コロナ禍の国会を見ていると、日本の政治家はつくづく有権者をナメまくっているなあ、と感じる。選挙で並べ立てた聞こえのいい公約をさっさと忘れていることはもちろんだが、国民が命や生活、職を失いかねない国難にあって、自分たちだけ銀座のクラブではしご酒を楽しんだ3人の自民党議員たちは今ものうのうと議員バッジをつけているし、カネで票を買ったという判決が確定してようやく議員辞職した河井案里氏は、逮捕から辞職するまでの議員歳費とボーナスで2000万円以上を手にした。河井氏の場合、逮捕以降は保釈されても国会にも顔を見せずに籠城していたが、政治活動の必要経費に当たる「文書通信交通滞在費」も毎月100万円受け取っていた。 スキャンダル議員だけではない。専門家がコロナ蔓延を危惧して反対していたGo Toキャンペーンを推進して第3波を招いたのは、ほかならぬ菅義偉・首相と二階俊博・自民党幹事長である。その子分たちもこぞってGo Toを礼賛し、地元の後援企業などに税金をバラ撒き続けた。そのために使われた何兆円ものカネを正しく医療体制整備や医療者への支援に回していれば、今のような医療崩壊はなかっただろう。それでもなお、先日成立した第三次補正予算には、約1兆円のGo To予算を潜り込ませているのである。 どうせ有権者は予算の細かい中身なんか見ていない、国会中継も見ていないだろう、公約なんか忘れてるよ、スキャンダルだってすぐに忘れてくれるさ――そういう魂胆が透けて見えるのが腹立たしいが、事実、選挙をするとそういう議員たちが楽々と再選されて再び国会の赤じゅうたんを踏んでいるのだから、これは国民の側も反省が必要かもしれない。 『週刊ポスト』(2月15日発売号)では、コロナ戦犯議員たちを退場させる「落選運動」を提唱している(同誌の人気企画だ)。どの議員が何をし、何を言ったのか正しく記録し、選挙で審判を下すことは政治を正す第一歩になる。政治家の良心や、選挙の時だけの美辞麗句を信用するから騙されるのなら、有権者は「落とすべき議員」をしっかり覚えておくしかない。落選運動の方法と注意点について、神戸学院大学法学部の上脇博之・教授に聞いた。 「『選挙運動』は公職選挙法で選挙運動期間しかできないことになっています。具体的には立候補の届け出から投票前日まで。事前運動は禁止です。しかし、落選運動はその縛りを受けません。選挙運動とは、特定の選挙でAという候補者を当選させようという活動です。『次の選挙でB候補を落選させよう』という活動は選挙運動ではありませんから、いつでもできるのです」
コロナ禍の国会を見ていると、日本の政治家はつくづく有権者をナメまくっているなあ、と感じる。選挙で並べ立てた聞こえのいい公約をさっさと忘れていることはもちろんだが、国民が命や生活、職を失いかねない国難にあって、自分たちだけ銀座のクラブではしご酒を楽しんだ3人の自民党議員たちは今ものうのうと議員バッジをつけているし、カネで票を買ったという判決が確定してようやく議員辞職した河井案里氏は、逮捕から辞職するまでの議員歳費とボーナスで2000万円以上を手にした。河井氏の場合、逮捕以降は保釈されても国会にも顔を見せずに籠城していたが、政治活動の必要経費に当たる「文書通信交通滞在費」も毎月100万円受け取っていた。
スキャンダル議員だけではない。専門家がコロナ蔓延を危惧して反対していたGo Toキャンペーンを推進して第3波を招いたのは、ほかならぬ菅義偉・首相と二階俊博・自民党幹事長である。その子分たちもこぞってGo Toを礼賛し、地元の後援企業などに税金をバラ撒き続けた。そのために使われた何兆円ものカネを正しく医療体制整備や医療者への支援に回していれば、今のような医療崩壊はなかっただろう。それでもなお、先日成立した第三次補正予算には、約1兆円のGo To予算を潜り込ませているのである。
どうせ有権者は予算の細かい中身なんか見ていない、国会中継も見ていないだろう、公約なんか忘れてるよ、スキャンダルだってすぐに忘れてくれるさ――そういう魂胆が透けて見えるのが腹立たしいが、事実、選挙をするとそういう議員たちが楽々と再選されて再び国会の赤じゅうたんを踏んでいるのだから、これは国民の側も反省が必要かもしれない。
『週刊ポスト』(2月15日発売号)では、コロナ戦犯議員たちを退場させる「落選運動」を提唱している(同誌の人気企画だ)。どの議員が何をし、何を言ったのか正しく記録し、選挙で審判を下すことは政治を正す第一歩になる。政治家の良心や、選挙の時だけの美辞麗句を信用するから騙されるのなら、有権者は「落とすべき議員」をしっかり覚えておくしかない。落選運動の方法と注意点について、神戸学院大学法学部の上脇博之・教授に聞いた。
「『選挙運動』は公職選挙法で選挙運動期間しかできないことになっています。具体的には立候補の届け出から投票前日まで。事前運動は禁止です。しかし、落選運動はその縛りを受けません。選挙運動とは、特定の選挙でAという候補者を当選させようという活動です。『次の選挙でB候補を落選させよう』という活動は選挙運動ではありませんから、いつでもできるのです」
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慶大は追試、早大・法大は共通テストで合否判定も…「被災」受験生を救済
入試シーズン中の各大学では、地震の影響で来場できなかった受験生に対し、追試を実施するなどの対応を決めた。
早稲田大(東京)は、15日以降に試験を行う政治経済、法、基幹理工など11学部で、受験できなかった東北6県在住者について、大学入学共通テストの成績で合否判定を行う。共通テストで指定の科目を受けていない場合、受験料を返還する。
法政大(同)も、14日の理工など4学部と16日の3学部の試験で、自宅が被災するなどして受験できなかった人に、共通テストで合否判定を行うなどの特別措置をとる。
慶応大(同)は、15日の文学部と16日の法学部の試験を受けられなかった東北6県在住者を対象に、来月9日に追試を実施する。
ワクチン接種で消防団に協力要請 山梨県、医療従事者扱い国に要望
4月から始まる高齢者への新型コロナウイルスのワクチン接種に向け、山梨県の長崎幸太郎知事は消防団に協力を要請した。高齢者を集合場所に送迎したり接種会場で誘導したりする業務を想定している。ワクチン接種に消防団が関わる計画は全国的に珍しい。県は消防団員ら接種に関係する人を医療従事者扱いして優先接種の対象にするよう国に求めている。(渡辺浩)
「地域を知る」
消防団への協力要請は、1日に行われた医薬品開発支援大手のシミックホールディングス(東京)との包括連携協定締結式で行われた。
県消防協会副会長でもある韮崎市消防団の井出秀実団長と富士河口湖町消防団の渡辺敏朗団長が出席。
長崎知事は「本来業務でないのは重々承知しているが、地域を最も知り、日頃地域の安全に尽力していただいている消防団のお力添えが必要」と強調した。
井出団長は「知事からの要請を重く受け止め、消防団が一丸となって協力させていただく」と決意を語った。
消防団を支援する活動を行っているシミックの中村和男会長は、北杜市出身の音楽プロデューサー、カルロス・ケーさんらが応援ソング「それ行け! 日本の消防団」を作ったことを紹介した。
送迎など担当
「ワクチン接種は総力戦」。長崎知事は10日に開かれた市町村長とのオンライン会議で、高齢者への接種態勢を地域社会が支える「山梨モデル」を示した。
(1)自宅と公民館など集合場所への送迎は消防団や民生委員などが担当(2)集合場所と接種会場の送迎はバス、タクシー会社に協力要請(3)会場での誘導などは市町村職員や消防団が担当-というイメージだ。
甲府市の樋口雄一市長も9日の記者会見で「医師会、消防団、民生委員児童委員協議会、社会福祉協議会などとそれぞれの役割を協議し、山梨モデル、甲府スタイルを作り上げ、安全・安心なワクチン接種を遂行したい」と述べた。
総務相に面会
高齢者に安心して接種を受けてもらおうと、長崎知事は6日に開かれた全国知事会のオンライン会議で、接種に関わる消防団員らへの優先接種を国に求めるべきだと提案。
8日には武田良太総務相と面会し、消防団員や市町村職員への優先接種を要請した。武田氏は消防団の活用について「いいアイデアだ。ぜひやってほしい」と述べた上で、厚生労働省に優先接種を働き掛けると約束したという。
県によると、優先接種の対象となる医療従事者は3万人弱。消防団員は約1万4600人、民生委員は約1800人で、市町村職員なども含めて優先接種が実現すれば対象はかなり増える。
ワクチン班の担当者は「消防団員などが優先接種の対象になっても、全体の計画に影響が出ないように着実に進める」としている。
感染対策で批判浴びる首相、地震対応で胸張る「全力であたった」
政府は15日、福島県沖を震源とする地震の初動対応について、適切だったと強調した。菅首相は安倍内閣の官房長官時代から危機管理対応を一手に担ってきたとの自負があり、その手腕をアピールする狙いがある。これに対し、野党は首相が首相官邸に隣接する公邸に住まないことを追及した。
首相は15日の衆院予算委員会で地震への政府対応を問われ、「人命第一の方針のもとに自衛隊を現地に派遣するなど初動対処に全力であたった」と胸を張った。
13日午後11時7分に地震が発生すると、首相は被害状況の早急な把握など3点を指示し、同23分に住まいとしている衆院議員宿舎を出発した。
政府関係者によると、首相は専用車の到着を待たずに、警護官(SP)とともに徒歩で官邸に向かったといい、途中で追いついた車に乗車して、出発から5分後の同28分に到着した。加藤官房長官や小此木防災相より約10分早かった。
政府高官は今回の対応について、「特段の問題はなかった」と振り返った。新型コロナウイルスでは、政府は対応が後手後手だと批判されているだけに、今回は失敗できないとの思いもあったようだ。
コロナ、震度6弱地震と二重苦も33日ぶり営業再開「復興すること、明かりをともすことが大切」福島・郡山市居酒屋店主
コロナ禍による1か月に及ぶ休業と震度6弱の地震という二重苦に見舞われながら、力強く一歩を刻んだ店がある。福島県郡山市の繁華街にある居酒屋「大町酒場いっぽ」は15日、営業を33日ぶりに再開した。店主の増子(ましこ)洋介さん(37)は「復興すること、明かりをともすことが何よりも大切だと思ったんです」と再出発の思いを語る。
福島県は1月13日から飲食店へ営業時間の短縮を要請。増子さんは短縮ではなく休業という苦渋の決断をせざるを得なかった。ようやくの再開を3日後に控えた夜、地震が起こった。「10年前を思い出す地震で『うわ~、こんなことってあるのかよ』というのが正直な思いでした」。備品は破損し、常連がキープするボトルも多数割れた。
絶望しても困難は解決しない。10年前の記憶を教訓にした。「なんとしても15日に開けようと思いました。10年前も同じですけど、店の明かりを見てホッとする方もいる」。1日で店の清掃を終え、酒を買い直し、準備を整えた。「フルメニューはできないですけど、最小限でも始めたいと」
営業再開を多くの客に伝えたいが、ジレンマもある。「来てくださいと告知して、密を作りにはいけない。来てくださってありがとうございます、という形から始めなきゃいけないのはつらいところですけど」。揺れる思いを抱えながらも「はじめの一歩」を踏み出した増子さんは「でも再開できたから気持ちは前向きですよ!」と明るく語っていた。(北野 新太)
“伝統芸”のはびこるニッポンに「透明性の大切さ」を問題提起してくれて「#森喜朗さんありがとう」
今回の森喜朗氏の「女性がいる理事会は時間がかかる」発言。これを報じたメディアやネットに対し発言の“切り取り”と主張する人もいる。果たしてそうなのか?
「異様な国」という印象を与えた日本
産経新聞は一面で次のように書いた。
《「森氏の発言の一部を切り取った批判」といった擁護論もあるが、発言全体を読めば印象はさらに悪い。》(2月13日)
森喜朗が勤めていた産経新聞も叱っている(一面の特別記者コラム)。
全文を読んだらさらに酷かったというお約束の森喜朗節が今回も炸裂。
さらに産経コラムは森だけでなく事態収拾に腰が引けた菅政権、間違いを正すことに対する組織委やスポーツ界を含めた社会の腰の重さ、これら複数の要因で「異様な国」の印象を与えてしまったと書く。
森喜朗を考えることは日本の政治や社会を考えることでもある。「異様な国」では困る。
未遂で終わった「密室での後継指名」
その異様さは川淵三郎への後継指名でも可視化された。差別を批判されて退場する当人が指名。しかも相談役で残る?
読売新聞は一面で「混乱を招いた森氏本人による『密室での後継指名』という印象がぬぐえない」と指摘(2月12日)。この計画は白紙となった。
森と森周辺の閉鎖性を具体的に暴いたのはスポーツ報知。
『「組織委員会」は名ばかりだった「何をお前は言っているんだ」意見一蹴…森会長辞任の舞台裏』(2月12日)
複数の組織委理事が、森会長による理事会が機能していなかった実情を明かしたのだ。理事会は意思決定機関のはずなのに会議の残り5分くらいで出席者に「何かありませんか?」と声がかけられることが多かったという。そんな短い時間では議論には至らなかったと理事は証言。
発言したら森会長から一蹴されたこともあった。
《ある理事は「何をお前は言ってるんだ、と言わんばかりの威圧的な雰囲気でした。その後、理事会で異論を言う人はいなくなったように思う」と振り返った。》(同)
この閉鎖性は、森喜朗の「(女性理事は)わきまえておられる」発言と川淵三郎への後継指名に見事にそのままリンクするではないか。
なのに本人は「解釈の仕方。多少、意図的な報道もあったと思う」と辞任表明会見でまだ言っていた。毎日新聞は「なぜ批判されたのか、最後まで理解しているようには見えなかった」(2月13日)。
「周囲に推されたから大任を引き受ける」というニッポンの伝統芸
さて、川淵のオフサイドにより、我々は最後まで密室でうごめく森喜朗を見られた。マスコミに喋って既成事実化を狙う川淵三郎の手法も見られた。どちらもうんざりするほど古い。
川淵三郎はもう1つ問題提起をしてくれた。やる気満々なのに周囲に推されたから大任を引き受けるというニッポンの伝統芸である。昭和の政治家やらリーダーがやるお得意のムーブだ。これは調和と調整を守るという謙虚さアピールなのだろうが、一方で説明と責任を明確にしないままトップに就任できる狡猾さがある。
思えば森喜朗はその最たるものだった。2000年に小渕恵三首相が倒れて入院すると公的な手続きではなく水面下で後継森氏を決めたことで「5人組による密室政治」と批判され、森政権誕生の正当性にも疑問符がつく形になった(日刊スポーツ2月13日)。
今回の森→川淵指名は20年以上経っても森喜朗、もしくは森喜朗的なものが日本社会に根付いたままであることを見せつけたのである。
この閉鎖性を打破するには、やりたい人が手を挙げ、自分の言葉でプレゼンし、公開で納得させるという普通の方法がいい。そんな当たり前のことを考えさせてくれた。森喜朗すごい。
希望の祭典が政治劇へと変貌
森が辞意を固めたと報じると、ツイッターには「#森喜朗さんありがとう」として、これまでの功績をたたえながら感謝の言葉をつづった投稿が広がっていった(毎日2月13日)。
それなら最後まで問題点を投げかけてくれた今回の功績も「#森喜朗さんありがとう」だと思う。
白紙になった川淵案。この展開は皮肉な問題点を新たに提起した。政府の透明性である。
「事実上の待ったをかけたのは、菅首相だった」(読売2月13日)という。読売は情報戦についても書く。12日の金曜昼に一部の報道機関が「川淵氏は就任を辞退する意向」と速報を流すと、川淵氏は周囲に「俺は何も言っていない。それはガセネタだな」と語り不快感を示した。ところがその頃、既に事態は大きく動いていた(同)。
こうして『川淵氏案 政府難色で一転』(朝日)となる。後任に橋本聖子五輪相の名が浮上したが問題点も一緒に浮上。
《橋本五輪相ありきで人選が進むとすれば、結局は透明性を欠き、同じことの繰り返しになる。希望の祭典が政治劇へと変質した。》(記者の目・スポーツ報知)
寝た子を起こした菅首相
さらに菅義偉首相は透明性を訴えたことで寝た子を起こすことになるかもしれない。息子のことである。
『総務省幹部4人、首相長男らと延べ12回会食…タクシーチケットと贈答品受け取りも』(読売オンライン2月12日)
長男のいる東北新社は総務省が許認可権を持つ衛星放送を手がけている。あれだけ既得権益打破を訴えていた菅首相だが、自身の威光が長男の仕事を利していたなら既得権益ズブズブ側だったことになる。
改革を訴えるリーダーとして大丈夫なのか。国民側には疑心暗鬼が生じる。これを振り払うには明確な説明が必要になる。新たな課題があらわになった。
それもこれも森喜朗先生が透明性の大切さを問題提起してくれたためだ。
「#森喜朗さんありがとう」
(プチ鹿島)
いまそこにある差別……なぜ父は「在日コリアン」であることを家族に話さなかったのだろう
「日本で生まれ育った日本人からすると人種差別っていまいちピンと来ないかもしれないけど……」。
アメリカ、ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に膝で首を押さえ付けられ、その後亡くなった事件を発端に、「Black Lives Matter」のスローガンと共に抗議デモが各地に広がった。
そんな最中に著名な歌手の方がSNSに投稿したこの言葉が、物議を醸した。彼女の書き込みの趣旨は、アメリカで今何が起きているのかを伝えるもので、もちろん大切なことだと思う。
ただ同時に、違和感も抱いた。アメリカとは社会背景が異なるものの、果たして生まれの違いによる「差別」の問題は、遠い海の向こうの問題だろうか。
在日コリアンであることを知らずに育った
日本にも様々なルーツを持った人々が暮らしている。私の父や祖父母も、在日コリアンだ。けれども私が中学2年生の時に父が亡くなるまで、そのことを一切知らずに育ってきた。父は母にさえ、自分の出自について殆ど話したがらなかった。なぜ、自分のルーツを家族に話さなかったのだろうか。私は父の戸籍や、わずかに残された書類の情報を元に、2020年9月、父の生家があったらしい京都市伏見区を訪ねた。
鴨川からほど近い父の生家跡地は、駐車場となってアスファルトに覆われ、その面影は殆ど残されていなかった。川向にはかつて、京都朝鮮第一初級学校があった。学校は2012年に移転してしまったため、跡地にはビジネスホテルが建っている。
2009年12月4日から、在特会と呼ばれる集団が3回にわたり、この京都朝鮮第一初級学校の周辺でヘイトスピーチを繰り返した。学校関係者や在日コリアンが、生きるに値しない人々であるかのような言葉を拡声器で浴びせ続けたのだ。子どもたちにとっては、命の危険を感じる経験だっただろう。事件後、当時この学校に子どもを通わせていたという親御さんの一人は、「朝鮮人って悪いことなの?」と、子どもに尋ねられたという。
ショックを受けたのは子どもたちだけではない。「自分のルーツをポジティブにとらえられるように」と願ってこの学校に子どもを通わせていた親御さんにとっても、自身が幼い頃、「朝鮮人」であることを理由に虐げられたトラウマをえぐられ、フラッシュバックを引き起こすような事件だった。
父が生きていたら、この事件をどう受け止めたのだろう、と考えずにはいられなかった。そして、思う。父が出自を隠し続けていたのは、こんな思いを子どもたちに味わわせたくなかったからではないか、と。
「在日」が「隠れ在日」になる現実
時折、「隠れ在日」という言葉を耳にする。普段は「通名」を使い「日本人」として生き、自分のルーツを隠して生きている在日コリアンたちのことをそう呼ぶことがあるそうだ。今思うと、父もその一人だったのかもしれない。私の同世代のそうした人たちから、悩みの声を聴くことがある。卒業式の日、本当はチマチョゴリを着て家族に見せたいけれど、周りはどう反応するだろうか。日本国籍の人と結婚したいと願った時、相手は、その家族はどう反応するのだろうか、と。
「隠れている」ことが悪いのではない。在特会の事件から10年以上経った今も、街中で、ネット上で、ヘイトは繰り返されている。つまり、「隠れざるをえない」という状況は変わらない。むしろ、溢れかえるネット上の誹謗中傷に、法制度が追いついていない現代の方が、より深刻になっているのかもしれない。
在日コリアン「だから」声をあげるのではない
こうした問題に対して、「分断を深めない伝え方が必要だ」という意見や、「ヘイトをする人々がどうしてそうなったのかという理由も考えるべきだ」というような声も聞かれる。もちろん、大切な視点だ。
ただ、矛先を向けられた「当事者」にまでそれを強いることは、時に暴力になってしまう。言葉のナイフを突きつけられた時、そもそも声をあげることさえできないかもしれない。やっとの思いで声をあげた時、「もっと丁寧な言い方ができないのか」と強いられる理由はどこにもない。「まあまあ、そんなに怒るなよ」という上からの目線も、「なに怒ってるんだよ」という嘲笑も、マイナスでしかない。では、解決の糸口になるものは何だろうか。
時折、「在日コリアンだから、差別に声をあげるんですね」と尋ねられることがある。もちろん、私の父のルーツを知ったことによって、ヘイトや差別の問題により敏感になった面はある。
けれども在日コリアン「だから」声をあげるのではない。私が何者であっても、どんな立場にあっても、この問題に声をあげたいと思う。なぜならこれは、差別の矛先を向けられる側の問題ではなく、向ける側と、その間にいる人々の態度の問題だからだ。特にその「間」にいる、大多数の人々の行動や態度の変化が、鍵を握るのではないだろうか。
2020年9月20日、旭日旗を手に排他的な主張を繰り返す集団が川崎駅前で“街宣”を行っていた。集団を守るように、警察がぐるりと鉄柵で彼らを囲う。その外側には、「カウンター」と呼ばれる差別反対を訴える人々が集まり、声を張り上げ続けていた。
その中に、一人の高校生がいた。「韓国人の友人がいる」という彼女は、日本が好きなその友人が安心して来日できるようにという願いと共に、この場に足を運んだのだという。今求められているのは、彼女のような行動の積み重ねなのかもしれない。同時に、憎悪の連鎖を次世代に目の当たりにさせないために、大人が何をできるのかが問われている。
(安田 菜津紀/文春ムック 文藝春秋オピニオン 2021年の論点100)
《大阪・堺》あおり運転致傷事件、不気味すぎる“粘着男”が行っていた「恐怖の書き込み」
「あんな凶暴な人やから、戻ってきたら仕返しが怖いんで話せません」
そう隣近所の人が震え上がって口を閉ざしたのは、危険運転をして逮捕された不気味な男のこと。
1月27日の夜、大阪府堺市南区の泉北1号線を走っていた軽自動車の40代夫婦が、約5分間、1・5キロにわたり、軽自動車に乗っていた無職・谷慎二容疑者(45)からあおり運転を受けた。
ユーチューブでその恐怖の一部始終が公開されている。
後方から急接近して、執拗にあおり運転をしていたのは容疑者の赤い車だった。
「何、これ! 何、これ! 怖い!」
と叫びつつ、スマホで録画する妻。次第にパニック状態に陥っていく。
容疑者の車は右側に並び、併走しながら幅寄せを。最後は前に強引に割り込んで、被害者夫婦を急停車させた。
車を降りた容疑者は被害者の車に近づき窓を叩く。ヘッドライトに照らされたその表情には、ニタニタと不気味な笑みが浮かんでいた。
「最近は、ドライブレコーダーの設置が増えたので、交通トラブルの動画を目にすることは多くなりましたが、脅したり怒ったりするのではなく、ニヤついているというのは異質でした」(テレビ局記者)
夫婦は車のドアをロックしていたので直接、危害を加えられることはなかったが、急停車で腰を捻挫していた妻は、もう完全に錯乱状態。
夫が110番通報をしていたが通信指令室から、
「奥さんの声が大きいので、静かにしてもらえますか」
と、なだめられる始末。さらに、スマホで録画されているのを承知で、不敵な笑いを浮かべながら、容疑者は丸刈り頭を堂々とさらし、自分の車のナンバーを撮れというように、指し示す仕草を……。
こうした行為で結局、谷容疑者は道路交通法違反(妨害運転)と自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、2月8日に逃亡していた島根県で逮捕。容疑については、
「弁護士が来てから」
と認否を保留している。
そんな危険すぎる容疑者とは、どんな人物なのだろうか──。
1年半前、堺市南区の新興住宅地の延床面積100平方メートルほど、約3000万円の新築一軒家に越してきて、犬2匹と暮らしていた容疑者。
冒頭のように、近所でもうとまれる存在だった。
「幼い子ども連れのファミリーばかりの住宅地やのに、ひとり暮らしはあそこだけ。同じ年代の人が多いのに、近所付き合いもせんで、昼間から酒飲んでプラプラして、まるで独身貴族。軽自動車以外に普通車もあり、かなり金持ちと思っていた」(近所の住民)
本人らしきフェイスブックでは、愛犬との散歩、禁酒やFX(外国為替証拠金取引)、和歌山でサーフィンをする様子が紹介されている。
別の住民はこう証言する。
「コロナで仕事がなくなったと聞いています。FXでも失敗したとか。機嫌が悪いと、近所に“子どもの声がウルさい”とか“ゴミ出しはちゃんとしろ”とか文句を言っていたことも。ふだんはおとなしいけど、酒を飲むと怖い感じ」
ユーチューブに映る容疑者は、飲酒をしていたのではと思ったという。さらには、
「子どもが遊んでいるところをボーッと1時間も見ていたことがあったので、ゾッとしました。子ども好きのニコニコした目ではなく、なんか犯罪に巻き込むような目だったから……」(同)
近所では、クレーマーとしても知られていた谷容疑者。
インターネット上で、容疑者が住むエリアの情報交換をする掲示板に、本人と思われる人物が実名で書き込みを行っていた。
《こんばんは、谷です。何度も言いますが、×××には谷が2世帯ありますので、どうか×××番地の谷さんと名指してください》(以下、本文ママ。×は週刊女性で伏せ字)
そう自分の住所を明かし、
《私は、独り身で犬2匹と暮らしていますが、散歩は住宅街でしておらず……》
と自己紹介。あおり運転のときと同じくある意味、堂々としている。
ペットの飼育マナーについては特に神経質で、次のような主張も。
《自宅前で糞尿されるといやですね》
《尿の匂いで他人に迷惑かかるんやで》
現に自宅の玄関先や庭はきちんと手入れが行き届いていて、ゴミ出しも丁寧だったそう。
《糞尿をしている飼い犬を連れている飼い主を見つけた時はどこに住んでるかと聞くか、後をつけるです》
と、酔っぱらったような口調で恐ろしい書き込みも。
事件前には掲示板で反論されると、
《こっちは番地さらしてるのに》《直接文句言いにに来てもらってええで》《手紙でもいれといてくれたら対応する》
そんな挑発もしているが、実際に容疑者から手紙をもらった人物がいた。
容疑者宅から車で15分ほど。かつて容疑者が住んでいたメゾネットの関係者が話す。
《自分は夜勤をしているので昼間に寝ていますが、そちらの犬がうるさくて眠れないので、なんとかしてほしい》
という手紙が隣人のポストに入っていたそうだ。
「谷さんも犬を飼っていましたが、隣人は谷さんの部屋に近い部屋には犬を入れないようにして、解決したようです。怖い感じの人ではなかったそうです」(関係者)
トラブルには発展しなかったが、今回の事件をみればゾッとするような出来事だ。
「被害者の車は、ノロノロ運転をしていたわけではないし、いまのところ落ち度はないようです。容疑者のアルコールや薬物摂取については、現在のところ捜査中です」
と捜査関係者。
運転中の谷容疑者に癪に障る何らかの出来事があったのだろうが、ペットの糞尿以上に自分が迷惑をかけたことに気づいたのだろうか。
和歌山市で震度4 議場の照明飾り部品落下
15日午後1時28分ごろ、和歌山県で震度4の地震が発生し、その後も断続的に揺れが続いた。震度4に見舞われた際、和歌山市議会の本会議場では全員協議会が開催中で、天井の照明飾りから金属製部品などが落下した。当時、尾花正啓市長が市議側に令和3年度当初予算案の概要を説明していたが、けが人はなく、出席者は机の下に隠れて身を守るなどした。
全員協議会は一時中断した後、場所を移して再開した。出席していた中谷謙二議員(自民)は「床から体がドンと突き上げられるような激しさで驚いた」と話していた。
同市片岡町の刺(さす)田(た)比(ひ)古(こ)神社では、高さ約2メートルの石造りの灯籠が倒れる被害が出た。負傷者はいなかった。
また市内では、地震によるエレベーターの緊急停止なども相次いだ。
被災地に非情の大雨 「新たな土砂災害も」
3月で発生10年を迎える東日本大震災からの復興を進めてきた東北が、再び「試練」に見舞われた。13日夜に発生し福島、宮城両県で最大震度6強を観測した地震。土砂崩れや建物の損壊などの被害が相次ぐ中、15日の被災地には非情の雨が降り続き、二次災害への不安も高まる。
福島、宮城両県は15日午後から激しい雨と風に見舞われた。地震で緩んだ地盤により土砂崩れなどの二次災害を招く恐れもあり、被災地は緊張に包まれた。
「ひび割れが大きく、この雨で被害が広がらないといいが」。震度5強を観測した福島県二本松市の温泉地「岳(だけ)温泉」にある創業約450年の老舗旅館「あだたらの宿 扇や」の女将(おかみ)、鈴木亜矢さん(51)は、不安げに話した。
岳温泉観光協会によると、建物が破損するなどして15日は所属する宿泊施設のほぼ全てが休館。扇やも壁がひび割れて廊下の天井がはがれ落ち、柱とのつなぎ目に大きな隙間ができたほか、ボイラーが故障するなど、大きな被害を受けた。
10年前の東日本大震災の際には、発生半年後に台風で約8キロ離れた泉源が断たれ、一時温泉が届かない状態になった。鈴木さんは「震災で地盤が緩んだ影響もあったと聞いた。早急に営業を再開するつもりでいるが、本当にこの大雨が心配」と心細そうだった。
震度6弱の揺れを観測した宮城県山元町では、地震で土砂崩れが発生し町道の一部が通行止めに。水道管が破損し最大約2900世帯で断水も発生した。15日は雨の中、復旧作業が続けられたが、全世帯で断水が解消されるのは16日以降という。町職員は「大雨で地盤が緩み、新たな土砂災害の発生も懸念される。二次災害に最大限警戒し、注意を呼び掛けている」と語った。
また町内では農業用のため池2カ所で堤防部分に亀裂が入った。直ちに決壊する可能性は低いというが、雨がしみこむのを防ぐため、ブルーシートを張るなどの応急処置が施された。ため池の近くに住む建材業、増川久信さん(73)は「ため池の管理は地区で担っており、安全のため水を抜いた。危険性はないと聞いているが、この大雨なので崩れないか心配だ」と不安そうに話した。(大森貴弘、石原颯)