9月末に訪中し、「異例の厚遇」と報じられた岩屋毅前外相。だが岩屋氏によると、王毅外相に対話の窓口を開くよう求めると、返ってきたのは駐日大使に任せるという答えだった。首相答弁を「事実上の撤回」として扱う打開案も退けられた。さらに帰国後の「原因を作ったのはこちら」という発言は、中国外務省の会見で高市政権に反省を迫る材料に使われた。作家の小倉健一氏は「成果を誇る元外相の訪中は、中国に利用されただけではなかったのか」と疑問を投げる。
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「原因を作ったのはこちらなのだから…」
「原因を作ったのはこちらなのだから、こちらから積極的に動くべきだろう」 2026年9月末に中国を訪れた岩屋毅前外相が、帰国後、10月1日に電子メールでロイターの取材に答えた言葉だ。
同じ取材で中国が対話の窓口を閉ざしていることにも触れているのだが、10月12日の中国外務省会見では、中国紙「環球時報」の記者が、岩屋氏の発言を「関係悪化の原因は日本側にある」という趣旨で紹介した。当該質疑では、中国側の窓口閉鎖への言及はなかった。
記者は岩屋氏の発言に続けて、日本国内には歴史の責任から逃れるやり方を批判する声もあると紹介した。毛寧報道官は、それらをまとめて理性と良心の表れとして評価し、関係悪化の責任は全面的に日本側にあると主張した。
会見録には「彼らが言っている通り」と受ける言葉まである。岩屋氏ら日本国内の声を、自分の主張の裏づけに使ったわけだ。
さらに日本の政権担当者に、国内の正義の声を聞き、台湾や歴史、対中認識について反省するよう迫った。中国側の窓口閉鎖を指摘した部分は、当該質疑の質問にも回答にもない。
日本の元外相の「軽すぎる言葉」
中国が日本側へ責任を押しつける際に使ったのは、日本の元外相の言葉だった。私はこの発言の軽さに驚く。
岩屋氏は中国に対話の再開を求めに行った。本人の説明によれば、打開案を拒まれて帰国した後に、相手が自らの対応を正当化する材料まで提供した。首相を批判する言葉の使われ方に、あまりに警戒が薄い。
岩屋氏は民間の経済団体、日本国際貿易促進協会(国貿促)の会長として訪中した。9月28日に王毅外相、翌29日に何立峰副首相と会談し、中国共産党の政治局員2人が連日応じたことが「異例の厚遇」と報じられた。
両国の関係が冷え込んだきっかけは、前年11月の高市早苗首相の国会答弁だ。台湾有事を巡り、武力行使を伴う場合には「存立危機事態」になり得るとの認識を示し、中国が反発した。
岩屋氏が王毅氏に政府間の対話の窓口を開くよう頼むと、王毅氏の返答は「呉江浩駐日大使に任せてある」というものだった。
岩屋氏が王毅外相に伝えたこと
これは、首脳や閣僚の会談を再開するという約束ではない。対話を求めて北京へ出向き、東京にいる大使を示された。首相答弁を巡っては、岩屋氏の方から打開案を出している。
10月7日の時事通信のインタビューによると、首相は追加答弁などで政府方針が変わっていないと説明しており、撤回には政治的に高いハードルがあると王毅氏に伝えた。そこで1972年の日中共同声明の趣旨を両政府で改めて確認し、「事実上の撤回」として扱う案を示した。
岩屋氏によれば、王毅氏は、曖昧な方法はよくない、問題を起こした本人が解決すべきだと退けたという。
国交正常化の際の合意を確認するだけなら、両国の立場を確かめる話だ。そこに、首相の答弁を撤回扱いにする意味を付け加えたのは岩屋氏だ。少なくともこの提案は、中国側の要求に沿って、日本側の引き下がり方を探っているように見える。
岩屋氏が撤回の難しさを政治上の問題として説明すれば、中国には、日本側も撤回の方法を探していると受け取られかねない。王毅氏はその案さえ拒否した。私が批判するのは、中国の要求の妥当性より、日本がどう応じるかという話に踏み込んだ点だ。
経済団体の会長による訪問で、首相の国会答弁の扱いまで代案を提示した点も見過ごせない。
懸案が片づいたという話は出てこない
岩屋氏の公式サイトに掲載された10月2日付の訪中報告には、訪問の主たる目的は経済交流の円滑化と活性化であり、日本政府による関係改善の努力を国貿促として側面から支援していくとの説明がある。
ただし、この報告からは、首相答弁を「事実上の撤回」とする提案について、政府の了解があったかは分からない。首相の答弁を事実上取り消す提案について、政府とどこまで調整したのか。
岩屋氏が説明すべきなのは、政府との連絡の有無にとどまらず、この提案に対する政府の了解の有無と、その範囲だ。
岩屋氏は地元の会見で、外交は政府間で行うものだとも述べている。政府の仕事と民間交流の境目を承知していたわけだ。首相答弁の扱いに関する代案を中国側に示す以上、経済団体として行ったという説明だけでは足りない。
レアアースの対日輸出についても、何立峰氏から返ってきたのは、民生用、つまり軍事用途以外なら問題ないという説明だった。
中国商務省は1月8日の会見で、対日軍民両用品輸出管理について、民生用途に影響はないと述べている。民生用途への基本的な説明は、8カ月以上前と同じだった。
一方、時事通信によると、何氏は管理方法の改善を模索しているとも説明したという。だが、それが実際の輸出円滑化につながるかは見通せない。帰国後の岩屋氏自身がロイターに、現場では輸入がかなり滞っているとの見方を示した。
対話再開は大使に一任、撤回の代案は拒否、輸出の滞りには従来の説明。本人が明らかにした3つのやり取りからは、対話再開や輸出停滞の解消について、具体的な合意が得られたとは確認できない。
中国にとっては帰国後の岩屋氏の発言まで好都合
岩屋氏は10月2日の地元・大分での会見で、政治局員2人との接触が実現したことを、対話が途絶えていた状況からの「一歩前進」と評価した。訪問も、あくまで小さな環境整備や改善のきっかけづくりと位置づけている。
接触そのものに意義を認める考え方は理解できる。だが、それだけで、懸案の解決に向けてどこまで前進したかという疑問への答えにはならない。
待遇も、前年と比べれば印象が変わる。2025年6月3日、同じ団体の会長だった河野洋平氏の訪中団を迎えたのは李強首相だった。翌4日には王毅氏が会っている。前年も2日続けて有力者が対応し、今回は登場しなかった首相まで出てきていた。
今回は高市首相の台湾有事答弁後に関係が悪化した状況での接触であり、単純比較はできないとはいえ、会談相手が2人いたという数だけで、今回を特別扱いと持ち上げるのは無理がある。
訪中の直前、9月24日の米中首脳会談では、トランプ大統領が習近平国家主席に日中対話の必要性を伝えたとロイターが日本政府関係者の話として報じた。訪中日程は9月11日には最終調整中と報道されており、訪問計画自体は米中首脳会談前から存在していた。
私の見立ては、予定されていた訪中が、中国の対米アリバイにも使える接触だったというものだ。もっとも、中国側が実際にそう位置づけたかは確認できない。高市政権への要求を下げず、日本の元外相とは話していると示せる。日本側にも譲る意思を持つ政治家がいると印象づけるには、帰国後の岩屋氏の発言まで好都合だったのではないか。
「日本が譲らないせいで問題が長引く」という中国側の理屈を助ける
中国は民間交流を政府間関係の促進につなげる発想を公言している。前年の河野氏との会談で、王毅氏は「以民促官」を日中関係の成功経験と評価した。民間交流を通じて政府間関係を促進するという意味だ。
今回の会談発表でも、国貿促などに日本を正しい選択へ導くよう求めている。中国政府が望む方向へ日本の政策を動かす役割を、友好団体に期待していると読める。
経済交流の看板を掲げた場で、日本の指導者に台湾を巡る言動の是正を求め、歴史認識や中国への見方まで注文をつける。これが中国側による王毅氏の会談発表の中身だ。
岩屋氏も、日本への「新型軍国主義」という非難を控えるよう求めている。中国の物言いの問題を知っていた人物が、帰国すると日本側に原因があると語る。その発言を、中国政府が高市政権への要求に利用した。
首相の答弁を批判する自由と、中国の責任転嫁を助ける発言への批判は両立する。中国が不満を持ったことを、その後に中国自身が選んだ対応の免罪符にしてはならない。
外交上の対立があっても、対話を続けるか、貿易を制限するかは中国政府の判断だ。岩屋氏が中国側の対応まで正当化したとは確認できないが、原因は日本にあるという言葉は、日本が譲らないせいで問題が長引くという中国側の理屈を助ける材料にされかねない。
自分の発言が相手に与えた利益を直視してほしい
岩屋氏はロイターに、高市氏の外交姿勢について「日本は大国ぶる必要はない」と語った。一方で、自らの訪中への批判には、誰も会わなければ事態は改善しないとの考えを示している。高市氏に大国ぶるなと説く前に、岩屋氏こそ英雄ぶるのをやめるべきだ。
北京へ足を運んだ意義を訴えても、提案や要請の結果を問う批判への答えにはならない。接触の実現と、具体的な成果の有無は、別の問題だからだ。
私が問うているのは、会うか会わないかではない。自分の提案を拒んだ相手に、日本が原因を作ったと認める言葉まで渡した判断だ。中国政府はそれを使って高市政権に反省を迫った。自ら動いたことを評価する前に、自分の発言が相手に与えた利益を直視してほしい。
対話をしたという事実で、その発言への説明責任は消えない。中国側の要求を聞くだけでなく、日本側の立場をどう守り、関係改善につなげたのか。その説明が必要だ。
今回の中国政府の対応を見る限り、日本側が少しでも譲歩を示せば、それを足掛かりに、さらに要求を強めてくるおそれがある。
言いたいことを伝え、認めることは認めたと強調するだけでは、自分の提案や発言が相手にどう受け止められたかという検証にはならない。日本の元外相だからこそ、その点を厳しく問われるべきだ。
文/小倉健一
「納得できるわけがない」議員1人の中道が“政党交付金5.8億”受け取りで批判噴出…求められる制度改正
事実上解体した政党が、所属議員わずか1人を残したまま約6億円もの政党交付金を受け取ったーー。『中道改革連合』をめぐるこの一件に、国民や政界から批判が噴出している。
中道分裂から『民主改革の会』、公明党復党へ
「中道は、2026年1月の衆院選公示直前に立憲民主党と公明党で急きょ結党された政党です。しかし2月の衆院選では118議席を減らす惨敗を喫し、その後の立憲民主党・公明党との3党合流協議も8月31日に断念し、党は分裂へと向かいました」(政治部記者)
立憲系のおよそ18人は新党『民主改革の会』を結成し、公明系のおよそ28人は公明党に復党。ただし政党助成法上、離党した議員は未交付分の交付金を受け取れない。そこで中道は、小川淳也代表のもと、立憲系の渡辺創衆院議員ただ1人を残して党を存続させ、交付金を受け取る形を選んだ。受け取った交付金は衆院選経費の支払いに充てられるという。
そして20日、中道は2026年の政党交付金の第3回分として約5億8000万円を受領。政治活動の実態のない政党が、国民の税金が含まれた公費を受け取る構図に《こんなヤツが与党批判してんだぜ?》《実質解体した政党の借金返済に血税が使われるのを一般国民が納得できるわけがない》《立憲と公明は財源が財源がぬかすなよ》などと批判が殺到した。
公費受け取りについて、かつて中道の幹事長を務め現在は新党・民主改革の会の幹事長を務める階猛氏が20日に会見し「活動の実態がないのに受け取ろうというわけではない。負い目を感じなくてはいけないものではない」との見解を示した。
「階氏は『やましくはない』ということを伝えたかったようですが、この言い回しがかえって火に油を注いだ面もあるでしょう。『FNN』の世論調査によると同党の支持率は0.1%となり、この低支持率は間違いなく交付金受領が影響しているという見方が強いです」(前出・政治部記者)
吉村洋文代表「ほんまか?嘘だと言ってくれ」
日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は、中道分裂の方向となった際「生活者ファーストじゃなく、自分たちファースト」「選挙目当ての野合集団だったと自分たちで証明した」と指摘。そして今回の交付金受け取りに関して、自身のXで報道を引用する形で「ほんまか?嘘だと言ってくれ」と驚きを隠せない様子だ。
前大阪府知事・前大阪市長の松井一郎氏も自身のXで「中道を離脱した民主の皆さんも公明党の皆さんも、交付ルール内だから貰って当然って感覚ですね。原資は国民の税金、納税者は交付金詐欺って感覚では?元中道の皆さんは来年度もこの交付金を貰うつもりでしょうから、今国会でこの様な詐欺的税金搾取は出来ない交付金制度改正を維新は提案すべきやね」と批判。
清算のための資金が必要なことは事実だろうが、政治活動実態の乏しい政党が解党を前提に多額の公費を受け取れてしまう。松井氏も言及するように、求められるのは国民が納得する形での交付金の制度改正だろうーー。
週刊女性PRIME
《リベラルは再生できるのか》千葉商科大学教授・常見陽平氏が分析「多くの国民が根っこの価値として“安心”を求めているということを理解するべき」
中道改革連合の解体、沖縄県知事選での玉城デニー氏の敗北など、リベラル勢力の退潮が鮮明となっている。なぜリベラルは支持を失い、対抗軸を示せなくなったのか。そして再生する道はあるのか。作家、千葉商科大学教授の常見陽平氏が分析する。
リベラル政党は国民の実感をどこまで掴んでいたのか
日本のリベラルが大切にしてきたのは、「自由」と「寛容」のはずです。自由は国家や伝統的な規範からの自由であり、寛容は多様性と言い換えてもいい。ただ、中道改革連合とその源流となる立憲民主党、そしてリベラル言論人は大切なこの2つを見失っていたのではないかと考えています。
政策では国民の生活実感からかけ離れていました。選択的夫婦別姓やジェンダー平等を掲げたけれど、いずれも重要な政策である一方で、政治家が上から授けるような語り口になり、人々の切実な生活実感と十分に結びついていなかったのではないか。
賃上げの恩恵に与れない非正規はもちろん、フリーランスやギグワークを掛け持ちするような人たちは、不安定な暮らしを強いられています。正社員を含めた中間層も、必ずしも支援の対象として捉えられず、重い社会保険料負担や転落への不安を抱えているのです。
時間もお金もない若者が求める価値も安心です。とりあえずコンサルに就職する若者は、生活不安をかき消すように競争に勤しみ、給料は安くとも配属ガチャのない企業を選ぶ若者は、東京暮らしを続けて安堵している。どちらも根っこの価値は安心なのです。
リベラル政党は、そうした国民の実感をどこまで掴んでいたでしょうか。
参政党が支持を得たのも、「日本人ファースト」以外の主張――でたらめ交じりでも、桁違いの減税など有権者の不安に働きかけるものであったことは見逃せません。
左派リベラル系の言論にも問題があったと思います。立場を超えた幅広い議論が必要なのに、左派リベラル系のYouTubeチャンネル同士はほとんどコラボしないうえ、ジャーナリストの望月衣塑子氏が日本保守党の百田尚樹氏と対談しただけで、「ヘイト容認か」とSNSは大炎上でした。
思想家の東浩紀氏や私がリベラルをよくしたいと願うからこそ批判を口にすれば、「ネトウヨ」「闇落ち」と批判の嵐。この界隈はタコ壺化し、内ゲバを繰り返して仲間を失っているのです。
再起動させられる政治家は見当たりません。まずは言論界から、右も左も関係なく、自由に議論ができる寛容な空間を作るところから始めてはどうかと考えています。
【プロフィール】 常見陽平(つねみ・ようへい)/会社員やフリーとして勤めた経験を活かし、働き方や就活事情について執筆・講演を行う。著書に『なぜリベラルは嫌われているのか』(星海社新書)。
※週刊ポスト2026年10月30日号
泥酔したキャバ嬢宅に上がり込み介抱の末に性行為した63歳男性、朝帰りの同棲相手と鉢合わせ【裁判傍聴記・前編】
東京地裁に出廷したF被告(犯行当時63歳)は、小柄で髪が薄く眼鏡をかけていた。「同意を得て行為をしたので、犯罪ではありません」と主張した。弁護士も「被害者には判断能力があった。被告人は無罪です」と。2024年5月9日、被害女性Aさん(当時26歳)は勤務先のキャバクラで大量に飲酒して、記憶がなくなった。午前2時頃、Aさんは自宅マンション前でうつぶせになったり、立ち上がっては倒れることを繰り返していた。F被告が声をかけて一緒にコンビニに行くが、Aさんは財布をなくしていて何も購入できなかった。マンションに戻ってエントランスに。Aさんが落とした鍵をF被告が拾って、その後一緒に部屋に入った。着衣を脱がして、性的行為をしたという。朝になって、同棲中の婚約者が帰宅。「知らない男がいる」と110番通報した。取り調べの時、F被告は「これが犯罪になるんだったら、美人局じゃないか。ダマされた」と訴えたという。不同意性交罪で起訴された。左に知らない男性、目の前に彼氏被害者Aさんが別室からビデオリンク方式で証言した。ハキハキとした口調が印象的だった。「勤務先で飲酒して、午前0時前頃から記憶がなくなりました。プライベートでは飲みません。お酒の味が苦手なので。これまで記憶をなくしたことは3、4回。今回泥酔したのは、お酒を飲まない時期が2カ月と長かったからかと。携帯はその日、紛失しました。普通の状態なら知らない男を部屋に入れません。朝、頭に衝撃を受けて目覚めました。左に知らない男性、目の前に彼氏。その前の記憶は一切ありません。気がついたときは、体のあちこちが痛かったです。首の後ろには引っかき傷、ひざにあざと傷が」「泥酔したため、判断能力がなくなっていました」と何度も強調した。「被告人と会ったことや、2人でコンビニに行ったことも覚えていません。彼が警察を呼んで、綿棒で口内、両胸と膣内の異物採取を。(犯人に対しては)泥酔している女性の自宅に上がり込むのはいかがなものかと。事件後、ショックで眠れない日が続きました」F被告の弁護士が被害者Aさんに質問した。――Fさんはあなたの源氏名を知っていました。あなたが教えたからではないですか?「源氏名を知っていることを、今初めて知りました」――あなたが「たこ焼きが食べたい」と言ったから、一緒にコンビニへ行ったのでは?「覚えていません」――意気投合した可能性は? 「泥酔していたので可能性はあるかもしれません。ゼロではないとしか言えません。判断能力がなくなっていました」
東京地裁に出廷したF被告(犯行当時63歳)は、小柄で髪が薄く眼鏡をかけていた。「同意を得て行為をしたので、犯罪ではありません」と主張した。弁護士も「被害者には判断能力があった。被告人は無罪です」と。
2024年5月9日、被害女性Aさん(当時26歳)は勤務先のキャバクラで大量に飲酒して、記憶がなくなった。
午前2時頃、Aさんは自宅マンション前でうつぶせになったり、立ち上がっては倒れることを繰り返していた。F被告が声をかけて一緒にコンビニに行くが、Aさんは財布をなくしていて何も購入できなかった。
マンションに戻ってエントランスに。Aさんが落とした鍵をF被告が拾って、その後一緒に部屋に入った。着衣を脱がして、性的行為をしたという。朝になって、同棲中の婚約者が帰宅。「知らない男がいる」と110番通報した。
取り調べの時、F被告は「これが犯罪になるんだったら、美人局じゃないか。ダマされた」と訴えたという。不同意性交罪で起訴された。
被害者Aさんが別室からビデオリンク方式で証言した。ハキハキとした口調が印象的だった。
「勤務先で飲酒して、午前0時前頃から記憶がなくなりました。プライベートでは飲みません。お酒の味が苦手なので。これまで記憶をなくしたことは3、4回。今回泥酔したのは、お酒を飲まない時期が2カ月と長かったからかと。携帯はその日、紛失しました。
普通の状態なら知らない男を部屋に入れません。朝、頭に衝撃を受けて目覚めました。左に知らない男性、目の前に彼氏。その前の記憶は一切ありません。気がついたときは、体のあちこちが痛かったです。首の後ろには引っかき傷、ひざにあざと傷が」
「泥酔したため、判断能力がなくなっていました」と何度も強調した。
「被告人と会ったことや、2人でコンビニに行ったことも覚えていません。彼が警察を呼んで、綿棒で口内、両胸と膣内の異物採取を。
(犯人に対しては)泥酔している女性の自宅に上がり込むのはいかがなものかと。事件後、ショックで眠れない日が続きました」
F被告の弁護士が被害者Aさんに質問した。
――Fさんはあなたの源氏名を知っていました。あなたが教えたからではないですか?
「源氏名を知っていることを、今初めて知りました」
――あなたが「たこ焼きが食べたい」と言ったから、一緒にコンビニへ行ったのでは?
「覚えていません」
――意気投合した可能性は?
「泥酔していたので可能性はあるかもしれません。ゼロではないとしか言えません。判断能力がなくなっていました」
高市政権発足1年、政策評価は…歴史に残る呼び名は「令和の円安首相」か
高市政権が発足から21日で1年たった。テレビ朝日系列のANN世論調査(19日)では内閣支持率が47.1%で政権発足以来最低だったが、今回の支持率急落は「予算カット」発言などで批判を受けた簗和生氏の農水大臣辞任が影響したものだ。
ただ、内閣支持率はメディアによって大きな差があり、例えば、日本テレビ系列のNNN・読売新聞だと57%になっている。いずれにしても、いまだ高い支持率をキープしているのは間違いない。
さまざまな政策課題がある中で、数字で明確に示すことができる経済指標でこの1年を追ってみる。
積極的な財政出動と市場重視の姿勢が功を奏した面がある一方、金利上昇や円安の進行による副作用も見られ、主要な経済指標では「明暗」が分かれる評価となっている。
まず、昨年10月約4万9000円台だった日経平均株価は6万4000円超と大幅に上昇した。春闘での高水準賃上げ(5%台)により、実質賃金は8カ月連続で前年同期比プラスとなったが、大手と中小には大きな開きがある。
物価上昇率は2%台後半で依然として高水準で推移しているが、欧米先進国に比べれば、ましなインフレだ。賃金が持続的に上昇するようになり、インフレもそこそこだが、高市政権下で暮らしが楽になったという声はあまり聞かない。
昨年10月の長期金利(10年国債)は1%台半ばだったが、現在は3.0%台を突破する水準に達した。約30年ぶりの高水準である。財政拡大路線に伴う国債増発への懸念でマーケットの信任を得られていないことを意味する。「責任ある積極財政」路線で、住宅ローン金利の引き上げや国の利払い費増大といった問題が表面化している。
高市首相は19日の参院予算委員会で、食料品の消費税減税に伴う財源に関し「国債発行を否定するものではない」と表明した。これまで「国債に頼らず確保する」と説明していただけに、マーケットの動きがさらに注目される。
高市政権最大のマイナス評価は円安だ。政権発足前の1ドル=150円前後の推移から、現在では1ドル=160円台後半(一時170円近辺)の展開となっている。変動幅は約15円~18円程度の円安(約10%~12%の下落)となっており、1年でここまで円安を進めた政権はない。
高市政権は「強い日本」を唱えながら、国民の購買力は弱くなっていく。SNSには「歴史に残る呼び名は、案外『令和の円安首相』になるのかもしれない」との書き込みが見られた。
国会では食料品の消費税減税に関する本格審議が始まった。まずは減税の行方に注目したい。
文/横山渉 内外タイムス
高市政権1年、自民党内から早くも「再選支持」発言相次ぐ…非主流派は様子見の構え
高市内閣が発足から1年を迎える中、自民党内からは早くも、来年秋の自民総裁選での高市首相(党総裁)の再選を意識した発言が相次いでいる。首相の再選出馬は党内で既定路線とみなされており、非主流派とされる議員らは今後の政権運営を注視する構えだ。
小林氏、2年後も「支える」
小林政調会長は21日のラジオ番組で「1、2年後も高市政権を支えるか」と問われ「当然支えていく」と明言した。小林氏は昨年10月の総裁選で首相と争ったが、今年9月の党役員人事で留任したことで、党内では「来年の総裁選で首相に挑むのは難しい」と見る向きが多い。
萩生田光一幹事長代行も20日の記者会見で「一国の首相が頻繁に代わるのは望ましくない」と述べた。旧安倍派に影響力を残す萩生田氏は総裁選で首相を支持した。
18日のBS番組では首相が再選を目指して出馬した場合の対応について「(旧安倍派は)皆さんたぶん行動を共にできる」とも語り、まとまった形で首相支持に回ることへの期待を示した。
実績をアピールしやすい首相は再選を目指す総裁選に有利な立場で臨める。現職が敗れたのは1978年の福田赳夫氏だけだ。衆目の一致する対抗馬が不在であることも、早期の「再選支持表明」につながっているとみられる。
もっとも、冷ややかな見方も出ている。閣僚経験者の一人は「いくらなんでも早すぎる。対抗勢力へのけん制となり、党にとって良くない」と批判した。非主流派のベテランは「今後の政権運営次第で党内のムードも様変わりする可能性がある」と指摘した。
連立合意政策 実現急ぐ 「達成」57%
高市首相(自民党総裁)は2年目の政権運営で、日本維新の会との連立政権合意書に盛り込まれた政策課題の実現に注力する。今国会では消費税減税・支援金法案の成立を図り、来年秋の党総裁選までに成果を積み上げたい考えだ。
首相は21日、首相官邸で記者団に「合意書に記された内容を一つずつ実行に移していく」と強調した。
維新によると、「副首都構想」関連法の成立など連立合意に掲げた63項目のうち57%にあたる36項目で達成か、その見込みがついた。国会で審議入りした消費税減税・支援金法案は、食料品の消費税率を1%に引き下げ、2029年度に「就業者負担軽減支援金」を本格導入する内容で、成立すれば経済財政分野で新たに2項目にめどがつく。
政治改革の分野では、衆院議員定数の削減が未達成だ。先の特別国会で削減法案を提出したものの継続審議となっている。外交安全保障分野では、合意書に基づき、政府は国家安全保障戦略などの安保3文書を年内に改定する予定だ。
維新は自民に合意書の更新を求めているが、自民は慎重だ。木原官房長官は20日のTBS番組で「高市総裁がもう一度(自民総裁選に)勝つことと、維新が連立に継続して加わる約束ができた時に更新される」と語った。
AI要約「うのみは危険」、犯罪組織が検索結果を不正操作…詐欺宣伝の肯定や偽販売サイトへの誘導も
生成AI(人工知能)サービスが急速に普及する中、犯罪組織がAIを悪用するため、インターネットの検索結果を不正操作していることがわかった。誤った情報を収集したAIが詐欺の宣伝文句を肯定したり、利用者を偽のショッピングサイトなどに誘導したりしたケースが確認され、警察やセキュリティー会社が注意喚起している。(立原朱音、木村雄二)
「詐欺ではありません」「儲(もう)かったと定評があります」――。警視庁が6月、実際の投資詐欺で宣伝文句にされていた「資産倍増計画」などの単語を大手検索エンジンで検索すると、「AI要約」として、こんな肯定的な言葉が並んだ。
AI要約は検索された単語について、複数のウェブサイトを参照して自動的に情報収集するプログラムで作成されている。
警視庁によると、詐欺グループは、国営公園や官公庁などのウェブサイト内の検索バーに「資産倍増計画はもうかる」などと入力し、この文章を含むURLを作成。インターネット上で拡散し、AIに誤った情報を学習させたとみられる。
これは「サイト内検索スパム(迷惑)」と呼ばれる手口で、架空の投資の勧誘を受けた人がネット検索してAI要約を見ることを想定し、ネット上に肯定的な言葉を並べて信じさせる狙いがあるとみられる。
警視庁はこの手口の作業を請け負っていた業者を確認。中国語で宣伝し、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」の連絡先が提示されていたという。捜査幹部は「AI要約をうのみにせず、情報元を確認し、慎重に真偽を見極めてほしい」としている。
人気商品のシールやブランド品の販売元を聞かれた生成AIのチャットサービスが、偽サイトを紹介したケースも確認された。
情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)が9月にウェブ上で実施した調査では、対話型AIサービス「チャットGPT」とグーグルのAIモデル「ジェミニ」が今年1~8月、チャットサービスの利用者を偽のショッピングサイトや金融機関を装ったフィッシングサイトなどの危険サイトに誘導したケースが、少なくとも6969件に上った。「公式サイト」を尋ねたケースでも同じ現象が起きたという。
なぜ、こうした事態が起きたのか。調査を担当したトレンドマイクロ社の詐欺対策チーフアナリスト・本野賢一郎氏は「犯罪組織は、偽サイトが検索結果の上位に表示されるように不正操作するなどして、AIをだましている」と分析する。
閲覧者やAIに「公式」と信じ込ませるために、SNSの偽アカウントを作成して偽サイトへのリンクを張ったり、古くからある無関係のサイトを改ざんして偽サイトを埋め込み、閲覧者を誘導したりしているという。
チャットGPTが人気ブランドのバッグの販売元として紹介した大手百貨店の偽サイトでは、百貨店のロゴや商品画像が正規のものに酷似しており、誘導された閲覧者が詐欺サイトと見抜くのは難しい。
警察庁によると、今年上半期(1~6月)にインターネットを利用した詐欺などの被害額は、前年同期比45%増の1755億円に上り、深刻な状況だ。
同庁は詐欺サイトへの接続をブロックする防犯アプリやソフトウェアの活用を呼びかけている。本野氏も防犯アプリの有効性を強調した上で、「AIは便利だが、事実と異なることをもっともらしく答える『ハルシネーション(幻覚)』が発生するリスクを理解することも重要」と指摘する。
人気の商品名など詐欺グループが目を付けやすいキーワードを検索すると偽サイトに誘導されるリスクが高まるといい、本野氏は「品薄の商品を破格で販売するとうたうショッピングサイトは詐欺を疑うべきだ。大事な買い物は、公式サイトやアプリを利用することも有効だろう」と話した。
大手検索エンジンのグーグル日本法人は「悪質な詐欺からユーザーを守ることは最優先事項。システムやAIの精度を継続的に向上させ、迅速に対応している」などとしている。
チケットの購入や機関紙購読を迫られ自費で…北九州市の幹部の3割、「市議から威圧的な言動受けた」
市長「大きな衝撃」「見逃すことできない」
北九州市が市幹部を対象に行った、市議からの不当要求の有無を尋ねるアンケートで、回答した3割が威圧的な言動を受けたと答えていたことがわかった。市が21日、結果を公表した。演劇チケット購入や政党機関紙購読を迫られた事例もあり、武内和久市長は「大きな衝撃を受けた。目を疑うような記載もあった。こうした声を見逃すことはできない」とコメントした。市は弁護士など有識者による検証を行う方針。
アンケートは9月、議会対応をする課長級以上468人に匿名形式で行い、9割超の446人が答えた。
市議から大声の叱責(しっせき)など威圧的言動を経験した人は135人(30%)で、ほかに「商品購入などの勧誘」110人(25%)、「議会質問原稿の作成に関与」63人(14%)などがあった。
自由記述には「議会答弁で謝罪を求められた」「市議在籍劇団の公演チケットを買わされ、仕方なく鑑賞した」「政党機関紙の勧誘を受け、2年間自費で購読した」など市議の理不尽な言動への指摘が並んだ。「議会対応を苦に辞めていく優秀な職員がいる」「サンドバッグみたいなもの」と悲観する声もあった。
市議会の中村義雄議長は「真摯(しんし)に受け止めたい。一方で、事実関係や受け止め方に違いがある場合もあると考えている」とした。
神奈川県警、免許を不正持ち出し 30年前からか、顔写真収集
神奈川県警の保土ケ谷署員が、運転免許更新で回収した旧免許証を持ち出していた問題があり、警察庁が22日、調査状況などを明らかにした。旧免許証の不正な持ち出しは、30年ほど前から、複数の署の警備部門で行われていた可能性があると指摘。過激派や右翼といった警備対象者の顔写真収集などの目的で流用したとみている。同庁は「個人情報保護法に抵触する不適切な運用だ」としており、都道府県警に対する一斉調査を始めた。
警察庁などによると、署員は今年8月に横浜市内で飲酒後、旧免許証が入ったリュックサックを神奈川県逗子市の駅で紛失。落とし物として届けを受けた県警が調べると、一般市民の旧免許証計31枚が見つかった。署員の前任地は港北署で、旧免許証は港北署が管轄する住民のものだった。
同署では、交通課が一般市民から回収した全ての旧免許証を警備課に引き渡していた。神奈川県警は、更新者の要望がない限り、旧免許証を返却していなかった。
県警が事情を聴いたところ、警備部門の複数の職員が「平成1桁当時には既に行われていた」と説明したという。
10月なのに気温30度超え! 最も遅い真夏日続出、異例の猛烈台風30号…温暖化で日本の「二季化」ますます進む
これが10月後半の気候なのか。
21日の日本列島は東日本から西日本にかけて暖かい空気に覆われ、広範囲で気温が上昇。宮崎県日向市で33.6度、山梨県甲府市で33.5度など、各地で最高気温30度以上の真夏日を記録した。東京都心でも30.3度で、名古屋市千種区は31.4度、大阪市中央区は31.2度と、いずれも観測史上最も遅い真夏日となった。
日本の南の海上では、大型の台風も発生している。台風30号は21日時点でフィリピンの東を西北西へ進み、中心気圧は900ヘクトパスカルと猛烈な勢力だ。今後は北東へ進路を変え、沖縄に接近後、九州に近づく恐れがある。26日には、対馬海峡で温帯低気圧に変わる予報だ。しかし、本州付近にある前線を活発化させ、24日から26日にかけては場所によって、警報級の大雨となる恐れがある。
そもそも、1年間で台風が30個以上発生し、「30号」にまで至るのは2013年以来だ。今年は、異例の“台風ラッシュ”となっている。
暑さといい、台風といい、とにかく異常気象が連続している。一体、日本周辺で何が起こっているのか。三重大大学院教授の立花義裕氏(気象学)に聞いた。
■高い海面水温が元凶
「きのうはまさしく、地球温暖化で夏が長期化し、日本が四季から『二季』になったことを象徴する一日でした。山のふもとに高温をもたらすフェーン現象が起こるような地域だけが、この時期に真夏日となったのなら、まだわかります。しかし、東京都心などそうでない地域でも30度を超えたということは、やはり温暖化の影響が大きいのでしょう。また、今年は太平洋全体の海面水温が高い『スーパーエルニーニョ』が発生している。暖かく湿った海上の空気が、台風30号によって南から日本にもたらされたことも関係しているはずです」
台風の来襲も、まだまだおさまりそうにない。
「台風が次々出現しているのは、スーパーエルニーニョが一因です。高い海面水温がエネルギーを供給するため、台風が発生しやすい状況になっています。海面水温はしばらく高いままの見通しで、来月や12月にも、台風が発生すると予想されます」(立花義裕氏)
暑さも大雨も、当面は警戒が必要だ。
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地球温暖化により、首都圏への台風直撃の頻発化も危惧されている。関連記事【もっと読む】『台風25号直撃の千葉・印旛沼は堤防決壊で浸水被害…10月も大雨襲来&首都圏直撃の懸念』で詳しく報じている。