停滞する梅雨前線や台風7号がもたらす暖かく湿った空気の影響で、九州は25日も広い範囲で雨が続き、降り始めからの雨量が500ミリを超えた地域がある。27日にかけて警報級の大雨も予想される。長引く雨で土壌が大量の水分を含んでおり、土砂災害が起きる可能性が一層高まっているとして、気象庁は厳重な警戒を呼びかけている。
九州各地は23日ごろから断続的な大雨に見舞われ、24日午前には鹿児島県薩摩地方で線状降水帯が発生。長崎県五島市では25日午後6時までの72時間降水量が542ミリに上り、2003年の観測開始以来1位を記録した。25日午後6時までの48時間雨量は佐賀県嬉野市で373・5ミリ、熊本県阿蘇市で354ミリなど。
続く雨の影響で、九州各地で土砂崩れや浸水害が発生。長崎県佐世保市では25日朝、民家の裏山が高さ約15メートル、幅約10メートルにわたって崩れ、車2台が被害を受けた。けが人はなかった。
気象庁によると、26日は上空の気圧の谷が九州を通過し、さらには27日に接近する台風7号や梅雨前線の影響が続くという。
福岡管区気象台気象防災部の二村貴志・気象防災情報調整官は、降った雨がどれだけ土の中にたまっているかを示す「土壌雨量指数」が「これまでに降った雨によって、高止まりしている」と説明。広い範囲で地盤が緩んでいるため、これまでレベル3土砂災害警報やレベル4土砂災害危険警報が発表されていない地域でも危険警報が発表される恐れがあるとしている。
大雨や台風への備えとして、地域の災害リスクを示すハザードマップを参考にし、最新の気象情報や自治体の避難情報を入手して、安全に移動できる段階で避難を始めることが重要としている。【山崎あずさ、柳瀬成一郎】
和歌山気象台 台風7号、潮岬沖に週末最接近 「不要不急の外出控えて」警戒呼び掛け
和歌山地方気象台は25日、台風7号の影響が強まる26日午後から27日午前にかけて県全域で大雨となる可能性があるとして、浸水や土砂災害、河川の増水などに十分注意し、不要不急の外出を控えるよう警戒を呼び掛けた。
同気象台によると、26日午前に鹿児島県奄美市付近にある台風7号は、27日午前に串本町の潮岬沖に到達し、県に最接近するとみられるとしている。
活発化する梅雨前線の影響で、台風が接近する前から降水量が増える見込み。県の北部、南部ともに26日正午から27日正午までの24時間に最大200ミリの降水量が予想されている。
27日午後にかけて大雨と土砂災害のほか、台風の動向により暴風や波浪の警報が出る可能性もあるという。
同気象台の峰本和也・統括予報官は「最新の気象情報を確認するとともにハザードマップなどで危険を予測しながら早めの安全確保をしてほしい」と呼び掛けている。
両陛下、ベルギー国王夫妻と別れのごあいさつ 陛下「次の世代への橋渡しできたのでは」
【ブリュッセル=吉沢智美】ベルギーを公式訪問中の天皇、皇后両陛下は25日午前(日本時間同日午後)、首都ブリュッセルにあるラーケン宮で、フィリップ国王とマチルド王妃にお別れのあいさつをされた。両陛下は同日中に政府専用機でベルギーを離れ、帰国の途につかれる。
これに先立ち、両陛下は国王夫妻とラーケン宮にある温室植物園などを散策された。
天皇陛下は24日、南部のナミュール市に足を運ばれた。陛下は報道陣の問いかけに応じ、「それぞれの国の王族の方々と本当に親しくお話をすることができて、より交流を深めることができた」とし、「次の世代への橋渡しができたのではないか」と述べられた。
両陛下は13日から国賓としてオランダをご訪問。20日からベルギーに滞在し、それぞれの国で歓迎式典や国王夫妻主催の晩餐(ばんさん)会をはじめとする公式行事に臨まれた。
岩手県沖でM4.7の地震 青森県で震度4 津波の心配なし
6月25日(木)20時58分頃、青森県で最大震度4を観測する地震がありました。この地震による津波の心配はありません。
震源地:岩手県沖
マグニチュード:4.7
震源の深さ:約50km
震度3以上を観測した地点
震度4:【青森県】
八戸市南郷
震度3:【青森県】
八戸市湊町 八戸市内丸 おいらせ町中下田 三戸町在府小路町 五戸町古舘 青森南部町苫米地 青森南部町平 階上町道仏
【岩手県】
盛岡市薮川 二戸市浄法寺町 八幡平市田頭 軽米町軽米
台風7号が沖縄本島に最接近へ 線状降水帯発生の恐れ 明け方から昼前にかけて
気象庁によると、台風7号は25日午後9時現在、宮古島の東約110キロにあり、時速15キロで北北東に進んでいる。同日午後、沖縄本島地方や久米島地方に暴風警報を発表した。宮古島地方にも暴風警報が発表されたが午後10時ごろ、解除された。本島地方には26日朝にかけて接近し、暴風や大しけになる見込み。明け方から昼前にかけては線状降水帯が発生する恐れがあるとして「半日前予測」を出した。沖縄気象台は土砂災害や低い土地の浸水への注意も促している。
中心の気圧は985ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートル、最大瞬間風速は40メートル。中心の東側110キロ、西側75キロ以内で風速25メートル以上の暴風となっている。沖縄気象台によると、最接近は久米島で26日未明、本島中南部で同日明け方、本島北部で同日朝を予想している。
本島や周辺離島の28市町村は小中学校などの26日の臨時休校を決めた。本島の路線バス4社は26日始発から昼まで全線運休。沖縄都市モノレール(ゆいレール)も始発から運休する。いずれも運行再開は台風の状況を見て判断するとしている。
県内発着の空の便は25日から欠航が相次ぎ、26日は少なくとも139便が欠航し、計約2万2100人に影響が出る見通し。那覇空港は26日午前9時に開館する。
本島の四つの県立病院や那覇市立病院は26日午前、救急診療を除く通常の外来診療を休診する。(社会部・嘉数よしの)
木村貴郁容疑者信号待ちの車に追突して運転手にけがをさせその場から逃走か 自称アルバイトの男(34)を逮捕 男は「事故は起こしていない」と否認
今年4月、福岡県苅田町で車を運転中に別の車に追突して、運転手の男性にけがをさせたうえ、その場から逃走した疑いで、アルバイト(自称)の男(34)が逮捕されました。【写真で見る】信号待ちの車に追突して運転手にけがをさせその場から逃走か 自称アルバイトの男を逮捕した行橋警察署男は「私はその日車を運転しましたが事故は起こしていない」と話し、容疑を否認しています。
過失運転傷害とひき逃げの疑いで逮捕されたのは、苅田町幸町のアルバイト(自称)木村貴郁容疑者(34)です。
木村容疑者は今年4月16日午後10時25分ごろ、苅田町下片島の交差点で、車を運転中に信号待ちをしていた別の車に追突し、運転していた男性(58)の首と腰に軽いけがをさせたうえ、その場から逃走した疑いが持たれています。
警察によりますと、追突された車の男性が逃走した車のナンバーを覚えていたことから、車を特定。
その後の防犯カメラなどの捜査で木村容疑者が事件に関与した疑いが強まったということです。
取り調べに対し、木村容疑者は「私はその日車を運転しましたが事故は起こしていない」と話し、容疑を否認しいます。
白血病の妹へのドナーを名乗り出た男性を惨殺…法廷では「強盗にならないような強盗だと思っていた」と言い訳を繰り返す“身勝手すぎる強盗殺人犯”にくだされた判決とは《被害者遺族の沈痛な叫び》
〈 「このままではもうしようがない」「埋めなくちゃ」白血病の妹へのリンパ球提供を控えた男性を襲った“バカラ狂いのリフォーム業者”…被害者を監禁した状態でギャンブルに勤しむ殺人犯の“ヤバすぎる犯行計画”とは 〉から続く
借金返済を逃れるために知人のコンドウミナトさん(当時47歳)を殺害し、奪ったキャッシュカードの金でバカラ賭博に興じていたハシヅメシュン(当時42歳)とナカニシユウ(当時59歳)。彼らの身勝手な犯行は、一人の男性の命を奪ったにとどまらない。白血病で闘病中であった彼の妹の生きる希望をも無残に打ち砕く結果をもたらした。
法廷で責任逃れの弁明を繰り返した二人の男たち。奪われた“命のバトン”の重さと、決して癒えることのない遺族の悲痛な叫び、そして裁判所での記録を追う。
※登場人物はすべて仮名
止まらない暴走
コンドウさんを山林に埋めた後も、ハシヅメとナカニシの犯罪は終わりを迎えることはなかった。彼らはコンドウさんから奪ったキャッシュカードを使用し、事情を知らないカジノの従業員や知人を利用して、4月17日から19日にかけて合計6回にわたる、ATMからの引き出しや偽造した払戻請求書の行使を繰り返した。コンドウさんの口座から総額524万円もの現金を窃取・詐取したのである。
しかし、手に入れた大金の大半は、ハシヅメの借金返済やバカラ賭博、野球賭博などのギャンブルによってまたたく間に消費されていった。再び金に窮したハシヅメは、新たな標的として、小規模で警備が手薄な特定郵便局への強盗を計画する――。
6月27日、ハシヅメは「コンドウさんの死体遺棄現場を確認する」という口実でナカニシを呼び出した。茨城県鉾田市に向かう道中、ハシヅメはナカニシに郵便局強盗の計画を持ちかけた。ナカニシは当初「交番が近い」などと消極的な姿勢を見せたものの、ハシヅメの車を降りることはなく、最終的にはハシヅメの指示に従って動くことになる。
午後3時55分頃、ナカニシは切手を買うふりをして鉾田市内の郵便局に入り、下見を行った。局員の人数、客の有無、入り口の配置やカウンターの仕切りなどを詳細に確認し、車に戻るとその間取りを紙に書いてハシヅメに報告した。
午後4時50分頃、ハシヅメはナカニシを約100メートル離れた神社脇の空き地に待機させ、単身で郵便局へと押し入った。ハシヅメの装備は周到だった。包丁、ガムテープ、サングラス、帽子に加え、ミネラルウォーターのペットボトルにバーボンを入れ、キャップに綿棒を刺して火炎瓶に見せかけた偽装工作まで施していた。
ハシヅメは局長(当時50歳)らに向かって包丁と偽装火炎瓶を突きつけ、「金を出せ。早くしろ。血を見たくない」と脅迫した。恐怖で反抗を抑圧された局長から、ハシヅメは現金111万5000円を強奪する。
逃走の際、焦りから入り口付近で現金を落としてしまい、拾い集めることができた21万円だけを握りしめて待機させていた車へと走り去った。この強盗の分け前として、ハシヅメは奪った21万円の中から3万円をナカニシに渡した。
ハシヅメの犯罪はこれだけではなかった。強盗殺人の前後である同年3月と5月には、自らが代表を務めるリフォーム会社を「株式会社にする」あるいは「上場する」などと架空の投資話を知人や顧客に持ちかけ、確実な株価上昇を謳って合計900万円もの現金を詐取する事件も起こしていたのである。
「妹を治すのが第一」断ち切られたリンパ球輸血の希望
ハシヅメたちの身勝手な犯行が奪ったのは、コンドウさんの命だけではなかった。彼が殺害されたことで、連鎖するようにしてもう一つの命が失われるという悲劇が起きていたのである。
コンドウさんの妹(当時43歳)は、平成17年(2005年)に急性骨髄性白血病を発症していた。彼女の命を繋ぐ希望の光となったのが、ドナーとして適合した兄・コンドウさんからの骨髄移植であった。一度は移植に成功し闘病を続けていた妹だったが、平成18年の春に病が再発してしまう。
次の治療の望みは、再び兄の体からリンパ球の輸血を受けることであった。コンドウさんは生前、周囲に妹を治すためなら何でもすると語っていたという。妹の命を救うため、自らの身体を差し出す覚悟を決めていた兄。
しかし、その直前の4月18日未明、コンドウさんは利根川の河川敷でハシヅメたちの凶刃に倒れた。
頼みの綱であった兄からのリンパ球輸血を受けることができなくなった妹は、最善の治療の機会を失ってしまった。その後、彼女は別のドナーから2度目の骨髄移植を受けたものの、体力は限界を迎えていた。彼女は「裁判で犯人がしたことをちゃんと聞きたい」と語り、病床から兄の無念を晴らす日を待ち望んでいたという。
だが、その願いが叶うことはなかった。ハシヅメたちの初公判が開かれた2日後の平成19年(2007年)6月8日、妹は静かに息を引き取ったのである。
法廷での責任の押し付け合い、そして判決…
逮捕後、千葉地方裁判所で開かれた裁判において、二人の被告人は対照的な態度を見せた。ハシヅメが起訴事実を大筋で認め、殺害の実行行為も自ら行ったと自白したのに対し、ナカニシは自身の関与を徹底的に矮小化しようと試みたのである。
ナカニシは法廷で、「ハシヅメから『問題ない、100パーセント大丈夫だ』と言われたので、特別な事情がある強盗にならないような強盗だと思っていた」などと、自らの判断能力を放棄したかのような弁解を繰り返した。さらに、殺害の共謀についても「ハシヅメが殺そうと思っているとは知らなかった」「殺害時に口を押さえたのは、気が動転して叫び声を聞きたくなかったからだ」と主張し、強盗殺人の意図を真っ向から否認したのである。
しかし、裁判所はそのような見え透いた責任逃れを許さなかった。
判決では、ナカニシが自らの発案でガムテープや軍手を購入し、暗証番号を聞き出すために包丁でソファを叩いて脅迫した事実を指摘。「強盗にならないような強盗」という認識は極めて不自然であり、信用できないと一蹴した。また、殺害現場でハシヅメから「自分が後ろから刺す」と明確に告げられたにもかかわらず、拒否することなく車からコンドウさんを降ろし、刺される瞬間に口を押さえつけるという積極的な協力行動をとったことから、殺害の共謀も明確に成立していると認定したのである。
平成19年10月31日。千葉地裁は、ハシヅメとナカニシの両名に対し、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
主犯格であるハシヅメに対して「利欲的で身勝手極まりない上、自己中心的かつ短絡的なもので酌量の余地は全くない」と厳しく断罪したうえで、白血病で亡くなった妹についても言及し、「最善の治療を受けられなくなり、結果として死亡したことが認められる。『妹も被告人両名に殺されたも同然である』と訴え、彼らに対する厳罰を求める被害者遺族の心情は十分に理解できる」とし、遺族の深い悲しみに配慮を示した。
2007年11月1日付の朝日新聞によると、妻(コンドウミナトさんの妹)を亡くしたヤスタカさん(当時41歳)は、判決後にこう語ったという。
「妻は被告人二人に殺されたも同然。判決で取り上げて頂いたことには感謝するが、判決は義兄について。妻の死についてではない」。両被告については「何も言うことはない。ただ妻を返してほしい」。
(藍沢 宙人)
「このままではもうしようがない」「埋めなくちゃ」白血病の妹へのリンパ球提供を控えた男性を襲った“バカラ狂いのリフォーム業者”…被害者を監禁した状態でギャンブルに勤しむ殺人犯の“ヤバすぎる犯行計画”とは
千葉県松戸市で起きた凄惨な強盗殺人事件。ギャンブルで作った借金の返済を免れようとする身勝手な男たちによって、一人の男性の命が理不尽に奪い去られた。後に法廷で明らかになったのは、被害者を縛り上げたままカジノクラブでバカラ賭博に興じるという、常軌を逸した加害者たちの行動……。身勝手な欲望の果てに行われた、残酷な犯行の経緯をたどる。
※登場人物はすべて仮名
借金550万円の返済を免れるための呆れた計画
平成18年(2006年)の春、茨城県取手市に事務所を構え、個人宅への訪問営業による住宅リフォーム業を営んでいたハシヅメシュン(当時42歳)の資金繰りは完全に破綻していた。会社の業績悪化に加え、彼自身がバカラ賭博などのギャンブルに深くのめり込み、多額の浪費を重ねていたためである。
ハシヅメは借金を返済するため、知人から会社の株式譲渡を名目にして現金を騙し取ったり、工事代金の立替えを理由に借金をするなど、自転車操業を続けていた。
そうした中でハシヅメが頼ったのが、前年頃から親しく交際するようになった知人のコンドウミナトさん(当時47歳)だった。ハシヅメは平成18年4月7日からのわずか数日間で、コンドウさんから合計550万円もの大金を借り入れた。その際、返済期日は4月25日頃と約束している。しかし、4月13日頃になってコンドウから「アパートの購入資金を準備するため、返済を早めてほしい」と依頼された。
手元に返済資金などあるはずもなく、工面の目処も立たなかったハシヅメ。彼の脳裏に、極めて短絡的で凶悪な思考が浮かび上がった。
「コンドウを殺害して借金を帳消しにしてしまおう」
「彼を殺すのであれば、持っている金品も奪ってしまおう」
しかし、ハシヅメは一人で犯行を実行するには不安があった。そこで、自らの会社で営業担当として働いていたナカニシユウ(当時59歳)を計画に引き入れることを思いつく。
4月17日の午前10時頃、事務所の駐車場でナカニシと会ったハシヅメは、「コンドウさんのところにお金を取りに行こうと思う。押し込みみたいな形なんだけど」と持ちかけた。ナカニシもまた金に困窮していた事情があり、分け前を貰えるならと、とくに反対することもなくこの誘いに同調した。
奇妙な絆で結ばれた二人による犯行準備は着々と進められた。ハシヅメはナカニシに指示して事務所の脇から緊縛用のロープを運ばせ、自らは包丁をタオルにくるんで車内に隠した。コンドウさんの自宅へと向かう道中、ナカニシは「縛るならガムテープも買っておいた方がいい」と自ら提案し、コンビニエンスストアに立ち寄ってガムテープと軍手を購入している。
意外にも、ハシヅメが当初企てたのは、力ずくで金を奪うことではなかった。
コンドウさんに対して「得意先に支払う金が用意できないので、自分の目の前で強盗に入られ、二人とも縛られてキャッシュカードを奪われたという『狂言強盗』に協力してくれないか」と頼み込み、金を騙し取るという歪んだシナリオを描いていたのだ。
緊縛された被害者を放置し、賭博に興じる
4月17日の午後7時30分頃、ハシヅメとナカニシは時間差をつけて千葉県松戸市にあるコンドウさんの自宅に侵入した。ハシヅメは玄関先でコンドウさんに対し、用意していた狂言強盗のシナリオを語り、協力を求めた。
しかし、突然の不可解な要求に対し、コンドウさんは「何で協力するのかな」と渋る姿勢を見せた。当然の反応である。さらに彼には、決してこのような危険なトラブルに巻き込まれるわけにはいかない切実な事情があった。白血病で闘病中の妹を救うため、自らがドナーとなってリンパ球を提供する日が目前に迫っていたのだ。妹の命を預かる大切な身体である以上、犯罪の片棒を担ぐような理不尽な要求など到底呑めるはずもなかったのである。
交渉が通じないと見るや、ハシヅメは本性を現す。隠し持っていた包丁を取り出してコンドウさんの目の前に突きつけ、脅迫に出たのである。刃物の前で無抵抗となると上半身をハシヅメが持参したロープで縛り上げ、ナカニシが両手首をガムテープでぐるぐる巻きにした。さらにハシヅメはコンドウさんの口に猿ぐつわを噛ませ、声を発せられない状態にした。
応接間の1人用ソファに縛り付けられたコンドウさんを前に、ハシヅメは居間のテーブル脇にあった財布を奪い取っていく。中には現金数万円と、キャッシュカード3枚、クレジットカード1枚などが入っていた。ハシヅメはここでも引き続き狂言強盗への協力を口にしながら、キャッシュカードの暗証番号を教えるよう何度も執拗に迫った。
コンドウさんは暗証番号を教えることを拒み続けた。すると、その横で本件の包丁を手にして弄んでいたナカニシが苛立ちを露わにする。ナカニシは手にしていた包丁を振り下ろし、ソファの肘掛けに激しく叩きつけた。
「早く言えよ」
怒気を孕んだナカニシの脅迫に恐怖を感じたのか、コンドウさんはついにキャッシュカードの暗証番号を口にしてしまう。
ここからのハシヅメの行動は、常軌を逸している。
暗証番号を聞き出したハシヅメは、コンドウさんの所有する自動車に乗り込み、現金を引き出すために単身で埼玉県川口市へと向かった。向かった先は、銀行のATMではない。
彼が日頃から入り浸っていた違法カジノクラブであった。ハシヅメはカジノの従業員に奪ったキャッシュカード3枚と暗証番号を記したメモを渡し、現金の引き出しを指示した。
従業員がATMを回って合計150万円を引き出している間、ハシヅメはそのカジノクラブの店内で、奪ったばかりの金を元手にバカラに興じていたのである。
その間、コンドウさんの自宅に残されたナカニシは、逃亡を防ぐためのさらなる行動に出ていた。すでにロープとガムテープで体と手首を縛られ、猿ぐつわをされているコンドウさんに対し、ナカニシは彼の体をソファごとガムテープで二重、三重に巻き付け、完全に身動きが取れない状態にして監視を続けていたのだ。
翌18日の午前零時を過ぎた頃、ハシヅメはようやくコンドウさん宅へと戻ってきた。ギャンブルを終えたハシヅメの次の目的は、自らの借金を帳消しにするための「殺害」を実行に移すことであった。
「外の空気を吸おう」河川敷での凄惨な殺害と死体遺棄
ハシヅメは、緊縛され猿ぐつわをされたままのコンドウさんを自車の後部座席に押し込み、その隣にナカニシを座らせた。犯行に使用したロープや包丁などの道具をすべて車に積み込み、忘れ物がないかを確認した後、車を発進させた。
深夜の道路を走行しながら、ハシヅメは茨城県取手市内の駐車場や目的地の河川敷付近などをあてもなく連れ回した。殺害場所を探していたのか、あるいはタイミングを見計らっていたのか……。
途中で立ち寄った駐車場で、ハシヅメはナカニシを車外へ呼び出した。「このままではもうしようがないし、自分が後ろから刺すんで、ナカニシ、悪いけど、コンドウさんに外の空気吸おうという形で表に連れ出してくれないか」。明確な殺意の伝達に対し、ナカニシは拒否することもなく無言で車に戻った。
午前4時頃、車は取手市内の利根川河川敷付近に到着する。ナカニシはコンドウさんに対し「ちょっと休むから」と声をかけ、自らが先に降車して後部座席のドアを開け、緊縛状態のまま外へ出るよう促した。
暗闇の河川敷で、ナカニシの後ろを歩いていたコンドウさんの背後に、ハシヅメが音もなく忍び寄る。ハシヅメは手にしていた刃渡り約16.7センチメートルの包丁を突き刺した。
不意の激痛に驚いたコンドウさんが振り返り、バランスを崩して仰向けに倒れ込む。ハシヅメはそのまま馬乗りになると、今度は左胸の心臓付近をめがけて包丁を深く突き刺した。刃は下大静脈を損傷し、致命傷を与えた。この刺突の最中、必死に叫び声を上げようとするコンドウの口を、ナカニシが自らの手で強く押さえつけ、周囲に声が漏れるのを防いでいた。
二人の男による冷酷な連携の前に、コンドウさんは大量の血を流して絶命した。
殺害を終えると、ハシヅメは死体の上半身を、ナカニシは足の部分を持ち上げ、車のハッチバックに死体を積み込んだ。車を走らせながらハシヅメが「埋めなくちゃ」と死体遺棄の意向を伝えると、ナカニシはここでも反対することはなかった。
午前7時頃に一旦別れた二人は、午前10時頃に事務所で再び合流する。途中でスコップとはさみを購入したナカニシは、ハシヅメとともに茨城県鉾田市の山林へと向かった。夕方頃、彼らは山林の奥深くに穴を掘り、死体を埋めて隠蔽した。さらに、死体が野犬などに掘り返されて発覚することを防ぐため、埋めた土の上にわざわざ猫よけ剤を撒布するという、死者に対する尊厳を著しく欠く念の入った工作まで行っていたのである。
〈 白血病の妹へのドナーを名乗り出た男性を惨殺…法廷では「強盗にならないような強盗だと思っていた」と言い訳を繰り返す“身勝手すぎる強盗殺人犯”にくだされた判決とは《被害者遺族の沈痛な叫び》 〉へ続く
(藍沢 宙人)
【速報】「『助けて』みたいな声が」群馬・高崎市で10~20代女性が殺害される 30キロ離れた埼玉県での乗用車事故で男性死亡関連調べる
駐車場で血まみれの10~20代女性見つかる
きょう未明、群馬県高崎市で女性が殺害されているのが見つかった事件で、女性が所有しているとみられる乗用車が埼玉県内で事故を起こしているのが見つかり、運転していた男性が死亡しました。警察は関連を調べています。
きょう午前3時ごろ、「高崎市の駐車場で知り合いの女性が知人の男性と揉めている」と110番通報がありました。
警察官が駆けつけたところ、10代から20代とみられる女性が血まみれで倒れていて、その後、死亡が確認されました。
目撃者 「『助けて』みたいな声が聞こえたような気がする。『大丈夫ですか』と一声かけたが、反応が無かった」
現場から逃走した黒の乗用車を捜索 埼玉・深谷市で特徴の似た乗用車が事故
警察は、女性の知人男性が何らかの事情を知っているとみて、現場から逃走した黒の乗用車をさがしていたところ、午前4時ごろ、現場からおよそ30キロ離れた埼玉県深谷市の市道で、特徴の似た黒の乗用車が事故を起こしているのが見つかりました。
警察によりますと、車は30代くらいの男性が運転していて、その後、死亡が確認されたということです。
警察は、女性が殺害された事件との関連を調べています。
【速報】出雲市の大規模火災 通報から約10時間後に鎮圧 けが人の情報無し 島根県出雲市
6月23日の午後7時半頃、島根県出雲市の商店街で大規模な火災があり、これまでに10棟以上を焼きました。消防は24日の午前5時45分頃、火災が鎮圧したと発表しました。
火事があったのは、島根県出雲市の商店街の中にある建物で、23日の午後7時半頃、近隣の住民から「建物2階から黒煙」と通報がありました。
現場は、JR出雲市駅から400mほど離れた場所で、飲食店や民家など10棟以上に延焼し、24日の午前5時45分頃、消防によってほぼ消し止められました。
これまでにけが人の情報は入っていません。
現場は、出雲市の中心部、アーケードがある商店街で、店舗や住宅が密集している地域です。
この火事を受け、出雲市内には2か所の避難所が開設され、24日の午前0時半時点で約50人の市民が避難しました。