鹿児島県十島村は、震度6弱を観測した悪石島(あくせきじま)の全域に島内への避難指示を出した。
震度6弱の揺れは3日午後4時13分ごろに観測。気象庁によると、震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは約20キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5・5と推定される。村によると、島外者含め76人全員の無事を確認したと明らかにしている。
福岡管区気象台によると、トカラ列島近海で6月21日から地震が頻発しており、震度1以上を観測した地震の回数が3日に計千回を超えた。
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鹿児島で震度6弱 気象庁「収束は見通せず」 就寝場所に注意を
鹿児島県十島村で3日午後4時13分に震度6弱の揺れを観測する地震が発生したことを受け、気象庁は3日夕、緊急記者会見を開いた。気象庁は一連の地震の収束時期は見通せないとの認識を示し、「当分の間、震度6弱程度の地震が起きる可能性がある」として注意を呼びかけた。
6月21日から頻発する一連の地震で震度6弱を観測したのは初めて。同日以降、震度1以上を観測した地震の回数は7月3日に計1000回を超えた。
気象庁によると、震度6弱の地震の震源地はトカラ列島近海で、震源の深さは約20キロ、地震の規模はマグニチュード(M)5・5と推定される。津波の心配はない。
気象庁地震津波監視課の海老田綾貴課長は記者会見で「いつまでに終わるかということは残念ながら申し上げられない」と述べた。その上で「これから夜に入る。寝室では家具が倒壊しない場所、上から物が落ちてこない場所で寝てほしい。枕元に靴や懐中電灯を置いてほしい」と呼びかけた。【最上和喜】
「鹿児島・悪石島内の全員の無事確認」 震度6弱受け官房長官
石破茂首相は3日、鹿児島県十島村で震度6弱を観測する地震があったのを受け、早急に被害状況を把握する▽自治体とも緊密に連携し、人命第一の方針の下、政府一体となって被災者の救命・救助の災害応急対策に全力で取り組む▽国民に避難や被害に関する情報提供を適時的確に行う――の3点を関係省庁に指示した。
林芳正官房長官は臨時の記者会見を開き「震度6弱を記録した悪石島島内にいる方全員の無事を確認し、物的被害についても現時点で被害なしとの報告を受けている」と明らかにした。島民の島外への避難については「十島村長は『検討の段階に入っている』と述べている。今後自治体とよく連携して、適切に対応していきたい」と述べた。
また林氏は「引き続き震度6弱程度の地震の発生に注意するとともに、揺れの強かった地域にお住まいの皆様は自治体の避難情報のほか、テレビ、ラジオ、インターネットの情報にも注意して行動するようにお願いする」と国民向けに呼びかけた。
政府は地震を受け、首相官邸の危機管理センターに設置していた情報連絡室を、官邸対策室に格上げした。【竹内望】
毎日新聞の動画、名誉毀損認めず 最高裁が上告棄却
毎日新聞の動画で「排外主義団体」と報道され、名誉を毀損(きそん)されたとして、政治団体などが毎日新聞社に計1200万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は2日付で政治団体側の上告を棄却する決定を出した。名誉毀損を認めず、請求を棄却した1、2審判決が確定した。裁判官5人全員一致の判断。
東京都武蔵野市が2021年11月、日本人と同じ条件で外国人に住民投票への参加を認める条例案を市議会に提案すると発表し、毎日新聞は翌月、街宣活動の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載した。その際に「排外主義団体などが次々に市内に入り条例に反対するとして活動を展開している」とのテロップをつけた。
1審・東京地裁判決(24年2月)は、街宣活動をしている団体が原告の「国守衆全国評議会」などだとうかがわせる情報は動画内になく、仮に原告らだと視聴者が認識できたとしても、動画は公益目的の報道で、賠償責任は生じないと判断した。2審・東京高裁判決(24年9月)も支持した。
毎日新聞社社長室広報ユニットの話
当方の主張が認められた決定だと考えています。
参議院選挙で各党首が第一声に選んだ地は…被災地・稲茂る田園・本拠地・サラリーマンの聖地
参院選が公示された3日、各地で第一声を上げた与野党党首の動きからは、各党の戦略や思惑がにじんだ。
石破首相(自民党総裁)は神戸市内で第一声を終えると、車で慌ただしく大阪・関西万博の会場(大阪市)に向かった。日本が記念イベントを催す「ジャパンデー」に出席するためで、首相は式典で「一緒に未来を創っていく確かな姿が、皆さんの目に映っているはずです」と語りかけた。
自民は2011年の東日本大震災後、ほぼすべての大規模国政選で福島県で第一声を上げた。復興支援に取り組む姿勢を打ち出すためだが、今回は選挙運動と公務の両立を図り、阪神大震災が直撃した神戸市を選んだ。
13人が出馬する兵庫選挙区(改選定数3)は、自民と連立を組む公明党も議席を争う。公明の斉藤代表は首相の第一声の場所と16キロ・メートルほど離れた同市内の地下鉄駅前で、「全国一の激戦区。ここしか第一声の地はない」と声を張り上げ、両党トップが同じ選挙区で重なる異例の展開となった。
立憲民主党の野田代表は10党で唯一、九州に飛んだ。稲などが青々と茂る宮崎県国富町の田園の中でマイクを握ると、「来てよかったなと思います。国富から日本を変えよう」と力を込め、コメ価格高騰を巡る政府の対応を厳しく批判した。保守地盤が強い九州の切り崩しを図る戦略で、立民関係者は「他の党首が都心部を選ぶ中、田畑をバックにして違いが際立った」と語る。
日本維新の会は本拠地・大阪での票固めを狙う。吉村代表は大阪市内の百貨店前で「本当に地方のことを考えてやっていく政党は維新だけだ」と訴えた。
国民民主党やれいわ新選組などの党首は、いずれも東京都内でマイクを握った。勝敗を左右する無党派層の取り込みを狙う作戦だ。サラリーマンが行き交う、JR新橋駅前で演説した国民民主の玉木代表は、結党当初もこの場を選んだとして「私たちの原点の地と言っていい」と力を込めた。
神谷氏「そんなに差別なのか」 高齢女性は子ども産めない発言で
参政党の神谷宗幣代表は3日、東京・銀座で実施した参院選の第一声となる街頭演説で「子どもを産めるのは若い女性しかいない。これを言うと『差別だ』と言う人がいるが違う。現実です。男性や、申し訳ないけど高齢の女性は子どもを産めない」と述べた。
演説後、記者団の取材に応じ、発言の趣旨を巡り「生物学的なものだ。今、少しずつ医療も発達してきて40代でも産める」と語った。同時に「でも60代とか70代はさすがに難しい。生物学的に女性はどこかで限界がくる」と主張。「適齢期の、子どもが産める世代の女性に一人でもたくさん産んでもらえば、出生率が上がる」と説明した。
その後、東京・新橋で行った街頭演説で、発言が報道されたことに触れ「適齢期の女性しか子どもは産めない。その人たちが産みたいと思う社会環境をつくらないといけないと言うことが、そんなに差別なのか。問題なのか」と話した。
神谷氏の第一声を伝える党のユーチューブチャンネルは、「高齢の女性」に言及する直前で映像がカラーバーに切り替わり、音声も流れない状態になっている。
収支報告書不記載の旧安倍派10人が参院選に立候補…公明推薦3人のみ、4月以降は見送る
3日に公示された参院選の選挙区選には、自民党派閥の「政治とカネ」の問題を巡り、政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派の議員10人が立候補した。このうち公明党が推薦したのは3人にとどまった。
公明は4月、選挙区選に立候補予定の自民の旧安倍派3人の推薦を決めた。ただ、支持者らから批判の声が上がったことで、実態解明に後ろ向きな自民と同一視されることを警戒するようになり、その後は不記載があった自民の立候補予定者の推薦を見送った。
不記載があった旧安倍派議員は比例選の4人を含め、計14人が立候補した。
トランプ氏発言「誤解に基づく」=首相、関税交渉は前進
石破茂首相は3日のNHK番組で、トランプ米大統領がコメなどで日本への不満を示していることについて「誤解に基づくもの、あるいは間違った情報が入っているのかもしれない」と語った。米政権の高関税政策を巡る日米交渉に関しては「非関税措置も含めていろんな分野は多岐にわたるが、一つ一つ着実に前進している」と説明した。
首相は「日本は米国に対する世界で一番の投資国だ。一番の雇用を作り出しているわけだから、その部分もきちんと評価してもらいたい」と述べた。 [時事通信社]
首相、震度6弱後に選挙写真投稿 個人のXに、地震対応は「万全」
石破茂首相は3日、鹿児島県十島村での震度6弱の地震を観測してから約1時間後の午後5時20分に、参院選兵庫選挙区に立候補した公明党候補の応援演説の写真を首相個人のXに投稿した。
地震発生時、首相は応援に入った兵庫県尼崎市から大阪(伊丹)空港へ車で移動中。Xへの投稿は、地震対応を政府内に指示した後、羽田空港へ向かう機中だった。今後の選挙応援と地震対応について公邸で記者団に聞かれ「政府として万全を期している。私か担当閣僚からの指示は迅速、的確になされるよう徹底している」と強調した。
林芳正官房長官は「政党の選挙活動について政府としては答えを差し控える」と述べるにとどめた。
「島外避難は困難」の声も “希望者は避難方針”で決断迫られる住民
「気象災害と違って地震は終わりが見えない。島の住民の積み重なった心的疲労は相当のものだろう」。悪石島での震度6弱の観測を受け、3日夕、鹿児島市にある鹿児島県十島村役場で記者会見した久保源一郎村長は険しい表情で語った。「島には牛を飼っている農家など、避難したくても避難できない人もいる。地震がいつまで続くか分からないのは本当につらいだろう」とも話した。
十島村は悪石島の住民のうち希望者は島外に避難させる方針を決め、避難先として想定する鹿児島市の宿泊施設の空室状況を調べている。
島に住む漁師、有川和則さん(73)は地震発生時、軽トラックに給油するため島内のガソリンスタンドにいた。車を止めた時に突然、揺れが襲ってきた。車は給油機にぶつかり、有川さんは車の天井に頭をぶつけた。道路の電柱は「倒れるか、抜けるか」と思うほど揺れた。「縦横に複雑な揺れが20秒くらい続いた。今まで感じたことのない恐怖だった」
防災無線で学校のグラウンドへの避難が呼び掛けられ、有川さんは自宅に戻って妻を車に乗せて向かった。グラウンドには大半の島民が集まっていたとみられ、「大丈夫だった?」などと声を掛け合った。村の職員らから、希望者は島外避難ができるとの説明があった。
妻は体調が優れず、有川さんは「島外への避難は難しい」と話す。連日の昼夜を問わない地震で島民の疲労はピークに達している。「もう地震は来てほしくない。早く収束してほしい」と願った。
トカラ列島近海ではこれまでも度々、群発地震が発生している。2021年12月9日には悪石島で震度5強を観測し、当時の島民75人の4割に当たる12世帯30人が2日後の11日から鹿児島県奄美、鹿児島両市のホテルや親戚方など島外に避難した。地震の回数が減少したことから約2週間後以降に帰島した。【取違剛、平川昌範、田崎春菜】