【独自】東シナ海の緊張高める恐れ…政府、中国「海警法」に懸念伝達へ

日中両政府が海洋当局者による「日中高級事務レベル海洋協議」を3日にもオンライン形式で開催することがわかった。中国公船が挑発行為を繰り返す沖縄県・尖閣諸島の周辺海域など東シナ海問題が主な議題となる。
日本政府は協議で、中国の海上保安機関・海警局(海警)の武器使用の条件などを定めた「海警法」が1日に施行されたことを受け、東シナ海の緊張をさらに高める恐れがあるとの懸念を伝える方針だ。
加藤官房長官は1日の記者会見で海警法について「国際法に反する形で運用されることはあってはならない。今後とも中国側に対してしっかりと我が国の懸念や関心を伝える」と強調した。
また、尖閣諸島周辺などでの自衛隊と中国海軍の偶発的衝突を避けるため、幹部間のホットライン開設に関する協議の加速化についても協議するとみられる。
中国が軍事拠点化する南シナ海問題や、海洋プラスチックごみの削減に向けた両国の協力についても話し合う見通しだ。
日本側は外務省や防衛省、海上保安庁、水産庁の局長級の担当者らが参加する。開催は2019年5月以来で、昨年11月の日中外相会談で早期開催を確認していた。

宿泊療養中のコロナ感染男性が無断外出 制止振り切り自動ドア破壊 新潟

新潟県は1日、新潟市中央区花園2の新型コロナウイルス感染者の宿泊療養施設「シングルイン新潟第3」から、感染者の男性1人が無断で外出したと発表した。今のところ不特定多数との濃厚接触は確認されていない。
県によると、31日午後6時ごろから男性を医師が対面で診察していた際、周囲の制止を振り切り、施錠されていた出入り口の自動ドアを壊して自家用車で逃げた。施設職員らが新潟署に通報。約1時間後に自宅の駐車場で発見され、入院した。外出途中に病院1カ所に立ち寄ったが、警備員に制止され中には入れなかったという。
男性は1月下旬に入所したが、精神が不安定な状態が続いていた。松田英世・県福祉保健部副部長は「精神状態が不安定な患者には早期入院の措置を取るなど、再発防止を徹底したい」と話した。

「今日も客は1組だけ」 休業・自粛要請中の小樽市、再び閑散 新型コロナ

新型コロナウイルス感染者の急激な増加を受け、休業・自粛要請下にある北海道の小樽市。街を歩くと、道内屈指の観光地は昨年春に続き再び閑散としていた。イベントが続く2月は書き入れ時なだけに、商店主らは「精神的にやられそう」とため息を漏らした。【高橋由衣】
1月29日午後3時過ぎ、観光名所の小樽運河。観光客の姿はほとんどない。気温0度。降り積もった雪が寒々しさを増していた。
スマートフォンを手に運河を撮影していた女性に声を掛けた。昨年、道外から転勤のため札幌市に引っ越してきた30代会社員。「目当ての店があって、人も少ないかなと思って初めて小樽に来た」。「密」を避けられると考え、あえて観光に訪れたという。
この前日、道は小樽市に対し、市内での不要不急の外出と同市への往来自粛を2月15日まで要請し、同市も市内の酒類を提供する飲食店に休業を要請していた。
女性は続けた。「観光地というイメージはあったけど、店も全然開いていないし、寒いし、もう帰ろうと思う」。こう言うと、駅へ歩いて行った。
しばらくすると、高齢の女性が通りかかった。市内に住むという70代。閑散とした運河に目をやり、寂しげにポツリ。「本当はもっと観光客がいるんだけどね。商店街にも全然人がいないし、1年で変わってしまった」。複雑な心境も口にした。「私も高齢なので、(ウイルスが)近くに迫っている怖さはある。要請を出してもらってよかった」
小樽堺町通り商店街も人影はまばら。堺町通りは明治や大正期の建築物が並び、古めかしい街並みが国内外の観光客に人気だ。例年2月は中国の春節(旧正月)で多くの中国人らが訪れ、街をキャンドルの淡い光で彩るイベント「小樽雪あかりの路(みち)」が行われ、観光客でにぎわう。
しかし、新型コロナの影響で国内外の観光客は激減し、雪あかりも中止。「さかいまち盛り下がっているぜーっ!!」などとユニークなポスターを製作し、昨春以降の低迷期を支えてきた同商店街振興組合にも落胆の色がにじむ。
組合で事業推進マネジャーを務める坂口武さん(34)は「売り上げがこれ以上悪くなるとは思わないが、精神的ダメージはある。商店街全体で閉塞(へいそく)感を感じるようになった」。
政府の観光支援事業「GoToトラベル」や道の「どうみん割」が始まった昨夏ごろから、団体観光や道内の修学旅行生らでにぎわいが戻りつつあった商店街。全国的な感染拡大を受け、昨年12月下旬にGoToなどの観光施策が停止されると、客足は激減した。そして、今回の休業・自粛要請。坂口さんは「小樽を敬遠する傾向が出てくるのでは」と懸念を深める。
「商店街の明かりは消せない」。すし屋の店主、武田賢一さん(52)は、こんな思いから政府の緊急事態宣言が出された昨年4月も営業を続けた。当時、月の売り上げは100万円を下回った。だが今、それも下回る勢いで客足が途絶える。
武田さんはこぼした。「今日もお客さんは1組だけ。店を閉めると精神的にやられそうだが、閉めて銀行巡りをした方がいいのかな」
この1年で、組合に加盟する5店舗が閉業した。現在、加盟90店のうち4割強は休日のみの営業を強いられている。
1月感染者急増、病床増設へ
「これまでにない患者数で、医療従事者も病床も非常に逼迫(ひっぱく)している」。小樽市保健所の担当者は1日、毎日新聞の取材に危機感を示し、新型コロナウイルス患者の病床を市内で約10床増やす方針を明らかにした。
市内の1月の新型コロナウイルス感染者は395人で、それまでと比べ突出している。初めて感染者が確認された2020年3月からの10カ月分(計313人)を超えた。
急激な感染者の増加は、医療提供体制を圧迫する。市内で確認された入院患者70人のうち、約15人は市外で治療を受けざるを得ない状況だ。
市内で入院している約55人のうち、約40人はクラスター(感染者集団)が起きた石橋病院と北海道社会事業協会小樽病院で治療中。
残り約15人は市内唯一の指定医療機関に入院。このうち2人が重症だ。この医療機関は約30床を確保するが、容体急変などに備え、市は今週中にも別の医療機関に約10床を新設する。【高橋由衣】

小さい子は福豆食べないで 誤嚥で重大事故相次ぐ 節分の日

節分の福豆、小さい子には食べさせないで――。2日は節分。節分といえば豆まきが定番だが、ここ数年、子どもの豆などナッツ類の誤嚥(ごえん)による死亡を含む重大事故が相次いでいる。消費者庁は今年から対象年齢を3歳から5歳に引き上げて、ホームページ(HP)などで注意を呼びかけている。【賀川智子】
東京都内の会社員の母親(40)は小学生の子どもが2人いる。子どもには未就学の時から毎年節分の豆を食べさせ、普段も夫がナッツ類を食べていると子どもも一緒に食べている。女性は「(誤嚥事故の)ニュースを見ると怖くなり、そのときは気をつけようと思うけれど、つい忘れがちになってしまう」と話す。
都内に住む公務員女性(40)も、未就学児を含む娘2人に節分の豆を毎年食べさせていた。預けている保育所は節分に今年も豆まきをする予定で、女性は「保育所では食べさせるのだろうか」と気をもむ。
豆類など食品による子どもの誤嚥事故が相次いでいる。
消費者庁が厚生労働省の人口動態統計の調査票情報(2014年から6年間分)を基に、独自に分析したところ、食品の誤嚥による窒息で、14歳以下の子どもが80人死亡していた。そのうち5歳以下は73人で9割を占めた。また、2010年~昨年12月末、全国の医療機関から同庁に寄せられた情報のうち、14歳以下の子どもの食品事故情報(窒息や誤嚥)は164件あり、そのうち5歳以下の事故が141件で86%を占めていた。昨年2月3日には、松江市の認定こども園で、節分の行事中に4歳の園児が豆を喉に詰まらせて死亡している。
なぜ子どもの食品事故が相次ぐのか――。
武蔵野赤十字病院特殊歯科・口腔(こうくう)外科部長の道脇幸博医師によると、乳幼児には食べ物が誤って喉頭や気管に入らないようにする「気道防御」の発達が十分でないことが、一番の理由という。
さらに、豆やナッツ類は、よくかんで(咀嚼(そしゃく))からのみ込む(嚥下(えんか))食べ物のため、食べるためには、咀嚼と嚥下の両方の機能が必要になる。ただ、大人に準じた咀嚼ができるようになるのは、乳歯列が完成する3歳以降で、さらに咀嚼と嚥下が連動して動く「協調運動」が完成するのは、6歳臼歯(奥歯)の出てきた後だという。
道脇医師がアドバイスする。「大人には日常の食品でも、乳幼児には危険な食品があることを確認してほしい。食品による窒息や誤嚥事故は予防できるので、みんなで注意して、子どもの事故を減らしてほしい」

緊急事態宣言は延長へ調整。社会の雰囲気でコロナ対策が決められる危うさ

2月7日に期限を迎える緊急事態宣言について、菅内閣は延長する方向で調整に入った。3月7日まで期間を延ばすのだが、新型コロナウイルスの猛威に半ば屈した格好だ。

◆3月7日までの延長へ。緊急事態宣言出口戦略の是非

全国紙政治部記者が語る。

「もともと菅首相はコロナを風邪やインフルエンザ程度と捉えており、厳しい措置を取ることには否定的でした。それが『こんなに感染者が出るとは思っていなかった』と意気消沈。自民党内でも求心力を失っています。

GoToキャンペーンの旗振り役だった二階俊博幹事長ですら『経済を回すために緊急事態宣言を解除しろ』という働きかけを控えるようになりました。菅政権の言動や政策はブレブレで、国民の失望を招き、支持率は大幅に低下しています」

◆雇用を取り巻く情勢の厳しさ

緊急事態宣言の延長により心配されるのは、我が国の経済情勢だろう。昨年4月に出された1回目の緊急事態宣言はおよそ1か月半にわたって発令されたが、同年4~6月期のGDPの落ち込みは年率換算で27.8%と戦後最大だった。

今回の緊急事態宣言によって同規模、あるいはより深刻なダメージは避けられない。経済アナリストの森永康平氏が言う。

「GDPの落ち込みも懸念されますが、それ以上に根深い問題になると思われるのが雇用です。’20年平均の有効求人倍率は1.18倍と、前年比0.42ポイントの低下で、これはオイルショックに次ぐ下落ぶりです。休業者の数も過去最大となり、完全失業率も2.8%。あらゆる指標が雇用を取り巻く情勢の厳しさを物語っています。

昨年から緊急事態宣言が出ては延長されているので、雇用する側からするとそう簡単には人を採用できないマインドになっています。コロナ収束後に経済が回復しようとする際、労働力が必要なのに今後の見通しが立てづらく、計画的に人を採用できない。

結果、非正規雇用が多いサービス業従事者を中心に多くの人が苦境に立たされ、再雇用されにくい構造になってしまっている。残念ながら、追い詰められた社会的弱者は今後ますます増えていくでしょう。どうやって救済していくのか。緊急事態宣言を継続するならば補償や給付金、あるいは消費税の減税なども政府は考えていかなければならない」

社会的弱者の困窮ぶりは、’20年の自殺者がリーマン・ショック以来11年ぶりに増加に転じたことからもうかがえる。直接的な感染死もさることながら、間接的な“経済死”もまた大きな脅威として我々の前に立ちふさがっている。

◆緊急事態宣言に効果なし。論文で明かされた驚愕の実態

GoToやひいては東京五輪開催に漕ぎ着けたい菅政権がやむなく緊急事態宣言を延長するのは、自粛要請によって人の流れを減らせば感染拡大を防げるという思惑からだろう。だが、この前提が間違っているとすればどうか。医師で医療ジャーナリストの森田洋之氏が語る。

「ロックダウンや自粛要請は世界中で行われており、どれほど効果があるのか研究がなされ、論文などで実態が徐々に明らかになってきています。

結論から言えばその効果は限定的であり、特に日本では自粛要請と死亡率に相関はみられません。緯度や経度、その国のある場所や気候に左右されるもので、アジアでは人の流れを規制してもしなくても死亡率に影響が出ないと結論づけた論文も出ています。

つまり、今の日本にとって緊急事態宣言のメリットがあるかどうかは怪しく、逆に経済的なダメージを被るというデメリットは明らか。緊急事態宣言の延長は打ち切ったほうがよいと個人的には思っています」

◆旧型コロナと新型コロナは同じ推移を辿っている?

そもそも、気温が低く乾燥した時季にウイルスは活発化しやすく、かねてから冬の第3波が懸念されていた。旧型コロナ、いわゆる風邪の罹患者の推移を国立感染研究所「病原微生物研究情報」の’15年度から5年分をグラフ化したものと、新型コロナを突き合わせると、概ね同じ推移を辿っているようにも見える。

「季節性の感冒や流行性の感染症というのは1月中旬から2月の頭くらいがピーク、というのが例年の傾向。旧型コロナの月ごとの推移は、新型コロナにもほぼ当てはまります。

実効再生産数(1人の陽性者が新たに何人に感染させるかを表す数値)を見ても緊急事態宣言を発令した1月7日は1.18で、ピークは1月11日の1.54。その後は下がっており、1月29日で0.77です。発令から4日でピークを迎えるというのはいくらなんでも早すぎますし、このまま0.7以下で推移していけば感染者は指数関数的に減っていきますので、収束も早い。

日本はすでに第3波のピークアウトしていると思いますよ。テレビでは朝から晩までコロナの恐怖を煽っていて、正直、医師である自分も気持ちが持っていかれそうになりますが、こんなときこそ冷静にファクトで判断しながら対策を練るべき」

◆世論はより厳しい自粛を求め、人々が互いに監視しあっている

そもそも、緊急事態宣言の解除について政府分科会の尾身茂会長は「ステージ3(感染者が増加し、医療体制への負荷が一層かかった状態。4段階中上から2番め)に下がること」と言及していた。

それが現実味を帯びてきた今、解除の議論があってもよさそうなものだが、世論はより厳しい自粛を求め、人々が互いに監視しあっているように見える。

「事実よりも社会の雰囲気でコロナ対策が決められるのは非常に危うい。テレビは恐怖を煽るのではなく、先に僕が触れたロックダウンと死亡率の相関についての論文などを報じてほしい。やらないでしょうけどね。感染拡大を防ぐために間違った手段をとって自殺者を増加させるなんてナンセンス以外の何ものでもない」

果たして緊急事態宣言をいつまで続けるのか。菅政権には出口戦略の見直しが求められる。

◆緊急事態宣言を逆手にとった飲食店が大繁盛

夜の街・歌舞伎町や六本木では一部の高級店が自粛要請に従わず営業しており、予約を入れないと入店できないほどの盛況ぶり。20時以降もあいているため重宝されている。

朝5時までオープンしている店も確認できただけで6軒あり、そのうちの一軒に連絡してみると、23時の時点で満席だった

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!2/2発売号より

NHKの有馬嘉男キャスター降板報道。国谷裕子キャスターと同じく「菅氏に切り込んだ」から!?

◆菅氏に切り込んだ国谷キャスターに続き、有馬キャスターも降板!?

「NHKのニュースキャスターが、また政権に飛ばされるみたいよ」

そんな話が2020年12月、世間を飛び交った。『週刊文春』の報道がきっかけだ。「また」というところが情けない。話題の主は、NHKの看板ニュース番組「ニュースウォッチ9(ナイン)」の有馬嘉男キャスター。2020年10月の放送で生出演した菅首相に対し、学術会議問題で切り込んだのが原因だとささやかれている。最終的にどうなるかは、まだわからない。

菅さんに切り込んだのが原因で降板したと言うと、「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターを思い出す。2014(平成26)年7月、集団的自衛権をめぐる放送で、国谷キャスターは、当時の菅官房長官にインタビューで鋭く問題点を問い質した。

放送後、菅氏と官邸サイドは強い不快感を示したと言われる。翌年の年末、現場レベルで続投が決まっていた国谷さんは「年度いっぱいで契約を更新しない」と上層部から告げられた。こうして国谷さんは2016年3月で番組キャスターを降板することになる。不本意な降板だったことを、その後インタビューなどで明かしている。

「クローズアップ現代」はNHKを代表する報道番組の一つだ。内部では略して「クロ現」と呼ばれる。「クロ現」に出演するのは私にとって夢だったし、今でもNHK記者の夢だと思う。

◆絶大な信頼のもと、23年間キャスターを続けてきた国谷さん

国谷さんは1993(平成5)年の「クロ現」放送開始当初からメインキャスターを続けてきた。私が記者として出演させていただいたのは1997(平9成)年。介護保険法が成立して2000(平成12)年の制度開始が決まった翌日だった。その後は、大阪で府警キャップ(大阪府警担当記者のまとめ役)やニュースデスクとなり、記者たちのサポート役として何度も番組制作に参加した。

国谷さんは番組で放送されるVTRを2度試写する。まずは放送前日、ディレクターや記者、デスクなど制作陣とともに。国谷さんは事前に取材資料を読み込んでいて、VTRの内容に毎回厳しい質問をしてくる。視聴者目線で、わかりにくいものや納得できないことがあると、どこまでも掘り下げて指摘してくる。

2度目は放送当日。前日の指摘を受けて手直しされたVTRを確認する。再度納得できないところを突っ込まれるので、国谷さんにOKをもらうのはなかなか大変なことだった。

番組は月曜から木曜まで週4日放送されていた。だから国谷さんは、当日の放送分と翌日の放送分と、毎日2本の番組を試写していたことになる。毎回テーマがまったく違うのに、すべての内容を頭に入れてスタジオでしゃべるのは、並大抵のことではない。

国谷さんの厳しい指摘は、視聴者目線で番組を少しでもよくしようという気持ちからであり、「クロ現は自分が伝える番組だ」という責任感と自負があったからだろう。それがわかるから現場の制作担当者の間で絶大な信頼があった。だから23年間もメインキャスターを続けてこられたのだと思う。

◆現場は国谷さんの続投を望んでいたが……

放送が終わると毎回、制作チームが参加してNHK近くの飲食店で打ち上げの会が開かれる。国谷さんも都合が合う時には参加してくれた。その時に聞いた話がある。

国谷さんはNHKの職員ではない。毎年契約でキャスターを務めていたが、もともとは通訳としてNHKで働くようになったそうだ。その頃、呼ばれてNHKに来ても、結局仕事がないまま帰されることがあったという。そんな時、「こういう扱いを受けないようになりたい」と考えていたそうだ。非正規雇用の辛さを感じたからこそ、そんな思いも自らの原動力にしていたのだろう。

だからこそ現場は国谷さんの続投を望んでいたのだが、政権の意向を受けて国谷さんの降板に動いたのは、板野祐爾専務理事・放送総局長(当時)だと言われている。NHKの放送職場のトップだ。

板野氏は元経済部記者。2015(平成27)年、安保法制の反対デモが大きなうねりとなった時、NHKニュースで放送させなかった責任者として、当時のNHK会長・籾井勝人氏が指摘した人物だ(筆者記事「籾井勝人・元NHK会長が、安保法制反対デモの報道を止めたのは『放送総局長かな……』と名指し」参照)。何かと政権の意向をくんで動く人物だと、NHK内外で広くみなされている。

◆板野氏の専務理事復帰は、政権の意向を受けた人事?

この年の3月には、「ニュースウォッチ9」のキャスターを5年間務めた大越健介氏も降板している。「物言うキャスター」と評判だったが、この時も突然の決定だったため、官邸の意向を受けて板野氏が動いたのではないかとNHK内でささやかれた。

その後、板野氏は専務理事を退任して関連会社に転出していたが、おととし2019(平成31)年、再び専務理事に復帰した。経営委員長の意向を受けた異例の返り咲きだと評判になった。

板野氏の専務理事としての担当分野は、業務改革統括と新放送センター業務統括。放送総局長を兼務し、放送全般に発言力があった前回に比べ、役職上は放送についての発言権がなく、権限が押さえ込まれているように見える。だからNHK内では、「政権の意向で板野氏を専務理事に復帰はさせたが、面従腹背で、ウラでこっそり影響力を削ぐようなポジションにしたのではないか?」と受け止める向きもある。

だが報道局内の事情に詳しい人物は、「専務理事の役職さえあれば報道に影響力は行使できます。今回も政権の意向を受けて動いているんじゃないですか? あ~やだやだ」と語る。

「今回も」というのはもちろん、記事の冒頭に記した「ニュースウォッチ9」の有馬嘉男キャスターの「降板」人事だ。まだ決まってはいないが「ウラで板野氏が動いているに違いない」という見方だ。板野氏について「獅子身中の虫」「トロイの木馬」などと、さらに辛辣な評価もNHK内部で聞く。

◆説明するとヤバいこと、説明できない事情があるのは森友事件と同じ

NHKはキャスター人事についてありきたりの説明しかしないことが多い。だがキャスターは視聴者に対しNHKを代表して番組に出演している。NHKは視聴者に対して「なぜ降板するのか、なぜ替わるのか」をきちんと説明すべきだろう。そもそもNHK内部でも、当該番組の担当者にもきちんとした説明は行われていない。

これは、「番組の突然の延期や内容変更」(筆者記事「『NHKスペシャル』『クローズアップ現代』が“上から”の指示で番組改変!?」参照)と同じだ。やはり制作担当者に対し、きちんとした説明が行われていない。まして視聴者に対しては知らんぷりだ。説明しないのは、説明するとヤバいこと、説明できない事情があるからだろう。ほら、アレと同じですよ、森友事件。土地取引についても公文書改ざんについても、財務省はきちんと説明していないでしょ。

アレと同じだとしたら……これは公共放送としてあまりにもヤバい。視聴者に受信料を負担していただいてこその公共放送なのだから。お金だけ取って説明しないなんて理屈は世間に通用しない。そこで次回は受信料。誰しも関心のある「お金」の話をしようと思う。

【あなたの知らないNHK 第5回】

<文/相澤冬樹>

【相澤冬樹】

大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋)

犯罪被害者に「心の整理や裁判のための休暇」義務化を…池袋暴走事故の遺族ら

東京・池袋で2019年に起きた暴走事故で妻子を失った松永拓也さん(34)ら「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」のメンバーが1日、厚生労働省を訪れ、犯罪被害者向け休暇制度の導入を企業に義務付けるよう求める要望書を提出した。松永さんは事故直後の約1か月、出社できず、その後も弁護士との打ち合わせなどで休みが必要になった。公判中の今は、有給休暇を使って出廷している。松永さんは「被害者には、心の整理や裁判のための特別な休暇が必要だ」と訴えた。

「家族の一体感が失われる」なぜ日本で夫婦別姓の議論があらぬ方向に向かうのか

私の苗字の「大門」というのは旧姓だ。結婚して戸籍上は夫の姓になったが、長く英字新聞の記者をしていたため、今まで書いた署名入りの記事は、すべてSayuri Daimonとなっていたし、ハーバード大学のジャーナリズムプログラムに招請された時も、署名入りの記事を大学に提出し合格した。毎年1月に開かれるダボス会議へもこの名前で招待されていた。比較的珍しい名前だからか仕事で覚えてもらえる確率も高い。つまり、私にとってこの名前なしで生活するのはとても不便であるし、自分のキャリアを含めアイデンティテイそのものと言ってもいい。
しかし、運転免許証や健康保険証といった公式文書には、旧姓表記はない。最近、マイナンバーカードやパスポートに旧姓併記ができるようになったが、パスポートの旧姓併記はカッコ書きで、パスポートに埋め込まれたICチップ上に別名は記載されないため、航空券を別名で取ることは困難だ。
以前、仕事で飛行機のチケットを取ってもらったことがあるが、大門の名前で予約されていたため、自分が大門であるという証明ができず飛行機に乗れなくなりそうになったこともある。
とまあ、夫婦別姓が法的に認められていないことで被る不利益をあげればキリがない。
働く女性が増え、仕事上で旧姓を使う人も増えているが、法律上選択的夫婦別姓を認めるということについて、日本では遅々として議論が進まない。一体何が問題なのか、諸外国の例や昨年末に決定した「第5次男女共同参画基本計画」をめぐる自民党での議論を調べてみた。
日本では、結婚した男女は同一の氏を名乗ることは定められているが、妻が夫の姓に改姓しなければならないということは義務付けられていない。それでも、日本で96%の女性が夫の姓に変わっているのは、慣習や家族、社会からのプレッシャーが大きいということがあると思う。
また、国連の女子差別撤回委員会は夫婦別姓を認めない日本の民法規定が差別的だとして、日本に対し是正勧告を過去3回も出している。
女性ばかりが不利益を被ると思っていたら、2018年にサイボウズの青野慶久社長ら4人が国を相手取り、「結婚の時『夫婦別姓』を選ぶことができない戸籍法の規定は憲法に反している」などとして裁判を起こした。青野氏は結婚した際、妻の希望に応じて妻の姓を選び、煩雑な名義変更手続きなどをしなければならなかったばかりか、通称として青野を使い続けたことでさまざまな混乱が生じたという。
当時、私はジャパンタイムズで編集局長をしていたのだが、外国人の関心も高かったため、このニュースを1面で取り上げることにした。
ところが、記者の書いた原稿をチェックしていると、原稿の中で旧姓がmaiden name と表現されている。もちろん、旧姓の英語訳はmaiden nameというのが一般的だが、実はこのmaidenには「乙女の」とか「娘の」という意味がある。
「男性が改姓した場合もmaiden nameというのだろうか?」
そんな素朴な疑問が私の頭に浮かんだ。そこで、近くにいたアメリカ人のエディターに「男性の旧姓の場合はどう英語で表現するの?」と聞いてみたが、返ってきた答えは、「maiden name以外はない」というものだった。
結局、青野氏のケースは、社内で話し合い、premarital name(結婚前の姓)と表現することで落ち着いたのだが、欧米ですら、姓は女性が変えるものだということが当たり前だと思われていることを目の当たりにした一件だった。
前述の例からもわかるように、結婚した妻が夫の姓に変わるのは、なにも日本に限ったことではない。
例えば、イギリスで苗字が使われ浸透し始めたのは14世紀頃だといわれているが、当時は結婚した女性は苗字がなくなり、「wife of xx(~の妻)」と呼ばれたという。イギリスのブラッドフォード大学のサイモン・ダンカン教授によると、妻は夫の所有物という考え方があったからだという。ある2016年のイギリスの調査でも90パーセントのイギリス女性が結婚後、夫の姓に変わっているという結果がでている。
しかし、現代のイギリスでは、虚偽でなく、その人がその名前で知られているのであれば、法律上は好きな名前を正式な名前として登録できる。結婚した時に、結婚前の旧姓を正式な名前として登録してもよいし(というより、自分の名前に変更がなければ届け出る必要はない)、夫の名前に変更してもよい。その場合、旧姓をミドルネームにする人もいる。結婚した2人の姓をつなげて作った姓や、2人の姓をハイフンでつなげた姓を登録してもよい。イギリスの結婚証明書には、結婚前の当事者の姓が記載されているので、姓を変更したとしても、姓の変更を要求したことを裏付ける証拠となる。こんな具合に現在の制度はきわめて臨機応変だ。
少し前の記事だが、2015年のニューヨークタイムズの記事によると、アメリカでは一時、結婚後旧姓を使用し続ける女性が減ったが、近年また伸びているという。
この記事によると、1970年代には初婚の女性の17%が旧姓を使い続けたが、1980年代には14%に落ち込んだ。その後、1990年代にまた18%に上がったという。
グーグルの消費者調査によると、2000年代には約20%のアメリカ人女性が旧姓を使い続け、さらに10%の人が夫と2人の苗字をハイフンでつなげて使っているそうだ。最近は、フェイスブックやインスタグラムなどのソーシャルメディア上で、結婚したことを知らない昔の友人にも見つけてもらえるよう、自分のアカウント名に旧姓を併記する人が増えている。
実は、日本において夫婦同姓の歴史はまだ100年ぐらいなので、夫婦で1つの姓を使うのが日本の伝統だという主張はあたらない。法務省によると、明治9年(1876年)3月17日太政官指令では、妻の氏に関して、実家の氏を名乗らせることとし、「夫婦別氏」を国民すべてに適用することとなっていた。その後、明治31年(1898年)に民法(旧法)が成立し、「夫婦は、家を同じくすることにより、同じ氏を称することとされる」という夫婦同氏制が導入された。
これは、同一姓、同一戸籍制度だった当時のドイツの制度を参考にしたと言われている。ドイツでは夫婦どちらかの氏を選ばなければならず、決まらない場合は、夫の姓を名乗るという規定があった。しかし、そのドイツでさえ、これが女性差別的だとして、1993年には法律が改正され、現在は選択的夫婦別姓が可能になっている。
さて、日本では昨年2020年末、政府の「第5次男女共同参画基本計画」が決定した。しかし、焦点だった「選択的夫婦別姓制度」に関して、5年前の「第4次男女共同参画基本計画」にあった「選択的夫婦別氏」という文言が消え、代わりに「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方に関し、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進める」というぼかした表現になってしまった。
この議論は今後どうなるのだろう。政府はコロナ対策で忙しいということで、このまま進まず放置されるのであろうか。
夫婦別姓については、過去25年にわたり反対派と賛成派の議論が繰り広げられてきた経緯がある。1996年に法制審議会が選択的夫婦別姓制度の導入を答申したが、自民党の反対で法案の提出には至らなかった。また、2002年には、原則は同姓で別姓は例外とする「例外的夫婦別姓案」が法務省によって提出されたこともある。自民党では、9年前の野党時代、公約づくりの際にも議論されたが、今回はそれ以来の議論だった。
「夫婦同姓制度は、夫婦でありながら妻が夫の氏を名乗れない別姓制度よりも、より絆の深い一体感ある夫婦関係、家族関係を築くことのできる制度である」「家族がバラバラの姓であることは、家族の一体感を失う」というような反対派の請願書が過去に国会に出されている。姓が同一でなければ一体感が失われ、子供の健全な成長に影響を与えるという主張は、家族の形が多様化している現代社会においては説得力がない。
内閣府が2017年に実施した世論調査では、64.3%の人が、家族の姓が違っても一体感に影響がないと思うと答えている。また、第5次計画のために寄せられたパブリックコメントには、選択的夫婦別姓を望む声は400件以上集まり、反対派の意見はゼロだったという。
それでも、このような反対派の主張が繰り返される背景には、夫婦別姓に強く反対している保守系支持団体の存在が大きいという話を聞いた。
また、この問題をさらに難しくしているのは、推進派の議員が思い描く夫婦別姓の形が違うということがある。
夫婦別姓といっても、戸籍にどう表記するかを含め、さまざまな制度案がある。たとえば、完全に夫婦を別姓としてそれぞれの姓を同列に表記する案、原則同姓で別姓を望む際には家庭裁判所の許可を必要とするという「家裁許可夫婦別姓」案、また、戸籍の中に結婚した夫婦同一の姓を書くが、その横に「社会的に~と名乗ることにする」と別の姓を説明書きとして加える案、旧姓を欧米のミドルネームのように使う案など、夫婦別姓に賛成している議員にもそれぞれの案への思い入れがあり、一枚岩ではない。
反対派は現行法維持で一致しているのに、賛成派が団結して戦えないという皮肉な構図が見えてくる。
これらのことを考えると夫婦別姓実現のハードルはかなり高いと感じるが、それでも、「今回の議論で、反対派も賛成派もさらに検討することにOKした。それはすごい進歩なんです」と、議論をとりまとめた自民党の女性活躍推進特別委員会委員長の森まさこ参議院議員は言う。今まではアンタッチャブルな問題だったが、双方とも今後も議論することに合意したのは前進だという。
また、夫婦別姓の婚姻届けを受理するように求めた最高裁の2つの小法廷で審議されていた案件が、最近、大法廷に回付された。大法廷は15人の最高裁の裁判官全員で審議するので、通常大事件や社会的な影響の大きい事件を扱う。大法廷に回付されたので、関係者は何か意義のある決定がなされるのではないかと期待をしているようだ。最高裁で違憲判決がでれば、自民党も無視できないはずだ。
「本丸は、さらに検討する場を設置すること。できれば、総裁直轄の特命委員会を作ってもらいたい」と森氏はいう。
森氏は、今回議論をしている中で、反対派だった男性議員数人から「夫婦別姓を認めてもよいと思うようになった」というメールをもらったそうだ。「賛成派、反対派の議論を聞いていて、少なくとも断固反対する話じゃないなと。困っている人が目の前にいたら、知恵を出すのが国会議員じゃないかと」というメールだったという。
まさに、国民が日々直面している問題をどう解決できるか、知恵を出し、実現していくのが政治の仕事だ。「一人っ子で実家の姓を残したい」「改姓で仕事に支障がでる」といった声も多い。
過去25年間で行われた議論は、もう次のステージに進め、新しい夫婦のあり方に目をむけるべきだ。そうでなければ、日本は女性活躍後進国として、世界から取り残されてしまうのではないかと危惧している。
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(ジャーナリスト、元ジャパンタイムズ執行役員・論説委員 大門 小百合)

菅氏を窮地に追い込む与党議員「銀座の夜遊び」 公明・遠山氏は議員辞職、自民党は離党ドミノに

通常国会のさなかに発覚した与党幹部議員2人による「銀座の夜遊び」が、菅義偉首相の苦境に追い打ちをかけている。 国民的批判が爆発し、自民、公明の2議員はそれぞれ離党と議員辞職に追い込まれたが、危機管理の甘さも含め、菅首相の「政権運営の欠陥」(閣僚経験者)を露呈することになった。 ■与野党攻防の最中に炸裂した「砲弾」 政府は1日、首都圏や関西圏などに発令した緊急事態宣言を3週間から1カ月間程度延長する方針を固めた。2日に正式決定する。罰則を含めた対応強化のためのコロナ特措法・感染症法改正も2月3日に成立する見通しだ。首都圏は1月8日から、関西圏や福岡県などは同14日から宣言が発令され、1日当たりの新規感染者数も減少傾向にあるが、医療態勢はなお逼迫している。 国民の不信感は根強く、与党幹部議員の不謹慎な行動が菅内閣や自民党への批判を拡大させている。国会論戦で集中砲火を浴び続ける菅首相にとって、まさに泣きっ面に蜂の状況だ。 国会冒頭の与野党攻防がヤマ場を迎えた1月26日午後、週刊新潮と週刊文春が同時に放った“砲弾”が炸裂し、永田町は大騒ぎとなった。標的となったのは自民党の松本純国会対策委員長代理(当時、離党)と公明党の遠山清彦幹事長代理(同、議員辞職)。 両誌は、松本、遠山両氏が国会開会中で、かつ緊急事態宣言下の深夜に銀座の高級クラブに出入りしていたことを暴露。菅首相が国民に不要不急の外出自粛を懇請しているのに、それを無視した2人の行動に批判が爆発。菅首相や公明党の山口那津男代表は平謝りせざるをえなかった。 松本氏と遠山氏が銀座の高級クラブを訪れていたのは、第3次補正予算案の衆院予算委審議やコロナ特措法・感染症法改正での与野党修正協議のヤマ場で国会が緊迫していた最中だった。ネット上では「与党議員は銀座で豪遊し、国民はコロナで刑事罰か」などと憤激する書き込みがあふれた。 週刊新潮や週刊文春によると、松本氏は通常国会が召集された1月18日夜、銀座のイタリア料理店で飲食した後、午後11時過ぎまでお気に入りの銀座のクラブをはしごしていた。一方の遠山氏は、衆参両院での各党代表質問が終わった1月22日夜、有力な後援者との会食後に、深夜まで銀座の高級クラブで過ごしていた。 国対委員長代理だった松本氏は与野党修正協議の当事者で、幹事長代理だった遠山氏も1月25日の衆院予算委で公明党のトップバッターとして質問したばかり。1月27日の参院予算委で野党から厳しい追及を受けた首相は「大変申し訳ない」と陳謝。山口代表も「心からお詫びする」と謝罪した。 ■秘書のキャバクラ代を政治資金で支出

通常国会のさなかに発覚した与党幹部議員2人による「銀座の夜遊び」が、菅義偉首相の苦境に追い打ちをかけている。
国民的批判が爆発し、自民、公明の2議員はそれぞれ離党と議員辞職に追い込まれたが、危機管理の甘さも含め、菅首相の「政権運営の欠陥」(閣僚経験者)を露呈することになった。
■与野党攻防の最中に炸裂した「砲弾」
政府は1日、首都圏や関西圏などに発令した緊急事態宣言を3週間から1カ月間程度延長する方針を固めた。2日に正式決定する。罰則を含めた対応強化のためのコロナ特措法・感染症法改正も2月3日に成立する見通しだ。首都圏は1月8日から、関西圏や福岡県などは同14日から宣言が発令され、1日当たりの新規感染者数も減少傾向にあるが、医療態勢はなお逼迫している。
国民の不信感は根強く、与党幹部議員の不謹慎な行動が菅内閣や自民党への批判を拡大させている。国会論戦で集中砲火を浴び続ける菅首相にとって、まさに泣きっ面に蜂の状況だ。
国会冒頭の与野党攻防がヤマ場を迎えた1月26日午後、週刊新潮と週刊文春が同時に放った“砲弾”が炸裂し、永田町は大騒ぎとなった。標的となったのは自民党の松本純国会対策委員長代理(当時、離党)と公明党の遠山清彦幹事長代理(同、議員辞職)。
両誌は、松本、遠山両氏が国会開会中で、かつ緊急事態宣言下の深夜に銀座の高級クラブに出入りしていたことを暴露。菅首相が国民に不要不急の外出自粛を懇請しているのに、それを無視した2人の行動に批判が爆発。菅首相や公明党の山口那津男代表は平謝りせざるをえなかった。
松本氏と遠山氏が銀座の高級クラブを訪れていたのは、第3次補正予算案の衆院予算委審議やコロナ特措法・感染症法改正での与野党修正協議のヤマ場で国会が緊迫していた最中だった。ネット上では「与党議員は銀座で豪遊し、国民はコロナで刑事罰か」などと憤激する書き込みがあふれた。
週刊新潮や週刊文春によると、松本氏は通常国会が召集された1月18日夜、銀座のイタリア料理店で飲食した後、午後11時過ぎまでお気に入りの銀座のクラブをはしごしていた。一方の遠山氏は、衆参両院での各党代表質問が終わった1月22日夜、有力な後援者との会食後に、深夜まで銀座の高級クラブで過ごしていた。
国対委員長代理だった松本氏は与野党修正協議の当事者で、幹事長代理だった遠山氏も1月25日の衆院予算委で公明党のトップバッターとして質問したばかり。1月27日の参院予算委で野党から厳しい追及を受けた首相は「大変申し訳ない」と陳謝。山口代表も「心からお詫びする」と謝罪した。
■秘書のキャバクラ代を政治資金で支出

自民離党の大塚議員「赤坂のクラブ」で厳重注意受けたことも…地元「今回は到底かばえない」

緊急事態宣言のさなかに東京・銀座のクラブに深夜まで滞在していた自民党の3衆院議員が1日、離党した。国民に我慢を強いる中での身勝手な振る舞いに、議員の地元では怒りや嘆きが広がった。
3氏は党本部でそろって記者団の取材に応じた。大塚高司衆院議員(大阪8区)は「(コロナによる)自粛をお願いしておきながら、本当に申し訳ない」と陳謝。田野瀬太道衆院議員(奈良3区)は「もう一度信頼回復に向けて頑張りたい」と声を振り絞った。
大塚氏は当選4回。国土交通副大臣などを務め、2019年10月に党大阪府連会長に就任した。昨年11月の「大阪都構想」の住民投票では、府連として反対運動を展開し、否決に追い込んだ。府連関係者は「住民投票の結果を次の衆院選につなげようという中、大きな痛手だ」と嘆いた。
国交副大臣だった19年6月には、山形県沖を震源とする震度6強の地震が起きたにもかかわらず、東京・赤坂のクラブにとどまり、厳重注意を受けた。ある府連幹部は「危機管理が甘すぎる。今回の事態は到底かばえない」と切り捨てた。
大塚氏は1日、府連会長を辞任。国会内では、府連所属の議員が急きょ集まり、後任の人事を話し合うなど対応に追われた。
田野瀬氏は、党総務会長を務めた父親・良太郎氏の地盤を引き継ぎ、12年の衆院選に初当選し、3期目。党奈良県連の荻田義雄幹事長は「新型コロナに緊張感を持って対応すべき時期に情けない」と憤った。