「生き地獄から解放されたい」元検事正からの性的暴行訴えた女性検事を苛む『二次被害』の実態は 職場で実名拡散…生きがいの仕事に辞表

元大阪地検の検事正から性的暴行を受けたと訴えている女性検事のひかりさん(仮名)。4月、地検に辞表を提出しました。
ひかりさんはなぜ、生きがいに感じていた「検事」の仕事を辞める決心をせざるを得ない状況に追い込まれたのか…そこには、申告や相談によって引き起こされる『二次被害』という性被害の思わぬ代償がありました。
「今まで生きて頑張ってきたこと全部否定…とにかくみじめで」
(ひかりさん)「今まで生きて頑張ってきたこと全部否定されて…泥水で汚されてしまって、グチャグチャにされてバラバラにされているような。とにかくみじめ、みじめで」
言葉を詰まらせながら当時のことを振り返る女性。ひかりさん(仮名)は、検察官として性被害や虐待など数々の事件を担当してきました。
そのひかりさん自身が被害者となる「事件」が起きました。
自分の身に起きたことを受け止められない…きっかけは8年前
元大阪地検・検事正の北川健太郎被告(66)。北川被告は8年前、検事正としての影響力に乗じ酒に酔うなどして抵抗できないひかりさんに性的暴行を加えたとして準強制性交の罪に問われています。
懇親会の後、泥酔した部下のひかりさんをタクシーに押し込んで官舎へと連れて行ったとされています。
ひかりさんは自分の身に起きたことを受け止められなかったといいます。
(ひかりさん)「目が覚めたらレイプされてるという、衝撃的なことが起きてしまったことで、現実として受け止めきれなかったんです。完全に心と体が分離してる状態だった」
「検察がもみ消そうとするのではないか」被害申告に悩み
そんな中、北川被告は手紙などで「口止め」をしてきたといいます。
【北川被告から送られてきたとする手紙より】

「今回の事件が公になった場合、私は絶対に生きてゆくことはできず、自死するほかないと考えている。大阪地検の検事正による大スキャンダルであり発覚した場合、私のみならず検察組織に対しても強烈な批判があることは明らかです。あなたも属する大阪地検のためということでお願いします」
「検察組織」のために被害を公表しないよう求めてきたといいます。また、相手は大阪地検のトップで適正な捜査がされるのか心配もあったと話します。
(ひかりさん)「大スキャンダルだから本当に検察がもみ消そうとするのではないかという怖さも当然あった。だからそんなリスクを負って、今、被害申告して意味あるのか、すごく悩んだ」
「私は5年前から止まったまま…」PTSDと診断され被害申告を決意
被害申告が出来ない中でなんとか仕事を続けていたひかりさんですが、事件から5年後、PTSDと診断されます。その時ようやく、決心しました。
(ひかりさん)「家族とも笑って暮らせなくなってたから。何でそうなのかと考えたときに自分の尊厳を踏みにじった北川被告を処罰していないから。だから私は5年前から止まったままなんだって思ったんで、そこでやっと決心した。自分のね、検事としての正義感ももあったし、自分の被害がないことになるものやっぱり辛かったので」
ひかりさんの心の支えになったのは、子どもが書いてくれた手紙の数々でした。
(ひかりさん)「子どもは母が検事であることに誇りを持っていて、ママの仕事かっこいいからって応援してくれていて」
事件から6年後に被害申告 北川被告は逮捕・起訴されるも…
そして事件から6年後、ひかりさんはおととし4月、検察上層部に名前を伏せるよう求めた上で被害を申告。北川被告は逮捕・起訴されました。
これに対し北川被告側は「ひかりさんが抵抗することが著しく困難な状態であったという認識はなかった。また、同意があったと思っていたため犯罪の故意がない」などと無罪を主張し、裁判は長期化の様相を見せています。
申告で思わぬ代償…職場での二次被害に「もう誰も信用できない」
また、6年越しの被害申告はひかりさんにとって思わぬ代償も伴ったといいます。職場での二次被害です。
PTSDだと診断され休職していましたが、被害を申告し元検事正が逮捕・起訴されたことを受け、復帰に向けて準備を始めていました。
ところが職場では予期せぬ反応が待っていたと話します。
(ひかりさん)「事件の被害者が『ひかりさんだ』って実名をさらして拡散して…」
被害者がひかりさんであることや、根拠のない憶測や誹謗中傷が職場に広がっていたといいます。
その後、ひかりさんの名前を複数の職員に漏らしたとして事件当時、同じ大阪地検にいた副検事が戒告の懲戒処分を受けました。
(ひかりさん)「本当ショックでした。しかも自分の職場にいるというのがもう怖くて。もう誰も信用できないっていうふうに追い込まれていきました」
「性被害者の心理がもっと世間に周知された方がいい」
元検察官でひかりさんの代理人の田中嘉寿子弁護士。性被害事件ではこうした被害者の情報の拡散といった「二次被害」が起きやすいといいます。
(田中嘉寿子弁護士)「(性被害は)目に見えないし。『ちゃんと注意してたら被害に遭うはずがない』とみんな思っているんです。どこか心の底で。被害者バッシングが非常に起きやすいんですよ」
その原因は「なぜ抵抗したり逃げたりしなかったのか」などといった性被害者への理解不足にあるといいます。田中弁護士は性暴力に直面した際、被害者には“ある状態”が起きやすいと指摘します。
(田中嘉寿子弁護士)「被害者もなぜ逃げられなかったか自分ではあまり分かっていません。“凍結反応”と言って人が恐怖に直面したときに、カッと心身が凍りついて動きが非常に悪くなる状態。性被害者の心理がもっと世間に周知された方がいいと思う」
「生き地獄から解放されたい」職場に辞表
今年4月末、ひかりさんの姿は大阪地検の前にありました。辞表を提出するためです。
職場での二次被害にも追い詰められていたひかりさん、検察庁内にハラスメント被害の実態調査を行う第三者委員会を設置するよう求めていましたが、それも叶わず職場を去る決断をしたのです。
「検察官」が生きがいだったひかりさんにとって苦しい選択でした。
(ひかりさん)「もう生き地獄から解放されたい、もう戻る場所がないから辞表を出さざるを得なくなりました」
なぜ被害者が職場を去らなければいけないのか…社会に重い問い
辞表提出から約2週間後。
(ひかりさん)「お忙しい中このようにたくさんの方々が寄り添ってくださり本当にありがとうございます」
ひかりさんは大阪・中之島で開催された、花を手に性暴力の根絶を呼びかける「フラワーデモ」に参加していました。
性被害を訴える人たちが自分の話を順番に語っていきます。ひかりさん自身も被害者ですが、別の女性が泣きながら話す間、ずっとその背中をさすっていました。
(ひかりさん)「自分が検事のときに被害者にやっていた気持ちがちょっと出てしまって、すごい辛い経験を思い出しながら話すから再体験でますます辛いんですよ。それがとても分かるから。だから思わず飛びこんでしまいました」
性被害の『二次被害』 ひかりさんが突き付けた問いに司法や社会は…
性被害をめぐっては、被害を申告しにくく、申告したとしても立証が難しいうえ、二次被害に悩まされるケースが少なくありません。
内閣府の調査によると、不同意性交等の被害を受けた人のうち「誰にも相談しなかった」人は55.7%にのぼり、「警察に連絡・相談した」人はわずか1.4%。
また密室での犯罪になるケースが多いことから、立証が難しいという背景などもあり、不同意性交等罪の起訴率は35.5%(2024年)にとどまっています。
さらに、捜査段階で『二次被害』を受けることもあるといいます。
別の性的暴行事件で被害届を出したという女性によりますと、検察官からの聴取のなかで、「起訴しても被害者は損をするばかりだから諦めてください」「成人同士だからこういうこともあるでしょうと裁判で言われやすいです」などと言われ、傷ついた経験があるということです。
勇気を振り絞り被害を申告した人がなぜ職場を去ったり、捜査のなかで傷ついたりしなくてはならないのか。こうした『二次被害』が多くの被害者にとって声を上げることを躊躇させる要因の1つでもあります。
性被害について、司法や社会はどう向き合うべきか。ひかりさんの姿は重い問いを投げかけています。
(2026年6月17日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)

自民不記載事件で議員側に初の判決言い渡しへ 還流は「寄付金」か「預かり金」か

自民党派閥の政治資金パーティーを巡る不記載事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪に問われた元参院議員、大野泰正被告(67)らの判決が23日、東京地裁で言い渡される。東京地検特捜部が国会議員ら計12人を立件した一連の事件で、議員側への判決言い渡しは初めて。派閥解消の引き金になるなど、政界を揺るがせた「政治とカネ」の問題を巡り、裁判官がどのような判断を下すのか注目される。(佐藤侑歩、山本玲)
議員最多の不記載額
「道義的責任はありますが、犯罪を犯してはいません」
濃紺のスーツにストライプのネクタイ姿で出廷した大野被告は、令和7年9月10日の初公判で起訴内容を否認した。
起訴状によると、大野被告は元秘書の岩田佳子被告(62)=同罪で公判中=と共謀し、平成30年~令和4年、自身の政治団体「泰士会」の収支報告書に、旧安倍派(清和政策研究会)からの寄付計約5100万円を記載しなかったとしている。事件に関する自民の調査で、不記載があったとされる80人以上の議員のうち、大野被告の不記載額は最多だった。
自民最大派閥だった旧安倍派は、パーティー券の販売ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載せず、議員側に還流していたとされる。
一連の事件で立件された12人のうち、6人について公判が請求されたが、このうち旧安倍派の元会計責任者や旧二階派(志帥会)の元会計責任者については、執行猶予付き有罪判決が確定。議員側では大野被告のほかに、同じく旧安倍派から還流を受けたとされる元衆院議員、池田佳隆被告(60)らの公判が残る。
「預かった」と無罪主張、共謀も否認
昨年9月に始まった大野被告の公判で最大の争点となったのが、旧安倍派から還流された販売ノルマ超過分のパーティー券収入について、被告らが政治資金収支報告書に記載が義務づけられる「寄付金」と認識していたかどうかだ。
検察側は、大野被告が遅くとも平成29年にはこの還流の仕組みを認識していたと指摘。還流分を受け取った際、派閥側と返還に関する取り決めはしておらず、事務所や個人名義の口座に入金した上で飲食代などに充てており、「寄付と認識していた」と強調した。その上で、大野被告は元秘書から収支報告書案を提示された際、不記載を虚偽と知りながら修正を指示しておらず、共謀関係が成立するとした。
一方弁護側は、大野被告らが派閥から受け取ったカネについて、寄付ではなく「預かり金」と理解していたと主張。いつでも返却できるよう、口座の残高が常に受領した総額を上回るように管理していたとし、「お金に色はない」などと無罪を訴えた。
「選挙の公約を実現しようと没頭していた。事務に関しては一切関与していない」。祖父、父母も政治家で、地元・岐阜で名門一家の一員として知られる大野被告。法廷では、収支報告書にどのような報告項目があるかも知らず、「処理は秘書に任せていた」と共謀を否定。一方、元秘書の岩田被告は、現金で受け取った還流分は「速やかに大野氏に手渡した」とし、使途は認識していなかったと主張した。
不記載事件、受け止めに影響
検察側は論告で、「国民の政治不信の増大を招いた悪質な犯行」と指摘し、大野被告に罰金150万円、岩田被告に罰金50万円を求刑。一連の事件で略式起訴された政治家や秘書らは、それぞれ罰金100万円などの略式命令が確定しており、この量刑を考慮した求刑となったとみられる。
特捜部による立件から、およそ2年半。本格捜査に先立って問題を注視し、刑事告発していた神戸学院大の上脇博之教授は、「判決まで長く、世間の関心が薄れてきていると感じる」とした上で、「無罪を主張し続けた議員側への判決は非常に重要。言い渡される判決次第で、不記載が指摘されたほかの議員や、事件に対する世間の見方にも影響が出るとみられる」と話している。

自民党派閥パーティー収入不記載事件 旧安倍派(清和政策研究会)など自民党の複数の派閥が、政治資金パーティーの販売収入のうち、ノルマ超過分を議員に還流しながら支出に記載せず、議員側も還流分を関係政治団体の収支報告書に記していなかったことが発覚。政治資金規正法違反罪に当たるとして、令和6年1月~7年8月、東京地検特捜部が現職・元職の国会議員4人を含む計12人を立件した。問題を受けて、旧安倍派を含む自民党の5派閥が解散した。

パトカーに追跡され約1キロ逃走しブロック塀に衝突 酒気帯び運転の疑いで建設作業員の男(47)を現行犯逮捕「飲酒運転するかもしれない」と匿名の通報【岡山】

きょう(21日)未明、岡山県笠岡市の市道で、パトカーが追跡していた車がブロック塀に衝突する事故がありました。
運転していた広島県の男が、酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されました。
酒気帯び運転の疑いで逮捕されたのは、福山市山手町の建設作業員の男(47)です。
匿名の通報をもとに警戒していて車を発見
警察によりますと、男は、きょう午前0時15分ごろ、酒気帯びの状態で車を運転していたところ、飲酒運転の通報を受けて現場に駆け付けた警察官に停止を求められたにもかかわらずその場から約1キロにわたって逃走し、ブロック塀に衝突する事故を起こした疑いがもたれています。
この事故で、男の車の助手席に乗っていた笠岡市に住む男性(56)がけがをして病院に運ばれましたが、軽傷の見込みだということです。運転していた男にけがはありませんでした。
飲酒運転を認識したうえで同乗した可能性もあるとみて捜査
警察によりますと、事前に「飲酒運転をするかもしれない」と警察に匿名の通報があり、警戒していたところ、通報内容と同様の車を発見し、停止を求めたということです。
警察は、助手席に乗っていた男性についても、飲酒運転を認識したうえで同乗していた可能性もあるとみて、調べを進めています。

海外製天気アプリ相次ぐ誤情報、5月に東京都文京区に「大雪警報」…無許可事業者を規制強化

海外の事業者が国内のスマートフォン向けアプリなどに配信する気象情報で、誤った内容を表示するケースが相次いでいる。気象庁の許可を得ずに天気予報を出している事業者もあるとみられ、同庁は無許可事業者の規制強化に乗り出した。(塚本康平)
「警報発令中 暴風警報、洪水警報、大雨警報」――。今年2月、米大手IT企業が提供するスマホの天気アプリで、兵庫県内に複数の警報が発表されているとの情報が流れた。しかし、警報は気象庁が自治体や事業者向けに試験配信したもので、実際には発表されていなかった。
外部から問い合わせを受けた同庁は、ホームページなどで誤りだと説明。同庁業務課の担当者は「試験用だと伝えていたが、そのまま情報が出てしまった」と振り返る。
この企業の天気アプリでは、2024年5月にも東京都文京区に「大雪警報発令中」と誤った表示をしたことがある。SNSでは「この季節にまさか」「これから大雪が降るの?」などと困惑が広がり、同区がX(旧ツイッター)で打ち消す事態となった。
同社は取材に対し、「回答できない」としている。
気象庁は、各地の観測データを基に将来の大気の状態をスーパーコンピューターで計算する「数値予報」をベースに、地域特性や過去の事例などを踏まえて天気予報を発表している。
1993年の気象業務法改正で、民間事業者も一般向けに予報ができるようになった。民間事業者は気象庁や海外の気象機関のデータのほか、独自の観測網や予測技術を活用。都道府県の北部や南部といった区分で発表される気象庁の予報より地域を細分化し、市町村ごとに出したり、スタジアムや動物園など特定の施設の予報も行ったりして付加価値を出している。
ただし、予報業務を行う事業者は気象業務法に基づき、技術審査を経て同庁長官の許可を得る必要がある。裏付けのない予報が広まると、住民の安全を損なう恐れがあるからで、違反した場合は50万円以下の罰金となる。許可事業者には警報を伝える努力義務も課される。
同庁によると、許可を受けている個人・団体は89あるが、海外事業者はゼロ。無許可で予報業務を行い、スマホアプリやインターネット上で配信していると疑われる海外事業者は少なくとも7社確認されたという。昨年8月に調べたところ、海外事業者が「大雨警報」を表示していなかったり、予想最高気温が実際の気温とかけはなれたりしていたケースがあった。
こうした状況を改善しようと、同庁は気象業務法を改正し、5月29日から規制を強化した。
無許可で予報業務を行い、是正を求めても応じない場合は、同庁長官の判断で会社名やサービス内容を公表できるようにした。疑わしい事例を把握するための通報窓口も設置。海外事業者には、許可申請の際に国内の代表者か代理人の指定を義務づけ、所在がわからなくなった場合は、許可を取り消すことができるようにした。
天気予報や気象データを一般、企業向けに提供するウェザーニューズ(千葉市)や日本気象協会(東京)など国内の許可事業者5社は5月29日、「気象情報の信頼性を担保し、利用者が安心して確かな情報を選択できる環境を構築するための重要な前進」とする共同見解を発表した。
同庁情報利用推進課は「気象情報が正しく伝わらないと、災害による被害も生じかねない。規制を強化し、技術が担保された予報を国内に流通させたい」としている。
飲料、宅配…精度高い予報 企業に不可欠
精度の高い予報や気象データは、企業活動にも欠かせないものとなっている。
日本コカ・コーラは2020年から、ウェザーニューズから熱中症指数の提供を受け、スマホのアプリで、熱中症の危険度が高いと予測される地域のユーザーに注意喚起と飲料の購入を促すキャンペーンを実施。購入すれば、飲料と交換できるスタンプが2倍になる特典もつけた。注意喚起したユーザーの購入率は、しなかったユーザーに比べて約20%高かったという。
同社ベンディング事業部の遠藤充・シニアマネージャー(39)は「天気や温度などの気象データは、我々のセールスにかなり影響を与える要素になっている」と話す。
宅配代行大手「出前館」も、天候や気温の情報を基に、22年夏から配達エリアの天気や気温などを考慮して配達時間を予測し、顧客に伝えている。導入後は配達予定時間と実際にかかった時間の誤差が平均で5分ほど短縮できたという。

かつて「死の病」と呼ばれ…20年前HIVに感染した男性の今 1日2粒で“普通の生活”できるのに消えない偏見 「性的接触あれば、誰もが感染リスクある。検査し早期発見を」

かつては“死の病”と恐れられたHIVやエイズ。治療薬の開発で普通の生活が送れるようになっていますが、今も課題が。
名古屋医療センターの感染症内科。この日1人の男性が診察に訪れました。岐阜県に住むKさん(50代)。Kさんは「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」に感染しています。
(Kさん) Q.手のひらなどにブツブツが出たりは? 「全くないです」
この日は2か月に1度の検診。“命をつないでいる薬”を、もらう日です。
(医師) 「薬は1日1回で、食事に関係なくどう飲んでもいいです」
かつては“死の病”と恐れられた「エイズ」
HIVは1980年代に確認された、後天性免疫不全症候群「エイズ」を引き起こすウイルス。感染だけでも免疫は低下しますが、その後発症してエイズになると、治療が困難なため、「死の病」として恐れられました。
しかし、ウイルスを抑え込む薬の開発によって、性交渉でも人にうつすことはなく“普通の生活”を送れるようになりました。
(名古屋医療センター 横幕能行エイズ総合診療部長) 「ほとんどの人は、1日に1回1粒。ある程度決まった時間に、食事に関係なく薬を飲めば完了」
Kさんの場合、かつては大きな錠剤を毎日10錠も飲む必要がありましたが、今は2錠でよくなりました。
(Kさん) 「(当時の薬は)大きかったりカラフルだったり…明らかに『何かすごいものを飲んでいる』という感じだった。人前では飲めなかった」 Q.今の薬で副作用などは? 「全くない」
風邪のような症状が長引き病院へ 当時のことは「覚えていない」
20年以上にわたり薬を飲み続けているKさん。感染がわかったのは2003年。風邪の様な症状が長く続き、病院へ行って判明しました。性交渉が原因とみられます。当時については… (Kさん) 「正直覚えていない。それくらい追い詰められていた。思い出したくないとい うのも多分ある。半年薬を飲み始めてからは(症状が)気にならなくなった」
薬によってウイルスは検査で見つからないレベルまで減りますが、完全に消滅させることはできません。
1粒6000円程の薬を生涯飲み続ける必要がありますが、HIVの陽性者は障害者の扱いで医療の自己負担が1割になるため、経済的な負担は減らせます。
「性的接触があれば、誰もが感染リスクのある病気」
いま最大の問題は、感染していることを知らないまま、エイズを発症する人が減らないことです。
(名古屋医療センター 横幕能行エイズ総合診療部長) 「エイズを発症して初めて(HIV陽性と)診断されたのが約3割で高止まり。国際的に見ても高止まりしているのが、日本の課題になっている」
日本のHIVの新規感染者数は減り続けていますが、約3割はすでにエイズを発症した状態で見つかり、その割合は横ばいです。
(名古屋医療センター 横幕能行エイズ総合診療部長) 「性的接触があれば、誰もが感染リスクのある病気。検査を受けてほしい」
偏見は今も…「僕らはどうあがいても体の中にウイルスを持っている」
Kさんは検査の大切さや、もはや「死の病ではない」ことを伝えたいという思いから、取材に応じてくれました。
(Kさん) 「きちんと服薬すれば、『何の問題もなく生活できる』という先輩方の情報があるのに、『もうだめだ』『もう終わりだ』と絶望する人が多いのはすごく悩ましい」
命の危険はなくなったものの、偏見は今も存在すると感じています。
(Kさん) 「僕らはどうあがいても体の中にウイルスを持っているので、それは消せない。ただHIVと共に生きているだけで、偏見を持たれ差別を受けるのは、とても苦しいし…何とかならないかなと」
99%HIV感染を防げる予防薬対象は“感染していない人”
薬でエイズの発症を防げるようになった中、今は“感染そのものを防ぐ”方法もできています。
(プライベートケアクリニック名古屋栄 野口靖之院長) 「PrEPは、抗ウイルス薬を飲むことで、性交渉であれば99%HIV感染を防ぐことができる」
専用の薬でHIVの感染を防ぐ「PrEP(プレップ)」という予防法。しかし対象は“感染していない人”に限られるという注意点があります。
(野口院長) 「感染した状態で飲み続けると、薬剤耐性を誘導する可能性がある」
感染を知らずに個人輸入などで薬を手に入れて飲み続けると、ウイルスが薬の効きにくいものに変異する恐れも。
自治体では「無料検査」も
こうした中、このクリニックでは匿名で無料の検査を受け付けています。
また名古屋市も、年3回の無料検査会を開いていて、次回は名古屋で7月5日(日)に実施します。6月22日(月)からWebでの予約を受け付けます。
医学の進歩で、もはや“死の病”ではなくなったHIVやエイズ。いまだ偏見もありますが、Kさんは「正しく恐れる」ことが自分や社会を守ることにつながると話します。
(Kさん) 「HIVに感染したからといって、罪悪感を感じながら生きる必要はない。非陽性者には、今(偏見・差別で)苦しむ人がいるときちんと知り、HIV陽性者を特別な目で見ないで接してほしい」

AI署長が詐欺の手口や対策紹介 大阪府警がYouTubeで動画公開

若者を含む幅広い世代に広がる「ニセ警察詐欺」の被害を防ごうと、大阪府警でついに「AI(人工知能)署長」が登場した。YouTube上で公開された動画では、大阪城が見える執務室で手口と対策を紹介している。
動画は14分間で、生成AIで作られた女性「AI子(あいこ)署長」が出演。ニセ警察詐欺の手口について、「犯人は『あなた名義の携帯電話が詐欺に使われている』『銀行口座が不正に使われている』と言って、不安感情をあおってきます」「『第三者に話せば処罰される』と言って口止めをしてくるなど、巧妙なやり口となっています」と落ち着いた口調で説明し、警察がSNSでやりとりを求めたり逮捕状をSNSで送りつけたりすることはないと注意喚起している。
この動画を制作したのは、香川大サイバーセキュリティーセンター客員教授の平野敏範氏(47)。大手IT企業に勤務する平野氏は、過去にも特殊詐欺に関するスマートフォン体験ツールを府警とともに制作してきた実績がある。
このほど、府警の「防犯ITアドバイザー」に就任し、引き続きIT分野での技術指導・協力に取り組むという。平野氏は「AIなどを活用して巧妙化する手口に合わせた対策ツールを制作し、市民の防犯意識を高めていきたい」と意気込む。
動画タイトルは「AI子署長の防犯教室! 動画で学ぶ詐欺対策」。府警公式チャンネルで公開されている。【松原隼斗】

行方不明の親子か…駐車中の車内で女性と1~2歳位の女児が死亡 助手席に七輪置かれ無理心中の可能性

21日未明、愛知県犬山市の駐車場で、車の中から親子とみられる女性と女児の遺体が見つかり、警察は無理心中の可能性もあるとみて調べています。 警察によりますと、21日午前0時半ごろ、犬山市八曽の駐車場で、駐車車両の中から運転席で横たわる40代くらいの女性と、胸元に抱かれた1歳から2歳くらいの女児が死亡しているのが見つかりました。 2人は岐阜県の男性から岐阜県警に行方不明届が出ていた親子とみられ、車の窓は内側から目張りがされていたほか、助手席側には七輪が2つ置かれていたということです。 2人に目立った外傷はなく、警察が身元の確認を進めるとともに、無理心中の可能性もあるとみて調べています。現場は、リトルワールドから南に2キロほどの駐車場です。

軽が対向車線にはみ出したか…軽自動車が乗用車と正面衝突し運転の66歳男性が死亡 乗用車の運転手も軽傷

三重県津市の県道で20日夕方、軽自動車と乗用車が正面衝突する事故があり、66歳の男性が死亡しました。 警察によりますと、20日午後5時ごろ、津市芸濃町椋本の県道10号で、北へ走っていた軽自動車と対向車線の乗用車が正面衝突しました。 この事故で、軽自動車の運転手で亀山市の会社員、中道孝義さん(66)が病院に搬送されましたが、およそ1時間半後に死亡しました。 乗用車を運転していた津市の公務員の男性(29)は胸を打つなどの軽傷で、後部座席の2歳の子どもにケガはありませんでした。 現場は片側1車線の見通しの良い直線道路で、警察は中道さんが運転する軽自動車が、対向車線にはみ出したとみて調べています。

「皇族の政治的中立性が揺らぐ可能性もある」皇室典範改正〈養子案〉の問題点とは? 政治学者・御厨貴氏が警鐘を鳴らした《信子さまは麻生太郎氏の妹》

皇室典範の改正に向けて、議論が加速している。特に国論を二分しているのが、旧宮家の男子を養子に取る「養子案」の是非だ。月刊誌『文藝春秋』の最新号では、政治学者・御厨貴氏、作家・林真理子氏、元首相・野田佳彦氏が 皇室典範改正の重要論点 を深掘りした。
◆◆◆
どの宮家の養子になるのか?
林 不思議で仕方ないのは、「旧宮家の男子」から養子を取る話が決まろうとしているのに、皆さんは誰をイメージしているのか、という点です。どこかでひっそりと、知的に暮らしている一家がいると思うのかもしれませんが、情報が全くない。実際は普通のサラリーマンも多いというではないですか。
御厨 具体的な議論をしていないんですから、イメージできるはずがない。年齢制限や人数を設けるのか、養子に入れる期間を区切るのかなど前提も分からない。流れてくるのは「可能性がある男子は2人いる」とか「もう内諾を得ている」とか怪しげな説だけです(笑)。
野田 どのくらいの人数が適正規模なのかも考えないといけませんよ。少なすぎれば結局は皇統が途絶える。多すぎると混乱が起きて、政争の具になる。相当慎重に制度設計しなくてはいけない課題なんです。
御厨 法的にもスッキリしませんよね。「法の下の平等」という憲法の基本原則でやってきたはずなのに、特定の家柄の男性だけを皇族にするのは問題ないのか、という課題もある。
野田 憲法十四条が定める「門地による差別」じゃないかという議論がありますよね。これについて衆議院法制局は両論あるという言い方をするんですが、内閣法制局は「大丈夫だ」と、皇室を扱う憲法の第一章は国民の権利を扱う章と関係なく存在するという解釈で超法規的にお墨付きを与えている。有力な憲法学者にも違憲だと言う人もいるんです。
林 それはそうでしょうね。
野田 さらに、どの皇族の方の養子に入られるのかも、全く議論されていません。天皇と直接血縁のある直宮(じきみや)の秋篠宮家はあり得ないとすると、常陸宮家、三笠宮寬仁親王妃家、三笠宮家、高円宮家の4宮家が候補になる。でも引き受ける宮家があるのか疑問ですよ。そのうち、昨年9月に突然作られた「三笠宮寬仁親王妃家」の信子さまは、麻生太郎・自民党副総裁の妹。高市政権の「利害関係者」とも言えます。
御厨 三笠宮寬仁親王妃家に養子が取られたら、麻生さんが天皇の外戚になり、平安時代の藤原氏のようになる。政治的権力者と天皇の権威との距離がぐっと近くなって、皇族の政治的中立性が揺らぐ可能性もある。
野田 かといって、常陸宮さまは90歳とご高齢ですし、他の宮家の妃殿下や女王殿下にとっても、生まれてからずっと民間で暮らしてきた養子に「皇族としてのあり方」を細かく伝授していただくのもご負担になる。
御厨 具体的な議論をすると反対が出るから、大枠だけで通せばあとは何とかなるだろうと、高市政権は考えているんでしょう。実際、そう嘯いている官僚と話したこともあります。この国の政治がときどきやる、一番まずい進め方なんですよ。
そもそも「旧宮家」とは何か
林 そもそも「旧宮家」がどういうものかも、伝わっていないと思います。私は小説を書くためにずいぶん調べましたが、宮家と言っても「1000年にわたる天皇家の藩屏」という表現が正解だとは思ってないんです。
江戸時代、細々と脈を繋いできた宮家ですが、ほとんどは僧籍に入っていた。ところが、維新のときにお寺にいた彼らを無理に還俗(げんぞく)させると、彼らは側室たちとの間に多くの子供をもうけ、伊藤博文らも増えすぎた皇族による弊害に苦言を呈すほどになって、結局長男以外は皇籍を抜けて華族になると定められました。それでも4家だった宮家は終戦前には11家にまでなっていました。
野田 「80年前まで皇族だった」とはいえ、男系という血統でたどると、室町時代の崇光天皇まで約700年さかのぼらないといけない遠縁ですね。
(2026年5月18日収録)
※この続きでは、 「愛子天皇ブームの問題点」 についても語り合っています。約9000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年7月号に掲載されています(御厨貴×林真理子×野田佳彦「 拙速改正で日本を分断するな 」)。
■御厨貴(みくりや・たかし) 1951年、東京都生まれ。東京大学名誉教授、政治学者。オーラル・ヒストリー研究で知られ、天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議では座長代理を務めた
■林真理子(はやし・まりこ) 1954年、山梨県生まれ。作家、日本大学理事長。『李王家の縁談』(文春文庫)、『皇后は闘うことにした』(文藝春秋)では立場に葛藤する皇族の姿を描いた
■野田佳彦(のだ・よしひこ) 1957年、千葉県生まれ。中道改革連合顧問。93年に衆院議員に初当選。2011年からの首相在任中、皇族減少へ対応するため女性宮家創設の議論をとりまとめた
(御厨 貴,林 真理子,野田 佳彦/文藝春秋 2026年7月号)

「まさか自分が」 ニセ警察詐欺で100万円、被害男性語る教訓

「犯罪に関わっていると疑われ、焦ってしまった」「まさか自分が」。警官や検察官をかたった特殊詐欺の被害に遭った仙台市の50代男性会社員が、混乱した当時の心境を明かした。「新たな被害者が生まれてほしくない」と、被害抑止のためユーチューブ動画を作成する宮城県警のインタビューに応じた。
「警察手帳」見せられ…
4月のある日の午後3時ごろ。1人で自宅にいた男性の携帯電話に、着信があった。相手は大手電力会社のコールセンターを名乗り、「電気料金の未払いがある」と告げてきた。
男性が「身に覚えない」と返すと、電話は警察官を名乗る男に転送され、「ある事件の家宅捜索であなたのキャッシュカードが見つかった」と言われた。そして、SNSのビデオ通話機能に誘導され、「警察手帳」を見せられた。男性は、焦りを覚えた。
さらに検察官を名乗る男が「勾留状」を見せてきた。「非公開捜査なので守秘義務がある」と男性をけん制した上で「犯人があなたを共犯者と自供した。あなたの口座に不正資金が含まれていないか調べる必要がある」などと架空の調査を名目に送金を要求。男性は「早く自分の潔白を証明したい」と考え、指定の口座に現金約100万円を送金した。最初の着信から約6時間後のことだった。
振り込んだ直後、不審に思った男性は警察に相談。「詐欺で間違いない」と言われた。
「冷静さが大切」
男性は、以前から警察など捜査機関をかたり金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」を知っていたという。「だまされた自分への屈辱感と歯がゆさが混在する」とし、被害に遭わないためには、「冷静さが大切。詐欺被害を我が事として捉えてほしい」と話した。
宮城県警によると、県内のニセ警察詐欺は2026年1~5月、認知件数が前年同期比12件増の49件、被害額が同約2億314万円増の約3億5959万円。東北各県で多発し、被害の年齢層は若い人も含めて幅広いという。【岩田優希】