【独自】入所者に「死ね」、暴力の疑いも 千葉の介護施設、虐待通報せず

千葉県成田市の介護医療院で、職員2人が入所者に「死ね」などと暴言を吐く虐待をしていたことが30日、共同通信が入手した音声データや複数の元職員の証言で分かった。暴力を振るった疑いもある。施設は虐待の疑いを把握していたが、法律で義務付けられた市町村への通報をしていなかった。内部告発を受けた成田市が事実関係を調査している。
この介護医療院は「千年希望の杜 成田」。社会福祉法人「恵洋会」(山本宗大理事長)が昨年10月に開設した。恵洋会は取材に虐待を認め、通報しなかったのは「(把握した段階では)虐待との判断に至る内容ではなかった」からとしている。
虐待は今年7月に発生。音声データには、認知症のある女性入所者に男性職員2人が「黙れ」「死ね」などと暴言を吐き、体をたたくような音と、女性の悲鳴が残っていた。介護記録によると、その後、女性の額ははれ、顔に複数のあざができていた。
同じ音声によると、別の男性入所者にも暴言や暴力が加えられていた疑いがある。法人側は暴言を認め「職員2人を懲戒処分にし、入所者と家族には謝罪した」とする一方、暴力行為については認めていない。

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は浸透するのか 課題は理解、カムチャツカ地震1カ月

ロシア・カムチャツカ半島沖の千島海溝で発生したマグニチュード(M)8・8の地震発生から30日で1カ月となった。千島海溝を震源とする巨大地震は北海道・東北地方を中心に大きな被害が想定されており、気象庁は南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」に相当する「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を運用するが、浸透していないのが現状。昨夏に出された臨時情報を巡っては混乱が生じた経緯があり、注意情報の適切な理解が課題となる。
注意情報は、北海道沖の同海溝および三陸沖付近の日本海溝北部沿いで巨大地震の発生を想定し、令和4年12月に導入された。千島海溝沿いでは、北海道の沿岸で行われた津波堆積物の調査により、約340~380年間隔でM8・8程度以上の地震が起きていたことが判明。最新事例は17世紀で、切迫した状況とされる。
39%が「知らない」
このため地域防災上、注意情報は重要な役割を担う。一方、昨年12月に関西大などが実施した北海道内の20~60代の男女計約1800人を対象とする調査では、39%が注意情報を「知らない」と回答。具体的な内容を知らない人も合わせると7割を超えた。昨年8月には初の臨時情報が発表されたが、その前に実施した調査とほぼ同じ結果という。同大の林能成教授(地震防災)は「(南海トラフから)離れているため、(注意情報への)関心が高まらなかったようだ」と指摘する。
注意情報は地震予知ではなく、M8級以上の巨大地震が後発する可能性が平時よりも相対的に高まったとして、地域住民らに備えの再確認を促すものだ。防災対応の呼びかけは、先発地震の発生から7日間で終了する。
基準はM7・0
発表される条件は、想定震源域でM7・0以上の地震が起きた場合▽想定震源域の外側を震源としたM7・0以上の地震が起き、想定震源域に影響を与えると判断された場合-のいずれかだ。
M7・0を基準とする背景には過去の事例がある。政府によると、両海溝沿いでは平成29年までの113年間に4%程度の確率で、M7級以上の先発地震が発生後7日以内にM8級以上の後発地震が起きている。日本海溝沿いで23年に起きた東日本大震災(M9・0)は、震源付近でM7・3の地震が起きた2日後に発生した。
昨夏に臨時情報が初めて発表された際には、各地で混乱が生じた。林教授は注意情報について、「南海トラフ地震と比べて取り上げられる機会が少なく、関心は低くなる。あらかじめ詳しく説明しておかないと、昨年夏と同じような状況となりかねない」と警鐘を鳴らしている。(小野晋史)

【速報】世界遺産・京都の東寺境内にある毘沙門堂から賽銭箱が箱ごと盗まれたか 防犯カメラに持ち去られる様子も 京都府警が捜査

京都市南区の東寺で30日、賽銭箱がなくなっているのを僧侶が見つけ、警察に届け出ました。
警察が窃盗事件として調べています。
30日午後2時ごろ、京都市南区の東寺の僧侶の男性から「賽銭箱が箱ごとなくなった」と交番に申告がありました。
警察によりますと、なくなったのは境内の毘沙門堂の前に置かれていた賽銭箱で、僧侶が最後に確認したのは24日だったということです。
僧侶が30日の昼ごろに確認した際にはすでに賽銭箱がなくなっていたといいます。
賽銭箱は横46cm、高さ31cmの木製で、当時、現金がいくら入っていたかはわかっていませんが、賽銭箱自体が、20万円に相当する被害になるということです。
警察によりますと、境内の防犯カメラに賽銭箱が箱ごと持ち去られる様子が映っていて、警察は窃盗事件として捜査を進めています。

カムチャツカ地震で津波避難、対象の1割…6道県で8万人超

7月30日にロシア・カムチャツカ半島付近で起きた地震の津波に伴い、避難指示が出された北海道~茨城県沿岸の自治体で、避難所・場所に避難した人は計8万人超に上ることが読売新聞の調べでわかった。避難指示の対象住民数の1割程度で、近くの高台などに向かった人も一定程度いたが全体的に避難者は少なかったとみられる。
地震は午前8時25分頃に発生。気象庁は当初、太平洋沿岸などに津波注意報を出したが、同9時40分に北海道~和歌山県の注意報を津波警報に切り替えた。総務省消防庁によると、北海道~沖縄の21都道県229市町村の計約201万人に避難指示が出された。
調査は今月、比較的高い津波が観測され、第1波の到達時間も早かった北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城の6道県90市町村を対象に実施。「避難指示対象住民数」と「自治体が避難所・場所で把握した人数」を尋ね、全自治体から回答を得た。
その結果、自治体指定の避難所などに避難したのは計8万1634人に上った。避難指示の対象住民数を把握している77市町村に限ると、避難者数の比率は9・3%だった。道県別では、北海道11・8%、青森7・1%、岩手13・2%、宮城8・5%、福島4・6%、茨城1・5%。
市町村別では仙台市の111・9%が最も高く、北海道釧路市97・1%、むかわ町96・2%と続いた。仙台市や釧路市では、観光客や在勤者も一定程度おり、避難者が膨れ上がったという。一方、茨城県鉾田市、日立市は1%未満で「念のため避難指示を広範囲に出したため、対象住民数が多くなった」としている。
いずれの自治体でも、指定避難所以外の場所(高台、公園、商業施設、親戚宅など)に移動した住民も少なくなかったとみられる。
北海道内の避難状況を分析した、日本赤十字北海道看護大の根本昌宏教授(寒冷地防災学)は「住民の3割は避難行動を取っていたとみられ、避難所以外に分散した傾向がうかがえた。自治体にとっては、配慮が必要な住民の避難先をどう把握し、支援するかが課題となる」としている。

献血39人分、不適切管理で使用不能に…搬送業者が車の駐車場所探し最大7時間遅れで届ける

東京都赤十字血液センターが今月16日に献血で集めた全39人分の血液が適切に管理されず、使用不能になっていたことがわかった。血液を搬送する業者側の不手際で、管理温度が不適切な状態が長時間続いたことが原因という。人的要因で献血血液が使えなくなるのは異例で、日本赤十字社は厚生労働省に今回の問題を報告した。
関係者や同センターによると、東京都大田区のJR大森駅前の献血バス内で採取された血液が16日午後、日赤の施設に搬送するため業者の担当者に渡された。だが、この担当者が搬送車両の駐車場所を失念したため、血液を持ちながら長時間にわたって車を探すことになり、通常は1~2時間程度で施設に届けられるところ、最大で約7時間の遅延が生じた。
この血液は検査を経て血液製剤として使われる予定だったが、同センターは患者の安全面を考慮して「品質が保証できない」と判断し、使用しないことを決めた。協力した39人には電話での謝罪を進めており、連絡がつかない人にはおわび文書を郵送するという。
同センターは読売新聞の取材に対し、搬送業者の不手際とともにセンター側の対応に不備があったこともあり、血液の搬送に遅れが生じたことを認めた。その上で、「善意でご協力いただいた貴重な血液を血液製剤として使用しない結果となり、深くおわび申し上げる。再発防止策を講じ、品質・安全性の高い献血血液の安定確保に努める」などとしている。
同センターでは今年5月、保管中の血液製剤約1万3700本が冷凍庫の電源が落ちたため使えなくなるトラブルも発生。これを受けて日赤は、各都道府県の血液センターに血液製剤の管理を徹底するよう指示していた。

ストーカーへの警告に被害申告不要、規制法改正へ…対応を迅速化し事態のエスカレート防ぐ

ストーカー被害の深刻化を受け、警察庁は、加害者への警告に被害者からの申し出を必要とする現行のストーカー規制法を改正し、警察の職権で警告できる制度を導入する検討に入った。違法行為を速やかに抑止するのが狙いで、居場所を特定する「紛失防止タグ」の悪用を規制する対策と合わせ、重大な被害の未然防止に万全を期す構えだ。
同法では、つきまとい行為などをやめるよう警察署長らが警告書を出す場合、被害者から申し出を受けることとしている。だが、被害者は報復を恐れたり、危害を加えられるリスクに気づかなかったりして、警察の積極的な介入を望まないケースも少なくない。
川崎市の住宅で今年4月、岡崎彩咲陽(あさひ)さん(当時20歳)の遺体が見つかった事件では、岡崎さんが元交際相手の無職白井秀征(ひでゆき)被告(28)(殺人罪などで起訴)からのストーカー被害を警察に訴えていたが、神奈川県警が同法に基づく警告を出す事態には至っていなかった。
事件を受け、警察庁は5月、被害者の安全確保を最優先に対処するよう全国の警察に改めて通達。再発防止策の検討を進めている。
ストーカー事案の相談は高水準で推移しており、全国の警察の受理件数は昨年、約2万件に上った。だが、警告件数は減少しており、昨年は前年比55件減の1479件にとどまった。
被害者への接近などを禁じる対策としては、2016年12月の同法改正で警告を経ずに「禁止命令」が出せるようになった。ただ、禁止命令は警告よりも重い「行政処分」で、十分な証拠収集などに時間を要する側面があるとされる。
このため警察庁は、重大事案に発展する恐れがあると警察が判断した場合、迅速に警告を出せるようにし、事態のエスカレートを防ぐ効果を高めたい考えだ。
一方、ストーカー被害を巡っては、無線で周囲のスマートフォンに信号を送り、位置を知らせる紛失防止タグの悪用が広がっている。このため、同庁はタグを相手の持ち物に仕込むなど、同意を得ずに位置情報を特定する行為も規制対象にする方針だ。

神戸刺殺 容疑者、過去2度つきまとい 全事件オートロックすり抜け

神戸市のマンションで住人の会社員、片山恵さん(24)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷本将志(まさし)容疑者(35)=東京都新宿区=が、5年前にも別の女性につきまといをしていたことが捜査関係者などへの取材で判明した。3年前には同種事件の判決で、再犯の恐れを危惧されていた。今回を含む全ての事件で、後をつけてオートロック式玄関をすり抜けるなど、狙った女性に執着していた。容疑者の逮捕から29日で1週間。片山さんの命が奪われる事態は、防げなかったのか――。
事件は20日午後7時20分ごろに発生。容疑者は神戸市中央区のマンションのエレベーター内で、片山さんの胸部などを複数回ナイフで刺して殺害したとされる。会社から帰宅した片山さんが開けたオートロック式玄関が閉まらないうちに容疑者も侵入。その後、一緒にエレベーターに乗り込んで事件に及んだとみられる。片山さんについて「全く知らない人だった」と供述している。
裁判資料などによると容疑者は2020年12月、神戸市で片山さんとは別の女性につきまとったとして、ストーカー規制法違反の罪などで神戸簡裁から罰金の略式命令を受けた。女性に続いてオートロック式のマンション玄関を通り、その後一緒にエレベーターに乗り込んだとされる。
さらに22年には神戸市内のマンションで別の住人女性の首を絞めたなどとして傷害罪などに問われ、同年9月に神戸地裁で執行猶予付き判決を受けた。
確定判決によると、容疑者は路上で見かけた女性に一方的に好意を抱き、複数回にわたって後をつけてオートロック式玄関を突破していた。
容疑者は当時、首を絞めた翌日に謝罪で女性宅を訪れようとしていた。判決はこうした経緯に触れ、「思考のゆがみは顕著」と指摘し、再犯の恐れを強く懸念していた。一方、女性の負傷程度や容疑者の反省態度を考慮して執行猶予を付けた。【柴山雄太、斉藤朋恵、前田優菜】

ミャクミャク「高く売れる」、万博会場内ストアでグッズ万引き相次ぐ…フリマアプリで定価の1・5倍も

大阪・関西万博会場のオフィシャルストアで、公式キャラクター「ミャクミャク」関連グッズの万引きが相次いでいる。大阪府警はこれまでに2グループの若者計8人を窃盗容疑で逮捕したが、いずれも売却目的とみられている。人気の高さから、フリーマーケットアプリでグッズの売買が活発に行われている現状が背景にある。(北島美穂、上田裕子)

ぬいぐるみにカチューシャなど、売り場の商品を次々に手提げカバンにすべり込ませる。メンバーの一部は、カバンが盗品でいっぱいになると店舗近くのロッカーへ移し、再び盗みを続ける――。
オフィシャルストアで6月、ミャクミャク関連グッズを盗んだとして、窃盗容疑で逮捕された都内在住の男子大学生ら6人が、府警の調べに供述した手口だ。
6人は鉄道が共通の趣味で、SNSなどを通じて知り合ったという。万博会場で万引きすることを決め、東京駅から新幹線などに無賃乗車して関西へ移動。盗んだ品は100点を超え、被害額は計約50万円に上るとみられる。6人は「ネットで売る目的だった」と容疑を認めている。
7月には、これとは別のグループの16歳の少年2人を、バッグを万引きしたとして窃盗容疑で逮捕した。このグループも売却が目的とみられ、府警は、他に関与が疑われる2人についても捜査している。

事件の背景には、ミャクミャクグッズの人気の高さがある。
日本国際博覧会協会(万博協会)によると、会場内のオフィシャルショップは4月の開幕時には8店舗だったが、多くの来場者が詰めかけ、一部で店外にまで長蛇の列ができる状況をふまえ、19店舗に増やした。
フリマアプリ大手「メルカリ」には、キーケースやぬいぐるみ、ヘアバンドやピンバッジなど様々な商品が、「現地でもすぐ売り切れる入手困難商品」「オフィシャルストアでのみ限定販売」といったうたい文句とともに出品されている。特に人気を集めている通称「黒ミャクミャク」のぬいぐるみは、25日現在、定価の1・5倍に相当する5000円前後で売り出されている。
大学生ら6人のグループの一部が盗んだ品には、会場限定販売の黒ミャクミャクのぬいぐるみや、人気ブランドとミャクミャクのコラボ商品も含まれていた。複数のメンバーが「高額で売れる限定グッズを狙った」と供述しているという。
万博会場での万引きでは、現行犯逮捕でない場合、どの店舗から盗まれた品かの裏付けに地道な捜査を必要とする。店舗数が多い上に、扱われる商品が膨大で、ラインアップも共通しているからだ。ある捜査員は「大規模イベントの特性でもあり、やむを得ない」とし、「防犯カメラを精査するなどし、突き止める」と話す。
府警は被害を未然に防ぐ取り組みにも力を入れており、各店舗の管理者を集めた防犯指導を実施。不審者の挙動の特徴などを伝えている。

レンタカー返却せずに横領「寝泊りする場所と移動手段のために」警察に自首した男逮捕 北海道

2025年8月27日、札幌・厚別警察署は横領の疑いで住所不定・無職の男(45)を逮捕しました。
男は7月8日に苫小牧市の店舗でレンタカー1台を借り、8月6日が返却期限だったにもかかわらず、8月27日まで返却せず横領した疑いが持たれています。
警察によりますと、27日午前7時半ごろ、男から「レンタカーを借りたまま返していない。これから自首したい」と厚別警察署に電話があったということです。
男はその日のうちに厚別警察署に出頭し、逮捕されました。
調べに対し男は、「家も無くて、寝泊りする場所と移動手段のために車が必要だった」と供述しているということです。
警察は、詳しい当時の状況を調べています。

「今は石破のままで」内閣支持率急上昇で“石破おろし”が失速、政権の存続を望む支持者の正体

参院選での歴史的惨敗から約1ヶ月。当初「退陣不可避」とみられていた自民党内のムードが変化しつつある。その背景にあるのは、内閣支持率の急上昇。「辞任すべきだと思わない」が「辞任すべき」を上回るなど、続投を後押しする世論が広がっている。選挙に負けたのに、支持率が上がるという、近年でもめずらしい現象。いったい、石破首相はどんな人々に支持されているのだろうか。
【画像】「石破辞めるなデモ」の様子
ポスト石破の「二大巨頭」には不安が…
読売新聞が8月22~24日に行った世論調査では、石破内閣の支持率が参院選後の22%から39%に急上昇。「辞任すべきだと思わない」も50%で、「辞任を求める」42%を上回っている。
立憲議員は「めぼしいポスト石破候補は高市早苗氏や小泉進次郎氏しかいない。タカ派色の強い高市さんや、『進次郎構文』を連発して能力が疑問視される進次郎さんが首相になるくらいなら、石破さんでいい、と思う人が多いのでは」とみる。
さらに世論を属性別にみてみよう。NHKが8月9~11日に実施した世論調査では、石破首相の続投を支持する人は、自民党支持層の中では69%。野党支持層では39%、無党派層では43%なのに対し、自民党支持層はより多くの人が続投に“ゴーサイン”を出している形だ。
自民支持者の声を長期間にわたって聞いてきた地方議員は
「自民支持者も、旧安倍派の裏金問題に対する怒りがいまだ収まっていない。参院選前に何人もの支持者から『今回は自民に入れない』と言われた。
自民を支持するからこそ、自民の足を引っ張った旧安倍派を許せず、裏金問題を引き起こした議員までもが『石破おろし』をしている現状に憤りを抱いているのでは」と語る。
党内で『石破おろし』の駆け引きの中にいる自民議員は
「裏金問題を引き起こした旧安倍派の一部が退陣を求めたのが良くなかった。世の中からは、党内基盤が弱い石破さんを、裏金問題を起こした議員たちがいじめているようにも見えた。『判官びいき』に近い感情も支持率を押し上げているのでは」とみる。
「高齢者」「リベラル層」が石破首相の後押しに
また、NHKの調査を年齢層別にみると、石破首相の続投の賛否について、18~39歳は賛成が27%なのに対し、80歳以上は賛成63%となっている。高齢になるにしたがって石破首相の続投を支持していることがわかる。
「今年は戦後80年という節目で、テレビや新聞でも戦争や平和についての企画が多かった。そうしたなかで、高市首相ではタカ派すぎるとの警戒感も高齢者には根強くあるのだろう。
さらに、地方の高齢者はコメの高騰など物価高を実感している。高齢者から見るとまだ若い小泉氏に国のかじ取りを任せるのは心もとない、という不安もあるのだろう。そうした要素が、消極的であっても石破首相への支持につながっているのでは」(自民関係者)
いっぽう、NHKの世論調査では、野党支持層で石破首相の続投を支持する人は39%。自民支持層よりは少ないとはいえ、ある程度の野党支持層からも続投を容認されていることが分かる。とくにリベラル層から一定の支持を集めているようだ。
「石破首相は戦後80年を迎えた終戦記念日の式辞に『反省』を盛り込むなど、リベラル層の支持も得られるような発言を繰り返している。立憲の野田佳彦代表が企業・団体献金の禁止をめぐって議論を呼び掛けたのに対し、『そのようにしたい』と応じるなど、野党支持層にも受けのいい言動をしている。
そもそも石破首相は、リベラル層から反発の強かった安倍晋三元首相を批判していた。そうしたことからも『敵の敵は味方』のような感覚で応援されやすいのでは」(立憲関係者)
そしてリベラル層にとっては「首相交代→衆院解散・総選挙」の流れを避けたい思惑もある。
「いま、衆院を解散されたら、参院選で勢いのあった参政党や国民民主党を前に、立憲や共産は厳しい結果に終わる。立憲支持者も本心では『今は石破さんのままで』と願っている人が多い」(立憲議員)
「世論の支持」の一寸先は闇
思惑はともあれ、与野党双方の支持者から続投についての一定の理解は得た石破首相。ただ、決して安心できる状況ではない。
支持率が急上昇したといっても読売新聞では39%、共同通信では35%、毎日新聞では33%などと、軒並み4割を切っている状況だ。それが「消極的支持」であれば、その基盤は脆弱なものと言わざるをえない。
朝日新聞が今月下旬に実施した党所属国会議員への調査では、全議員の約8割が事実上のリコールである総裁選前倒しについての賛否を明らかにしなかった。
「世論が思いのほか石破首相の続投を支持しているので、表立って石破おろしをするか、迷っている議員が多いのだろう。逆にいえば、ちょっとしたことですぐに変わる支持率が落ち込めば、一気に石破おろしの流れが強まるだろう」(自民関係者)
自民支持層、高齢者、リベラル層による「石破支持者」をつなぎとめることができるかどうかに、石破首相の命運がかかっている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班