日本維新の会の吉村洋文代表は15日、議員定数削減法案が今国会で成立が困難な情勢となっていることについて、「スピード感がなさすぎて残念。審議すらされていない」「茶番劇。結論を出さない、そんな国会、まっぴらごめんです」などと怒りをあらわにしました。
衆議院の政治改革特別委員会では15日、企業・団体献金をめぐる法案の参考人質疑が行われていて、自民・維新の与党側は採決を行い、定数削減法案の審議に入ることを求めていますが、野党側は「採決するには審議が不十分」だとして応じない構えです。
吉村代表は15日正午すぎ、報道陣に対し、「スピード感がなさすぎて残念に思います。(定数削減の)審議すらされていない。採決すべきと我々は主張しているが採決すらしない。まっぴらごめんですね、このままで終わるのか」と述べました。
その上で「(企業・団体献金の)結論が出ない限りは、定数削減の審議もしないということですから、やりようがない」「茶番劇です。結論を出さない、そんな国会、まっぴらごめんです」と語気を強めました。
吉村代表は16日、高市首相と党首会談する予定だということです。
投稿者「F.Krueger」のアーカイブ
広島・原爆供養塔の遺骨 遺髪のDNA鑑定で身元特定
広島市は原爆供養塔の遺骨について15日、初めて行った”遺髪”のDNA型鑑定で身元を特定したと発表しました。
広島市は原爆供養塔の納骨名簿に「鍛治山ミチ子」と記されている遺骨について遺族から「梶山初枝のものではないか」との問い合わせを受け、骨つぼの中にあった「遺髪」のDNA型鑑定を初めて実施しました。その結果、初枝さんの妹と血縁関係にあることが判明したということです。
■初枝さんの甥 梶山修治さん
「初枝として認められたということ立証できたことは本当によかった。」
市は近く、遺族に遺骨を返還する方針です。
(2025年12月15日)
「隣の家が爆発…」 住人の女性が死亡 同居する息子も全身にやけど 愛知・刈谷市で早朝に住宅火災 火元の住宅には5人が暮らす
けさ早く、愛知県刈谷市で住宅が焼ける火事があり、住人で70代の女性が死亡しました。
火事があったのは刈谷市泉田町の住宅で、警察によりますと、きょう午前5時15分ごろ「隣の家が爆発してかなり炎が上がっている」と警察に通報がありました。
住人の女性が死亡 息子は全身にやけど
消防車など11台が出て、火は約1時間半後に消し止められましたが、鉄骨2階建ての建物が焼け、住人の神谷妃登美さん75歳が病院に運ばれましたが、死亡が確認されました。
また同居する49歳の息子が全身にやけどを負い手当てを受けています。火元の住宅には5人が暮らしていて、警察が出火原因を調べています。
現場は名鉄・豊明駅から南に1.7キロほど離れた住宅街です。
【独自】消防隊員2人死亡の大阪・道頓堀ビル火災「バックドラフト」が発生か 今月中に中間報告公表へ
今年8月、大阪・ミナミの中心部「道頓堀」のビルで消防隊員2人が亡くなった火災について、当時、密閉された空間に空気が一気に入り込んで爆発する、いわゆる“バックドラフト”と呼ばれる現象が起きたとみられることが、関係者への取材で新たに分かりました。
8月18日午前10時ごろ、大阪市中央区宗右衛門町の飲食店などが入るビル2棟で起きた火災では、消火活動中にビルの中に取り残された消防隊員の森貴志さん(55)と長友光成さん(22)が死亡しました。
大阪市消防局は火災の原因や安全体制などを検証する調査委員会を立ち上げ、大学教授や医師などの有識者を交え、火災の原因や被害が大きくなった経緯などを検証しています。
この検証の結果、建物内では当時、密閉されて空気が不足している空間に酸素が一気に入りこんで爆発する、いわゆる「バックドラフト」と呼ばれる現象が起きたとみられることが、関係者への取材で分かりました。
火災をめぐっては、ビルの外壁に設置された看板広告をつたって、火が短時間で隣のビルまで燃え広がったとみられているほか、火元とみられるビルで2023年に消防が行った立ち入り検査で、年2回の避難訓練を実施していないことや火災報知機の不備など6項目で法令違反が見つかり、行政指導を受けた後も、一部が改善されていなかったことが判明しています。
大阪市消防局は、12月中にもこうした内容をまとめた中間報告書を公表する予定です。
維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退
あの威勢のよさはどこへ行ったのか。
自民党と日本維新の会が提出した衆院議員の定数削減法案は、今国会での成立見送りが確実となり、維新の吉村代表がすっかりおとなしい。
もともと、定数削減を連立入りの「絶対条件」としていた吉村代表は「ここが改革のセンターピンだ」と豪語。「それくらいしないと政治のエネルギーは生まれない」と“ドヤ顔”で語っていた。他の幹部も強気で、先月下旬には遠藤国対委員長が「自民との協議が不調に終わった場合、連立離脱もあり得る」と言い、今月9日には馬場前代表が「定数削減ができないとなった時、高市首相は解散すべき」と踏み込んだ。
当然、連立離脱するのだろうと思われたが、11日のラジオ番組で吉村代表は「高市首相は約束を守ってくれたと思っている」と妙に寛容な態度。あれだけイキっていたのに、あまりにもダサい腰砕けではないか。
維新の内情に詳しい政界関係者はこう言う。
「10月中旬に自民と維新が交わした連立政権合意書では、定数削減について『臨時国会に法案を提出し、成立を目指す』と書かれている。要するに、今のような事態になることを想定して『法案の提出をもってよしとする』と、予防線を張ったわけです。吉村代表はなお17日に会期末を迎える国会を『延長すべき』としていますが、格好がつかないから口にしているだけ。ハナから連立離脱する気なんてありませんよ」
維新は連立入りしたものの、閣内に入らない「閣外協力」を決めた。それは「約束を守らないなら政権から抜けるぞ」と自民を揺さぶることで自らの政策を実現させる狙いがあるから、などと解説されていた。なのに「ハナから抜ける気ナシ」とはどういうことか。
本命は「副首都構想」
「彼らの本命は、悲願の大阪都構想を前提とした『副首都構想』の実現です。来年の通常国会で関連法案の成立を目指すとしていますが、今後、なりふり構わず動いてくる可能性がある。それこそ“改革のセンターピン”を定数削減から副首都構想に切り替えてきてもおかしくない。彼らにとってリミットは2027年春。予定される統一地方選の大阪府・市議選での勝利が生命線です。何としてもそれまでに実績を挙げなければならない。政権にしがみついてでも実現を目指すでしょう」(同前)
さすがはチンピラ政党と言うしかない。そんな維新の懐事情を高市自民も見透かしているようだ。
「高市総理からしたら『離脱したければどうぞ』だろう。国民民主党と公明党が賛成に回ったことで、今年度補正予算案は成立確実となった。つまり、今後も国民民主と公明の協力を得られる可能性があるということ。両党の協力があれば、維新がいなくても衆参で過半数に届きます。自公国はいずれも定数削減、副首都構想に前向きではない。3党で連携するなら、維新の悲願は反故にされても不思議ではありません」(官邸事情通)
いっそ、離脱してしまってはどうか。
◇ ◇ ◇
維新と自民の定数削減めぐるドタバタ劇は【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。
北海道は吹雪や雪崩注意=気象庁
北海道は14日夜から15日午後にかけ、発達した低気圧の影響で猛吹雪や大雪になる所があった。低気圧は千島近海からオホーツク海に進み、冬型の気圧配置が強まる見込み。風や雪のピークは過ぎたものの、気象庁は16日にかけ、吹雪や強風、雪崩、高波に注意するよう呼び掛けた。
最大瞬間風速はえりも町・襟裳岬で14日午後8時25分すぎに45.1メートル、中標津町で15日午前9時25分すぎに40.5メートルを観測した。
24時間降雪量は、遠軽町で15日午後5時までに72センチ、大樹町と中札内村で同日午前11時までに68センチに上った。 [時事通信社]
オンライン詐欺の実態…詐欺師のための“闇マーケット” ロマンス詐欺で2000万円超被害か…手口は【バンキシャ!】
ロマンス詐欺でウソの投資話を持ちかけられ大金をだまし取られるなど、オンラインでの詐欺被害が拡大しています。バンキシャ!が取材でたどり着いたのは、詐欺師の闇マーケット。ネット上で日本人の免許証などが売買される実態とは。【真相報道バンキシャ!】
かおりさん(仮名・60代)
「私みたいな貧乏な人をターゲットにするわけはないって思っていた」
こう語るのは、2025年10月、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害にあったという、かおりさん(仮名・60代)。
かおりさん
「マッチングアプリを(娘と)一緒にやったのがきっかけです」
20年以上前に離婚し、「新しい出会いがあれば」と始めたのが、マッチングアプリだった。そこで出会った人物とやり取りをするうち、あることを持ちかけられた。
「一緒にトレードして…楽に利益を得られるようにするね」
バンキシャ!
「楽に利益を得られるように…」
それは、ウソの投資話。かおりさんは言われるがまま、金をつぎこみ、2000万円以上をだまし取られたという。
かおりさん
「もう取り返したい、とにかく取り返したい」
警察庁によると、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は、2025年(10月末時点)、1370億円を超え、すでに2024年を上回るペースで急増している。なぜこれほどまでに増えているのか。
バンキシャ!が取材すると、詐欺師のための“闇マーケット”の存在が明らかになった。売られていたのは、日本の「運転免許証」、「健康保険証」。その売人を直撃すると…
売人
「詐欺のすべてを教えてやるよ」
2000万円以上をだまし取られたという、かおりさん。その手口は、どのようなものだったのか。
かおりさんによれば、始まりは2025年9月末、マッチングアプリで神奈川県に住むという、「あきひろ」と名乗る人物に知り合ったことだった。
かおりさん(仮名・60代)
「最初はお金の話は全然出てなくて、どうやって暮らしているのか、どういうところに勤めているのか(やり取りした)」
「あきひろ」から送られてきた写真。64歳、職業は建築デザイナーだという。
連絡を取り始めて数日後には…
あきひろ
「私たち共通点いっぱいあるね」
「もし一緒に残りの人生を過ごせるパートナーになれたら、きっと後半の人生めっちゃ幸せになるよね~」
かおりさん
「そうなれたらうれしい。でも、皆さん正直会ってみないとわからないと言います。だから早く会いたいですね~」
やり取りを重ね、思いを募らせていった。
しかし、1週間ほどが経ったある日。「あきひろ」から不可解なメッセージが届いたという。これが、実際のメッセージ。
あきひろ
「もう一緒に人生を過ごすパートナーだと思ってるよ」
「一緒にトレードして…楽に利益を得られるようにするね」
将来を見据えて「一緒に投資をして資産を増やそう」という内容だった。
次に送られてきたのは、投資サイトのリンク。かおりさんは、指示通りにアクセスし、登録したという。すぐに、指定の口座に金を振り込むと…。
はじめは620ドル、日本円で9万3000円だった残高が、わずか30分で、12万3000円に。3万円の利益が出たと表示されていた。これで信じ込んでしまったというかおりさん。
父の資産600万円にも手を出し、振り込んでしまったという。
投資サイト上の残高は増え続け、6700万円を超えていた。
かおりさん
「お金が増えているうれしさ、そこからどんどんのめり込んじゃうっていう感じですかね」
しかしその後、全額を引き出そうと手続きをすると、投資サイトから、こんなメッセージが送られてきた。
「貴方はすでに普通口座引き出し資金レベルの上限を超えています、口座をVIPレベルにアップグレードする必要があります」
全額を引き出すためには、1000万円が必要だという。
その金も、消費者金融と親族から借り、支払ったというかおりさん。不審に思った親族から、「詐欺ではないか?」と指摘され、「あきひろ」に連絡。
しかし、「あきひろ」からの返信は途絶えた。結局、かおりさんは2000万円以上をだまし取られてしまったのだ。
かおりさん
「本当…バカだなって思います」
いま、オンライン詐欺は世界各国で起きていて、特にこの5年間で被害が急増しているという。背景に何があるのか―。
詐欺の実態を国際的に調査する専門家に聞いた。
国際的な詐欺を調査『Elliptic』 トム・ロビンソン氏
「テレグラムの中で運営されているオンラインの市場があるんです」
「詐欺師の活動に必要なものすべてが売られています」
詐欺師のための“闇マーケット”が存在するという。調査を進めると、“闇マーケット”のひとつに、たどり着くことができた。一見普通のチャットに見えるが、中を見てみると、ほとんどが、中国語。
「毎日売り切れます」
そこで売られていたのは―
バンキシャ!
「いろんな名前の運転免許証の画像が投稿されています」
日本の「運転免許証」。他にも「健康保険証」に「マイナンバーカード」も。こうした“身分証”が、1枚1000円前後で売られていた。どれも、本物そっくりに見える。
専門家によると、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」内で運営されている“闇マーケット”。
売人は、免許証のような“身分証”や、銀行口座などを出品。それを詐欺師が購入し、詐欺に使うというのだ。
では、売人とは、どのような人物なのか。バンキシャ!は、そのひとりに接触を試みた。
バンキシャ!
「出ない…」
しかし、数分後、電話のコール。
「かかってきたので取ります」
売人
「ニーハオ」
詐欺師が使う道具をオンライン上で取引する“闇マーケット”。聞こえてきたのは中国語。
客を装い、やり取りを始める。
バンキシャ!
「運転免許証や保険証の値段はいくらですか?」
売人
「何に使うのか、教えてください」
バンキシャ!
「ああ、わかりました、使い道ですね」
売人
「仕事はなんだ?詐欺か?どんな詐欺だ?」
こちらを“初心者”とみた売人は、こんな提案をしてきた。
「詐欺のすべてを教えてやる」
売人
「詐欺に必要なものは1万ドル。成功したら(手に入れた金の)15%をもらう」
この売人の場合、“身分証”や銀行口座など、詐欺で必要なものをセットで販売。
詐欺師は、1万ドル=日本円で約150万円で購入し、だまし取った金額の15%を手数料として支払うという。
バンキシャ!
「日本人を狙った詐欺師はいましたか?」
売人
「たくさん(ノウハウを)教えてきたよ」
バンキシャ!
「それで詐欺は成功している?」
売人
「もちろん、だから続けられるんだ」
ここでバンキシャ!は、日本のメディアの取材だと明かした。
バンキシャ!
「悪いことをしていると思いますか?」
売人
「特に問題ない、金のために売っている人は大勢いる」
「取材するなら金がかかるぞ、タダでは受けない。金を使いたくないなら終わりだ」
バンキシャ!
「切られましたね…」
“闇マーケット”の裏で、増え続けるオンライン詐欺被害。
ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合によると、詐欺師のための“闇マーケット”には、カンボジアを拠点とする企業などが関わっているという。
(2025年12月14日放送「真相報道バンキシャ!」より)
高市首相、最低賃金「来夏に目標」=補正予算案16日にも成立
参院予算委員会は15日、高市早苗首相と全閣僚が出席して2025年度補正予算案に関する2日目の総括質疑を行った。首相は最低賃金の引き上げ目標に関し、「来年夏の成長戦略の取りまとめに向けて具体的に検討する」と語った。与党は補正予算案について、16日の同委と参院本会議で採決し、成立させる構えだ。
首相は予算委で最低賃金について「これまでの内閣以上に取り組みを徹底して行う」と強調。「企業が過度に現預金を保有するのではなく、労働者への分配を増やしていくことが重要だ」と述べ、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂し、従業員への配分を促す考えも重ねて示した。国民民主党の田村麻美氏、参政党の神谷宗幣代表への答弁。
自民と日本維新の会、公明3党が協議している小学校給食の無償化の財源について、「国の歳出改革や租税特別措置の見直しなどで捻出することを想定している」と表明。地方負担分についても「責任を持って財源確保を図る」と説明した。維新の高木佳保里氏への答弁。
所得税の課税最低ライン「年収の壁」見直しに関し、178万円への引き上げを求める国民民主と自民の協議が継続中であることを踏まえ、「どのような所得階層に減税の恩恵が届くかという点について、議論を深めている段階に来ている」と述べた。公明の杉久武氏への答弁。
維新の片山大介氏は、自民と維新が共同提出した衆院議員定数削減法案の成立に向けた決意をただした。首相は「連立合意を最大限尊重し、全ての実現に向かって努力するのが自民総裁の務めだ」と強調。法案の扱いは「首相として答えは差し控える」と述べるにとどめた。 [時事通信社]
「外国人はもう日本を選ばなくなる」経営者たちが抱く深刻な懸念 ベトナム人実習生なしでは「成り立たない街」で見えたこと 【多文化共生企画】
千葉県銚子市の缶詰工場で働くホー・ティ・トゥイ・ニュンさん(38)は、毎朝8時から缶詰工場のラインに立つ。魚の頭と尾を機械で切り落とし、異物を手で取り除く。焼いた魚を網から下ろす繊細な作業もこなす。作業は工程ごとに分かれ、数時間おきに担当する工程が変わる。
「入ったばかりの頃はどの工程も戸惑いましたが、すぐに覚えました。担当がどんどん変わるけれど、全部慣れるとかえって面白いです」
ニュンさんはベトナム人技能実習生。8歳の子どもと夫を母国に残し、夏からここで働く。従業員80人のうち、同じ国からの技能実習生はニュンさんを含め16人。
缶詰工場の社長は話す。「銚子の1次産業は、外国人なしでは成り立たない。漁獲から水揚げ、卸売、加工まで、どの段階も彼らが支えている」
外国人なしで成り立たないのは銚子だけではない。ただ、経営者側には心配がある。外国人が将来、日本を選ばなくなる恐れだ。選ばれ続けるには、受け入れる側にある「意識」が必要という。それは一体何か。(共同通信=相山真依子)
*筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。
母国にいる息子が文字を書いてくれたというスマートフォンケースを見せるホー・ティ・トゥイ・ニュンさん=2025年10月7日
▽「母国の子どもに良い教育を受けさせたい」
ニュンさんが日本に来たのは、経済的な理由からだ。ベトナムでは毎日14時間働いても手取りは約8万円。生活費をまかなうのがやっとで、疲れ果てて子どもと過ごす時間もほとんど取れなかったという。
夫の収入が減り、生活がさらに厳しくなったのを機に日本で働くことを決めた。そのための費用として親戚たちから約60万円を借りた。この缶詰工場に応募したのは、30歳以上でも受け入れてくれたからだ。年齢制限がある企業が多かったという。
家族と離れて日本で働くことには葛藤もあった。
「小さい子どもを残して外国に来ることは難しい決断でした。それでも、帰国後にもっと家族との時間を過ごすため、そして子どもに良い教育を受けさせるために、いま頑張ろうと思いました」
家賃などを差し引くと月の手取りは13万円ほど。うち8、9万円を家族に仕送りし、残ったお金で節約しながら暮らす。
「寮では他のベトナム人と一緒に住むことができて、日本人の先輩を含め周りの人たちが助けてくれます。おかげで生活や仕事は順調です。銚子は港が近くて静か。ここで働けて良かったです」
ホー・ティ・トゥイ・ニュンさんがベトナムを出発する際に夫と息子と撮った写真
そう言った後で付け加えた。「でも一つだけ。やっぱり家族が恋しいです」
出国前に家族3人で撮った写真を見ながら話す。
「子どもに『3年じゃなくて、もっと早く帰ってきて』と言われた時は泣いてしまいました」
毎日、仕事を終えシャワーを浴びた後、子どもとビデオ通話をする。この時間が彼女の一日の癒やしだ。
田原缶詰の工場で作業するベトナム人技能実習生と日本人従業員=2025年10月7日
▽ベテランが担う作業も、日本人と肩並べる
ニュンさんが働く水産加工「田原缶詰」は創業96年。1日5万~10万個の缶詰を製造している。工場の壁には、服装や衛生管理の注意書きが、日本語とベトナム語で書かれている。実習生を受け入れ始めて20年ほどだ。
「おはようございます!」
実習生は朝7時40分ごろに家を出て、日本人従業員たちとあいさつしながら工場へやって来る。真っ白な作業着に身を包み、各工程の持ち場に着く。魚を缶に詰める工程は、スピードと正確さが求められ、ベテランが担う。ここでもベトナム人が日本人と肩を並べて作業していた。
田原缶詰で休憩時間中に仲睦まじく話すベトナム人技能実習生(左)と日本人従業員女性(右)=2025年10月8日
午前10時ごろの休憩時間には、実習生と日本人従業員たちの賑やかな笑い声が聞こえる。簡単な日本語やジェスチャーを交えて会話する。実習生たちは日本人従業員を「ママ」「お父さん」と呼ぶ。
実習生たちと同じラインで働く女性(70)は話す。
「日本語ができる子が通訳してくれるから、困らない。さっきも私が『目が痛い』と言ったら、『ママ眠いの?』って冗談を言われて。楽しくやってますよ」
田原缶詰の休憩所に貼られた、ベトナム語で自転車のルールを説明するチラシを紹介する田原義久社長=2025年10月8日
▽自転車を1人に1台、ヘルメットも
田原缶詰が実習生の受け入れを始めたのは、日本人従業員の高齢化と人手不足がきっかけ。田原義久社長(70)は、採用面接のために何度もベトナムを訪れ、現地の生活水準や雇用環境の厳しさを感じた。「実習生たちは、言葉も文化も違う中で頑張っている。だからこそ、日本にいる間は安心して働けるように応援したい」
若い労働者が多いベトナムでは、30歳を過ぎると雇用機会が極端に減るという。一方で、実習生を募集する日本企業も、20代前半までを条件とするところが多い。田原社長は、ベトナムに働き口がない母親世代が多くいると知り、3年前からはニュンさんのように30歳以上の女性も積極的に採用するようにした。
実習生たちの住まいは工場の近くに用意した。かつて金物店だった3階建ての空き家を買い取り、キッチンを増設するなど、暮らしやすいように改装した。
実習生たちには、1人1台ずつ自転車とヘルメットを支給している。自転車の交通ルールをイラスト付きで説明した警察提供の資料も、ベトナム語に訳して休憩スペースに貼った。
田原社長が理由を説明する。
「ベトナムでは2人乗りが普通。でも日本のルールを教えないと、訳も分からず罰金を取られてしまう。そんなのかわいそうでしょう」
警察官とともにパトロールを行うベトナム人技能実習生たち=2025年7月29日
地域とつながるための取り組みもある。実習生たちは月2回ほど、銚子署の警察官とともに防犯パトロールで市内を歩く。すれ違う人たちに笑顔であいさつしながら歩く姿は楽しげで、市民も「頑張ってね」と声をかけていた。
この活動も、町内会の高齢化でパトロールの人手が減ったためだった。結果的に、実習生が地域の人と顔を合わせ、街に溶け込む機会にもなった。「国籍にかかわらず、元気に声をかけ合うことでつながりが生まれる」
技能実習生受け入れへの思いを話す田原義久社長=2025年10月8日
▽ベトナム人に選ばれる会社であること
これまでに何度も危機を乗り越えてきた。実習生たちが「帰りたい」と口にしたのは、2011年の東日本大震災の時。実習生が集団帰国してしまった企業もあった中、田原社長は工場で働く実習生をこう励ました。「私も一緒にここにいるから」。すると、翌日から仕事に戻ってくれたという。社長は強調する。「同じ人間としての連帯が大切です」
実習生たちに心を配り、信頼関係を築いてきた田原社長だが、それでも不安はある。彼女らが将来、日本に来てくれなくなる恐れだ。
「日本経済が停滞する一方、ベトナムは急速に成長している。日本より時給が高い国も多い。これからも彼女たちが日本を選んでくれるかは分からない」
さらに、周囲の企業では、実習生が突然姿を消して、同胞の紹介で別の職場に移る話を聞く。より良い待遇や環境を欲するのは、日本人でもベトナム人でも変わらない。しかし、同胞からの情報を頼りに移った先の職場で、一時的な労働力として「使い捨て」のように扱われるケースも多いという。
田原社長は話す。「うちで働くと決めてくれた以上、責任を持って見守りたい。ここで働いている間は、お父さんのつもりで一人一人に目を配っています」
▽更新して働き続ける人は3分の1
実習生は3年間の雇用期間を終えた後、母国に帰国する人もいれば、在留資格を「特定技能」に移行して工場で働き続ける人もいる。
ニュンさんは、実習期間が終わる3年後に経済的な余裕ができていれば、子どもと一緒に暮らすために帰りたいと思っている。「しっかりと面倒を見て、自分の手で育てたい。でも、その時まだ経済的に厳しければ、その後も日本に残ることになるかもしれません」
同僚のグエン・ティ・キム・トンさん(40)は今年8月に特定技能に移行し、家族への仕送りのために働いている。母国には20歳の娘と18歳の息子がおり、手取りの約半分を家族に仕送りする。
「自分はできなかった大学進学を子どもたちにはさせてあげたい」
夫の稼ぎでは大学の学費をまかなえなかったため来日。現在、上の子どもが大学で経済学を学んでいる。
30歳以上の女性にとって母国での就労が難しいことも影響し、最近では3分の1ほどが更新を選択するという。
これからも選ばれ続けるために必要なことは何か。田原社長はこう明かした。
「単なる『労働力』が来るのではなく、一人一人のライフプランと選択権を持った人たちが働きにくる。それぞれの選択を尊重したい。その中で継続を選んでくれたのであれば、これまでどおり応援したい」
30歳無職の男自ら「事件の男を見た」通報 殺人未遂の疑いで逮捕 福岡市のPayPayドームなどでHKT48スタッフの男性ら男女2人が刃物で刺される
14日夕方、福岡市中央区の「みずほPayPayドーム福岡」と隣接する商業施設でアイドルグループ「HKT48」のイベントスタッフなど男女2人が刃物で刺された事件で、警察は30歳の無職の男を殺人未遂の疑いで逮捕しました。
馬場遼之介 記者
「現場は10台以上の警察車両が並び、ブルーシートがかけられていて物々しい雰囲気に包まれています」
逮捕されたのは福岡県糸島市前原東に住む無職・山口直也容疑者(30)です。
山口容疑者は14日午後5時ごろ、福岡市中央区地行浜にある「みずほPayPayドーム福岡」でHKT48のイベントスタッフの男性(44)の胸付近を包丁で刺し、殺害しようとした疑いが持たれています。
この事件の後、隣接する商業施設でドームで開催されるライブに来ていた女性(27)も刺されて大けがをしていますが、刺された男女2人は、ともに意識があり、命に別状はないということです。
事件当日は商業施設内で「HKT48」のオンラインの握手会が開催されていてイベントスタッフの男性(44)がドーム1階にある関係者専用のエレベーターホールで不審な男を目撃。
男性が「関係者以外ここにいてはいけません」と声をかけたところ、突然、男が刃物を取り出し、無言のまま左胸を刺したということです。
不審な男はその後、商業施設の1階に移動し、女性(27)の背中を刺して逃走したとみられています。
商業施設内にいた人
「警察の方が6、7名いらっしゃって、トイレの中とかいろんなとこを探していた」「まさかそんな事件が起きているとは思わず、ちょっと怖いな」
警察によりますと15日午前2時ごろ、福岡県春日市のコンビニエンスストアにある公衆電話から山口容疑者本人が「中央区で発生の事件の男を見た」と110通報。
包丁2本を持っていた山口容疑者が自らの犯行をほのめかす発言をしたため、駆けつけた警察が緊急逮捕したということです。
取り調べに対し、山口容疑者は「殺そうと思って刺した」などと話し、容疑を認めているということです。