苗場プリンスで従業員の感染拡大、ホテルとスキー場を臨時休業

苗場プリンスホテル(新潟県湯沢町)は15日、同ホテルと苗場スキー場、かぐらスキー場を18日から2月上旬まで臨時休業すると発表した。従業員に新型コロナウイルスの感染が広がっていることを受けた措置。同ホテルは「安全安心に過ごしてもらえるよう感染拡大防止に取り組む」としている。
同ホテルによると、昨年12月30日にホテルの男性従業員の感染が確認された。保健所の指示などでホテルや両スキー場の従業員ら延べ約800人にPCR検査を行ったところ、14日現在、31人の感染が判明した。県によると、このうち30人が県内保健所への届け出という。
同ホテルは休業中、業務委託会社を含めた全従業員ら約1200人のPCR検査を実施する。県外から応援で来た従業員の感染が多かったことから、着任、帰任前のPCR検査も行う。一部で2人部屋だった従業員寮を全て個室とし、社員食堂の個人利用を推奨するなどの対策も講じる。
宿泊の予約客には個別に連絡する。問い合わせは、同ホテル(025・789・2211)へ。

「都構想説明パンフは違法」 大阪市長らに約1億円返還求め住民訴訟

大阪市を廃止・分割する「大阪都構想」の住民投票に向け、府と同市が作製した住民説明用のパンフレットなどは違法だとして、市民6人が15日、松井一郎市長ら幹部に作製や配布にかかった約1億1300万円を市に返還させるよう求める住民訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状によると、昨年11月1日の住民投票を控えて作製されたパンフレットが賛成意見のみを取り上げたとし、「客観性や公平性を欠き、誤解を与える」と批判。制度案の分かりやすい説明を義務付ける都構想の根拠法「大都市地域特別区設置法」に違反していると指摘した。また、都構想の事務を担った府市の共同部署「副首都推進局」の広報姿勢が、選挙や投票の勧誘を禁じる地方公務員法に違反していると主張している。
提訴した市民らは昨年10月、費用を返還させるよう求めて住民監査請求したが、監査委員の意見がそろわず、合議不調になった。15日に記者会見した男性は「住民投票の結果が出ているからといって見過ごせない」と訴えた。
松井市長は報道陣に「司法の判断に委ねる」と話した。【津久井達、野田樹】

感染後も療養ホテル入れず、自宅待機者が急増…福岡県「拡大スピード速すぎてパンク状態」

新型コロナウイルスの感染拡大が続く福岡県で、感染が判明しても宿泊療養先のホテルに入れず、医師らの目が届かない自宅で待機する人が急増している。感染者の増加に施設確保など受け入れ態勢が追いつかないためで、2度目の緊急事態宣言が発令された13日には自宅待機者が2200人を超え、1か月前の10倍に膨らんだ。自宅で家族に感染を広げるリスクをはらむうえ、東京などでは病状が急変して死亡したケースも出ている。県はさらなるホテルの確保を急ぐ。
福岡県では、陽性が判明した人は原則、県が療養先として確保しているホテルか医療機関に入ってもらい、自宅での療養は認めない方針をとっている。ホテルには医師が24時間常駐し、すぐに医療機関に入院できる態勢も整えている。
だが、昨年12月下旬頃から感染者が急増し、ホテルに入れず自宅で待機する人が増え始めた。新規感染者が初めて300人を超えた今月6日には自宅待機者が1000人を突破。14日には2245人に上った。現在は、軽症や基礎疾患のある人を優先してホテルに誘導している。県幹部は「感染拡大のスピードが速すぎて、パンク状態だ」と危機感を募らせる。
14日時点で、県はホテル4か所(計1057室)を確保し、503人が療養している。稼働率は5割を切るが、県の担当者は「空室が多く見えるかもしれないが、すぐに入れる部屋は限られる。各施設とも6割程度埋まれば、ほぼフル稼働という状況だ」とする。
全ての部屋を活用できない要因の一つが、陽性者が退室した後の消毒・清掃作業だ。業者への感染リスクを減らすため、同じフロアが全て空室になってから消毒を行っているうえ、清掃は消毒から24時間以上過ぎてから実施。次の人が入るまで最短でも2日はかかる。
一方、県は新しいホテルの確保を急ぐが、稼働までには課題が多い。15日には5か所目となる福岡市博多区のホテル(137室)で受け入れを始める予定だったものの、近隣から説明を求める声が上がり、延期となった。
県の病床確保に携わる上野道雄・福岡東医療センター名誉院長は「家庭内感染を防ぐためには、感染者をホテルに隔離することが重要だ。ただ、新しいホテルの稼働にはスタッフの確保を含め様々な準備が必要で、時間がかかる」と説明する。
福岡県が14日現在で確保する病床の使用率は67・9%と

逼迫
( ひっぱく ) している。入院調整を担当する野田英一郎・九州医療センター救命救急部長によると、医療機関には酸素吸入が必要な中等症以上の患者しか入院ができなくなっている。自宅待機者に対しては、保健師が毎日体調を聞き取り、緊急時は病院に搬送できる態勢をとっている。

北海道のジャガイモ、本州の大雪で送れず…コンテナ山積み

本州の日本海側を襲った記録的な大雪は、北海道内を発着する貨物列車にも影響を与えている。貨物列車が運行できない状態が続いたため、輸送に大幅な遅延が生じている。
JR貨物によると、青森県の津軽線で除雪が追いつかない事態となり、今月7日以降、北海道―本州間で貨物列車が運行できない状況が続いていた。15日早朝から運行を再開したが、宅配物や雑誌、自動車部品などを中心に輸送に遅れが出ているという。北海道から本州へ送るジャガイモやタマネギなどの農産物も道内で長くとどまっていたため、本州の一部の地域では価格が上昇している。
貨物のコンテナは、本州側は青森県の八戸貨物駅構内、道内は札幌市白石区の札幌貨物ターミナル駅構内に留め置かれていた。札幌貨物ターミナル駅に滞留したコンテナは一時、2000個以上に上った。JR貨物は、急を要する貨物についてはトラックに積み替えて運ぶ対応を取っている。
また、コンテナ置き場は屋外にあるため、長期間保管すると貨物が凍る可能性がある。JR貨物は、農産物を農協の保管施設に送り返すなどして対応にあたっている。
運行再開を受け、JR貨物は、本来、本数を減らしている土日も増便してコンテナを輸送し、遅延に対応する計画だ。担当者は「週末にフル稼働で輸送し、来週にはコンテナの滞留を解消できるようにしたい」としている。

ガムテープで顔面ぐるぐる巻き、ハンマーで頭部40回殴打……“名古屋闇サイト殺人事件”被害女性が「どうしても守りたかったもの」――2020 BEST5

2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。映画・ドラマ部門の第5位は、こちら!(初公開日 2020年9月19日)。
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2007年8月24日。夜も更けた23時過ぎ、名古屋市内で事件は起こった。駅から歩いて帰宅途中の女性(当時31歳)が、我が家まであと100mという場所で、3人の男に車で拉致・殺害され、最後には山中に遺棄された。世間を震撼させた「名古屋闇サイト殺人事件」。インターネットでのやり取りをきっかけに手を組んだ男3人が、金を奪う目的で通りすがりの女性・磯谷利恵さんを襲ったというあまりに有名な事件だ。(全2回の1回目/ #2 に続く)
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通りすがりの「真面目でおとなしそうなOL」を襲った3人組
犯人である3人の男たちは、事件を起こす直前に知り合ったばかりだった。出会いの場は携帯電話サイト“闇の職業安定所”。
「刑務所から出てきたばかりで、派遣をやっています。実にばかばかしい。何か組んでやりませんか」という、犯人の1人、川岸の書き込みに反応した2人の男、堀と神田。「何か一発やりますか?」「以前は詐欺をしていたのですが、貧乏すぎて強盗でもしたい位です」。こうして3人の犯人たちは動き出した。
すでに10年以上が経過し、当該のサイト“闇の職業安定所”はすでに閉鎖されているものの、犯罪の温床となる類似した闇サイトは現在も存在しているというから、同様の事件が明日起きる可能性もある。
事件当夜、獲物となる人物を物色していた犯人たちは、真面目でおとなしそうな利恵さんに目をつけた。車を止め、道を尋ねるふりをして声を掛ける。そして一瞬の隙を突いて利恵さんの口を塞ぎ、155センチと小柄な体を軽々と持ち上げミニバンに放り込み、あっという間に立ち去った。その間わずか1~2分。そして、その2時間ほどのちに、利恵さんは殺害される。
この事件が衝撃的なのは、1つには犯人たちの証言をもとに明らかとなった、ハンマーを使ったという残忍な利恵さんへの暴行。そしてもう1つ、この恐怖の体験に対し、利恵さんが毅然と立ち向かったという事実だ。彼女には犯人たちの欲求に抗って、何としても守りたいものがあったのだ。
母親思いだった利恵さんの夢
車に監禁、屈強な男たち3人に囲まれ、財布を奪われた利恵さんは「キャッシュカードの暗証番号を教えろ」と安物の包丁を突きつけられて脅された。利恵さんの膝はガクガクと震え、強姦をほのめかされた際には、交際中の彼を思い必死に抵抗した。
もちろん利恵さんは犯人に「殺さないで」と訴え、生きようとした。しかし、取り上げられたキャッシュカードの本当の暗証番号を教えることなく、代わりにウソの暗証番号を伝えることで、利恵さんは「憎むわ(2960)」というダイイングメッセージを残す。結果、働いてコツコツと貯めた利恵さんの預金は、犯人たちに奪われることはなかった。
その預金額は800万円あまり。犯人たちが小躍りしたというだけあって大きい額であるが、彼女にとってこの預金にはそれ以上に大きな意味があった。「お母さんに家を買って、プレゼントしてあげたい」……それが、明るく生真面目な31歳、利恵さんの夢だったのだ。
しかし、利恵さんの夢は無残にも打ち砕かれる。ステンレス製の手錠をはめられ、脅され続けた利恵さんの告げた暗証番号を、犯人たちは疑いもしなかった。3人は利恵さんの頭にレジ袋をかぶせ、ガムテープで顔をぐるぐる巻きにした。首を締めたうえ、さらに利恵さんの頭部や顔面に力を込め、鉄のハンマーを何度も何度も繰り返し振り下ろす。それでも利恵さんは生きていた。「なかなか死なねえな」焦る犯人たち。
やがて利恵さんの右足が痙攣しているのを確認すると「よかった、もうすぐ死にますね」「お疲れ様」という会話がされたという。利恵さんの死因は、窒息死だった。40回も振り下ろされたハンマーの痛みに、生きて耐え抜いたのだ。息をひきとる際には、どんなに苦しく無念だったことだろう。
「名古屋闇サイト殺人事件」の映画化『おかえり ただいま』
この「名古屋闇サイト殺人事件」が映画化され公開となる。惨殺された利恵さんの母親は事件直後、街頭で涙の訴えによって「3人の犯人の死刑を望む」という署名を集め、裁判に臨んだ。そんな母の姿を追った2009年放送のドキュメンタリーに、斉藤由貴、佐津川愛美らが出演するドラマ部分を加え、再編集されている。
本作の監督は、東海テレビ東京編成部長の齊藤潤一氏。齊藤監督は、今まで東海テレビのディレクターとして、数々の「司法シリーズ」ドキュメンタリー番組を作ってきた。本作の公開に先立って話をうかがった。
ーー事件当時(2007年8月24日)監督ご自身は何をしていましたか?
「『光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~』という殺人事件のドキュメンタリー番組を撮っていました。犯人の弁護団側を取材する内容だったので、放送後『東海テレビは被害者遺族の気持ちがわかっているのか!』とお叱りのメールや電話をいっぱいいただいたんです。それで『今度は被害者遺族の番組を作ろう』ということになり“名古屋闇サイト殺人事件”の磯谷さん(利恵さんの母)の取材に向かいました。磯谷さんが、犯人の死刑を求める署名を集めているところで、まだ裁判が始まる前でした」
母娘の間にあったドラマ、そして家族の大切さも描きたかった
ーー本作の制作にあたって、監督自身が涙を禁じ得ない場面はありましたか?
「やっぱり利恵さんが拉致をされて、犯人から『暗証番号を言え』と言われるなか、お母さんのためのお家を建ててあげるためにコツコツ貯めたお金を守ろうとニセの暗証番号を言った、という事実。物語を佐津川愛美さんが演じています。一番今回描きたかった部分ですね」
ーーどのような作品に仕上がっていますか?
「東海地方では『名古屋闇サイト殺人事件』というのは、とても大きな事件なんです。この事件を通して、今回は家族をテーマに、利恵さんとお母さんの間にあったドラマ、そして家族の大切さも描きたかった。
『おかえり ただいま』というタイトルにしましたけど、加害者も家庭でそんな会話があったなら事件は起きなかったかもしれないと思っています。長いこと報道の記者をしてきたものですから……いろんな殺人事件で加害者側の生い立ちを取材すると、社会的弱者が圧倒的に多いんです」
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本作のドキュメンタリー部分では、加害者側の父親にも粘り強く取材を試みた様子が収録されている。凶悪事件の加害者となった息子について、父親は記者にどのように語ったのか? そして被害者母娘、富美子さんと利恵さんの親子関係はどんなものだったのか?
「名古屋闇サイト殺人事件」被害者側から、そして加害者側からも感じる「家族」とは。痛ましく、胸に迫る劇場版『おかえり ただいま』は9月19日公開。
【続きを読む】 「『いつか遺族に寄りそった作品でお詫びしたかった』名古屋闇サイト殺人事件・ドキュメンタリー監督の“心残り”」
INFORMATION
『おかえり ただいま』映画情報 2020年9月19日より、ポレポレ東中野にてロードショー、ほか全国順次公開 出演:斉藤由貴 佐津川愛美 浅田美代子 大空眞弓 須賀健太 天野鎮雄 矢崎由紗 ほか 監督・脚本:齊藤潤一 プロデューサー:阿武野勝彦 製作・著作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風 https://www.okaeri-tadaima.jp 東海テレビ放送
(市川 はるひ)

金沢連続ひき逃げ、19歳再逮捕へ 酒気帯び運転で高齢男性はねた疑い

2020年12月に金沢市の繁華街で発生した死亡ひき逃げ事件で、石川県警は自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑などで逮捕された市内の解体作業員の少年(19)が酒気を帯びた状態で車を運転し、事件直前にも高齢男性をはねた疑いが強まったとして、16日に道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑などで再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で明らかになった。
少年は20年12月26日午前6時40分ごろに金沢市片町の交差点で横断歩道を渡っていた同市の会社役員の女性(78)をはねて死亡させた上、そのまま逃走したとして逮捕された。少年は調べに対し、現場から約100メートル離れた同市香林坊の交差点で男性がはねられた事故についても関与をほのめかしていた。
県警は女性がひき逃げされた現場から約1・5キロ離れた駐車場で、少年が運転し一部が壊れた状態のワゴン車を発見。捜査関係者によると、少年の事前の動向や一緒に飲酒していた関係者の供述などから、少年が事件当時に酒気帯び状態で運転していた疑いがあると判断した。【井手千夏】

今日16日(土)の天気 共通テストは北日本で荒天注意 関東は体感一変

■ 天気のポイント ■

予想天気図 16日(土)9時
今日16日(土)は、前線を伴った低気圧が発達しながら北海道付近を通過します。低気圧や前線の影響で、北日本から北陸、山陰にかけて雨や雪が降り、風も強く荒天となるおそれがあります。一方、関東以西の太平洋側は日差しが届いて気温が上がりそうです。
北日本は荒天に注意
風向・風速 16日12時の予想
北海道や東北は雨や雪が降りやすく、沿岸部を中心に風も吹き荒れる予想で、北海道ではすでに一部でふぶいています。荒天となって鉄道などの遅れが発生する可能性がありますので、共通テストの受験生などは最新の情報を確認しつつ、時間に余裕を持った行動をするようにしてください。降りはじめは雨や湿った雪になるため、路面状況の悪化にも十分な注意が必要です。
日本海側は広い範囲で雨
北陸から山陰にかけての日本海側は雨が降りやすくなります。西日本の日本海側は朝のうち、雨の時間は短いものの雷を伴ってザッと強く降るところがある予想です。北陸は断続的に雨で、傘が手放せません。雪が多く残っている地域では、路面状況の悪化や屋根からの落雪、山沿いでの雪崩などに注意をしてください。
関東は季節外れの陽気
東京の気温変化
前線の影響が小さい関東以西の太平洋側は、晴れるところが多くなります。南から暖かな空気が流れ込むため気温が上がり、春を思わせる陽気です。特に関東は昨日に比べて大幅に気温が上がり、最高気温が20℃に迫る予想となっています。昼間は上着なしでも外に出られるくらいです。

大臣室侵食する政界工作 アキタ社元代表 農水族議員“手駒”に

吉川貴盛元農林水産相(70)が大臣在任中に現金500万円を受領した汚職事件で、吉川被告とともに在宅起訴された鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの秋田善祺(よしき)元代表(87)。「鶏卵業界のために」と複数の農水族議員らに接近し、多額の現金を配っていた。会社経営を息子に任せて「ひたすら政界工作に徹した」(同社幹部)といい、現職大臣へも侵食。大臣室も贈収賄の舞台となった。
「西川、吉川は俺を大切にしている。河井は金ばかり欲しがる」。昨年春、アキタ本社3階の会議室。秋田被告は社員らを前に、吉川被告を含む政治家3人の名前を呼び捨てにし、自慢げに語った。
関係者によると、秋田被告は平成21年の広島県知事選に立候補した参院議員、河井案里被告(47)=公選法違反罪で公判中=への支援をきっかけに、夫で元法相の衆院議員、克行被告(57)=同=との付き合いを始めたという。
また、養鶏業界に詳しい農水族議員とのパイプを重視し、内閣官房参与を辞任した西川公也元農水相(78)の接待も繰り返した。25年、吉川被告が農水副大臣に就任すると、克行被告の紹介で吉川被告との交流が始まり、汚職事件の舞台が整った。
21年、旧民主党政権になった際には民主側へ人脈を広げ、自民党政権に戻れば自民側の政治家らに足しげく通った。政権交代当時、「農業は日和見でいくしかない」と口にしたという。
× × ×
「書類を置いておきますよ」。31年3月26日、秋田被告は大臣室で吉川被告に現金200万円を手渡した際、こう言い添えたという。「書類」と言い残すのがいつもの手法だった。秋田被告は「配慮をありがとうございました」とも付け加えた。
謝意には理由があった。家畜のストレスを減らす飼育方法「アニマルウェルフェア」(AW)をめぐり、業界団体幹部だった秋田被告はロビー活動を展開。日本の養鶏業界に不利な内容だった国際獣疫事務局(OIE)の国際基準案に対し、政府は31年1月、反対意見を提出していた。
政界へのロビー活動には多額の現金がついて回った。
《(平成30年)11/20 1000000、2000000》《12/3 5500000》《12/18 1000000》
東京地検特捜部が押収したとされる手書きのメモには、秋田被告から政治家らに渡ったとみられる金額が記録されていた。メモからは、30年2月~31年4月に計3300万円の支出があったことがうかがえる。
吉川被告には27年以降、大臣在任中も含め現金だけで1800万円、西川氏にも同額程度が渡ったとみられる。ほかにも農水族議員を中心に多くの政治家のパーティー券を購入していた。
× × ×
傘寿をとうに超えながら引退せず、東京と福山を行き来し、政治家や官僚らと会合を繰り返していた秋田被告。周辺に「大切なのは、重要事項を取り仕切る農水省の課長クラスと強固なパイプを持つこと。そのためには農水族議員とのつながりが必須になる」とも語っていた。
業界関係者は「秋田被告は、農水官僚が部長級に出世する前から交流を重ねて関係を築き、業界の要望を反映するのが得意だった」と振り返る。秋田被告は30年1月~令和元年末、農水省幹部らと省内外で少なくとも40回以上面会。最も信頼を寄せていたという元農水官僚は昨年7月、西川氏とともに約20億円で購入した豪華クルーザーの接待に招待されていた。
特捜部の捜査がヤマ場を迎えた年明け、秋田被告は親しい業界関係者に対し、こうつぶやいたという。
「やっとの思いで築いてきた農水族議員、農水官僚との人脈が事件のせいで途絶えてしまう」

感染状況このままなら「強力な措置必要に」…1都3県知事がメッセージ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の知事は15日、テレビ会議を開き、感染状況が改善しなければ「強力な措置も必要になる」との共同メッセージを出した。
4都県は、全国の新規感染者の半数以上を占めるなど、厳しい感染状況が続いている。各地の人出は昨年の宣言時ほど減っていないとのデータもあり、共同メッセージは「多くの命を救うために、一人ひとりが行動を変える」として、都県民に外出自粛の徹底を求めた。
一方、東京都の小池百合子知事は15日の定例記者会見で、飲食店などに対する営業時間の短縮要請を休業要請に強化する可能性について、「選択肢の一つとしては、ありだと考えている」と述べた。その上で、「そうならないための協力をお願いする」と語り、時短営業への協力を改めて求めた。

またも時の壁、「悔しくてどうしようもない」 旧優生保護法・札幌地裁判決

実名での訴えも、「時の壁」に阻まれた。旧優生保護法を巡る訴訟で、原告敗訴を言い渡した15日の札幌地裁判決。旧法を違憲と判断しつつ、手術から20年以上の経過で賠償請求権が消滅したとして訴えを退けた。「本当に残念で悔しい」。判決後、原告の小島喜久夫さん(79)は無念さをにじませた。
午後3時半過ぎ、札幌地裁805号法廷。「これまで苦労されてきた人生を肌身に感じ、それ故(請求を)認容すべきかどうか直前まで議論に議論を重ねました。しかし、法律の壁は厚く60年はあまりにも長く、このような判断になりました」。判決言い渡し後、こう語り掛けた広瀬孝裁判長を小島さんはじっと見つめていた。「悔しくて悔しくてどうしようもない」。そんな気持ちがこみ上げた。
1941年に生まれて間もなく、養父母に預けられた小島さん。家族との関係が悪くなり、けんかなどの非行に走るようになった。19歳だった60年ごろ、自宅に来た警察官に連れられ強制入院。「あんたたちみたいなのが子どもをつくったら大変だから」。看護師に言われ、不妊手術を強いられた。
21歳でタクシー運転手となり、38歳で妻の麗子さん(78)と結婚。手術のことは言えなかった。「自分には子供ができない」。タクシーに家族連れを乗せるたび、心が痛んだ。
2018年1月、宮城県の60代女性が国を相手取り仙台地裁に提訴したとの報道で旧優生保護法の存在を知り、「国が加害者」と気付いた。麗子さんに手術の過去を告白した。「まさか夫が……。ショックだった」。麗子さんは振り返る。
同年5月に提訴。小島さんは判決後の記者会見で「3年間、裁判のことを一日も忘れたことはなかった」と硬い表情を浮かべた。「裁判長も悩んだというコメントをするくらいなら、(手術を)やられた人間の気持ちを酌んで、国の責任を認めてほしかった」
「一人でも多くの当事者を勇気づけたい」。その思いから、原告として全国で初めて実名を公表した小島さん。「本当に国は悪いことをした。妻と2人で元気なうちは闘っていきたい」と力強く語った。
判決は同種訴訟で初めて憲法24条違反を認めた。弁護団の小野寺信勝弁護士は「従来の判決より前進した。除斥期間や立法不作為をどう克服するかが課題だ」と控訴審を見据えた。【源馬のぞみ、土谷純一】
<判決骨子>
・旧優生保護法は憲法13条、14条、24条に違反する
・民法の「除斥期間」の規定により、不妊手術から
20年が経過した1980年ごろに賠償請求権は消滅
した
・被害者救済のための立法措置は国会の裁量の問題
で、国家賠償法に加えた措置を取らなかったことを
違法とするのは困難