残業削減、一律の運用見直しへ 労基署の指導巡り、自民提言

高市早苗首相が掲げる「労働時間規制の緩和検討」を巡り、自民党が、企業に時間外労働(残業)の削減を一律に求めている労働基準監督署の指導の運用を見直すことを盛り込んだ提言案をまとめたことが10日、分かった。現行の制度内で残業がしやすくなるよう企業に支援することも提言しているが、長時間労働を助長しかねないとの懸念もある。
自民党の「日本成長戦略本部」が取りまとめた。修正を加えた上で、近く、高市首相に手渡す方針。上野賢一郎厚生労働相は同日の閣議後会見で「今後どのような対応ができるのか検討していく」と述べた。
労働基準法に基づく労働時間は1日8時間週40時間だが、労使協定を結べば、原則月45時間以内の残業が可能になる。

大阪・母娘殺害、首などの動脈切られる 娘の顔には殴られた痕

大阪府和泉市の団地で住人の母娘が殺害された事件で、2人は首などの動脈を切られていたことが10日、府警への取材で判明した。2人には身を守ろうとする際にできる防御創もあった。府警は恨みを持つ人物などが強い殺意で襲ったとみており、周辺でトラブルがなかったか調べている。
殺害されたのは、この部屋に2人で暮らしていた、村上和子さん(76)と、長女で社会福祉士の裕加さん(41)。司法解剖の結果、いずれも頭や首などに刺し傷や切り傷が複数あった。裕加さんの顔には、殴られたような痕もあり、何者かが執拗(しつよう)に暴行したとみられる。8日午前4時ごろに死亡したと推定されている。
府警にはこれまで、2人からストーカーやトラブルの相談は寄せられていなかったという。
また、死亡前日の7日午後5時45分ごろ、裕加さんとみられる人物が団地の駐車場に車を止める様子が、ドライブレコーダーに記録されていたことも判明した。2人は寝間着姿で死亡しており、府警は在宅中に襲われたとみている。
現場は和泉市鶴山台2にある5階建て団地の1階。裕加さんの勤務先から「職場に出勤していない」と連絡を受けた親族の男性が8日午後0時半ごろ、部屋で遺体を見つけた。発見時、玄関のドアは施錠されていなかったという。【大坪菜々美、根本佳奈】

「国家情報戦略」策定を明言 政府、国民の理解深める狙い

政府は10日の衆院内閣委員会で、インテリジェンス(情報活動)機能強化に向けた初めての指針「国家情報戦略」を策定し、公表する方針を明らかにした。岡素彦・内閣審議官(内閣情報調査室担当)が「秘密裏に推進されることが多い政府の情報活動の意義や重要性について、国会や国民の理解を深めるためだ」と狙いを説明した。日本維新の会の黒田征樹氏への答弁。
岡氏は、政府の中長期的な情報活動の推進方策を戦略に盛り込むと主張。「毎年、更新する性質のものではない」とも語った。
情報活動の司令塔機能強化に向けた「国家情報会議」創設法案は、2日の衆院本会議で審議入りした。法案に関しては、政府の情報活動の活発化により、市民への監視強化やプライバシー侵害への懸念がある。木原稔官房長官は10日の衆院内閣委で、こうした懸念について「真摯に受け止めたい」と語った。

「ハンターにとって銃は魂」 逆転勝訴、猟銃返還 長かった闘い

ヒグマ駆除を発端に北海道公安委員会から猟銃所持を禁じられた処分の撤回を訴え、最高裁判決で逆転勝訴した道猟友会砂川支部長の池上治男さん(77)。9日、道公安委員会の謝罪を受け、処分から7年ぶりに猟銃を手にした。【小林大輝】
長かった闘いに区切りが付いても、「(失った時間は)取り戻せない」。池上さんの表情は硬いままだった。
「不便と負担をかけたことに対しおわび申し上げる。市町村や猟友会と連携しながら、引き続きヒグマ対策に適切に対応してまいります」
9日午前、砂川市にある池上さんの自宅。道警保安課の徳田一志課長は、事前に用意された道公安委員会のコメントを読み上げた。
池上さんは複雑な思いを隠さない。
「人の7年間を……。よくも(猟銃を持てない)こんな状況にしてくれたなと思う」
誠実な対応とは言いがたかった。
謝罪の場に猟銃を所持する許可を取り消した道公安委の関係者の姿はなく、池上さんは「直接来るのが当たり前。事務方に謝罪させており、公安委員会が本当の意味で反省しているとは思えない」と不信感を募らせた。
制度確立まで「発砲しない」
一方で、池上さんは現状を冷静に見つめる。
砂川支部では池上さんが2019年4月に猟銃所持許可を取り消されて以降、原則として発砲による駆除を行っていない。今後もその方針は継続するという。
箱わなによる捕獲の成果が上がっていることも理由の一つだが、池上さんの訴訟の経過が影響している。
池上さんは1審の札幌地裁では勝訴したが、2審の札幌高裁で逆転敗訴。最高裁に上告した。最高裁は、発砲が周辺住民の生命や身体、生活環境の保護につながる重要な意義があったと認定。取り消し処分は重すぎ、著しく妥当性を欠くと結論づけた。
司法の判断が揺らいだことを踏まえ、池上さんは「ハンターの立場を守る制度が確立されない限りは砂川で発砲はしない」と語る。
支援者に感謝
訴訟に費やした時間は長かったが、全国から共感や励ましのメッセージが寄せられた。訴訟に関する費用を募るクラウドファンディング(CF)も行われ、300万円近くが集まった。「1人では戦えなかった」と支援者に謝辞を述べた。
没収された猟銃の返還は、池上さん宅で非公開で行われた。道警職員が立ち去った後、自宅から姿を見せた池上さんは、いくぶんほっとした表情を浮かべ有効期限が延長された猟銃の所持許可証を掲げた。
猟銃での駆除は技術や経験が必要とされ、危険性もあるが、出没に対する即効性は箱わなを上回るとされる。発砲再開は、砂川支部でも今後の検討課題だ。
だからこそ、この日の猟銃返還には意義があった。
「人のため真剣に活動するハンターにとって、銃は『魂』と言って過言ではない」。池上さんは、しみじみ話した。

外交青書、イランの攻撃・ホルムズ海峡封鎖を非難…事態の早期沈静化へ「あらゆる外交努力を行う」

茂木外相は10日午前の閣議で、2026年版の外交青書を報告した。イランを含む中東情勢を巡っては、エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定が極めて重要だとし、事態の早期沈静化に向けて「必要なあらゆる外交努力を行う」と明記した。
青書は、イランによる周辺国の民間施設への攻撃やホルムズ海峡の事実上の封鎖を非難し、核兵器開発は「決して許されない」と訴えた。日本とイランの関係は「伝統的な友好関係を発展させてきている」と、従来の記述を維持した。
関係が悪化する中国については、25年版の「最も重要な二国間関係の一つ」から「重要な隣国」に表現を変更した。昨年11月の台湾有事を巡る高市首相の国会答弁以降は「日本に対し一方的な批判や威圧的措置を強めている」と分析した。
良好な関係が続く韓国は「パートナーとして協力していくべき重要な隣国」と前年の表現を踏襲し、「日韓関係の重要性は一層増している」と付け加えた。
国際情勢に関しては、ロシアによるウクライナ侵略や中国の軍事行動、北朝鮮の核・ミサイル開発を列挙し、「『ポスト冷戦期』といわれた比較的安定した時代は終焉(しゅうえん)を迎えた」と指摘した。

南丹市・小6男児不明 男児の通う小学校で防犯対策強化「GPS機能付き」端末の携行を可能に 保護者「心配で購入した」

京都府南丹市で小学6年生の男子児童が行方不明になってから、きょう(10日)で18日が経過しました。男児の通う南丹市立園部小学校では、安全対策の強化として、これまでは原則禁止していた「GPS機能付き」の端末(タグ)や子ども用携帯について、児童の携行を許可する運用変更を行い、保護者にメールで周知したということです。
南丹市教育委員会は「GPS機能付き端末」の所持については、各家庭の保護者の判断に委ねるとしていて、学校に携行する場合、端末はランリュックから取り出さないことや、登校後は電源を切るかマナーモードに設定するなどのルールのもとで運用するということです。
市教委によりますと、運用の変更は10日時点では男児の通う市立園部小学校のみで、他の小中学校10校でも同じように運用を変更するかは「検討中」としています。
市教委は読売テレビの取材に対し、「(GPS機能付き端末は)本来学習に不必要なもののため禁止していたが、保護者の要望を受け、不安を減らすため所持可能にした。学校との連携の中で保護者や地域の人が安心して学校に子どもを預ける環境を構築したい。今回の所持可能はその取り組みの一環」としています。
10日朝の登校では、教員や警察らが見守り活動を強化する中、保護者に付き添われ登校する児童の様子が見られました。園部小に通う児童の保護者は…
「しばらくは付き添い続けたい。今回の件を受けて子供の位置が特定できる(GPS機能付きの)機器を購入した。学校からも使用OKという連絡があったので。不安はあるが見守りもしてもらっているのでそこは安心。子どもともしっかり安全について話をしたい」
警察によりますと、南丹市立園部小学校の6年生、安達結希くんは、3月23日の午前8時ごろ、親が車で学校のすぐ近くまで送り届けたのを最後に、行方が分からなくなっています。行方不明から6日後の29日には、学校から約3キロ離れた山の中で、結希くんが背負っていた黄色の通学用のリュックサックが見つかりましたが、その後、発見につながる手がかりは得られていません。
これまでに学校に取り付けられた防犯カメラに結希くんは映っておらず、南丹市内での目撃や、防犯カメラに映ったなどの情報や、周辺の公共交通機関を使った形跡も確認されていません。
教育委員会は安全対策の強化として、学校でこれまで死角となっていた通用口などに防犯カメラを設置することを決めたほか、市内のほかの小中学校10校でも、子どもの通り道に死角ができないよう防犯カメラの増設を進めるなど、安全対策を強化していて、警察は、10日も引き続き、50人態勢で市内の全域での捜索を続けるとしています。

参政・塩入清香氏、中山美穂さんの遺産相続問題の報道めぐり「国内資産の国外流出に懸念」

参政党の塩入清香参院議員が9日、参議院・財政金融委員会で質問に立ち、24年12月6日に54歳の若さで亡くなった中山美穂さんをめぐり、一部で報道されている遺産相続をめぐる話題に触れた。
中山さんをめぐっては、一部報道で、約20億円とされる資産について、長男が相続を放棄したとされる。
塩入氏は、片山さつき財務相に「片山大臣もご存じだと思うんですけど、今、中山美穂さんのご子息が20億円の遺産相続を放棄されてですね」と、中山さんの話題を持ち出した。
質問の趣旨としては、その遺産相続の放棄の背景とみられている相続税についての問題意識とみられる。塩入氏は「その相続税が11億円だったということで、昨今の相続税の負担の重さについて、国民の間で大きな関心が高まっております」と問題提起した。
日本の相続税は遺産総額から基礎控除額を除いた額面(課税遺産総額)に、額が多いほど税率が上がる超過累進課税制度をとっている。1000万円以下は控除額なしの10%。1000万から3000万円は控除額50万円で15%と累進的に税額が上がり、6億円超は基礎控除額7200万円で税率は55%に上る。
塩入氏は「資産規模が大きい場合に相続税の支払いが困難となり、やむを得ず、相続放棄や相続税支払いのために不動産の売却に至り、それが市場に流れて外国資本に買われるというケースも指摘されております」と、外資による不動産取得にもつながるとの問題意識も提示。「所得税との二重課税ではないかとの指摘も根強くある。政府は相続人の担税力に着目した課税であるというふうに説明されておりますが、国民の間での納得感というのは非常に乏しい」とした上で「国際的な比較において、日本の相続税のあり方をどのように認識されているか」と問うた。
舞立昇治財務副大臣は「我が国の相続税の最高税率は、55%。この点だけ見れば、諸外国と比べて税負担が重いという評価もあり得ます」としつつ「一方で、我が国では、10%から55%まで8段階の税率構造で、実際の平均的な負担率平均税率としては、約14%でございます」と指摘。「英国のように40%の単一税率を採用している国も存在すれば米国のように最低税率は18%と日本より高いものの20億円超の多額の基礎向上を認めている国もある。制度も各国で、それぞれ異なり、負担状況につきまして、単純に、国際比較することは難しい」と説明し、理解を求めた。
塩入氏は「おっしゃることもわかるんですけれども」と理解を示しつつも「日本の相続税は、やっぱり英国とか米国と比べて、適用される課税対象の範囲が広くて、結果的に中間層にも課税が及ぶという構造になっております」と指摘した。
さらに、「そのためにやはり不動産を放棄したり、不動産を売却して相続税を払うなんていう例も多くて。それがきっかけで、空き家問題とか外国人がその不動産を狙って。そういう手引きみたいなものが海外では流通していたりする。結果として現行の相続税制が国内資産の国外流出を促す側面を持っていないかという懸念を持っています」との問題意識を改めて強調。「外為法に基づく外資による買収の監視と合わせて、相続税制そのものについても見直していく可能性があるのかということを今後の改めてうかがってまいりたい」と締めくくった。
塩入氏が、最初に話題を振った片山氏は、東大法学部出身。成績優秀なエリート官僚出身という一面のほかに、東大在学中から聖子ちゃんカットで知られ、読者モデルとして活躍した、硬軟の才能を発揮してきたことで知られる。大学3年で外務省入省試験に合格する成績優秀な学生だったが、在学中には「an・an」「non-no」の読者モデルとしても活躍。東大法学部卒業後の大蔵省入省面接で、当時大蔵省秘書課長だったという小粥正巳元公取委委員長から「カラオケ何歌いますか?」と問われ、片山氏が「松田聖子」と回答したとのエピソードもある。

「氷河期世代」の低年金回避へ 住宅確保、介護と就労両立

政府は10日、「就職氷河期世代」の支援に関する閣僚会議を開き、2028年度までの新たな3カ年計画を決めた。将来を含めた不安解消を掲げ、老後に年金が十分に受け取れない状態の回避や住宅確保の促進を柱とした。親の介護と自らの就労との両立支援も盛り込んだ。この世代が高齢期を迎えるのを見据え、年齢や困窮状況に応じて手当てする。
バブル崩壊から十数年の間に就職活動した世代は、他の世代に比べ賃金上昇率が低いとされる。不本意な形での非正規雇用は25年時点で33万人いるほか、無職の人も46万人いるとみられる。
計画では、25年成立の年金制度改革法に基づき、短時間労働者が厚生年金に加入しやすくするとした。29年に予定する年金に関する政府試算で基礎年金(国民年金)の水準低下が見込まれる場合には、支給額を抑制する仕組みの早期終了に向け「必要な措置を講じるなど高齢期の所得保障に努める」と明記した。
住宅確保支援も拡充。高齢者の入居を拒まない「セーフティーネット住宅」や、支援法人が見守りなどを担う「居住サポート住宅」を普及させる。

火災や騒音の問題続発 「スクラップヤード」規制強化へ法改正案

政府は10日、使用済みの金属やプラスチックを保管する「スクラップヤード」の規制を強化する廃棄物処理法改正案を閣議決定した。今国会に提出し、成立を目指す。管理が不適切なヤードでは、火災や水質汚濁などの環境悪化が各地で問題となっており、保管やリサイクル事業を許可制にして適切な管理を促す。
廃棄物とは異なり、使用済みの家電や電子基板などのスクラップは資源を回収できるため、保管やリサイクル処理を行うヤードに集められる。現行法では、テレビや冷蔵庫、炊飯器など計32品目の家電を扱う事業者を対象に、都道府県知事らへの届け出を義務づけ、ヤードの適正管理を促している。
しかし近年、使用済みのリチウムイオン電池など規制対象外のスクラップに起因する火災が相次ぐなど、新たな問題が増加。一部の自治体は規制条例を定めているが、規制のない自治体に移って事業が続けられるケースもある。
このため、改正案では使用済みの金属やプラスチックを規制対象に加え、事業者には都道府県知事らの事前許可を得ることを義務づける。火災防止措置や保管品を積み上げる際の高さ制限など、今後政府が定める基準に反した事業者には事業停止を命じたり許可を取り消したりする。命令に従わない場合、罰則を科す。
また、規制対象品は国内でのリサイクルを原則とする。輸出する際は環境相による確認を義務づけ、資源の海外流出防止を図る。
環境省が2025年度、自治体を対象に実施した調査では、全国計4625カ所のヤードのうち255カ所で、騒音・振動103件▽飛散・漏出44件▽火災35件▽水質汚濁30件――など計275件の問題が報告された。【高橋由衣】

中国「重要な隣国」に後退=中東安定へ外交努力―26年版外交青書

茂木敏充外相は10日の閣議で、2026年版外交青書を報告した。昨年11月の台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁を受け、関係が悪化する中国について「重要な隣国」と記述。25年版の「最も重要な2国間関係の一つ」から表現が後退した。米国とイスラエルのイラン攻撃にも触れ、中東地域の安定を図るための外交努力の重要性を打ち出した。
茂木氏は記者会見で、中国を巡る表現の変更に関し「さまざまな内容を総合的に勘案した」と述べた。「中国と戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していく方針は一貫している。昨年と今年の青書にその旨を記載している」とも説明した。
青書は、中国が昨年11月以降に「一方的な批判や威圧的措置を強めている」と分析。具体例として、薛剣・駐大阪総領事による「汚い首は斬ってやる」とのSNS投稿や、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射、軍民両用品の対日輸出規制などを列挙した。
一方、日本側の対応に関しては「中国との対話はオープンで、扉を閉ざすようなことはしていない」と主張した。
イラン情勢を巡っては、早期沈静化の必要性を指摘した。「エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定は日本にとって極めて重要だ」と訴え、「国際社会と連携し、あらゆる外交努力を行う」と記した。 [時事通信社]