埼玉県の入間市選挙管理委員会は20日、3月16日に投開票された同市議選で、トップ当選した国民民主党公認の益田英主氏(52)について、当選を無効とする決定をしたと発表した。必要とされる「選挙区内での3か月以上の居住実態」がないとして、別の市議から異議申し立てがあり、市選管は「居住実態を示す客観的な証拠がなかった」と判断した。
決定は19日付。益田氏は県選管に不服を申し立てる意向を示している。
市選管によると、益田氏は昨年11月28日に東京都杉並区から同市内のアパートに転居し、住民票も移した。だが、今年2月までの約2か月間でこの部屋の水道使用量は1立方メートル未満だったという。
支持率2%と報じられた石丸新党「本当にやる気があるのか?」他党から疑問の声…候補者42人に吹くのは“旋風か逆風”か? ”石丸ファン”の注目はあくまで石丸氏本人のみ
まもなく投開票を迎える都議選。都議会自民党による裏金問題が尾を引いている自民党は議席数を減らすと予測され、その議席を取るのは台風の目だと言われた国民民主党だった。しかし、山尾問題などで国民民主党の支持率は下落し、石丸新党「再生の道」に注目が集まっていた。ところが、蓋を開けると支持率は2%と超低迷。その理由を追った。
〈あの旋風は今そよ風に?〉最初は泡沫候補扱いだったのが2位になった都知事選で小池氏と並ぶ石丸氏
石丸新党42人の候補者 議席獲得なるか
石丸新党による議席獲得の目が消えかけているーー。
6月22日に投開票が予定されている東京都議選をめぐって、朝日新聞社は18~19日にかけてインターネット調査を実施した。「仮にいま投票するとしたら」の質問に対して、自民党が28%ともっとも多く、立憲(14%)、国民(10%)と続くなか、石丸伸二氏が設立した地域政党「再生の道」は、2%と極めて低い数字を記録した。
石丸氏といえば、去年7月に投開票が行なわれた都知事選で160万票を獲得し、小池都知事と大差で敗れたものの、2番目に多く票数を獲得したことから注目を集めた。その躍進は「石丸旋風」とも呼ばれた。
都政担当の記者が語る。
「都議選が始まる前には、石丸旋風が“また”巻き起こるのではないかと噂されていました。都議会自民党は今年1月の裏金問題を受けて批判が殺到。都議選では議席数を落とすと予測されていました。
それを拾うのが国民民主か、石丸新党の『再生の道』と言われていたのですが、実際に始まってみると、国民民主は山尾元衆院議員の不倫問題(による公認見送り騒動)で支持率が落ちる始末。では再生の道ではないかと言われていたものの、そうでもなかったようです」
期待外れの裏には、いったい何が起こっていたのか。某区の立候補者は、再生の道は敵ではないと言い切る。
「本当にやる気があるのかが疑問だった。告示日の1週間前にやっと街頭演説を始めたり、告示日当日には夜になってもポスターを貼り終えていない候補者もいた。再生の道から出ているのは、会社員とかでしょ? 夜しか街頭演説ができない人もいた。また、街頭演説を毎日しない人もなかにはいて、SNSで勝負するのかな。
候補者自身は石丸さんのようにSNSでバズっているわけでもなく、街頭演説のYouTube再生回数も多くて数万回の再生で、東京都在住の割合は2割程度だと聞く」
再生の道からは今回、計42人が出馬。石丸氏は今年1月、再生の道の公認候補を公募し、全国から約1100人が応募した。今回の42人は3回の選考を経て選ばれた人たちだ。彼らは、現職や元を含めた政治経験者は一人もおらず、会社員や経営者、教授などさまざまな経歴を持つ。
東京都板橋選挙区を見てみると、東京電力ホールディングスで働きながら政治家を目指している船本優月氏(33)が出馬している。
新宿選挙区から出馬するのは、元みずほ銀行勤務で現在はスタートアップ役員の平良雄大氏(38)、世田谷選挙区からは元アナウンサーでIT企業に勤務する鳥海彩氏(37)。他にも通信会社社員や東京大学名誉教授など、さまざまな経歴の持ち主が集まっている。
候補者、SNSでは石丸氏のようにはバズらず…
石丸氏は1日に6カ所、多いときには10カ所の応援に駆けつけている。石丸氏の演説はどれも10分程度で、候補者が話す前に行なわれることが多く、「実力で選んでいます」「仕事がしっかりできるだろう。その目線で選んだ」と力説するケースがほとんどだ。
再生の道の街頭演説を聞きにきたというZ世代の20代男性は、演説が始まる前に記者に対して「石丸さんのファンで演説を見にきた」と明かす。
「SNSで石丸さんの動画が回ってきて、都議選へのイメージがクリアになった。スマホヘビーユーザーの若い世代にとってみれば、石丸さんは一番距離が近い政治家で、ヒーローみたいな感じ。今の政治のダメなところにとことんツッコんでいく姿がカッコいい。
自民党は裏金問題があって悪いイメージだし、ほかは何をしているのかがわからない。政治は腐った印象があって、それを変えて新しい風となるのが石丸さんだと友達とも話し合っています」
そう語るものの、石丸氏の演説が終わって候補者の演説になると男性の姿はどこかへ消え去っていた。
石丸旋風は、候補者にとって逆風となってしまうのか。石丸氏は今夜も都内各所の応援へ回る。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
〈「偽の週刊少年ジャンプ」販売グループの“アジト”に潜入〉ほかにも矢沢永吉DVDや大量の高級ダウン…逮捕された女性の夫が告白「本物か?ってきいたら本物だって…」
〈「『儲かってるね』と声をかけたら口にチャックの仕草で…」一家総出で「偽造の少年ジャンプ」やコピー商品を販売して逮捕されたリラクゼーション店オーナーは儲けた金でラブホも購入〉から続く
人気漫画の第1話が掲載されている「偽造された週刊少年ジャンプ」を販売したとして、女性2人、男性1人(いずれも台湾籍)が逮捕された事件。彼女らが拠点として使っていたリラクゼーション店と倉庫として使っていた平屋の一軒家に集英社オンラインは足を踏み入れた。また、店舗のオーナーで主犯の陳容疑者の夫にも話を聞いた。
〈画像〉逮捕の瞬間と、陳詩芸容疑者が営むリラクゼーション店、陳容疑者が経営するラブホテル
コロナのときの“手作りマスク”の販売から始まった
栃木県那須塩原市の田園地帯のリラクゼーション店に、愛知県警の家宅捜索が入ったのは6月18日の午前のこと。
翌日の19日夕方、店舗の玄関前に置かれた小包を、付近に停めた軽自動車に運ぼうとする中年女性がいた。記者が声をかけると「私は陳さんと同じ台湾人で、店の元従業員だ」と名乗るものの挙動がおかしい。
手にした小包の中身をきくと慌てて元の場所に戻し「これ、私のじゃないからわからない」「あなた何言ってるかわからない」と話をはぐらかした。
付近に停まっていた車には、短髪で、日に焼けて褐色の肌をした中年の日本人男性が乗っており、記者をにらみつけ明らかに威嚇していた。
「県警は逮捕された3名以外にも共犯がいるとみて行方を追っている。逮捕された販売グループの家族のほか、店舗の従業員なども関わっているとみられており、極めて仲間意識が高く全容解明には時間がかかる」(社会部記者)
集英社オンラインは、陳容疑者の夫のA氏にも接触した。建設業で働いているというA氏が自宅へ帰宅したところで声をかけると、疲れた様子をにじませながらも取材に応じた。
「昨日は仕事が終わって家に帰ると警察がいて、妻が逮捕されたと聞きました。もちろん驚いたよ。それでそのまま自分も3時間ほど事情を聞かれた。妻は漫画やCDのコピー品を売っていたから逮捕されたと聞いた。コピー品を売っていたことは知っていたかって……?
自分は、そんなことをしているとは知らなかった。もともとはコロナのときに、手作りのマスクを作製し売るということを始めて、その後もいろいろなものを売っていた。俺もいちいち細かく聞かないし、妻とはそんなにしゃべっていなかったからなんとなく物を売って(転売して)稼ぐということをしているんだろうなって思っていた」
自身の関与は「絶対にない」と否定する夫のA氏。記者はA氏の案内でリラクゼーション店の中にも入ることができた。薄暗い店内には、ケージの中に大型犬が1匹おり、取材中も延々と吠え続けていた。
テーブルの上には矢沢永吉のDVDボックスをはじめとする音楽関係の映像作品が置かれていた。
段ボールには矢沢永吉、モンクレール、カナダグースの山
A氏によるとリラクゼーション業の売り上げは“スズメの涙”だったという。その証言から、店舗は”飾り”にしかすぎなかったことがうかがえた。
「マッサージ(リラクゼーション)の方は最近、予約が入ったときだけ施術できる人を呼んでやってもらっていたくらい。だからそんなに稼働はなかったし、売り上げも少なかったと思う。
その代わりとして、物販のようなことをやっているのかなって。細かく何を売っていたのかは知らない。だけど、そこにもあるように矢沢永吉などのDVDボックスが何個か置いてあったりした。
逮捕された妻は、矢沢永吉のことを別に好きとかそういうわけではなかったし、DVDが何個もあるし売るためだろうから、こういうのを売って、売り上げを立てているんだろうなって思っていた。それがコピー品かどうかとか、実際に売っていたのかどうかというのは、聞いてない。だからわからないんだ。本当に色んな物が置いてあったんだよ」
次にA氏は、店から北へ約30メートル先にある平屋の一軒家へ案内してくれた。この平屋は、海賊版コミックスなどの倉庫として使われており、合同捜査本部によって家宅捜索も行われている。
平屋は計3部屋で構成されていた。うち2部屋には、段ボール箱が十数個ある程度だった。この平屋の床にも、矢沢永吉のDVDボックスが転がっていた。残りの1室には、高級ダウンで有名なモンクレールやカナダグースなどのアパレル製品が段ボールに入れられ、積まれている。
記者がアパレル製品について「これ本物ですかね?」とA氏に聞いた。
「俺も妻に本物か聞いたけど、妻は『本物だよ』って言っていた。(倉庫)こっちにも俺はたまにシャワーを浴びにくるくらいで、ほとんど来ない。だから詳しくはわからないんだよ。
組織的にやっていたのかって? たぶんそれはないと思う。妻が弟やお母さんなどを仕切ってやっているように見えたから。漫画とかCDやDVDを倉庫内で見るようになったのは、ここ1年くらいの話。まさか、それが偽物だとは思っていなかった」
商売の規模はどんどん大きくなっていった…
陳容疑者の羽振りはどうだったのだろうか。
「普段の生活は以前とまったく変わりはなかった。でも、物を売る仕事の規模がどんどん大きくなっているように感じていた。だからお金は稼いでいるだろうなとは思っていたよ。でも、俺の給料も含めて全部妻が管理していたから、実際どのくらい稼いでいたかは知らないんだ。いくら儲かっているなんて聞いたこともない。
商売の規模がどんどん大きくなってはいた……。倉庫も別にもうひとつ借りているし、ラブホテルも買って経営したりもしだした。ラブホテルは倉庫ではなく普通に経営すると言っていた。
普通に物を売る仕事をしてその規模が大きくなっていったんだろうなって思ってたから。なんでコピー品を売るようになったのかって言われても、話すら聞いていない。よくわからないんだ。この残っているものはどうすればいいんだろうか……」
口数は少ないが、聞かれたことにはA氏は淡々と答えた。
「偽造された週刊少年ジャンプ」をはじめ“偽ブランド品”、コピーCD、DVDを、大量に売りさばき、今年3月21日には塩原市内のラブホテルをローンを組むことなく購入した陳容疑者。彼女はどれだけの人を騙し、権利者に損失を与え、大金を手に入れていたのだろう。
県警は「偽造されたジャンプ」だけでなく、他のコピー品や偽ブランド品の入手、販売経路についても調べている。
※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「殺すつもりはなかった」千葉県松戸市で姉(37)を殺害した疑いで弟(33)を逮捕 交番に自首し事件発覚 動機など捜査 千葉県警
きのう、千葉県松戸市のアパートで37歳の姉を刃物のようなもので刺して殺害した疑いで33歳の弟が逮捕されました。
殺人の疑いで逮捕されたのは和歌山県和歌山市の無職・三栖史靖容疑者(33)です。
警察によりますと、史靖容疑者はきのう午前11時15分ごろ、千葉県松戸市のアパートで住人で姉の三栖万莉菜さん(37)の胸や腹などを刃物で刺して殺害した疑いがもたれています。
史靖容疑者は犯行後、現場近くの交番を訪れ「姉を刺して殺した」と話していて、アパートに駆けつけた警察官が血を流して倒れている万莉菜さんを発見したということです。
調べに対し史靖容疑者は「刺して殺したことは間違いないが、殺すつもりはなかった」と容疑を一部否認しているということです。
警察は動機など事件の経緯を詳しく調べる方針です。
漁夫の利も?石破首相「7.20参院選」に見た勝ち筋
国会は6月22日に150日間の会期を終えて閉幕する。野党第1党の立憲民主党が19日に「国難下の政治空白は許されない」などの理由で内閣不信任決議案の提出見送りを決めたことから、石破茂首相も衆議院を解散せず、政府は週明け23日に「7月3日公示・同20日投開票」という参議院の選挙日程を閣議決定する。
これを受けて、与野党各党は国会閉幕を待たずに本格的な選挙活動をスタートさせることになる。そして「7・20参院選」は、昨年10月に発足した石破政権の存続の可否が最大の焦点となる。
昨秋の衆院選での敗北で少数与党となった自民・公明両党連立による石破政権にとって、今回の参院選でも自公過半数割れとなれば、「石破首相退陣→野党連立政権誕生」という政局激変も想定される。
ただ、国民が苦闘する物価高回避への“象徴”ともなるコメ価格引き下げで小泉進次郎農水相が大活躍していることで、低迷が続いてきた内閣支持率は上昇基調。石破首相も参院選での自公過半数維持に自信をにじませている。
他方、野党各党による参院選での「本格的共闘」は困難視されている。「野党各党が自党の勢力拡大を優先すれば、各選挙区で野党候補が乱立し、自公が漁夫の利を得る」(選挙アナリスト)ことにもなるだけに、今後の野党各党の対応が注目される。
6月19日に何が起きたのか
少数与党下での会期末攻防の最大の焦点だった内閣不信任決議案の提出を立憲民主党の野田佳彦代表が見送ったことについて、政界関係者の間では「“不信任勝負”で石破首相の衆院解散を誘発すれば、衆院での自公過半数復活につながりかねないとの不安があった」と指摘する声が多い。
そこで、会期末政局のターニングポイントとなった、19日の政府や各党の動きを振り返っておきたい。
同日は正午過ぎから与野党党首会談が開かれた。その席で、18日深夜にカナダでのG7首脳会議から帰国した石破首相が、サミットでのイスラエルとイランの軍事衝突への対応や、関税をめぐるドナルド・トランプ大統領との首脳会談の概要について報告。その中で石破首相は、日米首脳会談での協議は継続になったとしたうえで、「そうした状況での政治空白は避けなければならない」と各党首に協力を要請した。
続いて野田氏は、日本維新の会の前原誠司共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の田村智子委員長と個別に会談。「首相経験者として、(衆院解散による)政治空白は国益を損じるとの判断から不信任案提出は見送る」と伝えた。
「政治家として生まれ、育った党」23年ぶり復党の鈴木宗男氏…参院選へ「自民を立て直す」
20日の参院本会議で辞職が許可され、自民党に復党が決まった鈴木宗男氏(77)は同日、読売新聞の取材に応じ、夏の参院選比例選に自民から出馬する見通しを明らかにし、「自民を立て直す気持ちで頑張る」と述べた。
鈴木氏は2002年3月に自民を離党した。19年参院選比例選に日本維新の会から出馬し、当選したが、23年に党に無断でロシアへ渡航した問題で執行部と対立して離党。以降は無所属で活動していた。
23年ぶりの自民復党について、鈴木氏は「政治家として生まれ、育った党。再び自民で選挙できる巡り合わせに感謝し、原点に返った気持ちで臨む」と語った。
「客同士がもめている」居合わせた37歳男性とトラブルに…引き倒して顔面を殴打 傷害容疑でその場で逮捕の26歳男「証拠を出せ」と容疑否認
20日未明、札幌市白石区の飲食店で、居合わせた37歳の男性客の顔面を殴ってけがをさせたとして、26歳の男が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、住所と職業がいずれも不詳の26歳の男です。
男は20日午前1時ごろ、札幌市白石区本郷通8丁目南にある飲食店で、37歳の男性客を引き倒し、顔面を殴るなどの暴行を加え、けがをさせた疑いがもたれています。
被害にあった男性は、腰や肩を打撲するなど、全治2週間のけがをしました。
店の従業員から「男性客同士がもめている」と110番通報があり、駆けつけた警察がその場で男を逮捕しました。
警察によりますと、2人に面識はなく、当時はそれぞれ来店していたということです。
取り調べに対し、逮捕された26歳の男は「証拠を出せ」と述べるなど、容疑を否認しています。
警察は、事件に至った経緯など当時の状況を調べています。
国道で車同士が正面衝突 意識不明の重体だった女性(72)の死亡を確認 事故による死者は2人に・広島市
20日午後、広島市安佐北区の国道で車2台が正面衝突した事故は、意識不明の重体だった女性の死亡が確認されました。事故による死者は2人となりました。
事故は広島市安佐北区の国道261号で起きたものです。警察によると、20日午後0時40分ごろ、走行中の軽バンと普通乗用車の2台が正面衝突。この事故で、軽バンを運転していた山県郡北広島町の田中文子さん(74)の死亡がその場で確認されました。また、普通乗用車に乗っていた山県郡北広島町の中田里美さん(72)が意識不明の重体で病院に運ばれましたが、胸を強く打つなどし、その後死亡が確認されました。普通乗用車を運転していた中田さんの夫(72)は重傷とみられています。現場は片側1車線のゆるやかなカーブで、警察はどちらかの車がセンターラインを越えたとみて、事故の原因を調べています。
【2025年6月21日】
「クイーンビートル」浸水隠しでJR九州社長が謝罪、株主に売却額を尋ねられ常務「ご勘弁を」
JR九州の古宮洋二社長は20日、福岡市で開かれた同社の株主総会で、連結子会社「JR九州高速船」が日韓を結ぶ旅客船「クイーンビートル」の浸水を隠して運航を続けた問題について謝罪した。株主からは、浸水を3度繰り返した船(2018年に造船契約、建造費約60億円)を選定した責任を明確化するよう求める声が上がったが、古宮社長は明言しなかった。
古宮社長は「安全管理体制に重大な疑義を生じさせ、株主の皆様に深くおわび申し上げます」と述べた。
株主の一人はクイーンビートルについて、「誰が最終承認したのか。船選定自体の責任が明確になっていない。60億円が無駄だった」と指摘。古宮社長は「JR九州本体のグループ経営委員会に付議し、承認された」としたが、契約当時の経営陣の責任には触れなかった。船は韓国企業への売却が決まっており、別の株主は売却額を尋ねたが、取締役常務執行役員の松下琢磨氏は「開示していない。ご勘弁を願えれば」と述べた。
総会後、長崎市から訪れた株主は「売却額すら明確にならず納得しようがない」と憤った。
神奈川の人造湖を造った朝鮮人、中国人。碑が傷つけられても地域ぐるみで語り継ぐ 観光地になった相模ダム【戦後80年連載・向き合う負の歴史(5)】
神奈川県相模原市の山間にある相模湖。釣りやボート、冬はイルミネーションでにぎわう観光地だ。相模ダムは、県内に電気や水道を供給する貴重な水がめとなっている。湖とダムを造る戦時中の建設工事では、朝鮮人や中国人捕虜が強制動員され、日本人学徒を含む多くの労働者が命を落とした。 そんな歴史が「攻撃」を受けたのは2020年のこと。ダムの歴史や犠牲者の名前を刻み、県が設置した「湖銘碑」が、何者かに傷つけられた。傷があったのは「当時植民地であった」「連れてこられた」と書かれている部分だ。
湖のほとりで育った橋本登志子さん(75)はこの事件が起きる半世紀近く前から、地元有志で市民団体「相模湖・ダムの歴史を記録する会」をつくり、ダム建設の実態を調査。歴史を語り継いできた。 橋本さんは語る。「日本にとって都合の悪い歴史でも、なかったことにしてはいけない」(共同通信=奥林優貴)
▽何かに怒っていた中国人
相模ダム=2024年12月
橋本さんがダムの歴史に関心を持ったきっかけは、20代の頃に訪れた中国での出来事だった。ある農村を訪れた際、他の日本人とバスを降りると、1人の老人が近づいてきた。 「突然私たちに大声で何かを叫んできたんです。片目がなくて、身ぶり手ぶりで怒りをぶつけているようでした」 通訳に尋ねたが「方言が強くて分からない」。老人は周りにいた中国人に連れて行かれ、会話はできなかった。日本が中国を侵略した歴史は漠然と知っていた。「この人もその被害者の1人かもしれない…」。戦時中、日本人が中国に何をしたのか、考えざるを得なくなった。
建設業の父親から幼い頃に聞いた話を思い出した。「昔、相模湖で中国人が働かされていた」。気になって町の資料を調べたが、そんな話は出てこない。 「もし自分の足元に強制連行の歴史があるなら、ちゃんと記録すべきではないか」
中国での聞き取り調査に参加した橋本さん(中段、右から4番目)=1996年8月(相模湖・ダムの歴史を記録する会提供)
地元の教員ら有志を集め、1976年に「相模湖・ダムの歴史を記録する会」を発足。公文書の調査や、ダム建設に携わった当事者らへの聞き取りで、事実を明らかにしてきた。
▽軍需工場に水と電気を
相模ダムの工事現場=1946年8月
建設が始まったのは、日中戦争中の1940年11月。工事は熊谷組が請け負った。 神奈川と朝鮮の関係史調査委員会編著「神奈川と朝鮮」によると、戦時下での軍需産業の拡大による電力不足の解消や、工業用水の確保が最大の目的だった。軍需工場が集まる京浜工業地帯へ、水や電気を送ることが想定された。 1943年11月付の県の資料では、完成に延べ約350万人の労働力が必要と見込まれていた。 熊谷組社史には戦時下に各地で請け負った工事に関し「現場就労者の六割も七割も朝鮮人というときもあった」とある。
当時、日本は韓国併合によって朝鮮半島を植民地支配していた。「相模湖町史 歴史編」にはこうある。 「労働力不足を補うために国と業者によって朝鮮人と中国人労働者が動員された」 「朝鮮人強制連行労働者と中国人連行労働者は監視され、厳しい労働に耐えなければならなかった」 「朝鮮人労働者はすでに日本国内に渡航し働いていた在住朝鮮人と、新たに朝鮮から連行してきた人々で成り立っていた」
▽忘れられない「哀号」とゆがんだ顔
工事中の相模ダム=1946年8月
「記録する会」がまとめた「相模湖(ダム)の歴史―強制連行の証言記録―」によると、朝鮮半島から連れてこられた朝鮮人は「マル募」と呼ばれ区別された。宿舎は高い壁で囲われ、監視役が置かれた。熊谷組の下請けをしていた日本人の証言が載っている。 「私の組で働いていた朝鮮五名が逃亡し、(中略)山狩りし、二人捕えた。折かんのときの『哀号、哀号』と叫んで歪んだ顔を忘れられない」 韓国語のアイゴーは、泣くときなどに感情を込める言葉だ。
前述の「神奈川と朝鮮」には、朝鮮人労働者の妻の証言もある。 「食事はひどく粗末だし(中略)一番危険な仕事をやらされたのはいつも朝鮮人だった」 ダムの完成は終戦後の1947年6月だった。
▽市民と県が建てた「湖銘碑」
県が設置した「湖銘碑」の碑文=2024年12月
「記録する会」の調査が進み、中国人捕虜の具体的な動員数や犠牲者数は分かったが、労働力の要だった朝鮮人については、なかなか資料が見つからなかった。熊谷組にも尋ねたが「出面(出勤簿)は全て焼けた」。
そこで「記録する会」は「史実に沿った碑の建立」を求め、ダムを管理する県に要望。10年以上の交渉の末、1993年に湖畔の県立公園に、当時の県知事名で「湖銘碑」が設置された。 調査などで判明した日本人、朝鮮人、中国人83人の犠牲者の名前が刻まれ、ダム建設の歴史もハングルと中国語を含む3カ国語で記した。2020年には、県が日本語と英語を併記した説明板を新たに設置した。
▽存在を否定されたよう
何者かによって傷つけられた説明板=2020年8月(相模湖・ダムの歴史を記録する会提供)
だが、説明板設置のわずか5カ月後、事件は起きた。「当時植民地であった朝鮮半島から国の方策によって連れてこられた方々」という文の一部が、何者かに傷つけられた。
発見したのは「記録する会」のフィールドワークで訪れていた神奈川朝鮮中高級学校(横浜市)の生徒たちだった。橋本さんが当時を振り返る。 「加害の歴史を否定したい人がいたんだろう。生徒らは『自分たちの存在も否定されたようだ』と落ち込んでいた」 すぐに県と連絡を取り、生徒らと共に修復を求める要望書を県側に手渡した。このことがネットニュースで報じられると、コメント欄には「自分たちで直せばいい」「税金の無駄遣いだ」と非難や中傷が多数書き込まれたという。
説明板は2カ月ほどで修復されたが、誰が傷つけたかは分からないままだ。その後も、ある相模原市議からは「自虐史観を植え付けている」と抗議を受けた。
▽地域全体で語り継げるように
「相模湖・ダム建設殉職者合同追悼会」の様子=2024年7月(相模湖・ダムの歴史を記録する会提供)
橋本さんは「戦争を理解するには被害と加害の両面を知る必要がある。ここで引いたら相手の思うつぼだ」と、その後も活動を続けてきた。 1979年から毎年行っているのが、「相模湖・ダム建設殉職者合同追悼会」。全ての犠牲者を悼んで平和と友好につなげようと、中国大使館、韓国総領事館、朝鮮総連などの関係団体や相模原市長、保守系の県議も一堂に会する。
取材に応じる神奈川県相模原市の本村賢太郎市長=2025年3月
本村賢太郎市長は3月、共同通信の取材に応じ、追悼会へ思いを語った。「反省すべき点は反省し、事実を次の世代につながないといけない。こうした歴史を広く学べるよう、教育委員会とも連携していきたい」
地域住民も一緒になって追悼会を作り上げている。朝鮮学校の生徒による朝鮮舞踊や、地元小中学生による合唱などが披露されるほか、地元在住の造形作家が総合演出を担っている。
地元中学生に向けて行われたフィールドワーク=2024年1月
追悼会に毎年参加している市立北相中学校では、1年生が2月にフィールドワークを行った。望月はる美校長は「つらい歴史があった上で、私たちが今ダムの恩恵を受けられることに考えを巡らせてほしい」と、生徒らの様子を見守っていた。
▽新たな担い手も
数年前から活動に加わっている古澤めいさん=2024年12月
戦後80年。発足当時20代だった「記録する会」のメンバーは、70代になった。そんな中、新たな担い手も。2006年に湖の近くへ移り住んだ古澤めいさん(53)だ。 学生時代、留学先のフィリピンで、日本の占領の爪痕を目の当たりにした。相模湖という身近な場所でも、時代に翻弄(ほんろう)された人たちがいると知ったのは数年前。「自分の住む町でできる限りのことをしたい」と活動に加わった。 古澤さんは2024年、近くに住む紙芝居作家いしげしょうこさん(43)と、相模湖とダムの歴史をテーマにした紙芝居を制作した。
相模湖とダムの歴史をテーマにした紙芝居の読み聞かせイベント=2025年2月
今年2月には読み聞かせイベントを企画、近隣の親子ら約20人が集まった。10歳と4歳の息子と参加した凪かおりさん(47)は「中国や朝鮮の人が犠牲になったとは知らなかった。言葉もかみ砕かれていて聞きやすかった」。 古澤さんの住む藤野地区は移住者が多く、ダムの歴史を知らない人も多い。古澤さんは、地域のイベントへの出展を増やし、「記録する会」が掘り起こした資料を誰もが閲覧できる拠点づくりにも取り組むつもりだ。
橋本さんは新たな担い手に期待を寄せる。 「若い世代は日本の戦争加害を知るきっかけがあまりない。地元で手を取り合って、正しい歴史を語り継ぐことが平和につながる」
【戦後80年連載・向き合う負の歴史(6)】に続く × × × これまでの連載【(1)県が撤去した朝鮮人労働者追悼碑は「加害の歴史」伝えるシンボルだった】【(2)フェミニズムを入り口に慰安婦問題を学ぶ若者たち―東京、5千人学ぶカフェ】【(3)集団自決の傷痕撮る沖縄の写真家「真実伝え、戦争なくしたい」】【(4)うそつき呼ばわりされても、731部隊の「本当のことを語る」―94歳の元少年隊員】