選択的夫婦別姓問題 橋本氏後任の丸川珠代議員は「筋金入りの反対派」【ラサール石井 東憤西笑】

【ラサール石井 東憤西笑】

五輪組織委員会の会長に橋本聖子氏が就任し、そのために辞任した五輪担当相の後任には、丸川珠代氏が選ばれた。橋本氏は自民党も離党し並々ならぬ決意でオリンピックに向き合うこととなり、政府にとっても自民党にとっても万事順当な決着となった。

しかし橋本氏がもうひとつの大臣を兼任していたことはあまりニュースになっていない。実は彼女は、男女共同参画を推進する大臣でもあった。昨年には5年に1度の提言をまとめ、その中に選択的夫婦別姓の導入に向けての道筋を盛り込むよう進めていた。

夫婦別姓の問題は野党もこれを提言し、自民党内でも賛成の声が上がり始めていた。

しかし、自民党内には根強い反対勢力もあり、野党VS自民党ではなく、自民党VS自民党のせめぎ合いが繰り広げられていたのだ。結局、山谷えり子、高市早苗、片山さつきら各議員の圧力により、「選択的夫婦別姓の導入に必要な対応を進める」という文言は「選択的夫婦別姓」という言葉ごと削除された。

あくまで「選択的」。どちらにするかを決められる自由があるという、ただ希望者だけが幸せになる、他には何も影響しない制度であるにもかかわらずである。世界でも同一の姓を強制しているのは日本しかないという状況の中で、この問題は大きく後退したのである。

そして今回後任の丸川珠代氏も、ご多分に漏れず筋金入りの反対派である。

「夫婦別姓」に反対する側の理由は、名字が一つであることが家族の絆であるという、古来の家父長制を重んじており、それこそ突き詰めれば女性蔑視に行き着くことになる。

ジェンダー発言から辞任した前任者のゴタゴタを払拭し、オリンピック憲章にのっとった男女平等の大会を推進するのに、果たして丸川氏はふさわしいのであろうか。オリンピックの陰に隠れ、男女共同参画はさらに後ろ向きになるのではないか。

橋本氏の人事がそれも踏まえての異動だとは思わないが、反対派の人間からは降って湧いたような好人事であったろう。

しかも、丸川氏の異動した穴を埋める人事が、有村治子議員であり、彼女も同じく夫婦別姓反対派で、「子供はつくるつくらないではない、天から神から授かったものだ」と言うゴリゴリの極右議員である。

果たしてこの人事の責任者は誰か。オリンピックの裏で何やらキナ臭いにおいがする。

(ラサール石井/タレント)

窃盗被害の女性にわいせつ容疑 上野原署警官を逮捕 山梨県警

窃盗事件の捜査で知り合った10代女性にわいせつな行為をしたとして、山梨県警捜査1課は24日、上野原署地域課の巡査長、渡辺祐樹容疑者(27)=東京都東村山市久米川町3=を強制わいせつ容疑で逮捕した。容疑を認めているという。
逮捕容疑は昨年11月17日午前11時半ごろ、上野原市の女性宅で、服の上から女性の体を触るなどしたとしている。
同課によると、女性は同16日夜、自宅で窃盗被害に遭ったと110番し、渡辺容疑者ら3人の警察官が駆け付けた。渡辺容疑者はその後、女性の携帯電話に「現場の状況を再度確認したい」と虚偽の連絡をし、女性宅を訪れた。当初は室内を撮影したり、防犯指導したりするなど捜査を装っていたという。【金子昇太】

神奈川県警、運転免許の学科試験で出題ミス 手数料返還を検討

神奈川県警は24日、運転免許の学科試験で出題ミスがあったと発表した。道交法改正で既に削除された規定に関する設問を約2カ月半、出題していた。この問題の「不正解」の影響で男女7人が不合格となったが、いずれも再受験で免許を取得しており、県警は再受験の手数料と交通費の返還を検討している。
運転免許課によると、2020年12月1日の道交法改正で違法駐車のタイヤをロックする「車輪止め装置」の規定が削除されたが、同日から今月21日の計69回の学科試験でこの規定に関する問題が出題された。【宮島麻実】

丸山達也・島根県知事の「東京は五輪を開く資格がない」発言について“お気に入り記者”たちは小池都知事に何も質問せず

◆「東京都には五輪を開く資格がない」と厳しく批判した丸山知事

責任のなすりつけ合いで「GoToキャンペーン」の中断が遅れ、第三波感染爆発を招いた菅義偉首相と小池百合子知事が、自らの失敗を反省しないままに第四波を招きかねない五輪開催を強行しようとしている。

「コロナウィルスに打ち勝った証」として、五輪を開催した勢いで総選挙圧勝を狙う魂胆が見え見えだが、これに「待った」をかけたのが丸山達也・島根県知事だ。

2月17日の「五輪聖火リレーの中止検討」発言で一気に注目された丸山知事だが、1週間前の2月10日の会見ですでに、五輪の開催反対にまで踏み込む“過激発言”をしていた。

厚労省に出した積極的疫学調査の実態把握を求める要望書について聞かれた丸山知事は、「1週間経っても無回答状態だ」と不快感を露わにした後、30分にわたって政府と都の対応を批判、「都には五輪を開く資格がない」として開催反対の考えを明言したのだ。発言を引き出した『読売新聞』は同日の配信記事でこう紹介した。

「(会見で丸山知事は)東京都が新型コロナウィルスの感染経路を調べる『積極的疫学調査』を簡略化しているとして、『五輪を開く資格がない』と批判した。都は疫学調査を病院や高齢者施設などに重点化している。丸山知事はこうした対応について、感染経路の調査が不十分になると懸念を示し、『大都市の感染拡大で、島根も飲食店や宿泊業者が大打撃を受けている。五輪を東京で開いて感染が拡大し、同じことをされたらかなわない』と述べた」

島根県の要望書は、感染抑制には「積極的疫学調査」が不可欠にもかかわらず、東京都が簡略化(縮小)したことを問題視。厚労省にその実態把握と結果報告を求めるものだった。ところがこれに対してゼロ回答状態であったため、丸山知事の堪忍袋の緒が切れた。この時の、菅政権と小池都政への強烈な問題提起が発端であったのだ。

◆丸山知事発言について小池知事に質問するも、無言で立ち去る

しかし2日後の2月12日の小池知事会見で、都政への異議申立といえる丸山知事発言について質問した記者はゼロ。そこで会見終了直後、3年以上も指されない“記者排除”を受けている筆者は、小池知事に向かって大声を張り上げた。

「島根県知事は『五輪反対』と言っています。『都には(開催する)資格がない』と言っていますが?」

しかし小池知事は、この日も無言のまま会見場を立ち去った。

なお丸山知事は、五輪開催の景気浮揚効果を認めながらも「感染拡大を招くリスクもあわせて開催の可否を判断するべきだ」という立場であり、「現在の都や政府のコロナ対応では再び感染拡大を招く恐れがあるため、開催には反対」と訴えているのだ。

また丸山知事は、東京都の積極的疫学調査の簡略化(縮小)だけでなく、小池知事の「千代田区長選」(1月31日投開票)での街頭演説も2月10日の会見でこう問題視していた。

「最終日19時半からの飯田橋駅の西口前で、(小池知事は)大勢の人を集められた中で演説をされているようです。緊急事態宣言のさなか、不要不急の外出自粛を強く都民に求められている中で、都知事のお仲間の当選のためにこういう行動をされていることも信じがたい。そして、これが大きな問題になっていないこと自体が二重に信じがたい。『都に対する社会的チェックがまったくきいていない』ことをメデイアとかを含めて反省するべきだと思う」

筆者も2月12日の配信記事「自ら『密』状態を作っても千代田区長選の応援をした小池都知事」で、最終日の飯田橋街宣で「密」状態になっていたことを写真つきで紹介、会見で小池知事が密状態を否定する虚偽答弁をしたことも合わせて批判していた。

その1週間後の2月19日の小池知事会見でも指名されなかったので、「丸山知事の問題意識と同じだった」と思いながら、小池知事に対して声かけ質問をした。

「島根県知事は、千代田区長選の“密集街宣”も問題にしていますよ。『密』状態だったことを認めないのですか。(丸山知事は)『都へのメデイアチェックがきいていない』とも言っています。ちゃんと10日の(丸山)知事会見を読んだのですか?」

小池知事は、無言のまま立ち去った。

◆会見で指名される記者たちも、小池知事に対する厳しい質問は皆無

小池知事の「密」状態街宣については、2月6日付の日刊ゲンダイ「都は無自覚感染8万人超の恐れ 小池知事“密”つくるも平然」や、2月9日付のダイヤモンドオンライン「コロナ入院格差、自宅死亡を引き起こした都庁『入院調整』の機能不全」などの記事でも、証拠写真つきで紹介されている。さらに丸山知事発言(批判)が加わっても、小池知事は非を認めようとしないのだ。

そして筆者と違って会見で知事に指名される都庁記者クラブの記者たちも、知事の虚偽答弁を厳しく問い質そうとしない。丸山知事は、こうしたメデイアのノーチェック状態の背景に“五輪タブー”があるのではないかとも指摘していた。

「オリンピックというイベントはメデイアにとっては多分やりたい事業だと思うが、それが『メデイアとして本来やるべき仕事がぶれていないのかどうか』を私は疑問に思っています。普通はメデイアのチェックがきく。私がこんなこと(『密』状態での街宣)をやったら、袋叩きになると思いますよ。でも(小池知事は)大きなイベントの主要主催者だから、みなさん(メディア)遠慮されているのかな、としか私は思えない」(2月10日の会見より)

「五輪開催自治体トップだから、小池知事はメディアチェックを免れている」という見立てだが、この丸山知事発言を受けて筆者は8か月ぶりに「都知事会見指名回数順位(“小池知事お気に入り記者”ランキング)」を作成することにした。小池知事のウソが罷り通る、都庁会見の異常な実態を再び可視化しようとしたのだ。

●表1 小池知事会見指名回数順位(お気に入り記者ランキング)(20年6月19日~2021年2月19日)

1 民放 O記者 31回

2 民放 Y記者 24回

3 民放 N記者 16回

3 NHK N記者 16回

3 ブロック紙 k記者 16回

3 ブロック紙 O記者 16回

最下位 フリー 横田一 0回

●表2 著書『仮面』で紹介した「都知事会見指名回数順位=“小池知事お気に入り記者”ランキング」

1 民放 O記者 15回

2 民放 N記者 12回

3 全国紙 K記者 11回

3 独立放送局 S記者 11回

4 全国紙 N記者 10回

4 NHK N記者 10回

最下位 フリー 横田一 0回

2020年8月出版の自著『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』でも都のホームページの知事会見録から質問者を拾い上げて集計したランキング表を紹介したが、前回(表2)は「2019年12月27日~2020年6月12日」の集計だった。そこで今回の表1は「6月19日から2月19日」までを調査期間にした。一度も指名されない筆者に対して、“お気に入り記者”たちは10回以上指名されている。いずれも上位には民放テレビ局の女性記者が並んだ。

◆メディアは“五輪タブー”の呪縛から解き放たれ、チェック機能を取り戻せるか

『女帝』の著者・石井妙子氏は、2020年6月17日付の「ダイヤモンドオンライン」で、都知事会見について次のように語っていた。

「彼女(小池知事)のくだらない冗談に、前の方に座っている民放キー局の女性記者たちが、大げさに受けたり、うんうん、うんうんと必死でうなずいて見せている。私は秘かに『うなずき娘』と呼んでいるのですが(笑)、記者たちが権力者に迎合しすぎています」

小池知事に迎合的な記者が優先指名される異常事態は、1年以上も前から現在まで続いている。「都に対する社会的チェックがまったくきいていない」という丸山知事の指摘は的確で、“五輪タブー”に縛られたメディアは猛反省すべきだ。

こうしたメディアの機能不全状態こそ、「カイロ大学首席卒業」という疑わしい経歴でキャスターから国会議員を経て都知事となった小池知事が、今でも虚偽発言を押し通せる状況を許しているといえる。これも、「仮面」をかぶった小池知事の実態(素顔)をメディアが伝えない“職務怠慢”の産物ではないか。

これまで小池知事を“巨人化”させたメディアが、丸山知事発言を機に“五輪タブー”の呪縛から解き放たれ、チェック機能を取り戻すのかが注目される。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

歯列矯正内閣・菅政権によって導かれる、破滅的局面<著述家 菅野完>

◆菅総理はなぜ歯の矯正を始めたのか

新しい総理が就任すると、その総理をテーマにした書籍が玉石混淆多数出版されるのが通例だ。しかし総理就任後半年になるというのに、菅総理の場合はその数が極めて少ない。保守論壇人による組織的なメディア工作・出版工作が総裁選前から始動していた安倍前総理の場合を例外として、野田佳彦、菅直人、鳩山由紀夫などの民主党政権時代や、それ以前の自民党歴代総理と比べても、実に少ない。あったとしても、単に安倍政権時代の官房長官としての菅義偉をあげつらった、半ば悪口雑言に近い物ばかりで、見るべきものはほとんどない。

唯一と言っていい例外が、昨年末出版された読売新聞政治部『喧嘩の流儀 菅義偉、知られざる履歴書』(新潮社)だ。読売新聞の政治部がこれまで蓄積した菅義偉に関する取材成果をまとめたもので、新任総理の横顔や背景が窺い知れる貴重な一冊に仕上がっている。単なる事実の羅列にとどまっている点が、惜しいと言えば惜しいが、その分だけ貴重なエピソードが満載だとは言える。

その中に、気になる記述があった。

「9月19日、菅は官邸で一般討論演説の事前収録に臨んだ。その際、ビデオカメラに向かって、『総理になると思っていなかった。だから、こんなのやっているんだ』と、矯正治療中の歯を見せて笑ったという」

このエピソードは、安倍晋三と菅義偉が対立しなかった理由を探る箇所で登場する。安倍晋三が政界のサラブレッドであるに対して、菅は「叩き上げ」。自ら参謀タイプと任ずる菅とデビュー当時から総理候補と目された安倍は、棲み分けができていた。だから長期間にわたり対立が避けられていたのだと読売新聞政治部は言う。その安倍が退陣する。それまで総理の座に色気を見せてこなかった菅が天下取りに具体的に動き出したのは、安倍の退陣が不可避となった前後からに過ぎない。その急遽さと慌ただしさの傍証として登場するのが、先程引用した「歯の矯正」のくだりだ。

この「歯の矯正」の一件が印象的なのは、菅義偉の天下取りの慌ただしさを物語るだけではなく、彼の政治手法をも見事に表現しているからに他ならない。

安倍晋三の思惑、二階俊博の動き、麻生太郎の特殊な利害、そうした要素をつむぎ合わせれば、準備期間は短くとも天下は取れる。そう踏んだ菅義偉の勝負勘はなるほど素晴らしいものがあるのだろう。しかし、天下を取った後に「歯の矯正」に手を出すことには、どうしても、浅薄さ、姑息さという印象がついてまわる。どこかしら、やることなすこと全てが、アドホックなのだ。

菅にしてみれば、「リスペクタブルな立場の人間は、歯並びを美しく整えるものだ。とりわけ欧米列強の要人などはその点を心得ている」という巷説に従ったまでなのだろう。だからこそ、実質的な外交デビューである国連の一般討論演説の録画に際してその様子を周囲に披露したのだろう。「ほら。俺も、諸外国の要人と付き合う用意をしてるのだぞ」と言いたいわけだ。

確かに歯並びの美しさは人前に立つ人間として重要ではあろうが、決してそれだけが要人に必要な要件ではないし、菅義偉に要人としての不足部分があるのは歯列だけではないはずだ。だが、さまざまな不足を補うために手を出したのが、取り外し可能な器具に頼ることができすぐ手がつけられる歯列矯正だった。

◆全てが借り物、全てがアドホック

菅の政策や政治手法も歯列矯正のような手法がメインとなっている。

この半年、菅独自の目玉政策として登場したのは、携帯電話料金の値下げと、不妊治療の無償化の二つしかない。確かに双方ともに市民生活に直結する問題ではある。しかしながら双方ともに深淵な思想に根付いたものでもなんでもない。いつでも脱着可能な小手先の政策に過ぎず、言ってしまえば「お前ら、値段が下がったら喜ぶんだろ」とばかりに、価格調整という餌をぶら下げているに過ぎない。その裁量の権限が法的に内閣総理大臣に付与されているかどうかは別として、菅自身が行ったことは裁量の発動でしかなく、調整や議論や根回しは一切ない。その意味では村役場の役人でもできる仕事でさえある。

物議を醸すこととなったカーボンニュートラルもそうだ。これも標語を掲げただけであって、菅自身の口から、地球温暖化防止が日本の国益にどう結びつくのか、あるいは彼の抱く国家観で環境対策がどのような意味を持つのかが語られたことはない。単に流行りの言葉に飛びついただけに過ぎない。

あらゆるものを外部のあり物・借り物でアドホック的に処理する歯列矯正的手法の究極的な事例が、総裁選の際に菅が掲げた「自助・共助・公助」の標語だろう。標語を掲げるのが悪いわけではない。ただ、この標語は防災分野で阪神淡路大震災頃から使われていたありものの標語で、東日本大震災以降、ある種の流行を見た標語だ。総理としての経綸を問われた際にも、このように菅は、あり物・流行り物の標語を外部から借用することでしのいでいる。歯列矯正に飛びついたのと全く同じだ。全てがその場しのぎ、全てが借り物、全てが流行り物。そして全てがアドホック。そこに思想や経綸や大方針などといったものは一切存在しない。

政策面における安倍晋三との最大の違いはまさにここだろう。安倍晋三はそれを披瀝することがかえって自分の無教養さ・能力の低さを開陳することに繋がる代物であるとはいえ、「アベノミクス」しかり「日本を取り戻す」しかり、彼なりの国家観やビジョンがあった。安倍の政策は、その内容は児戯に等しく愚者の戯言でしかないにせよ、児戯なり愚者なりの基本的な大方針から導き出されるものであった。従って、その政策を協議する官僚たちも、内心で安倍の無教養さを嗤いながらも、議論も対応もできただろう。方針がありさえすれば、たとえそれが愚者の立案によるものでも、修正も補強も可能だ。

しかし菅とはそうした作業ができない。いや、対応不能と言うべきだろう。全てが借り物、全てがその場しのぎ、全てがアドホックである以上、議論など成立しないではないか。

◆迫りくる破滅的局面

菅のアドホックな歯列矯正的手法は、政策面のみならず人事面でも遺憾なく発揮されている。

「菅は自民党総裁選中の9月13日、フジテレビの番組で『私どもは選挙で選ばれている。何をやるか方向を決定したのに、反対するならば異動してもらう』と宣言したこともある。官僚の言うなりにならず、人事での信賞必罰を官僚操縦術として使うことをためらわない菅は、いつしか霞が関全体から恐れられる存在となっていった」

と、前掲書で読売新聞政治部は書く。自分の方針に従わなければ異動だと迫ることは「信賞必罰」でもなんでもない。そもそもそこには「賞」がなく「罰」しかないではないか。その態度は、端的に弾圧と表現する方が適当だ。

読売新聞政治部の語用の間違いはさておき、確かに、竹中平蔵総務大臣の下で「辣腕」を振るっていた頃から菅は、反対する官僚の首を容赦なく切ることで有名ではあった。その意味では、「霞が関全体から恐れられる存在」ではあるのだろう。ただそこには、官僚たちと真剣に向き合い議論し組織を束ねていくといった気概も工夫もない。ただただ、邪魔になるものを排除し、新しい首にすげ替えるだけ。程度の低い会社によくいるブラック経営者・ブラック上司となんら変わらない。

邪魔になる官僚や反対する官僚を次々と馘首する手法は、「恐怖による支配」と言えば聞こえはいいが、問題の根源的解決を避けているという意味において、その場しのぎ、アドホック的な対応でしかない。菅にしてみれば、官僚とて、脱着可能な歯列矯正器具のようなものに過ぎないのだろう。

安倍晋三時代の官邸と比べ、菅義偉の官邸がその調整能力や政策立案能力に劣ると指摘する声は多い。当然のことだろう。先に指摘したように、標語レベルから具体的政策に至るまで単にあり物・流行り物を借りてくるだけ。人事手法は「信賞必罰」とは程遠い単なる首のすげ替えに過ぎない。あらゆることがアドホックである以上、どんな優秀な人物が補佐にあたろうとも、仕事になるはずがない。あらゆるものが歯列矯正の器具のように外部からの借り物であり内発的必然性がないのだから、そもそも、補佐も調整も成立し得ないのだ。

コロナ対策、オリンピックの開催危機など、まさに100年に一度の国難に我々は直面している。これまでの菅義偉の対応を見ているとこの国難に対しても、全て歯列矯正的手法=あらゆるものが借り物であらゆるものがアドホック=でしのごうとしている。この手法ではとてもこの難局を乗り越えることはできない。全てを借り物で済ませ、その場しのぎの対応に終始する、身体性や内発的必然性のないリーダーに、危機は乗り越えられないのだ。菅が総理である以上、破滅的な局面が必ずやってくるだろう。

我々は早晩、その破滅的な局面に、文字通り、歯を食いしばって耐える必要に迫られるに違いない。

<文/菅野完>

すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」も注目されている

<記事提供/月刊日本2020年3月号>

【月刊日本】

げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

家電量販店に「ガッシャーン」、女性運転の軽が突っ込む

24日午前10時25分頃、香川県坂出市江尻町の家電量販店駐車場で、同市府中町の無職女性(78)が運転する軽乗用車が店舗に突っ込んだ。店内に買い物客はおらず、店員3人と運転していた女性にけがはなかった。
坂出署の発表では、女性が軽乗用車を駐車しようとして運転操作を誤り、店舗南側のガラスを壊して店内に突っ込んだ。付近に並んでいた商品の洗濯機などを押しのけ、数メートル進み停車したという。調べに対して、運転していた女性は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話しているという。
同店副店長の男性(44)は、「店内のレジで作業をしていたら、ガッシャーンと大きな音がして、振り返るとガラスが割れて、車が飛び込んできて驚いた。開店直後でお客さんがおらず、誰にもけががなくてよかった」と語った。

「NHK視聴できないTV」でも、受信契約は義務…原告側が逆転敗訴

NHKを視聴できなくする装置をテレビに取り付けた女性が、NHKに受信契約を結ぶ義務がないことの確認を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(広谷章雄裁判長)は24日、請求を認めた1審・東京地裁判決を取り消し、契約義務を認める判決を言い渡した。
放送法は「NHKの放送を視聴可能な設備を持つ人には、NHKとの契約義務がある」と規定。昨年6月の1審判決は、「NHKを視聴できない以上、契約義務はない」と判断していた。これに対し高裁判決は、電波を増幅させるブースターを用いるなどすればNHKを視聴できると指摘し、契約義務を負うと結論づけた。

高齢者へのワクチン接種、4月12日から…都市部で遅れも

菅首相は24日、新型コロナウイルスワクチンの65歳以上の高齢者向け接種について、4月12日から開始すると表明した。当初はワクチン数が限られるため、全自治体に行き渡って接種が本格化するのは26日以降となる見通しだ。
首相が首相官邸で記者団に明らかにした。その後、河野行政・規制改革相が記者会見で詳細を説明した。
4月12日からの接種開始に向け、政府は4月5日の週に全都道府県へ計約5万人分を配送する。続いて、12日の週と19日の週にそれぞれ約25万人分を追加で配送する。対象となる高齢者は約3600万人に上るため、開始後は限定的な接種となる予定だ。河野氏は「どの市町村で接種を行い、どう配分するかは都道府県に調整をお願いしたい」と述べた。
政府はこれまで、高齢者への接種期間の目安を「2か月と3週間」としてきた。ただ、高齢者に先立って接種を受ける医療従事者らは予定より約100万人増えている。さらに、全国の自治体に行き渡る分の配送が4月26日以降となることで、人口の多い都市部では高齢者の接種に遅れが出てくる可能性がある。河野氏は「4月から5月にかけて医療従事者と高齢者の接種が並行して進む可能性が高い」と述べた。
一方、河野氏は、欧州連合(EU)からのワクチンの輸入第3便が3月1日に到着すると発表した。数量は8万7750瓶で、1瓶から6回分採取できる場合、約53万回(約26万人)分となる。

出会い系サイトで女と知り合ったら…男「おれの交際者になにやってるんだ」

出会い系サイトの利用者から金を脅し取ったとして、北海道警旭川東署は24日、旭川市曙、無職の男(23)、ともに同市豊岡のアルバイト従業員の男(26)と無職の女(24)の3容疑者を恐喝の疑いで逮捕したと発表した。
発表によると、3人は共謀し、今年1月7日、女が出会い系サイトで知り合った同市の会社員男性(20)を市内の駐車場に呼び出し、アルバイト従業員らが「おれの交際者になにやってるんだ」などと言って10万円を脅し取った疑い。同署は3人の認否を明らかにしていない。

【独自】「日本人のため、我々がリスク負う」がメッセージ…米軍「トモダチ作戦」

東日本大震災の発生直後から展開された米軍による「トモダチ作戦」で、全体を統括する指揮官を務めたパトリック・ウォルシュ元太平洋艦隊司令官(66)と、海軍の活動を指揮したスコット・バンバスカーク元第7艦隊司令官(63)にオンライン形式でインタビューした。主なやり取りは以下の通り。(聞き手・ワシントン支局 蒔田一彦)
「真の友人であること示した」…ウォルシュ元太平洋艦隊司令官

――震災発生を知った時の受け止めは。
(太平洋艦隊司令部のある)米ハワイ州パールハーバーにいた。「マグニチュード9」という数値を見て、機器の故障ではないかと思ったほどだった。
――トモダチ作戦の指揮官に就いた経緯は。
福島第一原発事故が明らかになり、ホワイトハウスと対応を協議した。我々はすぐに(海軍、空軍など異なる軍種で構成する)統合任務部隊を発足させ、指揮機能の一部をハワイから横田基地(東京都)に移した。私自身も横田で指揮を執ることになった。
――原発事故への対応は難しかったか。
我々が日本に到着した時、既に放射性物質が大気中や海中に放出されており、後手に回った感じもあった。米軍の家族の間にも不安が広がっていた。事故が更に進行した場合に備え、首都圏にいる米軍家族の国外退避を命じる案も検討した。
――それでもトモダチ作戦は継続した。
作戦にはいくつものリスクがあった。しかし、我々が日本の友人のためにリスクを負うことが、とても重要なメッセージだった。米国が真の同盟国かつ友人であることを日本人に示すことができたと思う。
「素晴らしい作戦名は不滅」…バンバスカーク元第7艦隊司令官

――第7艦隊の対応は。
震災発生時は演習を終えてマレーシアにいた。地震と津波発生の連絡を受け、すぐにシンガポールに寄港していた第7艦隊の旗艦「ブルーリッジ」に戻った。シンガポールで救援物資などを積み込み、翌朝に日本に向けて出港した。メンテナンス中の船を除き第7艦隊管轄内の全ての艦艇に対し、出航準備を命じた。
――日本側とはスムーズに連携できたのか。
海上自衛隊とは演習を重ねていたし、自衛艦隊司令官とは日頃から公私共に交流があり、直接電話できる仲だった。日米が互いの艦艇に連絡官を派遣し合えたことが、作戦を進める上で非常に役立った。
――原発事故の影響は。
任務を実行する上で最大の困難が原発事故への対応だった。当初は原発の状況が分からず、一部の艦艇は日本海に展開させた。放射性物質の飛散を懸念し、作戦に使用しない戦闘機などは全て厚木基地(神奈川県)からグアムなどに移した。
――トモダチ作戦が示したものとは。
もしもの時には同盟の力、人と人の関係の力が違いを生むということだ。「トモダチ」という素晴らしい作戦名は不滅だ。災害を機に強まった日米の絆は今後さらに強固になるだろう。