臨時教員採用で「わいせつ処分歴」確認せず、埼玉県教委が謝罪…義務化後の8907人分「認識甘かった」

埼玉県教育委員会は12日、臨時教員らの採用時に、わいせつ行為で処分歴のある教員情報を蓄積した国のデータベース(DB)の確認を怠っていたと発表した。採用時のDB確認は2023年度に法律で義務付けられたが、23年度以降に採用した臨時教員らのうち、約6割にあたる8907人を確認していなかったという。
県教委小中学校人事課の新保友・学校管理幹はこの日の記者会見で、「DBでの確認が義務であるという認識が甘かった」と謝罪。今後は法律に基づく採用手続きを徹底するとした。8907人について改めて確認したところ、全員に処分歴はなかったという。
県教委によると、DB確認が義務づけられた23年4月から今年7月17日までに採用した臨時教員、非常勤講師、実習助手、寄宿舎指導員らは計1万3861人。県内4か所の教育事務所や県教委県立学校人事課が採用事務を担当している。同期間に正規採用した教員については、全員をDBで確認したという。
教員が懲戒免職になると、教員の氏名や失効となった教員免許の種類などが官報に掲載される。文部科学省はこの情報を集約した「官報情報検索ツール」を各教委に提供している。臨時教員らについて、県教委は検索ツールで確認したものの、DBでの確認は実施していなかったという。
この問題を巡っては、名古屋市や北海道などの教委がDBを確認していなかったことが判明。県教委でも調査を進めていた。文科省は今月、全国の教委や学校法人などを対象にDB活用の実態調査を始めた。

帰省中の自称・地方公務員の男逮捕…祭り会場で酒に酔って男性の胸ぐらをつかむ暴行 北海道北広島市

札幌・厚別署は2025年8月10日、暴行の疑いで東京都豊島区に住む自称・地方公務員の男(34)を逮捕しました。
男は10日午後8時20分ごろ、北広島市大曲中央2丁目にある学校敷地内で、60代男性の胸ぐらをつかむ暴行を加えた疑いが持たれています。
警察によりますと、当時、学校敷地内では祭りが開催されていて、2人は客同士で面識はなかったということです。
2人は何らかの理由でトラブルになり、酒に酔っていた男は男性の胸ぐらをつかみました。
男は当時帰省中で、調べに対し「記憶がないのでわからない」と容疑を否認しています。

<解除>【土砂災害警戒情報】熊本県・阿蘇市、南阿蘇村 11日07:30時点

11日午前7時30分、熊本県と気象台は、阿蘇市、南阿蘇村に出していた土砂災害警戒情報を解除しました。
<概況> 降り続く大雨のため、土砂災害警戒区域等では命に危険が及ぶ土砂災害がいつ発生してもおかしくない非常に危険な状況です。
<とるべき措置> 避難が必要となる危険な状況となっています【警戒レベル4相当情報[土砂災害]】。 市町村から発令される避難指示などの情報に留意し、土砂災害警戒区域および崖の近くや谷の出口にお住まいの方などは、安全な場所への速やかな避難を心がけてください。
<土砂災害警戒情報が出ている市区町村> □熊本市 □八代市西部 □八代市東部 □荒尾市 □玉名市 □山鹿市 □菊池市 □宇土市 □上天草市 □宇城市 □天草市東部 □合志市 □美里町 □玉東町 □長洲町 □和水町 □大津町 □菊陽町 □西原村 □御船町 □嘉島町 □益城町 □甲佐町 □山都町西部 □氷川町 □苓北町
<解除された市区町村> ・阿蘇市 ・南阿蘇村

九州北部と山口県で線状降水帯が発生 土砂災害や河川の増水などに厳重警戒を

福岡県などできのう、線状降水帯の発生が相次ぎ、各地で道路の冠水などが起きました。今後も引き続き土砂災害や河川の増水などに厳重な警戒が必要です。
きのうからきょう未明にかけて、九州北部と山口県で線状降水帯が発生しました。
気象庁によりますと、福岡県宗像市できのう午後8時までの24時間降水量が400ミリを超えたのをはじめ、県内5つの地点で観測史上1位を更新しました。
福岡県新宮町では大雨で災害の危険性が高まったとして、町内の一部に「緊急安全確保」を出しました。
降り続く雨で地盤が緩んでいて、各地で土砂崩れが起きています。
近くに駐車していた女性 「こんなに(雨が)ひどくなるとは。まさかこんなになっているとは思いもしなかった」
また、山陽新幹線は始発から通常運行しますが、一部区間で速度を落として運行するため、遅れなどが出る可能性があるということです。
九州北部では朝にかけて線状降水帯が発生するおそれがあり、気象庁では、引き続き大雨への厳重な警戒を呼びかけています。

【速報】熊本県に「記録的短時間大雨情報」 上天草市付近で1時間に約110ミリの猛烈な雨 災害警戒 11日07:57時点

気象庁は、11日午前7時57分に「記録的短時間大雨情報」を熊本県へ発表しました。
午前7時50分までの1時間に、上天草市付近で約110ミリの猛烈な雨が降ったことが、気象庁の雨量計観測、もしくは気象レーダー解析で分かりました。
【各地の雨量】
▼11日午前7時50分までの1時間雨量 ・上天草市付近 約110ミリ
▼11日午前4時40分までの1時間雨量 ・八代市千丁町付近 約110ミリ
▼11日午前4時30分までの1時間雨量 ・氷川町付近 約110ミリ
▼11日午前3時までの1時間雨量 ・美里町付近 約110ミリ
▼11日午前2時までの1時間雨量 ・山都町矢部付近 約110ミリ
▼11日午前2時までの1時間雨量 ・宇城市付近 120ミリ以上
▼11日午前1時50分までの1時間雨量 ・八代市泉町付近 120ミリ以上
▼11日午前1時30分までの1時間雨量 ・美里町付近 120ミリ以上 ・宇城市付近 約110ミリ ・甲佐町付近 約110ミリ
▼11日午前1時30分までの1時間雨量 ・美里町付近 約110ミリ
▼10日午後11時10分までの1時間雨量 ・玉名市付近 約110ミリ
▼10日午後10時10分までの1時間雨量 ・大津町付近 約110ミリ
▼10日午後10時までの1時間雨量 ・菊池市付近 120ミリ以上 ・長洲町付近 約110ミリ ・和水町付近 約110ミリ
▼10日午後10時までの1時間雨量 ・熊本市北区付近 約110ミリ ・山鹿市付近 約110ミリ ・合志市付近 約110ミリ ・玉東町付近 約110ミリ
▼10日午後9時50分までの1時間雨量 ・玉名市付近 約110ミリ ・菊池市付近 約110ミリ
これまでに降り続いた大雨で、災害発生の恐れが高まっています。 ただちに身の安全を確保してください。
<避難について> 特に崖や川の近くなど危険な場所にいる方は、地元市町村が避難情報を発表していないか確認し、状況に応じてただちに「立ち退き避難」や「屋内安全確保」など、適切な避難行動をとってください。
また、市町村が定めた避難場所などへ避難することがかえって危険な場合は、崖や沢から少しでも離れた頑丈な建物や、少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、身の安全を確保してください。
避難する際は、特に土砂災害に対しては、自宅や今いる場所の外に出て、市町村が定めた近くの指定緊急避難場所や、安全な場所にある親戚や知り合いの家、ホテルなどへ行く「立ち退き避難」が原則です。
なお、洪水や高潮に対しては、ハザードマップなどを参考に、屋内で身の安全を確保できるかを確認したうえで、自らの判断で安全な上の方の階に移動するか、安全な上層階に留まる「屋内安全確保」も可能です。
<記録的短時間大雨情報とは?> 「記録的短時間大雨情報」は、その地域にとって数年に一度しか降らないような記録的な大雨が、短い時間のうちに観測されたことを伝えるもので、5段階の警戒レベルのうち、避難が必要とされる警戒レベル4以上に相当する状況で発表されます。
地元の市町村がすでに「避難指示」を発表しているか、まもなく発表するような、災害発生の危険度が高まっている状況です。重大な災害から身を守る行動をお願いします。

続く大雨 九州新幹線が運行取りやめ 東海道、山陽は通常通り

低気圧や停滞する前線の影響で九州を中心に11日も大雨が続き、JR九州は九州新幹線の運行を始発から取りやめると発表した。一方、東海道、山陽新幹線は始発から通常通り運転するという。
山陽新幹線は、九州新幹線に直通する「みずほ」や「さくら」の下りは博多行きに変更。新大阪方面行きの上りの「みずほ」や「さくら」は博多が始発となる。

参政党・さや氏が40~50代の男性の票を集めたワケは「“捨てられた世代”を代弁できる候補」だったから?

’25年7月に行われた参議院議員選挙では、自民党・公明党が過半数割れで敗北。なかでも「日本人ファースト」を標榜、多くの有権者の“違和感”に火をつけた参政党が躍進した。同党に共鳴し、政治への“目覚め”を語り出した人々の素顔に迫る。 ◆有権者の心をんだ「反緊縮」「さや」候補 “目覚めた”人々が参政党に共鳴した背景には、移民やジェンダー問題だけでなく、経済的救済への渇望もある。 政治経済評論家の池戸万作氏は、同党の躍進を「反緊縮の明快な訴えと、それを体現する候補者の存在」と分析。中でも神谷宗幣代表の国債発行を堂々と主張する姿勢は、政治家として異例だと語る。 「日本の国債残高は1000兆円を超えているといわれますが、これは国際的に見ても突出しているわけではありません。30年間、まともに財政出動してこなかったツケが今、インフラの老朽化や貧困の拡大という形で表れているんです」 そして、こうした反緊縮の訴えが特に響いたのが「就職氷河期世代」を中心とした生活困窮層や中高年層だったと分析する。 「“国がお金を出して助ける”というメッセージは、それこそ彼らに届いた“愛情”だったのではないでしょうか」 ◆さや氏擁立の東京選挙区は「全国的な知名度」にも影響大 もう一つ、戦略で極めて成功したと見るのが、東京選挙区に擁立されたさや氏の存在だ。 「彼女も就職氷河期世代。そして東京選挙区は全国から注目を集めやすい特別な舞台です。そこに“捨てられた世代”を代弁できる候補を送り込んだことで、感情的共感の獲得と全国的な認知度の引き上げに成功した。結果的に、40~50代の男性の票を一番取ったんです」 たとえ議席を得ても、財政政策の主導権は財務省にあるため変革は容易ではないが……。 「財政法や財務省設置法を変えるには、相当な政治的意思と戦略が必要です。ただ、声を上げる勢力が増えれば、霞が関も無視できなくなるでしょう」 参政党の台頭は、一過性のブームなどではなく、数十年かけて蓄積された“怨念”や“閉塞感”の結実と見られるのかもしれない。 ◆辛酸を舐め続けた氷河期世代の鬱憤が“覚醒”に昇華! 参政党を筆頭に右派系議員が躍進を遂げた今回の選挙だが、SNSや街頭では“右派的な共感”を語る人の姿が、目に見えて増えはじめている。 北関東の自治体で非常勤職員として働く深山俊さん(仮名・48歳)、もその一人だ。 現在の職を得るまで、20年以上にわたり非正規雇用の不安定な立場に甘んじてきた。就職氷河期に大学を卒業し、最初に就いたのは自動車工場での期間工。

「妻と次男がはぐれた」釣りに行った40代母親と7歳息子が遭難 携帯繋がらず…約40人態勢で捜索 警察犬やハンターも同行

10日、北海道芽室町のダム付近で、40代の母親と小学2年生で7歳の男の子の行方がわからなくなっていて、警察や消防が捜索しています。
行方がわからなくなっているのは、北海道当別町に住む40代の母親と、小学2年生で7歳の男の子です。
2人は、10日午前8時半ごろ、40代の父親と10歳の長男と一緒に、芽室町にある「美生ダム」付近の駐車場に車を停め、釣りをするために北西方向へ歩いていました。
父親と長男は、先に目的地に歩いていき、母親と男の子は後から向かっていました。
しかし、母親と男の子は目的地に現れなかったことから、10日午後9時ごろに父親が「妻と次男がはぐれた」と警察に通報しました。
警察によりますと、母親は携帯電話を持っているとみられていますが、現場は電波が通じにくい場所で、電話が繋がらない状態が続いているということです。
警察と消防は、11日午前7時半ごろから、約40人態勢で捜索をしています。
また、現場付近はクマが生息している地域で、ハンター4人も捜索隊に同行しているということです。

「攻撃で精神を追い込み、尊厳を奪う責任が問われるべき」故・竹内兵庫県議の妻が立花孝志氏を刑事告訴「死者の名誉棄損」初の適用なるか?斎藤知事は公選法違反容疑で任意聴取

〈斎藤知事は「行政トップとして資質に欠ける」“優勝パレード”めぐり背任容疑で書類送検「罪に問われないかも…でも捜査はこれだけではありません」〉から続く
斎藤元彦・兵庫県知事をめぐる県政混乱の中、ことし1月に死去した竹内英明元県議(享年50)の遺族が、立花孝志NHK党党首のデマで竹内氏の名誉が傷つけられたとして名誉棄損などの容疑で立花氏を刑事告訴したと明らかにした。立花氏が竹内氏を非難した言葉の一部は兵庫県警が「明白な虚偽」とすでに結論付けており、立花氏がこうしたデタラメを真実と信じた根拠を示せなければ立件される可能性が高いとの見方が出ている。
〈画像〉「公選法には適切に適当に対応していた」記者の質問に答えるメガネ姿の斎藤元彦知事
竹内元県議の妻「声を上げることを決心しました」
斎藤知事の疑惑を調べた県議会調査特別委員会(百条委)のメンバーだった竹内元県議。斎藤知事が失職後の出直し知事選で再選された翌日の昨年11月18日に県議を辞職し、今年1月18日に自ら命を絶った。
8月8日に会見した竹内氏の妻(50)は当時の状況をこう語った。
「夫は立花氏から黒幕と名指しされ、そこから運命が変わりました。その発信がなされた途端、ありとあらゆる方向から夫を非難する言葉とともに、人格を否定し、夫を一方的に責め立てる攻撃が矢のように降り注ぎました。
私たちは攻撃に日夜さらされ、絶望の中でただ息を殺して時が過ぎるのを待つことしかできませんでした。夫は疲弊し、家族を巻き込んでしまったことで仕事を続けることはできないと判断し、議員を辞職しました。
暴力攻撃に屈した自分は負けた、逃げたと言って嘆き続けました。夫は、自ら望んで命を絶ったのではありません。間違いなく、この兵庫県政の混乱の中で追いつめられ、孤立し、社会に絶望してこの世を去りました」
そして、ウソだと明らかになったデマが今も竹内氏を愚弄し続けているとし、夫と自分の尊厳を守るため「声を上げることを決心しました」と話した。
問題の選挙で立花氏は「斎藤知事を応援する」と言って出馬し、当選を目指さず斎藤氏を宣伝する“2馬力選挙”を展開。「疑惑はウソで斎藤知事はハメられた」と主張した。
選挙の街宣などで、疑惑を告発し、昨年7月に自死した県の元西播磨県民局長Aさん(享年60)のことを「10名以上もの女性県職員と不適切な関係を結んでおり、不同意性交等罪が発覚することを恐れての自殺だと思われる」などと虚偽の話で中傷したうえ、Aさんの遺志を継いで疑惑解明に当たった竹内氏らを「黒幕」と呼んで罵倒。
これを見聞きした支持者らがAさんや竹内氏を誹謗中傷する投稿をSNSに上げたとみられている。
「Aさんの尊厳はめちゃくちゃにされました。当時、遺族なら刑法の“死者の名誉棄損罪”で立花氏を告訴し刑事罰を求めることができるのでは、との声もありました。
でも憔悴しきった遺族の姿を知る人は『矢面に立つことを求めるのはあまりにも酷だ』と反対でした」(地元記者)
そのつらい役回りを竹内氏の妻が引き受けたことになるのは、悲劇としか言いようがない。
「死者の名誉棄損」は過去に適用例が確認できないが…
会見に同席した石森雄一郎弁護士らは、竹内氏が存命中の昨年12月、立花氏が、立候補していた泉大津市長選での演説で「竹内県議は警察の取り調べを受けてるのは間違いない」と発言したことを確認。
死去が報じられた今年1月19日にはYouTubeでのライブ配信で「竹内さんという県議、任意の事情聴取が繰り返されて明日逮捕する予定であったところ、本人は逮捕される前に自ら命を絶ったと」と発言した証拠も確保している。
これらが名誉棄損と「死者の名誉棄損」にあたるとする告訴状を、兵庫県警は告訴期限間際の6月に2回にわたり受理していた。
告訴代理人を務める郷原信郎弁護士によると、告訴状は神戸地検と調整した上で県警に提出された。
社会部記者は「事前調整で“立件できる”との見通しを当局に示唆された内容に絞り容疑を告訴状に書いたことが考えられます」と話し、立花氏は立件される可能性があるとみる。
石森弁護士によれば「死者の名誉棄損」は過去に適用例が確認できない。一般的な名誉棄損罪は発言内容の真偽は関係なく他人の社会的評価を下げれば成立するが、死者の場合は名誉を傷つける発言が虚偽でなければ罪にならず、「虚偽であることを完全に立証しきるのは難しい」ことがネックになってきた。
だが今回はこの条件をクリアできる可能性があるという。
「立花氏の1月の発言の翌日、当時の県警本部長が県議会で『竹内元議員は被疑者として任意の調べをしたこともなく、ましてや逮捕する話は全くない。明白な虚偽がSNSで拡散されていることは極めて遺憾』と発言しました。立花氏の話の拡散阻止が目的の異例の言及でした」(地元記者)
この状況を石森弁護士は、「県警本部自身が(立花氏の話は虚偽であることの)証人であるという、非常に特異な例になってる」と話し、死者の名誉棄損罪が適用される初のケースになりそうだと期待する。
告訴されていたことを知った立花氏は党の会見で「名誉毀損したことは争わないが、十分、違法性が阻却されるだけの根拠をもって発言している」と述べ、犯罪ではないと主張した。
7月中旬に斎藤知事を数時間にわたって事情聴取
竹内氏の妻は立花氏について「これまで弱い立場にある人を攻撃する威圧的な行動で恐怖心を抱かせて、精神を追い込んで人の尊厳を奪うっていう、そのことはきちんと責任が問われるべきだと思います」と決然と言い切る。
「根拠もなく人を貶める話が喧伝され、ものすごく今まで長い時間かけて築き上げられてきたものが全部ひっくり返されるみたいな時間だった」。
そう竹内氏の妻が振り返った知事選で再選された斎藤知事は、公職選挙法が買収行為として禁じるインターネットを使った選挙広告への対価支払いを行なった容疑で捜査を受けている。
記者会見があった8日、神戸地検がこれに絡み7月中旬に斎藤知事を数時間にわたって事情聴取していたと読売新聞が報じた。
兵庫県庁に登庁してきた斎藤知事は、それは事実かとたずねる記者らに「捜査に関するコメントは控えたい。捜査協力は求められればしっかり対応する。公選法には適切に適当に対応していたという認識でいます」と繰り返した。
ゆがんだ情報があふれだし、人を死に追いやった知事選はいまだなにも清算されていない。
※「集英社オンライン」では、今回の記事に関するご意見や情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

なぜ自衛隊で不祥事が続発したのか…元・海上自衛隊自衛艦隊司令官が怒りの苦言「組織文化が根底にある」

※本稿は、香田洋二『自衛隊に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす自衛隊の不都合な真実』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
私は海上自衛官だった。「だった」と過去形を使ったが、実のところ、私は今でも海上自衛官のつもりでいる。
海外の会議に呼ばれれば、「ミスター・コウダ」ではなく「アドミラル・コウダ」と呼ばれることが多い。正確に言えばバイスアドミラルなのだが、直訳すれば「副提督」ということになる。軍事英語では海軍中将だ。自衛隊では海軍大将も海軍中将も「海将」となっているので、日本のメディアに登場する際は「元海将の香田さん」と呼ばれるが、海外では「元」を抜かして「アドミラル・コウダ」となる。国際標準では、海軍軍人は艦を降りても死ぬまで海軍軍人なのだ。それが多くの国の社会において定着した軍と軍人への尊敬と敬意の表れであろう。
1972年に防衛大学校を卒業してから2008年に退官するまで、私は海上自衛隊に育てられた。悲しいことも嬉しいことも海上自衛隊とともにあった。私の人生は、海上自衛隊を抜きにして考えられない。退官した今でも、海上自衛隊が褒められればうれしいし、海上自衛隊が批判されれば忸怩(じくじ)たる思いを味わう。
そんな私が歯ぎしりするような思いで接したのが、2024年に発覚した一連の不祥事だった。情報漏洩、業者からの不適切な物品供与、手当の不正受給……。明るみになった海上自衛隊の問題は、長年の慣習が積み重なった悪弊ともいえる。その意味で、海上自衛隊で責任ある立場にいた私も無関係ではない。
現在の私は、防衛省等の調査内容を知る立場にはない。しかし、報道や公開情報などに、自らの体験も加えて判断すると、海上自衛隊の組織の不具合の概要は推察できる。こうした不祥事を防止できなかったことについては、組織のリーダーだった者の一人として責任は免れられない。読者の皆様方に心からお詫び申し上げる。
では、なぜこのような不祥事が発生したのか。
海の上で共同生活を送るという特殊な環境も大いにあずかっている。海上勤務は、海上自衛隊を海上自衛隊たらしめている基礎だ。これにより結束が固くなるという利点があることは言うまでもないが、一歩間違えると、悪事を働いた身内をかばい立てする悪弊を生んでしまうような危険な要素が多数ある。
こうした海上自衛隊の文化が不祥事の温床となった、というのが私の見立てだ。こうした理解は海上自衛隊の内部で共有されているとは言い難い。私がそう考えるに至ったきっかけに話を進める前に、まずは海上自衛隊の一連の不祥事とは何なのかを、報道から推察できる範囲で簡単に振り返っておきたい。
2024年に発覚した海上自衛隊の不祥事は、大きく分けると2種類あった。
一つはズルをして金品を受け取った問題、もう一つは情報の取り扱いが杜撰(ずさん)だったという問題だ。いずれも国民の信頼を裏切る行為である。
おおざっぱに「ズルをして金品を受け取った問題」と分類したが、細かく分けると、第一に潜水艦の修理業務を担っていた川崎重工業の社員から金品を受け取っていた問題、第二に潜水士による手当の不正受給、第三に基地内の食堂での飲食物の不正受給――の3つが発覚した。
川崎重工の件は、潜水艦乗員に対し、備品やゲーム機、ゴルフ用品、釣り具など任務とは関係がない私物が隊員に供与されていたほか、隊員と川崎重工社員の懇親会でも会社側が飲食代を肩代わりしていた問題だ。こうした慣習は1985年ごろから続いていたという。つまり、私が海上自衛隊に勤務していた時から始まり、私が退官した2008年の時点でも悪習が続いていたのだ。
川崎重工の調査が及んだ2023年度までの6年間だけに限っても、総額17億円が下請け業者との架空取引で捻出され、海上自衛官に対する金品供与に当てられていた。こうしたカネは、「必要経費」として潜水艦の建造費や修理代に上乗せされていたとみられる。細部は調査中のため不明であり、架空取引件数、金額や関係員の数などの把握はできないものの、何らかの深刻な不正が行われたことは事実と断ぜざるを得ない。海上自衛隊としては不正があったという前提で、厳正な姿勢で調査に臨むべき事案である。
当初は、予算不足のため現場で入手できない必要な工具などを充当するための苦肉の脱法行為だったものが、そのうちに歯止めがなくなり、自衛官の飲み食いの代金に使われるようになったのだ。本来であれば、他の装備や修理費に回せるはずだったカネが飲み食いに使われたということは、国は不必要に高いカネを払ったことになる。これは国民の税金を無駄遣いしたという話にとどまらない。要するに自衛官自身が自衛隊を弱くする行為に手を染めたことになる。
潜水士の手当不正受給では詐欺容疑で逮捕者まで出ている。しかも、逮捕が2023年11月であったにもかかわらず、2024年7月まで防衛相には報告していなかった。逮捕されていないものも含めると、不正受給は総額5300万円に上った。
基地内での飲食物の不正受給は、資格がないのに基地内の食堂でただ飯を食ったという話で、一見すると、小さなズルに見えるかもしれないが、国民の税金をちょろまかしているという点では、川重の金品授受や潜水士手当の不正受給と本質の酷さは変わらない。特に深刻な点は、自衛官の基本素養である倫理観や責任感がここまで落ちぶれたことである。その結果生じた負の評価は、国民のみならず諸外国海軍の海上自衛隊への評価にも影響することは明白である。
問題は、どうしてこんな不祥事が長年にわたり放置されてきたのか、という点にある。当たり前の話だが、原因が分からなければ問題を解決して組織の不具合を改善することはできない。
だが、問題の原因をめぐっては、海上自衛隊の幹部の間でも見解が割れている。しかも、そうしたバラバラな認識が満天下にさらされた。それは2024年7月23日のことだった。
一連の不祥事を受け、海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は2024年7月19日に職を辞することになった。酒井前海上幕僚長は7月12日の記者会見で「組織文化に大きな問題がある。不正に気づいていたにもかかわらず、見て見ぬふりする体制が一部まだ残っている」と述べていた。つまり、組織全体の問題だと認めたのである。
ところが、その後任となった齋藤聡海上幕僚長は、7月23日の記者会見で、組織文化という言葉を使うと、それが組織全体に蔓延しているというイメージがあるが、私はそういうものではないと思うと述べた。
齋藤海上幕僚長のこの発言の真意は別として、それは前任者の発言を否定したと受け取られかねないものだった。齋藤海幕長の真意は何か。“今回の不祥事の当事者は許せませんが、それは一部の不心得者です。海上自衛隊の現場では大多数の隊員がしっかりと持ち場を守っています。その立場からは組織全体に蔓延とは考えません”というものであったことは想像できる。
さて、海上自衛隊を立て直すにあたり、一連の不祥事の原因が組織文化に由来するものなのか否か。この点を間違えれば、不祥事の根絶など望むべくもない。仮に組織文化が原因であり、あるいは少しでも関わりがあるならば、これを徹底的に見直さなければ再発防止はおぼつかないからだ。
私の考えは、酒井前海上幕僚長に近い。つまり、海上自衛隊の組織文化が今回の不祥事の根底にあると言わざるを得ない。なぜ、私がそう考えるか。それを本書で説明したいと思う。
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(元・海上自衛隊自衛艦隊司令官 香田 洋二)