「反トランプ」が再び息を吹き返すのか。4日に投開票された3つの米首長選で民主党候補3人が相次いで勝利。それでもトランプ米大統領は「歴代大統領で最高」と自画自賛してやまないが、支持率下落に苦しんでいる。今のところ「我が世の春」を謳歌する高市首相にとっても、トランプ凋落は対岸の火事ではない。
米民主党は今回、南部バージニア州と東部ニュージャージー州の知事選、そしてニューヨーク(NY)市長選を制した。とりわけ新NY市長のゾーラン・マムダニ氏(34)の注目度は高い。富裕層への増税を原資に物価高や家賃高騰に取り組む政策を掲げ、無名の存在ながらも支持を集めてスターダムにのし上がった。
「初のイスラム教徒」「初の南アジア系」「初のミレニアル世代」と初めて尽くしのマムダニ市長誕生に、トランプ大統領は5日、南部フロリダ州マイアミのイベントで「民主党は共産主義者をこの国最大の都市の市長にした」などと演説。反トランプの「マムダニ旋風」を警戒している。
「NY市内のワンルームがひと月約60万円と高騰する中、マムダニ氏が掲げた家賃の値上げ凍結や市バス無料化など、生活に密着した政策が刺さったのでしょう。どこまで実現可能かは不透明ですが、インフレに苦しむ貧困層を切って捨てるトランプ政権下では、いっそう希望として映ったはずです」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた最新の各種世論調査の平均(10月22日~11月5日)によると、トランプ政権の支持率は43.3%、不支持率は54.5%。支持率から不支持率を引いた差は第2次政権発足以降、最も大きい。
特にインフレ対策への評価は散々で、支持35.7%に対して不支持は61%。米NBCが2日に公表した世論調査でも、「トランプ大統領が期待に応えていない施策」について6割超が「インフレ」「生活費」を挙げた。
実質賃金は9カ月連続マイナスに
翻って、高市内閣はどうか。発足間もない“ご祝儀”も手伝って、支持率は軒並み6~7割台の高水準だが、肝心の物価高対策の目玉は「ガソリン暫定税率の廃止」。しかも財源論は先送りで何ともおぼつかない。
「暮らしの不安を希望に変える」と繰り返す割に、不安の大本であるインフレの抑制については「デフレではなくなったと安心するのは早い」と腰が重い。厚労省がきのう発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、実質賃金は前年同月比1.4%減。賃金の上昇が物価の伸びに追いつかず、9カ月連続でマイナスとなった。いつまで経っても「賃金・物価の好循環」の兆しは見えず、庶民生活は疲弊するばかりだ。
「外交にせよ経済政策にせよ、高市首相は『格好』だけです。トランプ大統領との日米首脳会談における蜜月アピールや『日米黄金時代』という大げさな文言に象徴されるように中身がない。表層的な評価だけで期待が膨らんでいるように見えます」(春名幹男氏)
高市内閣にインフレを抑制する気はない。物価高対策に膨らんだ有権者の期待がしぼむとき、トランプ大統領と同じく支持率下落に直面するに違いない。
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高市政権はトランプ政権に隷従するばかりだが、米国の態度や政策はそうとは限らないのだ。関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」
途方もない時間が経過しても、遺族の執念の火が消えることはなかった。そこに加わった刑事の情熱が、長らく「未解決」として扱われてきた事件に大きな転機をもたらした──。
1999年11月13日に愛知県名古屋市西区のアパートで発生した主婦殺害事件の事態が急転したのは、今年10月31日だった。高羽奈美子さん(享年32)を殺害した疑いで、安福久美子容疑者(69才)が逮捕された。
奈美子さんが襲われたのは、自宅アパートの玄関付近。しかし発見されたとき、奈美子さんは玄関から続く廊下を進んだリビングの近くで倒れていたという。わずか数m先の居間の椅子には、2才になる長男が座っていた。最後の力を振り絞って、長男の元へと這っていったのだろうか。奈美子さんの夫・高羽悟さんが話す。
「できるなら、生きて育児をちゃんとさせてあげたかった。息子には本当に愛情を注いでいましたから……」
長男の誕生から、奈美子さんがつけていた育児日記がある。
《なんてあいきょうのある子なんでしょ。超プリティ》
《乳離れ…昼間はほとんど飲まず ちと悲しい》
《夜はぐーっすりよく寝てくれて助かる。(中略)よく遊ぶしよく声をだして笑ったり、そしてよく飲んでたくさん寝る…手のかからない良い子》
母親としての喜びと不安、子供の成長への驚きが、奈美子さんの愛情とともに綴られている。しかし、その日々はわずか2年で終わってしまった。
安福容疑者の凶行は悟さんの心にも長男の心にも、大きな爪痕を残した。事件の約1年後に撮影された長男の映像がある。そこで彼はこう語っていた。
「知らないおばちゃんとケンカして死んだの。ケンカして、ママが死んだ。ママが死んじゃった」
悟さんが続ける。
「犯人は室内に入ってきていませんし、家の間取りからして、息子は犯人を見ていません。それでも母親がすぐ近くで殺害されたことのショックは大きかったのでしょう。息子本人も大きくなってから”フラッシュバックが出るんじゃないかと心配になる”と話したこともありました」(悟さん)
悟さんは、犯人逮捕に向けた地道な活動を続けた。事件現場となった部屋を借り続け、総費用は2200万円ほどになるという。
転機は昨年4月。捜査班に、新しく刑事が配属されたのだ。
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も
10月27日、天皇陛下はアメリカのトランプ大統領との会見に臨んでいた。約6年ぶりの面会は和やかに進み、トランプ大統領が陛下を「グレイトマン」と持ち上げるシーンも盛んに報じられたが、その水面下では雅子さまも青ざめる取材トラブルが発生していたという。
「トランプ大統領の皇居・御所の滞在は30分程度と短いものでしたが、その取材経緯を巡ってアメリカ側から猛クレームがあり、外務省としても対応に苦慮しているのです。
あの日、トランプ大統領を取材するために、御所には日本メディアの記者が多く詰めかけていました。一方で、アメリカの記者たちは御所内ということもあり、帯同を許されていなかったのです。まず、この”格差”に対し、アメリカ側から『聞いていない!』という様子で不快感が示されたそうです」(自民党関係者)
大統領専用車をスマホで自撮り
そうした不穏な雰囲気のなか、事態を悪化させたのが、一部の記者による行為だった。
「トランプ大統領が到着した際、多くの記者がスマートフォンを手にしており、写真を撮ったり、メモをしたりしていたそうです。その後、トランプ大統領と陛下が御所内で懇談されている間、その場に待機していた一部の記者が、大統領の専用車両、通称『ビースト』と一緒に自撮りをし始めたのだとか。
ビーストは、厳重なセキュリティーが施された機密の塊です。しかも、この後も大統領が使用するのですから、部外者を誰も近づけたくないはず。それを間近で、しかも勝手に撮影したのですから、ただでさえピリピリしている大統領の警備スタッフが激怒した。
一般人が入り込むことのない御所内で、沿道の見物人のような行動はアメリカ側にとっては想定外の事態だったのでしょう。『写真を消せ』『スマホを取り上げろ』と怒りをあらわにしていたそうです」(外務省関係者)
その後、懇談を終えたトランプ大統領は顔をほころばせながら、メディアの前に登場したが、アメリカ側の怒りは収まっておらず、外務省を通じて宮内庁に改めて写真の消去と事態の説明を求めているという。
「たしかに、現場の記者たちの一部に、緊張感に欠ける人がいたことは間違いありません。最近も、悠仁さまの成年式に関連して、式典の前に装束姿のお写真を”フライング”で放送してしまうという重大ミスがありました。スマホでの撮影がマナー違反であり、大統領専用車との記念撮影などは言語道断というのはその通りです。
【続報】松江市で死亡ひき逃げ事件 69歳の男性が死亡 衣服にタイヤ痕、周辺には車の部品も 島根県松江市
9日の深夜、松江市の市道で高齢男性が意識不明の状態で倒れているのが見つかり、その後死亡が確認されました。男性の着衣にはタイヤの痕があり、警察では死亡ひき逃げ事件として捜査を進めています。
9日の午後11時前、松江市雑賀町の市道で通行人から「道路上に人が倒れている」と消防に通報がありました。消防が駆けつけたところ、松江市西津田のパート店員の男性(69)が意識不明の状態で道路上に仰向けで倒れていたということです。
男性は松江市内の病院に搬送されましたが、体を強く打ち午後11時40分頃に死亡が確認されました。
警察によりますと、男性の着衣にはタイヤの痕があり、また、付近には車の部品が落ちていたことから死亡ひき逃げ事件とみて、逃げた車の行方を追っています。
現場は見通しがよく交通量はそれほど多くない交差点の付近で、男性は当時、会合から歩いて帰宅する途中だったということです。
警察では現場付近の防犯カメラを調べるほか、男性の司法解剖を行い詳しい死因を調べる予定です。
【速報】砺波市庄川町でクマ 住宅敷地に 市が確認進める
クマに関する情報です。砺波市によりますときょう午前6時15分ごろ、砺波市庄川町古上野でクマの複数の目撃情報がありました。
市によりますと「砺波市庄川町の住宅の敷地内にクマがいるとのことで対応している、緊急銃猟の可能性もある」として確認を進めているということです。
付近の方は警察や市の職員、猟友会の指示に従うなどして十分注意してください。
「目が痛くて数秒も見ていられない」福島県の山を覆う“9万6000枚”の太陽光パネルに地元住民が悲鳴
メガソーラー建設が進む釧路湿原は太陽光パネルの“黒い海”に覆われ、希少生物の命が脅かされている。だが惨状は釧路にとどまらない。「再生可能エネルギー」の仮面の下で各地の故郷が潰される現場を取材班が追った。◆景観破壊し業者は逃亡!? 眩しすぎるハゲ山の“闇” 福島県と山形県に連なる大火山帯の吾妻連峰。福島市の市街地から連峰の一部である先達山を見ると、山肌が削られ、60haの敷地にまるで蛇のウロコのように約9万6000枚ものソーラーパネルが張り巡らされていた。「山が傷ついているのを見た瞬間、心が折れました」 そう語るのは、市民団体「吾妻山の景観と自然環境を守る会」代表・矢吹武さん。’24年から県や市に対し、パネルの建設工事の停止を求める要望書や、反対署名を提出し続けている。しかし、状況は何も変わらない。◆クマの目撃件数も倍増「山は地元のシンボルです。東日本大震災で多くを失ったときも、この景色は心の支えでした。雪が積もるとうさぎの形が浮かび上がる、ふるさとの象徴なんです」 景観破壊だけが問題ではない。伐採された地域がツキノワグマの生息地とも言われており、行き場を失ったクマが街に下りているという。 因果関係は定かではないが、実際に福島市内ではクマの目撃件数が例年の2倍に増えた。さらに、最近では“光害”という新たな問題も発生している。「パネルに太陽光が反射して、太陽が2つあるみたいに眩しい。目が痛くて数秒も見ていられない」(地元住民) 実際、記者も時間帯と角度によって相当な眩しさを感じた。ハンドルを握る手に、思わず力が入った。◆メガソーラーは再エネを装った金融商品 先達山のメガソーラー事業を調査し続けている「先達山を注視する会」代表の松谷基和さんは、事業者Amp社と行政の根深い闇を指摘する。「事業者が林地開発許可を取るために行政に提示した景観予測より、大きく範囲を超えて山林が切り開かれている。緑化計画も失敗。環境への影響を過小に説明していたのではないかと言われています」 松谷さんが県の担当課に許可の経緯を訪ねても、「詳しいことは事業者に聞いてください」とたらい回しにされた。「福島市の木幡浩市長は、景観予測を『虚偽に近い』と批判しているのに、行政は住民から工事の違法性を指摘されても、お願いベースの指導止まり。なぜでしょうね……」 さらに、山の麓では、事業者による“謎の金銭提供”が行われたと松谷さんが明かす。
今夜遅く、月と木星が接近 賑やかな冬の星座にも注目
今日11月10日(月)の夜遅く~あす明け方にかけて、月と木星がならんで夜空に昇ります。明るい月に負けずに輝く木星に注目してみてください。
また、周囲には冬の星座の一等星もたくさんあり賑やかです。
今月はだんだんと木星が見やすい時間に
今月は木星の昇る時刻がだんだんと早くなって見やすい時間になっていきます。木星の明るさはマイナス2.3等からマイナス2.5等と非常に明るく、目を引きそうです。
木星はふたご座に位置していて、ふたご座の1等星「ポルックス」と2等星「カストル」の近くで輝く様子を見ることができます。
ふたご座を含む冬の星座には一等星がたくさんあり、夜空が賑やかに感じられます。冬の大三角やオリオン座、ぎょしゃ座のカペラなど、見つけやすい星がたくさんありますので探してみてください。
今夜は木星と月がならんで昇る
今夜遅くには木星の近くに月がならんで昇ってきます。明日の明け方にかけて、東の空から南の空、西の空へと、月と木星がならんで移動します。
12日(水)に下弦を控えた月と木星が近づく様子は見ものです。明るい月に負けずに輝く木星を探してみてください。
▼10日(月)に昇る時刻(東京)
木星 21:02 月 21:06
気になる今夜の天気は
ウェザーニュース雲量予想マップ
今夜は冬型の気圧配置となるため、北海道の十勝以外の地域や東北北部、東北南部の日本海側、北陸などは雪や雨が降って、月や木星を観察するのには向かない天気です。沖縄や奄美も湿った空気の影響で雲が多く、雨の可能性があります。
西日本の各地や東海、関東、東北南部の太平洋側、北海道の十勝地方などは雲が少なく、天体観測には問題のない空模様になるところが多そうです。ただ、気温は低く寒くなりますので、外に出る際は防寒をしっかりと行ってください。
参考:国立天文台、アストロアーツ
トラックと軽乗用車が衝突 トラック横転、軽乗用車を運転していた男性が死亡 当時現場に霧か…栃木県上三川町
けさ早く、栃木県上三川町でトラックと軽乗用車が衝突し、軽乗用車を運転していた男性が死亡しました。
トラックが横転して道をふさいでいます。奥には、大破した白い軽乗用車が止まっています。
きょう午前5時10分ごろ、上三川町鞘堂で「トラックが横転している」と110番通報がありました。
警察によりますと、軽乗用車とトラックが衝突し、軽乗用車を運転していた20代から40代くらいの男性が病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。トラックの運転手の男性は軽いけがをしたということです。
事故当時、現場周辺では霧が出ていたとみられ、警察が事故の原因を調べています。
30分で習近平に「物言う外交」を見せつけた…中国の暴走を食い止めるため高市首相が選んだ”現実的な一手”
10月下旬、日・米・中のトップは立て続けに首脳会談を行った。中でも注目を集めたのは10月30日の米中会談だ。会談の交渉では、トランプ大統領には焦り、中国の習近平国家主席の余裕がみられ好対照の結果となったようだ。首脳会談で、中国はレアアース(希土類)の新たな輸出規制の1年延期と引き換えに、フェンタニル関税10%の引き下げを取り付けた。
翌31日、わが国の高市早苗首相は習国家主席と会談した。米中首脳会談と対照的に、日中会談で習氏は笑顔を見せなかった。米中首脳会談が1時間40分だったのに対して、日中の会談は30分程度と短かった。
その中でも、高市首相は“戦略的互恵関係”の重要性を伝え、拘束されている日本人の解放などを要求した。その後の会見では「かなり中身の濃い、充実した議論ができた」と述べ、初めての会談にも臆せず、言うべきことを中国に伝えたとの発言をした。
一連の首脳会談は、わたしたちの生活にも大きな影響を与える。とても他人事ではない。人工知能(AI)、レアアースそして台湾問題を巡り、米中対立が再び先鋭化するリスクは高い。それは、わが国の安全保障や経済にも直接波及する。日中両国の国民感情も良好とは言えない状態にある。
そうした中、高市首相は重要な隣国である中国といかに接するかは重要な課題となる。基本的には、毅然とした態度で中国に臨み、わが国の国民、企業の安心、安全の確保に取り組むことが必要になる。
10月28日、高市首相はトランプ大統領と日米首脳会談を開催した。両首脳とも終始笑顔で対話した。高市氏は主要企業による対米投資の方針、防衛面での米国製製品の購入増加などをトランプ氏に提示し、良好な関係を構築できたようだ。
30日、韓国でトランプ氏は中国の習近平国家主席と会談した。会談では、終始余裕を見せる習近平氏に対して、レアアース問題などで厳しい状況に追い込まれたトランプ氏との差は歴然としていた。
米中が合意した主な内容は、まず、関税に関しては、米国は対中フェンタニル関税を10%引き下げる。中国も報復関税を引き下げる。米中の人件費などのコスト競争力の差から、関税引き下げは中国に有利に働くだろう。
これまで中国は、米国以外の国や地域向けの輸出や投資を増やして、米中対立の激化への耐性を高めた。関税引き下げで対米輸出が持ち直せば、景気の下支えにつながる。一方、今回の関税引き下げで、米国内の違法薬物問題にどのような効果があるかは定かではない。
レアアース関連の輸出管理厳格化に関して、中国は規制の発動を1年延期する。すでに中国はレアアース生産の7割、精製の9割の世界シェアを押さえた。規制を1年延期すると約束しても、実際の輸出をどうするかは当局の匙加減しだいだ。
中国がレアアースの世界シェアを高め、他国を依存させる構図を作ったインパクトは大きい。トランプ氏は中国に輸出規制を先延ばしさせたと成果を誇示したが、厳しい実態に大きな変化はないとの見方もある。
農産品の輸入に関しても、トランプ氏は中国が大量購入すると主張した。一方、中国は南米諸国からの大豆輸入を増やし、対米依存を引き下げている。首脳同士の相手国訪問に関しても、2026年4月にトランプ氏が中国を訪問し、その後に習氏が訪米する予定を共有したようだ。
また、台湾問題に関して今回の米中首脳会談で議論しなかった。一部では、トランプ氏が目先の成果の誇示を優先するあまり、台湾問題で中国にどう対応するか、有効な方策が策定できなかったとの観測もある。中国としては、米国が台湾問題に触れなかったことが重要だ。総じて、今回の米中首脳会談ではトランプ氏の焦り、習氏の余裕ぶりの差が印象に残った。
米中首脳会談で習氏は、トランプ大統領に笑顔で応じた。それは、中国が寛大な姿勢で米国の要求に応じ、その結果、トランプ大統領が感謝の意を示したという構図を伝える意図があっただろう。それと対照的に、日中会談で習氏は笑顔を見せず冷静な表情に終始した。
現在、日中の関係は停滞気味だ。米中の対立、台湾問題の懸念上昇、コロナ禍の発生、そして邦人拘束問題などが影響した。2023年、中国は日本行きの団体旅行を解禁したが、民間での交流が活発化しているわけではない。
その状況下で、中国トップがわが国に笑顔を振りまくことは難しいだろう。中国国内の世論、共産党の長老などから突き上げを受ける恐れがある。ある意味、習氏が笑顔を見せなかったことは、中国経済の成長率低下などへの世論の不満増加の裏返しに映った。
首脳会談の中で、習氏は高市首相に、中国が主張する“中国に対する正しい認識”を持つよう求めた。米中対立が先鋭化する恐れがある中で、中国としてはわが国とも相応の距離感を保とうとしているだろう。
そうした中、高市首相は“戦略的互恵関係”を促進する、というこれまでの日中の合意を基礎に会談を進めたかったようだ。そこで、わが国として言うべきことを、具体的かつ率直に習氏に伝えたという。
安全保障に関しては、海洋進出や新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧、台湾問題の激化への懸念を伝えたようだ。いずれも、国際的な認識に則った内容である。また、高市首相は中国に、わが国からの輸入促進も求めた。
具体的には、日本産の水産物輸入の円滑化、牛肉の輸入再開がある。いずれも実現すれば、わが国の経済にとって重要な変化になりうる。特に、水産品については中国が輸入の円滑化に踏み切れば韓国にも影響は波及するだろう。それは、わが国の輸出増加につながる可能性を持つ。
また、高市首相は、中国のレアアース輸出管理に関しても懸念を伝えた。また、中国で拘束されている日本人の早期解放、中国在住の日本人の安全確保を習氏に要請したという。こうした明確な意思表明は、わが国が対中政策面でASEAN諸国などの信頼感を高めるために重要だ。
一連の首脳会談は、わが国の経済、政治、安全保障などで相応の影響を与える可能性がある。
懸案事項の一つは、今後の米中関係が、首脳会談通りの展開になるかだ。本当に米中が関税引き上げを止め、双方の船舶入港時の手数料徴収を放棄するのか。中国はレアアースの円滑な輸出を実現するのか。
今後、世界の覇権国の地位を望む中国が、真正面からこうした取り組みを実現するとは考えづらい。むしろ、再度、中国がレアアースの輸出を制限し、世界の鉱工業生産に甚大な影響が広がるリスクは高いだろう。レアアースだけでなく、中国に買収された企業を巡って主要先進国と習政権が対立する恐れもある。
車載用半導体メーカー、オランダのネクスペリアを巡る蘭・中政府の対立、それによる自動車向けチップ不足のようなケースは増えるだろう。
米中、日中の首脳会談では、海外企業に対する技術の強制移転問題、補助金問題を議論するには至らなかった。この二つの問題はオバマ政権が環太平洋連携協定(TPP)を議論したころからの構造問題だ。
中国は今度も、表向きは海外企業に投資を呼びかけ、いったん進出したら容易に撤退できないよう圧力をかける可能性が高い。反スパイ法などを理由にした外国人の拘束が増える懸念も残る。
中国国内にも、さまざまな問題は山積している。バブル崩壊でデフレ圧力は上昇し、若年層を中心に失業率は上昇傾向だ。中国は1990年代以降のわが国より厳しい状況に陥るリスクは高まっている。習政権は世論の不満のはけ口として、台湾問題などで強硬姿勢をとるだろう。
わが国は、そうしたリスクを念頭に、中国に対応することが必要になる。特に、現在、日中両国の国民感情は必ずしも良好とは言えない。その状況下、個人、企業は安全確保を最優先に、対中国ビジネスや対中輸出に取り組むことになる。
高市政権はそうした活動をサポートするため、今後も中国に対して必要なことを、毅然とした姿勢で伝達することが求められる。
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(多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫)
中国総領事が「汚い首は斬ってやる」高市首相への暴言、政府の抗議で“れいわ推し”削除の過去
中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が2025年11月8日深夜、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に対し、自身のX(旧Twitter)アカウントで「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」などと投稿し、削除したことが、国内外で大きな波紋を呼んでいる。
薛剣領事は朝日新聞デジタルが報じた『高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」認定なら武力行使も』という記事を自身のXに貼り付け、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と書き込んだ。
中国領時の高市首相への暴力的な発言
「この“汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる”という言葉があまりにも強く、“殺害予告”ではないかとの声が広まりました。一国の首相に対する暴力的な示唆は、外交官として極めて不適切な行為であることは間違いありません」(全国紙記者)
外交の品格を欠き《ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として国外退去させるべきだ》《暴力的で品位がない》《常軌を逸している》《犯罪予告をする総領事ってなんなの?》といった批判の声が、SNSだけでなくニュース記事のコメント欄に多く書き込まれており、投稿から2日経った現在でも騒動になっている。
実は、薛総領事が問題行動を起こしたのは今回が初めてではない。
2024年10月25日、衆議院議員選挙の期間中には、自身のXアカウントで「全国どこからでも、比例代表の投票用紙には『れいわ』とお書きください」と投稿し、特定の政党(れいわ新選組)への投票を呼びかけた。
「これは外交官が赴任先の国の国内政治、特に選挙に介入してはならないという国際的な原則に明白に違反する行為でした。当時、日本政府は中国政府に対し、外交ルートを通じて“極めて不適切”として抗議し、投稿の削除を要請。これにより投稿は削除されましたが、外交官による明白な内政干渉として、大きな問題となりました」(同前)
わずか一年という短い期間で、選挙介入と首相への暴言という、外交官として最もタブーとされる行為を繰り返した薛総領事に対し、
《中国大阪総領事の法的責任発生するんじゃない?》 《ペルソナ・ノン・グラータとして国外追放だけでは済まされる問題ではない》 《立場ある人がイキった上に謝罪も無しに削除は流石にダサい》 《外務省は速やかに抗議を》
懲りない姿勢への不信感の声が多く、前出の記者も「日本の国政介入で抗議を受けたにもかかわらず、今回はさらに深刻な暴力的な言葉を投稿。中国政府はなぜこのような人物を駐在させているのか、さらに問題は大きくなりそうです」と、国際問題に発展する可能性を不安視する。
緊張が続く日中関係。日本政府は削除されたとはいえこの投稿に、厳重な抗議と明確な説明を中国に求めるべきではないだろうかーー。