石破首相、自民党役員会で外交日程を先行公表 「続投意欲を強調」見方広がる

自民党総裁の石破茂首相は19日の同党役員会で、インドのモディ首相が今月下旬に来日すると明らかにした。滞在期間中に首脳会談を実施する見通し。官邸での発表に先駆けて党側が外交日程を公表するのは極めて異例だ。
森山裕幹事長が役員会終了後の記者会見で説明した。この日は総裁選前倒しを検討する同党総裁選挙管理委員会も初会合を開催しており、「首相は外交日程に言及することで続投意欲を強調し、党内の退陣圧力をけん制した」(中堅議員)との見方も広がった。官邸は「夏季休暇の時期で官房長官会見や閣議がないなどの事情が重なり、総理発言が先行しただけ」(政府関係者)と“挑発論”の火消しに懸命だ。
モディ首相の来日は、広島市で2023年5月に開催した先進7カ国首脳会議(G7サミット)以来となる。同年7月には菅義偉元首相(衆院2区)がIHIの満岡次郎会長、JR東日本の深沢祐二社長(現会長)ら経済人約100人と訪印。モディ首相と会談し両国の経済交流の強化を約束した経緯がある。

KADOKAWA前会長に懲役3年求刑 東京五輪に絡み6900万円贈賄の罪

東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、組織委員会元理事への贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)前会長、角川歴彦(つぐひこ)被告(81)に対し、検察側は19日、東京地裁(中尾佳久裁判長)の公判で懲役3年を求刑した。
起訴状によると、角川前会長は、KADOKAWA元専務と元五輪担当室長=いずれも贈賄罪で有罪確定=の2人と共謀。組織委元理事の高橋治之被告(81)=受託収賄罪で公判中=にスポンサー選定での後押しを依頼し、その見返りとして2019年9月~21年1月、計約6900万円の賄賂を渡したとされる。
検察側は公判で、角川前会長が高橋元理事側へ金銭を支払うことの法的リスクについて元専務から説明を受けた上で、コンサルタント料名目とする方針を了承したと指摘。KADOKAWAが五輪のスポンサーを目指した背景には、前会長の意向が強く働いていると主張している。
一方で、角川前会長は起訴内容について「検察が勝手に作り上げた虚構」と無罪を主張。弁護側は前会長には決裁権限がなく、社内で贈賄のリスクが指摘されてからも報告を受ける状況になかったと反論している。
角川前会長は22年9月に逮捕され、23年4月に保釈された。起訴内容を否認したことで身柄拘束が長引き肉体的、精神的苦痛を受けたとして、国に2億2000万円の損害賠償を求める訴訟を24年6月に東京地裁に起こしている。【安達恒太郎】

大仙市で90代男性死亡、「クマに襲われた可能性」が一転、殺人容疑に SNSでは「クマが可哀想」「罪を着せるのはやめて」の声

秋田県大仙市の自宅寝室で90代の男性が倒れているのが発見され、その後死亡が確認された事件が起きた。秋田県警は当初クマなどに襲われた可能性があるとみていたが、19日になって殺人事件の疑いに切り替えて捜査を進めていると報じられた。これに、SNSでは一部で「何でもかんでも熊のせいにして」といった声も寄せられている。
市に直接的に苦情は寄せられていない
複数報道によると、18日午後、90代の男性が倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認された。警察は当初クマなどに襲われた可能性があるとして捜査を進めていると報じられたほか、市の防災メールでも注意喚起された。翌日、司法解剖の結果、死因は刃物で複数回刺されたことによる出血性ショックだったとわかり、殺人事件に切り替えて捜査が進められていると報じられた。
この報道にXでは驚きの声のほか、一部では「何でもかんでも熊のせいにして」「クマに罪を着せるのはやめてください」「クマが可哀想」といった声が寄せられた。
なお、大仙市農林整備課は直接的にはこうした苦情は寄せられていないとしている。また、県警は苦情の内容は公表していないとした。

駆除されたヒグマ、死亡男性を襲った個体と特定 北海道・羅臼岳

北海道は19日、斜里町の知床半島にある羅臼岳(標高1661メートル)で15日に駆除されたヒグマのDNA型を鑑定した結果、同日に遺体で発見された東京都の20代男性を襲った個体だったと発表した。
ヒグマは親子の3頭が駆除されており、道によると、男性の衣類に付着していたヒグマの体毛などと駆除した母グマの肝臓のDNA型が一致した。
道警などによると、男性は14日午前に襲われた。格闘して両太ももから出血した状態で林に引きずり込まれたという。遺体は15日に山中で発見され、死因は全身多発外傷による失血死だった。男性の捜索中に母グマ1頭と子グマ2頭が見つかり、ハンターが発砲。男性の遺体は3頭がいた場所で見つかった。
道内では7月にも南部の福島町の住宅街で男性がヒグマに襲われて死亡している。【後藤佳怜】

大阪・ミナミ火災ビル 法令違反指摘も大半改善されず 委員会で調査

大阪・ミナミで消防隊員2人が死亡した火災で、現場となった雑居ビルは、大阪市消防局の立ち入り検査で6項目の法令違反を指摘されていた。火災感知器の不足などが確認されたが、改善されたのは一部にとどまっていたという。市消防局は安全対策の不備が火災の拡大や消火活動に影響しなかったか、事故調査委員会で検証する方針だ。
市などによると、火災があった7階建てと6階建ての雑居ビルは同じ会社が所有しており、鉄筋コンクリート造りで約60年前に建てられ、その後に増築。飲食店や事務所などが入居していた。
市消防局は3年に1度、ビルに立ち入り検査を実施していた。直近の2023年6月には、避難路や防火扉の付近に障害物が置かれていないかなどを確認する「防火対象物点検報告」がされていなかった。また、法令の基準で設置が必要な場所に火災感知器が取り付けられていないなど、計6項目で法令違反が見つかった。
市消防局はビルの管理者に是正を求めたが、火災前までに改善が報告されたのは、1年に2回の避難訓練の実施だけだった。火災感知器は検査後に一部が設置されたが、まだ不足していたという。
市消防局は21日にも事故調査委員会を設置する予定。担当者は「火災のあったビルの管理者には継続して指導していた。立ち入り検査の状況なども踏まえ、隊員2人が死亡した経緯や出火原因などを調べたい」と語った。【大坪菜々美】

国民民主の玉木氏、維新に「連立まっしぐらという感じ」、藤田共同代表「埋没して消えてほしいと思っているのか」

国民民主党の玉木代表は19日の記者会見で、ガソリン税の暫定税率廃止を巡り、与党側から廃止に伴う代替の「恒久財源」の提示を求められたことに関し、「財源にあまりとらわれず、民意にどう応えていくかが重要だ」と主張した。参院選での自民党の惨敗を踏まえ、「『恒久財源が見つからないからできない』などと言っているから民意を得られなかったのではないか」とも述べた。
また、日本維新の会について「(自民、公明両党との)連立まっしぐらという感じがする」と指摘。「自民、公明、維新で連立し、他の野党の意見が全く通らなくなると民意の反発を受ける」とけん制した。
これに対し、維新の藤田文武共同代表は記者会見で、「政治家が他党の動きを決めつけでしゃべるのは意図がある。うちに連立を組んで埋没して消えてほしいと思っているのか」と述べ、不快感を示した。

119番放置後に死亡 土岐市消防の対応「不適切」 第三者委 岐阜

岐阜県土岐市で1月、市消防本部が119番を受けながら救急車を出動させず路上生活者の50代男性が死亡した問題で、市の第三者委員会は「直ちに救急車を出動させるべき事案だった」として不適切な対応だったと結論付け、再発防止策などを求める報告書を加藤淳司市長に提出した。
事案は1月13日に発生。高架下で毛布に横たわる男性を見つけた市民から「様子がおかしい」と119番があったが、消防は緊急性が低いと判断し、救急車を出動させなかった。男性は翌日に心肺停止の状態で発見され、死亡が確認された。
報告書によると、通報時は通信指令員2人が勤務していた。市民が「反応がない。亡くなっている可能性もある」と伝えたが、指令員の一人は「寝とるだけやないか」と判断。対応の相談を受けた別室の当直責任者も「まあええわ。様子見よう」と回答したという。
報告書は「(出動することに)迷うべき事情は見当たらない」と認定。マニュアルの未整備や指令員の教育不足から「出動するか否かの判断が職員によってまちまちになっていたと考えられる」と体制の不備を指摘した。
一方で、路上生活者だったことが出動の判断に影響したかについては「通報者から路上生活者であるとの情報を得ただけで出動不要と判断したとは認定できない」などとした。第三者委の矢崎信也委員長は19日に開いた記者会見でも「直接の原因になったとは考えていない」と否定した。
加藤市長は同日の会見で「市民の安全を守るべき立場でありながら、信頼を損ね深くおわびする」と謝罪。警察の捜査を踏まえ、関係職員らの処分を検討するとした。【安達一正】

石破総理がビル・ゲイツ氏と会談 グローバルヘルスや途上国へのワクチン普及で意見交換 今後5年で約810億円支援表明

石破総理は19日、アメリカのIT大手・マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏と会談し、途上国へのワクチン支援などについて意見を交わしました。石破総理は今後5年間でおよそ810億円を支援する考えを示しています。
石破総理とゲイツ氏の会談は総理官邸でおよそ30分間おこなわれ、▼国境を越えて人々の健康を守る「グローバルヘルス」や、▼途上国へのワクチン普及を進める官民連携のパートナーシップ=Gaviワクチンアライアンスの活動などについて意見を交わしました。
同席した公明党の斉藤代表によりますと、石破総理からGaviに対し、今後5年間で5.5億ドル=日本円でおよそ810億円を支援する方針が伝えられたということです。
アメリカIT大手・マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は、貧困や感染症対策などの国際支援に取り組んでいて、自身が設立した慈善団体を拠点に、2045年までに自らのほぼ全ての資産を援助に投じると発表しています。

遺族年金「不支給は違憲」=妻死亡、30代男性が提訴―大津地裁

労災保険の遺族補償年金の受給資格について、夫にのみ年齢制限などを設けた労災保険法の規定に基づき不支給とした国の処分は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、妻を亡くした滋賀県内の30代男性が19日、不支給処分の取り消しを求めて大津地裁に提訴した。
訴状などによると、当時30代だった妻は滋賀県内のクリニックで事務職員として働いていたが、2023年5月に精神障害を発症し自殺。職場でのパワハラなどが原因だったとして、今年1月に労災と認定された。
男性は遺族補償年金の支給を申請したが、大津労働基準監督署長は、妻の死亡時に夫が55歳以上であることなどを受給要件とする労災保険法の規定を理由に不支給処分とした。
男性側は「同じ配偶者である夫と妻について労災保険法が性差別的な規定を設けているために出された処分で違憲だ」と主張した。
提訴後に記者会見した男性は「古い価値観に基づいて設計された制度であり、現代の家族構成に合っていない」と訴えた。
大津労働基準監督署の話 訴状が届いていないため、コメントは差し控える。 [時事通信社]

冨永愛、野口健…メガソーラーに著名人が続々反対表明 釧路湿原周辺の計画はどうなる?市の見解は

北海道・釧路湿原の周辺で進む大規模太陽光発電所「メガソーラー」について、著名人が貴重な湿原の破壊につながるとして、X上で次々に反対表明している。
もっとも、業者側は、環境保全に努めていると反論し、再生可能エネルギーの有効活用につながると主張しているようだ。釧路市は、どう考えているのか、担当者に取材した。
「地形を変えてまであのばっちいものは必要なのか」
アルピニストの野口健さんは2025年8月18日、X上で、ファッションモデルの冨永愛さんの投稿を引用して、こう呼びかけた。冨永さんは7月2日、「なんで貴重な生態系のある釧路湿原にメガソーラー建設しなきゃならないのか」と疑問を呈し、「反対の署名にサインしました」と明かしていた。
報道によると、釧路湿原国立公園の周辺にある釧路市内の市街化調整区域で、大阪市内の業者がメガソーラーの建設を進めているが、国の天然記念物オジロワシの巣がその区画内にあることが分かった。市教委は、文化財保護法に基づき、巣からの半径500メートル以内に立ち入ることを9月末まで禁止しているが、業者は、その範囲外で建設を進めていると報じられている。
野口さんは、7月25日のX投稿で、「山を登っていると山麓によくメガソーラーなるものを目にしますが、森林伐採をし、地形を変えてまであのばっちいものは必要なのか。生態系を破壊し、災害被害まで拡大する」と訴えるなど、反対の意思を伝える投稿を続けている。
野口さんは、「ヒマラヤから9月下旬に帰国しますが、なるべく早く釧路に向かいます」と明かし、同志と考える著名人にXで連携を呼びかけた。タレントのつるの剛士さんが「是非私もお供させてください」とリプライで反応すると、野口さんは、「一緒に現場から声を上げて下されば100万馬力です!!!」と喜んだ。また、「もう取り返しのつかない状況」などとXで反対の意思表明をしたロックミュージシャンの世良公則さんにも、一緒に視察することを提案していた。
「全部ダメではなく、自然環境と調和を図るのが望ましい」
著名人以外でも、地元の猛禽類医学研究所など6団体が署名サイト「change.org」で、「釧路湿原南部におけるメガソーラーの駆け込み建設中止を求めます!」とする活動を始めると、一般からの賛同者が相次ぎ、5月9日に6万7143件の署名を鶴間秀典市長などに提出した。8月19日18時現在では、11万件以上に達している。
メガソーラー建設について、釧路市は、貴重な動植物へ影響を与えると考えられる場合には、反対する姿勢だ。
23年7月に「太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」を定め、10キロワット以上の施設を対象に、専門家に助言を求めたり、住民説明会を開いたりすることを業者に求めた。25年6月1日には、「自然環境と調和がなされない太陽光発電施設の設置を望まない」とする「ノーモア メガソーラー宣言」を行った。特別保全区域を設けて開発を許可制にする条例案も、9月定例市議会に提出する予定で、10月1日に施行して26年1月1日以降に着手する事業への適用を目指している。
条例について、市の環境保全課は8月19日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
野口健さんの活動との関わりはないとし、中立の立場で環境保護を進めるという。
ただ、25年までに着手した事業については、ガイドラインしか適用できないという。国立公園の外にあるため、開発への規制もないとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)