衆院選の投開票日となる8日は日本海側を中心に大雪の恐れがある。全国的に有権者の出足が鈍れば投票率に影響する可能性がある。とりわけ接戦区では当落を左右しかねないため、与野党は行方を注視し、7日までに期日前投票を済ませるよう呼びかけた。
自民党は高市早苗首相の高い人気を頼みに、無党派層への浸透を狙う。投票率が上がれば有利に働くと期待するものの、「大雪によって投票行動に結びつかない」との不安も党内にある。
7日朝に東京都内で応援演説に臨んだ小泉進次郎防衛相は「雪がちらついて寒いが、明日はもっと寒い。今日のうちに期日前投票に行ってほしい」と聴衆に訴えた。
中道改革連合は、立憲民主党を支援する連合と、公明党の支持母体・創価学会の組織力を強みとする。積雪の多い北海道や東北は立民がもともと強い地域なだけに、悪天候は懸念材料だ。
野田佳彦共同代表は、雪の影響で投票終了時刻を繰り上げる投票所が出ていると指摘。「多くの人に投票してもらうのが望ましいのに、できないのは民主主義の否定だ」と記者団に語った。
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雪の街頭演説、有権者「凍える」 寒さ耐え、訴え聞き入る
衆院選の選挙戦最終日となった7日、一部地域では雪となり、有権者は「凍える」と寒さに耐えながら候補者の訴えに聞き入った。
茨城県行方市では7日午後、雪が降りしきる中で候補者の街頭演説があり、約100人が耳を傾けた。気象庁によると、同市がある県南部地域の午後4時ごろの気温は1度。演説中に雪が強くなり、聴衆は傘を差したり、手袋を着けたりして防寒対策に当たった。
同市の80代の無職女性は「演説を聞いているだけで凍えそう。このあたりはめったに雪が降らないのに」と驚いた様子。自身は既に期日前投票を済ませたといい「自分は早めに投票してきたので良かったけど、これから行く人は困るでしょうね」と思いやった。
「今年の積雪は例年以上」と話す人もいる秋田県男鹿市。男性会社員(53)は「天気が荒れても投票には行くつもり」と話した。
8日に降雪が予想されている石川県の能登地方。候補者の街頭演説に足を止めていた70代男性は「せっかくの機会だから、車が出せなくても歩いて投票所へ向かいたい」と話した。
期日前投票、2079万人=有権者の2割、前回比26%増【2026衆院選】
総務省は7日、衆院選(小選挙区)で期日前投票を済ませた人が6日までの10日間で2079万6327人だったと発表した。全有権者の約2割に当たる。前回の同時期と比べ26.56%増となった。
1月から続く大雪の影響で投票率の伸び悩みが懸念されていた北海道や東北地方を含む全都道府県で前回同時期と比べて上回った。伸び率が最も低かったのは秋田県で4.74%増。続いて青森県の8.11%増。前回と比べて最も増えたのは千葉県で40.05%増だった。
期日前投票は公示翌日の1月28日から投票日前日の2月7日まで実施。前回選では全有権者の2割に当たる約2095万人が期日前投票を行った。 [時事通信社]
御前崎市の期日前投票で小選挙区用投票用紙を二重交付するミス 投票内容特定できず2枚投票でも有効に(静岡・御前崎市)
御前崎市選管は7日、衆院選の期日前投票で有権者に対して小選挙区の投票用紙の二重交付があったと発表しました。
御前崎市選管によりますと御前崎支所の期日前投票所で7日、有権者1人に対して小選挙区の投票用紙を誤って2枚交付したということです。
投票者数と投票用紙の交付枚数に不一致があり誤りが発覚しました。
投票内容について、特定ができないため誤って2枚投票されても有効投票となるということです。
御前崎市選管は、「今後の再発防止を徹底した」などとコメントしています。
「スパイ防止法」論戦深まらず=与党と国参前向き、慎重論根強く―高市政権を問う「スパイ防止法・インテリジェンス」【2026衆院選】
8日投開票の衆院選は複数の与野党がスパイ防止法の制定を含むインテリジェンス(情報活動)機能の強化を公約に掲げたのが特徴の一つだ。ただ、高市早苗首相(自民党総裁)は国民に審判を仰ぐ「国論を二分する改革」の一つに挙げたにもかかわらず、演説でインテリジェンス強化に触れることはほとんどなかった。他の推進派の政党の演説でも言及は少なく、論戦は深まらなかった。
「(政策を)がらっと変えた。審判いただくしかない」。6日、栃木県那須塩原市で街頭演説した首相はこう強調したが、例に挙げたのは「責任ある積極財政」だけだった。「重要政策の大転換」を国民に問いたいとして、スパイ防止法制定なども例示した1月19日の記者会見と対照的だ。
自民と日本維新の会の連立政権合意書は「インテリジェンス・スパイ防止関連法制を速やかに成立させる」と明記。自民はこれを踏まえ、公約に「他国の不当な介入を阻止するため、外国代理人登録法等の関連法制を整える」と記した。
しかし、首相は公示後の街頭演説では国家情報局の設置に数回触れたのみで、スパイ防止法には一度も言及しなかった。
維新は公約で「スパイ防止法を制定し、インテリジェンス機能を強化」と提唱。国民民主党は「スパイ防止を含むインテリジェンス態勢整備推進法の制定」、参政党は「スパイ防止法を整備」、日本保守党は「スパイ防止法の制定」を盛り込んだ。ただ、いずれの党も財政政策や外国人政策を演説の柱に据え、論戦は低調だった。
首相らがスパイ防止法への言及を避けた背景には、論戦が盛り上がれば国民の不安をあおりかねないとの計算があったとみられる。自民は1985年、スパイ防止法案を提出したが、言論や報道の自由、日常生活が脅かされると反発が強まり、廃案になった経緯がある。
中道改革連合はスパイ防止法を巡る立場を明確にしていないものの、本庄知史共同政調会長は「重大な人権侵害を引き起こすリスクがある」と指摘している。共産党は公約で「国民を監視し、基本的人権を侵害する」と反対を表明。社民党は「現代版の治安維持法だ」と厳しく批判している。 [時事通信社]
食中毒死者2人に、滋賀 介護施設、ノロ検出
滋賀県は7日、同県草津市と守山市の五つの介護施設で食事をした利用者らが食中毒症状を訴えた問題で、新たに80代男性の死亡が確認されたと発表した。死者は計2人となった。
県によると、3日の昼食でいなり寿司などが提供され、4日から症状を訴える人が相次ぎ、便からノロウイルスが検出された。同じ食事を食べたのは計236人で、7日夜の発表段階で発症者は83人(46~103歳)。うち2人が死亡、8人が入院しているという。
県は食品衛生法に基づき食事を作った大阪市の業者「東住吉マルタマフーズ」を6~9日までの4日間営業停止処分としている。
“バズり”は作られたモノ? 衆議院選挙でも広がるSNSの見えざる「拡散工作」――選挙期間中に動く不審アカウントの実態【news23】
画像や動画だけじゃない “拡散”のフェイクとは
選挙期間中のSNSには、いつも以上に多くの情報が飛び交う。候補者の発信、応援の声、批判や疑問――その中に、人工的に“作られた”広がりが紛れ込んでいることをご存じだろうか。
オンライン言論空間の分析を手がける「ジャパン・ネクサス・インテリジェンス(JNI)」の竜口七彩ヘッドアナリストは、今回の衆議院選挙に際して、不審な動きをする複数のアカウントを検知した。
「SNSでのリポストやリプライが作られている」――私たちが日々目にする「バズり」が、必ずしも自然発生的なものではない可能性があるというのだ。
「7つのアカウントが同じ文章を投稿」――協調的活動の痕跡
竜口氏が注目したのは高市総理を中傷したとある投稿。7つの異なるアカウントが全く同じ文章で返信していて、いずれも高市総理を批判するものだった。
返信のタイミングも不可解だ。1月14日の投稿に対し、2アカウントは6日後に、残る5アカウントは13日後に一斉に返信している。アイコン画像も複数のアカウント間で共通しており、プロフィールにも類似した特徴が見られた。
竜口氏は、これを「何かしらの意図をもって協調的に活動しているのではないか」と分析する。
また、この高市総理を中傷する投稿をしたアカウント自体にも不自然な点がある。これまで中国語や英語で発信していたのが、去年12月から突然日本語の投稿が増えたのだ。
「バズっているから正しい」は危険――“3つの偽”に警戒を
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「ものによってはリポストやリプライがすべてこういった形で作られている。バズっているからといってすぐに情報に飛びつくのではなく、“作られている”ケースもあると知っておいた方がいい」
SNSと向き合う上で、偽情報には「3つの偽」があると竜口氏は警鐘を鳴らす。
▼一つ目は「コンテンツの偽」 文章の改変や、生成AIを使ったフェイク画像・動画など。 検索エンジンやAIツールでのファクトチェックが有効で、ユーザー自身で一次データを確認して、情報の正確性を見極めていくことが重要。
▼二つ目が「拡散の偽」 今回検知されたような、協調的な投稿やリポストによる“作られた拡散”。 中にはツールを使った機械的な活動もみられるため、いいね数やリポスト数に踊らされないことが重要。
▼三つ目は「文脈の偽」 例えば、過去の記事を現在の出来事であるかのように引用し、誤解を招く手法。 2023年の福島第一原発の処理水放出の際には、2012年の福島の放射線量を報じた記事を2023年に引用し、あたかも最近の放射線量と見せかけた事例があった。
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「投稿を目にした時に、誰かに言いたくなる衝動や何かしらの不安や恐怖を感じてしまった時はかなり黄色信号。自分の感情を揺れ動かされるようなコンテンツほど、“3つの偽”を意識して情報に向き合っていただいた方がいい」
総理批判に集中する不審アカウント――背後にある狙いとは
不審なアカウントはほかにも。
2010年のアカウント開設以降ほとんど活動が確認されなかったのが今年に入ってから高市総理を批判する投稿を大量にリポストするケースや、同じハッシュタグや文章を使った政権批判の投稿が衆院選の公示日(1月27日)以降に急増したケースもある。
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「怒りや不安に響くようなコンテンツはより多くの人たちに見られやすい。よく検知されるものは日本の総理大臣や政権に対する批判が多い傾向がある」
批判的なコンテンツを拡散する狙いについて、竜口氏は次のように分析する。
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「自身の信条や思想に則った状態で活動する人や、最近はSNS上でコンテンツを収益化できるのでお金を儲けるために拡散する人もいる。海外でも検知されているような選挙介入や影響力工作と言われるものでいえば、日本国内の分断を煽ったり国内を不安定にする目的も考えられる」
海外アカウントが日本語で政権批判――選挙介入の可能性は?
「外国勢力による選挙介入」をめぐっては、去年7月の参院選でも介入が疑われる事例が報告された。今回の衆院選でも前述のとおり不審なアカウント活動が検知されているが、JNIの髙森雅和代表は現時点では「影響は限定的」としつつも、警戒の必要性を訴える。
JNI・髙森雅和代表 「分断を煽って混乱させて、ひいては国力を下げていくっていうことが海外でもよく報告されている。ヨーロッパやアメリカで起きているものが日本で絶対に起きないとは言えないと思うので、こういった動きを注視・警戒している」
私たちに求められる“情報との向き合い方”
情報が氾濫する時代に、私たちはどう情報と向き合えばいいのか。髙森氏は、選挙や災害時には偽情報が増える傾向があると指摘した上で、こう呼びかける。
JNI・髙森雅和代表 「SNSには自分の異なる意見をあおるような強い言説や、怒り・憎しみを煽るコンテンツがあふれている。過激なコンテンツほど、裏側の意図を持った人たちが発信してるっていう可能性があるんだということを知っておくだけで、『このままで良いのかな』とか『もう一個の情報見てみよう』」という行動に繋がる」
急激に閲覧数が増えている投稿、過激な言葉で感情を揺さぶる投稿――そうしたものに出会ったとき、一度立ち止まる習慣を持つこと。そして、“作られた広がり”である可能性を念頭に置きながら情報を吟味すること。完全に見破ることは難しい。だからこそ、「こういう事例があるっていうことを知っておくだけで心構えが違ってくる」と髙森氏は語る。
私たち一人ひとりに、今、新たな“情報リテラシー”が求められている。
自民も参政も国民民主も中道も「消費税減税」…「誰かがどこかでコントロールしているのかな?(笑)」「選挙の争点にはならない」《高市フレーン・永濱利廣氏×物価研究の権威・渡辺努東大名誉教授》
衆院選で各党が公約に掲げる「消費税減税」。家計を救う特効薬のようだが、果たして本当に国民の生活は楽になるのか。そして、国債市場が警戒する高市首相の「責任ある積極財政」の行方は――。高市早苗首相のフレーンとインフレ研究の権威による緊急対談!
(ながはまとしひろ/1971年生まれ。1995年に早稲田大学理工学部卒業後、第一生命保険入社。2005年、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。2016年4月より第一生命経済研究所首席エコノミスト。)
(わたなべつとむ/1959年生まれ。1982年に東京大学経済学部経済学科卒業後、日本銀行に勤務。米ハーバード大で経済学博士号取得。東大大学院教授などを経て、現在、東大名誉教授。専門はマクロ経済学。)
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チームみらい以外、どの党も消費税減税
衆院選の選挙戦も折り返しを過ぎた。「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗首相は、自らの悲願でもあった消費税減税を引っ提げ、選挙戦に挑んでいる。
自民が検討を加速するとして公約に盛り込んだのは「食料品の2年間消費税ゼロ」。一方、中道も恒久的な食料品消費税ゼロを打ち出した。これは本当に物価高にあえぐ国民の負担軽減に繋がるのか。
消費税減税に批判的な物価研究の第一人者、渡辺努東京大学名誉教授と、高市政権誕生後に経済財政諮問会議の民間議員となった第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣氏が緊急対談した。
永濱 今回の衆院選ではチームみらい以外、どの党も消費税減税を打ち出している。選挙の争点にはならないでしょうね。
渡辺 他にも争点となるべき経済対策はあると思うのですが、話題になるのは消費税減税のことばかり。誰かがどこかでコントロールしているのかな?と不思議なほどです(笑)。
永濱 有権者にとっては、毎日の買い物の中で、モノの値段が下がっているのが実感しやすい。だから選挙となると、各党が消費税減税に流されるんでしょう。
渡辺 そうですね。ただ、消費税減税で物価を抑えようとするのは「悪い積極財政」であり、間違っていると思います。消費税減税でモノの値段が下がるのは確かです。ですが、現状で食料品にかかる消費税の8%分がまるまる安くなるかというと、実はそうではないのです。
《この対談の続きは現在配信中の「 週刊文春 電子版 」および2月5日(木)発売の「週刊文春」で読むことできる》
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年2月12日号)
《存在感を発揮できず…》中道改革連合、結党大会でフリーランス記者を”排除” 情報のオープン化の流れに逆行「あくまでも中道の結党大会なので…」
2026年2月8日に投開票日を迎える衆議院議員解散総選挙の情勢調査で、立憲民主党と公明党の衆議院議員により結成された中道改革連合(中道)が大幅に議席を減らすとの結果が出て衝撃が広がっている。そんな中道が、情報をオープンにするという姿勢に疑問が残る状態で、結党大会では時代に逆行した取材対応がなされていたと、政治と選挙の取材と続けてきたライターの小川裕夫氏は指摘する。いったい何が起きていたのか、小川氏がレポートする。
* * * 1月9日23時、読売新聞オンラインに『高市首相が衆院解散を検討、23日通常国会の冒頭に…2月上中旬に投開票の公算』と掲載され、そこから猛スピードで衆院選へのスケジュールが決まっていった。1月23日衆議院解散、1月27日公示・2月8日投開票というスケジュールは、解散から投開票日までは16日間しかなく、短期決戦ということもあって各党は慌ただしい選挙を強いられた。なぜ、そんなに急いだのか。
1月19日に首相官邸で実施した記者会見で「衆院選は政権選択選挙」と前置きした高市首相は、解散の理由を「前回の衆院選は与党が自民党・公明党という枠組みだったが、それが自民党・日本維新の会に変わった」ことを挙げた。
しかし、それは表向きの理由に過ぎない。何人かの永田町関係者に話を聞くと、高市首相の周辺は立憲・公明党が合流して新党を立ち上げる準備を進めていたことを察知していたという。これまで自民党は選挙で公明党とも協力し、公明党票に助けられてきた。公明党票は各選挙区で1万?2万あると推定される。連立解消で公明党票を失うだけではなく、対立候補に流れ込めば差し引き約4万票の差が出る。接戦区で4万票は大きい。小選挙区で軒並み競り負けるかもしれないという危機感から、新党が立ち上がる前に選挙をしてしまおうという思惑だったようだ。
立憲・公明両党は、入念に準備を整えるつもりだったが、思わぬ衆議院の解散により見切り発車ながらも中道改革連合(中道)を結成することが叶った。不十分とはいえ、自民党に対抗できる勢力が誕生したわけだ。
機先を制した中道は1月21日に決党大会を開催。これで大々的に政権交代を目指すことを世間にアピールする予定だった。しかし、中道の結党は関係者たちの想像以上に盛り上がりを欠いた。
政権交代が可能な新党が立ち上がったにも関わらず、世間の関心が集まらなかった理由はいくつかある。そもそも中道という新党ながら、実態は立憲民主党と公明党の合流に過ぎず、発表された候補予定者のラインナップも代わり映えしなかった。つまり、有権者に立憲・公明の合流新党は選挙対策でしかないという印象を与えてしまったことが大きい。
「国会記者記章がないと入れない場所」
「すみません、左手で打っていて変な文章に…」高市首相から届いた”日曜討論ズル休み”報道への反論メール
※本稿は、須田慎一郎氏のYouTubeチャンネル「ただいま取材中」の一部を再編集したものです。
今回、緊急で記事を出させていただいた。その理由はこの記事を、ご一読いただき、納得いただいた方には、ぜひ、広く拡散していただきたいという願いがあるからだ。
一体何かと言えば、衆議院選挙のさなかに大きな話題となり、いま大炎上中の「高市早苗総理のNHK日曜討論ドタキャン問題」だ。
発端は2月3日、週刊文春電子版が報じた記事だ。先日、高市総理がNHKの「日曜討論」を欠席したことを受け、同誌は「様々な問題を抱える中で出席を回避したのではないか」「いわゆる『ズル休み』ではないか」という趣旨の記事を掲載した。
官邸関係者が今回の事案の真相を明かしており、「放送2日前の1月30日(金曜日)時点で、高市側から選対委員長を務める小林鷹之氏に対し、代打としての出演を打診している」というコメントが紹介されている。しかし、小林氏は日曜午前10時半から京都での遊説日程が入っていたため、調整がつかなかったという内容だ。
これまでの経緯では、高市総理は日曜討論の前日、街頭演説の際に支持者から手を強く引っ張られたことで負傷したとされている。もともと関節リウマチの持病がある中で強く引っ張られたために怪我をし、翌日曜の朝に急遽治療を受けなければならなくなった。その治療を優先したためにNHKの日曜討論を欠席した、という流れであった。
しかし、週刊文春の記事はこれに異を唱えるものだ。「怪我をする前からすでに代役をアテンドしていたのだから、怪我による欠席という理由は虚偽である」というニュアンスで報じている。
では、なぜ欠席しなければならなかったのか。週刊文春の記事は、同誌が報じた旧統一教会と高市早苗総理との関係について、日曜討論の場で追及されることを避けたかったのではないか、というストーリーで書かれている。つまり、追及を逃れるために怪我を理由に「ズル休み」をしたのではないか、という指摘だ。
果たしてそれは事実なのだろうか。本当に放送の2日前に代役を依頼しようとしていたのか。もし代役を頼んでいたことが事実であれば、これまでの説明が大きく覆されることになり、これは非常に重大な問題であると私も考えた。
そこで、返信があるかは分からなかったが、昨晩の深夜、高市総理に直接メールを送り、実際のところはどうだったのかを問い合わせた。
深夜という時間帯であることに加え、多忙を極める選挙活動中であることから、返信はないだろうと考えていた。「もし返信があれば幸い」という程度の思いであった。その際、「事の真相については、X(旧Twitter)で公開されてはいかがでしょうか」という提案も添えておいた。
すると、しばらくした午前1時前、高市総理から1通の返信があった。このメールの内容について、皆様と情報を共有したいと思う。メールの文面をそのまま読み上げる。
高市総理からの返信内容は以下の通りである。
「私からは誰にも(代役を)依頼していません。選挙公示日から右手指関節が2本曲がり、腫れ上がっていたところ、木曜日(1月29日)と金曜日(1月30日)の演説会で手を強く引っ張られてアウトでした。私は関節リウマチ患者であるため、関節が弱く壊れやすい状態です。
金曜日から遊説のキャンセルを党本部に依頼していましたが、キャンセルはできないとのことで、日曜朝にようやく医務官に消炎処置とテーピングをしてもらい、午後から遊説を再開することになりました。多分、党本部がピンチヒッターとして田村憲久先生にお願いしてくれたと思います。今も毎朝、医務官に消炎処置とテーピングをしてもらいながら遊説を続けています。選挙後に病院でレントゲンを撮ります」
という返事が返ってきた。
さらに、続けて次のような回答もあった。
もともと高市総理は、NHKに出演するために遊説の出発時間を遅めに設定していた。つまり、出演することを前提にスケジュールを組んでいたのである。遊説のスタートを遅らせてまで、出演の準備を整えていたということだ。
そして、さらに次のように続けている。
とのことである。つまり、日曜の朝しか治療の機会がなかったということだ。ここまでのメールで文章は乱れていて、次の文章を読んだ時に私は何とも言えない気持ちになった。高市総理はメールの最後にこう綴っている。
もし文章がスムーズではないように感じられたとしても、それは右手が使えない状態だからである。右手が効かず、パソコンを打つことができないため、左手のみで返信を打っていたという事実が最後に明かされた。文章に多少の違和感やぎこちなさがあったのは、そのためだったのである。
週刊文春の指摘と高市総理の説明、どちらに信憑性があるのかについては、皆様ご自身に判断していただきたい。
週刊文春電子版が報じるように、旧統一教会問題を追及されたくないがために日曜討論を欠席し、「ズル休み」をしたのか。それとも、総理自身が説明するように、本当は出席するつもりで準備を進めていたのか。後者の証拠として、出演のために遊説の出発時間を遅らせていたという事実がある。
病状を心配した官房長官の判断も、相当に深刻な状態であったことを物語っている。右手で患部をかばい、不自由な左手でパソコンを打ったために文面が乱れてしまうほどの状況だ。こうした経緯を踏まえると、「治療を優先すべきだ」として代役を探したという説明に矛盾はないと私は考える。
とは言え、週刊文春側も高市、小林、田村の三氏に対して質問状を送付したはずである。それに対し、三者からは「党幹部の日々のやり取りの詳細については公表を控えたい」という旨の回答があったようだ。
そのため、あのような記事になったという経緯は理解できなくもない。しかし、形式的な質問状を送り、回答がないからといって、そのまま一方的に断定するのはいかがなものか。
本件は、場合によっては選挙結果にも大きな影響を与えかねない。さらに、高市総理の名誉を大きく傷つけることにもなりかねない事案である。そうした状況を鑑みれば、もう少し丁寧な取材があってもよかったのではないだろうか。あまりにも簡略な反論取材で済ませてしまう姿勢には疑問が残る。そもそも、週刊文春が報じた旧統一教会の問題自体、現時点ではさほど大きな問題にはなっていない。
しかし、高市総理が旧統一教会問題を非常に気にしているという文脈やストーリーで記事を繋げようとしていたのであれば、週刊文春側としては「してやったり」という思いだったのではないかと勘ぐりたくもなる。
いずれにせよ、「2日前に代役を立て、NHKの日曜討論への欠席は既に決まっていた」という指摘については、先ほど紹介した高市総理自身の説明を聞く限り、事実ではない。確かに代役を探していた形跡はあるようだが、それは総理自身が依頼したことではないということだ。結局のところ、急な欠席はできないという前提で動いていたが、最終的にそのような結果になったのが真相のようである。
今日お伝えしたこの情報は、個人的に極めて重要だと考えている。物事を正しく判断していただくためにも、いわゆる両論併記ではないが、「週刊文春の主張」と「高市総理の説明」の両方を照らし合わせ、真実が一体どこにあるのかを考えていただきたい。
現状では情報があまりにも一方的であり、場合によってはこれが選挙結果にも影響を与えかねない。そういう意味で、総理はこのように説明しているという事実を伝えたい。どちらに真実があるのか、どちらが正しいと考えるのか。一方的な情報だけで判断してはいけないと私は考えている。
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(ジャーナリスト 須田 慎一郎)