「作付け意欲はあるが・・・」コメ不足からコメ余りへ 肥料・資材高騰に直面する農家 高値仕入れで“赤字覚悟”の在庫抱える米穀店

本格的な田植えシーズンを迎え、秋の新米収穫に向けて動き出した農家。
2025年はコメ不足により高値で取引されましたが、農家は今年のコメ作りにどう臨むのでしょうか。
一方で、販売店を取材すると「コメが余っている」という現状が見えてきました。
泥まみれの笑顔児童50人が田植え体験
膝下まで泥に浸かり、稲の苗を植える子供たち。
9日午前、北九州市小倉南区の田んぼで行われた「田植え体験」には、合馬小学校の全校児童約50人が参加しました。
Q靴下はどこに?
小学1年生

「やっている途中に脱げたから先生に預けた」
小学4年生

「すごい大変でこけまくったけど楽しかったです。ふりかけをかけたり、おにぎりにしたりしてたくさん食べます」
この体験は、子供たちに食べ物への感謝の気持ちを持ってもらおうと、毎年、学校が行っているものです。
秋に稲刈りをして、収穫されたコメは児童が各家庭に持ち帰るということです。
「作付け意欲はある」2026年の収穫と概算金の行方
そして、こちらは、北九州市で50年にわたりコメを作っている中村治雄さんです。
2026年は「夢つくし」や「元気つくし」などの苗を、前年と同じ5ヘクタールの田んぼに植え付ける予定です。
収穫量も、前年並みの25トンを見込んでいます。
コメ農家 中村治雄さん

「僕が高校を卒業して50年ちょっとここをやっているんですけど、コメの価格が上がって、去年」
Q作付け意欲は?
「それは相当やっぱりありますね」
JAが米を集荷する際に農家に支払う「概算金」
JA北九州の去年の価格は、「夢つくし」「元気つくし」ともに60キロあたり2万9220円。
前の年より1万3740円高くなりました。
コメ農家 中村治雄さん

「(今年は)2万2000円から2万5000円におさまればいい。計画が立たないでしょ」
直面する肥料高騰と資材不足
2025年と違い、農家の大きな負担になっているのが、深刻な中東情勢による肥料や資材価格の高騰です。
概算金が大きく下がってしまうと、その負担がより増してしまいます。
肥料は今後、高くなるとJAから通知が来ました。
さらに・・・
コメ農家 中村治雄さん

「これがない。紙で代用するしかない。くくらないといけないし、かさばるから嫌だ」
精米したコメを入れるポリ袋は品不足が続いていて、購入できたとしても価格は上がると考えられます。
こうした、費用が増す事を考慮した適正な取引価格が、2026年は求められそうです。
ピーク時より1000円以上値下がりコメ価格の現状は
では、現在のコメの価格はどうなっているのでしょうか?
RKB 本田奈也花 アナウンサー

「福岡市西区の米穀店、吉村商店です。こちらでは夢つくしが(5キロ)3500円~4000円、元気づくしが4500円~5000円で販売されています」
飲食店や保育園などにコメを販売している吉村商店。
扱う銘柄米は約10種類。いずれも2025年のピーク時より、5キロあたり1000円以上値下がりしているといいます。
RKB 本田奈也花 アナウンサー

「まさか、こんなに価格が下がるとは?」
吉村商店 吉村正太代表

「思っていませんでした」
農林水産省が発表しているコメの全国平均価格の推移をみると、1年前(2025年6月2日~8日)の5キロあたりの価格は4176円。
高止まりしていた価格を抑えるために放出された備蓄米の効果もあり、一時的に価格が下がりましたが、新米が出始めても高値で取引されたため上昇を続け、年末から年始にかけ最高値を記録しました。
その後、徐々に下がり、現在の価格は3673円。2026年に入って743円値下がりしています。
全国で「コメ余り」民間在庫は近年最高水準に
その背景にあるのが“コメ余り”です。
吉村商店 吉村正太代表

「結構、去年買った分が余っていますんで。去年1.5倍くらい仕入れましたよね。高い値段で」
吉村商店では例年、この時期までの在庫量は10トンほどですが、2026年は倍の20トンもの在庫を抱えています。
農林水産省によりますと、民間が抱えるコメの在庫は2026年4月末の時点で249万トン。
1年前より81万トン多く、近年では最も多い水準です。
しかもその多くは、2025年に高い値段で仕入れたコメ。
吉村さんも、新米が出る秋までに抱えている在庫を売り切ることが今の課題となっています。
吉村商店 吉村正太代表

「他の卸さんとかお米屋さんも(価格を)下げているからうちも下げないと買って貰えない。赤字で売っている分も正直ありますよ」

蓮舫氏「そりゃないですよ、総理」 「実際にお会いして名刺交換を…」高市首相の中傷動画疑惑巡る「面識」の説明批判

立憲民主党の蓮舫参院議員が2026年6月10日にXで、高市早苗首相陣営による「中傷動画」作成疑惑をめぐり、高市首相が動画制作者とされる男性との面識を否定する際の発言について、「そりゃないですよ、総理」などと言及した。
高市首相と「名刺を交換したことはありません」
25年10月の自民党総裁選で、高市陣営側の相談によって対立候補を中傷する動画が大量に作成・配信されていたとする週刊文春の報道を発端とした疑惑について、高市首相はこれまで一貫して否定してきた。
8日にも改めて否定するなかで、高市首相は、動画制作者とされる男性との「面識はないです」と話し、「実際にお会いして名刺交換をした、相手の所属や氏名をちゃんと承知しているということはないということでございます」と説明した。
蓮舫氏は、これを報じた朝日新聞の「高市首相、新たな中傷動画報道も否定 『面識』とは『名刺交換し…』」と題した記事を引用。「『知らない』『お会いしたことない』その次には【面識】の定義ときました」と言及した。
続けて、「私は35年くらい前、高市早苗さんと番組の司会でご一緒してから総理になる今まで名刺を交換したことはありません」と明かした。「それは『顔を認識していない』、私たちは面識がないとなってしまう」と、高市首相の発言に対する皮肉を述べ、「そりゃないですよ、総理」とした。
なお、デジタル大辞泉(小学館)によると、「面識」とは「互いに顔を知っていること。知り合いであること」を指す。

高市首相もう中傷動画疑惑から逃げられない…終盤国会に待ち受ける“答弁地獄”は7.17会期末まで続く

高市陣営が先の総裁選や衆院選でライバル候補や野党を誹謗中傷する動画の作成・拡散に関与した疑惑。秘書の木下剛志氏と動画作成を主導した松井健氏との「面識」や「やりとり」について、高市首相はかたくなに否定するも、週刊文春に続き共同通信も松井氏の証言を報じた。国会答弁が“虚偽”となるのは必至で、高市首相は追い込まれている。
8日の首相官邸でのぶら下がり取材でも強気で否定したが、逃げの一手なのがクッキリだった。東京新聞によれば、あのぶら下がりは、記者クラブが事前に申し込んだ取材に官邸側が応じないと回答したため、高市首相が官邸を出る際に記者団が質問を投げかけ、立ち止まったものだという。しぶしぶ対応だから、ぶら下がりはわずか2分で打ち切られた。首相は「行事に出なければいけない」と慌てて官邸を後にしたが、首相動静によれば、行事出席は8分間で、すぐに公邸に戻っている。だったら、行事出席後に官邸で記者クラブの取材をじっくり受けることはできたはずだ。
とにかく逃げまくる高市首相だが、そうは問屋が卸さない。7月17日の今国会会期末まで、高市の“答弁地獄”は続くのだ。
■中公立は追及で連携
きのう中道・立憲・公明の幹事長が会談。「首相が積極的に真相解明に取り組む姿勢が見えないのはおかしい」(中道・階幹事長)として、3党が国会審議で連携する方針を確認した。
「重要広範議案の審議には首相が出席することになっている。今国会は4法案が指定され、2法案は既に成立していますが、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案が衆院の法務委員会で、防災庁設置法案が参院の災害対策特別委員会で審議中。採決前に首相は出席を求められる。さっそく、きょう(10日)午後の法務委員会に出席します」(野党関係者)
7月の党首討論は120分に延長
G7サミット出席のための今月13~18日の欧州外遊を終えると、下旬には衆参の予算委で集中審議が開催される。中立公はこれに木下秘書らの参考人招致を要求し、自民は「首相に聞いてほしい」(磯崎参院国対委員長)と拒否している。
さらに、与党が今国会での成立を目指す「皇室典範改正」「衆院議員定数削減」「国旗損壊罪」についても、法案が提出されれば、その重要度からして首相は審議に出席せざるを得ない。特に「国旗」は高市の肝いり法案だ。
そして、来月は党首討論の実施が決まっている。45分と短すぎた先月と違って、120分に延長される方向だ。
どうも高市首相にはムキになってブチ切れ、不用意な答弁で自爆する癖があるから、この先の国会答弁も見ものだ。中傷動画は選挙を歪めた恐れがあり、民主主義の根幹に関わる。真偽をはっきりさせる必要があり、説得力のない逃げ口上は通用しない。
「これまでと同じ答弁で否定しつづけ、本人は逃げ切れると思っているのだろうが、それでは疑惑は払拭できない。同じ答弁の繰り返しに世論がどう反応し、支持率にどう影響するか……」(自民党関係者)
ブチ切れ癖が自分の首を絞めていく。
◇ ◇ ◇
高市陣営の中傷動画疑惑については、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。

「縛ったり、最悪殺さなあかん」知人に強盗持ちかけた疑いで25歳の男逮捕 “トクリュウ”関与か

知人に対し、大阪府内の住宅に強盗をするよう誘ったとして、男が逮捕・送検されました。男は住人について、「最悪殺さなあかん」などと話していたということです。
逮捕・送検されたのは職業不詳の柏田幸大容疑者(25)で、今年4月、20代の知人男性に電話で、「大阪の一軒家に強盗に入る案件を上から言われている」「縛ったり、最悪殺さなあかん」などと言って、強盗をするよう誘った疑いがもたれています。
警察によりますと、柏田容疑者は知人に対し、SNSで標的となる住宅の画像を送っていましたが、知人は誘いを断り、強盗は実行されなかったということです。
警察は柏田容疑者の認否を明らかにしていませんが、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」が関与している可能性があるとみて、詳しく調べています。

「本当に脱ぐとは思わなかった」内田梨瑚被告が指摘された“供述のズレ”と“不可解な言い訳”、検察官は「作り話では?」「この期に及んで…」と厳しく追及《旭川女子高生転落死》

2024年4月、当時17歳の女子高校生Aさんを北海道旭川市の景勝地「神居古潭」にある橋の欄干に座らせ、川へ転落させて溺死させた事件。殺人罪などで起訴されている無職・内田梨瑚被告(23)の公判が続いている。
5月25日に初公判が開かれ、同月29日の第5回公判からは被告人質問がスタート。初めて自身の言葉で事件について語り始めた内田被告だが、「殺意はなかった」と殺人を一貫して否定。しかし、法廷では検察官から供述の矛盾点を次々と指摘される展開となった──。【全3回の第1回】
事件の発端は、内田被告が写った画像データをAさんが無断でSNS上に転載したことだった。これに腹を立てた内田被告は、Aさんを自身の車に監禁して連れまわし、暴行を加えたほか、全裸での動画撮影や土下座を強要した末に死亡させたとされる。
裁判を傍聴した全国紙社会部記者が解説する。
「共犯の小西優花受刑者(21)はすでに公判を終え、懲役23年の実刑判決が確定しています。内田被告も小西受刑者と同様に殺人、不同意わいせつ致死、監禁などの罪で起訴されていますが、公判前から一貫して殺人については否認。監禁と不同意わいせつ自体は争わないとしつつも、不同意わいせつによる”致死”の部分については真っ向から争う方針を示していました」
5月29日に開かれた第5回公判での被告人質問。内田被告は事件に至るまでの経緯について、ようやく口を開いた。
「Aさんが無断使用したのは、すでに報じられている通り”ラーメンを食べる内田被告の画像”でした。内田被告は『画像を使った理由や目的』を聞き出そうとAさんを呼び出したものの、謝られるばかりで話が進まなかったため、『(Aさんの)親と連絡を取りたい』と何度も伝えたと証言しました」(同前)
さらに内田被告の怒りを増幅させたのは、別のSNSへの投稿だったというが、ここでも不可解な点が浮き彫りになる。
「内田被告は、Aさんがラーメンを食べる画像とは別の”自分の顔がはっきり写っている画像データ”をX(旧Twitter)にもアップしていることに気づき、『ショックだった』などと主張。しかし実際には、AさんのスマートフォンにXのアプリはインストールされていなかったとみられています。それでも内田被告は『アップされたと認識していた』といい、こうした思い込みが激しい怒りへと繋がり、凶行の引き金になっていったようです」(同前)
一方、Aさんは最後まで親への連絡を拒否していたようだ。

実川公哉容疑者(23) 理学療法士の実川公哉を不同意わいせつの容疑で逮捕。

千葉県警は3日、不同意わいせつの疑いで理学療法士の実川公哉容疑者(23)=八千代市高津=を逮捕した。

 

逮捕容疑は2日午後3時15~20分ごろ、千葉県内の施設内で、20代の女性=県内=に後ろから近づいて、体を触るなどのわいせつな行為をした疑い。

 

県警によると「人目がない場所で何をしてもばれないだろうと思い、性欲と仕事のストレスを発散したかった」と容疑を認めている。

 

被害女性が110番通報した。

【速報】詐欺事件で大量41人を逮捕 ”講師の指示通りで高額収入”SNSメッセージで受講代詐取か 被害総額は約6億5000万円にのぼるとみて捜査 大阪府警

大阪府警本部は10日、複数の詐欺事件に絡み、詐欺グループのメンバー計41人を逮捕したと発表しました。
詐欺の疑いで逮捕されたのは、大阪市北区のアプリケーションソフト企画開発会社「Unity」代表の松村真吾容疑者(29)と、同じく「Unity」代表の藤木来人容疑者(29)ら、男女22人です。
警察によりますと松村容疑者らは今年3月、大阪府に住む50代の女性に「講師の指示通りにすれば高額収入を得られる」などとウソを言って、副業収入を得るためのスクール代金名目で、現金約51万円を騙し取った疑いがもたれています。
府警はこのほか、去年12月に30代女性から約15万円をだまし取った疑いで男9人を、去年11月から今年1月にかけて別の30代女性から現金約20万円をだまし取った疑いで男10人を逮捕し、3つの事件であわせて詐欺グループのメンバー41人の大量逮捕となりました。
府警は9日、詐欺グループの複数の拠点を摘発し、1000点以上のパソコンやスマホなどを押収したということです。
警察は松村容疑者らの認否について明らかにしていませんが、被害者は関西、東京など全国に約2300人にいて、被害総額は約6億5000万円にのぼるとみて、詐欺グループの実態を調べています。

カズワン沈没賠償訴訟、運航会社社長の桂田被告「安全管理に努めていた」と自身の過失否定

知床半島沖で2022年4月、乗客乗員26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故で、乗客15人の家族ら33人が運航会社「知床遊覧船」と社長の桂田精一被告(62)(業務上過失致死罪で公判中)に対し、計15億円超の損害賠償を求めた訴訟の第8回口頭弁論が9日、札幌地裁であり、桂田被告の尋問が行われた。運航管理者と安全統括管理者を兼任していた桂田被告は「安全管理に努めていた」と強調し、自身の過失を否定した。
原告側は、安全管理体制の欠如が事故を招いたと主張している。桂田被告は事務所に常駐する必要があったが、事故当日は北見市の病院に妻を迎えに行くため、事務所を離れており、運航管理者不在時に対応にあたる「運航管理補助者」も事務所にいなかった。
桂田被告は、事務所に常駐しなければならないという認識はなかったとした上で、運航管理補助者に「私以外の(従業員)全員」を選任していたと明かし、「補助者に選任されていない」とする元従業員の証言と異なる説明をした。
また事故当日、法令で義務づけられたカズワンから事務所への定点連絡が一度もなかったことなどを踏まえ、裁判官が「安全に対する教育がされていないのではないか」と質問。桂田被告は「(事故の)前まではやっていた」と述べた。
このほか、事故直後に行われた記者会見の発言に対する桂田被告の認識も問われた。
原告側は「会見で被告が安全管理規程などを把握していないことを認めていた」とし、安全管理体制の欠如を示す根拠の一つに挙げる。一方、桂田被告側は「事実認定の的確な証拠ではない」と反論している。
桂田被告の尋問はこの点をただすため、原告、被告双方の申請で行われた。桂田被告はこの日、「(記者会見の出席を)断れなかった。準備ができず、疲れもあってパニックだった」と説明した。
この日は原告の乗客家族2人の尋問も行われた。
30歳代の息子を亡くした千葉県の男性は、航空会社で運航管理者をした経験から「運航管理者が事務所にいないことはあり得ない」と批判。息子について問われると、「強い人間にしようと、厳しい言葉をかけてきたが、もっともっとほめてあげたらよかった」と涙ながらに語った。
息子(当時7歳)と元妻(同42歳)が行方不明のままの道内の男性(54)は「2人がいなくなった現実をまだ受け止めきれていない。遺骨が見つかれば、現実を受け入れないといけないので、今はまだ見つかってほしくない」と声を詰まらせた。

【クマ情報】札幌の住宅地で中学生が親子とみられるクマ3頭目撃 3日前も付近で目撃情報 警察や札幌市が警戒

9日夜、札幌市円山の住宅街に近い場所で、クマ3頭が目撃されました。 近くでは3日前にもクマの目撃があり警察が警戒を続けています。
9日午後7時前、札幌市中央区円山西町2丁目付近で、塾に向う途中の中学3年の男子生徒がクマ3頭を目撃しました。
警察によりますと、クマは親子とみられ、男子生徒とクマとの距離は、およそ100メートルだったということです。
3頭のうち、2頭は体長約1.6メートル、もう1頭は2頭より小さかったということです。
通報した男子生徒は、「通りかかった車がクラクションを鳴らしたところ、茂みに入っていった」と説明しているということです。
現場から100メートル離れた茂みでは、3日前にもクマが目撃されていました。
近くの中学校では、休校にはせず、複数での登校や保護者に送り迎えを依頼するなどしたほか、生徒が日没前に下校できるよう、部活動の終了時間を早めるということです。
札幌市が痕跡を調べていますが、今のところ見つかっていません。 警察が付近の住民に警戒を呼びかけています。
札幌市は10日午前も目撃場所付近で調査する方針です。

選挙中のSNS規制、与野党で法改正の骨子案…きっかけは大荒れの兵庫県知事選

与野党9党による「選挙運動に関する協議会」は、SNSでの偽情報や誹謗(ひぼう)中傷への対策強化を話し合ってきた。先月末、事業者への規制などについて合意し、主な法案骨子は次のとおりだ。
1.YouTubeやX(旧Twitter)のようなSNS事業者には、偽情報の拡散による悪影響を軽減する措置を義務付け、実施状況を年1回公表させる。措置の具体例として、収益化の停止、広告収入を得ているアカウントの表示など
2.生成AIで作成した動画や画像のうち、実際に撮影されたと誤認される恐れのあるものには、AI作成を明示するよう義務付ける
今国会でSNS規制が議論されることになった大きなきっかけは、2024年11月の兵庫県知事選だ。
立候補した立花孝志被告(名誉毀損で逮捕・勾留中)は斎藤元彦知事を応援する、いわゆる“二馬力選挙”を展開し、丸尾牧兵庫県議や亡くなった竹内英明元県議らを直接的に攻撃し、デマを含むSNSなどで誹謗中傷した。そして、立花被告に呼応する形で一般の政治系YouTuberらが、丸尾氏や対立候補らを誹謗中傷するデマの切り抜き動画を大量に公開した。
TBS系「報道特集」は、匿名の政治系YouTuberにインタビューしており、その人物は「選挙期間中は政治チャンネルにとって間違いなく『バブル』。2週間でがっつり稼ごうと思ったら、100万円とかは堅く、普通に稼げる」と語る。
要するに、政治系YouTuberらは収益目的で再生回数を稼ぐために、特定の候補を応援し、対立候補を誹謗中傷するのだ。この収益化の構造にメスを入れなければ、候補者への誹謗中傷はなくならないだろう。匿名の政治系YouTuberはこう話す。
「収益目的のチャンネルは信条というより、儲かるところを追いかけていく。『政治がどうなろうと知らないよ』というような感覚で収益目的で動画を作っている人も結構いる」
兵庫県議の丸尾氏には今でも脅迫電話が毎日のようにかかってくるという。また、注文していない商品が届いたり、勝手に保険契約されたりという嫌がらせもあったそうだ。
丸尾氏はSNSの誹謗中傷について、裁判所に100件を超える開示請求をしてきたが、氏名まで特定できたのは5人だった。丸尾氏は「投稿者の特定に法制度上の高いハードルがある」と指摘し、裁判手続きなどをしている間にプロバイダーの通信保存期間が過ぎてしまうのだという。
今回、国会で示された骨子案で、事業者に求める「措置」には収益化の停止や収益化アカウントであることの表示なども含まれてはいる。しかしながら、何を実施するかは事業者の判断に委ねられており、法改正が実行力のあるものになるかどうかは不透明だ。
収益化の停止は、投稿自体を制限するものではなく、表現の自由の侵害にはならない。事業者任せにせず、実効性のある規制が求められる。
与野党の協議会は、来年春の統一地方選に間に合うよう、今国会での成立を目指している。
文/横山渉 内外タイムス