高市首相、憲法改正に改めて意欲 憲法記念日に改憲、護憲各派が集会

憲法記念日の3日、東京都内では改憲派、護憲派、それぞれが集会を行いました。外国訪問中の高市首相は、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで「行うべきは決断のための議論」だとして、憲法改正に改めて意欲を示しました。
高市首相
「議論のための議論であってはなりません。私たち政治家が国民の皆様の負託に応えるために行うべきなのは、決断のための議論です」
高市首相は「憲法は、時代の要請に合わせて本来、定期的な更新が図られるべきだ」などと訴えました。集会には、連立を組む日本維新の会の議員や、野党から国民民主党の玉木代表らも出席しました。
共産党・田村委員長
「自民党などは『憲法に自衛隊を書き込むだけだ』と言いますが、書き込めばどうなるのか。最後の縛りとも言える海外派遣を阻止する力は打ち破られてしまうのではないでしょうか」
一方、憲法改正に反対する集会には複数の野党幹部が参加し、「憲法9条が日本が戦争をするのを具体的に止めている」などと訴えました。
高市首相は、来年春までに憲法改正の発議にメドをつけることに意欲を示していて、国会では憲法審査会で改正に向けた論点の絞り込みなど議論が加速しています。

「好戦的だ」 陸自部隊のロゴに批判続出 隊員が生成AIで作成

陸上自衛隊の第1師団第1普通科連隊(東京都練馬区)が公式X(ツイッター)で部隊の新しいロゴマークを公開したところ、「好戦的」などとする批判がインターネット上で続出。連隊は公開から3日で使用を中止した。
陸自や関係者によると、部隊のロゴマークは隊員の団結心を高めるために隊のTシャツに付けるなど、主に内部で使われる。今回問題になったのは第1普通科連隊の傘下にある第4中隊のもので、4月29日に公開された。
迷彩服を着用したゾウが小銃を手にしたデザインで、背景や左目に青い炎が浮かんでいる。関係者によると、ゾウは部隊の象徴とされ、青はシンボルカラー。小銃は歩兵部隊であることを意味しているという。
「著作権侵害では?」指摘も
ゾウの左胸に人間の頭蓋(ずがい)骨が描かれている点もあり、ネット上では「好戦的」などと批判されている。
「頭蓋骨は生きていらした方の亡骸(なきがら)だ。犠牲者や被災者への敬意を欠いている」
「人殺しのための軍隊みたいなロゴはやめてください。自衛隊の優しかった印象が地に落ちた」
「自衛隊の皆さんには感謝と敬意を持っているが、驚いた。こんな好戦的なロゴになる雰囲気が蔓延(まんえん)しているのか」
――などと厳しい意見が並ぶ。
また、タイの国境警備警察に関連したとみられるロゴマークと酷似していて、「著作権を侵害しているのでは」との指摘もあった。
陸自によると、第4中隊は2002年からゾウのロゴマークを使っていたが、長く使用していたことから「中隊の団結や士気、帰属意識の高揚」を目的に今回のロゴマークに変更した。
チャットGPTで作成
デザインは中隊長や隊員らの意見を踏まえて、隊員が生成人工知能(AI)「チャットGPT」で作成。AIに「ゾウ」「マンモス」「かっこいい」「青い炎」「擬人化」「自衛隊」といったキーワードを入力してデザインするよう指示したという。
できあがったロゴマークは中隊長が了承し、Xでの発信は第1普通科連隊長が了承したという。
連隊は3日までにロゴマークの投稿を削除。2日付の投稿では「国民の皆様に、より適切に部隊をご理解いただき、親しみをもっていただくといった観点も重視すべき」だとして使用を中止すると明らかにした。
陸自は「デザイン全体を総合的に見直した結果、国民の皆様からの受け止めについて想像が足りず、積極的に部外発信をするものではなかったと認識した」と説明した。
著作権侵害との指摘については「現時点で(被害を訴えるような)訴状は届いていないものと承知している。仮に著作者が著作権の侵害を申し立て、訴訟となった場合は、訴状が届いた時点で内容について関係機関と検討の上、適切に対応する」としている。作成の際に模倣したのか、意図とは別にAIが勝手に収集したのかなどについては明らかにしなかった。
自衛隊関係者は「部隊のロゴマークは、隊員の団結や士気高揚など内向きの意味合いが強いが、自分の部隊以外の人たちに見られることを前提に、万人から理解されるものが望ましい」と話した。【宮城裕也】

「レースコース内に人が浮いている」鳴門競艇場内に60代男性とみられる遺体見つかる…事故・事件の両面で捜査 徳島・鳴門市

5月3日朝、徳島県鳴門市にある鳴門競艇場内で男性の遺体が見つかりました。警察は事故と事件の両面で捜査しています。
3日午前7時36分ごろ、鳴門市撫養町大桑島にある鳴門競艇場の職員から「レースコース内に人が浮いている」と警察に通報がありました。
警察によりますと、競艇場にあるレースコース内に男性の遺体が見つかったということです。
持ち物から60代の男性とみられるということですが、身元については現在、警察が確認を進めています。
男性の額にすり傷がありましたが、そのほか目立った外傷はないということです。警察は事故と事件の両面で捜査しています。
この影響で、ボートレース鳴門ではレース時間の変更が出ています。

岩場に倒れている男性発見も死亡確認「のりを採りに行った夫が戻ってこない」妻から通報 えりも町

北海道えりも町の襟裳岬付近で、2026年5月3日、岩のり採りに出かけたまま行方不明となっていた男性が発見され、その後死亡が確認されました。
死亡が確認されたのは、えりも町の漁師、吉井伸吾さん61歳です。
警察によりますと、吉井さんは3日午前9時半ごろ車で妻と一緒にえりも岬付近の岩場を訪れ、妻と別れて一人で岩のり採りに向かいました。
その後、2時間が経っても吉井さんが車に戻ってこないことを心配した妻が、午後0時半前に「のりを採りに行った夫が戻ってこない」と110番通報したということです。
警察や消防が捜索し、通報からおよそ2時間後に道警のヘリコプターが、岩場にうつ伏せの状態で倒れている吉井さんを発見。
吉井さんは救助され病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。
警察が当時の状況や死因などを調べています。

猪苗代湖で水上バイク転覆、10~20歳代の男性2人が心肺停止で搬送…もう一人は無事

3日午後1時45分頃、福島県会津若松市の猪苗代湖で、「水上バイクが転覆している」と近くにいた人から110番があった。
会津若松署や消防によると、水上バイクに乗っていた20歳代と10歳代の男性2人が心肺停止の状態で市内の病院に搬送された。
1台の水上バイクに3人が乗っていたとみられ、もう1人の10歳代男性は、近くにいた人に助けられて無事だった。
県警は現場の状況から水上バイクの単独事故とみて調べている。

高市首相がオーストラリア到着、あすアルバニージー首相と会談 エネルギーの円滑な相互流通へ共同声明まとめる見通し

高市首相は、今回の海外訪問2か国目となるオーストラリアに到着しました。4日、アルバニージー首相と会談し、エネルギーの円滑な相互流通へ共同声明をまとめる見通しです。
高市首相は3日夜、オーストラリアの首都キャンベラに到着しました。4日、アルバニージー首相との首脳会談を行います。
日本にとってオーストラリアは、LNG(=液化天然ガス)の最大の輸入先です。
一方で日本は軽油などの石油製品を輸出していることから、会談では、中東情勢もふまえて、両国がエネルギーの円滑な相互流通を図ることなどを確認する共同声明をまとめる見通しです。
また、重要鉱物の供給網強化に向けた協力も確認する見通しで、日本企業が関わるレアアースなどの開発案件を両政府が優先事業として指定することも検討しています。

アフリカと「共に未来切り開く」 茂木外相がケニアで演説

【ナイロビ共同】茂木敏充外相は3日(日本時間同)、訪問先のケニアで演説し「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の進化と対アフリカ外交に関して見解を示した。従来取り組んできた自由貿易や投資のルール整備に加え、平和構築や繁栄の機会を提供すると強調。国際情勢が厳しさを増す中で「共に未来を切り開く」と表明した。
演説は2016年に日本が主導するアフリカ開発会議(TICAD)がケニアで開かれた際、当時の安倍晋三首相がFOIPを初めて提唱したことを踏まえて行った。
茂木氏は、平和構築のため、3月に外務省に新設した「国際和平調停ユニット」を活用して紛争の予防や早期収束への関与を強化すると主張した。

「犯罪被害にあったとき、あなたの会社は休めますか?」有給を使い果たし退職するケースも…企業の休暇制度導入はわずか1.4%

犯罪被害にあったとき、あなたの会社は守ってくれますか―「被害回復のための休暇制度」が問いかけるもの
犯罪や事故はある日突然、自分にまったく非が無くても起こりえる。日常が一瞬で壊され、その瞬間から「犯罪被害者」と呼ばれる。
ニュースの中の遠い出来事のように思えても、いつ自分や家族、大切な人がその立場になるか分からない。
被害者本人はもちろん、その家族もまた心身を傷つけられ、日常生活は一変する。警察への事情聴取、裁判への出廷、そして傷ついた体と心を癒やすための通院…これらはすべて「平日の昼間」に集中しがちだ。
しかし多くの場合、職場にはそれに対応した休暇制度がない。有給休暇を使い果たし、やがて「辞めざるを得ない」状況に追い込まれる被害者が少なくない。こうした現実に目を向け、企業に「犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度」の導入を呼びかける動きがある。
「裁判員には休暇があるのに、被害者にはない」
「裁判員には休暇があるのに、被害者には制度がない。裁判は平日に行われますから、被害者は仕事を休まなければなりません。でも、その根拠となる休暇制度がほとんどの会社に存在しないんです」
かごしま犯罪被害者支援センターの永家南州男事務局長は、被害者が直面する現実をこう語る。
被害者が必要とする「時間」は多岐にわたる。事件直後の警察の聴取などへの対応、けがをしていた場合は医療機関での診察、弁護士との打ち合わせ、裁判への出廷・傍聴。犯罪被害によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的ダメージは、その治療が長期にわたることも珍しくない。
「有給休暇で対応できる」と思っていると落とし穴がある。
有給休暇はあっという間になくなる現実
裁判だけでも年に10回以上行われる場合もあり、有給を使い果たしたあと、継続して働くことが困難になることもあるという。
「一度回復したように見えても、裁判で加害者と対面することで再び状態が悪化し、また病院に行かなければならなくなる。そのたびに休暇を取れる仕組みがなければ、被害者は居場所を失っていきます」と永家氏は話す。
導入率は1.4% 認知度9.6% 裁判員の休暇制度は50%なのに…
「犯罪被害者等基本法」では、国や自治体などが講ずべき基本的施策の一つとして「雇用の安定」を明記している。
厚生労働省も、リーフレットやポスターを作成し、企業などに「犯罪被害者等の被害回復のための休暇制度」について啓発を進めている。
しかし現実には、こうした休暇制度を設けている企業は少ない。
国によると、令和5年度時点で、国内企業の導入率はわずか約1.4% にとどまっている。企業の認知度も、令和6年度時点で9.6%だ。
裁判員の休暇制度の導入が約50%となっているのに比べ、その低さが際立つ。
永家氏は「鹿児島でも被害者等のための休暇制度がある企業はゼロだと思います」と言う。
実際に支援の現場では、被害者が有給休暇を使い果たした後に欠勤せざるを得なくなり、やがて退職するケースが「年に複数回」起きているという。
「子どもが被害にあい、親も出勤できなくなる」
見落とされがちなのが、被害者「本人」だけでなく家族もまた休暇を必要とするケースだ。永家氏は特に、子どもが性犯罪被害にあった親の状況を強調する。
「子どもが被害にあうと、母親のほうも大きく傷つくことが多いんです。守れなかった、気づかなかったという自責の念で、母親自身も仕事に行けなくなります。仕事をしている間に子どもがまた被害に遭うのではないかという不安も出てくる。そうなると、もう仕事どころではないわけです」
被害者やその家族が「仕事を休める根拠」が職場に存在しないと、精神的プレッシャーはさらに重くなる。
もちろん会社側も被害にあった当初は理解を示すが、聴取や裁判、体調不良などで休みが重なってくると、面と向かっては言わないものの次第に「また休むのか」という空気になるケースも少なくないという。
「申し訳ないという気持ちを抱えながら休み続けるうちに、会社側の空気が変わっていくのを被害者は敏感に感じ取る。そして、もう辞めるしかないという決断に至ってしまう」と、永家氏はこの問題の根深さを指摘する。
ちなみに厚生労働省によると、裁判員の休暇制度では、導入している企業のうち、約7割が「有給」として扱い、約9割が取得可能な日数に上限を設けていない。
「いつ自分がその立場になるか分からない」―導入企業が示す姿勢
こうした現状に対し、すでに制度を導入している企業もある。いずれも「多くの従業員が利用することは想定していないが、だからこそ導入しやすい」という共通した認識のもとで動いている。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」(https://work-holiday.mhlw.go.jp/)では、大手コンサルティング企業と地方企業の2社の事例が動画で紹介されている。
■デロイト トーマツの事例(犯罪被害回復休暇)
大手コンサルティング企業のデロイト トーマツは、2016年に制度を導入。「多くの方の利用が想定されなくても、率先して制度を作れば、いざという時に従業員を守る姿勢を示せ、従業員に安心感を持って働いてもらえる」との考えからスタートした。
本人または家族が被害に遭った場合、年間10日(同一事由につき最大3回(最大30日))の無給休暇が取得可能だ。
対象犯罪を厳密に規定せず柔軟に対応するほか、近年はDV(ドメスティック・バイオレンス)被害支援も対象に加え、専門機関と連携して会社が個人の相談内容を把握しない厳格なプライバシー保護体制を敷いている。
■株式会社オガワエコノスの事例(災害・犯罪被害支援制度休暇)
オガワエコノス(本社・広島県)は、廃棄物処理やリサイクルなどを展開する企業。西日本豪雨を機に導入した災害用の休暇制度に、犯罪被害も追加する形で整備した。
最大の特徴は「柔軟性」。「取得要件を明確にしすぎると使えない制度になる」とし、取得事由や有給での付与日数(原則必要日数)を個別ケースごとに判断する。
情報共有も所属長や人事など最小限に留め、証明書類の提出要件も実態に応じて免除するなど、被害者側の立場に立った素早い初動を優先している。
同社の担当者は、被害にあった社員への支援についてこう語る。「一番心配しているのが家族のこと、おそらくそれだけでもういっぱいのはず。次に心配になるのが仕事のこと。お客様との約束、仲間や会社に迷惑をかける心苦しさ。仕事の心配をみんなで支援することが本当の優しさだと思います」
実際に制度を利用した社員からは「仕事の心配をしなくていいように対応してもらったおかげで仕事を続けることができた」との声が寄せられているという。
「仕事が続けられなくなれば転職するしかないが、体調が悪ければ転職すらできない」
厚生労働省は、犯罪被害者等の休暇を企業が導入する場合、以下の3つの方向性を提示している。
①「既存制度の活用」 病気休暇や裁判員休暇など、既存の特別休暇制度に犯罪被害者等を対象として明示する
②「社内周知」 休暇制度を新設しなくても、必要な休暇が取得可能であることを従業員に周知する
③「新制度の創設」 特別な休暇制度の一つとして「犯罪被害者等休暇制度」を新たに創設する
永家氏は、①や②でも意義は大きいと評価しつつも、被害者の人生への実効性を持たせるためには③の制度の創設が、最も価値があると指摘する。
「仕事が続けられなくなれば転職するしかないが、体調が悪ければ転職すらできない。貯蓄を切り崩しながら、医療費もかさんでいく。休暇制度だけですべてが解決するわけではありませんが、被害者の休みが制度としてあれば…と感じることはあります」(永家氏)
制度の設計で押さえるべきポイント
厚生労働省が令和8年3月に作成したリーフレットは、導入にあたって検討すべき事項を具体的に示している。就業規則に盛り込む際のポイントとしては、

・制度の名称、

・対象とする犯罪被害の範囲、

・対象者の範囲(本人のみか家族等を含むか)、

・休暇の付与日数、時間単位の取得の可否、

・有給・無給の別、

・証明書類の要否とプライバシー保護の方法

などが挙げられる。
また、永家氏が指摘するように、既存の傷病休暇で対応しようとする考え方もあるが、「犯罪被害者」という文言を就業規則に明記することには別の意味がある。
「制度の中に文字として入ることで、社員全員がいつ自分がその立場になるかわからない、という意識の醸成につながる。会社全体の理解が変わっていく可能性がある」というのが永家氏の見立てだ。
「いざというときに会社が守る」
犯罪被害者等のための休暇制度は、法律上の義務ではなく、企業が任意で設けられる「特別休暇」だ。行政が法律でしばるものではなく、経営者の判断一つで導入できるという性格を持つ。
制度を作り、運用する中で課題が見えてきたら見直すやり方もある。最初の一歩は、「万が一のとき、うちの会社は従業員を守れるか」という問いを、経営者と従業員が一緒に立てることから始まる。
また、専用の休暇制度や規定が未整備な段階であっても、社内広報などを通じて「犯罪被害にあった従業員は、休暇の取得が可能」と周知するだけでも、何かあった際に会社に相談できるという安心感につながる。
犯罪はいつ、誰の身に降りかかるかわからない。そのとき「制度もあるから安心して休んでいいよ」と言える職場が、一つでも増えることが社会全体の安心につながっていく。

ハトやカラスに餌やり、市の中止命令にも応じない人物を動物愛護法違反容疑で書類送検…住民から苦情相次ぐ

大阪市住吉区内の路上で市の中止命令に違反してハトやカラスへの餌やりを続けたとして、大阪府警住吉署が餌やりを行った人物を動物愛護法違反容疑で書類送検したことがわかった。大阪市が4月30日、明らかにした。
住吉区のJR我孫子町駅や大阪メトロ長居駅の周辺では、深夜にハトやカラスへの餌やりで生活環境被害が生じているとの苦情が周辺住民から相次いでいた。市は餌やりをしている人物を特定し、2024年4月に動物愛護法に基づき餌やりの中止を命じる行政処分を出していた。
市によると、行政処分後の24年11~12月、市職員が3回にわたりこの人物が餌やりをしているのを確認。市は中止命令に違反したとして住吉署に告発していた。同署によると、容疑を認めているという。
動物愛護法では、動物への餌やりや給水によって生活環境が損なわれた場合、都道府県知事や政令指定都市の市長が必要な措置を命ずることができると定められている。

「賠償金を稼ぐため」執行猶予中の男が”182回”の無免許運転《4歳女児タイヤ直撃事故》なぜ?裁判で明らかになった理由「肉体労働しかできず」と涙ながらに訴えるも、父親は「厳しい判断を望む」検察は1年6か月求刑【裁判傍聴記】

2025年、軽トラックを無免許で運転した罪に問われた52歳の男の初公判が4月22日開かれ、男は起訴内容を認めました。 男は無免許運転以前の2023年、運転していた不正改造車からタイヤが脱落し、当時4歳の女の子に直撃する事故を起こして執行猶予中でした。
なぜ、被告の男は無免許運転をしたのか。裁判で明らかになったのは、180回以上無免許運転を繰り返していた常習的な実態でした。
なぜ無免許運転?52歳の被告が裁判で語った理由
若本豊嗣被告(52)は、2025年11月から12月にかけて、札幌や小樽市内で軽トラックを無免許の状態で複数回、運転した罪に問われています。
なぜ無免許運転をしたのか…。それは2023年11月のある事故がきっかけでした。
若本被告は2023年11月、札幌市西区で自ら改造した車を運転中、外れたタイヤが当時4歳の女の子に直撃する事故を起こしました。 女の子は、事故から約2年半が経過した現在も意識がないままです。
この事故を巡り、若本被告は免許取り消し処分になり、過失運転傷害の罪などに問われた裁判では、札幌地裁は懲役3年・執行猶予5年の有罪判決となっていました。
若本被告は無免許運転をした理由について、裁判の中で「被害者の賠償金を稼ぐため」と話しました。
無免許運転の回数は180回以上 裁判中にも…
裁判の中で明らかになったのは、若本被告が無免許運転を行った回数です。
検察の冒頭陳述によると、その数は少なくとも182回にのぼることがわかりました。
さらに、新たな事実も判明しました。
若本被告は、タイヤ脱落事故を起こして免許取り消し処分となった後、前回の刑事裁判が始まる前から無免許運転を繰り返していたというのです。
このことについて、若本被告は被告人質問で検察から厳しい追及を受けました。
――前回の裁判から無免許運転していて、なぜ運転しないと言えた?
・・・すみません。
――じきに無免許運転がバレると思わなかったのか?
執行猶予をもらって、(無免許運転)してしまうのはとんでもないこと、悪いこととわかっていたが、心の中で葛藤した。仕事に行くために(運転)しないとダメだということと葛藤したが、当時してしまった。
――(今後)公道では運転しない?
――前回の裁判でも、そう言ったよね?
そう思っていたが、当時は稼げなくて…
過去に2回も 常習的な無免許運転
被告人質問では、若本被告が1994年に人身事故、2016年と2017年に無免許運転をしていたことが明らかになり、今回で3回目の無免許運転だったことが検察側の証人尋問でわかりました。
――ここまで事故や違反を繰り返して、許されないと思わない?
交通法規などを守ろうと思っていた時に、自分の車ではない車の運転を頼まれ、軽視しているとかではなかった。規則を守ろうとしていた中で、大型特殊を取った。
――その中で無免許運転していたんですよね?ほかの人と感覚がずれている自覚がありますか?
・・・。ずれていたと思います。
――交通法規を改めないのはなぜ?
生き方や考え方、相談できる人がいなかった。
――これまでは罰金のみで、刑務所に入っていないから甘く考えていたのでは?
それはないと思います。
――執行猶予の意味は?どう認識していますか?
・・・。判決を受けて、まじめに生活して、こんなことせず・・・。
数秒間の沈黙の後、涙ながらに言葉を絞り出すように語っていましたが、最後まで自分の言葉で話すことができませんでした。
「肉体労働でしか稼げなく…」
若本被告への質問は、弁護側からも行われました。
――自宅から職場まで通うのに無免許運転しましたか?
はい、その通りです。
――無免許運転の動機は前の事故の被害者のために賠償金を稼ぐため?
――無免許運転せずに稼ぐのは無理だったのか
当時、あまり冷静に考えられず、車の持ち主も責任を取ろうとしないので、1人で何とか被害者への賠償金を支払いたく、冷静な判断ができなかった。
――車を運転する以外の仕事はできなかったのですか?
そんなに学がなく、肉体労働でしか稼げなく、そうなってしまいました。
――冷静になり、無免許運転によって、事故の賠償を受けられない人がさらに増えるかもしれないと考えなかったのですか?
目先のことだけ考えて正しい判断ができず、逮捕されて冷静になって気づいた。事故が起きたら被害者を増やすところでした。
――自動車の仕事で今後は運転する?
社長と話して、一般公道を走らず、現場内の重機などオペレーションの仕事があると言われ、そういうふうにしていく。
――(今後)公道を運転しない理由は?
車を運転するのか、信じてもらえないかもしれないが、失うことが大きすぎて運転怖くなったので、二度とこういうことが起きないように公道の運転せず被害者に償いたい
裁判長からも質問「今後、公道の運転免許取得は?」
若本被告への質問は札幌の地裁の裁判長からもありました。
――無免許運転したのは、仕事以外に遊びとかはない?
ないです。
――ダメなことだとわかっていたが、免許を取ろうとしてた?
大型特殊免許を取り、大型二種の仮免に合格していた。働いて賠償していこうと思ったが、予定よりも早く仕事が始まってこの結果に。
――今後、公道の運転免許は取得しない?
裁判長から「最後に何か言いたいことはないか」と聞かれると、若本被告はこう述べました。
「これまでの自分の犯したことの責任、支えてくれた人を裏切り深く反省しています。今後は償い、更生し、賠償し続け、社会の役に立つ人間になりたい。申し訳ございません」
「寛大な判決をお願いしたい」若本被告への求刑は?
検察側は、「複数回、自宅と職場までの往復は相当な長距離にあたり、交通法規を軽視ないし無視していることが明らかである」と指摘。
若本被告に拘禁刑1年6か月を求刑しました。
一方で、弁護側も「寛大な判決をお願いしたい」と述べ、裁判は即日結審しました。
意識不明の女児の父親がコメント
タイヤが直撃した女の子の父親は、若本被告の裁判を受けて、「思っていたよりも無免許運転の回数が多い」と驚いたといいます。
執行猶予中の無免許運転については「わかっていてやっているし、怖くて運転できないと前の裁判でも話していたにもかかわらず(運転を)やっているのはそれくらい軽いことに見える。厳しい判断を望む。罰を受けるべき罪の重さを認識してほしい」と話しています。
判決は5月8日に言い渡されます。