「工場が燃えている」製糖工場が全焼 子ども2人が気づき親に連絡…家族3人が救急搬送 鹿児島・喜界町

「工場が燃えている」と通報
喜界町で7日午後、火事があり、製糖工場の建物1棟が全焼しました。
奄美警察署によりますと、きょう7日午後1時半ごろ、喜界町浦原に住む製造業・佐野剛さん(52)の妻から「工場が燃えている」と消防に通報がありました。
出火時、工場には小学生の子ども2人が
火はおよそ1時間半後に消し止められましたが、この火事で佐野さんが経営する木造平屋の製糖工場1棟およそ190平方メートルが全焼しました。
出火当時、工場には佐野さんの小学生の子ども2人がいて、佐野さんと妻は工場近くの自宅に帰っていました。
小学生の子ども2人が火事に気付いて親に連絡
工場にいた子ども2人が火事に気付いて妻に連絡し、工場に駆け付けた妻が通報したということです。
この火事で佐野さんと子ども2人が、消火活動中に煙を吸い込んで病院に搬送されましたが、いずれも命に別状はないということです。
妻や子ども「工場内から出火していた」
現場の建物はサトウキビを絞り加工するための工場で、7日は午前から稼働していました。
警察によりますと、妻や子どもは「工場内から出火していた」と話しているということで、警察と消防は、9日、実況見分を行い、火事の原因を調べるとしています。

「男性が溺れた」 福岡県八女市の星野川で15歳の男子高校生が溺れる 約1時間半後に死亡

7日夕方、福岡県八女市の星野川で15歳の男子高校生1人が溺れ死亡しました。
7日午後5時ごろ、八女市上陽町にある「ホタルと石橋の里公園」近くの星野川で、「男性が溺れた」と目撃した人から消防に通報がありました。
通報から約20分後に駆けつけた消防が、川の中にいた福岡県久留米市の高校1年・高田尋夢さんを救助しました。
高田さんはドクターヘリで病院に運ばれましたが、約1時間半後に死亡が確認されました。
警察によりますと、高田さんは当時、複数の友人と遊んでいたということです。

警察は、高田さんが溺れた原因など当時の状況を詳しく調べています。

【独自】日本産水産物規制撤廃へ協議打診 政府、韓国と実務レベルで

【ソウル、東京共同】東京電力福島第1原発事故を受けた日本産水産物に対する韓国の輸入規制撤廃に向け、日本政府が実務レベルでの定期的な協議を新たに韓国側に打診していたことが7日、分かった。複数の日韓政府関係者が明らかにした。良好な日韓関係を背景に、協議を通じて韓国内に安心感を醸成し、撤廃に向けた環境整備を進めたい狙いがある。韓国側から明確な返答はなく、実現は不透明だ。
日本政府は懸案解決を目指す方針だが、韓国にはなお慎重な世論が残っている。撤廃は最終的に、李在明大統領の政治判断に委ねられるとの見方が強い。
日韓関係筋によると、新たな対話は、日本側が農林水産省、韓国側は食品医薬品安全庁を想定。実現すれば、日本側の安全管理体制や放射性物質に関する科学的知見などについて意見交換するとみられる。日本側は、日本産水産物の品質や魅力を発信する機会としても活用したい考えだ。
韓国政府は福島第1原発事故後、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の8県の水産物輸入を停止した。

名古屋・中区の死亡ひき逃げ事件で男(21)を逮捕 歩行者の女性(29)をはねて約200メートル引きずったか

7日未明、名古屋市中区で女性が車にひき逃げされて死亡した事件で、警察が21歳の男を逮捕しました。
逮捕されたのは大治町に住む会社員の田啓容疑者21歳です。
警察によりますと、田容疑者は7日午前1時半ごろワンボックスカーを運転し、中区錦2丁目の信号交差点を右折する際に、横断歩道を歩いて渡っていた、近くに住む女性(29)をはねて死亡させたにもかかわらず、そのまま逃げた疑いが持たれています。
通報を受けた警察官が現場に駆けつけた際に、交差点から200メートルほど離れた場所で女性が倒れていたということで、女性は交差点ではねられた後、引きずられたと見られています。
その後、田容疑者が車に乗って現場に戻ってきたということで、警察が目撃情報や防犯カメラの映像などから、田容疑者の犯行と特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、田容疑者は容疑を認めているということで、警察は当時の状況などを詳しく調べています。

「一生許さない。息子の無念を晴らすため極刑を」被害者母親の意見陳述 無期懲役を求刑された女(21)は「社会に出られるなら償いたい」と謝罪【大学生集団暴行死】判決は6月25日《裁判取材記録》

北海道江別市の公園で大学生への集団暴行に関与し、強盗致死などの罪に問われている川村葉音被告(21)。検察側が求刑したのは、無期懲役でした。
強盗致死、詐欺、詐欺未遂、窃盗の罪に問われているのは、川村葉音被告(21)と当時18歳の高校生だった特定少年、そして当時16歳の少年の3人です。
起訴状などによりますと、3人は2024年10月、同じく強盗致死罪などで起訴されている八木原亜麻被告(21)と交際していた長谷知哉さん(当時20)に集団暴行を加え、キャッシュカードなどを奪い死亡させた罪に問われています。
「社会に出てこれるなら…」
5日午前に行われた川村被告の被告人質問では、弁護人から「遺族は何を望んでいると思いますか?」と問われると、「死をもって償ってもらいたい、一生刑務所に入って償ってほしいと思っていると思います」と答えました。
さらに、償いについて問われると「社会に出てこれるなら(事件があった)公園に行って、花を置いて手を合わせて、遺族の皆さんがよろしければお墓にも直接行って、手を合わせることもして、償っていきたいと思います」と述べました。
5日午後4時半すぎから始まった論告求刑で、検察側は、川村被告の犯行について「強盗や金品の要求は自発的な行動で、同調圧力とは説明できない」と指摘。情状酌量の余地はないとして無期懲役を求刑しました。
その直前には被害者遺族の代理人から、長谷さんの母親の「極刑」を望む意見陳述が読み上げられました。
「息子の無念を晴らすために極刑を望みます」母親の願い
【長谷さんの母親の意見陳述】
被害者の母です。最愛の息子の突然の死、二度と会えない寂しさはどうにもならない現実です。
正義感があり、穏やかで、勉強に励んで、携帯も高校合格までやらないという意志の強い子。部活や生徒会をやって、大学進学して友人ができて、サークルや勉強を教えるボランティア、ライブを見に行ったり、旅行に行ったり忙しくも充実した日々でした。帰省すると面白おかしく話してくれる。
江別警察署から「公園で遺体が発見された。全裸である」と聞いた。体が震え、頭は真っ白になり、千歳についたのは夜の12時ごろ、どこにいるの、何が起きているの。翌日も、指紋が一致したと連絡が来て、その場で泣き崩れました。
江別へ行き、腫れた顔でした。息子の顔に触り、目を閉じたままの息子を今も思い出し、涙が出ます。
その日のうちに息子と一緒に釧路に帰りました。並んで眠りました。
壮絶な暴行、痛み、苦しみを思うと涙が溢れて止まりません。犯人は憎い。なぜこんなひどい目にあわないといけないのか。
やめてくださいと言っても暴行され、命を奪われました。
川村、他人の別れ話に首突っ込んで、きっかけ作ったのはあなた。保身に走って、踏みつけ、何度も暴行して、フードを目深に被って息子のカードを使ってたばこ買って本当に気持ち悪い。一生許さない。
息子の無念を晴らすために極刑を望みます。
弁護側は、犯行に計画性はなく、暴行は偶発的なものであるなどとして、13年の有期懲役が相当であると主張。
川村被告は最後に「本当に事件を起こしてしまい、多くの人に辛い思いや毎日苦しい思いをさせ、本当に申し訳ありませんでした。被害者遺族のみなさまには、大切な家族1人の命を奪ってしまい、本当に申し訳ございませんでした。以上です」と述べました。
判決は6月25日に言い渡される予定です。

飛鳥・藤原の宮都、世界文化遺産登録へ勧告 国内22件目

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産として日本が推薦した「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原(かしはら)市、桜井市、明日香村)について、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)は登録が適当と勧告した。文化庁が6日、発表した。
7月19~29日に韓国・釜山で開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通し。登録されれば、国内では22件目の世界文化遺産となる。世界自然遺産も含めると計27件となる。
「飛鳥・藤原の宮都」は、6世紀末から8世紀初頭までの宮殿跡や古墳など計19の遺跡で構成。中国や朝鮮半島との交流の中で、日本初の中央集権国家がどのように成立してきたかを二つの宮都の変遷から示す、貴重な考古学的遺産とされる。
主な構成資産は、飛鳥宮跡(明日香村)と藤原宮跡(橿原市)の二つの宮殿跡。飛鳥宮は、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と中臣鎌足(なかとみのかまたり)らが蘇我入鹿(そがのいるか)を倒した乙巳(いっし)の変(645年)の舞台となり、天皇中心の国家を目指す政治改革である大化の改新が進められた。694年に持統天皇が藤原京に遷都。中心に作られた藤原宮は、約1キロ四方に天皇の居住区や役所などを集約し、701年の大宝律令によって本格的な中央集権体制が確立したとされる。
構成資産には、蘇我馬子(うまこ)の墓と伝わる石舞台古墳(明日香村)▽朱雀などの四神(しじん)像や東アジア最古の天文図が描かれたキトラ古墳(同)▽極彩色の壁画「飛鳥美人」で知られる高松塚古墳(同)――などが含まれている。高松塚古墳とキトラ古墳の壁画は、修復や保存のために古墳から取り出されており、イコモスは追加的勧告で「保存及び原位置復帰に関する科学的研究」の継続を求めた。
2007年に将来の登録候補として暫定リストに記載されたが、一部資産の保護措置が不十分だったなどとして政府の推薦が見送られ、構成資産の一部を除外して25年に推薦された。【竹内麻子】

「元嫁に殴られた」通報の最中にも酒瓶で数回殴られ‥同居の38歳女を傷害容疑で逮捕 札幌市

札幌市東区の38歳の女が40代の元夫を殴った傷害の疑いで5日、逮捕されました。
警察によりますと、5日に傷害の疑いで逮捕された札幌市東区居住の38歳の無職の女は、同日午後6時前、同居する元夫である40代の男性の頭部を酒瓶で殴ってけがをさせた疑いが持たれています。
男性が「元嫁に殴られた」と警察に通報しました。通報の最中にも酒瓶で数回殴られていたということです。
男性は頭部が少しはれる軽傷で、調べに対し女は「間違いありません」と容疑を認めているということです。
事件当時、2人は飲酒はしていなかっということで、警察で詳しく調べています。

中道への合流協議停滞、公明がさらなる支持離れに危機感…統一地方選へ立て直し急務

公明党が中道改革連合への合流を巡り期限を区切って動き出したのは、足踏み状態が続けば、さらなる支持離れを招くとの危機感からだ。来春の統一地方選に向け、立て直しが急務となっており、今国会中に方向性を明確にする必要があると判断した。
公明の竹谷代表は5日、国会内で記者団に「衆院選から日もたって保留の状態というのがよくないという声もある」と述べた。3日には同党の西田幹事長が、7月17日が会期末の今国会中に「一定の方向性を示したい」と表明していた。同党幹部は「中道改革との合流を決める方向で動いている」と明かす。
西田氏は4日、国会内で立憲民主党の田名部幹事長と会談し、合流に関する課題について意見を交わした。公明は、合流に慎重な立民にも今国会中に判断するよう伝えており、西田氏はその感触も探った。田名部氏は「すぐに合流判断は難しい。意見集約など必要な手順がある」と説明した。西田氏は、中道改革との合流について、立民内で前向きな意見はないのかを尋ねたという。
立民、公明両党出身の衆院議員で結成した中道改革は参院議員や地方議員を含む完全合流を目指しているが、めどが立たない状況が続く。衆院選での中道改革の大敗を受け、立民内で合流に否定的な議員が増えたためだ。中道改革は離党者が相次ぐ事態に陥った。
遠心力ばかりが働く状況に、公明は焦りを募らせた。「参院も含めた政党を作ると約束して衆院選を戦ったのに、実現しなければ信頼は地に落ちる」(幹部)との懸念からだ。国政選並みに重視し、総力戦で臨む統一選が来春に控え、「次の国会では衆参の議員がそろった党としてアピールしないと間に合わない」(ベテラン)との事情も抱える。
公明は、労働組合の支援などを見込める立民を含めた3党合流がもっとも望ましいとの認識は変えていない。ただ、立民が応じなければ、2党での先行合流に踏み切るべきだとの意見が勢いを増している。公明関係者は「3党でのきれいな合流を目指す時期は過ぎた」と指摘する。

事務所で男性が腹を刺され外国人風の男が逃走 近くの自宅アパートに放火した疑いのブラジル国籍の58歳男との関連調べ

愛知県安城市で5日夜、男性が腹を刺される殺人未遂事件がありました。その後、現場近くのアパートに放火したとして男が現行犯逮捕されていて、警察が関連を調べています。 警察などによりますと、5日午後9時45分ごろ、安城市藤井町のイノアックコーポレーション桜井事業所で、「40代の男性が何かでお腹を刺され出血している」と上司を名乗る男性から消防に通報がありました。 男性は意識のある状態で病院に搬送され、刺したとみられる外国人風の男は、その場から逃走しました。 およそ1時間後、警察が関係先として現場から2キロほど離れたアパートを訪れたところ、4階の一室から炎と黒煙が出ているのを確認し、3階部分の屋根にいた男が「自分で火をつけた」と話したため現行犯逮捕しました。 逮捕されたのは、ブラジル国籍で職業不詳のヴァラリニ・ウェルネル容疑者(58)で、容疑を認めているということです。 火元は容疑者の部屋で、本人も腹に刺されたようなケガをしていたため現在病院で治療を受けています。 警察は、回復を待って殺人未遂事件についても調べる方針です。

「日本円で『山崎』買って」 海外の親友のため立て替えたら…SNSを乗っ取った詐欺だった 同じ手口で150万円被害も

「ところで、ひとつ頼みを聞いてもらえる?」

ドイツで暮らす親友のM(女性)が、SNSでのやりとりで、突然こう切り出した。

「私の家族に誕生日プレゼントとして日本のウイスキーを贈りたくて、でもセラー(売り手)は日本円で払ってくれと言っている。助けてもらえない?」

Mが買いたいというのはサントリーのウイスキー、「山崎ミズナラ2012」。金額は21万6000円。

東京に住むAさんがまず日本円でセラーに支払ってくれれば、Mが後からその分のお金をAさんにユーロで送るという。

高額ではあったが、「あなたに迷惑はかけない」という親友の言葉を信じ、教えられた口座に金を振り込んだAさん。

だが…

SNSでやりとりしていた相手はMではなかった。彼女のアカウントは乗っ取られていて、Aさんは見知らぬ誰かと延々やりとりをしていたのだった。

テレビ朝日の取材では去年の12月以降、同様の手口で金をだまし取られる被害が他にも3件起きていて、中には約150万円払ってしまった人もいる。

「高級ウイスキー」「日本円での立て替え」「SNSの乗っ取り」が共通するキーワードだ。

なぜだまされるのか。

MとAさんのトーク履歴をもとに、その巧妙な手口に迫る。
【画像】「日本円で『山崎』買って」 海外の親友のため立て替えたら…SNSを乗っ取った詐欺だった 同じ手口で150万円被害も
ほしいのは「MIZUNARA」 21万6000円
都内の大学に通うAさん(21歳)は2025年秋から26年春にかけて、ドイツの大学に短期留学した。そこで出会ったのがアルゼンチン人のM(31歳)だった。

年齢は離れているが、日本が大好きだというMとAさんは意気投合、二人は大の親友になった。

帰国したあとも、ドイツにいるMと無料のメッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」で連絡を取り合っていた。(やりとりは英語で行われていた)

このワッツアップ、アメリカのメタ社(旧Facebook)が運営するアプリで、ヨーロッパや南米を中心に数十億人が利用しているとされる。

見た目や使用感は、日本で最も使われているメッセージアプリのLINEとそれほど違わない。

Aさんのワッツアップのトーク履歴にはMとのやりとりがすべて残されている。

それによると、Mが「家族の誕生日プレゼントを買いたい」と伝えてきたのは5月2日。

「私の友達が日本のセラーを薦めてくれたので、そこから買いたいのだけど、日本円しか使えないから、まずあなたのほうで立て替えてもらえないだろうか。そのあと海外送金であなたに返すから」

後から振り返ってみれば、怪しいところもあった。しかし当時は、まさか別人とやりとりしているとは夢にも思わなかった。

「言葉の使い方とか不自然な感じはしませんでした。途中で別人ではないかと疑ったことは全くありません」(Aさん)

ただ購入しようとしている品物の金額には驚いた。

Aさん「21万6000円は高額だよ。あなたは何を買いたいの?」

M「MIZUNARAだよ」。
親友の気持ちを応援してあげようと…
シングルモルトウイスキー「山崎」の「ミズナラ2012」はサントリーが2012年9月に数量限定で発売した。

当時の資料では、「日本ならではのミズナラ樽で育んだ希少なモルト原酒だけを厳選したもの」と説明されている。

価格は2万5000円だった。

サントリーによれば「『ミズナラ2012』は数量限定商品のため、既に当社からの出荷は終了しております」とのこと。
詳しい説明を求めたAさんに対し、Mは楽天市場の画像を送ってきた。

そこでは約28万円という額で「ミズナラ2012」が売られている。当初の発売価格の10倍以上の値段だ。

Mによると、友人が紹介してくれたセラーなら、このミズナラ2012を21万6000円で売ってくれるのだという。

不安になったAさんは家族にも相談。ウイスキーに詳しい知人に「ミズナラ2012」について聞いてもらったところ、数量限定品だけに、もし残っているならそのくらいの額で出回っていてもおかしくないとのことだった。

では、そんなレアな品物を売ってくれるという、その「セラー」は信用できるのか。

Aさんの問いかけにMはこう答えた。

「私の友だちは『信頼できる業者だ』と言っていた。私は自分の友だちを信じる。あなたを信じるのと同じように」

結局、AさんはMの意思を尊重することにした。(やりとり相手が本当にMだと信じ切っていたのだ)

母親とも相談し、親友が家族にサプライズ・プレゼントをしたいという気持ちを応援しようということになった。

21万6000円は高額ではあるが、最終的にはMが払ってくれるという信頼感もあった。

Mから送られてきた振込先の口座情報。

銀行は「AUじぶん銀行」で口座名義は「チャウゴックカン」と書かれていた。

日本に住んでいる香港人だという。

5月5日午後9時29分。

Aさんはバイトで稼いだお金をためていた自身の口座から、「チャウゴックカン」宛てに21万6000円を振り込んだ。
「あと2本買いたい」「これは詐欺だよ!」
「すぐにMから連絡が来て、とても喜んでいたので私もうれしかったです。ただ、まだ業者のことは信じられていなくて、ちゃんとMの元に送ってくれるかは心配していました」(Aさん)

異変が起きたのは4日後だった。

MからAさん宛てに金を振り込んだという連絡があり、振込証明書の画像が送られてきた。

なぜかその金額は4000ユーロ=約74万円(6月5日時点の為替レート)。

Aさんが立て替えた額の3倍以上だった。

続けて送られてきたメッセージにAさんはびっくりする。

何とMは、さらにウイスキーを買うというのだ。

「セラーがさらに好条件を出してくれたから、あと2本買おうと思う。あなたに4000ユーロ振り込んだので、それを使ってセラーに43万2000円を払ってもらえない?」

これは本当にヤバい。

Aさんはもう立て替えはできないと宣言し、こう伝えた。

「これは詐欺だと思うよ」

このあたりからAさんは、やりとり相手の「M」自体に不審を覚え始める。

Mが送金したという4000ユーロも振り込まれる気配がない。

念のため、これまで使ってきたアプリ「ワッツアップ」ではなくインスタグラムのダイレクトメッセージでMに連絡すると…

「それは私じゃない」

Mは一連のやりとりに全く心当たりがないという。

ここに至って、Mのワッツアップアカウントが乗っ取られていたことが判明した。

Aさんは約10日間にわたり、Mに成り済ました何者かとやりとりを続けていたのだ。

だとすると… 詐欺の被害者はAさん。

存在しないウイスキーのセラーに21万6000円を振り込んでしまったことになる。

「何も考えられない、誰も信じられない気持ちでした。SNSを使うのも怖くなって… むっちゃ怒りがあります。Mを助けたいという気持ちだったのに、何か裏切られたというか… Mが悪いわけじゃないのに、彼女のこと自体が信じられなくなってしまいそう」

5月12日。Aさんは警視庁田園調布署に被害届を提出した。
乗っ取りの手口「ゴースト・ペアリング」とは
Aさんからの被害届を受け取った「知能犯罪」担当の警察官によれば、21万6000円を振り込んだ「チャウゴックカン」名義の口座は速やかに凍結されたが、既に全額が引き出された後だったという。

ワッツアップの乗っ取りについては捜査できないのか、Aさんが尋ねると、「運営するメタ社は日本の企業ではないので、乗っ取りについて調査を依頼しても、どれだけかかるか、そもそも返事が来るかわからない」という答えが返ってきた。

「何にもできないのかとがっかりしました。最初からあきらめているみたいで…」(Aさん)

ITジャーナリストの三上洋さんによれば、最近、ワッツアップの乗っ取りとして「ゴースト・ペアリング」という手口が注目されているという。

「この『ゴースト・ペアリング』では乗っ取られた側のワッツアップアカウントが生きたままで犯人がそのアカウントにアクセスできます。つまり乗っ取られた側が乗っ取られたことに気付かないで使い続けてしまう可能性があります」
ワッツアップには、スマホやパソコンなどのデバイスを4台まで連携できる機能がある。今回、Mのワッツアップアカウントに犯人が秘かにデバイスを連携させていた可能性があるのだ。

このデバイス連携で悪用されるのが「認証コード」機能だ。

認証コードは本来、パスワードなどに加えてさらに安全性を高める目的で使われる。ログインの際、SMS(ショートメッセージ)などで端末に送られてきた「認証コード」を入力することで、その端末が自分のものであることを証明する仕組みだ。

三上さんによれば、偽のFacebookページなどを使い、乗っ取ろうとする相手にログイン情報と「認証コード」を入力させ、新たなデバイスを連携させるのが手口だという。

「今回の件と『ゴースト・ペアリング』が結び付くかどうかはわかりません。ただ乗っ取りで一番あり得るのはこのSMSの認証コードを使った手口です。LINEでもこの手の乗っ取りはかなり前から起きています」

「ゴースト・ペアリング」であれば、乗っ取った側は過去の履歴も見ることができる。AさんとMの過去のやり取りを見たうえで、二人の関係性を把握し、言葉遣いなどが不自然にならないよう調整した可能性もある。
先に三上さんも指摘したように、こうした乗っ取りはLINEでも起こり得る。

実際、LINE公式ホームページのヘルプセンターでも5月20日付で、「投票を装ったLINEアカウント乗っ取りやPayPayへの送金詐欺被害について」というタイトルの注意喚起が掲載されている。

「LINEの登録情報(電話番号など)と組み合わせて認証番号を聞き出すような行為は全て詐欺です」「突然送金を求められた場合は、テキストメッセージ以外の手段で必ず本人に確認して」といった内容からは、今回の事件と似たような事案が発生していることがうかがえる。
知恵袋に相談 「ホストファミリーから頼まれ…」
「詐欺について詳しい方緊急で助けてください」

ネット上でユーザー同士が質問と回答を投稿し、知識や悩みを共有するサイト、「Yahoo!知恵袋」に1月20日、こんな相談が投稿された。

相談したのは高校生で、その週の土曜日からオーストラリアに1年間留学に行くことになっていた。その滞在先となるホストファミリーの人から突然、助けてほしいことがあると言われたという。

「『友人の誕生日に山崎ウイスキーを送りたくて、代行業者と話しているが代行業者は日本円でしかやり取りをうけつけていないので貴方に日本円で支払うのを手伝ってもらえないか』とのことでした」
ホストファミリーが買いたいのは「山崎」の18年。金額は21万8000円だという。

この高校生は親とも相談したうえで、これから世話になるホストファミリーのために立て替えることを決め、指定された金額を支払った。

すると相手は、さらに2本購入したい、78万5000円払ってくれないか…と頼んできたのだという。

質問者がその後、追加購入分の金額を支払ったのか、先方から立て替えた分が払われたのかはわからない。やりとりした相手が本当にホストファミリーだったのか(乗っ取られていたのか)も不明だ。
千葉でも2件発生 被害額はともに150万円
実際に詐欺であることが判明し、被害届が出された類似の事案もある。

千葉県警千葉西署によると、今年に入って2件、高級ウイスキーをめぐる詐欺被害の訴えがあった。

いずれも外国籍の知人からSNSで連絡があり、「友人に高級ウイスキーをプレゼントしたいが、バイヤーが日本円でないと売ってくれない。指定の口座に日本円で送金してくれないか」と頼まれたというもの。

うち1件では、ウイスキーが「『山崎』の高級品」だったことがわかっている。

複数本を購入したため、2件ともに、支払った額は約150万円に上ったという。

後にその外国籍の知人から連絡があり、「SNSが乗っ取られていた」ことがわかった。
また静岡県長泉町でも去年12月、会社員の男性が、SNS上でオランダ人の上司を装った人物から「山崎ウイスキーを買って家族に送りたい」と言われ、約26万円を振り込む被害に遭っている。

静岡県警は「『私の代わりに商品を買ってほしい』は詐欺!」と呼びかけている。

相次ぐ「高級ウイスキー」を利用した詐欺事件。

複数の事案で「山崎」の名が使われていることについて、サントリーにどう受け止めるか尋ねたところ、「本件については直接存じ上げておらず、当社からコメントできることはありません」という回答だった。

金を振り込む前のどこかで気付くことはできなかったか、Aさんは今でも時々振り返ってしまう。

「詐欺だとしたら、偽物をつかまされるような詐欺だと思っていたけど、実は“なりすまし”だったとは全く思っていなかったです。二重に疑う必要があったんですよね。でも知識というか情報がないとなかなか見破れない。こういう高額な依頼の場合は、別の手段で相手に連絡を取るべきでした」

詐欺の手口を広く周知することで、二度と同じような被害が出ないことを願っている。