民は戻らず地域の維持が課題だ。政府の復興事業は4月から東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた福島に重点を置くが、廃炉と除染土の最終処分の行方は見えない。
今年1~2月の住民基本台帳などでは、原発周辺を含む42市町村の全人口は約230万5500人で、震災前から1割となる約26万4100人が減少。現役世代は宮城県名取市以外は全て減り、65歳以上は42市町村で2割弱増えた。帰還困難区域が残る福島を中心に、なお2万6281人が避難している。
一方、復興特需は終わり、建設業などは受注減に苦しむ。基幹産業の水産業も震災前の水準に戻っていない。東京商工リサーチによると、震災関連倒産は3県で430件を超える。
人口減少が進む中、インフラの維持管理は市町村の重荷となっている。災害公営住宅が約2000戸ある宮城県気仙沼市は「将来的に集約や民間への売却を考える必要もある」とする。
4月から始まる5年間の「第3期復興・創生期間」で政府は福島の復興に重点的に取り組む。ただ、原発事故で発生した推計約880トンある溶融燃料(デブリ)の回収は進まず、約1400万立方メートルが保管されている除染土の最終処分のめども立っていない。

東日本大震災から15年 自民・鈴木幹事長「真の復興完遂まで党としてサポート」党声明も発表

東日本大震災から15年が経ち、自民党の鈴木幹事長は「真に復興が完遂するまで国が前面に立ち、責任を持ってやっていくことを党としてもサポートしていきたい」と述べました。
自民・鈴木幹事長 「被災地、被災民の方に寄り添って、真に復興が完遂をするところまで、国が前面に立って責任を持ってやっていくということを、党としてもしっかりとサポートしていきたい」
東日本大震災の発生から15年を迎えるにあたって鈴木幹事長は会見でこのように述べた上で、「ハード面が完了したからといって復興が成し遂げられたということではない。被災者の方々の高齢化も進む。地域の賑わいの復活や、心のケアなど継続していかなければならない」との考えを示しました。
また、自民党はきょう、「『東北の復興なくして日本の再生なし』という決意を胸に、引き続き復興・創生に全力で取り組んでまいります」などとする声明を発表しました。
特に、現在も一部地域で避難指示が続く福島県の復興については、▼東京電力・福島第一原発の安全・着実な廃炉や、▼除染した土壌の県外での最終処分に向けた復興再生土の利用、▼帰還・移住の促進などの取り組みを強化していくとしています。

ハンセン病資料館で特別展 隔離政策、家族ばらばらに

国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)は、国の隔離政策で深刻な差別を受けたハンセン病の元患者家族の証言を紹介する特別展を開催中だ。元患者家族らが2016年に熊本地裁に集団提訴してから今年で10年。訴訟に匿名原告として参加した70代の女性が、特別展で講演し「国の誤った政策により家族がばらばらにされた」と訴えた。
女性が2歳の時、母親がハンセン病を発症し熊本県の療養所に収容された。当時、国は官民で強制隔離を推進する「無らい県運動」を展開しており、「患者を見つけたら密告することが奨励され、家族や親戚は忌み嫌われた」と解説した。
母親は療養所で本名を捨てて園名を名乗り、高齢者の世話を強いられていた。ある時、母のきょうだいらが療養所を訪れ、母に「死んでくれ」と迫ったとも明かした。
やがて1歳上の兄もハンセン病を発症して療養所に入所した。国内で特効薬の使用が始まっていた時期で、長期収容は不要なはずだった。「家族だんらんの時間をなぜ奪ったのか。時間を返せと国や世間に言いたい」と力を込めた。

「大きなけがはしていないと思い…」 重傷ひき逃げ事件で77歳の男を逮捕・送検 札幌市東区

【速報】「大きなけがはしていないと思い立ち去った」53歳男性を車ではね逃走 77歳男を逮捕 札幌
札幌市東区で先月(2026年2月)、男性が車にはねられ、けがをしたひき逃げ事件で、77歳の男が逮捕・送検されました。
男は、「大きなけがはしていないと思い立ち去った」と供述しています。
ひき逃げなどの疑いで逮捕・送検されたのは、札幌市白石区の神内一広容疑者77歳です。
神内容疑者は先月(2月)26日、ワンボックスカーを運転中、札幌市東区の交差点を右折した際、 横断中の53歳の男性をはねてけがをさせたのにも関わらず、 その場から立ち去った疑いが持たれています。
男性は病院に搬送され左腕の骨折などの重傷です。
調べに対し、神内容疑者は、「ぶつかったのが人だと分かりました。大きなけがはしていないと思い、立ち去りました」と容疑を認めているということです。

自衛官の男がタクシー運転手殴打か「殴った相手が誰なのかわからない」支払方法めぐりトラブル 北海道

北海道・千歳警察署は2026年3月8日、傷害の疑いで、千歳市に住む自衛官の男(39)を逮捕しました。
男は8日午前5時50分ごろ、千歳市花園2丁目の道の駅で、タクシー運転手の80代男性の顔を複数回殴打する暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれています。
男性は顔から出血する軽いけがをしました。
警察によりますと、男はタクシーに乗車していて、目的地である道の駅で降車しようとしたところ、料金の支払い方法でトラブルになったということです。
当時、男は飲酒していて、調べに対し「正当防衛で人を殴ったが、殴った相手が誰なのかはわからない」と容疑を否認しています。

「NHK党『休眠』舞台裏」を元公設秘書が暴露…引き金となった「11.14会見」と勾留中の立花孝志が下した合理的判断

「NHKをぶっ壊す」――。永田町の異端児として旋風を巻き起こした「NHKから国民を守る党(NHK党)」が、失意の終焉を迎えたとして話題になっている。2026年3月3日、勾留中の立花孝志党首が下した「休眠」宣言が党の公式アプリや公式サイトなどで告知された。元NHK党の公設秘書でコラムニストの村上ゆかり氏がかつての仲間たちを取材し、裏側を暴く。
【画像】驚異の脱走能力をもつ立花孝志氏の愛犬・サスケ
引き金は「11.14定例会見」暴露された役員会の紛糾
多くの人にとってこの発表は「NHK党の終焉」と映っただろう。しかし、その実態は「解体」ではなく、立花氏という唯一の司令塔が戻る日を待つための、極めて現実的な「スリープモード」への移行であった。
本格的な引き金は、2025年11月14日の定例記者会見だった。
立花氏が逮捕された当時、党内は「立花氏の意思を引き継ぎ、党運営を進める」という明確なコンセンサスの下で結束していた。党規約に基づき代表代行に就いた齊藤健一郎氏は、本来、立花氏の意向を忠実に実行する役割を期待されていた。
だが、実務を代表代行として抱えていた齊藤氏は、独自の判断で立花党首の解任という組織改編を模索し始める。これにつき、同党の政調会長兼幹事長である浜田聡氏が、11月の定例会見において齊藤氏との役員会での組織改編の議論の一部を公にしたのである。
修復不能な亀裂の正体
この「暴露」に対し、齊藤氏側は猛烈な拒絶反応を示した。役員会での議論を合意なく一方的に外部へ漏らされたことは、齊藤氏にとって「共に党を守る戦友」からの致命的な裏切りに映った。「信頼関係が壊れた相手とは、もはや一歩も共に歩めない」という、人としての限界がそこにはあった。
一方で浜田氏には、「公党としての誠実さ」として貫く大義があった。NHK党は、情報の徹底した透明性と、立花孝志という象徴の下に集う有権者の熱量で成り立ってきている。
浜田氏からすれば、立花氏という軸を外す議論を公にせずに進めることは、NHK党の「自己否定」に等しいと考えたのではないか。
「信頼なき協力は不可能だ」と決断した齊藤氏と、「透明性こそが党の命」と信じた浜田氏。組織を維持するための「規律」と、党の定義を守るための「情報公開」という「正義の衝突」こそが、修復不能な亀裂の正体であった。
立花氏が逮捕される以前から、NHK党の財務体質は綱渡りの状態が続いていた。立花氏による「党費や寄付を一切募らず、必要なお金は借入金として集める」という方針に加え、政党の代表権争い(立花氏側と大津綾香氏側の対立)によって、国政政党であれば国から得られるはずの最大の収入源「政党交付金」が受け取れない状態に陥っていたからだ。
代表権騒動の影響から生まれた齊藤事務所への依存体質
独自の事務局を構える資金も、職員を雇う余裕もない。そんな極限状態の中で、党の中枢を実質的に一人で引き受けていたのが齊藤健一郎氏だった。
代表権騒動が起きてからは、齊藤氏が国から受ける「公設秘書」という人的リソースや「月100万円の調査研究広報滞在費(旧文通費)」こそが、NHK党の実務を回すための命綱だった。党の運営実態は、齊藤事務所に全面的に依存する状態が続いた。
この依存の実態こそが、齊藤氏の離党という事態において致命的な牙をむいた。齊藤氏が、崩れ去った人間関係の果てに選ばざるを得なかった「苦渋の決断」として離党を表明した瞬間、代わりの資金も実務部隊も持たない党は、一瞬にして活動不能な状況へと転落してしまったのである。
立花孝志という政治家の最大の特徴は、常人離れした圧倒的な行動力にある。
その手法は、とにかく手数を打ち、失敗の中から正解を見つけ出す「超・試行錯誤型」で、これはNHK党が国政政党になる以前から一貫している。その過程では、当然ながら明らかな失策や強引すぎる判断も多分に交ざるが、組織はそれを止める術を持たなかった。立花氏の直感と行動力を全面に活かす独裁構造は、立花氏の強みを最大化する一方で、暴走を食い止める「ブレーキ」を排除する側面も同時に持つ。
「ブレーキなき加速」が招いた必然の衝突
立花氏にブレーキをかけない。その危うさこそが、既得権益をなぎ倒すほどの「爆発力」を生んでいた。だが、かつて浜田聡事務所の公設秘書としてその熱狂の渦中にいた筆者は、今改めてその大きなリスクを痛感している。
結局のところ、この組織は立花氏という強烈な「中心点」に、それぞれが個別の「点」として繋がっていたに過ぎなかった。横の連携を持たず、中心一点の重力にのみ依存した構造は、極めて脆かった。目的を達成するための加速が、いつしか様々なリスクを置き去りにしてしまった。
事態をさらに深刻化させたのは、前述した「党費も寄付も募らない」といういびつな資金調達の方針だ。代表権騒動による政党交付金の停止という逆風下で、借入金に頼り、実務や人的リソースのすべてを齊藤事務所に全面的に依存する形である。この方針も立花氏のこだわりの一つだ。
立花氏は「たとえ自分が不在でも、組織は設計図通りに自律して回転し続けるはずだ」と主張していた。
「未契約者・不払い者」への対策を強めるNHK
しかし、それは致命的な誤算だった。立花氏が「組織を動かす歯車」だと思っていた人々は、実際には立花孝志という強烈な「重力」一点によってのみ繋ぎ止められていた、独立した個々の集まりに過ぎなかったのである。重力が消えた瞬間、自律するはずだった党の運営は一瞬にしてその形を失った。
立花氏という絶対的な存在がいなければ消えてなくなる、極めて属人的な仕組み――それが、NHK党という組織の正体である。
NHK党が内紛という泥沼の中で「休眠」という深い眠りにつこうとしている間、対峙していたはずの巨大組織・NHKは決して手を止めてはいない。むしろ、立花氏の逮捕後にその動きは加速し、受信料の「未契約者・不払い者」への対策を強めている。
その象徴が、裁判所を介した「支払督促」の強化だ。NHKが公表しているデータによれば、2025年10月以降、NHKは受信料特別対策センターを設置するなどの強化を行い、2026年度の支払督促申立件数は過去最多2000件超の見通しと発表している。
全国的に見れば未だ件数は少ないとはいえ、突然届く裁判所からの「特別送達」の封書は、一般市民にとって大変な心理的圧迫となる。
勾留中の立花氏による合理的な判断
このような中で、今回の党の休眠に伴い、党の公式アプリはその姿を消した。しかし、これは実は大した出来事ではない。実態として、これまでも党のアプリはほとんど利用されておらず、維持コストに見合う価値を失っていたからだ。
不必要な枝葉を落とし、限られたリソースでコールセンターという「根幹」の維持に集中させる。このスリム化こそが、立花氏不在という異常事態を乗り切るための、勾留中の立花氏による合理的な判断だ。
現在、そのコールセンターの運営を支えているのは齊藤事務所だ。党が休眠状態にあっても、受話器の向こう側で支持者を支える秘書たちの奮闘は続いている。また齊藤氏は離党後も「立花党首から預かった議席」としてNHKのスクランブル化(受信料を支払った契約者のみが視聴できるようにする)を目指すと述べている。立花氏から預かったバトンを、形を変えてでも繋ぎ止めておく。その「待機姿勢」こそが、現在のNHK党の真の姿である。
NHK党が国政政党になった2019年当時、「NHKをぶっ壊す」という叫びは、既存の政治に閉塞感を感じていた多くの人々に、ある種の「希望」と「カタルシス」を与えた。 齊藤氏も、浜田氏らも、立花孝志という唯一無二の存在を軸にした、お互いの正義や価値観による「すれ違い」の中にいた。だが、このいびつな組織構造こそが、立花孝志という政治家の本質そのものでもあったのではないか。
「休眠」という名の復活宣言
圧倒的なカリスマで人を惹きつけながら、自分がいなければ1日も維持できないほどに属人化された組織。ブレーキのない加速を続け、曲がれなくなれば自分ごと激突する。その圧倒的な力があったからこそ、NHK党という国政政党を築き上げた。
その反面、脆さも、強引さも、そして土壇場で放り出されたような形になってしまったこの結末も、すべては「立花孝志」という人間が持つ磁力の裏返しなのである。
「休眠」とは、いつか目覚めることを前提とした言葉でもある。
齊藤氏と浜田氏ら役員間の正義は激突し、信頼は砕け散ったかもしれない。しかし、その視線の先にあるのは、常に「立花孝志の帰還」という一点であることは変わらない。
最も疲弊しているのは、日々、NHK受信料について切実な不安を抱える人たちからの電話に応対し続けている現場のスタッフたちだろう。立花氏が逮捕され、党の看板が揺らぎ、責任の所在が曖昧な中で、彼らは今も矢面に立ち続けている。そして、NHK党が休眠したことで党の支持者たちは、立花氏の帰りを待ちながら、不安な日々を送っている。
勾留中の立花氏と接見した弁護士によれば、現在の立花氏は勾留生活においてパワーを溜めている状況だという。誰にも真似できない派手な打ち上げ花火を上げた男は、今、静かに再始動の時を待っている。
自らが生み出したこの「景色」を見て、勾留中の立花氏は一体、何を思うのか。そして、彼が再び外の空気を吸い、党を再起動させた時、NHK党はどのような姿で私たちの前に現れるのか。その答え合わせができる日は、まだわからない。
文/村上ゆかり