閉山中の富士山で今季も遭難が相次いでいることについて、山梨県富士吉田市の堀内茂市長が「趣味や道楽で登り、遭難した時にはスマホ1本で助けを呼ぶが、助けに行く側は命がけだ」などと強く非難した。冬季の富士登山については、静岡側の首長からも対策を求める声が上がっており、山梨・静岡両県では、救助の有料化などについて議論を重ねているが、一向に進展していないようだ。(涌井統矢、菅原智)
静岡側も要望書
山梨県側の登山道「吉田ルート」では、4月にスキー目的で入山した米国籍の男女2人がけがを負う山岳遭難が発生。その3日後にも同登山道でオランダ国籍の投資マネジャーの男性が滑落し、右足首を骨折。いずれも富士吉田署山岳救助隊らに救助された。
今月13日の定例記者会見で、堀内市長は、市や県が再三、冬季閉山中の登山自粛を呼びかけてきたことに触れ、「警告を無視して登るということは本当に残念」と嘆いた。
また「富士山は4000メートル級の山で、熟知している方でも危険な厳しい環境」と述べ、安易な登山の抑制のため、「(冬山への)規制を厳しくしていただき、救助にかかった費用は自己負担というかたちでやっていただきたい」と規制強化や救助の有料化を改めて訴えた。
一方、静岡県側でも遭難が多発しており、富士宮市の須藤秀忠市長が8日、静岡県庁で鈴木知事に富士山閉山期間中の規制強化を求める要望書を提出。「(市職員である)救助隊員の二次遭難のリスクも看過できない水準に達している」として、県道である登山道の物理的な封鎖などを求めた。
富士山以外の山の選定、有料化の時期課題
閉山期の遭難を巡っては、昨年4月、静岡県側で中国人の男子大学生が数日間で2度救助される事案があり、麓の自治体首長らから救助有料化を求める声が続出した。
その後、山梨、静岡両県では県防災ヘリでの救助有料化について検討を進めているが、課題は山積しており、時間を要しているのが現状だ。
例えば、原則無償で行われる県警や消防のヘリによる救助との兼ね合いに加え、富士山以外にも対象とすべき山の選定、救助を有料とする時期などが主な課題で、山梨県では、昨年以降、静岡県側とも定期的に意見交換を行い、対応を検討している。
実際に冬山で遭難した登山者の事例などを収集しつつ、既に有料化を導入した「先行事例」である埼玉県を視察し、有料化の経緯や効果、手数料の考え方などについても調査を進めているという。
検討を進める山梨県消防保安課の浅川豪課長は「関係法令も多岐に及び、場合によっては法令改正などを国に求めることも必要になってくるかもしれない」とした上で、「無謀な登山をどう防止するかが重要で、ヘリの有料化はその対策の一つにすぎない。あらゆる手段を考えていく必要がある」と話している。
「万引き犯を確保」スーパーからの通報で駆け付けた警察官の顔面につば…公務執行妨害容疑で78歳の男を逮捕 窃盗容疑でも捜査 北海道倶知安町
15日夕方、北海道倶知安町のスーパーで、窃盗事件で事情を聴かれていた78歳の男が、警察官の顔面につばをはきかける暴行を加え、職務を妨害したとして逮捕されました。
公務執行妨害の疑いで逮捕されたのは、住所と職業が自称の倶知安町に住む78歳の無職の男です。
男は、15日午後4時16分ごろ、倶知安町にあるスーパーで、46歳の男性警察官に対し、顔面につばを吐きかける暴行を加え、職務を妨害した疑いが持たれています。
警察によりますと、事件前、店から「万引き犯を確保している」と通報があり、駆けつけた警察が男から事情を聞いた際に、男は犯行に及んだということで、その場で逮捕されました。
取り調べに対し、78歳の自称無職の男は「つばを吐きかけたことは間違いない」と話し、容疑を認めているということです。
警察は、当時の状況を詳しく調べるとともに、窃盗容疑についても裏付け捜査を進めています。
キッセイ治療薬で20人死亡報告 新規投与中止呼びかけ
キッセイ薬品工業(長野県松本市)は16日までに、米企業が開発し、キッセイが国内で販売する血管炎治療薬「タブネオス」(一般名アバコパン)を服用後に死亡した患者が20人報告されたと発表した。因果関係が不明なものも含む。重篤な肝機能障害が報告されており、医療機関に対して新規患者への投与を控えるよう呼びかけた。
同社によると、2022年の市販後、国内では約8500人(今年4月27日時点)が使用したとみられる。肝機能障害は薬の「重大な副作用」に挙げていた。
肝臓の胆管が消失する「胆管消失症候群」は22人報告され、死亡した20人のうち13人を占めた。服用後3カ月以内に発症していたという。同社は5月1日付で「重大な副作用」の欄に「頻度不明」として同症候群を追記した。
現在投与中の場合は、肝機能障害のリスクや代替治療を十分に説明し、投与の可否を慎重に判断するよう求めた。
タブネオスは米医薬品アムジェンの子会社ケモセントリクスが開発した。
金閣寺から数km離れた森林で火災 16日午前5時時点で完全な鎮火には至らず 京都・右京区
15日、金閣寺から数km離れた京都市右京区の山林で火災が発生しました。
火災が起きたのは、世界遺産の金閣寺から北西に数km離れた京都市右京区鳴滝沢の山林で、5日午後4時半すぎ「白い煙が上がっている」と通行人から119番通報がありました。
京都市消防局によると、これまでに6万平方メートルが焼けたとみられています。
消防車など30台以上とヘリコプター1機が出動し、通報から約4時間後の午後8時半ごろに火はほぼ消し止められましたが、16日午前5時時点で完全な鎮火には至っていません。
現場周辺に住宅はなく、けが人の情報は入っていません。
栃木・上三川の強盗殺人容疑、3人目の16歳少年を逮捕…最初に逮捕された高校生を送検
栃木県上三川(かみのかわ)町上神主の会社役員男性(68)宅に複数人が押し入り、親子3人が殺傷された事件で、栃木県警は16日、新たに相模原市の男子高校生(16)を強盗殺人容疑で逮捕した。この事件で逮捕されたのは、いずれも16歳で同市の男子高校生と自称男子高校生に続いて3人目。県警は3人が事件に加わった経緯を調べている。
発表によると、3人は14日午前9時25分頃、何者かと共謀し、同町上神主の男性方に侵入して金品を物色中、男性の妻・富山英子さん(69)の胸を突き刺すなどして殺害した疑い。
県警によると、逮捕された1人目と2人目は同じ高校に通っていたことがあり、知人関係にあるという。16日に逮捕した男子高校生はこの2人とは別の高校に通っているが、15日に逮捕された自称男子高校生とは知り合いという。
自称男子高校生は、事件現場周辺の防犯カメラの映像などから浮上したという。15日夜、相模原市内の自宅から出てきたところを緊急逮捕された。近くの公園の駐車場では、このグループが移動手段として使用したとみられる白色のセダンタイプの高級外車も見つかった。県警は、自称男子高校生らが運転した可能性もあるとみている。
栃木県警は16日午前、最初に逮捕した男子高校生を宇都宮地検に送検した。男子高校生は調べに対し、「同学年の仲間に誘われた。ほかの仲間は車で逃げた」などと供述しているという。捜査関係者によると、高校生らを含め、少なくとも4人が現場で事件に関与し、さらに指示役なども存在しているとみられる。
この事件では、外で農作業をしていて駆けつけた40歳代の長男と30歳代の次男も頭部を殴られるなどして負傷した。県警は「匿名・流動型犯罪グループ(匿流(トクリュウ))」による犯行の可能性も視野に調べている。
グダグダ中道改革連合はどうなる? 離党ドミノ止まらず…「3カ月後」に空中分解危機
あの総選挙から3カ月。公示前議席の3分の1以下の勢力に落ち込んだ中道改革連合の前途は、相変わらず多難だ。落選者らのヒアリングなどを経て、12日に衆院選総括を取りまとめたものの、離党の動きに歯止めがかからない。参院側の立憲民主党、公明党との合流のメドも立たず、来春の統一地方選はバラバラ。今国会閉会後の7月末までに新たな政策をつくるというが、9月13日投開票の沖縄県知事選(8月27日告示)をめぐってこじれそうな気配である。
衆院選の総括には〈新党の結党理由、綱領・基本政策、党名、衆院選への立候補理由等が選挙戦の最前線に立つ関係者にすら十分に共有されなかった〉など、中道結成を主導した前執行部に対する怨嗟がにじみ出ている。落選した馬淵澄夫共同選対委員長(奈良1区)が比例近畿ブロックの名簿上位に登載されたことへの反発も相当だったようだ。
とりまとめ作業の最中から前職が次々に離党。3月には当選7回を重ねた福田昭夫氏(栃木2区)ら3人が去った。4月中旬には藤原規真氏(愛知10区)ら2人、今月12日には「立憲に戻りたい」と公言していた亀井亜紀子氏(島根1区)ら4人の離党が発表された。
■沖縄知事選も火種に
小川淳也代表は再起を期すものの、皇室典範の改正議論をめぐってもスッタモンダ。沖縄知事選への対応も火種になっている。「オール沖縄」が足場の玉城デニー知事は3期目を目指し、自民党が全力支援する新人と事実上の一騎打ちの構図だ。争点は米軍普天間基地の辺野古移設問題。前執行部の辺野古容認発言は総選挙中にも問題になった。立憲は玉城氏推しだが、公明は昨年10月に連立政権を離脱するまで自民に歩調を合わせてきた。
「衆院選は自民党が県内4選挙区を総どり。1996年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降初めてで、野党系は中道結成をめぐるゴタゴタもあってガタガタです。中道を軸にデニー支援で一本化できればベストですが、小川代表は火中に身を投じるタイプではない。自主支援の体で傍観する公算大。デニー知事を物心両面で支えるため、立憲の一部現職と中道の落選者が合流する構想が浮上しています」(県議会関係者)
中道は総括で〈党のイメージを「対案なく批判するだけの党」ではなく、現場の声を迅速に捉えつつ「先に現実解を示す党」への転換が不可欠〉としていた。3カ月後、どうなっているか。
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中道の小川代表は日刊ゲンダイのインタビューに「行き詰まった社会を正しく変革する」と語っていたが──。【もっと読む】『中道改革連合・小川淳也氏に聞いた「18の疑問」 火中の栗拾い代表就任から2カ月』で詳しく報じている。
「日本中学生新聞」未成年ジャーナリストに「洗脳」など誹謗中傷 著作出版元が抗議声明
「日本中学生新聞」の創刊者、執筆者として知られるジャーナリスト川中だいじ氏(15)に対する誹謗(ひぼう)中傷が確認されたとして、著作を発行する柏書房が15日、人格否定や差別的言説に反対する声明を公開した。
川中氏は、中学1年だった23年に「日本中学生新聞」を立ち上げ、兵庫県知事選や国政などを積極的に取材し、SNSで発信していることで知られる。柏書房は川中氏の記者活動のルポタージュ「こちら日本中学生新聞」を3月に刊行している。
柏書房は「『こちら日本中学生新聞』著者・川中だいじ氏に対する誹謗中傷について」と題した声明を公開。「現在、SNSや動画配信等において、同書の著者である川中だいじ氏に対して、人格や尊厳を傷つける発言・投稿が継続的に確認されていることを、出版社として深刻に受け止めています」とした。
さらに、誹謗中傷の内容について「家庭環境や親子関係、学校生活について、根拠なく断定的に語るもの」「『操られている』と決めつけるもの」「病気」「『頭がおかしい』など、異常な存在であるかのように扱うもの」「容姿や表情を嘲笑するもの」「特定の思想や政治的立場と短絡的に結びつけ、個人の考えや人格を決めつけるもの」「性的搾取や犯罪的事例と並置して論じるもの」「国籍や出自に関する差別的な言及を含むもの」などがあると説明。「未成年者には十分な自己決定能力がない」「未成年者の人権を大人と同じように考えることはできない」という趣旨の発言も見受けられるとした。
柏書房はその上で、「子どもの人権を軽視するこうした言説は、川中氏個人に対する問題にとどまらず、子どもたちが主体性をもって社会について考え、発言し、行動することそのものを萎縮させかねず、看過することはできません」などとして、差別的言説などに反対する姿勢を明確にした。
川中氏の運営する「日本中学生新聞」の公式Xでも「ネットの世界特有の匿名性を利用し、好き放題に誹謗中傷を繰り返す行為をして一体何が満たされるのだろうか、悲しくならないのかとさえ思います。未成年であることを理由にあたかも心配するかのような体裁をとりながら尊厳を傷つける行為は、『差別反対!』と声をあげる人たちにも見受けられます。子どもへの差別は、そのくらい当たり前の顔をしてすぐそこにあるのです。ぼくよりももっと若い世代の子供たちの政治参画へと繋げていくために、声をあげ抗います」とのコメントが掲載された。
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▼柏書房の発表全文
小社刊『こちら日本中学生新聞』に関連する発信やイベント運営において、著者の安全面への配慮や関係各位とのコミュニケーションの面で、担当編集者ならびに出版社として至らない点がありました。その結果、著者ご本人、ご家族に不安やご負担をおかけしたことを、重く受け止めています。
私たちは今回の件を通じて、未成年の著者に関わる企画や発信においては、本人の尊厳と安全を最優先に考え、より慎重な運営と配慮が必要であることを、あらためて強く認識いたしました。小社としての考えをあらためて明確にするため、本声明を公表いたします。
現在、SNSや動画配信等において、同書の著者である川中だいじ氏に対して、人格や尊厳を傷つける発言・投稿が継続的に確認されていることを、出版社として深刻に受け止めています。
私たちはまず、未成年者であっても、一人の人格と権利を持つ存在であるという、ごく基本的な原則をあらためて確認します。
日本国憲法第14条は、「すべて国民は、法の下に平等」であり、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別されないと定めています。また、日本も批准している国連の「子どもの権利条約」は、子どもを保護の対象としてだけではなく、「意見を表明する権利」を持つ主体として位置づけています。同条約第12条では、子どもが自己に影響を及ぼすすべての事柄について自由に意見を表明する権利が保障され、その意見は年齢や成熟度に応じて尊重されるべきであるとされています。
しかし現在広がっている川中氏に対する言説の中には、以下のような個人の尊厳を著しく傷つける内容が多数含まれています。
・家庭環境や親子関係、学校生活について、根拠なく断定的に語るもの
・「操られている」と決めつけるもの
・「病気」「頭がおかしい」など、異常な存在であるかのように扱うもの
・容姿や表情を嘲笑するもの
・特定の思想や政治的立場と短絡的に結びつけ、個人の考えや人格を決めつけるもの
・性的搾取や犯罪的事例と並置して論じるもの
・国籍や出自に関する差別的な言及を含むもの
また、一部では、「未成年者には十分な自己決定能力がない」「未成年者の人権を大人と同じように考えることはできない」という趣旨の発言も見受けられます。
私たちは、未成年者であることが、その人格や尊厳、権利を否定する理由となるべきではないと考えます。未成年者には、年齢に応じた保護や配慮が必要です。しかしそれを理由に、あたかも本人を心配するかのような体裁をとりながら個人を侮辱したり、人格そのものを否定したりすることは、正当化されるものではありません。
とりわけ、「利用されている」「洗脳されている」「虐待されている」などと、第三者が家庭環境や親子関係について断定的に語ることや、未成年者を性的搾取や犯罪的事例と並置して論じること、あるいは「異常」「病気」などの言葉で人格を貶める表現は、本人や家族に大きな精神的負担を与え、尊厳を著しく傷つけるだけでなく、誹謗中傷や差別的言説を助長しかねません。
子どもの人権を軽視するこうした言説は、川中氏個人に対する問題にとどまらず、子どもたちが主体性をもって社会について考え、発言し、行動することそのものを萎縮させかねず、看過することはできません。
小社は、こうした人格否定や差別的言説に対し、出版社として明確に反対の立場を表明します。
2026年5月15日
柏書房株式会社
進む「米中接近」迫る日本の「頭越し外交」の危機、高市首相の対中強硬姿勢が大きな外交リスクに発展する
アメリカのトランプ大統領が2026年5月13日に中国・北京を訪れ、翌14日、習近平国家主席との首脳会談に臨んだ。イラン情勢への対応、台湾問題、米中の経済・貿易関係などが話し合われ、意見の対立もあったが、首脳同士の対話によって両国関係には一定の前進がみられた。
これに対して日本は、安全保障でアメリカ、経済で中国にそれぞれ依存するが、トランプ大統領は「同盟よりディール」を掲げて、日米同盟に重きを置かない。中国は高市早苗首相の「台湾有事なら自衛隊出動もありうる」発言以来、対日批判を強めている。日本の頭越しで米中が接近していくという「悪夢」さえちらつく。
■米中「建設的な戦略的安定関係」を築くことで一致
アメリカ側によると、5月14日の首脳会談ではイラン問題をめぐって、両国がイランの核兵器保有には反対し、ホルムズ海峡の開放をめざすことで一致したという。中国側は「中東問題を話し合った」とだけ説明している。
台湾問題では、習近平氏が「もっとも重要な問題であり、処理を誤れば深刻な対立に至りかねない」などと指摘し、アメリカ側にくぎを刺した。トランプ氏は明確な対応を示さなかったとみられる。
経済・貿易関係では、アメリカ側が中国によるアメリカ産農産物の購入や対米投資の拡大を訴えた。
さらに両首脳は「建設的な戦略的安定関係」を築くことで一致したという。中国側によると、「相違点があっても管理可能な常態的な安定、平和が見通せる持続的な安定」を意味するという。首脳会談では、トランプ氏がイラン問題や経済・貿易関係で中国側に「お願い」を重ねたのに対して、習近平氏が台湾問題で「攻勢」に出たという両国関係の現状が浮き彫りになった。
中国は今回の首脳会談に先立って、活発な外交活動を繰り広げた。
相次いで北京を訪れたイギリス、フランス、ドイツ、カナダなどの首脳と習近平国家主席が会談。イラン戦争をめぐっては、王毅外相が中東各国を歴訪したほか、イランのアラグチ外相を北京に招き、王毅外相との会談でアメリカへの対応策を話し合った。
一連の外交の目的は、アメリカの影響力の低下を確認することだ。アメリカは国際政治の分野では、国連憲章に明確に反するイランへの先制攻撃に踏み切ったことから、国際社会の信用を失った。トランプ大統領の関税政策や国連の関係機関からの離脱も、各国の失望を招いている。
■中国はアメリカの影響力の低下を確認していた
安全保障面では、当初は短期間で決着させるつもりだったイラン戦争が長引き、多くの艦船の中東方面への展開やミサイルの消耗などで、東アジアのアメリカ軍の抑止力は著しく低下している。
経済面でアメリカは、イラン戦争によるガソリン価格の高騰など物価高が止まらず、庶民の不満が募っている。イラン戦争による戦費調達で財政悪化の懸念も強まっている。11月の中間選挙を控えて、トランプ氏は政権の実績づくりのためにも、アメリカ産の大豆やトウモロコシの輸出やボーイング社の航空機の購入を中国に陳情する立場となっている。
こうしたアメリカの「弱み」に付け込む形で、中国側が突き付けたのが台湾問題だ。アメリカは従来、台湾の独立について「支持しない」との立場を取ってきた。中国としては、さらに踏み込んで「反対する」「認めない」という見解を引き出し、台湾の孤立を図りたいのが本音だ。
首脳会談でトランプ氏は台湾問題でこれまでの立場を大きく変更することはなかったが、中国側は今回の会談をきっかけに、台湾問題でさらに攻勢を強めていくだろう。
そこで、日本である。台湾問題をめぐっては、第2次安倍晋三政権下(在任2012~20年)で成立した安全保障法制に基づき、台湾有事を想定した自衛隊とアメリカ軍による共同訓練が重ねられてきた。
中国軍も対抗する形で台湾周辺での大規模な軍事訓練を続けてきた。その一方で安倍氏以降、歴代の首相は「台湾は中国の一部」とする中国への配慮から台湾有事への具体的な言及は避けてきた。
■高市発言の大きすぎる余波
ところが、高市首相は25年11月の衆院予算委員会で立憲民主党(当時)の岡田克也氏の質問に対し、台湾有事の際、中国が「戦艦を使って武力行使も伴えば、存立危機事態になりうる」と答弁。台湾有事で自衛隊出動の可能性を示したもので、歴代の政府見解を踏み出す「慎重さを欠く不用意な発言」(自民党幹部)だった。
中国は激しく反発し、日本への観光自粛や日本のタレントによる公演の中止などが打ち出された。さらに高市政権について、防衛費増額や武器輸出の解禁などを指摘して「新型軍国主義」と批判。レアアースの対日輸出規制も示唆している。
高市首相の発言から半年が過ぎた。高市氏の発言なのだから、高市氏自身が収拾に動かなければならないが、その動きは見られない。この間、閣僚同士の接触もなく、日中関係は急速に冷え込んでいる。
一方で高市首相は26年3月の日米首脳会談で、トランプ大統領を「世界に平和と繁栄をもたらすはドナルド(トランプ大統領)だけだ」と持ち上げるなど、アメリカとの親密な関係構築に躍起となっている。
日本にとってアメリカは唯一の同盟関係、中国は最大の貿易相手国だ。日米同盟が強化に向けて進み、中国との対話は途絶えている中で、台湾問題でアメリカが中国に押し込まれようとしている。本来なら日本が米中の間に立って、緊張緩和に動くべき局面だが、高市首相の発言で動きが取れないのが実情だ。
習近平氏はトランプ氏の招待を受けて26年9月にアメリカを訪問・会談するのをはじめ、同年11月には中国・深で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議や、12月にアメリカ・マイアミで開催されるG20首脳会議でも米中首脳会談が想定される。
■米中接近という日本外交の試練
一連の会談で、中国側は台湾問題でさらに攻勢を続けるとみられる。経済や貿易のカードを使って、トランプ氏に秋波を送る反面、高市首相への批判はさらに強めるだろう。そのことで「日米分断」を図るのは間違いない。
高市首相は、中国との対話の糸口が見いだせない限り、トランプ大統領に対し「中国に近づきすぎないように」とすがりつくしかない。「同盟よりディール重視」のトランプ氏が、それをすんなりと受け入れるとは限らない。「日本頭越し」の米中接近は、日本外交にとって深刻な試練である。
高市首相は5月15日夜、米中首脳会談の帰途のトランプ大統領と電話で会談。「中国をめぐる諸課題を中心に意見交換した」という。ただ、電話会談は15分間で、首脳会談の中身について突っ込んだ意見交換ができたとは思えない。高市首相の台湾有事発言をめぐる事態の打開策が見えてきたわけでもない。
(星 浩:政治ジャーナリスト)
立憲都連会長選は「まさか」が現実に…蓮舫氏が地方議員に“撃沈”の原因と今後
立憲民主党東京都連の会長選挙が15日、投開票された。2017年発足の旧立憲時代を含めて初の選挙戦となったが、知名度抜群の蓮舫参院議員(58)が地方議員である川名雄児武蔵野市議(66)に敗北を喫した。
会長選では、都連所属の参院議員4人と地方議員132人、都内総支部の党員代表68人など計205人が投票。結果は川名市議の124票に対し、蓮舫氏81票と、43票もの大差がついた。推薦人集めの時点で、蓮舫氏は川名氏に水をあけられていたことから、日刊ゲンダイは〈蓮舫氏がまさかの落選危機〉(14日付号)と報じていたが、その通りの結果になった。
「今回は蓮舫さんが嫌われたというより、彼女と近い手塚仁雄・前都連幹事長と、都連事務方幹部で手塚さんの元秘書への反発が大きかった。手塚さんと元秘書は何事も自分たちの意向で勝手に決めてしまう。多くの都連所属議員が批判的です。また、『蓮舫=手塚』が地方議会でも中道改革連合への立憲と公明党の合流を進めようとしていることへの反発もあったようだ」(立憲関係者)
ただ、「手塚さんには他党との調整力があった」(都連関係者)との声も根強い。「川名さんに代わりが務まるかは微妙」(同前)だという。来春に統一地方選を控えるが、またぞろグズグズの結果になるのか。
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立憲民主党の今後に影響する選挙結果だとしたら…。今後の中道との関係も気になるところだが、【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。
新宿・歌舞伎町で4人が集団暴行され救急搬送 容疑者は逃走
16日午前3時40分ごろ、東京都新宿区歌舞伎町1の路上で、20~50代とみられる男性4人が10人くらいの集団に暴行されて救急搬送された。重軽傷を負ったとされるが、命に別条はないという。集団は複数台の車に分乗して逃走しており、警視庁が殺人未遂事件として行方を追っている。
新宿署によると、4人は数分間にわたり、鉄パイプのような棒で頭を殴られるなどの暴行を加えられたとみられ、血を流して路上に倒れていたという。目撃した人物の友人が110番して発覚した。
現場は西武新宿駅の東約200メートルの繁華街。【菅健吾】