コロナワクチン副反応への傾向と対策 持病を持つ人は急ぐ必要なしか

4月12日から65才以上の高齢者への接種が始まった新型コロナウイルスのワクチン。するとさっそく、全国の自治体には接種予約の申し込みが殺到した。 栃木県小山市は予約受付開始からわずか5分で975人分の接種枠が埋まった。異例の「接種抽選」を実施した愛知県春日井市では、当選倍率が約40倍の狭き門となった。 各地でワクチン争奪戦が繰り広げられているが、焦りは禁物、冷静さも必要だ。 「そもそも今回のワクチンは、『前例にないもの』です」 そう語るのは、国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さん。 「現在、日本で接種されている米製薬メーカー『ファイザー』と、今後供給予定の米『モデルナ』のワクチンは、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こす『mRNA』というタイプです。 同じく供給予定の英『アストラゼネカ』製は、アデノウイルスという風邪ウイルスを無害化したものに、新型コロナの遺伝子情報を組み込んだ『ウイルスベクターワクチン』というタイプ。3つとも遺伝子情報を用いた珍しいタイプのワクチンであり、なかでもmRNAワクチンは世界初の試みで、接種後に人体にどのような影響が出るかを見極める必要があります」 世界で初めて認可されたコロナワクチンの接種がイギリスで始まったのは昨年12月。以降、副反応のデータが世界中で集められている。 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。 「各社のワクチンで目立つ副反応は、接種部位の痛みや疲労感、発熱、筋肉痛です。ただし、なかには急激な血圧低下や失神などをもたらすアナフィラキシーショックや血栓症など、命にかかわる副反応も指摘されています。 副反応リスクは年齢、性別、持病などで異なる可能性もあり、ワクチンを接種する前に自分にどれほどのリスクがあり、何を準備すべきか知っておくことが重要です」 この先、高齢者向け接種に続き、基礎疾患のある人向けの接種が始まる。それだけにワクチンを接種する前に、「傾向と対策」をきちんとつかんでおくべきなのだ。 持病がある人は接種を急ぐ必要はない 都内在住の60代男性が不安げにつぶやく。 「3年前に糖尿病と診断され、食事療法と薬物療法を受けています。糖尿病患者がコロナにかかると重症化するとされるので早くワクチンを打ちたいのですが、やはり副反応が心配です。接種していいものかどうか……」 厚労省によれば、糖尿病の有病者は約1000万人に達する。国民病と称される病気だけにワクチンの影響が懸念される。
4月12日から65才以上の高齢者への接種が始まった新型コロナウイルスのワクチン。するとさっそく、全国の自治体には接種予約の申し込みが殺到した。
栃木県小山市は予約受付開始からわずか5分で975人分の接種枠が埋まった。異例の「接種抽選」を実施した愛知県春日井市では、当選倍率が約40倍の狭き門となった。
各地でワクチン争奪戦が繰り広げられているが、焦りは禁物、冷静さも必要だ。
「そもそも今回のワクチンは、『前例にないもの』です」
そう語るのは、国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さん。
「現在、日本で接種されている米製薬メーカー『ファイザー』と、今後供給予定の米『モデルナ』のワクチンは、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こす『mRNA』というタイプです。
同じく供給予定の英『アストラゼネカ』製は、アデノウイルスという風邪ウイルスを無害化したものに、新型コロナの遺伝子情報を組み込んだ『ウイルスベクターワクチン』というタイプ。3つとも遺伝子情報を用いた珍しいタイプのワクチンであり、なかでもmRNAワクチンは世界初の試みで、接種後に人体にどのような影響が出るかを見極める必要があります」
世界で初めて認可されたコロナワクチンの接種がイギリスで始まったのは昨年12月。以降、副反応のデータが世界中で集められている。
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。
「各社のワクチンで目立つ副反応は、接種部位の痛みや疲労感、発熱、筋肉痛です。ただし、なかには急激な血圧低下や失神などをもたらすアナフィラキシーショックや血栓症など、命にかかわる副反応も指摘されています。
副反応リスクは年齢、性別、持病などで異なる可能性もあり、ワクチンを接種する前に自分にどれほどのリスクがあり、何を準備すべきか知っておくことが重要です」
この先、高齢者向け接種に続き、基礎疾患のある人向けの接種が始まる。それだけにワクチンを接種する前に、「傾向と対策」をきちんとつかんでおくべきなのだ。
持病がある人は接種を急ぐ必要はない
都内在住の60代男性が不安げにつぶやく。
「3年前に糖尿病と診断され、食事療法と薬物療法を受けています。糖尿病患者がコロナにかかると重症化するとされるので早くワクチンを打ちたいのですが、やはり副反応が心配です。接種していいものかどうか……」
厚労省によれば、糖尿病の有病者は約1000万人に達する。国民病と称される病気だけにワクチンの影響が懸念される。

解決金渡す意向「聞いていない」 小室さん巡り宮内庁長官

秋篠宮家の長女眞子さま(29)との婚約が内定している小室圭さん(29)が、金銭トラブルの相手に解決金を渡す意向を示したことについて、宮内庁の西村泰彦長官は22日、定例記者会見で「(小室さん側からの連絡が)事前にありませんでした。事後も話を聞いていない」と述べた。
小室さんの意向への受け止めは、「コメントすることは控える」と述べるにとどめた。
小室さんは8日、母親の元婚約者との金銭トラブルについて文書を公表。これまで解決金を渡さなかった理由などを説明していた。西村長官は同日の会見で文書を「非常に丁寧に説明されていた」と話していた。

日米首脳会談。「ヨシ」「ジョー」の関係でも気がかりな菅首相の存在感の薄さ

4月16日、バイデン政権誕生後初となる対面形式の首脳会談が行われた。そのお相手は、ご存じのとおり菅義偉首相だ。会見ではバイデン大統領がしきりに「対面に勝るものはない」と強調。互いに「ヨシ」「ジョー」とファーストネームで呼び合うなど、信頼関係の構築を印象づける場面も見られた。

◆初の首脳会談は日中外交の分水嶺になった!?

だが、会談の主役は日本でも米国でも両首脳でもなく、中国だった。

共同声明には「国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有」「中国の不法な海洋権益に関する主張と活動への反対を表明」などと、これでもかとばかりに対中政策が並んだのだ。

なかでもメディアがこぞって見出しにしたのは、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」とした箇所だ。台湾が首脳間の公式文書に明記されたのは、佐藤栄作首相とニクソン大統領による’69年の共同宣言以来。半世紀を経て、中国が自国の「核心的利益」と位置づける台湾問題に、日米首脳が力を合わせて“介入”すると表明したのだ。

なぜ、これほどまでに対中強硬路線を打ち出す共同声明となったのか? 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員の古森義久氏は「米国世論の影響」と解説する。

「バイデン大統領は中国の人権弾圧や軍事的膨張、経済的威嚇については徹底的に抗議する一方、習近平国家主席を気候変動の国際会議に招待するなど、自身の目玉政策に関する分野では融和路線をとってきました。いわば、“まだら外交”です。ところが、米国内では中国に対する反発が高まり続けている。州当局や商工会議所などは中国に対してコロナの感染拡大を引き起こした責任を追及するべく損害賠償請求訴訟を起こしています。ウイグル問題を巡っては、上下両院で複数の『’22年北京五輪ボイコット法案』が提出されている。

極めつきは4月8日に上院に提出された『’21年戦略的競争法案』。中国のやみくもな膨張・活動を抑止するために友好国と連携して取り組むようにと、外交委員長の民主党議員と筆頭委員の共和党議員が連名で提出した法案です。超党派でまとめたので、大多数の支持を得て可決されるのは必至。もはや、中国との良好な関係を築く路線などありえないわけで、バイデン大統領がその姿勢を内外にアピールするのに、日米首脳会談は格好の場となったのです」

◆「一番乗りで会談できただけで成功」?

では、日本は利用された格好か? かつて米保守系シンクタンク・ヘリテージ財団で上級研究員を務めた横江公美・東洋大学教授は「一番乗りで会談できただけで成功」と話す。

「新大統領と真っ先に会談して日米同盟の強化と良好な関係構築を世界に印象づけることは日本外交における最優先事項なのです。今回、対中強硬路線を鮮明にしたことで日本が不利な状況に立たされると懸念する人もいるようですが、日本は米国とともに対中圧力を強める以外に選択肢はありません。

バイデン政権では対中融和路線が取られると予想されたにもかかわらず、これほどまでに対中圧力を強めているということは、今後、民主党政権が続こうが、共和党政権に代わろうが、米国の対中姿勢は変わらないことを示しているからです。

むしろ、G7内で日本だけがウイグル問題をめぐる中国制裁を拒否して半ば孤立していたことを考えれば、今回の日米共同声明は絶好のアピールポイントになったと言えるでしょう」

◆今後の日中関係悪化は必至か

単なるアピールではなく、日本の外交政策をかたちにした点も評価できるという。横江氏が続ける。

「今回の共同宣言に盛り込まれた『自由で開かれたインド太平洋』は、第一次政権時代の’07年に安倍首相が唱えた『自由で繁栄するインド太平洋』という外交用語に準じて、第二次政権で提唱した戦略。中国の経済的台頭を意識して、インドやオーストラリアなどとの戦略的協力関係の構築を目指しましたが、’15年に突如オーストラリアの首相が交代して親中路線になったため、半ば頓挫していました。

それがコロナ禍を経てオーストラリアが反中外交に転換し、さらに今回の声明。つまり、菅首相は日本発のグローバルな対中外交戦略を結実させようとしているのです」

とはいえ、今後の日中関係悪化は必至。日本の経済的ダメージは避けられないとの見方が浮上している。

「日本には人権侵害を根拠とする制裁規定がないため、現状では対中制裁に動く可能性は低く、中国による報復制裁も考えにくい。しかし、ウイグル族に対する人権侵害に反対を表明した外国企業が中国の検索サイト上に表示されなくなるなど、陰に陽に嫌がらせを受けています。

今後、強制労働に関与した中国企業との取引を停止した日本企業にまで対象が広がるのは避けられません。政官財ともに中国との関係見直しを迫られるでしょう。その点で、今回の首脳会談が日本の対中政策の分水嶺になったとも言えます」(古森氏)

◆現地記者は共同会見で首脳会談の内容をスルー

先行き不安を駆り立てる会談とも言えそうだが、もう一つ気がかりな点が……。菅首相の存在感の薄さだ。

「共同会見では現地の記者と日本人記者が2人ずつ質問したのですが、1人目の現地記者は4月15日にインディアナ州で起きた銃乱射事件についてバイデン大統領に質問し、2人目はイランが高濃縮ウランの製造を表明したことについての質問でした。日本には興味がないとばかりに、首脳会談とは関係のない質問しかしなかったのです。

2人目は菅首相に『コロナの感染拡大が抑制できていないなかでの五輪開催は無責任ではないか?』という質問もしたのですが、菅首相は質問を聞き逃したのか、何も答えずに日本人記者の質問を促す場面が見られた。発言はすべてペーパーを読み上げるかたちだし、バイデン大統領と比して格落ち感が際立つ会見でした」(全国紙政治部記者)

不安とともに課題の残る首脳会談だったようで……。

◆日米共同声明の注目ポイント

●対中政策
・米国は核を含むあらゆる手段を用いて、日本の防衛を支持する
・日米安全保障条約第5条が日本の尖閣諸島に適用されることを再確認し、尖閣諸島における日本の施政を損なおうとする一方的な行動に断固反対する
・東シナ海における一方的な現状変更や、南シナ海における中国の不法な領有権主張に反対を表明
・航行と飛行の自由が保証される、自由で開かれた南シナ海における共通の利益を再確認
・日米はサイバーおよび宇宙を含むすべての領域を横断する防衛協力を深化させることにコミット
・台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す
・香港および新疆ウイグル自治区における深刻な人権侵害に対する懸念を共有し、中国との対話の重要性を認識したうえで直接懸念を伝えていく

●東京五輪
・バイデン大統領は今夏に安全・安心に開催するための菅首相の努力を支持

●対北朝鮮
・北朝鮮の完全な非核化をともに目指すことを再確認
・日本の拉致問題の即時解決に向けた米国のコミットメントを再確認

●気候変動問題
・2050年温室効果ガス排出実質ゼロを目指し、2030年までに確固たる行動を取ることにコミット
・日米気候パートナーシップを立ち上げてインド太平洋などにおける脱炭素実現を支援

●コロナ対策
・日米はパンデミックを防ぐ能力を強化するとともに、WHO(世界保健機関)を改革するために協働する
・日米はパンデミックを終わらせるためにグローバルな新型コロナウイルス・ワクチンの供給および製造のニーズに関して協力する

◆共同会見に課題あり?菅首相の日米外交

日本人記者との質疑応答でも菅首相はちぐはぐなやり取りを見せていた。

「ワクチンの具体的な供給スケジュールに関する言及はあったか?」「温室効果ガスの削減目標に関する数値目標は出たか?」と問われたのに、「日米で協力していく」「連携強化を確認できたことは有意義」と、答えにならない返答を続けたのだ……

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!4月27日号より

コロナウイルスよりも怖い「誰かを悪者にして溜飲を下げる」という心理

コロナ騒動が始まってから1年3カ月ほど経過した。その間、何人もの「非常識な不届き者」「現実を理解していない身勝手な輩」とされる人々が登場し、政治家や専門家、各種メディアから批判された。SNSや記事のコメント欄など、ネット上でもやり玉に挙げられ、厳しく糾弾されてきた。
本稿ではそれら“コロナに関連して「悪者」扱いされた人々”を振り返ってみたい。たがその前に、日本におけるコロナ騒動の起こりについて、大まかに触れておこう。
国内の症例第一号は、中国・武漢に帰省した中国人男性で、同氏の父親から感染したと見られている。2020年1月3日に発熱を感じたが、そのまま1月6日に日本に戻ってくる。そして1月15日に確定診断がおこなわれ、翌16日に陽性が発表された。
このころは「中国で父親と濃厚接触」という言葉に対して「父子で“アッー!”な関係なのか?」などとネットで不思議がられるくらい、まだまだ危機感は薄かった。「濃厚接触」とは「ディープキス以上」だと解釈されていたのだ。ほどなく武漢在住の日本人がチャーター機で帰国し、ホテルで隔離されたりしたが、当時はまだ「自分たちは渡航歴がないから大丈夫」といった空気だった。なにしろ安倍晋三首相(当時)が、春節に合わせて来日する中国人観光客を歓迎するような発言をしていたくらいだったのだから、緊張感はなかったといえよう。
そして2020年2月、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号で陽性者が出て横浜港に停泊を続けた際、アメリカメディアから「日本の対応は悪い例として教科書に載せてもよいレベル」などと酷評された。この時期になると「ムムム? もしかしてヤバいウイルスなのでは?」といった印象も生まれ始め、イタリアで感染者数が激増して病院がパニックに陥っている映像を見せられるころには、「恐怖のウイルス」というイメージが人々の心に染み付くようになった。
「コロナはヤバ過ぎるウイルスだ!」という印象が決定的になったのは、2020年3月29日、コメディアンの志村けんさんがコロナで亡くなったことだ。私が当時書いたエッセイを読み返すと、自分は4月の第2週にマスクを付け始めた、と書いてあった。私の装着開始は遅かったため、すでに東京では4月の第1週には9割以上の人がマスクを装着していたと見てよいだろう。それだけ、志村さん逝去の影響は強かった。
日本におけるコロナ騒動の初期の様子をおさらいしたところで、続いては「悪者」になった人々を振り返ろう。
初期のころ、やり玉に挙げられたのは「屋形船」だった。2020年1月18日、東京のタクシー組合の新年会が70人規模で屋形船にて開催された。ここで乗船客と従業員9人のクラスターが確認されたのだ。屋形船の運営会社には誹謗中傷の電話や脅迫文が送られる事態になった。屋形船ではカラオケもおこなわれるなどしていたが、それらもクラスターの原因とされた。
そこで陽性となった屋形船従業員が、中国・湖北省からの観光客と接触していたことを証言。さらに「タクシー運転手ならば中国人も乗せていたはずだ」といった憶測も加わり、次の悪者として「タクシー運転手」が注目されるようになっていく。各タクシー会社はすぐさま従業員のマスク着用徹底を呼びかけたほか、前後の席の間に仕切りをつくり、窓を常時すべて開けるなどの対策を採った。このころからテレビに医師や研究者といった感染症の専門家が次々と登場するようになり、時代のヒーロー、ヒロインになっていく。
いまではすっかり「若者」が悪者にされるのが当たり前になっているが、ダイヤモンド・プリンセスに乗っていた客の多くが高齢者だったことから、当初は「カネとヒマのある高齢者」が悪者にされていた。2020年2月末、千葉県の70代女性が発熱を自覚していたにもかかわらず、バスツアーで富山や岐阜に出かけたことが明らかになった。女性は後にコロナ陽性が確認された。さらに、クルーズ船に乗っていた60代男性が自宅待機の命令を無視してジムへ行くなどし、陽性が明らかになった例も。こうしたことから「アクティブにもほどがある」とあきれられ、ネットでは「アクティブジジイ」「アクティブババア」と揶揄(やゆ)される存在になった。
次にやってきたのが「ライブハウス」叩きである。2020年3月上旬、大阪のライブハウスでクラスターが発生。ライブハウスは音漏れ防止のために窓がなかったり、地下にあったりするため、換気効率はあまりよくないケースもある。とはいえ、改善策を講じた施設も含めて、十把一絡げに悪者扱いされた。大阪の例でいえば、国内各地から客が訪れていたため、「この店舗のコロナウイルスが全国に拡散した」などと吊し上げるような論調で紹介するメディアもあった。ライブハウスは「不要不急」の象徴のように扱われ、怪しげなアングラ感も手伝い、すぐさまネット上でバッシングが加速した。
ライブハウスもその動きに呼応。無観客運営に切り替えるといった形で対処したものの、演劇でもクラスターが発生するなどしたため、ますます立場は悪くなっていった。なお、私は2020年3月18日、新宿のロフトプラスワンで登壇者3人による動画配信のみの無観客トークイベントをおこなっている。予定されていたイベントが軒並み中止になっている窮状を鑑み、「ノーギャラで配信収益は全額店に渡す、という条件であれば」と参加した。当時は出演者のあいだにアクリル板はなかったし、フェースシールドやマスクもしていなかった。
同じころ、なぜか愛知県で増殖したのが「オレコロナ男」である。商業施設などで「オレコロナ!」と叫び、ベタベタとそこらへんを触ったりしたので、消毒のため営業を止めるといった実害があった。また、「ウイルスをばらまいてやる」とまわりに宣言したうえでフィリピンパブを訪れた愛知県蒲郡市の「オレコロナ男」は、開店前にやってきて店の入り口近くの椅子でしばらく寝たあと、ホステスを触ったり抱き寄せたりするなどやりたい放題。同店では入口の近くにいたホステスが陽性者となった。肥満体型だったというこの57歳男性は、後に亡くなっている。
2020年3月20日から22日の3連休、事前に人出の増加が懸念されていたのだが、案の定、どこもかしこも人だらけに。そのなかで悪者にされたのが3月22日、さいたまスーパーアリーナでおこなわれた「K-1」の大会だ。埼玉県と国から開催自粛要請が伝えられていたものの、席を減らす形(6500人)にして開催は強行された。
同3月25日、東京で41人の陽性者が出たことから、東京都の小池百合子知事は会見でK-1の実行委員会を名指ししたうえで、3月28日におこなわれる後楽園ホール大会の開催自粛を要請したことを明かした。結局、大会は無観客で開催された。
これが、志村けんさんが亡くなる前夜のコロナをめぐる空気感である。志村さんの死で一気に緊張感は高まり、さらに4月23日には女優の岡江久美子さんが63歳の若さで亡くなったこともあって、「コロナはヤバ過ぎるウイルス」という世間の認識が完全に定着した。各地の知事はゴールデンウイークに不要不急の外出をしないよう要請。このころ「他県ナンバー狩り」が登場し、「自粛警察」の存在も取り沙汰されるようになる。
ゴールデンウイークに悪者にされたのは、東京から地元・山梨に深夜バスで帰省した20代の女性会社員だ。地元の友人とバーベキューをしたり、ゴルフ練習や整体に行ったりしたほか、友人男性と何度も濃厚接触をした、などと報じられた。陽性がわかっているのに再びバスに乗って東京へ戻ったことから、批判の対象に。友人男性も陽性が明らかになった。ネット上では彼女の正体暴きをする動きが起こり、山梨県における陽性者の55例目だったことから「コント55号」にかけて、「コロナ55号」と呼ばれたりもした。この事態を受け、山梨県はネットの誹謗中傷に対し、当該女性や家族に配慮するよう求める異例の事態となった。
この時期にはすでにステイホームやリモートワークが定着していたが、「換気の悪い密室」かつ「不要不急」の危険空間として「カラオケ」も悪者にされた。私は当時、広報関連の相談を某カラオケチェーンから受けており、テレビでさんざん悪者にされていたため、「感染症対策をどうすべきか」こそがもっとも大切なコミュニケーション戦略になっていたことをよく覚えている。
悪者ということでは、「パチンコ屋」に対しての批判もかなりのものだった。開店前の行列が「密」であることや、店内に人が大勢いることから「ヤバい施設なのでは」と捉えられた。大阪府の吉村洋文知事は、4月下旬、緊急事態宣言下でも営業していたパチンコ施設6軒の店名を公表。パチンコ屋でクラスターが発生した例などないのに、「密」のイメージが強烈だったことに加えて、普段から何かと叩かれがちな業界のため、「見せしめにしてもよかろう」と判断したように私には思えた。なお、店名が公表された店には「おっ、開いているパチンコ屋があったぞ!」と客が殺到したという。
このころはまだ東京と周辺の3県(神奈川・埼玉・千葉)、大阪・京都、札幌、名古屋、福岡といった大都市の陽性者が多かっただけで、地方では感染爆発という状況にはなっていなかった。そのため、これら大都市の人々が日本各地で過剰なまでに警戒されていた。
たとえば静岡県御殿場市では、「一見さんお断り」の表示を市が用意するほどだった。また、岡山県や長野県は他県から入って来ないよう強く呼びかけていた。とくに岡山県の伊原木隆太知事は「県境を越えて移動してきた人が、検温で後悔していただくことになれば」と発言し、「じゃあもう岡山なんて行かねーわ!」などとネットで強い反発を受けた。一方で、徳島県の飯泉嘉門知事は「他県ナンバー狩り」をしないよう警鐘を鳴らした。なお同県の企画会社が、他県ナンバーのクルマに乗る県内在住者が自衛できるように「徳島県内在住者です」のステッカーを作成したことも話題になった。
当時、「5ちゃんねる」といったネットの掲示板などでは、東京都民のことを「トンキン土人」などと蔑視し、東京で感染者が増加したり、都民が他県に移動したことがわかったりすると「いい加減にせぇ、トンキン!」と口汚く罵るのが定番となっていた。悪者になったということでは、「東京在住者」や「都会人」も同様だったのである。
そんななか、政治家で最大の悪者とされたのが「安倍晋三・前首相」である。俳優・ミュージシャンの星野源がインスタグラムに『うちで踊ろう』という楽曲の弾き語り動画を投稿。それを受けて、タレントやミュージシャンから一般人まで、多くの人がコラボ動画を作成して話題を呼んだ。その流れにのって、安倍氏もステイホームでくつろぐ自身の姿をくだんの動画に組み合わせたコラボ(というか、勝手に使っただけの)動画を公開したところ、優雅にコーヒーを飲んだり犬を抱いたりする様が「貴族か!」と批判された。合わせて「アベノマスク」も政府の無策の象徴として悪者扱いされた。
そして夏が近づいてくると、「接待を伴う飲食」「ホスト」「夜の街」が悪者にされた。小池都知事が再三これらの言葉を会見で使用し、実際に東京都の職員が新宿・歌舞伎町に出向いて指導する光景もしきりに報じられた。
前出の「ライブハウス」と同じように、こうした類いの店はパリピ的でアングラなイメージがあるから、叩きやすいのだ。この時期、コロナをめぐって「誰かを悪者にする」流れはすっかり定着したといえよう。
そして、2020年の秋を迎えるころ、ドカーンとデカいボリュームゾーンの悪者が定着した。「若者」である。医師会や知事たちは「若者が元気に動き回って高齢者に感染させる」という説をふりかざし、若者悪玉論を蔓延させた。テレビの情報番組では、屋外で酒を飲む若者の姿をモザイク付きで紹介し、司会者やリポーターは「あーっ、マスクを着けていませんね!」などと批判した。
しかしながら「そこまで若者と高齢者が接しているか?」と考えると、疑問もある。厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査」によると、3世代世帯の割合は、大阪府が2.5%で、東京都は1.8%なのだ。そもそも高齢者の感染経路はカラオケ喫茶や介護施設などが多いというデータもある。いずれも高齢者同士の接触をまず疑うべき場所ではないか。しかも施設の場合、職員はみな、感染対策に必死に取り組んでいる。小池知事は「防ごう重症化 守ろう高齢者」のフリップを掲出して若者に自制を求めたが、これを見て私は「あ、小池さん、高齢者の支持を集めるべく票田を取りにきたな……」と感じた。
初期の「アクティブジジイ・ババア」と「都会人」はネット上の中傷なのでさておき、「屋形船」「タクシー」「ジム」はメディアがつくった悪者だ。そして医師会・政治家が悪者にしたのは、「夜の街」「ライブハウス」「K-1」「若者」などである。野党が悪者にしたのは「Go To トラベルキャンペーン」と「Go To Eatキャンペーン」(とくに2021年3月以降の宮城県)だ。
医師会・政治家は客や票田にならない人々を狙い撃ちにして、また野党は政府の失政を叩くために、あえて「悪者」をつくっているように見えて仕方がないのである。もはやコロナ対策は、完全に政治的思惑と絡み合ってしまった。もっとも、これは世界的に共通する事象であろう。たとえばアメリカの場合、共和党の知事が治める州はマスク着用を義務化せず、民主党の知事が治める州は義務化する傾向がある。
コロナ対策と政治的思惑との兼ね合い、ということでは東京五輪の動静も注視しなければならない。聖火リレーが開始したとき、先頭を走るスポンサーのDJカーに乗っている人々がマスクをしていなかったことが批判された。そもそも聖火リレー自体が「密」をもたらす催しだとして批判の対象になっている。
2021年4月13日、大阪府内の新規陽性者数が初めて1000人を超えたと報じられ、同18日には1220人に。これは4月11日の「だんじり入魂式」のせいにされるだろう。「だんじりの準備のために、4月に入ってから多くの人が『密』な場所にいた」と。現に「歓楽街のコロナ軽視、だんじり祭りの入魂式の打ち上げ等が1番の理由」というツイートもあった。
コロナの変異株が、従来のものに比べて若者や子どもにも感染しやすい傾向が見られるとされることから、陽性者数1000人超えに合わせるようにして、大阪府の吉村洋文知事は小中高における部活動の原則休止を要請。ついに「子ども」まで悪者にし始めた。日本医師会の中川俊男会長も「休校の検討が必要」との声明を発表している。
だが、「変異株は子ども・若者にも広く感染し、彼らが家庭に持ち込んで高齢者にうつす」といった、専門家や政治家がしきりに述べる定説には違和感がある。大阪府が発表したデータを見ると、2020年6月14日~6月27日の集計では陽性者の87%が「40代未満」だった。ところが2021年3月21日~4月3日は57%、2021年4月4日~13日は51%だった(参照した棒グラフの目盛りが10%刻みのため、パーセンテージは1%ほどズレているかもしれないが)。明らかに若年層の割合は減っているのだ。子ども・若者悪玉論は、もう苦しくないか?
結局、コロナ対策では折々で「悪者」を仕立てあげてきたので、人々はコロナウイルスよりも「人間」が恐ろしくなってしまった。これがさまざまなコロナ騒動の本質なのである。
2021年4月15日に放送された「めざまし8」(フジテレビ系)の番組内で、出演者のタレント・遼太郎が、コロナ陽性と診断されたことが永島優美アナによって発表された。
神妙な表情でこのことを伝える永島アナに続き、事務所の先輩だというMCの谷原章介は「残念。僕自身ももっと気を引き締めていきたいです」とこれまた神妙な表情でコメントした。このとき「おいおい、気合いでなんとかなるのかよ」と思うとともに、「こりゃー『コロナに感染するのは気の弛みがある証拠』論が一生終わらないんじゃねーのか?」と暗澹たる気持ちになった。
そして現在、もっとも悪者扱いされているのは「外に出る人」と「会食」だ。「人流を減らすことがとにかく大事」としきりに叫ばれるなか、4月21日の「モーニングショー」(テレビ朝日系)では、「過去に自分が感染したことがあるにもかかわらず娘と会食に出かけ、娘が感染してしまった母親」と「過去に同居する男性が感染したのに、会食をして感染した女性」が登場。「身近な人がそんなことになったのに危機感を持たず、まったく懲りていないどうしようもない連中」扱いされていた。もはや会食は反社会的行為なのである。
ひとたび悪者にされてしまったら、もうたまったもんじゃない。先日、東京でタクシーに乗った際に、運転手から次のような話を聞いた。
「私たちは、初期のころから『タクシーが危ない』なんて指摘されてきたので、会社から感染対策を徹底的に叩きこまれています。『経路不明の感染』とされる事例では、釣り銭のやり取りが原因になっている可能性もあるというから、お客さんにはできるだけ電子マネーで支払ってもらいたいですね。小銭のやり取りをしたあとは、必ず消毒液を手のひら全体につけて、乾燥させるために10秒ほど手を広げておかなくちゃいけないんです。すぐに発車したいのですが、これがルールなのでね。最初に悪者にされてしまったから、どうしても世間の目が怖くなりますよ。あの屋形船以降、タクシー乗務員のあいだでクラスターが発生したなんて聞きませんし、私の同僚にもコロナに感染した人はいないのにねぇ……」
誰かを悪者にし、叩くことによって留飲を下げたり、「自分は正しい」「自分は言われたとおり我慢している。感染しているのは身勝手で腑抜けた連中だ」と自己正当化したりすることが可能になる。
次の「悪者」は一体誰になるのだろうか。私は「ゴールデンウイークに遊びまわる若者」あたりが吊し上げられると予想する。そして万が一、今年7月の都議選で、自分が支持しない候補者の事務所でクラスターが発生したとなれば、その候補者や所属政党を悪者扱いする人が続出するだろう。
7月23日からは東京五輪が開催予定だ。ここでは「夜の路上で大騒ぎしながら酒を飲む外国人」が悪者候補として有力である。競技が無観客でおこなわれることになったとしても、関係者や審判たちは数多く来日するはずだ。五輪に関連して、再び海外から変異株がもたらされたら、どうなるか。
人々の恐怖は、まだまだ終わらない。
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(ライター 中川 淳一郎)

「家族が帰ってこない」通報…コンビニ駐車場の車から家族4人の遺体発見

22日午前0時50分頃、横浜市青葉区恩田町のコンビニ店駐車場に止められたワンボックスカーの車内で、男女4人の遺体が見つかった。
神奈川県警青葉署の発表によると、遺体は同区奈良、職業不詳の男性(40)、妻(37)、長男の小学2年児童(7)、次男(2)。
21日午後11時頃、同じ敷地に住む妻の母親から「家族が夜になっても帰ってこない」と同署に連絡があり、同署員が約2時間後に鍵がかかった車を発見した。4人は、その場で死亡が確認された。遺体には外傷や血痕があり、捜査関係者によると、車内から刃物も見つかったという。同署は無理心中の可能性があるとみて調べている。

東京都、新たに861人感染 宣言解除後最多を2日連続更新

東京都は22日、新型コロナウイルスの感染者が新たに861人報告されたと明らかにした。今年の緊急事態宣言解除後の最多を2日連続で更新した。直近7日間を平均した1日当たりの人数は684.1人に上昇し、前週比は130.7%。累計は13万2903人となった。
都内は感染の再拡大が続いて変異株の割合も増しており、都は21日、政府に緊急事態宣言の発令を要請した。

大規模サイバー攻撃「背景に中国軍と特定」 警察庁長官

警察庁の松本光弘長官は22日の記者会見で、2016~17年にあった約200の国内企業などに対するサイバー攻撃について、「中国人民解放軍が関与している可能性が高いとの結論に至った」と述べた。そして「攻撃の背景組織を特定するまでに至ったのは非常に意義深い。外国の治安情報機関からも強い関心を示されている」と強調した。
また、サイバー攻撃への対応は「経済安全保障を含む国家の危機管理上の重要な課題。被害の未然防止と拡大防止の観点から官民の連携が極めて重要」として、情報共有を進める考えを示した。【町田徳丈】

東京の感染拡大「未来永劫、脅威に」 山梨知事、防止徹底求める

山梨県の長崎幸太郎知事は22日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に関して「東京が収まらない限り(山梨県は)未来永劫(えいごう)ずっと脅威にさらされる」と述べ、隣接する東京都に感染防止策の徹底を促した。
長崎氏は、東京の感染拡大が「大きな圧力になってくる」と懸念。飲食店や宿泊施設の感染対策を促す県独自の制度が他県にも波及しているとして「東京都こそ取り入れてしっかり対応してほしい」と訴えた。
小池百合子都知事は過去に緊急事態宣言が発令された際、都県の境をまたいで移動しないよう都民に求めている。長崎氏はこれを念頭に、東京で3回目の宣言が発令された場合、「(都民は)地元の方針に沿ってほしい」と述べ、山梨県への来訪を自制するよう求める考えを示した。
一方、自民党の二階俊博幹事長が感染拡大地域への優先的なワクチン配分に言及したことには「トータルで最適な戦略を国に考えていただき、それに協力したい」と理解を示した。【梅田啓祐】

小池都知事のよこしまな思惑 緊急事態宣言“期間設定”背景にIOCバッハ会長の来日

3度目の緊急事態宣言発令が、23日の政府の対策本部で決まる。対象は大阪府、兵庫県、京都府、東京都の4都府県。東京都は宣言の期間について、今月25日や29日~来月9日や11日など、ゴールデンウイークを含む日程を念頭に国と協議している。百貨店や大型商業施設などへ休業要請を実施するため、短期間に絞り込みたいとみられる。感染が思うように収まらなければ、宣言を来月16日まで延長することも想定しているようだが、この日程は疑問だらけだ。

まず、スタートが25日か29日では大違い。すでに東京でも変異株が猛威を振るいつつあり、都が独自に調べている変異株のスクリーニング検査では、変異株の割合は3月1~7日の6.3%が4月5~11日には37.8%にまで激増している。

21日の東京の新規感染者は843人で、3月の宣言解除後の最多を更新した。直近7日間平均では665人。これは1週間前の1.3倍で、このまま同じペースで拡大したとしても、1週間後の平均は890人に増加する。月初からの拡大ペースなら来週は1.5倍となり、平均999人だ。つまり、早晩1000人を突破する日が出るのは確実。今すぐにでも手を打つ必要があり、宣言スタートが1週間後の29日では遅過ぎる。

延長しても来月16日までで十分なのか。政府分科会の尾身会長は「個人的には最低3週間は必要だと思う」と言っているのだが、そこには東京五輪絡みのよこしまな思惑がありそうだ。IOCのバッハ会長が来月17、18日の日程で来日予定なのだ。

■IOCバッハ会長来日を意識?

初日は広島で聖火リレーの式典に出席し、2日目は東京で菅首相や橋本大会組織委員会会長、小池都知事らとの面会が調整されている。

つまり、バッハ会長の来日までに宣言を解除したいということなのだろう。

この期に及んで五輪優先。聖火リレー開始に合わせて前回の宣言を解除し、リバウンドを招いた愚を繰り返すのか。

昭和大学医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)が言う。

「バッハ会長が来日する時には、感染を最も抑え込めている状態にしたいという意向がありそうですね。来日を意識して宣言期間の終わりを決めようとしているのでしょうか。スタートは早い方がいい。遅れれば、変異ウイルスの感染拡大は大阪のようになってしまいかねません。医療体制も第3波後の立て直しがまだできていませんから、東京もすぐに逼迫してしまう。一日も早く、より厳しい対策を取るべきだと思います」

相変わらずの五輪ファーストでは変異株は抑え込めない。

イモトアヤコさんと森下広一さんが聖火ランナーを辞退 鳥取

鳥取県は22日、県内で5月に予定している東京オリンピック聖火リレーで、タレントのイモトアヤコさん(35)=同県伯耆(ほうき)町出身=とバルセロナ五輪のマラソン銀メダリストの森下広一さん(53)=同県八頭(やず)町出身=がランナーを辞退したと発表した。21日に大会組織委を通じて連絡があった。イモトさんは鳥取市、森下さんは八頭町を走る予定だった。
県スポーツ課によると、2人からは大会組織委を通じて「県外在住の自分が、感染が拡大している状況で故郷に戻るのは遠慮したい」という趣旨の説明があった。
県内の聖火リレーは5月21、22日に実施予定で、新型コロナウイルス感染拡大を受け、全19市町村を巡るコースは当初の約31キロから約16キロに短縮し、セレモニーも簡素化。県は密集を避けるため著名人ランナーは公道の走行を控えてもらう方針を関係者に伝えていた。【野原寛史】