「ルフィ」幹部、二審も懲役20年=広域強盗、小島被告の控訴棄却―東京高裁

フィリピンを拠点とした「ルフィ」と名乗る指示役らによる広域強盗事件で、強盗致傷ほう助などの罪に問われたグループ幹部小島智信被告(48)の控訴審判決が19日、東京高裁であった。辻川靖夫裁判長は懲役20年とした一審東京地裁判決を支持し、被告側控訴を棄却した。
弁護側は、被告が関与していない事件が量刑上考慮されたと主張したが、辻川裁判長は「起訴されていない犯罪事実を余罪として認定していない」と退けた。量刑が重過ぎるとの主張についても「被害内容や被告の役割を考慮すれば不当とは言えない」とした。
同グループの幹部では、強盗の指示役とされる藤田聖也被告(41)の初公判が来年1月に予定されている。リーダー格の渡辺優樹(41)、強盗の計画立案役とされる今村磨人(41)両被告の公判のめどは立っていない。
一、二審判決によると、小島被告は2022年10~12月、東京都稲城市などで発生した三つの強盗事件で、闇バイトで集めた実行役を紹介。19年にはグループによる複数の特殊詐欺事件で現金回収の指示役などを担った。 [時事通信社]

駅員が屋外に男性放置、通報せず 搬送後死亡、都営地下鉄大江戸線

東京都江東区の地下鉄清澄白河駅で11月、通路にうずくまっていた男性を都営地下鉄の駅員らが屋外に運び出し、警察や消防に通報しなかったことが19日、関係者への取材で分かった。駅員らが結果的に放置した形となり、男性は通行人の通報で医療機関に搬送され数日後に死亡した。警視庁が経緯を調べている。
関係者によると、男性は11月10日未明に都営大江戸線の改札を出て、出口に向かう通路にうずくまった。駅員と警備員は午前1時ごろ、男性を出口の外まで運びシャッターを閉めた。男性は午前5時前にシャッターが開いた際も出入り口付近に横たわっていた。午前5時過ぎ、通行人の通報で到着した救急隊に搬送された。
気象庁によると、同日午前1時の東京都心の気温は11.8度で、午前5時は11.3度。この時間帯に雨は観測されていない。
都営地下鉄を管轄する都交通局は「事実関係を含めて、警察による捜査中のためお答えできない」としている。

住宅で4人が血だらけ…母親と息子3人 全員が意識不明 東京・西東京市

19日夕方、東京・西東京市の住宅で4人が血だらけの状態で倒れているのが見つかり、いずれも意識不明の重体です。
捜査関係者によりますと、19日午後5時40分すぎ、西東京市北町の住宅でこの家に住む30代の母親と息子3人のあわせて4人が血だらけの状態で倒れているのが見つかりました。
息子は高校生と小学生2人とみられています。
この直前に、父親が帰宅したところ、自宅は施錠されチェーンがかかった状態で、中から物音がしたため110番通報し、駆けつけた警察官と自宅の中を確認したところ4人が倒れていて、血のついた刃物も見つかったということです。
4人はいずれも意識不明の重体で、首などに切り傷があるということです。
警視庁は、事件と無理心中、両方の可能性があるとみて捜査しています。

いじめで上級生に賠償命令、福岡 剣道部、顧問と学校も提訴

2021年に自殺した東海大付属福岡高(福岡県宗像市)の剣道部2年男子生徒=当時(17)=が、性的暴行を含むいじめを受けていたとして、母親が上級生に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は19日、165万円の支払いを命じた。3人と和解するなどし、1人だけが係争中だった。母親らは当時の顧問と学校側にも賠償を求め、この日新たに提訴した。
加藤聡裁判長は判決理由で「強制わいせつ行為は男子部員ほぼ全員の前で行われ、尊厳や性的羞恥心を大きく損なうものだった」と判断。「単なる遊びの一つとして受容していたとはおよそ考えがたい」として、不法行為ではないという上級生側の主張を退けた。

湿布、鼻炎薬に追加料金 OTC類似薬、自維合意

自民党の小林鷹之、日本維新の会の斎藤アレックス両政調会長は19日、国会内で会談し、市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」の患者負担見直しについて合意した。公的医療保険適用を維持したまま、追加負担として薬剤費の4分の1の「特別の料金」を求める。対象品目について斎藤氏は「湿布薬やアレルギー薬、胃腸薬が一定程度含まれる」と述べた。
政府関係者によると、一部の解熱剤や花粉症などの鼻炎薬も追加負担の対象となる見通し。政府は来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。
見直しは、医療保険からの給付費削減と、現役世代の保険料負担軽減を図るのが狙い。合意書では、約1100品目(77成分)を対象に、特別の料金を上乗せするとした。慢性疾患患者や低所得者などには負担を抑える配慮策を講じる。2026年度中に実施し、年約900億円の医療費削減を目指す。
具体的な品目は明らかになっていないが、負担増になる患者からは反発を招く可能性がある。合意書では、27年度以降に対象品目を拡大することや、負担割合の引き上げも検討するとした。

通風口からもSOSか 非常ボタンは電源入れれば正常に作動 サウナ施設関係者は取材に「遺族対応を優先」

サウナ室で夫婦が死亡した火事で、2人は閉じ込められたとみられています。当時、非常ボタンの電源はオフになっていましたが、その後の検証で、電源を入れれば正常に作動することがわかりました。
利用客2人が亡くなった“高級個室サウナ”。その関係者が、初めて日本テレビの取材に応じました。
施設の関係者
「弊社としては警察の方と何があったのかを調べている段階で、被害者遺族の対応を優先しております」
──施設を利用した方が2人亡くなっています。説明する責任があるのでは?
施設の関係者
「承知しております。被害者遺族の対応をしっかりしていった上で、メディアにも今後、対応していきます。遺族の対応が最優先で、今、話せることはないです」
亡くなった松田政也さんと、妻の陽子さん。サウナに閉じ込められたとみられています。高温の密室で、なんとか命を守ろうとした痕跡が、いくつも残っています。
2人は午前11時頃に入店。捜査関係者によると、2人はスマホなどは持ち込まず、広さ2.5畳ほどのサウナへ。設定温度は95℃。扉の木製のドアノブが外れ、閉じ込められたとみられます。
脱出を試みたのでしょうか。ガラスには手でたたいたような跡が残っていて、政也さんの両手には皮下出血があったそうです。
さらに、室内から焦げたタオルが見つかっていることから、サウナストーンをタオルにくるみ、ドアのガラスを割ろうとした可能性も。この時、サウナストーンに触れたタオルから出火し、火事が発生した可能性があります。
そして新たに、通風口の一部が壊れ、床に落ちていたことも判明。外に助けを求めようとしたとみられます。“95℃のサウナ”からの脱出は不可能、SOSも届かなかったとみられる2人。
どれくらいの時間、閉じ込められていたのかはわかっていませんが、通報は入店から約1時間後のことでした。
折り重なるように倒れていたという2人。妻の陽子さんを熱からかばおうとしたのでしょうか。政也さんの方がやけどが重く、肩から腰にかけて広い範囲にやけどの痕があったこともわかりました。
問題となっているのが、サウナにある非常ボタンです。2人は押したとみられますが…。
サウナのオーナー(任意の調べに対し)
「2年ほど前から電源を入れたことがない」
異常を知らせる受信盤の電源が入っておらず、当時、非常ボタンは作動しなかったことがわかっています。ただ、その後の警視庁による検証で、電源を入れると正常に作動することが確認されています。
非常ボタンの不備に、ドアノブの落下。施設の安全管理はどうなっていたのか?
記者
「施設内の設備に関して、受信盤はいつ頃から電源が入っていなかったのか? ドアノブは取り換えた? 業者に依頼をしたのか?」
施設の関係者
「今は答えられない」
警視庁は、業務上過失致死の疑いも視野に捜査しています。

統合中学の校名案「桜花」 特攻機名と重なり波紋 福岡・大牟田

2027年4月を予定する福岡県大牟田市立中2校の統合校名案が、桜の咲く土地柄にちなみ「桜花(おうか)」と決まった。しかし、市民団体などから「桜花は太平洋戦争中の特攻機名」として校名案に疑問の声が上がっている。
白光中(同市椿黒町)と甘木中(同市甘木)が統合される。両校長やPTAらでつくる学校再編協議会が9月に生徒や住民らから案を募り、寄せられた340件について議論と投票を重ねて決めた。当該校の生徒2人による案と言い、「桜のように生徒が個性を輝かせ、充実した学校生活を送ってほしい」と思いを込めた。現校名や地名と関連はない。12月22日の市教育委で審議され、2026年2月市議会で採決される予定。
兵器の桜花は太平洋戦争の戦局が悪化する中で考案された。爆弾に操縦席とロケットを付け、敵艦に近付くと母機から切り離し、体当たりを狙う生還を想定していない「人間爆弾」だ。出撃地だった鹿児島県鹿屋市の鹿屋航空基地史料館によると、戦争末期に55機が出撃し、母機などを含め450人が犠牲になった。敵艦に「命中」したのは1機だった。
校名案が報告された12月17日の大牟田市議会委員会では「生徒が純真に考えた」と賛成意見も出たが、「校名としてふさわしいか」と反対もあった。市民団体「大牟田の空襲を記録する会」など12団体も19日、「多くの若者が命を落とした兵器の名称」として市教委に再考を申し入れる。
学校再編協議会長を務める当該校の校長(57)は「選考過程で特攻機名と重なるという議論は出なかった。申し訳ないが、私も知らなかった。分かっていれば検討できたかもしれない」と話した。【降旗英峰】

《手当は1回1000円未満》「警告音が甲高く変わる」「撃たれたら、やられる」…空自幹部が告白する対中国“緊急発進”の知られざる実情

小泉進次郎防衛相は12月7日未明の記者会見で、中国軍の戦闘機が自衛隊機にレーダー照射を行ったと明らかにした。事件が起きたのは6日午後、沖縄本島南東の公海上空。那覇基地から緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊のF15に対し、中国軍の戦闘機J15が2回にわたって断続的にレーダー照射を行ったという。
那覇基地でF15に搭乗してスクランブルの任務に就いた経験がある空自幹部A氏は「中国側の行動には明らかな意図を感じます」と語る。
F15に対する断続的なレーダー照射
防衛省によれば、6日午後4時32分ごろから同35分ごろまでの約3分間、沖縄本島南東の公海上空で、中国海軍空母「遼寧」から発艦したJ15が、対領空侵犯措置を実施していたF15に対し、レーダー照射を断続的に行った。
さらに同日午後6時37分ごろから同7時8分ごろまでの約30分間、対領空侵犯措置を行っていた別のF15に対してレーダー照射を断続的に行った。遼寧は沖大東島(沖縄県)の西約270キロの西太平洋上を航行していた。複数の元空自幹部らは日本側の対応からみて、中国軍機が使ったレーダーは捜索用ではなく、火器管制用レーダーだとの見方を示す。
元幹部の一人B氏は「火器管制用レーダーはミサイルを電波で誘導する装置。照射はロックオンを意味し、拳銃の引き金に指をかける行為だ」と話す。
那覇基地でスクランブルの任務
A氏が那覇基地でスクランブルの任務にあたっていたのは、今から10年ほど前。急増するスクランブルに対応するため、1個飛行隊編成だった第83航空隊を2個飛行隊編成(約40機)に増強して第9航空団に再編した2016年前後のことだった。
同年度はスクランブルの発進回数が過去最多の1168回を記録した時期だった。中国軍機が対象のケースが851回と全体の7割を占め、地域別でも南西方面が最も多い803回だった。南西方面では、単純計算で1日に2回以上スクランブルをかけていた計算になる。
警戒待機と呼ばれるスクランブル任務にあたると24時間、滑走路脇の警戒待機所に詰める。当番にあたる隊員は4人。スクランブルは2機体制で行う。
スクランブルがかかると5分以内に飛び立つ2人は、脳血流低下によって視覚障害が起きるグレイアウトを防ぐための耐Gスーツを着用する。最初の2人にスクランブルが命じられると、残る2人が次のスクランブルに備えて耐Gスーツを着用する。1番手グループと2番手グループは約6時間おきに入れ替えられる。
A氏は「Gスーツは圧迫感があるので、装着しているだけでストレスになります」と話す。
「中国軍機が相手の時は心に余裕がありません」
警戒待機所では何をしているのか。A氏は「若いパイロットならフライトの勉強をしています。次のステップに進むための訓練のイメージアップです。中堅以上はパソコンで日常業務をこなしたり、テレビや漫画を見てリラックスしたりしています」と語る。
「でも、私の時代でも、待機に当たった日の7~8割は飛んでいました。だから、リラックスする暇もありませんでした。特に初めて待機の任務に就いた時は、食事も味がわからないくらい緊張した記憶があります」と話す。食事は待機所まで運んでもらえるが、食べている途中でスクランブルがかかり、箸やフォークを放りだして発進したことも何度もあるという。
那覇基地の場合、待機所を真ん中に挟んで、左右に格納庫が各2基配置してある。スクランブルになると電話とスピーカーで合図が来る。その瞬間、待機所のドアを開けて外に飛び出し、格納庫に走る。手前の格納庫まで15秒、奥の格納庫まで30秒とかからない。すぐに発進する。
A氏は「それでも、中国軍機が相手の時は心に余裕がありません」と話す。ロシア軍機の場合、日本列島を一周して沖縄方面に近づくといったパターンが多い。
「だから、あと何時間したら発進だという心の準備ができます。でも、中国軍機は大陸から上がった(発進した)としても、日本のADIZ(防空識別圏)にすぐ入って来ます」(A氏)
領空は日本の領土から12海里(約22.2キロ)の範囲までしかない。戦闘機ならわずか1分余で通過する距離だ。そのため、飛行プランが出されていない国籍不明機(アンノウン)がADIZに入った場合、空自は対領空侵犯措置を取る。
空母の航行位置は「日本の領空まで10分から15分で到達する距離」
今回、空母「遼寧」が航行していた位置は日本のADIZにあたる。A氏は「日本の領空まで10分から15分で到達する距離です。空母から中国軍機が発進した瞬間にスクランブルをかけたと思います」と語る。
速度も機動性も高い戦闘機であれば、すぐに対応しなければ手遅れになる。中国は事前に訓練を通告していたと主張するが、日本側は詳しい位置や高度を示すノータム(航空情報)はなかったとしている。ただ、中国の主張通りのノータムが出ていたとしても、空自がスクランブルをしない理由にはならない。
徳島文理大学教授を務める高橋孝途元海将補は「『ノータムがあれば、スクランブルをかけなくてもいい』ということになれば、相手が演習を偽装して突然、領空侵犯や武力攻撃に至るケースを防げない」と説明する。
スクランブルした2機のうち、1番機(リーダー機)に搭乗するのが編隊長。2番機がウイングマンで基本的にサポートに回る。A氏の場合、目視で数百メートルの距離まで接近した経験が何度もある。
「領空侵犯の恐れがあれば、国際緊急周波数を使って針路変更などを要請します。1番機が英語、2番機が対象国の言語で呼びかけます」(A氏)
A氏の経験から、ロシア機はほとんど事前に計画したとおり、まっすぐ飛ぶが、中国機は現場の判断も踏まえて飛行する傾向があるという。
警告音が甲高くなる火器管制用レーダー照射
レーダーが照射されるとF15のコックピットはどうなるのか。
A氏によれば、捜索用レーダーが照射された場合はピピピというそれほど高くない音で知らせてくるが、火器管制用レーダー、敵機によるミサイル発射の順に、警告音も甲高く、うるさくなる。A氏の場合、捜索用レーダーを照射された経験も何度もあるという。
「捜索用レーダーを当てられても、特段の驚きはないですね。日常茶飯事といった感覚です」(A氏)
そのうえで、A氏は「火器管制用レーダーが当てられると、いつもと音が違うので、まずは間違いじゃないかと思うでしょう。でも、それが30分も続くことはまずありえません。明らかに相手に意図があります」と語る。「相手機から距離を取りたいと思うでしょうが、これで撃たれたら、やられるという感覚になるでしょうね」。
A氏によれば、新しい戦闘機のレーダーは捜索用と火器管制用のモードの切り替えが複雑になっている。F15がロックオンを伝える警報音を出しても、相手機がロックオンをしていないケースもあり得る。防衛省が明確に「火器管制用レーダー」と断言しないのも、こうした技術的な背景が考えられるという。
ただ、A氏は「たとえ、ロックオンではなかったとしても、30分も続けること自体は嫌がらせ、圧力だと言えます。最初と2回目の照射に時間差があり、しかも、1回目は5分で2回目は30分です。少なくとも2回目の照射では、上級司令部からプレゼンスを示せといった指示があったのではないでしょうか」と語る。
A氏によれば、安全保障環境が緊迫している東シナ海で対領空侵犯措置を取る場合、天候が悪くない限り、レーダーをなるべく使わないようにする。使っても相手に当たらないよう、なるべく機首を相手機に向けない対応をするという。
暗黙のルール
空自には「同じパイロットのスクランブル発進は1日3回まで」という暗黙のルールがあるという。A氏も1日3回飛んだ経験がある。
「その日は結構きつかったです。1回のフライトが2時間半くらいですから、3回だと7時間半。コックピットにいること自体がストレスですし、そこにスクランブルの緊張が加わりますから」(A氏)。
それでも警戒待機の任務中は集中していたが、翌朝になって待機所を離れると疲れがどっと襲って来たという。
日本近海での中国軍空母の活動活発化…さらに緊張を強いられるスクランブルの質
防衛省によれば、2024年度のスクランブル発進回数は704回だった。最多だった2016年度よりも400回以上減った計算になる。
A氏は「スクランブルが減っただけで、来ている相手機の数は減っていないのが実情です。むしろ、ドローン(無人機)も加わり、数は増えているでしょう」と語る。
空自の戦力だけでは対応しきれないので、スクランブルする条件を厳しくして、なるべく絞って対応した結果なのだという。さらに、中国軍空母が日本近海での活動を活発化させているため、スクランブルの質がさらに緊張を強いられるものになっている。
防衛省によれば、遼寧は6日から12日にかけて、戦闘機やヘリによる発着艦をのべ260回繰り返したという。
A氏は「最初の4機がスクランブルで出た後、さらに必要になれば、他の戦闘機を振り向けます。今回も相当大変だったのではないでしょうか」と話す。A氏によれば、警戒待機をしても、通常の1000円にも満たない夜間勤務手当が出るだけだという。
A氏は「パイロットが毎月もらう航空手当に含まれているということなんでしょう」と語るが、一歩間違えれば武力行使に至る可能性もある任務としては安すぎる感が否めない。
(牧野 愛博)

〈赤坂・超高級サウナ2人死亡〉「夫婦には小さな子どもがいた…」電源が切れていた非常ボタン、夫は妻を覆うように倒れ火傷も…店の“関係先”には11月に業務停止命令も

〈〈赤坂・超高級サウナ2人死亡〉「非常ボタンを押した形跡もあった」外れたドアノブ…タレントが広告塔、月額39万コースも「シェフがつくる食事も飲み物も全て無料でした」〉から続く
東京・赤坂の高級個室サウナで12月15日、サウナ室内に閉じ込められた男女2人が死亡する火災事故が起きた。警視庁は店の管理に問題がなかったか、詳しく調べを進めている。出火原因はタオルがサウナストーンに触れたことで発火したとしてみられており、亡くなった夫婦には幼い子どもがいたという。サウナ店の経営者たちの横顔にも迫った。
〈画像〉地元も高校も同じ、やさしい仲の良い夫婦として知られていた亡くなった松田さん夫婦
タオルがサウナストーンに触れたことで発火
「サウナ歴が25年ということもあり、長い間プライベートサウナを作りたいという思いがありました」(サウナタイガー・運営会社前社長のA氏)
15日午後0時25分ごろ、プライベートサウナを提供する「サウナタイガー」の3階にある個室サウナで、「非常ベルが鳴っている」と119番通報があった。
駆けつけた消防隊員が個室サウナの入り口付近で、男女2人が倒れているのを発見した。女性が下になり、男性が覆いかぶさるように重なっていたという。死亡が確認されたのは、松田政也さん(36)と、妻でネイリストの陽子さん(37)の2人だった。
「亡くなった2人はサウナ室に閉じ込められた可能性が高く、ドアを開けるための木製の取手が内側と外側のいずれも外れていました。火元のサウナ室に設置された非常ボタンには押された形跡がありました。長時間閉じ込められたことからか、直接の死因とは関係ないのですが、二人の背中や肩などには火傷の痕もあったようです。
警視庁が16日、現場検証を行なうと、事務室に設置された非常ボタンの受信機の電源が入っていなかったことも判明しました。火災当時も電源ボタンが機能していなかったとみて捜査を進めています。また出火原因ですが、タオルがサウナストーンに触れたことで発火したとみられています」(社会部記者)
ずさんな管理状況がみえてきた「サウナタイガー」だが、経営者はどのような人物なのか。
「サウナタイガーは2022年8月にオープンし、月額で最大39万円のプランを用意し、食べ飲み放題のオールインクルーシブの店舗でした。開店当時はA社長のもとで、タレントを監修役に起用して運営されていました。ただ、2024年12月にAさんは代表を辞任。新たな社長としてBさんが就任しています」(サウナ業界関係者)
関係者によると、このA氏とB氏は現在もビジネスパートナーだという。
A氏が代表取締役社長を務め、B氏が社長室長を務める別会社のC社も存在している。C社は宝石などの訪問買い取り業者であるが、今年11月、強引な買い取りをしたとして消費者庁から9カ月の業務停止命令を受けていた。
クーリング・オフ期間などの告知をしなかったことも…
発表資料によると、消費者庁は11月27日、特定商取引法違反(訪問購入)の疑いで、C社に対し、9カ月間の業務停止命令を出している。
特定商取引法は、消費者が契約締結の意思がないことを示した後の再勧誘を禁じている。しかし、同社の従業員は、消費者宅を訪問した際に、消費者から「売るものはない」「売却するつもりはない」と明確に拒絶の意思表示を受けたにもかかわらず、勧誘を継続したという。
資料によれば、従業員は消費者に対し、
「イミテーションのアクセサリーとか、切れているネックレスとか、片方だけのピアスとかないですか」
「ネクタイピン1個でも、カフスボタン1個でもいいです」
などとしつこく勧誘し、売却を迫ったという事実が認定されていた。
そのほか、クーリング・オフ期間などの告知をしなかったことや、別の事例では同社の社員が「これだけお願いします。お願いします。お願いします」としつこく勧誘していたことも明らかになっている。
C社は集英社オンラインの取材に対して、B氏が社長室長であることを認めたものの、A氏については「Aは不在でいつもここにいるわけではございませんので。いつこちらにくるかは分かりませんし、取材はお断りしています」と回答を控えた。
地元も高校も専門学校も一緒で、生まれた病院も一緒だった夫婦
被害者の2人を知る関係者は突然の事故に肩を落とす。
「亡くなった2人とも優しく、夫婦の間には小さなお子さんもいらっしゃいます。旦那さんの松田政也さんは九州から東京に上京してきました。最初は渋谷で美容師をしており、そのときに奥さんと出会ったそうです。地元も高校も専門学校も一緒で、生まれた病院も一緒だったとか。
その後、フリーランスとして独立し、2022年に会社を設立した。白髪染めに定評のあるお店で、国内で数店舗を持つまで成長させました。サウナー(サウナ愛好家)でもあり、全国各地のサウナに行って“ととのって”いたと聞いています。実際に本人もサウナは仕事をするうえで欠かせない場所と話していました。知り合いの店が開業したら祝花は必ず送るなど、優しい人でした」
松田さんのSNSには夫婦の仲むつまじい様子や小さな我が子を抱く写真などが多数投稿されていた。警視庁は施設の従業員体制など詳しく調べを進めている。
※「集英社オンライン」では、今回の事件に関する情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

【実態】「ゾンビたばこ」FBS記者が業者を直撃 福岡で検挙者 依存しやすく死に至ることも【ケンミン特捜班】

皆さんの身近な驚きや疑問、不満や怒りをFBSが取材する「ケンミン特捜班」です。今回のテーマは「ゾンビたばこって何?」です。
最近、ニュースで耳にした人もいると思います。
「ゾンビたばこ」は、指定薬物が含まれる違法な危険ドラッグです。福岡でも「ゾンビたばこ」を所持したとして検挙者が出るなど、主に若者の間で広がりを見せつつあります。
一体なぜ「ゾンビたばこ」と呼ばれるのでしょうか。そして、福岡での広がりの現状を取材しました。
こちらは、中国のSNSに投稿された映像です。
小刻みに震え、歩いたり立ったりすることすらままならない人たち。「ゾンビたばこ」と呼ばれる危険ドラッグを摂取したとみられています。
「ゾンビたばこ」に含まれるのは「エトミデート」と呼ばれる成分です。「エトミデート」を過剰に摂取すると、けいれんや錯乱状態に陥るとされています。
海外では麻酔薬などとして使われていますが、日本国内では未承認です。ことし5月には指定薬物となり、所持や使用が禁止されました。
「ゾンビたばこ」は福岡でも広がっているのでしょうか。記者は街の若者たちに聞きました。
■大学生
Q.ゾンビたばこ、聞いたことはありますか?
「聞いたことはないです。興味本位では吸ったらどんな感じになるか気になる。気にはなるけれど、法に反するなら買いません。」
「聞いたことはあります。海外で、はやっていて、それが沖縄で流行しているみたいな感じで聞きました。自分の周りではないですね。」
警察庁によりますと、ことし10月までに「エトミデート」を所持・使用したとして検挙されたのは全国で18人、いずれも10代から30代の若者です。
多くが沖縄で検挙されていますが、福岡でも1人、「エトミデート」を所持したとして、すでに検挙されています。
11月13日には、沖縄県警が「ゾンビたばこ」の密売組織「69」のトップである21歳の男を逮捕しました。
男は逮捕直前、福岡市博多区に住んでいて、福岡でもSNSを通じて危険ドラッグを密売していた疑いがあるといいます。
今、福岡で「ゾンビたばこ」の売買は行われているのでしょうか。記者がSNSを調べました。
■山木康聖記者
「ありましたね。ここですが、#エトミデート。さらに#福岡も入っています。」
この投稿をしたアカウントには、秘匿性の高い別のメッセージアプリのアドレスが記されていました。
実態を探るため、記者であることを明かさずにアクセスしました。
■山木記者
「グループチャットにメニューの画像が入っていて、一番下、笑気麻酔と書かれています。」
1ミリリットル2万円で売られていた「笑気麻酔」とは一体、何なのか。
■業者からのメッセージ
『エトミデートが主成分のものになります』
福岡でも売れているのかについては。
■業者からのメッセージ
『結構売れてます!リピーターも多く、数的にも結構出てますね!』
この業者は、SNSのやりとりで「笑気麻酔」と称して、「エトミデート」つまり「ゾンビたばこ」を販売していると明かしました。
実は沖縄でも「笑気麻酔」の呼び名で使用が広がっていたといいます。
摘発された沖縄の組織と関わりがあるのでしょうか。秘匿性の高いアプリの通話機能を使って直撃しました。
『もしもし』
聞こえたのは男性の声です。
■山木康聖記者
「FBS福岡放送というテレビ局の者でして。」
『私たちそういうの受け付けていないので、お断りでお願いします』
■山木記者
「一つだけ聞いていいですか。」
『はい』
沖縄の密売組織「69」との関わりについて聞きました。
■山木記者
「そことの関わりはないのですか。」
『全く関わりはないですね』
■山木記者
「いつから福岡で売り始めたのですか。」
『全然まだまだ(最近)ですね』
しかし、「逮捕される恐怖はないのか」など、その後の質問には「答えられない」の一点張りで通話は切られました。
福岡でも存在が濃く疑われる密売ルート。
「ゾンビたばこ」は危険ドラッグの中でも依存に陥りやすいとして、専門家は警鐘を鳴らしています。
■湘南医療大学 薬学部・舩田正彦 教授
「エトミデートは作用する時間が短いので、繰り返し乱用してしまうことが懸念され、使用が止まらない依存に陥るケースがあり得ます。吸引で乱用されているので、高濃度を誤って吸ってしまうことも懸念される。大量に摂取した場合には、死に至るケースも報告されています。」
「ゾンビたばこ」について、福岡県警や九州厚生局麻薬取締部は「九州でも蔓延(まんえん)する恐れがある」として警戒を強めています。
所持や使用が禁止されているにもかかわらず、各地で密売の疑いが明らかになっている「ゾンビたばこ」。そもそも、業者側はどうやって入手しているのでしょうか。
ことし10月に大分県警などが検挙した事件では、インドからでした。12月10日に警視庁が発表した事件では、タイから「エトミデート」が密輸されたことが明らかになりました。
警視庁はさらに、密輸に暴力団が関与している疑いもあるとみて調べているということです。
※FBS福岡放送めんたいワイド2025年12月11日午後5時すぎ放送
FBSでは皆さんの驚きや疑問、不満や怒りを募集しています。「ケンミン特捜班」で検索してください。QRコードからも投稿できます。情報をお待ちしています。