幼児2人殺害容疑で父親逮捕 鹿児島のホテルに遺体 無理心中か

2月に鹿児島市内のホテルで男児と女児の遺体が見つかった事件で、福岡、鹿児島両県警は26日、父親で福岡県飯塚市伊川の職業不詳、田中涼二容疑者(41)を殺人容疑で逮捕した。飯塚市の自宅団地では別の男児が死亡しているのが見つかっており、両県警は合同捜査本部を設置して3児が死亡した経緯を調べる。
逮捕容疑は2月26日午前10時40分から午後7時ごろの間、鹿児島市内のホテルの一室で、長男蓮翔(れんと)ちゃん(当時3歳)と長女姫奈(ひな)ちゃん(同2歳)の首を何らかの方法で圧迫するなどし、窒息により殺害したとしている。田中容疑者は「首を絞めて殺してしまった」などと供述し、容疑を認めているという。
捜査関係者によると、部屋からは「3人で死ぬ」などと書かれた遺書が見つかり、田中容疑者が無理心中を図ろうとして2人を殺害した疑いがある。蓮翔ちゃんの体には刺し傷もあり、出血していたという。
田中容疑者は2月18日に福岡市内でレンタカーを借り、蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんを連れて宮崎県に移動。同県串間市でレンタカーを乗り捨て、列車で鹿児島市に向かい、24日に同市のホテルにチェックインした。レンタカー内に未使用の練炭が見つかったため、福岡県警が飯塚市の自宅団地に急行したところ、25日午後に室内で田中容疑者の養子で小学3年の男児(当時9歳)が遺体で見つかった。
その後、福岡県警が田中容疑者らが滞在する鹿児島市内のホテルを突き止め、26日夜に捜査員が踏み込んだが、部屋では蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんが既に死亡していた。田中容疑者はホテルのベランダから飛び降りて重傷を負い、鹿児島市内の病院で治療を受けていたが、警察は医師の所見を踏まえて逮捕に踏み切った。【浅野孝仁、白川徹】

ブルーライトカット眼鏡 「子どもの近視リスク」 眼科学会など

パソコンやスマートフォンなどのデジタル端末の液晶画面から出る「ブルーライト」をカットする眼鏡について、日本眼科学会や日本眼科医会などの6団体は「子どもに使用を推奨する根拠はなく、むしろ発育に悪影響を与えかねない」などと慎重な対応を求める意見書をまとめた。
ブルーライトはデジタル端末の液晶画面から発されるだけでなく、太陽光にも含まれる。波長の短い可視光線で、大手眼鏡専門店は、子ども用のブルーライトカット眼鏡を発売している。意見書は「夜遅くまでデジタル端末の光を浴びると、睡眠障害を起こす恐れが指摘されている」と指摘。「夕方以降にブルーライトをカットすることには、一定の効果が見込まれる可能性がある」とした。
その一方、「液晶画面のブルーライトは曇り空や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルで、いたずらに恐れる必要はない」「子どもにとって、十分な太陽光を浴びない場合、近視進行のリスクが高まる。ブルーライトカット眼鏡の使用は、ブルーライトを浴びるよりも有害である可能性が否定できない」――などとする米眼科アカデミーなど国内外6本の研究成果を紹介。「子どもに使用を推奨する根拠はない」と結論付けた。
コロナ禍でオンライン授業の機会が増える中、文部科学省はタブレットなどの端末を1人1台配布し、学習に活用する「GIGAスクール構想」を進めており、子どもがデジタル端末を使用する機会は増える。日本眼科医会は子どもの目を守るために、画面から30センチ以上目を離すことや、30分に1回は20秒以上遠くを見て目を休ませることなどを呼びかけている。【谷本仁美】

韓国の元患者家族が補償請求=ハンセン病、法制度利用

戦前、日本の植民地下でハンセン病隔離政策によって差別を受けたとして、韓国の元患者家族62人が26日までに、元患者家族への補償法に基づき、日本政府に補償を請求した。
オンラインで記者会見した弁護士らによると、62人は元患者の子どもやきょうだいら。台湾からは6人が申請し補償が認められているが、韓国からの請求は初めてという。
補償法は、元患者家族が隔離政策によって偏見にさらされたことへの反省を示し名誉を回復するため、2019年11月に成立。国内に加え台湾や朝鮮半島の元患者家族も対象となる。厚生労働省によると、今月までに6699件の補償金支給が認められている。
[時事通信社]

「マスク着用強要は違法」=ぜんそく社員が日本郵便提訴―大阪地裁

ぜんそくの症状でマスク着用が難しいのに、職場で着用を強要されたとして、日本郵便社員の米倉諒太さん(33)が26日、同社と当時の上司2人に計約330万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状などによると、米倉さんは2012年に入社し、大阪府豊中市の豊中郵便局で郵便物の仕分けを担当。20年4月、上司から新型コロナウイルス対策としてマスク着用を求められ、事情を説明したが聞き入れられなかった。同5月、着用して勤務中に倒れ、低酸素脳症と診断された。その後も自主退職を強要されるなどのパワハラを受けたと訴えている。
記者会見した米倉さんは「(当時の上司には)しかるべき責任を取って謝罪してもらいたい」と話した。日本郵便は「訴状が届いていないためコメントは控える」としている。
[時事通信社]

大阪府の吉村洋文知事「17日間でステージ3は難しい」緊急事態宣言の延長も示唆

大阪府の吉村洋文知事(45)が26日、ABCテレビ「キャスト」(月~金曜・後3時45分)に生出演した。この日の新型コロナ新規感染者数は月曜日としては最高の924人と発表し「まだまだ感染拡大を実感してる。保健所のメンバーと話していても、第3波で感染していなかった事例でも感染している。変異株の感染拡大が強く、油断はできない」と危機感をあらわにした。
緊急事態宣言について、2回目の先行解除は正しい判断だったかを問われた吉村知事は「現状の感染者数が多いので、解除が早かったという批判は受けなければならない。ただ、解除した時の陽性者数は54人。抑え込んだ上で専門家の意見も聞いて解除した。その後、急拡大してしまったので、早く感染拡大を抑える判断で今回の緊急事態宣言を出した」と説明した。
飲食店でアルコールの提供が禁止されたが、路上飲みについては規制できない現状。吉村知事は「呼びかけ、見回って声をかけるしかできない。個人の自由は尊重している。諸外国は個人の自由を制限する。僕個人としては個人の自由は当たり前だけど、感染症対策をお願いすることしかできない」と話した。
今回の緊急事態宣言の延長については「17日間でステージ3にもっていくのは難しい。4都府県のうち、一番厳しい状況は大阪。僕は3週間から1か月という考え方。変異株の脅威も目の当たりにしているので、判断は難しいが、まずこの期間集中することが大切。すぐ解除とは思ってない」と、延長要請も示唆した。

安倍前総理「増税は絶対にしてはいけない」~コロナ禍での経済対策

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月26日放送)に元内閣官房参与で前駐スイス大使、現TMI総合法律事務所顧問の本田悦朗が出演。安倍前総理が非公開の講演で語ったコロナ禍での経済対策について解説した。
政治 安倍晋三首相 「桜を見る会」問題などについて、首相官邸で記者団に異例対応=2019年11月15日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社
安倍前総理は4月22日、自身が顧問を務める会合で講演を行い、コロナ禍での経済対策について「間違っても増税はダメだ」と指摘した。安倍前総理は「東日本大震災の復興増税で、その後の日本経済に大きな負担がかかった。そこからアベノミクス構想が始まった」とも説明している。
飯田)「保守団結の会」での非公開の講演でということですが、これ以外にも安倍前総理は議員活動を活発にやられています。
本田)「政治家・安倍晋三再起動」という感じですね。22日に保守団結の会を開催されたのですが、その10日ほど前に、安倍前総理が開催する「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」が開かれて、私はそこで講演をしました。私の右隣が安倍総理で、その隣には岸田さんがいらっしゃって、私の左隣は、アベノミクスの生みの親と言われる山本幸三先生という、そうそうたるメンバーが聞いてくださいました。
本田)やはり、コロナが終わったあとの経済政策をどうするのかと。凄まじい財政赤字を出しているが大丈夫かと、皆さん、心配しているのです。私は開口いちばん、「復興増税をして財政を直すという発想は絶対にやめてください」ということを申し上げて、すべてそれが出発点です。増税はしないことが出発点で、もちろん消費税増税はしない。できたら一時的に消費税の税率を5%にまで下げるくらいで、デフレ脱却を確実なものにしたい。復興を確実なものにしたい、ということです。
本田)何よりも若い人、一般の方に将来に対して明るい展望を持って欲しいのです。明るい展望を保つためには、給与が増えなくてはいけないのです。給与を増やすためには、売り上げが増えなくてはいけない。設備投資も起こっていないといけない。それをすべて壊してしまうのが増税なのです。だから、ある一定のレベル、特に我々が考えているのが、「物価安定目標2%」に近付いて来るとデフレから脱却する。経済の好循環、賃金が上がる、消費が上がる、投資が上がる、売り上げが伸びる、そしてまた賃金が上がる。こういう好循環を回せば国民は明るい展望を持ってくれるのです。それを持つまでは絶対に増税はダメだということなのです。
飯田)絶対にいけない。
本田)しかし、不幸なことに、いまはコロナで大変な財政需要が出て来ています。これは企業、あるいは個人の存亡、生存に関わる費用なので、文句を言ってはいられないのです。必要なものは絶対に出さなくてはいけないのです。
飯田)ケチってはいけないですよね。
本田)命に関わりますから。そんなときに財政再建などと言っている場合ではありません。さすがに財務省もそこは文句を言いません。2020年の1次補正、2次補正、3次補正、すべて入れると90兆円を超える財政赤字を出しました。しかし、世の中で何が起こったかというと、何も起こっていないのです。インフレも起こっていない、金利高騰もない。非常に落ち着いた経済がある。それで救われた日本国民は何人もいらっしゃる。むしろ少ないくらいだということなのです。
新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者(左)=2021年2月17日午前9時16分、東京都目黒区の国立病院機構東京医療センター(代表撮影) 写真提供:産経新聞社
本田)確かに、財政はどこかの段階で改善していないと、いまの債務状況は多過ぎるという気がします。しかし、改善するのはいまではないということです。いちばん大事なのは、いつも申し上げていますが、債務残高を名目GDPで割った値、つまり経済規模に比較して、債務の残高、これまで借金をした累積額がどれくらい大きいかということです。確かに2021年は「ガッ」と増えたのです。
飯田)2021年は。
本田)2021年だけを見ると、危ないという気がするかも知れませんが、いまは非常事態です。ずっとコロナが続くわけではないのです。コロナが終われば普通に戻りますので、債務とGDPの割合を見て、大体並行、あるいは徐々に債務残高の比率が下がって来る。いわゆる収束にもって行ければいいので、何も心配ではありません。
飯田)政府は死なないし続いて行くのが前提ですから。
本田)政府は永遠です。
飯田)そうすると、そのカーブが少しでも下り坂になっていれば、どこかのタイミングで収束するということがわかっていれば、それでいい。
本田)未来永劫のタイミングで見ればいつかは均衡するのです。ただ、我々は生きていないかも知れないけれども、いつかは均衡する。そうすると、いまの投資家は安心するのです。国債を引き受けてくれるのです。そういう状態にもって行けばいいので何も心配はいりません。
飯田)心配はいらない。
本田)日本がデフォルトするのではないかと心配している投資家は、世界中どこにもいません。まったく大丈夫です。レベルの問題です。日本のGDPは大体500兆円。そして、政府の借金は1200兆円。240%の割合があって、「そういう財政は大丈夫か」という不安があるのですが、大丈夫どころかそれでちょうどいいのです。この経済を見れば。というのは、財務省は、政府の収入と支出だけを比べて財政赤字がいくらとか、それが過去に累積して来るから債務残高はこうだとか、そこだけを気にするのです。つまり自分の庭だけを気にしているのです。
大阪で新型コロナワクチン接種開始 ワクチン接種を受ける医療従事者=2021年2月19日午後1時4分、大阪市中央区の大阪医療センター 写真提供:産経新聞社
本田)しかし、日本経済は財政だけではないのです。まず、家計。家計は所得よりも支出が少なくて、残りは貯金するのです。貯金が巡り巡って企業に回り、企業が投資するのです。そして、いま申し上げた家計部門、企業部門。企業部門は大量に銀行からお金を借りて、新しい新規投資をして行くのです。ですから、本当は企業自身は赤字でなくてはいけないのです。しかし、いま企業はほとんど設備投資をしません。むしろ借金返済、コロナの影響もあって、銀行から0金利で借りているのです。ですから、ものすごい貯蓄超過なのです。
飯田)その傾向があります。
本田)そして、海外部門。日本は若干の経常収支黒字です。経常収支黒字ですので、海外部門もお金の流れからすると、貯蓄超過です。そうすると、みんな貯蓄超過、家計も企業も海外部門も、です。バランスしないのです。誰かが投資超過しないと、マクロがバランスしないのです。
飯田)みんながため込んでしまうと、お金が回って行かないということになってしまいますよね。
本田)それをやっているのが政府なのです。ですから、政府はいま巨額の赤字を出しています。GDPの大体10%くらいの赤字を出していますが、それでもってマクロ経済は成り立っているのです。4つの部門があるなかで、なぜ政府だけ均衡させるのかと。均衡するならすべてでしょうと。家計、企業、海外、政府とすべて合わせて収入支出、あるいは貯蓄投資、このバランスが成り立っているので、財務省のように政府だけを取り出して均衡を目指すのは、基本的に考え方が間違っているということなのです。それをわかって来てくれたと思います。
飯田)ドイツを引き合いに出す例もありますが、ドイツは政府も黒字で、その分の赤字を他の国に押し付けているという特異な例ですからね。
本田)そうなのです。ドイツは巨額の経常収支黒字を持っています。日本はマイルドな黒字を持っていますけれども、バランスが取れていて、むしろ、コロナ禍だから巨額の財政赤字を出している。出しているから、このGDPが維持できているのです。もし、無理やり政府の財政を均衡させてしまったら、経済が「ギュッ」と縮まって、小さい形で縮小均衡してしまうのです。そうすると、みんなの給料は下がります。そういう経済が、国民は幸せかと。誰も幸せではないのです。

漫画家から警察官へ異例の転身 「描いてきたヒーローになる」

埼玉県警秩父署に異色の経歴を持つ警察官がいる。「今日から俺は!!」などの作品で知られる漫画家の西森博之さんのアシスタントを務め、自身も漫画家として活動していた清水元英(もとひで)巡査長(34)だ。署が今月に作製した特殊詐欺被害防止を呼び掛けるチラシには、清水巡査長が描いたイラストが採用された。表現者として磨いた「芸」を犯罪の防止に役立てたいと意気込む。
26日、埼玉県長瀞町のスーパーの前に、自らが描いたイラストが載ったチラシを住民らに手渡す清水巡査長の姿があった。
チラシは、新型コロナウイルス感染拡大に伴って広がる特殊詐欺の手口を、コミカルなイラストを交えて分かりやすく解説した内容だ。「カラフルで丸い絵柄にして、一目でメッセージが伝わるようにした」と清水巡査長。署は1500枚を用意し、街頭での呼び掛けなどで活用する。
小さい頃から漫画好きで、高校2年生のときに小学館の新人賞に入賞した経験を持つ。高校卒業後は、西森さんのアシスタントを務めながらバトル漫画などを発表していた。
ただ、単発で作品が雑誌に掲載されることはあっても、連載の仕事をつかむことはできず、やがて漫画家からの転身を考えるようになる。考えた末に選んだのが警察官の道だった。祖父も父も埼玉県警の警察官で、昔から身近に感じていた職業でもあった。
「人の役に立つ仕事をしたかった。これまではヒーローを描いてきたが、自分がヒーローになれるのではないかと思った」
平成25年に埼玉県警に入り、現在は秩父署長瀞交番(長瀞町)で勤務する。「詐欺グループはあの手でこの手で人をだまそうとしている。このチラシが、詐欺被害を自分のこととして考えるきっかけになってほしい」と力を込めた。(内田優作)

水道管の工事中に水が噴出 東京・亀戸で道路200m冠水

26日午後2時40分ごろ、東京都江東区亀戸4で、水道管の取り換え工事中に水が噴き出し、周囲の道路が長さ約200メートルにわたって一時冠水した。東京都水道局によると、上水道の水量を調節するバルブが何らかの原因で外れたためとみられる。近くの民家1棟の地下駐車場が浸水したほか、同区亀戸4~9丁目、墨田区立花5丁目、江戸川区平井4~7丁目にある約1万戸で、水道水が濁るなどの影響が出る可能性がある。
近くに住む男性(70)は「現場では重機が倒れ、下から水がゴボゴボと音を立てて約1メートルの高さまで噴き出していた。驚いた」と語った。
現場はJR亀戸駅の北約600メートルの住宅街。【木原真希、鈴木拓也】

【コロナ戦争の戦犯】非常事態にこそ“マイペース医師会”の体制改革だ 欧米では医療界総出で事態の収拾を図っている

新型コロナウイルスとの戦いの1年余りを振り返ると、日本経済は「数%のマイナス成長」と欧米並みで、「プラス成長」を確保した中国との国力の差はまた開いた。
一方、コロナの感染者数や死者は欧米の20分の1ほどで、死因を問わない死亡者数も11年ぶりに減少した。増えたのは「老衰」と「自殺」で、特に「女性の自殺」が増えている。統計はないが、飲食業関係が多いとも言われる。孤独も人々の心を蝕(むしば)んでいる。
親に1年以上も会えない人が続出するなど、「家族の分断」も深刻だ。海外にいる日本人は、行き当たりばったりで、きめ細かさに欠ける入国規制で弱り果てている。在日外国人も犠牲者だ。コロナがいくら怖いからと言って、経済や人の交流を犠牲にし過ぎである。医者に「リスクがある」と言われても、仕事や楽しみをすべてやめるわけでないだろう。国全体でも、もう少し工夫が欲しい。
こうした時、総合的な政策展開で効果的に対処するのは政治家の仕事だ。経済や人々の生活への悪影響が少なく感染防止効果が大きい方策を選び、「マイナンバーカードの取得義務化」など、AI化で禍を転じて福と為し、慣習や既得権益にとらわれずに「医療体制を改革」をすべきだ。
ところが、感染対策の先生方や医師会の幹部らは、経済社会への影響などお構いなしに、「感染を減らすだけの観点」から押し付けがましくものを言っている。ワイドショーなども恐怖を煽って、視聴率を上げようとする。年末年始、普段通りに休んだ医師らは、「医療崩壊回避のために非常事態宣言だ」「帰省はするな」と騒いだ。
今回の非常事態宣言も、ゴールデンウイーク中、お医者さんが予定通りに休むためかといいたくなる。
世間では、「開業医・民間病院長主体の医師会が悪い」という人がいるが、私は日本の医療にはコンビニ的な便利さがあって、普段は長所が多いと思う。だが、コロナのような非常事態になれば、公的医療中心の体制の方が機動性がある。
ならば、医師会などは、現在の医療体制を守るためにも、従来の仕事を犠牲にしてでも、非常時対応に協力すべきなのだが、諸外国の医師に比べて、人ごとのように振る舞っている。一般国民に要求するばかりで、自分たちはマイペースだ。
日本社会ではありがちなのだが、現場にたまたま放り込まれた医療関係者は、逃げずに献身的に頑張っている。だが、欧米ではコロナ治療の最前線に志願する医師が多く、多くの医療関係者が亡くなったほどで、医療界上げてやれることはすべてして事態を食い止めた。
そして、やはり大問題といえるのが、日本では「医師独占領域(=医師しかできないこと)」が大きいことなのだが、それは次回論じる。本来は、こういう旧弊の改革こそ、「医系技官」の腕の見せどころのはずなのだが…。
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』(ワニブックス)など多数。

ミュージシャンから悲痛な叫び 東京地裁、楽曲の使用許諾でJASRAC主張認める

楽曲の使用許諾が認められなかったため、ライブを開催できなかったとして、シンガー・ソングライターら3人が、JASRAC(日本音楽著作権協会)に損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁(佐藤達文裁判長)は彼らの請求を棄却した。JASRACの主張が認められたことで、ミュージシャンからは悲痛な叫びが上がっている。
訴えていたのは、シンガー・ソングライターののぶよしじゅんこ、「VAN HEYSAN」、「T.O.Y.S」の3人。JASRACに対して約390万円の損害賠償を求めていた。
彼らは、著作権使用料をめぐって係争中だったファンキー末吉氏経営の店舗「Live Bar X.Y.Z→A」に出演していたことで、店と一体と見なされ、楽曲の使用許諾が認められなかった。判決も、JASRACの判断には正当な理由があるとしている。
自分で作詞・作曲した楽曲の利用が認められなかったのぶよしは「散々説明しましたが、まったく認められずに、JASRACの主張を認めた判決に非常に怒りを感じています」と語る。
弁論の段階から、「自分の書いた曲を演奏する許可がおりないというのは質の悪い冗談にしか聞こえません」と陳述していたが、その主張は認められなかった。
一方、許諾を得られずに洋楽コピーバンドの道を諦めて、オリジナル曲に切り替えて演奏したことを証明するために法廷でシャウトした「T.O.Y.S」は、「お金を払うから好きなバンドの曲を演奏するのを許可してくれというのがなぜ認められないんでしょうか」と言葉を失った。