川崎市のアパートに侵入したとして、神奈川県警幸署は20日、川崎市幸区北加瀬1、会社員、大塚隼容疑者(29)を邸宅侵入容疑で逮捕した。「記憶にない」と容疑を否認しているという。大塚容疑者が部屋のドアにかけた体液などから容疑が浮上した。
逮捕容疑は2020年11月6日午後9時45分ごろ、川崎市幸区のアパートの共用通路に侵入したとしている。
同署によると、大塚容疑者はアパートの部屋のドアノブ付近に体液をかけたという。周辺の防犯カメラに大塚容疑者とみられる姿が映っていた。【洪香】
「news」カテゴリーアーカイブ
やまゆり園パラ採火中止を検討 相模原市長、遺族らに陳謝
相模原市の本村賢太郎市長は20日の定例記者会見で、2016年7月に入所者ら45人が殺傷された知的障害者施設「津久井やまゆり園」(同市緑区)で予定していた東京パラリンピックの聖火採取を「場所の変更を含め総合的に判断したい」と述べた。遺族らが市に中止を求めていた。
市は3月31日、施設で8月15日に採火すると発表したが遺族らに事前説明はなかった。本村市長は会見で「配慮や寄り添う気持ちが足りなかった」と陳謝。遺族らにおわびの手紙を送り、採火について意見を集めていると明らかにした。今月26日ごろまで意見を募り、早ければ月末には実施か中止かを判断するという。
全国新たに4342人感染=大阪1153人、東京711人―新型コロナ
国内では20日、新型コロナウイルス感染者が新たに全都道府県と空港検疫で、計4342人確認された。死者は45人、重症者は前日から31人増え769人だった。
大阪府では、新たに1153人の陽性が判明した。火曜日に発表される感染者数としては、前週13日の1099人を上回り、過去最多を更新した。府によると、重症者は前日から15人増え過去最多の317人となった。確保済みの重症病床259床がほぼ満床となり、60人の重症者が軽症・中等症患者向けの医療機関で治療を受けている。
東京都では711人の感染が確認された。新規感染者数が700人を上回るのは3日ぶり。
都によると、新規感染者のうち重症化リスクの高い65歳以上は107人。都基準による重症者は前日比3人増の50人だった。新規感染者の直近1週間平均は629.3人で、前週から27.9%増えた。
[時事通信社]
緊急事態宣言3度目発令へ 東京、大阪、兵庫対象
政府は20日、新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都、大阪府、兵庫県に緊急事態宣言を近く発令する方針を固めた。3度目の宣言となる。大阪府は同日、宣言発令を政府に求め、商業施設などへの休業要請を調整している。菅義偉首相は官邸で「状況を精査し、対策の中身も検討し、速やかに判断したい」と表明した。東京都も週内に要請する方針。首相は東京都と、大阪府と歩調を合わせる兵庫県について「状況を踏まえて判断したい」と語った。
関係閣僚と協議後、記者団に説明した。
首相は緊急事態宣言を発令した場合でも、夏の東京五輪・パラリンピックの開催には影響しないとの認識を示した。
【コロナ戦争の戦犯】ワクチン接種遅れの戦犯、政府も手に負えない“獅子身中の虫”厚労医系技官 担当室長や23人宴会課長ら医師資格を持つ官僚が動き鈍い医師の盾に
新型コロナウイルスの「第4波」が指摘されるなか、日本でも先週から、高齢者へのワクチン接種が始まった。ただ、人口あたりの接種率は1%に満たず、数十%というイスラエルや米国、英国などから大きく出遅れている。国産ワクチンの開発も進んでいない。わが国は「医療先進国」「世界有数の病床数」を誇っていたはずだが、欧米に比べて感染者数は圧倒的に少ないのに、各地の感染対策病床は逼迫(ひっぱく)しつつあるという。一体どういうことなのか。注目される「医系技官」の存在。評論家の八幡和郎氏が「コロナ戦争の戦犯」に迫る。 ◇ 日本医師会の中川俊男会長は14日の記者会見で、大阪府などの感染状況を受けて、「第4波だ」「(大阪では)すでに医療崩壊が始まっている」「首都圏1都3県でも(医療崩壊が)発生する恐れがある」「(蔓延防止等重点措置ではなく)状況によっては、早期の緊急事態宣言発令も必要だ」「昨年の宣言時のような、『広範囲での強い外出自粛要請』などをせざるを得ない」と訴えた。 東京都医師会の尾崎治夫会長は13日の定例会見で、「(東京五輪は)これ以上、感染が広がることがあれば、無観客であってもなかなか難しい面も出てきている」と語った。 欧米に比べて、日本は感染者数も死者数も圧倒的に少ないのに、私には不可解に感じる。 コロナを克服して、日常の生活に戻る、ただ1つ方法は、ワクチンの接種を急ぐことだ。先行しているイスラエルや米国、英国では、経済も回復し始め、戦争の勝利を祝うような気分になりつつある。 ワクチンを打てば、1年くらいほぼ安心のようで、変異株が現れたらまた接種すればいいだけだ。かかっても軽い症状ですむ。PCR検査は、ウイルス自体を抑えられず、いわゆる「モグラたたき」に過ぎない。1週間ごとなど、頻繁に繰り返さないと意味がないのと大違いだ。 しかし、日本のワクチン接種は進まない。 海外では、何種類ものワクチンを併用しているのに、日本では米製薬大手「ファイザー」のワクチンだけで、他社のワクチンについては、田村憲久厚労相が「うまくいけば5月中に承認ということもあるかもしれない」(3月21日、NHK番組)と、のん気なことを言っている。 しかも、世界に例を見ない、「480万人もの医療従事者優先」というお手盛りだ。 海外では、最も危険な高齢者、特に施設にいる人や従業員が最優先だし、それなりに優先される医療従事者も狭い範囲だ。ドイツでは、高齢者の同居者が医師より優先される。高齢者の感染原因は、同居する家族からが多いのだから、優先度が高いことくらい少し考えれば分かる。
新型コロナウイルスの「第4波」が指摘されるなか、日本でも先週から、高齢者へのワクチン接種が始まった。ただ、人口あたりの接種率は1%に満たず、数十%というイスラエルや米国、英国などから大きく出遅れている。国産ワクチンの開発も進んでいない。わが国は「医療先進国」「世界有数の病床数」を誇っていたはずだが、欧米に比べて感染者数は圧倒的に少ないのに、各地の感染対策病床は逼迫(ひっぱく)しつつあるという。一体どういうことなのか。注目される「医系技官」の存在。評論家の八幡和郎氏が「コロナ戦争の戦犯」に迫る。
◇
日本医師会の中川俊男会長は14日の記者会見で、大阪府などの感染状況を受けて、「第4波だ」「(大阪では)すでに医療崩壊が始まっている」「首都圏1都3県でも(医療崩壊が)発生する恐れがある」「(蔓延防止等重点措置ではなく)状況によっては、早期の緊急事態宣言発令も必要だ」「昨年の宣言時のような、『広範囲での強い外出自粛要請』などをせざるを得ない」と訴えた。
東京都医師会の尾崎治夫会長は13日の定例会見で、「(東京五輪は)これ以上、感染が広がることがあれば、無観客であってもなかなか難しい面も出てきている」と語った。
欧米に比べて、日本は感染者数も死者数も圧倒的に少ないのに、私には不可解に感じる。
コロナを克服して、日常の生活に戻る、ただ1つ方法は、ワクチンの接種を急ぐことだ。先行しているイスラエルや米国、英国では、経済も回復し始め、戦争の勝利を祝うような気分になりつつある。
ワクチンを打てば、1年くらいほぼ安心のようで、変異株が現れたらまた接種すればいいだけだ。かかっても軽い症状ですむ。PCR検査は、ウイルス自体を抑えられず、いわゆる「モグラたたき」に過ぎない。1週間ごとなど、頻繁に繰り返さないと意味がないのと大違いだ。
しかし、日本のワクチン接種は進まない。
海外では、何種類ものワクチンを併用しているのに、日本では米製薬大手「ファイザー」のワクチンだけで、他社のワクチンについては、田村憲久厚労相が「うまくいけば5月中に承認ということもあるかもしれない」(3月21日、NHK番組)と、のん気なことを言っている。
しかも、世界に例を見ない、「480万人もの医療従事者優先」というお手盛りだ。
海外では、最も危険な高齢者、特に施設にいる人や従業員が最優先だし、それなりに優先される医療従事者も狭い範囲だ。ドイツでは、高齢者の同居者が医師より優先される。高齢者の感染原因は、同居する家族からが多いのだから、優先度が高いことくらい少し考えれば分かる。
「寿命を3年は縮めてやったわね」「迷惑だから長生きしないで」高齢化大国日本で加速する“老人同士”の凶行DVのリアル
高齢化が社会問題として叫ばれはじめて久しい日本社会。厚生労働省の発表によると、2020年の出生数は過去最低の87万2683人と、高齢化問題の解決策はいまだ糸口が見つかっていない。
そうしたなかで、老人たちによる犯罪行為が顕在化してきている。ここでは、ノンフィクション作家の新郷由起氏が不良化する高齢者たちのリアルに迫った『 老人たちの裏社会 』(宝島社)を引用。老人同士の生々しいDV問題について紹介する。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◆ ◆ ◆
80歳の夫が75歳妻へ壮絶なDV
高齢者による度を越した暴言・暴力は、公共の場でこそ人目に晒され、戒めを受ける機会も得るが、閉ざされた“密室”の凶行では、深刻な事態に進展してからでしか発覚しない場合も多い。
配偶者間の暴力=DV(ドメスティック・バイオレンス)がそれだ。
割合的には男性側からのDVが圧倒的だが、「健常者の場合は老化により、いきなり凶暴性が芽生えてDVに発展するケースはまずありません。男性では元来の性格や気質がより顕著に出る形で暴力的になる」(前出・芦刈氏)という。
考えてみてほしい。
一線を退き、日常生活でかかわる人間が極端に減る。肩書きもなくなって社会的地位や世間体など外部からの抑圧も消える。子どもも巣立って夫婦二人の生活では間に入る人間もなく、完全な密室と化す。日々のなかで気に入らない事柄や不満があっても、憂さを晴らす術を知らず、受け止めてくれる相手が“目の前の一人”しかいない。元来DV気質だった夫が、コントロール不能になった感情の暴発と持て余した体力を、筋力が減って骨が脆くなった妻へ向けるとどうなるか――。
「年を取れば、父も丸くなると信じていたんです。体も衰えて、もう暴力なんて振るわないだろうと思っていたのに……」
実家へ向かう高速バスの車中、山崎智美さん(仮名/44歳)は暗鬱とした表情のまま呟いた。彼女が幼少時から苛まれてきた父親の家庭内暴力は老齢になっても収まらず、今回、母親がDVにより右大腿骨頸部と右手首を骨折。病院からの知らせを受けて、8年ぶりに故郷へ向かうこととなった。彼女の父親は80歳、母親は75歳だ。
「父は気に入らないことがあると、母を殴る、蹴る。私たち兄妹もよく叩かれ、父には『死んでほしい』と本気で願ったことも一度や二度じゃない。母には何度も離婚を勧めましたが、『あんたたちを片親にはできない』の一点張りで……」
現役を引退してからDVが再び悪化
兄妹は高校卒業後、進学を機に実家を離れ、そのまま就職、結婚。両親二人きりの生活となり、加齢も伴って「『以前ほど暴れなくなった』との母の言葉に一時は安心もしていた」と言うが、穏やかでいられたのもつかの間、父親が現役を引退してからはDVが再び悪化し始める。2年前には頭と顔を殴打され、頭部の出血と鼓膜の損傷で、兄夫婦宅へ母親を一時避難させた。
「配偶者暴力相談支援センターや女性相談センターなどにも相談しましたが、本人に別離の希望がないため、手立てがなくて。兄も私も同居する気持ちも余裕もありませんし」
苦肉の策として民生委員や地域担当の警察官らが小まめに見回ることになったが、警察官が説諭に訪れた際も「父は『養ってきたのは俺だ』『至らないから教育してやってるんだ』と相変わらずで、まったく話にならなかったとか。母は過去に失明しかけたこともあったけど、これほどの大事に至るのは初めて。老い先短くなってから、こんなことになるなんて……」と、智美さんは言葉を詰まらせた。
DVは被害者が育てる
西日射す病室のベッドに横たわっていた母親は娘の遠路を労ねぎらい、ひとしきりの話を終えた後に「お父さん、ご飯どうするのかしら」とも言葉を続けた。髪を掴んで体を振り回され、段差へ叩きつけられるようにして放られた際、床についた右手首の骨と大腿骨を折り、このまま寝たきりになる可能性すらあるのに、だ。
二十余年にわたり、DVや熟年離婚に携わってきた弁護士の松江仁美氏(弁護士法人「DREAM」代表)が指摘する。
「『DVは被害者が育てる』といわれます。初期の段階で被害者が毅然とした態度を取り、加害者へ公にも厳しい制裁を受けさせ、こうした暴力は許されないという事実をわからせない限り、年を取ったからといって暴力が自然にやむものではないのです。むしろ、理性や世間体を失い、感情だけが剥き出しになってブレーキの利かない状態となり、よりエスカレートすることすらあります。
そもそも人間はそれなりに大きな動物です。多少老いたとしても一人の成人男性が理性を失ったときの暴れ方は凄まじく、大人2~3人でも止められないこともしばしばあります。DVは弱者しか相手にしない卑劣な行為ですが、さらに悪いことに、面倒くさい話し合いより『一発殴って黙らせた』という味をしめさせると、他の解決の手段を取らなくなって果てしなく暴力が続いてしまうのです」
夫婦間だけでは決して事態改善に至らない
対する妻側も、夫の経済力と引き換えに長年、暴力に耐えてきた生活から、自分が被害者であることも認識できなくなる。
高齢者福祉に従事する保健師が打ち明ける。
「長い年月、暴力に晒されていると感覚が麻痺してしまい、“正義”や“正常”といった基準がわからなくなってきます。一種の『洗脳』に近い感覚に支配されているため、高齢女性が自ら第三者機関へ通報、連絡をしたり、自発的に行動を起こすことはありません。また、何十年も両者の関係が継続されていることで、自分たちだけでは、これまでと違った行動や客観的な考えに及べない。何らかのきっかけで第三者が介入して風穴を開け、そこから両者を分離させるなどの方法を講じない限り、夫婦間だけでは決して事態改善に至らないのです。このため、公に把握されている件数の少なくとも数倍は実数があるとみられています」
別居を提案しても「今さら、そんなことできない」
智美さんは母親に改めて離婚や別居の意思を質したが、「今さら、そんなことできないわよ。もう年だし、お金がないと生活もできないし。いいの、いいのよ」を繰り返すばかり。「お父さんはああいう人だし、仕方ないじゃない」と呆けたように話す口ぶりからは、「共依存」というより、長年の暴力に対する耐性からか、事態の大きさ、深刻さを理解していないふうに映る。加えて、すでに人生を諦めたような無力感、脱力感すら漂っていた。
母親は「お兄ちゃん(息子)の所は落ち着かなかったからイヤよ。これから、いつ家(自宅)に戻れるのかしら」と話すが、命にかかわる危険性があるため、まずは回復の状況を見て、一時的に介護老人保健施設か特別養護老人ホームへ隔離・保護されることになった。
50年以上も連れ添った妻を自らの暴力で救急搬送させ、二度と歩けなくなるかもしれない身体にした事実をどうとらえるのか。父親に話を聞こうとしたところ、「人の家のことに口を出すな!」と一喝された。「殴られるようなことをするほうが悪い。怪我をしたのは心身の鍛錬が足りないから。妻の務めを果たさずに、迷惑しているのは私のほうだッ」と憤慨した声がインターフォン越しに聞かれるのみだった。諍いの発端は、テレビのリモコンが定位置に見当たらなかったことだというが……。
相手の死を願いながら生きるのは幸せとは言えない
前出の松江氏が付言する。
「DVの加害者は家庭でわがままに育てられた人が多いのです。『自分は何をしても許される』という特権意識や全能感を持ち合わせているため、『やってはいけないこと』と知識ではわかっていても道徳観念としての理解はなく、事の重大さに気づける人はきわめて少ない。とくに旧世代には家制度の残滓がいびつな形で意識の中に残っていることも多く、根底には『男女平等などとんでもない』という根強い差別意識もあるのです。高齢者の離婚問題は、こういった理屈で割り切れない問題と対処せざるを得ず、解決は相当な困難を伴います。最悪の場合は『戦うより相手が死ぬのを待ったほうが早い』というような事態にも陥りかねません。
しかし、それでは残された人生を相手への恨みだけで、相手の死を願いながら生きていくことになり、決して幸せとは言えないでしょう。人は幸せに生きた者が勝ちなのです。『死ぬまでに自分の人生を取り戻したい』という思いがあるならば、逃げ出さずに進むべきではないでしょうか」
夫の暴君ぶりは新婚直後から顕著
清水富子さん(仮名/77歳)は2年前に友人の経営するアパートの一室を格安で借り、東京から栃木へ移って夫と別居。一人暮らしをしている。
「親友と一緒に入れる共同墓地も購入したんです。離婚が無理でも、夫やその一族と同じ墓に入らずに済むと思うだけで、心が軽いの」
23歳で2つ上の夫と見合い結婚。旧家の長男でもあった夫の暴君ぶりは当時から顕著で、新婚直後から青アザも絶えず、30代には首を絞められて失神するなど、たび重なる暴力に耐え続けた。
「私を蔑んで馬鹿呼ばわりするのは当たり前。『能なし』『役立たず』『クズ』等も挨拶代わりで、今思えば人として扱われていなかったのかもしれない」
打撲や骨折で病院通いになっても離婚を考えなかった一番の理由は経済力だが、戻れる実家がないのも大きかった。
「傍目には『3高』の結婚相手ですから、子どもたちが独り立ちするまで周囲からも離婚を勧める声はありませんでした。また、怪我の後には決まって何か穴埋めするような贈り物があり、うまくごまかされていたのかもしれない。口も手も悪い代わりに、そうしたものが愛情の証だと信じていたかったし……」
「このままでは夫に殺されてしまう!」
50代半ば、鎖骨にひびを入れられた際には海外旅行が用意された。暴行と罪滅ぼしが飴と鞭のように使い分けられるなかで、「少々のことは自分さえ我慢すれば丸く収まる」と、70歳を過ぎるまでは「添い遂げる覚悟でいた」という。
ところが4年前、壁に頭を打ちつけられて頭蓋骨を骨折。幸いにも全快して事なきを得たが、「『このままでは殺されてしまう!』と、初めて死を意識しました」と、別離を決めた。
退院後は一時的にシェルターへ避難したが、3人の子どもたちの援助もあって自立した生活を確保。夫へ離婚届を送りつけた。
「子どもからの話では、『別れるなら、これまでに食った米と使った金を返せ!』と言っているそうで、『家計を任せていたが、勝手に余計な金を使われた。自分こそ被害者で妻を訴えたい』とも話しているとか。今まで一度もお小遣いすらもらっていないのに」
咳払いや足音に怯える日々から解放され、好きなときに好きなことをして好きなものを食べられる自由に「偏頭痛も治まった」と言い、呪縛が解かれた今は「1DKのアパートが6LDKの一戸建てより私には贅沢なお城。一人暮らしの寂しさはあるけど、友達や娘夫婦も近所に住んでいるから心強いし、思っていたより気楽。何はともあれ、まだこうして生きているのがありがたい」と、顔の前で手を合わせた。
妻から夫へのDV ――原因は「恨み」
一方、数は限られるが、女性から男性へのDVも実在する。先の芦刈氏が言う。「女性の暴力はほとんどの場合で恨みから発します。壮年の頃、体力では敵わなかった男性側が衰えるのを待ち、足腰が弱まるなどして逃げられなくなったら最後、ここぞとばかりに恨み殺す勢いで報復に転じるものです」
夫のたび重なる浮気や婚外子の存在などはその典型で、当時は子どもや生活のため、世間体などから別居や離婚もせずに我慢してやり過ごしていたのを、年を重ねて、澱のように積もった凄まじい恨みを何かの拍子に噴出させるのだ。拭い去ろうとしても忘れられずにいる心に刺さった棘は、本人にとっては時間の経過で癒やされる類のものではない。
「男性はすっかり忘れていても、女性は恨みに対する記憶が鮮明で、やられたことを覚えています。しかもやり口が巧妙で、朝から晩まで聞くに堪えない暴言を吐き続けたり、大事に至らない程度で背後から突き飛ばす、新聞などを丸めた紙で目立たない部位を力いっぱい叩く等、表沙汰にならないようにする。あからさまに痕を残したり、大怪我を負わせたりする暴行には及ばないため周囲にも気づかれにくいのです」(同前)
女性ならではの陰湿なDVは高齢者虐待でもあるが、「やんちゃだった夫を、自宅で献身的に世話する温情深い妻」とカモフラージュされれば、他人は内情を知る由もない。
「寿命を3年は縮めてやったわね」
大泉昭代さん(仮名/80歳)は、6年前に他界した夫に対し「寿命を3年は縮めてやったわね」と、あっけらかんと笑う。
同い年の夫は「呑む、打つ、買う」の放蕩三昧。生活費もろくに入れずに、長女出産直後には他の女性と駆け落ちまがいに家を出た。数年後に戻ってきてからもギャンブルによる借金生活は続き、昭代さんは2人の子どもを抱えて昼夜を問わず、仕事を掛け持ちしながら身を粉にして働いたと目を潤ませる。
夫は70歳頃からリウマチが悪化。手足の痺れや倦怠感も訴えるようになり、単身での外出が困難になった。
「痛がったり、苦しんだりするのを見ても『いい気味』としか思えない。好き放題して何の役にも立たず、これまで私にかけた苦労と屈辱をどうしたら味わわせられるかに腐心した。早い話が、いびり倒したということよ」
「思いやりの気持ちなど、どうしても持てなかった」
食事は最低限の品数と内容で済ませ、好物は絶対に食べさせない。水分補給は出がらしの冷めたお茶か水道水のみで、冬でも温かい飲み物や汁物は用意しなかった。ヨタヨタ歩くのを「邪魔よ!」と言っては蹴飛ばし、物を倒したりこぼしたりすると烈火のごとく怒って叱責する。タオルやティッシュケースなどの軽品をたびたび夫へ投げつけ、「迷惑だから長生きしないで」「早く逝って」を連発し、こづく、叩く、つねる行為も日常化した。
「自分が鬼のように感じられるときもあったけど、思いやりの気持ちなど、どうしても持てなかった。それどころか、少しでも反抗的な態度を見せると、逆に火がついたようにカーッとなって、歯止めがかからなくなった」
「清々した気持ちのほうが強かった」
彼女からすれば、因果応報。夫が制裁を受けるのは当然で、「生きているうちに責め苦を負わせずに、自分のしてきた罪をわからずに死なせては、それこそ本人のためにならないとも感じていた」と話す。無論、その理屈には自分への言い訳も含むだろう。
末期に夫は肺炎で入院したが、危篤の連絡を受けても駆けつけなかった。火葬の際も「何の感慨もなかった」と話す昭代さんは、遺骨が骨壷に収められても「清々した気持ちのほうが強かった。自分が思っていたよりもずっと深く憎んでいたのだと思う」と、自身の気持ちを確かめるように何度も何度も頷いてみせた。
内臓や筋肉を食い荒らすウジ虫が皮膚の下でボコボコと動き…鑑識官が目にする「孤立死」の悲惨な実態 へ続く
(新郷 由起)
山梨不明女児の母が提訴=中傷投稿者の開示請求―東京地裁
山梨県道志村のキャンプ場で2019年に行方不明になった小倉美咲さん(8)の母とも子さん(38)が20日、東京都内で記者会見し、ツイッターで「母親が犯人と思う」などと投稿した九つのアカウントについて、米ツイッター社を相手取り、電話番号やメールアドレスの開示を求める訴訟を東京地裁に起こしたことを明らかにした。
開示を求めたのは、昨年9月~今年1月に「やっぱり美咲ちゃん、この世にいないんだ」「とも子さんの逮捕も首を長くして待つことにします」などと投稿したアカウント。美咲さんを侮辱したものも含まれている。
とも子さんは会見で「ネット上の言葉のやいばで心を傷つけられた」と説明。代理人弁護士によると、投稿者が特定された場合、損害賠償請求や刑事告訴をする考えという。
とも子さんはブログなどに投稿された中傷についても、情報開示を求める訴訟や仮処分申し立てを大阪地裁と那覇地裁に起こした。
[時事通信社]
「北角さんの即時解放を」 拘束受け、記者有志が訴え
フリージャーナリスト北角裕樹さん(45)がミャンマー治安当局に逮捕、訴追されたことを受け、ジャーナリスト仲間らによる有志の会が20日、東京都内で記者会見し、新聞労連の吉永磨美委員長が「即時に解放し、通常の活動に戻れるように求めたい。日本政府も救出に向けて働き掛けてほしい」と訴えた。
吉永委員長は「北角さんはミャンマーの人々の声を聞いて、心を動かされ、市民に寄り添っていたのだろう。弾圧はあってはならない」とも述べた。学生時代から北角さんと知り合いという東京新聞の望月衣塑子記者も登壇し「黙っていられなかったのではないか」と述べた。
第一生命でまた営業職員の不正2件、長野では顧客8人から4800万円取得し懲戒解雇
第一生命保険は20日、営業職員が顧客から金銭を不正に得た事案が2件あったと発表した。
北海道の旭川支社の事案では営業職員が顧客3人から計654万円、長野県の松本支社の事案では営業職員が顧客8人から計4836万円を不正に得ていた。いずれの営業職員も懲戒解雇したとしている。
第一生命では営業職員による顧客の金銭の不正取得が相次いで発覚しており、社内調査を進める中で新たな事案が判明した。
「うわさ信じないで」コロナ感染の市議、住民が体験語る 京都
新型コロナウイルス対策がテーマの座談会が18日、京都府宮津市金屋谷の大頂寺であった。2020年12月に感染が分かり、自ら公表した宮津市議の星野和彦さん(55)と、丹後地域の60代男性が、感染の経緯などを報告。体験談を通し、感染防止の重要性を認識してもらおうと企画した。
星野さんは、公務中に感染者と接触する機会があったことなどから発症。声が出にくいと感じたためPCR検査を受け、12月4日に陽性と分かった。当初は発熱やせき、味覚障害などの症状はなく、病院の隔離施設に入所後、せきや血たんの症状が続いた。退所後、自宅待機を経て同月24日から通常の生活に戻り、現在は健康状態に問題はないという。
男性は、同年11月に発症。初めは、せきと体のだるさを感じ、続いて発熱と味覚障害の症状があった。病院の集中治療室で数日間、人工呼吸器による治療を受けた。
星野さんによると、保健所の調査で、自身と濃厚接触したとみられる人への感染は確認されなかったといい、「マスクの着用や手洗い、うがい、密接状態の回避を確実に励行することが大切」と指摘した。さらに、陽性となった人に関するさまざまなうわさに触れ、「最も重要なのは、感染を巡る無責任なうわさを信じないこと。感染者への攻撃を慎しむことに尽きる」と強調した。【松野和生】