年の瀬のドサクサ感は否めない。東京地検特捜部は26日、政治資金規正法違反の疑いで告発された旧安倍派の裏金議員や秘書ら計65人を一斉に不起訴とした。
うち犯罪事実を認めつつ裁量で起訴を見送る「起訴猶予」は現職の簗和生、関芳弘両衆院議員と宮本周司参院議員に、元衆院議員の菅家一郎、衛藤征士郎両氏の計5人。他にも秘書ら16人も起訴猶予に。検察は悪質性が低いと判断したようだが、処分を不服として検察審査会に審査を申し立てられる可能性は十分。裏金事件は越年必至だ。
裏金議員については、こちらも臨時国会会期末のドサクサに紛れ、衆参計24人が政治倫理審査会で弁明。核心に迫る証言はゼロで裏金議員同士の認識の違いも目立った。裏金スキームはいつ、誰が、何の目的で始め、いったん廃止を決めたキックバックを誰が再開させたのか──。結局「真相」は解明されないまま、参院の政倫審は年越しである。
煮え切らない状況に野党も指をくわえているわけではない。野党6党・会派の国対委員長は23日、旧安倍派(清和会)の元会計責任者・松本淳一郎氏(政治資金規正法違反で有罪確定)の衆院予算委員会への参考人招致を求めることで一致。松本氏は自身の刑事裁判で、2022年8月の派閥幹部会合で還流再開を決めたと証言し、判決文でも事実認定された。
「政倫審で複数の旧安倍派幹部は22年8月の会合で結論は出なかったと弁明。松本氏と証言が食い違う。招致は全会一致が慣例ですが、委員長判断で多数決も認められる。衆院予算委員長は、立憲民主の安住淳氏。委員総数50人のうち野党が26人を占め、多数決も『やむなし』のムードに傾きつつある」(野党議員)
来年の通常国会で松本氏招致が実現すれば裏金派閥を長年率いた森喜朗元首相の国会招致も現実味を増す。森は清和会の中興の祖。裏金スキーム開始の事情を知っていなければおかしい立場で、実態解明の“本丸”だ。
「森氏招致を実現させなければ裏金事件への国民の怒りは収まらない。検察の判断が国民意識と乖離している以上、国民の代表機関の国会で白黒つけるべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
来年こそ真相究明が待たれる。
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他人のカネと部署の積立金をシレッとネコババ…東京国税局30代職員への大甘処分と発覚のきっかけ
納税者からは厳しい取り立てをしながら、ネコババを繰り返していた身内の職員には「停職」の大甘処分だ。
東京国税局は23日、窃盗罪で有罪判決を受けた30代の男性国税調査官と、職場の積立金を無断で持ち出し、5年間、勤務時間中に馬券を購入していた神奈川県内の税務署に勤務する30代の男性国税徴収官を、それぞれ停職6カ月と停職3カ月の懲戒処分とした。
まず調査官は今年8月、帰宅途中のJR京浜東北線の電車内で、網棚に置いてあった現金4万円が入ったリュックサックを乗客が寝ている隙に盗んだ。さらに同月24日にも埼玉県の自宅最寄り駅のベンチで寝ていた他人のカバンを盗もうとして、警察に逮捕された。計3件の罪に問われた調査官は今月23日、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受け、同日、辞職した。
■「やらない方が損」
内部調査に対し、「金には困っていなかったが、自由に使える金を増やすことが目的だった。盗みを繰り返すうち、やらない方が損だと思うようになった」と話しているというから、オドロキだ。
調査官が逮捕された際、知人が代表を務める法人の申告書のコピーを所持していたことから、税務情報を無許可で持ち出していたことも発覚。納税者の情報を閲覧できるシステムを使い、申告情報を出力していた。
本人は「友人から『知人が代表を務める法人が税務調査を受けた場合のポイントを説明して欲しい』という依頼を受け、内容を確認するため、部内システムで法人の情報を検索した」と、持ち出しを認めている。調査官は法人税の調査を担当し、友人と知人からプロ野球観戦や飲食など、計約7万5000円分の接待を受けていた。
一方、神奈川県の徴収官は、所属部署の職員らの積立金から計約329万円を無断で持ち出し、その大半を馬券の購入に充てていた。発覚を免れるため、持ち出しと返金を繰り返していた。
税務署内で「徴収官が積立金を持ち出して自分の口座に入金していた」という噂が広まり、上司がヒアリングを行ったが、本人は認めなかった。そこで監察官が調査を実施。2019年1月から24年9月までスマホで計1673回、馬券を購入していたことが判明し、口座には計約3900万円の入金があった。
「原資は自身の給与と親族からの借り入れ、積立金の流用です。職員は19年以降、競馬の払戻金の確定申告5年分について、提出期限を超過させています。理由は『競馬取引はトータルで損失が生じていたので、申告が必要と思っていなかった。期限後に提出した』と話しています」(東京国税局広報広聴室)
徴収官は「バレないだろうと思った。競馬で負けて手持ちがなくなったが、購入したい気持ちを抑えられず、後で返せば問題ないと思った」と話し、現在は全額返金したという。
いずれも停職処分としたことについて、東京国税局は「人事院の懲戒処分の指針を踏まえ、総合勘案した上で、この処分としています」(広報広聴室)と説明。一般企業だったら一発でアウトだ。恐るべき国税局のモラル崩壊である。
創設者・橋下徹氏が石丸伸二氏に露骨な“抱きつき”…政界プチ再編で「維新瓦解」待ったなし?
目標に掲げていた全国政党化から逆行する日本維新の会にガラガラポンの予兆だ。創設者の橋下徹元大阪市長が維新の東京総支部「東京維新の会」に対し、いわゆる「石丸新党」との合流を提言。古巣の体たらくにイラつき、時機を見据えて一発かますとみられてきたが、年の瀬が迫る中にお見舞い。関係者は微妙な新年を迎えることになりそうだ。
■東京維新は身売りせい!
橋下氏が維新再編に向けて露骨に動き出したのは、7月に実施された東京都知事選後。次点に躍進した前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏を褒めそやし、露骨に秋波を送り始めた。それから5カ月あまり経った25日、X(旧ツイッター)で大阪地盤の維新の国会議員を猛批判。〈石丸新党も一から都議選候補者を集めるのは至難の業〉〈石丸新党は東京の維新メンバーを吸収することも一方策〉などと投稿し、東京維新に合流のススメを説いたのだ。
「要するに東京維新は石丸氏に身売りせい、ということ。西は大阪維新の会、東は『石丸新党』を軸にやっていく。よく言えば役割分担、ありていに言えばけったくそ悪い東京維新の取り潰し。橋下氏と折り合いが悪い馬場伸幸前代表や、その周辺は総選挙惨敗で引責辞任に追い込まれた。子飼いの吉村洋文府知事が代表に就き、新体制に移行した今が好機と踏んだのでしょう」(維新関係者)
石丸氏は来夏実施の都議選に向けて新党立ち上げを宣言。年明けに詳細を発表するとみられている。8月末の日刊ゲンダイの取材で維新との関係についてこう話していた。
「全然近くないし、何か握っているわけでもありません。今さら維新に入るなんて整合性が取れない。だったら新党ですよ。強烈なカリスマ性を持つ橋下さんが〈もういっぺん俺についてこい!〉って言ったら、維新からの合流はあるかもしれないですね」
アッケラカンとした発言通りの展開になっている。
ちょっと気になるのが、吉村氏の指名で国会議員団の代表になった前原誠司共同代表の存在だ。民進党を分裂させて合流した希望の党は尻すぼみ。国民民主党ではパッとせず。代表選に負けて飛び出し、教育無償化を実現する会を立ち上げてワンクッションを挟み、10月に維新に加わった。プレーヤーに災厄をもたらす桃鉄の「キングボンビー」を彷彿とさせる破壊力。ジンクス通りにいけば、維新の退潮加速は既定路線だ。プチ再編が維新瓦解に拍車をかける可能性もある。
◇ ◇ ◇
吉村洋文氏の要請を受け、共同代表に就任した前原誠司元外相。所属する党が不運をたどることから、『今の政界の壊し屋は前原だ』なんて声も。●関連記事【もっと読む】『維新が新体制発足も前原共同代表に不吉ジンクス…参院選大敗を招く“疫病神”扱いのお気の毒』もあわせてどうぞ。
「本気だぞ」口論となった62歳姉の顔面に包丁を向けて…姉と母親の3人暮らしの56歳女をその場で逮捕「間違いありません」
27日夜、北海道苫小牧市で、62歳の姉に包丁を向けて脅迫したとして、56歳の女が逮捕されました。
暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、苫小牧市栄町1丁目に住む56歳の無職の女です。
女は27日午後8時ごろ、苫小牧市栄町1丁目の住宅で、同居する62歳の姉の顔面に向けて、包丁を向けながら「本気だぞ」などと言って、脅迫した疑いが持たれています。
警察によりますと、当時女は姉と何らかの原因で口論になっていたということで、姉が「妹が刃物を持って向かって来た」と警察に通報し、駆け付けた警察官がその場で女を逮捕しました。
取り調べに対し、56歳の無職の女は「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めているということです。
女は、被害にあった姉と母親と3人暮らしで、警察は、女が犯行に至った経緯などを詳しく調べています。
首相、衆参同日選「ある」=不信任可決、予算否決で
石破茂首相は28日の読売テレビ番組で来夏の参院選に合わせた衆院解散・総選挙の可能性について、「これはありますよね。同時にやってはいけないというそんな決まりはない」と述べた。少数与党の下、野党が一致して内閣不信任決議案を提出すれば可決は必至。首相の発言は野党をけん制する狙いがある。
首相は不信任案が可決された場合に関し、「今まで大平内閣、中曽根内閣で衆参同日選をやった。今なら勝てるだろうということではなくて、国民に決めてもらうのが大事だ」と強調。27日の講演でも2025年度予算案が否決されたり、不信任案が可決されたりした場合、「解散はあり得る」と言及した。
通常国会は来年1月24日に召集される方向。参院選は会期延長がなければ、公職選挙法の規定で7月20日投開票の見通しだ。立憲民主党など野党が6月22日の会期末に合わせて不信任案を提出し、可決されれば、参院選とのダブル選挙となる公算が大きい。
一方、野党との政策協議次第で予算案の修正を検討する考えも示した。首相は「あらゆることを念頭に置かなければいけない。膨大な作業になるが、国会の意思がそうであるなら当然やらなければいけない」と語った。政府は予算案の年度内成立を目指すが、成立がずれ込む場合、暫定予算案を組む必要がある。
[時事通信社]
写経80枚の膨大な課題、遺書には「卑怯者」…17歳の男子高校生が仏教系高校から謹慎処分を受け自殺していた《両親は1億円の損害賠償訴訟》
2021年12月8日、大阪市内の仏教系の私立清風高校に通う男子タカヒトくん(仮名、当時17歳の2年生)が自宅付近の団地から飛び降り、その場で死亡が確認された。2日前の期末試験でのカンニングが教師に見つかり、謹慎期間中の出来事だった。
タカヒトくんの父親は、息子の死を知った瞬間をこう語る。
「単身赴任で中部地方にいたのですが、8日の朝6時頃に妻から『息子がいない』と電話がかかってきました。試験でのカンニングが発覚して謹慎処分になったことは聞いていて落ち込んでいるのだろうとは思っていたんですが、まさか……。自殺とは思ってもいませんでした。すぐに特急などを使い、大阪の自宅へ向かい、着いたのは昼過ぎでした」
タカヒトくんの母親は自宅の付近を捜したが見つけられず、警察に連絡したという。警察が捜索を開始してまもなく、タカヒトくんは自宅から数百m離れた団地から飛び降りた姿で発見された。
「損傷していたであろう後頭部は見えない様に…」
両親は警察からの連絡を受け、警察署で状況を説明された。その際、警察官から「遺体は見ない方がいい」と言われたという。しかし反対を押し切って、遺体を見せてもらうように頼んだ。
「自分の目で見ないと、タカヒトが死んだなんてとても信じられないと思いました。遺体は霊安室ではなく、プレハブの倉庫のようなところの一角に安置されていました。目に入った瞬間に一目で息子だとわかり、しゃがみこんでしまいました。団地から投身したとは聞いていたのですが、顔などはぐちゃぐちゃになっていなかったので、妻も確認のために、傍に呼びました」
遺体と対面したときのことを父親はこう思い出す。
「息子の遺体は12月にもかかわらず、寝るときに着ていたスウェット姿の軽装でした。損傷していたであろう後頭部は見えない様に(配慮)されていました。妻はしゃがみこみ泣き叫んでいました。立ち会ってくれた警察の方が何も言わず、合掌していたのが印象的でした。妻とは『生きてるみたいに見えるのに……』と話した記憶だけはありますが、何分程度その場にいたのか、ショックが大きくて記憶が飛んでいます」
その後、タカヒトくんの両親はなんとか葬儀場を決め、学校に自殺の事実を連絡した。そして「弔問は不要」と伝えている。
タカヒトくんに一体何が起きたのだろうか。
2学期の期末試験初日の12月6日、タカヒトくんは「倫理・政経」の試験にカンニングペーパーを持ち込んだ。それに気づいた試験監督の教員がテストを中止させ、タカヒトくんを「学友会室」と呼ばれる小部屋に連れて行った。タカヒトくんはそこで、男性教師から「卑怯者」と言われるなど事情聴取と指導を受けた。
学校の報告書によればタカヒトくんが一度書いた反省文を生活指導の教師が確認し、「校長先生、副校長先生の朝礼の話、覚えているか?」と質問したという。タカヒトくんが「カンニングの話ですよね?」と答えると、教員は「絶対あかんってことと、卑怯者がやることって話やな。ちゃんと聞いていたんやな」と言ったという。
タカヒトくんはカンニングの事実を認め、「(前日の)深夜の2時ごろになって倫理・政経の試験範囲で勉強していないところがあることに気付き、その時点からでは覚えられないと思い、カンニングペーパーを作ったと答えた」(調査報告書)と言ったという。
母親は恐怖感から、タカヒトくんの手を握って…
指導の場所になったのは、「生徒指導室」の奥にある「学友会室」。棚などをのぞくと7mしかなく、タカヒトくんと教師の距離はごく近い。そんな空間で複数の教師から40分間にわたって事情聴取や指導を受けた。その後は到着した母親と一緒に学長室で20分ほどの面談があった。カンニング発生から帰宅まで4時間ほど拘束されていたという。
母親が学校からの電話を受けたのは、カンニングが発覚した直後だった。指導対象になったとだけ告げられ、「すぐに学校にきてほしい」と言われ、仕事を中断して学校に向かった。道中、母親は不安になって単身赴任中の父親に電話したが、父親も事情がわからない状況では「とりあえず行くしかない」としか言えなかった。
学校に到着した母親が学長室に案内されると、そこには男性教師5人がいて、しばらくするとタカヒトくんが別の教員に連れられ入室してきた。その際、カンニングに関する事実を告げられる間、母親は、男性教員5名に面談されるという圧迫感で恐怖感を抱いた。そのため、タカヒトくんの手を握って話を聞いていた。
このとき教師たちは処分の内容について話したが、母親が「息子は『卑怯なことをした』と言わされた感があった」と証言する一方で、報告書では「卑怯者と言わせたと認定することは困難」と見解の差が生じている。
学校からの帰り道で、タカヒトくんは校則違反を母親に謝っていた。それに体調を崩してしまった母親を気遣いながら、学校から駅に向かう途中で、父親に今回の件の内容を電話連絡した。その際、父親も電話で息子を励ました。
「息子は元気が無いので、気にしないようにと伝えました。それに下手すれば退学だったかもしれないが、退学させられなくて良かったと思うよ、と話しました。このとき、責めることは言ってないです」
学校側がしたタカヒトくんへの処分は、「カンニングが発覚した教科を含めた全科目で0点」、「家庭での謹慎8日、その間友人との連絡は禁止」というものだった。それに加えて「般若心経の写経80巻」と反省文の作成、反省日記などが課され、大学受験の際に推薦入試はできないことも決まった。
学校から帰宅するとタカヒトくんはすぐに写経を開始し、1巻目を学校の指示通りに送信した。翌7日も一日中、写経などの課題に取り組んだ。写経は「文字を間違うと訂正はできず、最初から書き直しとなる。丁寧に書けていない場合も枚数にカウントされない」という厳しいルールがあり(調査報告書)、1枚あたり1時間ほどかかったという。
夕食後もタカヒトくんは写経をしていた。母親は午前1時頃に「反省日記だけ先に書けば」「もう明日にして寝たら」と声をかけた。タカヒトくんは「もうちょっとやってから寝る」と答えている。
母親は先に休むことにしたが、このときタカヒトくんの様子に異常は感じられなかったという。しかし朝目覚めると、タカヒトくんが部屋にいないことに気がついた。
「死ぬという恐怖よりも」「周りから卑怯者と思われながら」
「タカヒトはいままで無断で外出したことはありません。部屋にいないことに気がついた妻は、携帯電話が放置されたままで、上着も置いたままなのに家の鍵がないことから明らかに『おかしい』と思い近隣を探したようです。しかし見当たらなかったので交番に連絡し、事情を説明して一緒に探してもらいました。私は妻から『タカヒトがいない!』と焦った声で電話を受けたのですが、単身赴任先だったのでどうすることもできず、ただただ連絡を待つだけでした」(父親)
しかし、タカヒトくんは遺体で発見されてしまった。その日のうちには、机の上に広げられていた課題の“写経”の下敷きの下から遺書も発見された。
《死ぬという恐怖よりも、このまま周りから卑怯者と思われながら生きていくのが怖くなってきました》
その遺書の中の「卑怯者」というワードに、父親は怒りを覚えるという。
「『卑怯者』というのは、清風高校の副校長が朝礼で『カンニングは卑怯者のすることだ』と何度か使っていた言葉です。反省文にも遺書にも『卑怯者』という言葉がありますが、学校が自己否定の言葉を無理やり言わせているということではないでしょうか。後日、第三者委員会の調査報告書でさえ、『カンニングの禁止の域を超えた一つの行為で全人格を否定するような強い決めつけを感じさせる』とし、『配慮する必要がある』としています」
もちろん両親もカンニングがルール違反であり、指導を受けること自体は当然だと認識している。しかし、教員の指導の圧迫性や、生徒に「卑怯者」という自己評価を強いることは必要以上に人格を否定する不適切な指導だったと主張している。
「息子は亡くなるまでに、謹慎期間中の課題の反省文を2日分の2枚書いていました。また、般若心経の写経80枚のうち、22枚を完成させていました。学校の圧迫指導、人格否定、過剰な謹慎期間中の課題や拘束以外に、自殺の理由がないんです」(父親)
タカヒトくんは、生前どんな子どもだったのか。
「明るい子でした。小学校のときは運動会でクラスの応援団長もして、みんなの前に立っていました。音痴でしたけど、校歌や合唱は大きな声で歌っていました。中学校での成績は中の上くらい。交友関係は広かったと思います。愛嬌がよく、お年寄りには気に入られました」
「『死にたい』とか、『逃げたい』という言葉は聞いたことがない」
小学校までは水泳や体操、空手などの習いごとも精力的に通い、中学校では美術部に所属した。好きなミュージシャンは米津玄師、高校生になってからはカバンにはライトノベルを入れ、自分でブックカバーをつけて読んでいたという。
「記憶をたどっても、今まで『死にたい』とか、『逃げたい』という言葉は聞いたことはないです」(父親)
タカヒトくんが「倫理・政経」の授業でだけカンニングペーパーを用意していたことも、両親は引っかかっているという。
タカヒトくんの死後、学校は「倫理・政経」の授業について同じクラスの生徒たちに授業についてのアンケートを遺族に了解を得ずに実施した。その中で「熱心でわかりやすい」とする声がある一方で、「意見を言っても否定されるため、意見や考えを出しにくい」「授業中に居眠りをした生徒を教室の後ろに立たせる」「口調にトゲや圧力を感じる」などの回答があったという。
後に調査報告書では、いくら居眠りをしていたとしても、生徒を立たせることは「体罰」に該当すると指摘されている。学校の校長や管理職は、そのアンケート調査までその実態を認識していなかったとまで指摘されている。
生徒指導がきっかけとなる児童生徒の自殺は「指導死」と言われている。暴力を伴わなくても、不適切指導によって児童生徒は自殺する可能性が、教員向けの基本書「生徒指導提要(改訂版)」でも指摘されている。父親は次のように主張する。
「学校のタカヒトへの指導にはいくつも落ち度があります。理由を告げずに妻を学校に呼び出し必要以上の焦燥感を持たせたこと、男性教員5人による指導面接で過剰に妻と息子に圧迫感と恐怖感を与えたこと、また『卑怯者』という言葉で息子の人格否定の感情を喚起したことです。その結果、タカヒトは救いのないほど落ち込んでいました。さらに、過剰な課題を課し、過度な拘束をしたことも疑問です」
タカヒトくんの死から4カ月後の22年3月に第三者調査委員会が設置され、11月に調査の報告書が発表された。それによると、「学校の指導内容に全く問題がなかったわけではない」と学校の落ち度を一定程度認めつつも、「倫理・政経」の担当教員の指導や副校長の話などが、生徒の自殺の原因だとの認定はできない、という結果だった。
自殺の理由については、「学校や家庭をはじめとする諸要因は絡み合って急性のうつ状態に陥り、今後の学校生活に絶望し自死に至ってしまった」としている。両親にとっては、「家庭の問題」に心あたりも無く、まして遺書にもそのような記載もなく、そもそも、委員から「家族の問題」について指摘や調査さえも受けていないとして、強い違和感をもち、激怒している。
現在両親は、学校がタカヒトくんを長時間拘束しての圧迫的な指導を行ったこと、反省文や大量の写経など大量の課題を与えたことなどが安全配慮義務に違反するとして、学校法人を相手に約1億円の損害賠償を求めている。なぜ、裁判という手段を使ったのか。
「学校の指導だけではなく、多数の問題を指摘しているのに『自死との因果関係がない』という結論を出した第三者委員会の調査結果も納得していません。私たちは委員会に対して倫理・政経の担当教員が息子に厳しいことを言ったり、同級生の前で恥をかかせたりしたのかといった本来実施すべきアンケートを調査開始段階からお願いしました。最終報告書の前に中間報告が出た時にも、再度アンケートを申し入れています。しかし『受験を迎える生徒と遺族に影響を与える』との理由で実施されず、真実が追求されていません。
また、委員長からは『(倫理・政経の教員の圧力をかけるような言動が発覚したとしても)本人は死んでいるんで分からないでしょ』との発言もありました。調査委員として言ってはいけないことだと考えています。それらを踏まえて、学校に再調査を求めましたが、真摯な対応がありませんでした。あまりにも酷い学校の対応を世に問うために、裁判で訴える決断をしました。カンニングはもちろん悪いことですが、タカヒトの人格を否定する過剰な指導、学校の管理体制に問題があったことは事実だと考えています」(同前)
(渋井 哲也)
妻を車ではね殺害か、77歳男を殺人容疑で逮捕…「浮気疑われけんかに」「興奮してひいた」
東京都江戸川区の駐車場で高齢女性を車ではねて殺害したとして、警視庁小松川署は27日、同区江戸川、無職中村則夫容疑者(77)を殺人容疑で逮捕した。死亡したのは70歳代の妻とみて、身元の特定を進めている。
発表によると、中村容疑者は同日午前5時15分頃、自宅近くの駐車場で女性を乗用車ではね、殺害した疑い。調べに「妻に浮気を疑われてけんかになった。車を走らせたところ、妻が車の前に立ちはだかり、興奮していたのでひいた」と容疑を認めている。女性は胸や腰などを強く打ち、搬送先の病院で死亡した。
中村容疑者は事件後、そのまま車で逃走していたが、同日午後、千葉県船橋市内で発見された。
新潟の死体遺棄事件、70代男性の死因は窒息死 殺人事件として捜査
新潟県聖籠町の空き家敷地の地中から男性の遺体が見つかった事件で、新潟署捜査本部は28日、司法解剖などの結果、男性の死因は何者かに首を圧迫されたことによる窒息死と判明したと発表した。今後は殺人事件として全容解明に全力を挙げる。
調べでは、男性は新潟市中央区上所、無職、小杉英雄さん(当時78)。小杉さんは10月中旬ごろから行方不明となり、小杉さんの親族が同21日、同署に行方不明届を出した。その後の捜査で同町次第浜の空き家周辺に遺棄された疑いが強まり、12月16日に捜索したところの地中から遺体を発見。同17日に捜査本部を設置した。
小杉さんは、捜査本部がある新潟署近くの4階建てビルで独り暮らしをしていた。
「ノーコメント」「あっけないですね」 加害者の元少年からの回答 並んでいたのは信じられない言葉 娘を殺害された母の苦しみ、加害者に伝わらない悲しみ
子を殺害された親の苦しみは計り知れない。
4年前、福岡市の商業施設で21歳の女性客が、当時15歳の少年に首などを包丁で何度も刺され、殺害された。
「娘はなぜ、こんな事件に巻き込まれなければならなかったのか」殺害された女性の母親は、その答えを司法制度を通じ、加害者の元少年に求めた。
癒えない心の傷は、さらに深くなった。それでも更生を望んでいる。
母親の胸にあるのは「こんなことしても何にもならないよ」という娘の最期の言葉だ。
21歳の娘は面識ない少年に刺され死亡した
2020年8月、福岡市中央区の大型商業施設で、客として訪れていた当時21歳の女性が、いきなり男に刃物で襲われ殺害された。
刺したのは、当時15歳の少年。
元少年は殺人などの罪に問われ、おととし懲役10年以上15年以下の不定期刑が確定している。
遺族が元少年とその母親に損害賠償請求
刑事裁判で刑が確定したあと女性の遺族(母と兄)は、元少年とその母親に対し、あわせておよそ7800万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
元少年と母親は、事件の事実関係を認めた上で請求棄却を求めている。
加害者が少年であったことなどを考慮し、裁判はこれまで非公開で行われてきたが、9日、双方の主張・立証が尽くされたことなどから初めて法廷が公開され、女性の母親が証言台にたった。
娘を殺害された母「事件当時の事を思い出さない日はない」
娘を殺害された母親(50代)
「亡くなったあとに、娘がよく兄の自慢をしていたと聞きました。『よくお兄ちゃんの自慢をしている、お母さんに感謝している』とか。ものすごく私たちのことをよく言ってくれていたと後から知りました。
毎日毎日事件当時の事を思い出さない日はありません。
パトカーなどのサイレンの音を聞くと、その時の光景が浮かんで感情がよみがえってきて、精神科の先生からはフラッシュバックと言われました。今も薬が手放せません」
母親は女性と女性の兄と3人家族。代理人弁護士から事件の区切りはついたか聞かれると、「つくわけありません」と、答えた。
「娘の冷たい体に触れた時の手の感覚、今も残っている」 元少年に心情伝えたが・・・
母親は、民事裁判と並行して、被害者の心情などを加害者に伝える「心情等伝達制度」を利用した。
加害者の反省の情を深めたり、被害者の心情の整理を図ったりするため、2023年12月に始まった制度だ。
自身が犯した罪の重さやどんな子を殺したかということを理解してほしいと、担当官を通じて思いを伝えた。
許せない気持ちがあること、夢や希望を奪われ人生を崩されたこと。
どうして娘はこんな事件に巻き込まれなければならなかったのか、事件当日に娘が出かけることを引き留められなかったのか今も後悔していること。
事件当日に警察から娘のことについて聞かされた時の声、今も耳や手に残る、パトカーや救急車のサイレンの音、娘の冷たい体に触れた時の手の感覚。
そして、元少年にいくつかの質問をした。
しかし、およそ10日後に返ってきた回答には、信じられない言葉が並んでいたという。
信じられない回答 女性の母親「めちゃくちゃな言葉」
Q.公判時と現在の気持ちに変化はあるかA.ノーコメント
Q.娘に包丁を向けたとき、実際に刺したとき何を考えたかA.人はあっけなく死ぬんですね
Q.抵抗されたときどのように思ったかA.偽善者ですね
Q.人を殺してみたいと言っていたが、実際に殺してみてどのように思うかA.あっけないですね
Q.私の話に真正面から逃げずに向き当って謝罪の意味を答えてほしいA.ごめんですね
Q.被害弁償など支払う意思はあるのかA.支払いの義務はありません
娘を殺害された母親(50代)
「心情伝達したのは犯人にどれだけのことをしたのかとか娘がどんな子だったのか分かってもらいたかったんですよ。
人の心を持っているんだったら、少しくらいは謝罪の言葉が出るんじゃないかと思っていました。
でもめちゃくちゃな言葉でした。なぜそういうことを言うのか信じられない」
裁判で母親は、「出て来る言葉ひとつひとつが悲しくて悲しくて、怒りになって今も許せないです・・・」と心情を吐露したが、それでも更生を望む気持ちがあると話した。
娘を殺害された母親(50代)
「伝えてくれる担当官がどういう風に少年に対して言ってくださったのか疑問ですが、何度利用してもいいと聞いたので、時間が経ってもう一度制度を利用しようと思っています。事件の事を考え反省しているのかを知りたい」
元少年の母親と対面
娘を殺害された母親は事件から2か月後、加害者の元少年の母親と対面している。元少年の母親からの申し入れだった。
女性の母親によると、元少年の母親は「大事な娘さんの命を奪って申し訳ない気持ちでいっぱい」などと謝罪したが、「少年と事件後に1回会った以外、5年間一度も会っていない」とも話したという。
女性の母親は「親としての責任を問われないのはおかしいと思った」。
娘を殺害された母親の代理人
「元少年の母親から謝罪を聞いて、事件の事を重大に受け止めていると感じましたか?」娘を殺害された母親(50代)
「いいえ、受け止めていないと思いました。『少年と事件のことについて話していない、両親や親族にも誰一人話していない』と言っていました」
損害賠償を求めた裁判で、女性の母親は「元少年の監督義務者に該当するものの、適切な指導をしなかった」と訴えているが、元少年の母親は、少年が長期間施設に入所していたことなどを理由に「自身に監督義務違反はなかった」と主張している。
女性の母親は、「お金をもらっても娘の命は返ってこない。でも本人もちゃんとお詫びして謝っていこうと思っているならそれを形として求めたいと思っている。娘が生き返るならお金はいらない」と話した。
母を思いとどまらせた、娘の最期の言葉
弁護士に対し「加害者を殺してやりたい気持ち」と話していた女性の母親。
そのような気持ちの中で思いを食い止めていたのは、「こんなことしても何にもならないよ」という娘の最期の言葉だった。
女性が被害に遭っている最中に、元少年に伝えた言葉。
法廷での尋問の最後に、女性の母親は涙を流しながら話した。
娘を殺害された母親(50代)
「娘はものすごく良い子。家族みんな成長を楽しみにしていた。何であんなむごい殺され方をしなきゃいけないのか。今も頭から離れません。あの子は(元少年に)自首を勧めました。走って逃げれば良かったのに。そしたら助かったのに。そういう優しい子を、どういう子を殺害したのか分かってほしい。娘を返してほしい」
判決は来年3月24日に言い渡される。
RKB毎日放送 記者 奥田千里
65歳男性、首を果物ナイフで刺され死亡…妻が夫を刺したこと認める 東京・国分寺市
28日朝、東京・国分寺市のマンションで、65歳の男性が首を果物ナイフで刺され、死亡する事件がありました。居合わせた妻が夫を刺したことを認めているということです。
警視庁によりますと、28日午前8時ごろ、国分寺市のマンションの一室で「夫を包丁で刺してしまった」と110番通報がありました。
警察官が駆けつけたところ、会社員の中山祐二さんが首に刺し傷がある状態で倒れていて、病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。
現場には刃渡り10センチほどの果物ナイフを持った62歳の妻がいて、中山さんを刺したことを認めているということです。
駆けつけた警察官に妻は「旦那が家に女性を連れ込むのを見た」などと話していて、警視庁は容疑が固まり次第、妻を逮捕する方針です。