東京・奥多摩町の山中で見つかった上半身がない遺体。警視庁はクマに襲われた可能性も視野に捜査を進めています。夏の観光シーズンを前に、遺体が見つかった現場周辺でも不安の声が広がっています。
東京の最西端に位置する奥多摩町には、サル、シカやニホンカモシカ、そして、ツキノワグマも生息しています。その奥多摩町で19日、上半身がない状態の遺体が発見されました。
警視庁によりますと、遺体があったというのは奥多摩町の山の中。今月14日、休日で登山に訪れていた警察官が遺体らしきものを発見したのをきっかけに、見つかったといいます。
遺体は上半身がない状態。周囲に動物の足跡やフンがあったことから、大型動物によって損壊された可能性があるということです。警視庁は、クマに襲われた可能性も視野に、当時の状況を調べています。
環境省によりますと、東京でのクマによる死者は少なくとも2008年度以降、確認されていません。
地元住民
「夕方はもう出ない」
「怖いから夕方は中に入ったら外にはあまり出ない」
「カギをかけて」
――子どももクマ鈴
地元住民
「そういうのを持つように」
「心配なので、家から学校までは車で送迎しています。怖いので、子どもだけで行動させるのは控えています」
過去には、こんなケースもありました。
2016年、秋田県鹿角市で発生した「十和利山クマ襲撃事件」では、4人が死亡。駆除されたクマの胃袋からは、“人の体の一部”が見つかっています。
クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授は「一度クマが人と争うと、そのまま興奮状態になって違う人を襲った事例もある。今回がそういった事例か分からないですけども、一度興奮状態になっちゃうと、次々と人を襲っちゃうケースもある」と話しています。
今回、上半身がない状態の遺体が見つかった奥多摩町。遺体が発見される2日前には、7キロほど離れた林道でロシア人の男性が、クマに襲われて重傷を負っています。
夏の観光シーズンを前に不安が広がっています。キャンプ場を営むオーナーに話を聞きました。
鳩ノ巣ガーデンキャンプ場 清水昌司オーナー
「お客さんから電話がかかってきた。きょう来たの。『心配事があるんだ』と言ってきたの。『クマが出るか大丈夫か』と」
――過去にそういう連絡
鳩ノ巣ガーデンキャンプ場 清水昌司オーナー
「初めて」
――40年ぐらいやっていて
鳩ノ巣ガーデンキャンプ場 清水昌司オーナー
「初めて、これからえらい騒ぎになれば、観光客が来なくなるんじゃないの」
警視庁は、遺体の身元の確認や死亡した経緯について、調べることにしています。
【独自】「事件当日まで普通のバイトだと…」栃木・上三川町の強盗殺人少年の一部が供述 竹前容疑者夫婦が少年らとアプリで通話しながら犯行指示か
栃木県で女性が殺害され、少年4人と指示役とされる夫婦が逮捕された事件。少年の一部が「事件当日まで普通のバイトだと思っていた」という趣旨の供述をしていることが分かりました。
今月14日、上三川町の住宅で、富山英子さん(69)が殺害された強盗殺人事件。実行役の16歳の少年4人が逮捕されたほか、指示役とみられる竹前海斗容疑者(28)と妻の美結容疑者(25)が逮捕されています。
これは事件当日にSNSに投稿された動画。踊っているのは美結容疑者です。
竹前美結容疑者の小学生時代の文集より 「私は、『自分を表現すること』『相手を大切にすること』『元気に体づくりをする』ということの3つのことを学びました。相手を大切にするということは、相手を傷つけない言葉を使ったり行動したりすることです」
小中高時代を長野市で過ごした美結容疑者。優しく真面目だったといいます。
美結容疑者の小中学校時代を知る人 「すごく優しくて真面目で、そんな目立った感じもなく。(中学時代は)吹奏楽部でやっていたので」
バレエやピアノを習っていたという話も。
地元のバレエ関係者 「(バレエを始めたのは)6歳のときですね、幼稚園年長からずっと小学校6年生まで。明るい性格なので、(バレエ教室で)リーダーシップでよくレッスンしてましたね」
高校を卒業し、その後、都内のクラブに頻繁に出入りし、ダンスを楽しんでいたといいます。
2年前の様子を知る人は…
2年前の美結容疑者を知る人 「ヘアモデルとか、そういうのもやっていたんですよね。モデルもやりつつ、ダンスもやってみたいな感じで」
本人のSNSにも多くのダンス動画が…
2年前の美結容疑者を知る人 「そういう変なことをするとか、そういうのではなくて、本当に(ダンスを)楽しんでて。ショックというか、何があったのかなと」
今月9日には美結容疑者が赤ちゃんを抱きかかえている動画を投稿。
美結容疑者は事件後、生後7か月の娘とビジネスホテルにいたところを確保されました。
竹前容疑者夫婦に何があったのか。
夫婦は事件当日、栃木県内にいたことが分かっていますが、捜査関係者によると、親族名義の長野ナンバーの軽自動車で栃木県に向かったといいます。
少年の一部 「夫婦に頼まれてやった」
少年の一部は、こう供述しているということですが、その後の捜査関係者への取材で、竹前容疑者夫婦は現場から離れた場所からスマホのアプリで通話しながら、実行役の少年らにリアルタイムで指示を出していたとみられることが分かりました。
2023年、東京・狛江市の住宅で女性(当時90)が死亡した強盗致死事件や、おととし、横浜市青葉区で男性(当時75)が死亡した強盗致死事件など、首都圏を中心に相次いだ“闇バイト事件”では、指示役が秘匿性の高いアプリの通話機能を使い、リアルタイムで実行役に指示を出していたことが明らかになっています。
こうした“闇バイト事件”と手口が似ている今回の事件。今回も4人の少年のうち、2番目に逮捕された少年BがSNSで闇バイトに応募していました。そして、指示役とみられる夫婦と知り合い、ほかの少年らを誘ったとみられています。
バールなどの凶器は夫婦が事前に準備し、少年らに渡したとみられるということですが、捜査関係者によりますと、少年4人は住宅に押し入る3人と車を運転する1人に分かれ、役割を分担していたといいます。
富山さんは胸など20か所以上を刺され殺害されましたが、少年の一部は…
少年の一部 「『やらなければ家族や友達を殺す』と脅された」
さらに、こんな趣旨の供述をしている少年も…
少年の一部 「事件当日まで普通のバイトだと思っていた」
記者 「容疑者6人は犯行前、現場に向かう途中の高速道路のサービスエリアで集合したということです」
6人全員がそろって顔を合わせたのは事件当日が初めてだったとみられ、少年の一部は「その場で初めて夫婦に会った」と話しているということです。強盗の手順などの最終確認をしていたとみられます。
竹前容疑者夫婦は容疑を否認していますが、警察は、さらに上に別の人物がいるとみて実態解明を進めています。
事故のバス、加速と減速繰り返す 生徒証言、容疑者宅を捜索
福島県郡山市の磐越自動車道で新潟市の北越高の男子生徒1人が死亡したマイクロバス事故で、若山哲夫容疑者(68)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで逮捕=の運転に関し、同乗していた生徒が「出発直後から急加速と急減速を繰り返して不安定だった」と福島県警に証言していることが20日、捜査関係者への取材で分かった。県警は同日、若山容疑者の新潟県胎内市の自宅を家宅捜索した。
生徒が「バスが縁石に乗り上げた」と話したことも判明。これまでに動画や「死ぬかもしれない」とのメッセージを保護者に送り、「運転が危険だと思っていた」「荒かった」と証言したことが分かっている。
【兵庫・たつの市で遺体発見】「2人で仲良く外出する姿も」母娘に一体何が…血を流し死亡「母親により多くの傷」「仰向けで発見」が意味することは【元警視庁刑事の見立て】
母娘が血を流して死亡 一体何があった?最新情報と専門家の見立て
19日、兵庫県たつの市の住宅で、住人の田中澄恵さん(74)と次女の千尋さん(52)が血を流して倒れているのが見つかり、現場で死亡が確認されました。
捜査関係者によりますと、2人の遺体の上半身にはそれぞれ複数の刺し傷がありましたが、現場から凶器は見つかっておらず、警察は殺人事件の可能性もあるとみて捜査を進めるとしています。
遺体発見から一夜明けた20日、たつの市の現場からMBS山中真解説委員が最新情報をリポート。さらに、元警視庁刑事・吉川祐二氏が見立てを解説します。
◎吉川祐二:元警視庁刑事 現在は警察時代の経験を生かし防犯コンサルタントとしても活躍
【目次】
・住宅街の現場…周辺の特徴は?
・近隣住民「澄恵さんの夫が亡くなった後、次女・千尋さんが…」
・母娘の健康状態・周囲との関係
・「事件の可能性が高い」元警視庁が指摘
・遺体発見の状態から見えること
・母親は「娘を守ろうとした」か
・今後の捜査の鍵は?
山中解説委員が現場から最新情報をリポート
遺体発見から一夜明けた20日、警察は現場周辺の規制線の範囲を広げ、鑑識作業を行いました。
現場となった住宅は、JR姫新線・播磨新宮駅(姫路駅から30~40分)から南に約1kmの住宅街にあります。
国道から歩いて5分ほどの場所にありながら、土手と川の先の「行き止まり」のようなエリアであり、地元の人の話によると、住民以外が入ったり通り抜けたりするような場所ではないということです。
近隣住民「澄恵さんの夫が亡くなった後、入れ替わるように次女・千尋さんが戻ってきた」
亡くなった田中澄恵さん(母)と千尋さん(娘)の生活について、住民の一人は「澄恵さんの夫が亡くなった後、入れ替わるようにして別の場所で暮らしていた次女・千尋さんが戻り、母娘の2人暮らしが始まった」といいます。
さらに、「澄恵さんの夫が存命だった時、その夫は家の中ではなく家の前に停めた車で生活している姿などもよく見られた」とも話していました。
「2人で仲良く外出する姿も」近隣住民が語った母娘の健康状態・周囲との関係
2人の健康状態や周囲との関係については、以下のような話が聞かれました。
▽澄恵さんは2年前に車で近隣の住宅に突っ込む事故を起こしていた。保険で弁済はされたものの、やり取りを見ても少しぼーっとする様子や、受け答えが以前とは違って不自然な様子があった
▽千尋さんは2~3年前に脳梗塞で倒れたことがあり、母娘2人とも頻繁に外出することはなかった。
▽住宅の窓からは、室内が雑然としている状況が見受けられるが、あまり整理整頓がされていないことは地元ではよく知られていた(いずれも近隣住民の話)
また、母娘は近所付き合いは盛んではなかったということですが、時折2人で仲良く車で外出する姿は目撃されていて、少なくとも4月までは健在だったという情報もあります。
「事件の可能性が高い」元警視庁刑事が指摘…その根拠は
遺体発見のきっかけは、知人を名乗る人から交番に寄せられた「数日前から連絡が取れない」という相談でした。
警察官がたつの市の住宅に駆け付けたところ、母・澄恵さんと次女・千尋さんが血を流して倒れているのを見つけ、現場で死亡が確認されました。
元警視庁刑事・吉川祐二氏は、「玄関に鍵がかかっていなかった」「現場から凶器が見つかっていない」という2点から、事件の可能性が高いと指摘します。
(吉川祐二氏)「2人が刃物のようなもので刺されている状態。にもかかわらず凶器が見つかっていないことから考えても、第三者が刃物を持ち去った可能性が十分に考えられます。そのことを踏まえて、警察も事件の可能性があると判断をしているものと思います」
発見時の遺体の姿勢から推察「見知らぬ人に襲われたなら背中を向けるが…」
遺体発見時、澄恵さんは玄関付近で、千尋さんが廊下で、いずれもあお向けに倒れていたということです。
吉川氏は、「発生時間がまだ特定されていないため一概に言えない」としたうえで、「相手は顔見知りであった可能性が高い」と推理しています。
「あお向けに倒れていたということは、前方から襲われたことが十分に考えられます。通常、いわゆる窃盗犯が侵入してきたとしたら、逃げるために背中を向ける。それがなくあお向けに倒れていたことから考えても、顔見知りである可能性は高いのではないかと見ています」(吉川氏)
母親により多くの刺し傷
捜査関係者によりますと、2人の遺体の上半身にはそれぞれ複数の刺し傷がありましたが、次女の千尋さんより、母の澄恵さんの方がより多くの傷があったということです。
母親により強い殺意が向けられていたようにも見える状況ですが、これに対し吉川氏は、「母親が娘を守ろうとして抵抗し、そのために数多く刺された可能性もある」との見解を示しました 。
また、栃木県で5月に発生した強盗殺人事件ではトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)による犯行が疑われていますが、今回に関してはその可能性は低いのではないかといいます。
「トクリュウの可能性を無視することはできませんが、経験上、その可能性は非常に低いと思います。いわゆる単独犯によるもので、何らかのトラブルがきっかけになって起きた事件ではないかと見ています」(吉川氏)
21日に司法解剖へ 今後の捜査の鍵は?
現時点で家の中を物色した形跡についての発表はなく、警察は、殺人事件の可能性もあるとみています。
「金品目的の犯行なら、何らかの物色の形跡があると思われますが、その形跡が今のところ表に出てきていません。そのことから考えても、金品目当ての可能性は今の段階では低いという見立てができると思います」
今後の捜査は、被害者の交友関係の洗い出し、近隣への聞き込み調査、凶器の発見が鍵になってくるだろう、ということです。
21日には母娘2人の司法解剖が行われる予定です。死亡推定日時・死因・傷の数・凶器の種類などが明らかになれば、事実解明につながるかもしれません。今後の情報が注目されます。
(2026年5月20日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
別の実行役→少年らに交代した可能性 犬も殺したか 栃木強殺
栃木県上三川(かみのかわ)町の住宅で14日に住人女性が殺害された強盗殺人事件で、事件1週間前に女性宅付近で盗品等保管容疑で逮捕された男性が、「闇バイトに応募した」と供述していることが捜査関係者への取材で判明した。強盗殺人容疑で逮捕された少年らとは別のグループの実行役だったとみられるという。
県警下野署捜査本部は、背後にいる匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)の指示役が、男性の逮捕後に実行役を少年らに替えて被害者宅を狙った可能性もあるとみている。
捜査本部によると、現場周辺では4月中旬以降、不審な車やバイクが相次いで目撃されていた。5月6日には、県警が盗難ナンバープレートを付けた車を発見。運転手は逃走したが同乗していた茨城県八千代町の職業不詳、渡辺昌英容疑者(41)を確保し、翌7日に盗品等保管容疑で逮捕した。下見をしていたとみられ、被害者宅の金品を狙った実行役の可能性もあるという。
また、14日朝の強盗殺人事件の現場で、被害者宅の飼い犬が死んでいたことが新たに判明した。住宅に押し入った16歳の少年らが殺したとみられるという。
捜査関係者によると、事件当時、指示役とされる横浜市の竹前海斗(28)、妻の美結(25)両容疑者は別の場所から、リアルタイムで少年らと通話しながら指示を出していた。夫婦は容疑を否認している。
夫婦は、少年4人とは別の車で栃木県へ移動した。14日の事件前には、途中の高速道路のサービスエリアに6人で集合。最終的な打ち合わせをした可能性がある。被害者宅には少年4人のうち3人が押し入り、1人は運転手役だったとみられるという。【白川徹】
給付に一本化、ほぼ一致=来週、制度案提示―社会保障国民会議
超党派の「社会保障国民会議」の実務者会議は20日、給付付き税額控除の課題について議論し、導入当初は給付に一本化する方向で各党がおおむね一致した。自民党は27日に予定される次回会議で制度のイメージ案を示し、夏前の中間取りまとめに向けて詰めの協議に入る方針。
会議で各党は支援額について、社会保険料の純負担率の国際比較を踏まえた上で、恒久財源を確保できる範囲で検討すべきだとの方向性を確認した。 [時事通信社]
吉川友梨さん不明から23年 南海難波駅前で両親らチラシ配布 情報提供呼びかけ
大阪府熊取町で平成15年5月、当時小学4年の吉川友梨さん(32)が下校中に行方不明となってから23年となった20日、友梨さんの両親や大阪府警の捜査員らが、街頭で情報提供を呼び掛けた。
南海難波駅前(大阪市中央区)では、両親や府警捜査1課員ら約30人が正午から約1時間、チラシを配布。チラシには友梨さんの写真や30歳前後の友梨さんを推定した似顔絵が描かれ、約1200枚が配られた。
友梨さんは平成15年5月20日午後3時ごろ、下校中に行方不明となった。府警は何者かに連れ去られたとみて、延べ約12万人の捜査員を投入し捜査を続けている。不審車両としてこれまでに公開していた旧式のトヨタ「クラウン」に加え、昨年日産「セドリック(グロリア)」とトヨタ「カムリ(ビスタ)」の2車種の画像を公開。事件の約1カ月前や当日に目撃されたという。
事件を巡っては、これまでに6378件の情報が寄せられているが、解決に至っていない。担当する捜査1課の森本浩史警部は「どんな些細(ささい)なことでも結構です。心当たりのある方は情報をお寄せください」と話した。情報提供は府警泉佐野署捜査本部(072・464・1234)。
竹永康宏容疑者「こんな大学で恥ずかしい」SNSで“名誉棄損” 九州運輸局の職員を逮捕 同級生になりすまし投稿か 福岡県警
九州運輸局の職員の男がSNSで同級生になりすまして学歴などを侮辱する投稿をし、名誉を棄損した疑いで逮捕されました。
名誉棄損の疑いで逮捕されたのは、九州運輸局長崎運輸支局佐世保海事事務所の職員、竹永康宏容疑者(52)です。
警察によりますと竹永容疑者は2025年11月、高校時代の同級生で福岡県みやま市の男性名でSNSのアカウントを作成し「こんな大学で恥ずかしい」「いくら大学院を出ても今の職業だったら大学に行く必要なかった」などと投稿して男性の名誉を棄損した疑いです。
竹永容疑者と男性は高校時代は顔見知り程度で、卒業後も30年以上関わりはなかったということです。
調べに対し竹永容疑者は「おっしゃるとおりです」と容疑を認めているということです。
投稿を知った被害男性が1月、警察に被害を届け出ました。
九州運輸局は「当該職員の逮捕容疑が事実だとすれば誠に遺憾です。今後警察の捜査の状況を注視しつつ、確認された事実関係を踏まえ厳正に対処してまいります」とコメントしています。
ナフサショックの裏で高市政権が犯した「2つの重大ミス」…政府の情報発信が招いた“静かな物流危機”
カルビーがスナック菓子「ポテトチップス」など主力商品のパッケージを白黒に変えると発表し、ネットで大きな話題を呼んだ。パッケージ変更の背景には、中東危機で印刷インクの原料である溶剤や樹脂の品薄状態がある。インク用溶剤の原料にあたる原油やナフサは輸入に頼っているが、政府は「日本全体として必要な量が確保されている」「目詰まり解消が進んでいる」と主張。だが、インフルエンサーのオオサワ・キヌヨ氏は「日本政府は二つの失敗を犯した」と指摘する。その二つの失敗とは。
【画像】「上等やないかいっ」高市首相の外交姿勢を象徴する過去のSNS発信
足りているのか、足りていないのか
ホルムズ海峡封鎖当初、「6月にナフサが枯渇する」という警鐘を鳴らす人が出た。それからしばらく経つ。あの予測は外れた、と鬼の首を取ったようにSNSで叫ぶ声がある。「全然足りてるじゃないか」「騒ぎ過ぎだった」と。しかし、その指摘は、問題の本質を見ていない。
ナフサ関連製品が底をつかなかったのは、通常であれば流れていたどこかへの供給を、各プレーヤーが意図的に絞ったからだ。これは「年金は破綻しません」「日本の財政は破綻しません」というのと構造が同じである。
原料の減少分に合わせて供給を制限すれば、確かに枯渇は先送りできる。しかしそれは問題が消えたことを意味しない。痛みをどこかに転嫁しながら、延命しているに過ぎない。
目詰まりの現場で何が起きているか
政府のヒアリングはあくまで伝聞である。実態は現場に出れば即座にわかる。食品などの工場では、容器やフィルムの異常な価格改定や出荷制限がすでに始まっており、直近では物流に使うPPバンドの供給にまで制限がかかった。
あるメーカーから届いた案内文にはこうある。「中東情勢の影響によるPPバンドの出荷規制に伴い、供給不足が見込まれます。つきましては、現在の2本掛け仕様から1本掛けへの変更を、5月生産分より順次実施いたします」。
PPバンドとは、段ボールを束ね、物流の最前線で使われるごく地味な資材だ。しかしこれが絞られれば、食品の出荷体制そのものに影響が及ぶ。
石油化学産業の川上で何かが起きれば、その波紋は川中・川下へと静かに、しかし確実に広がっていく。枯渇という劇的な事態は起きていないかもしれないが、日本経済のあちこちで、じわじわとした毀損が進行している。そしてその被害は弱い立場の企業ほど大きく出る。
ではなぜ、このような「目詰まり」が起きたのか。
現場の苦境を「気のせい」と言い捨てるに等しかった政府
直接の引き金は中東での戦争であり、ホルムズ海峡の封鎖だ。しかし問題は、そこではない。問題は政府が発信した情報が、あまりにも曖昧なままだったことにある。
象徴的だったのが、木原官房長官が4月17日の記者会見で、「石油ショックとは思っておりません」と発言したことだ。過去の石油ショックとの比較を否定し、国民に冷静を呼びかけるメッセージのつもりだったのだろう。
しかし、すでに現場で供給制限や価格高騰に直面していた企業にとって、この発言は逆効果だった。「必要量は確保されている」という言葉と、目の前で届かなくなっていく資材の現実がまったく噛み合わない。
政府が現場を把握していないのではないかという不信感が広がり、その発信を信用せずに、むしろ自己防衛的な動きをすることに拍車をかけた。「石油ショックではない」という言葉は、現場の苦境を「気のせい」と言い捨てるに等しかったのだ。
もう一つ、見過ごせない問題がある。ガソリン価格の話だ。政府はガソリン補助金を再開し、170円を超える部分を全額補助する変動型の仕組みで、店頭価格を170円程度に抑制している。
確かにガソリン価格は落ち着いて見える。「高市政権のおかげでガソリン代が上がらない」と言う人もいる。しかし原資は税金であり、財源がどう変わっても「消費者が後から負担する」という構造は何も変わらない。
消費者は給油のたびに「安く済んだ」と感じるかもしれないが、その分は後から税負担として回ってくる。価格統制の見た目だけを政策の成果と錯覚させる構造は、まさに政府の失敗の延長線上にある。
企業は最悪のシナリオを前提に動くしかない
企業が経営判断を下すには、具体的な情報が要る。備蓄は取り崩すのか。いつまで備蓄に頼ることになるのか。確定しているタンカーのスケジュールはどうなっているか。
「原油を確保した」という言葉は、定期的に安定供給されるという意味なのか、それともスポット調達に過ぎないのか。
こうした問いへの答えが示されなければ、企業は最悪のシナリオを前提に動くしかない。憶測が憶測を呼び、自己防衛的な在庫抱えや出荷制限へとつながる。
川上業者が身を守るために出荷を絞るのは経済合理性として当然だ。しかしその連鎖が積み重なれば、実際以上の「目詰まり」が社会全体に生じる。
混乱はSNSのデマではなく「政府の情報発信の失敗」
今回の混乱は、SNSのデマでも、市場の失敗でもなく、政府の情報発信の失敗によって引き起こされたものだ。
中東にて戦争が起きた直接の責任は日本政府にはない。だがその後の情報整備の責任は、外交・産業政策・資源調達のすべてを一手に把握できる立場にある政府だけが負うことができる。
「他国よりマシ」「政府はよくやっている」という評価で甘やかしても、企業にも消費者にも何の益もない。過剰な批判も生産的ではないが、政府に対して求めるべきことは明確だ。必要な情報を、必要なタイミングで、具体的に出すこと。それだけである。
ここで外交の話に踏み込まざるを得ない。今回のホルムズ危機で日本が選択肢を持てなかった背景には、高市首相の外交姿勢の問題が深く関わっている。
高市氏は政調会長時代の2022年、ロシアから入国禁止指定を受けた際、SNSで「上等やないかいっ。招かれても行かんわい!」と発信していた。外交のトップとなった今、その気質はそのまま外交姿勢に引き継がれている。
現職自衛官が在日中国大使館に侵入し逮捕される事件が起きた際、政府は「誠に遺憾」という言葉で済ませた。中国側は「在外公館への警備責任を果たしていない」と反発し、外交摩擦の口実を与えてしまった。
高市外交が失ったもの
また米国・イスラエルがイランを攻撃した局面では、数日のうちに民間人犠牲を理由としてイランを名指しで非難した。
米国の攻撃には「法的評価は差し控える」としながらイランだけを名指しする姿勢は、みずから窓口の一つを閉じる結果となった。戦後日本がやってきた米国とイランへの折衝外交はどこにいったのか。
国と国との間にトラブルは必ず起きる。しかし、どれだけ激しく対立しようとも、いつかは停戦の話になり、和平交渉が必要になる。
現代においてメディアの目が世界中に行き届いている以上、どちらかが完全に消えるまで戦い続けるなどという結末は現実的にあり得ない。つまり、相手が誰であれ、効果的な対話のできるパイプを常に確保しておくことは、国家の基本的な義務である。
今、日本が進めている軍備や開発の意味も、ここから問い直す必要がある。和平交渉のテーブルに相手を引き出すための抑止力としての軍備なら理解できる。
しかし高市氏の言動を見ていると、軍備や同盟を「相手を制圧する道具」あるいは「戦争に勝つための武器」として使っているように映る。
問題の本質は「情報」と「外交」の設計にある
それは隣国を刺激する軍拡競争への道だ。啖呵を切ることに国益はない。必要なのは、喧嘩を売られても冷静に対話の糸口を探し、粘り強く交渉を継続する忍耐力だ。
ホルムズの危機において、日本はイランとの独自パイプを活かせる立場にいたはずだった。しかし、首相自らがイランとの対話回路を閉じてしまった。
日本政府の失敗は二つある。一つは、危機に際して企業・市場が判断できるだけの情報を出せなかったこと。もう一つは、エネルギー調達において外交的な選択肢を複数持てていなかったこと。
PPバンドが不足している物流の現場から見えるのは、石油化学の川上で起きた小さな乱れが、静かに、しかし確実に日本の産業・物流・食卓へと波及しているという事実だ。「枯渇しなかった」と胸を張れる話ではまったくない。
情報を出す、対話を続ける。この二つの基本を取り戻すことなしに、次の危機にも、またその次の危機にも、日本は同じ轍を踏むことになる。
文/オオサワ・キヌヨ 写真/shutterstock
《トクリュウ現場指示役・竹前夫妻の素顔》「若いタトゥーの兄さんが『パンクしてんじゃねーか!』とキレて車を…」夫妻と“未成年強盗団”を結ぶ“白の高級外車”めぐる目撃談
5月14日、栃木県上三川町の住宅で農業法人を経営する一家に複数人が押し入り、母親(69)が刃物で殺害され同居する息子2人も重軽傷を負った強盗殺人事件。栃木県警の広域連携捜査により、事件の実行役として逮捕されたのは神奈川県内に住む16歳の男子高校生4人であることが判明した。
少年らの供述などもあり、栃木県警は5月17日にはさらに横浜市在住の無職・竹前海斗容疑者(28)と妻の美結容疑者(25)を強盗殺人の疑いで逮捕。2人を事件の”指示役”とみて、匿名流動型犯罪グループ(トクリュウ)による犯罪として捜査を進めている。【前後編の前編】
「夫の海斗容疑者は羽田空港の国際線ターミナルで、妻の美結容疑者は横浜市内のビジネスホテルでそれぞれ身柄を確保されている。海斗容疑者はすでに出国手続きを終え、”高飛び”の直前でした。夫妻はともに逮捕を逃れようとしていた可能性が高い。
捜査関係者によれば事件当時、指示役の2人は栃木県内にいましたが、実行役の少年らとは離れた場所にいた。2人は自宅がある横浜市から県内入りし、その後に県外に立ち去ったとみられます。聴取や聞き込みのほか、他の県警などと連携した防犯カメラの『リレー捜査』も功を奏し、スピード逮捕に繋がった」(大手紙社会部記者)
指示役の竹前夫妻と少年らの接点はどこにあるのか。
「逮捕された男子高校生の1人がSNSで『闇バイト』に応募したことがきっかけです。県警はこの少年がほかの高校生3人を誘ったり、竹前夫婦とつながったりしたことから、6人での犯行になった。
しかしあくまで竹前夫妻らは”現場指示役”だった可能性が高い。警察は事件そのものを計画したさらに上位の指示役がいるとみて、特定を急いでいます」(同前)
さらに夫妻と少年たちの接点とされるのが、白の高級外車だ。この車は実行役の少年らが犯行に使ったとされているもので、15日夜に相模原市で逮捕された少年の自宅付近の公園で発見され、のちに警察に押収されている。県警は夫妻がこの車を事件当日、少年らに貸し出したとみているようだ。
この白の高級外車は事件前、竹前夫妻の自宅付近でもたびたび目撃されていた。近隣に住む50代の男性が話す。
「遅くとも5月に入ってから、左前のヘッドライトが壊れた白の高級外車は、よくそこのアパートの前の道路に路駐されていましたよ。邪魔なので誰か通報しないのかなと、たまに気にして見ていたら、若いタトゥーの兄さんと子どもを抱いた女性が使っているのを何回か確認しました。
車を認識してから数日後、犬の散歩に出かけたら後ろのタイヤがパンクしていました。『邪魔だから嫌がらせされたんだろう』と思ってみていると、ちょうどそのとき、いつもの男性が奥さんとマンションから出てきて、タイヤを蹴って『パンクしてんじゃねーか!』と怒ってそのまま車を出した。翌日、車を見た時にはパンクが直っていたので、修理に行ったんじゃないですかね」
この男性は、美結容疑者と思われる女性について、”不審な挙動”をすることがあったとも証言するのだ──。
(つづきを読む)
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