三重県亀山市の新名神高速道路で3月、大型トラックが乗用車に追突し6人が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた元大型トラック運転手、水谷水都代(みつよ)被告(55)=広島県安芸高田市=の第2回公判が8月31日、津地裁(出口博章裁判官)であった。水谷被告は被告人質問で「身勝手な運転で大きな事故になってしまい申し訳ないと思っている」と謝罪を述べた。
6月の初公判で検察側は、水谷被告が動画投稿アプリ「ティックトック」のスクリーンショットを撮るため、約13秒間にわたり脇見をしていたと指摘。被告も起訴内容を認めていた。
31日の公判で水谷被告は「(運転中に)同僚と電話で通話をしたり、日報を探したりした」とほかにも「ながら運転」をしていたことを明かし、動画アプリも「すぐに消せばいいかなという軽い気持ちだった」と話した。
また事故直後、救助に向かわなかったのか問われると「見たことのないような火柱が上がっていた。火から逃げることしかできなかった」と述べた。
起訴状などによると、水谷被告は3月20日午前2時20分ごろ、亀山市安坂山町の新名神高速道路下り線・野登トンネル出口付近を時速82キロで走行中、渋滞で停止していた会社員、松本幸司さん(当時45歳)=静岡県袋井市=運転のミニバンに追突。前にいた団体職員、高峰啓三さん(同56歳)=埼玉県草加市=の乗用車を巻き込んだ。
この事故で、松本さん▽妻の恵梨子さん(同42歳)▽小学5年の長女莉桜さん(同11歳)▽小学2年の長男壮真さん(同8歳)▽保育園児の次女彩那さん(同5歳)と高峰さんの計6人が死亡した。【石本万象】
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復旧・復興本部を設置=初動にめど、再建指針策定へ―熊本県
熊本県内で最大震度7を観測した地震で、県は31日、県災害対策本部を災害警戒本部に移行した上で、復旧・復興本部を設置した。初動対応に一定のめどが立ちつつあることが理由で、県は10月末までに、被災者の生活再建に向けた指針となる「復旧・復興プラン」を策定する方針だ。
県によると、31日午後2時点で災害関連死の疑いがある2人を含め、死者は38人。2135人が避難生活を余儀なくされており、住宅被害は5万5717棟に上った。農林水産業関連の被害額は約1576億円、商工業関連の被害額は約1559億円となり、今後も増える見通しだ。
県は9月1日付で、被災者の生活再建支援などを強化するための組織改正も行う。
31日には復旧・復興本部の初会合が開かれ、会合後、木村敬知事は「被災者や被災自治体の声を的確に反映したものをつくりたい」と述べた。 [時事通信社]
概算要求、過去最大143兆円超=補正・当初一本化で膨張―上限なし投資枠も・27年度予算
財務省は31日、2027年度予算編成に向けた各省庁からの概算要求を締め切った。一般会計の要求総額は143兆円超に達する見通しで、26年度要求額(122兆4454億円)を大幅に上回り、4年連続で過去最大を更新する。補正予算に頼ってきた恒常的な施策を当初予算へ一本化したほか、要求上限を設けない新たな投資枠を創設したことで、歳出圧力が一段と強まった。
概算要求では、危機管理や成長分野への投資に充てる「強く豊かな日本」投資枠を新設し、要求上限を撤廃した。金額を示さない「事項要求」も認めた。政策の予見可能性を高めるため、これまで補正予算で対応してきた恒常的な施策を当初予算に取り込んだ。
新たな投資枠への要求は一般会計分で、政府が試算の前提とした10兆円を上回った。最も大きい要求額の経済産業省は4兆5250億円だった。金利上昇を背景とした利払い費の増大で国債費も膨らんだ。この結果、事項要求を除く要求額は、26年度当初予算に25年度補正予算額を加えた合計額140兆6126億円を2%程度超えた。
財務省以外で要求額が最も大きい厚生労働省は、過去最大の36兆5803億円。防衛省は前年度とほぼ同水準だが、安全保障関連3文書の改定を年末に控え、多くの項目を事項要求とした。安全保障環境が不安定化する中、防衛力強化に向けた議論が注目される。
財務省は、国債の利払いや返済に充てる国債費として、26年度予算から5兆3628億円増となる過去最大の36兆6386億円を要求。想定金利を年3.0%から3.8%へ引き上げたことが響き、利払い費が膨らんだ。
片山さつき財務相は25日の記者会見で、「成長にしっかり貢献するもの、民間投資の誘発効果があるということが当然の条件だ」とした上で、厳しく査定する考えを表明。「責任ある積極財政の下、強い経済の構築と財政の持続可能性を両立、一体的に実現したい」と述べた。年末の予算編成に向け、財政規律を維持しつつ、どこまでの歳出規模を確保できるかが焦点となる。 [時事通信社]
三重の商店街火災、約4時間20分後に鎮圧 けが人や逃げ遅れなし
8月31日午後3時15分ごろ、三重県伊勢市岩渕1の明倫商店街の一角から出火、アーケード付き商店街のほぼ全体や周辺の家屋に燃え広がり、約4時間20分後に鎮圧した。伊勢署によると、けが人や逃げ遅れの情報はない。現場は近鉄宇治山田駅前で、最も近い伊勢神宮外宮の敷地までは約400メートル。
商店街関係者によると、東側に2カ所ある出入り口のうち、南側を少し入った付近から火が出たという。
商店街は一時炎に包まれ、隣接する一般の家屋も延焼、北側の伊勢市観光文化会館の壁面も黒焦げになった。南隣の箕曲中松原(みのなかまつばら)神社に火が迫り、付近の住民が社殿からご神体を運び出すなど緊迫する場面もあった。
同商店街で現在営業しているのは20店舗余り。出火当時は10店前後が営業していたという。西側に元巨人の沢村栄治投手の生家跡があり、昭和レトロなムードでも知られる。
伊勢署と消防は1日に実況見分して詳しい原因などを調べる。【小澤由紀】
茂木氏、邦人救助へ協力要請=ネパール外相と電話会談―土石流災害
茂木敏充外相は31日、ネパールを襲った土石流災害を受け、同国のカナル外相と電話会談し、連絡が取れない邦人5人について、一刻も早い救助に向けた捜索への最大限の協力を要請した。カナル氏は「全力を尽くす考えだ。日本を含む国際社会ともよく連携していきたい」と応じた。
茂木氏は、日本政府としてテントや毛布など緊急援助物資の供与を決定したと説明。今後、国際機関を通じた支援や、国際緊急援助隊の派遣を検討していると伝え、カナル氏は謝意を示した。 [時事通信社]
収穫目前の“米どころ”を直撃・地元産業にも大きな爪痕…今度は福井で記録的大雨
記録的な大雨が襲った福井県。
31日は、朝から気温が上がりました。熱中症警報アラートが発表されるなかでの復旧作業です。
【動画】福井は大雨で九州は渇水…各地の田んぼ打撃
一夜明けても冠水続く
地元の高校生たちも頼りにするバスターミナルでも片付けに追われていました。30日、9台の路線バスが、泥水に浸かった場所です。31日は、ごく一部を除いて、運休になりました。
新学期が始まりましたが、31日は臨時休校。9月1日からの通学が心配です。
近隣の高校教師
「バス通学の子は交通手段がなくなってしまうので、学校に来られるかどうか、とても心配」
坂井市では、一夜明けても、広い範囲で水がたまっている場所もあります。
水が引かないため、ポンプを借りに行っているそうです。
住民
「ポンプ買いに行ったら、全部、売り切れ。3軒、回ったけれど」
福井県を襲った大雨は、軒並み、観測史上最大を記録しました。冠水したのは、商業施設などが立ち並ぶ、平野部の広い範囲です。
泥を含み、街に流れ込んだ水は、17河川20カ所からあふれたものです。
収穫目前の“米どころ”を直撃
農業の甚大な被害が明らかになりました。
泥水になぎ倒された収穫直前の稲穂。
この地域は、北陸有数の米どころです。
田中農園では、すでに収穫していた米3トンほどが水に浸かり、出荷できなくなりました。
精米機などの機械類も、不具合が出ていて、700万円ほどの損害だといいます。
田中農園 田中勇樹社長
「(Q.裏手も田んぼ)そうです。(Q.ここも水が越えてきた)そうです。道も全く見えない状態で。手塩にかけて育ててきたものが、(稲刈り)直前に水害が起きるのは、やっぱりつらい」
稲刈りを、1週間後に控えていました。
田中農園 田中勇樹社長
「本来だと、泥に汚れていなければ黄金、稲穂のきれいな色。収穫直前で」
まだ、すべての田んぼの確認はできていませんが、被害は2000万円に上るおそれがあるといいます。30度を超える気温では、水の中で根が腐り、質や量が落ちてしまうそうです。
田中農園 田中勇樹社長
「コメの価格が下がり、下がったうえに、こんな災害まで起きて、ダブルパンチというところ。本当に災難だなと」
地元産業にも大きな爪痕
物流会社では、倉庫が水に浸かりました。
アイシー物流 吉川浩史社長
「糸系が一番多いですね。(Q.福井だから)そうですね。繊維が、一番、多いですね」
福井は、合成繊維の織物生産で、全国の5割近くを占めます。地元産業にも大きな爪痕を残しました。
アイシー物流 吉川浩史社長
「一日も早く復旧して、お客さまに迷惑がかからないよう、全力を尽くすだけ」
100年以上続く老舗の織物工場。
主に洋服のタグなどを手掛け、数千社のブランドに納品しているそうです。
土日も休むことなく稼働させてきた工場が、止まってしまいました。
高岡細巾織物 高岡周平さん
「能登地震も、もちろん影響がありましたが、完全に機械が動かなくなったのは、今回が初めて。いまは電源が入らないので、うんともすんとも動かない状態」
織機60台が置いてある工場に浸水。床下に配線があるため、電気系統に影響が出ています。復旧のめどが立たず、取引先も心配しています。
高岡細巾織物 高岡周平さん
「出来上がっているものは、(あすから)発送する予定です。ただ、これから作る分というのは、工場が止まってしまっているので、順次というところです」
被害は1000万円を超える見込みです。
民泊施設の経営者は、30日、富山県に大雨被害のボランティアに行く予定でした。
民泊を経営 宮田香司さん
「まさか、まさかで。とりあえず、いったん、こっちを片づけてしまわないと」
能登半島で活動するボランティア仲間らも駆け付け、今週中の再開を目指しています。
富山では31人孤立状態続く
先週、富山県や石川県も記録的な大雨に見舞われました。
羽咋市では、大量の泥が、住宅の敷地に堆積してしまいました。
住人
「この下の方、スコップも入らない」
周辺では、重機も使ってかき出していますが、完全復旧には時間がかかりそうです。
富山県氷見市では、災害ごみの受け入れが始まりました。
ごみを置きに来た人
「水と泥がうちの中、川のように流れてた。そこに積んでる畳、全部そうです」
仮置き場では、濡れてしまった畳や、家電製品が次々と持ち込まれていました。
現在、3つの地区で、22世帯31人が孤立状態になっています。
《30キロ制限の道を時速100キロ超で爆走》競泳五輪メダリスト・本多灯被告の危険運転、暴走の引き金は「スポーツカー」への「絶対負けたくない」という“対抗心”
東京オリンピック男子200mバタフライ銀メダル、パリオリンピック日本代表など、現代の日本競泳男子を牽引する一人である本多灯選手。そんな本多選手が自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の罪で、起訴された。突然の報道に驚いた方も多いのではないだろうか。
事故は2025年11月に起きたものだったが、日本水泳連盟への報告は2026年7月と時間が空き、出場が予定されていた8月のパンパシフィック選手権、9月のアジア大会への出場を急遽辞退することとなった。
各所に波紋を広げている今回の事故はなぜ起きたのか。
8月25日の初公判で明らかになったのは、選手としての苦悩とそこから立ち直ろうとする姿だった。いずれも、競技と切り離すことのできない事情である。傍聴を行った裁判ライターの普通氏がレポートする。【前後編の前編】
法定最高速度30キロの道を、時速88~108キロで
事前に明らかになった情報は多くはなかったが、初公判が開かれた東京地裁立川支部には多くの傍聴希望者がかけつけるなど関心度の高さがうかがえた。
本多被告は、深い紺色のスーツ、白いYシャツにストライプのネクタイを着用し、一礼してから法廷に入った。水泳選手特有の肩幅の広さ、胸板の厚さで堂々とした体躯だったが、競技時と異なりその表情は不安そうだった。裁判を通じて発する言葉はあまり大きくなく、聞き取りが難しく感じることもあった。
起訴状によると、本多被告は2025年11月21日午前8時26分ごろ、多摩市のモノレール線路沿いにある道を普通自動車で走行していた。その道路は法定速度が30キロに設定されており、現場付近は左方向にカーブを描いていた。本多被告はその地点の進行において制御が困難な速度である88~108キロで走行したことにより、カーブを曲がり切れず対向車線にはみ出し、対向車線を走っていた60代男性の普通自動車と衝突。加療28日間の胸骨、肋骨の骨折などを負わせたとされる。
本多被告は「間違いありません」と、その起訴事実を認めた。
今年7月21日の法改正までは、同法は「その進行を制御することが困難な高速度」と規定されていたが、改正により一般道路では法定速度を50キロ以上、高速道路では法定速度を60キロ以上オーバーしての事故には同法が適用されることとなった。また、数値基準に満たなくても、道路、交通の状況に応じて同法が適用される可能性がある。
信号待ちの前方に停まっていた「スポーツカー」
【福井県にレベル5大雨特別警報】勝山市では市内の至る所で冠水、床下浸水の通報10件以上 「土砂崩れで道が塞がっている」との通報も
福井県内では断続的に雨が降り続いていて、午前5時までの24時間に降った雨の量は勝山市で288ミリ、坂井市春江で281ミリと観測史上最大を記録しています。
勝山市の担当者によりますと、市内の至る所が冠水しているほか、家屋が床下浸水しているという通報が10件以上寄せられているということです。
また、勝山市平泉寺町赤尾で「土砂崩れで道が塞がっている」との通報があり、現在、詳しい状況を確認しています。
人的被害の通報は今のところ入っていないということです。
福井県では昼前にかけて低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に最大級の警戒が必要です。
〈高円寺阿波踊りでも不安の声〉「踊る姿は見てほしいが…」女性踊り手の性的消費とSNS拡散、一律の撮影規制に揺れる現場の葛藤
伝統ある祭りの舞台裏で、女性踊り手たちを狙う「性的な視線」とSNSでの拡散・消費が深刻な問題となっている。阿波おどりやサンバ、ベリーダンスといったイベントにおいて、悪質なローアングル撮影だけでなく、ごく普通の練習風景すらも本人の意図しない性的な文脈で消費される現状がネットで浮き彫りになった。
【画像】高円寺の阿波おどりを撮影しようと多くの人がスマホを向けていた
撮影規制の限界と、現役踊り手への取材から見えてきた複雑な本音、そして「撮る側・見る側」に今突きつけられているモラルのあり方とは。
心配される高円寺阿波おどりでの不適切撮影
8月12日から15日の4日間にわたって、徳島市で開催された阿波おどり。台風の影響で周辺交通に乱れは出たものの、本番は大きく崩れることなく、4日間の日程を無事終えた。
しかし、開催前からインターネット上では、不穏な空気が漂っていた。近年、阿波おどりの女性踊り手を性的な意図で撮影し、その映像をSNSに投稿するという行為が問題になっているからだ。
例えば、公共施設で阿波おどりを練習していた女性が、知らないうちに撮影され、その映像がTikTokに投稿されたケースがある。
動画は100万回以上再生されたが、練習着の上から下着のラインが分かる場面も映っており、コメント欄には踊りそのものとは関係なく、女性の容姿や身体について言及する書き込みが寄せられていた。
「阿波おどりを記録し、楽しむためにカメラを向けること自体は、昔から祭りの風景の一部です。しかし、SNSの普及によって、そのあり方は変わりつつあります。踊りそのものではなく、女性の容姿や身体の一部に焦点を当てた映像が切り取られ、性的な文脈とともに不特定多数へ拡散されるケースが目立つようになっています」(地域情報誌記者)
集英社オンラインでは『〈阿波おどり不適切撮影〉「気持ち悪い」「さらされるなら踊りたくない」性を強調した動画拡散で未成年も被害…再生数稼ぎの撮影者に注意しても「ごまかされまた来る」運営が激怒』と題した記事を配信。Yahoo!ニュースにも掲載され、問題はさらに注目を集めた。
「ほかにもSNSでは、『美少女が紛れ込んでいる』と特定の女性踊り手に注目した動画に対して、『おちりの突き出しがセクチー』など、踊り手の身体を性的に捉えたコメントが寄せられています。
さらに、昨年撮影されたと思われる動画では、女性踊り手を地面に近い位置からローアングルで撮影する男性の姿が捉えられ、こちらも拡散されました」(同)
問題視されてきたダンスの不適切撮影
女性の踊り手をめぐるこうした問題は、阿波おどりに限ったものではない。露出度の高い衣装で踊る浅草サンバカーニバルでも、女性ダンサーの身体の一部を狙うような撮影は、以前から問題視されてきた。
「とあるネット掲示板の『サンバイベント情報』と題されたスレッドには、撮影した女性の画像を掲載しながら、『最前線でライトを焚いたので良い作品ができました。●●(編集部伏字)すぎ注意!』と書き込む人物もいます」(同)
もちろん、主催者や出演チーム側も手をこまねいてきたわけではない。浅草サンバカーニバルでは過去に撮影禁止エリアが設けるなど、不適切撮影の防止に力を入れてきた。
そして、これは阿波おどりやサンバに限った話ではない。
「東京外国語大学の学園祭『外語祭』では、女子学生によるベリーダンス公演が以前から人気を集めていますが、観客に中高年の男性が目立つこともたびたび話題になってきました。2000年代の時点ですでに、公演を撮影した動画がネット上にアップされて問題となり、写真や動画の撮影は禁止されています。
スマホの普及とSNSの発達によって、こうした映像が一気に拡散されるようになりましたが、女性が人前で踊るイベントに撮影を目的とした観客が訪れ、その映像がネット上で消費されるという構図自体は、20年近く前からあったのです」(同)
もっとも、撮影方法を規制するだけで、この問題を解決できるわけではない。今回問題となった阿波おどりの動画のなかには、ローアングルで身体の一部を狙ったものではなく、女性たちがごく普通に練習する様子を収めた映像もある。
ところが、そうした動画にも踊り手の容姿や身体を性的に捉えるコメントが寄せられ、本人の意図とは無関係な文脈で拡散されていく。
問題は「何をどう撮るか」だけではなく、「撮られた映像がどう見られ、どう消費されるか」にまで広がっている。悪質な撮影を禁止したとしても、何気なく撮影された映像や、本人たちが発信した動画さえ、性的な視線にさらされる可能性は残る。撮影を規制するだけでは、問題は別の場所で繰り返されるだけなのかもしれない。
高円寺阿波おどりに参加する女性に取材
では、実際の踊り手はこうした問題をどう受け止めているのか。29日と30日に開催する『東京高円寺阿波おどり』に参加する高橋さん(仮名・20代女性)は、こう話す。
「撮影されることはすごく意識しています。ただ、SNSでの連員(グループのメンバー)募集が主になっていることもあり、多くの人に見てもらえる、悪意のない写真はありがたいと思っています。
知らない人のSNSに、自分が踊っている写真や動画が投稿されるのもうれしいので、本番後の打ち上げで、みんなで自分の連(グループ)名をエゴサーチしています」
実際、撮影した写真をファイルにまとめて連へ送ってくれる人や、SNSの投稿を共有してくれる人もおり、撮影をきっかけに観客との交流が生まれることも少なくない。だからこそ、この女性は一部の悪質な撮影者の存在を理由に、撮影そのものを厳しく制限することには否定的だ。
「不適切な写真を撮っているのは少数だと思うので、個人的には撮影を制限する必要はないと思っています。ただ、未成年者の被害なども考えると、不適切なアカウントへの対応や対策は厳しくすべきだと思います。
知り合いも、踊っているところではなく、待機中に胸元をアップで盗撮されたことがあるそうです。そういうのは当然、嫌ですね」(高橋さん)
踊り手たちも、祭りに参加する以上、観客のカメラに写り込んだり、踊っている姿を撮影されたりすることは、ある程度想定しているだろう。しかし、それは身体の一部だけを意図的に切り取られ、性的な文脈で消費されることまで受け入れているということではない。
阿波おどりをはじめとする祭りは、老若男女が楽しめる場所だ。踊り手に過度な自衛を求めるのではなく、身体の一部を狙った撮影や、本人が望まない形で性的に消費する行為を避ける。撮る側、見る側の当たり前のモラルが、いま改めて問われている。
取材・文/千駄木雄大
9月1日から“一発免停”のリスク急増 違反歴なくても… 対象は全国の7割の道路 生活道路中心に法定速度60→30キロ【大石邦彦解説】
9月1日から道路交通法が改正されるが、これは運転ルールの常識が変わる、歴史的な大転換と言える。実に全国の7割の一般道の法廷速度が60キロから30キロに変更されるからだ。対象となる道路は、我々の暮らしに関わる生活道路が中心なので、影響はかなり大きいと考えられる。
しかも、8月末まで60キロで走行できた道路で、9月以降も60キロで走ると「一発免停」という可能性もあるため、「知らなかった」では、今後のあなたの生活に支障をきたすことになる。
法廷速度が30キロに変更されるのは、センターラインや中央分離帯などがない生活道路で、全国の道路の7割に上る。一方で、センターラインなどがある道路は、これまで通り60キロで走行できる。また、40キロ、50キロなどの道路標識が立っている速度指示がある道路も、今回の法改正の対象外になる。
なぜ法定速度60キロ→30キロに?
では、なぜ法廷速度を30キロに制限するのか?
それは、生活道路で相次ぐ死亡事故を減らしたいという警察の期待が込められている。交通事故の発生割合と走行速度の関係を示したグラフをみると、赤い線の死亡事故の割合が増加するのが時速30キロを超えるタイミングで、しかも、青い線の負傷事故の割合を超える分岐点にあたる。こうしたデータをもとに30キロという速度がうまれたようだ。
ただ、こうした法改正、現在の暮らしの実情に合っているのか?
例えば、今回対象となる道路には、農道、林道、土手道なども含まれるため、都会よりも地方、郊外に住んでいる人の方が影響は大きいだろう。しかも、人通りの少ない道路も多い。
都会よりも地方・郊外に影響が…?
私が取材した農家は「人が殆ど通らない農道も対象なのか?」と首をかしげながら、今回の一律の速度制限には疑問を感じていた。
このような声が相次げば、各地域の実情にあわせて、今後は走行速度を上げるなどの緩和策も検討されるかもしれない。
9月1日からスタートする生活道路での30キロ走行への変更。60キロが30キロに変更されれば、単純に所要時間は2倍になるため、出勤、レジャーなど車でお出かけの際は、時間に余裕を持った行動が必要になる。
また、車を運転する際に、自分はルールを守っているのに、それを知らないドライバーから「ノロノロ運転」と勘違いされ、あおり運転をされるケースもあるかもしれない。
違反歴なくても“一発免停”になるおそれ
取り締まりの対象になるケースも増えそうだ。生活道路を時速60キロで走行することは、現時点では適法だが、9月1日以降は30キロオーバーの速度超過となる。30キロオーバーは、違反点数が6点。過去の違反歴など前歴がなくても、一発で免許停止処分になってしまう。
しかも「一発免停」だけではない。刑事処分の対象になり、10万円以下の罰金を科せられるため、注意が必要なのだ。
9月から対象となるような都会の抜け道で、人が行き交う道路や人通りの多い住宅街の道路を見ていると、これまで60キロで走行できたことに危険性を覚えると同時に、歩行者・生活者を守る点で評価したい。
一方で、センターラインや中央分離帯がないなど道路の構造によって、一律で制限することの弊害もあるだろう。物流も含めた経済活動にも影響を与える。
生活道路とは、まさに人の暮らしに関わる日常道路。今後も暮らしている人たちの声にも柔軟に対応してほしい。多様な人々の暮らしは、一律ではくくれないはずだ。
【CBCテレビ論説室長 大石邦彦】