トランプ節連発に苦慮=関税交渉、参院選で譲歩難しく―政府・与党

トランプ米大統領は4日、各国に書簡で通知する関税率を10~70%とし、8月1日から徴収すると記者団に語った。日本の関税率は不明だが、相互関税の上乗せ分の適用停止期限である9日を前に、トランプ氏は連日、日本への不満を表明。3日に参院選が公示され、選挙戦に突入した石破政権にとり安易な譲歩は命取りになりかねず、政府・与党は連日の「口撃」に苦慮する。
「トランプ氏は今、日本で起きていることを正しくインプットされていない」。小泉進次郎農林水産相は4日、秋田市内での演説で、「日本は深刻なコメ不足が生じているのに米国からコメを買おうとしない」などとSNSに投稿したトランプ氏の主張に反論。「米国のお米が日本に入ってきていないなんてうそだ」と強調した。
日本は4月の関税交渉本格化以降、ベセント財務長官やラトニック商務長官ら担当閣僚に対米投資の実績や日米間の貿易拡大への貢献などを繰り返し訴えて、自動車追加関税を含む高関税措置の見直しを求めてきた。しかし、一連の言動からトランプ氏の理解が得られているとは言い難く、交渉戦略の練り直しも必要となりそうだ。
日米交渉を担う赤沢亮正経済再生担当相は4日、首相官邸で関係省庁の幹部らと関税交渉について協議した。赤沢氏は終了後、米国からの書簡について「届いていない」と記者団に説明。トランプ氏の発言については「コメントしない」と述べた。
米側との調整がつかないまま期限を迎え、さらなる高関税が課されれば国内輸出産業への打撃は必至。このため政府内では9日までに改めて赤沢氏が訪米して8回目の閣僚交渉に臨む案も検討される。ただ、勝算がないまま訪米し状況打開へ進展がなければ、野党からの攻撃材料となりかねず、難しい判断を迫られている。 [時事通信社]

「学ぶ態度」は評定の対象外に 次期学習指導要領、文科省が方針転換

文部科学省は4日、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の特別部会で、従来の成績評価の方法を見直し、評定を付ける際に「主体的に学習に取り組む態度」(主体的な態度)を考慮しないとする案を示した。この評価方法は2020年度以降に導入されたが、適切な評価が困難で教員の負担にもつながっているとの指摘があり、方針を転換することになった。
中教審はおよそ10年に1度の学習指導要領の改定に向けて議論しており、成績評価の方法も見直しの対象になった。現行の成績評価では「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的な態度」の3項目が評定を決めるための観点となっている。評定は小学校(3年以上)で1~3、中学校で1~5などの数字で示され、内申書に記載される。
文科省によると「主体的な態度」の具体的な評価基準は「粘り強さ」や「自己調整」の二つ。内容があいまいで、評価理由を保護者らに対して客観的に説明するためにノート提出の頻度や課題提出の締め切りを守れるかどうかなど形式的な「勤勉さ」の評価にとどまる事例もあったという。
このほか、適切に評価するために教員が評価材料を集める負担も大きかった。子どもの成長ぶりを適切に考慮して伝えることが困難で、学ぶ意欲を下げる場合もあるとされていた。
こうした指摘を踏まえ、次期指導要領の実施に併せて評定は「知識・技能」「思考・判断・表現」の2項目を基に決める。「主体的な態度」は「行動力・好奇心」「他者との対話や協働」といった要素に整理し直し、指導要領上の目標をどの程度達成したかを測る絶対評価は取りやめる。個人がどのように成長したかを評価する方法に変更し「総合所見」と呼ばれる欄に自由記述で記載する。
評定を付ける頻度も見直す。通知表などで子どもや保護者に評定を通知する回数は学校の裁量で決められるが、これまでは学期ごとに評定を付ける小中学校が全体の8割を占めていた。教員の労力を学習改善に向けてもらうため、今後は年度末にのみ評定を示すことが可能であると明示する。
この案に委員はおおむね賛同した。一方で「(主体的な態度の)重要性が低くなったという印象を持たせないことが大事だ」といった意見や「知識・技能中心の(評価の)あり方に戻すと短絡的にとられないか。丁寧に議論しないと、詰め込み式の学力重視の評価に戻ってしまう恐れもある」といった懸念の声も上がった。【斎藤文太郎】

希望者13人、鹿児島市に=悪石島から島外避難―十島村

震度6弱の地震が観測されたトカラ列島の悪石島(鹿児島県十島村)からの避難者13人を乗せた村営船が4日午後6時ごろ、鹿児島港(鹿児島市)に到着した。第1陣は小中学生6人と0~80歳の7人で、市内のホテルなどに1週間程度滞在する予定という。
震度6弱の地震は3日午後4時13分ごろ発生。十島村によると、同島にいた島民ら76人にけがはなかった。村は3日夜、希望する住民を島外避難させる方針を表明し、第1陣は4日朝に悪石島を出発した。
島民はスーツケースを手に鹿児島港に次々と降り、中には疲れた様子の高齢者もいた。有川美香さん(50)は「島では地震が続いており、不安で夜も眠れなかった。ゆっくりと眠れそうなので一安心」と語った。有川さんは「まだ島に残っている人もいる。地震が早く収まってほしい」と話した。
久保源一郎村長は4日の記者会見で、島外避難の第2陣について、同日から希望者を募り、6日朝の船で出発する計画だと明らかにした。
島には4日時点で60人ほどが残るとみられる。民宿で働く西恵子さん(56)は「連日の揺れで疲れたが、仕事もあり出るつもりはない」と話す。一連の地震を受け、民宿には電気などの点検業者が島外から宿泊する予定という。
トカラ列島近海を震源とする群発地震は6月21日以降、震度1以上の地震が4日夕方までに1200回を超えた。4日も震度4が相次いだ。 [時事通信社]

悪石島の訪問医「心のケアが喫緊の課題」 不安訴える島民

3日に震度6弱を観測した鹿児島県十島村の悪石島には診療所が1カ所あるものの、常駐する医師はいない。この島で20年以上、巡回診療を続けてきた鹿児島赤十字病院(鹿児島市)の永井慎昌(しんすけ)副院長(64)が4日、毎日新聞などのオンライン取材に応じ、島民のメンタルケアの必要性を訴えた。
悪石島は鹿児島市から直線距離で約250キロ。永井さんは6月24日にフェリーで島へ入った。鹿児島赤十字病院は月1回、島に医師を派遣している。島の人口は6月末時点で89人。2002年から訪問を続ける永井さんは「ほとんどの島民の顔と名前は一致している」という。今回も定期診療の一環で訪問した。
悪石島を含むトカラ列島では6月21日以降、約2週間にわたり揺れが続く。永井さんが入る前日の23日には震度1~4の地震が計183回発生。平均して約8分に1回もの頻度だった。24日の診療中も緊急地震速報が鳴り、永井さん自身、震度4の揺れに身をすくめたという。
診察で地震による直接のけがや急病はみられなかったが、高齢者の多い島民からは「揺れで夜眠れない」などと不安を訴える声が聞かれた。診療所を出ると、ヘルメットをかぶった子どもたちの姿も目についた。
近年、群発地震を度々経験してきた地域とはいえ、永井さんは「住民は強い不安感を持っている。心と体はつながっており、一般にストレスを常に感じていると、うつ傾向や不眠症が起きてくる」と、島民の心のケアが喫緊の課題と指摘した。
鹿児島赤十字病院は4日夜にも看護師1人を島に派遣する。今後、さらなる医療スタッフの派遣も検討しているという。【高橋由衣】

「子どもたち、疲れも不安もピーク」声落とす校長 悪石島唯一の学校

「子どもたちの疲れも不安もピークだと思う」。3日夕、震度6弱の地震に見舞われた鹿児島県十島村の悪石島。島内唯一の学校である、義務教育学校の村立悪石島学園の当房(とうぼう)芳朗校長は声を落とす。
トカラ列島近海では6月21日から地震が頻発。観測された震度1以上の地震は1000回を超えており、観測史上最多となっている。当房校長によると、3日夕の地震発生当時、全児童・生徒14人は既に下校しており、校内には教職員12人がいた。
校長室にいた当房校長は、小刻みだが大きな揺れを感じたという。最初に「ゴン」という大きな揺れの後、縦揺れと横揺れが交じった揺れが10~15秒ほど続いた。地震で落ちないように固定していた壁の額縁が傾き、机の引き出しが開くなどした。「これまでは横揺れだったので、普段との違いに怖さを感じた」
学園のグラウンドは、震度5強を超える地震が発生した際の避難先となっており、3日に避難指示が出た後、島民など74人が避難した。地域のガス漏れなどがないか消防団が確認する約1時間の間に、子どもから大人まで集まってきた。連日続く地震に不安そうな表情を見せたり、疲れが出たりしていたという。
4日は、全教職員で校内の安全確認をした。壁のひびが広がるなどの影響はあったが、大きな被害はなかった。学校はこの日臨時休校し、保護者が仕事などで家にいない子ども2人は学校で受け入れ、教職員に見守られながら勉強したり、遊んだりしているという。
今後、休校するかは毎朝、被害の様子を見ながら判断する。頻発する地震で、子どもたちにとっても先が見えない日々が続く。もし休校が続けば、学習の進捗(しんちょく)などにも影響が出かねない。当房校長は「早く落ち着いてほしい」と言葉少なに話した。【田崎春菜】

中2女子生徒死亡事故 無罪の男性(74)が国賠提訴 “ずさんな捜査”で不利益訴え 札幌市

札幌市内で2022年、中学2年生の女子生徒が死亡した事故で、過失運転致死の罪に問われ、その後、無罪判決を受けた男性が国と道を提訴しました。
道警と検察のずさんな捜査で不利益が生じたと訴えています。
訴えを起こしたのは、札幌市西区の74歳の男性です。
男性は2022年、市内を車で走行していた際、車の前に飛び込んできた中学2年生の女子生徒に衝突し死亡させたとして、過失運転致死の罪に問われていましたが、2024年1月に無罪判決を受けました。
訴状によりますと、現場近くの防犯カメラには、女子生徒の自殺を客観的に裏付ける映像が記録されていたにも関わらず、道警や検察のずさんな捜査で男性に不利益が生じたとして、国と道に合わせて330万円の損害賠償を求めています。
男性の代理人弁護士は「逮捕や起訴の違法性を認めてほしい」としています。

最大震度6弱観測・震度1以上1000回超で地震調査委員会が臨時会合 トカラ列島近海の群発地震活動を評価へ

きのう、鹿児島県十島村で最大震度6弱の揺れを観測するなど、トカラ列島近海で続いている活発な地震活動について、政府の地震調査委員会はきょう午後、臨時の会合を開き、今後の見通しなどについて評価を行っています。
トカラ列島近海ではきのう、十島村の悪石島で最大震度6弱の非常に強い揺れを観測するなど活発な地震活動が続いています。
体に揺れを感じる震度1以上の地震の回数は、地震活動が始まった先月21日の午前8時からきょう午前11時までに1180回を数え、おととし9月の1か月間に観測された346回の3倍を既に上回っています。
トカラ列島近海では、過去に繰り返し群発地震が発生していますが、今回の活動は地震の回数が突出して多く、初めて震度6弱を観測したことなどから、きょう、政府の地震調査委員会は臨時の会合を開きました。
会合には、委員となっている地震の研究者らが参加し、気象庁や国土地理院などの最新の観測データをもとに、現在の地震活動の状況や原因、今後の見通しなどについて評価を行っています。
評価の結果について、地震調査委員会は今夜、発表する予定です。

史上初の慶應ボーイ検事総長に、“恫喝取り調べ”で批判された“特捜の鬼”の出世… 検察の人事に漂う「もう一波乱」の予感

検察全体のトップである検事総長の事実上の後継者を決める検察・法務省人事が6月24日、閣議決定された。検察で検事総長に次ぐナンバー2の斎藤隆博東京高検検事長(62)の後任に川原隆司法務省次官(60)が就くことになった。
司法担当記者の話。
「女性初の総長である現在の畝本直美氏(62)の後釜に川原氏を据える人事となります。川原氏は法務・検察幹部には珍しい慶應大卒。史上初の慶應ボーイ総長の誕生がほぼ確実になりました。
畝本氏は中央大卒。東大卒が圧倒的に多い総長にあって、私大卒が連続で総長に就くのも初めてです」
“慶應ボーイ総長”が確実視されるワケ
ほぼ確実、といえるのは、事前に候補を絞り込んでいく検察人事特有の制度による。からくりの肝は役職定年のズレだ。検事長など最高幹部に就任できる役職定年は63歳で、総長の定年は65歳。総長引退時に最高幹部に就いていなければ、次の総長になれない。
「畝本氏が65歳を迎えるのは2027年7月。2歳下の川原氏は畝本氏が引退するときは62歳で、総長就任に十分間に合う。年次からいっても天変地異がない限り、川原氏で決まり、というのが検察ウォッチャー共通の見立てです」(同前)
5年前の20年は総長以外の幹部は63歳までに辞めなければならない制度だったため、さらに揉めた。安倍政権に近く「官邸の守護神」と呼ばれた当時の黒川弘務東京高検検事長が63歳を迎える直前に半年間、定年が延長されたのだ。
当時の総長が定年を迎える同年8月まで定年が延びたことで次の総長に無理矢理据える「禁じ手」と話題になった。しかし、その前に新型コロナウイルス蔓延中に賭け麻雀を決行したことが「週刊文春」報道で発覚。黒川氏は辞職して総長就任の道は断たれ、最後は単純賭博罪で略式起訴された。
後任次官は“パンチ森本”。昔から強引な捜査手法で知られ…
一連の因果は今回の人事にもついて回っている。
検察関係者が明かす。
「今回の一番の注目は川原氏の後任次官に森本宏刑事局長(57)が内定したこと。森本氏は秋本司元衆院議員をはじめ数々の政治家を葬ってきた『特捜検察の鬼』。黒川氏の麻雀事件も当時特捜部長の森本氏が手掛けた」
周囲からは仕事でのパンチ力と短い髪型からか「パンチ森本」の愛称で慕われていたという森本氏。ただ、昔から強引な捜査手法でも知られ、06年に元福島県知事が逮捕された汚職事件では、元知事の弟に取り調べで恫喝を繰り返したとして、裁判で追及された。
「検事の取り調べの不祥事が続く中で、その権化のような森本氏をトップに据えていいのか、という議論は根強い。森本氏がトップになるまでにはもう一波乱あるかもしれない」(同前)
カウンターパンチを食らわなければよいのだが。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年7月10日号)

参院選「1票の格差」3選挙区で3倍超える

今月20日に投開票される参議院選挙の「1票の格差」が3つの選挙区で3倍を超えることがわかりました。
日本テレビの試算によりますと、議員1人当たりの有権者数が最も少ないのは福井選挙区の31万481人、最も多いのは東京選挙区の97万477人で「1票の格差」は3.126倍でした。
さらに、神奈川選挙区で3.119倍、宮城選挙区で3.066倍となり、3つの選挙区で3倍を超えました。

防衛省制服組トップ、訪韓へ 米含む3カ国会議で

防衛省は4日、日米韓3カ国の制服組トップによる会議に参加するため、吉田圭秀統合幕僚長が9~11日に韓国を訪問すると発表した。統幕長の訪韓は2010年以来。
防衛省によると、会議には米軍のダン・ケイン統合参謀本部議長、韓国軍の金明秀合同参謀本部議長が参加。3カ国の防衛協力の推進を確認し、北朝鮮問題など安全保障に関する情勢認識を共有する。共同声明を出す方向で調整している。
同様の会議は昨年7月にも東京・市谷の防衛省で開かれた。