立民、執行部の刷新要求も=参院選総括へ両院議員懇

立憲民主党は1日、先の参院選の総括に向け、両院議員懇談会を国会内で開いた。与党を過半数割れに追い込む一方、獲得議席は改選22議席から横ばいの結果に終わり、出席者からは人事刷新も含めて執行部の責任を問う声が相次いだ。
野田佳彦代表は、懇談会に先立つ両院議員総会で「元職・現職で戻れない方が出た。痛恨の極みだ」と陳謝。その上で、次期衆院選を念頭に「厳しく総括し、次に備えたい」と強調した。
立民は比例代表の得票数で、自民、国民民主、参政各党に次ぐ4位に沈んだ。懇談会では、中堅議員が「立民は野党第3党だ。再出発するには、けじめをつけるべきだ」と執行部を批判。若手議員も「惨敗という認識を持つべきで、人事は刷新すべきだ」と求めた。
小沢一郎衆院議員は7月末の記者会見で、野田氏の引責を暗に要求している。1日も、出席者から「野田氏にリーダーシップを感じない」との指摘があったという。 [時事通信社]

福井・中3殺害 県警本部長「反省している」 謝罪や検証はなし

1986年に福井市で中学3年の女子生徒(当時15歳)を殺害したとして懲役7年が確定した前川彰司さん(60)に対するやり直し裁判(再審)の無罪判決について、名古屋高検は1日、上訴権を放棄した。事件発生から39年を経て前川さんの再審無罪が確定した。1日が上告期限だった。名古屋高検は「憲法違反や判例違反といった上告理由が見当たらなかった」と上告を断念した理由を説明した。
7月18日に言い渡された名古屋高裁金沢支部の再審無罪判決は、事件の捜査に行き詰まっていた警察が、元暴力団組員の情報を頼りに、なりふりかまわず「供述誘導」したと認めた。
前川さんの再審無罪確定を受けて、福井県警の増田美希子本部長は記者会見を開き、「反省している。疑念が抱かれることのないよう適正な捜査に努める」と述べ、深く頭を下げた。ただ、前川さんに対しては「長く負担をかけることになってしまったことについて重く受け止めている」と語るにとどめて謝罪はせず、捜査の検証も考えていないとした。
再審無罪に至る過程では、警察だけでなく、検察による公判活動の不正も発覚した。検察は、有罪の根拠となった関係者証言に事実誤認が含まれていたと把握しながら確定審で明らかにしていなかった。検察の「証拠隠し」は、再審無罪判決で「公益の代表者としてあるまじき不誠実で罪深い不正」と非難された。
この点、名古屋高検の浜克彦次席検事は報道各社の取材で、「裁判所から当時の検察官の対応が不公正と評価されたのは当然だ。真摯(しんし)に反省し、教訓にしていく」とコメントした。裁判所から指摘された問題に対し、高検として改善・周知していくとしつつ、前川さんへの謝罪や検証は現時点で不要との見解を示した。
事件は86年3月、福井市で発生。中学3年の女子生徒が自宅で死亡しているのが見つかった。事件に関与したとして前川さんが殺人罪に問われ、1審は無罪とされたが、2審・名古屋高裁金沢支部判決(95年2月)が懲役7年の逆転有罪を言い渡し、確定した。
第2次再審請求審で、名古屋高裁金沢支部が2024年10月、再審開始を決定し、25年7月に前川さんに再審無罪判決が言い渡されていた。【丘絢太、萱原健一、高橋隆輔】

天皇ご一家、須崎で静養=6年ぶり―静岡・下田

天皇、皇后両陛下と長女愛子さまは1日夜、静養のため静岡県下田市の須崎御用邸に入られた。須崎での静養は、即位後の2019年8月以来、6年ぶり。数日間滞在する。
伊豆急下田駅には100人余りの市民らが集まり、ご一家は午後8時40分ごろに姿を見せ、笑顔で声を掛けて回った。交流した同市の女性(46)によると、天皇陛下は先日のロシア・カムチャツカ半島付近での地震による津波の影響について尋ね、皇后さまは「浜に行くのが楽しみです」と話したという。 [時事通信社]

石破首相、15日の「終戦の日メッセージ」見送りで調整…これまで「80年は一つの区切りだ」と意欲

石破首相は、戦後80年に合わせた戦争検証などを含む首相見解について、終戦記念日の今月15日には発表しない方向で調整に入った。
複数の政府・与党幹部が明らかにした。先の大戦を巡って次の節目となる、日本が降伏文書に調印した9月2日に、何らかの見解などを出す案が出ている。
首相はこれまで、戦争検証やメッセージの発表などに意欲を示し、7月28日にも記者団に「80年は一つの区切りだ。今までの談話の積み重ねも踏まえながら適切に判断する」と述べていた。

【津波観測】愛知・田原市赤羽根で50cm、尾鷲・鳥羽で40cm、名古屋港で20cm 愛知県外海、伊勢・三河湾、三重県南部の「津波注意報」継続中(7/31 6:30)

東海地方でも引き続き、津波注意報が出されています。海に入ったり、海岸や川の河口に近づいたりしないでください。
これまでに東海地方で観測された津波は、以下の通りです。 田原市赤羽根:30日午後10時54分 50センチ 尾鷲:30日午後5時22分 40センチ 鳥羽:30日午後11時27分 40センチ 熊野市遊木:31日午前1時46分 30センチ 名古屋港:30日午後2時19分 20センチ 半田市衣浦:30日午後3時1分 20センチ 豊橋市三河港:30日午後3時3分 20センチ 四日市:30日午後2時59分 10センチ
愛知県外海、伊勢・三河湾、三重県南部には引き続き、津波注意報が出されています。

友人と海岸で遊んでいて高波に…15歳女子高校生 沖合で見つかり死亡確認 三重・熊野市の七里御浜海岸 部活動合宿で訪問中

高波にさらわれて行方不明になっていた女子高校生の死亡が確認されました。
おととい午後、三重県熊野市の七里御浜海岸で遊んでいた高校生8人のうち5人が高波にさらわれました。
4人は岸に戻りましたが、津市の15歳の女子高校生が、行方不明になりました。
女子高校生はきのう午前10時過ぎ、およそ30メートル離れた沖合で見つかりましたが、死亡が確認されました。
女子高校生は、高校の部活動の合宿で熊野市を訪れていました。

「遊べるよ。1.5で」 売春防止のため道路を黄色く塗装した「イエローロード」で 19~23歳の女5人逮捕 大阪・太融寺

売春目的の客待ち行為が相次いでいる大阪・キタの太融寺エリアで29日夜、一斉摘発が行われました。
このエリアでは去年、道路を塗装するなどしていわゆる「立ちんぼ行為」を防ぐ対策がとられていましたが、最近になって客待ちが増えていたということです。
29日夜の警察による一斉摘発で、売春防止法違反の疑いで逮捕されたのは、19歳から23歳までの女5人です。
女らは、大阪市北区太融寺町の路上で、男性に「遊べるよ。1.5で」などと声を掛け、売春行為をした疑いが持たれています。
女らは容疑を認め、売春目的として「同棲するホストの売り上げに貢献するため」や「アイドルグループのライブ代と遠征代のため」、「手っ取り早く歯の矯正をするお金を稼ぐため」などと説明しているということです。
女らが「立ちんぼ行為」をしていたとされる場所は、去年12月、目立つ場所にとどまることを避けたがる人間心理を売春防止策に生かすため、大阪府警と地元住民が、道路を黄色く塗装するなどした「イエローロード」でした。
大阪府警曽根崎署の川口照治副署長は、「立ちんぼ行為を定着させないことを目指したい」とコメントしています。

イエローロードが完成してから警察が一斉摘発に踏み切ったのは初めてです。

石丸伸二氏は「まとも」だったから参院選でボロ負けした…「再生の道」と大躍進の参政党の決定的な違い

石丸伸二氏の政治団体「再生の道」のスタートは華々しかった。都議選への立候補の呼びかけに1128人もの応募者が集まった。3回もの試験を行い、最終面接はYouTubeで公開する仕掛けは、多くの注目を集めた。しかし、選んだ42人を35の選挙区に擁立したものの、全員が落選した。
すべての得票数を合わせても約41万票にとどまり、都知事選で石丸氏が得た票数の4分の1ほどに過ぎなかった。知事と議員では選ぶ対象も選び方も違うから、単純な比較はできないとしても、昨年の熱狂を思えば、寂しい結果と言わざるを得ない。
続く参院選では、東京選挙区に「再生の道」公認で出馬した吉田あや氏が約13万票を取ったものの、最下位(第7位)当選の塩村文夏氏(立憲民主党)の約52万票に遠く及ばず、15番目だった。ほかにも比例代表では9人の候補者を立てたが、東京都では合計で11万票であり、吉田氏の票数をさらに下回り、都議選での合計得票数の3分の1にも届いていない。
石丸氏は、7月20日の投開票日の記者会見で、「たとえば党首討論。地上波(テレビ)で呼んでいただきたかった。本当にそう思います」と述べていた。果たして、党首討論に出ていたとしても、どれだけ存在感を示せたのだろうか。
逆に昨年の都知事選では、小池百合子知事や蓮舫氏と比べれば、はるかに「地上波」への露出がなかったにもかかわらず、次点に入った。その勢いを振り返れば、「石丸旋風は終わった」と思われても仕方がない。
では、なぜ、この2回の選挙で、石丸氏の勢いは止まったのだろうか。
しばしば指摘されるのは、石丸氏自身が参院選に立候補しなかった点である。石丸氏の知名度は高く、街頭演説には人が集まる。ジャーナリストの櫛田泉氏は、「現代ビジネス」への寄稿〈だから参政党に蹴散らされた…全員落選の《再生の道》関係者が語った「石丸伸二への恨み節」〉のなかで、関係者の証言として、石丸氏が立候補していれば、都議選でも多数を当選させられたと可能性を指摘している。
一方で「再生の道」という政治団体は、政党要件を満たしておらず、メディアで取り上げられにくい。候補者ひとりひとりは、真面目で意欲にも経歴にも富む人たちだが、それだけでは注目されにくい。参院選で「チームみらい」を率いたAIエンジニアの安野貴博氏が、政治団体の顔として露出していたのに比べると、「再生の道」の大将=石丸氏の不在は、票を集めるためには痛手だった。
大将だけではなく、“参謀”もいなかったのかもしれない。正確に言えば、「再生の道」には多くのスタッフがおり、石丸氏を支えているに違いない。けれども、昨年の都知事選で事務局長を担った藤川晋之助氏の姿はない。「選挙の神様」の異名をとり、テレビや雑誌、ネットメディアで、石丸伸二躍進の裏側を語ってきた藤川氏は、石丸氏とは袂を分っただけではなく、今年3月に、この世を去っている。
大将本人が出陣しないばかりか、かつての参謀を欠いていた。この2点は、たしかに「再生の道」が議席を得られなかった要因として挙げられよう。とはいえ、そんなことは、石丸氏には百も承知だろう。都議選の投開票日翌日には、「党としての最優先は『広く国民に政治参加を促す』こと。候補者の政治参加、有権者に対しては選択肢をたくさん提示した」として、意義を強調している。
また、社会学者の西田亮介氏も、石丸氏との共著『日本再生の道』(幻冬舎新書)の冒頭で、「(候補者を)セレクションできるほど人が集まっている時点で、石丸さんの仕掛けの半分はすでに成功していると言ってもいいと思います」(同書22ページ)と評価している。
なるほど「政治屋の一掃」を掲げる石丸氏からすれば、立候補したいと考える有権者が増え、政治のために政治をする人たちを駆逐する道筋をつけられた、そう評価するほかない。実際、「再生の道」の「目標(Objective)」は「2025年6月の都議選に向けて候補者を擁立する」としか書いていなかった。
都議選での「地域政党として、広く国民の政治参加を促すとともに、自治体の自主性・自立性を高め、地域の活性化を進める」という「目的(Purpose)」、そして、「多選の制限のみ(2期8年を上限とする)」との「綱領(Charter)」も「政策がない」との批判があった。しかし、石丸氏はこれも想定の範囲内だったと、西田氏に語っている(『日本再生の道』38ページ)。
参院選では「Purpose-目的-」を「教育への投資を優先し、持続可能な社会を構築する」、「Charter-綱領-」に「教育への予算配分を重視する。ブロードリスニングをもとに政策を打ち出す。任期は2期(12年)を上限とする」と打ち出した。
「政策がない」かと言われれば、そうではない。そして、西田氏との共著では「1人当たりGDPを維持することが大事」(同書211ページ)といった経済政策をはじめ、外交や社会保障についても方針を示しているとはいえ、なかなか伝わりづらかったのではないか。
仮に、都知事選の際の「東京を動かそう」のようなスローガンがあれば、まだ違っていたのかもしれない。それだけではない。都知事選と比べて、都議選、参院選と石丸氏の言動が耳目を集めにくくなっていたのは、実は、石丸氏が「まともだから」ではないか。
石丸氏は、三菱東京UFJ銀行に勤務していた。当時の上司・内田稔高千穂商科大学教授は、石丸氏について「ド正論で突き進むという意味では、私が知っている石丸さんの延長線上にあった」と、動画サイト「ReHacQ-リハック」での対談〈【石丸伸二vs銀行の元上司】半沢直樹か否か…銀行時代、上司を詰めた理由とは?【高橋弘樹】〉で語っている。
石丸氏は、人を驚かせてやろうとか、目立ってやろう、といった山っ気(だけ)で動いているわけではない。それよりも、みずからの信じたことを発言し、その通りに行動する。そこに(のみ)価値を置いているから、たとえ「政策がない」と言われようが、大将も参謀も不在だろうが、気にしない。
だから、都知事選の際に、東京に人を集めようとするのではなく、反対に、「東京を動かそう」と、その人口一極集中を是正しようと訴えたのではないか。奇をてらおうとも思わず、鬼面人を驚かすわけでもない。純粋に「ド正論」を吐く。そこにこそ石丸氏の魅力があり、同時に、嫌われる要素もあった。
石丸氏との対談本のなかで、西田氏が「不気味で得たいが知れない者がドーン! と存在感をもつと怖いじゃないですか」と語っている(同書184ページ)ように、石丸氏の毀誉褒貶は、彼の“わかりにくさ”に由来していた。何をしでかすかわからないから、警戒する人たちも多い。その分だけ、期待した人もまた多かった。
悪名は無名に勝る、を地で行く。それが、「石丸旋風」の要因であり、彼のカリスマ性の要因だったのではないか。
もちろん、西田氏が「再生の道」の都議選を総括して語るように、石丸氏には「個人としてのカリスマとしての力は、まだある」のだろう(【西田亮介が解説】石丸伸二は「賞味期限切れ」?/都議選、国会攻防、参院選/公明党・佐々木さやか、元衆議院議員・山尾志桜里がドタキャン/現金給付や減税、ポピュリズム?/ポスト石破争い【週刊時評@ライブ】)。
そうであるからこそ、より一層、石丸氏の「まともさ」が際立ち、かえって弱みになっているのではないか。
参院選をめぐって印象に残ったやりとりがある。TBSラジオの開票特番のなかで、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が、昨年の都知事選の同局の番組と比べると「石丸さん、エライ態度の違いだと思った」と切り出し、「非常にパワハラ的なコミュニケーションだと思っていた」と分析した。
今回の石丸氏の様子が大きく違うとした上で、「自分の情勢が良くなると非常に高圧的になって、そうではなくなるとまた態度を変えるっていうところは、それってやっぱり、政治にかかわる人間として、果たして信用できるだろうかっていうことを思いながら聞いてました」と述べていた(【開票LIVE】参院選2025〈物価高・少子化・分極化〉~この選択は何を変えるのか? 少数与党に下される審判は【JRN開票特別番組】)。
安田氏の言動に、水に落ちた犬を打つ雰囲気を感じるのは、私の勘違いなのだろう。安田氏によれば、石丸氏のほうが、「態度を変える」点で、「信用できるだろうか」と思わせるのだから。
まさに、こうした態度、いわば丸くなったかのような態度もまた、石丸氏から「不気味で得体が知れない」ところが減った、というよりも、ほとんどなくなったあらわれなのではないか。
西田氏との対談本の末尾で石丸氏は、大阪を「第2首都」として、首都機能移転を提案している。「日本維新の会」の前原誠司共同代表が「副首都」を定める法案への協力を呼びかけたのは、石丸氏の構想と響きあう。
石丸氏にとっては「ド正論」なのだろうけれども、常識の範囲内に収まるくらいの「まともさ」にほかならない。都知事を目指しながら「東京を動かそう」とアピールしたときの驚きは、ここにはない。
参政党の「日本人ファースト」や、NHK党の「NHKをぶっ壊す」ほどの衝撃(出鱈目さ)とまでいかなくても、国民民主党の「手取りを増やす」のような、強く明確なメッセージに支持が集まっている。
「多選の制限」にせよ「教育を最優先」にせよ、どちらもパンチが弱い。弱いからダメだと言いたいのではない。「まとも」であり、誰もが納得できる。それゆえに、かつて多くの人が抱いたであろう「不気味」さは、どこにもない。
すると、もう石丸氏は終わってしまったのだろうか。いや、そう考えてはいけない。なぜなら、彼にとっては、他人から「不気味」に見えるか「まとも」に見えるのか、それはどうでも良いからである。石丸氏は、周りにどう映ろうと、これからも「ド正論」を吐き続けるに違いない。その限りでは、少なくとも彼のなかでは、「石丸旋風」は永遠に終わらないのかもしれない。
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(神戸学院大学現代社会学部 准教授 鈴木 洋仁)

JR東海道線で乗客切りつけた疑い 中国籍の35歳逮捕 神奈川

JR東海道線の横浜駅で乗客を切りつけたとして、神奈川県警川崎署は7月31日、川崎市麻生区細山5の自称会社員、潘康容疑者(35)=中国籍=を傷害容疑で逮捕した。「弁護士と相談してから話す」と認否を留保しているという。
逮捕容疑は28日午後6時5分ごろ、JR横浜駅の東海道線上りホーム付近で、乗客の東京都江戸川区の女性会社員(37)の右腕を刃物で切りつけ、全治2週間のけがをさせたとしている。
同署によると、2人が電車に乗り込む際、順番を巡りトラブルになる様子が駅の防犯カメラに映っていたという。女性会社員は電車内から110番。県警は容疑者の女性が川崎駅で下車したとみて行方を追っていた。
30日夜、防犯カメラの映像と似た容疑者を横浜駅で発見。川崎駅で降りた所を任意同行した。【蓬田正志】

石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

「丁寧に真摯に、逃げずに説明することに尽きる」──自民党は29日、党の重要な意思決定機関「両院議員総会」を近く開催することを決めた。党執行部が「石破おろし」の大合唱に押し切られた形だが、石破首相(党総裁)本人はあくまで続投の意思を崩さない。強気の姿勢には「2つの世論」が味方していると思い込んでいる節がある。
「自分自身の責任については、国民世論と党の考え方が一致するのが大事」
28日の両院議員懇談会の終了後、石破首相が記者団に言い放った言葉だ。退陣要求でつるし上げられた直後、自信たっぷりに「国民世論」を持ち出したのである。それだけ世論は続投に理解を示していると踏んでいるのだろう。実際、石破首相の進退を巡っては、どの世論調査も「辞めるべきだ」「その必要はない」が拮抗している。
26、27日実施の朝日新聞の世論調査では、自民支持層に限ると「辞める必要はない」が実に70%にも達した。同じ調査で参院選の自民大敗の要因を「自民全体に問題がある」「首相個人に問題がある」の2択で聞くと、自民支持層の81%が前者を選択。全体で見るよりも参院選大敗は自民党そのものに原因があるとの見方が顕著で、「石破辞めるな」との意見が強いのである。
「石破おろし」を主導する党内の中堅・若手の背後には“汚れた実力者”の影がチラつく。具体的には旧安倍派の裏金幹部の萩生田元政調会長や、マネロンまがいの政治資金移動で使途を隠した茂木前幹事長らだ。
「しかもポスト石破を目指して蠢くのは、党内で最も右寄りの高市早苗前経済安保相。『健全な保守』を求める古くからの支持層ほど『石破おろし』がおぞましく映るのではないか」(自民関係者)
さらに石破首相の強気を支えるのが、もう1つの世論だ。毎日新聞の調査だと「次の首相にふさわしい人」の最多は石破首相。しかも自民支持層に限れば46%と断トツで全体の20%よりも圧倒的だ。毎日に限らず、どの調査でも石破首相は高市、小泉農相とトップを争っている。
「農政改革」に同じ思い
その進次郎氏は29日の閣議後会見で、内閣の一員として石破首相を支える意向を明言。石破首相が続投の理由に打ち出すコメ増産などの農政改革について「同じ思いだ」と強調し、「大きな節目を乗り越えるところは石破政権で必ずやり遂げておかなければいけない」「その後押しを農相としてできればと思う」と力説した。
「総理本人の中には、ポスト石破に名の挙がる進次郎氏を味方につければ、当面は『石破おろし』をしのげるとの計算が働いていても不思議ではない。進次郎氏にとっても備蓄米放出を後押しした総理はもちろん、農水族の反発を抑えた森山幹事長への感謝の念は強い。大恩に報いようと、詰め腹を切らされる森山さんに代わって後任幹事長に就任。石破続投を支えるとの見方も早速、浮上しています」(自民党関係者)
進次郎幹事長が石破続投の「切り札」となり得るのか。まだまだ泥仕合は続く。
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28日の両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だった。その理由とは? 関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。