声優・土師孝也さん死去 72歳 27日に心筋梗塞で 「北斗の拳」トキ、「ハリー・ポッター」スネイプ役

人気アニメ「北斗の拳」トキ役や映画「ハリー・ポッター」シリーズのセブルス・スネイプ役などを務めた声優で芸能事務所「アプトプロ」の代表取締役社長・土師孝也(はし・たかや、本名加藤孝也=かとう・たかや)さんが27日に心筋梗塞のため死去した。28日、同事務所が発表した。東京都出身、72歳だった。

同事務所は公式サイトで「【訃報】土師孝也」として更新し、「弊社代表取締役社長 加藤孝也(土師孝也)儀(享年72歳)令和7年8月27日午前心筋梗塞の為急逝いたしました」と伝えた。

土師さんは青年座でキャリアをスタートし、俳優として活躍。声優としても多くの作品に出演した。

主な代表作に「北斗の拳」トキ役、映画「ハリー・ポッター」シリーズでアラン・リックマンが演じたセブルス・スネイプ役の吹き替えなどがある。

また「機動警察パトレイバー」、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」バーン役、「ONE PIECE」イヌアラシ公爵などの声を務めた。

【独自】首相個人の責任言及を回避 参院選総括素案、29日に提示

自民党は参院選大敗の要因を検証する総括委員会の報告書を巡り、石破茂首相個人の責任に言及せず、回避する調整に入った。物価高対策として公約の柱に盛り込んだ国民一律2万円の現金給付を敗因の一つと認め「国民に寄り添う政策を打ち出せなかった」と結論付ける。関係者が28日明らかにした。29日に総括委の会合を開き、報告書の素案を提示。まとまれば9月2日の両院議員総会に諮る。
首相個人よりも、森山裕幹事長を含む執行部全体の責任に重点を置くのが狙いとみられる。ただ党内では、首相がトップとしての責任を取るべきだとの意見が根強く、両院総会までに素案が修正される可能性もある。
関係者によると、素案は約20ページで構成し、敗因を列挙した。現金給付については、野党各党が消費税減税を掲げたことを念頭に、有権者の理解を得られなかったと明記。派閥裏金事件を中心とする「政治とカネ」問題や、能登半島地震を巡る鶴保庸介参院予算委員長(辞任)の失言も敗因とした。鶴保氏の名前は明示しない方向だ。

秘書給与800万円詐取か=石井参院議員、元秘書ら聴取―関係先を再び捜索・東京地検

日本維新の会の石井章参院議員(68)=比例=の秘書給与詐欺事件で、不正受給の総額が800万円程度とみられることが28日、関係者への取材で分かった。
東京地検特捜部は27日に続き、茨城県取手市の地元事務所など関係先を家宅捜索した。これまでに元秘書ら複数の事務所関係者から任意で事情を聞いており、押収した資料を分析し、秘書の勤務実態や資金の流れについて調べる。
28日午後、白いワイシャツ姿の係官ら数人が黒いかばんを手に、取手市の事務所や隣接する建物に次々と入った。捜索は午後3時半ごろまで続き、押収物が入った段ボール箱などを車に積み込んだ。
国会議員は政策秘書、公設第1、第2秘書の3人を国費で雇うことができる。1990~2000年代、国会議員による秘書給与詐取事件が相次ぎ、再発防止のため04年には秘書給与を本人に直接支給するよう国会議員秘書給与法が改正された。しかし、昨年8月には広瀬めぐみ元参院議員が秘書給与や退職手当計約358万円をだまし取ったとして東京地検特捜部に在宅起訴され、その後有罪が確定した。
石井氏は取手市議などを経て09年の衆院選に旧民主党から出馬して初当選。16年の参院選におおさか維新の会(当時)から出馬して当選し、現在2期目。 [時事通信社]

自民総裁選の前倒し賛同、政府内で「同調者が続く展開が起こり得る」…副大臣「やらないと党終わる」

自民党臨時総裁選の実施の是非を巡り、神田潤一法務政務官が辞職した上で賛成する可能性を表明するなど、政府内でも賛同に向けた動きが広がっている。党内では「同調者が続く展開が起こり得る」との見方が出ており、石破首相(党総裁)側は神経をとがらせている。
神田氏は28日、自身のX(旧ツイッター)で「『総裁選の前倒しを求めるべき』との考え方に大きく傾いている」と投稿。「政務官の職を辞すことになろうとも、重要な政策を前に進めていくために必要だ」と続けた。
党総裁選挙管理委員会は臨時総裁選に賛成する議員には記名で書面を提出させ、氏名を公表する方針を決めている。首相周辺には「公表されるなら政務三役は賛成しづらい」と見る向きがあった。これに対し、神田氏は憲法などが定める「投票の秘密」に触れ、「憲法や公職選挙法に反するような手続きを入れてまで続投を図ることが首相としてふさわしいあり方と言えるだろうか」と批判した。
首相側の思惑に反し、総裁選の前倒しを実現しようと動く副大臣も相次ぐ。複数の副大臣を含む中堅衆院議員らは28日、会合を開き、前倒しに賛成する方針を確認した。副大臣の一人は「総裁選をやらないと、党は終わる」と語った。賛同者が意見交換を重ねる会合に参加する副大臣もいる。
首相側は、議員に電話で賛否を聞き取るなど情勢を把握しようと懸命だ。もっとも「総裁選への賛否は議員としての判断で、政府の一員としての立場とは別だ」(閣僚)との見解も根強い。首相や周辺が露骨な圧力をかければ、反発した議員による辞職を誘発することも想定され、政府高官は「対応が難しい」と漏らす。
林官房長官は記者会見で、総裁選前倒しに賛成する政務三役は辞任するべきか問われ、「党における活動に関する事柄で政府としてコメントは差し控える」と述べるにとどめた。

東京は過去最長10日連続の猛暑日か 前線の影響で全国的に大気不安定 局地的な雷雨に注意 北日本では土砂災害などに警戒を

東京では、きのうで9日連続の猛暑日となりました。これは猛暑日の連続日数、最長タイ記録です。各地で記録的な暑さが続いていますが、一方で、北日本では大雨となっているところがあります。
発達中の低気圧からのびる前線の影響で、午前5時現在、秋田など東北北部を中心に活発な雨雲がかかっています。また、北海道では降り始めからの雨量が平年の8月1か月分を超えているところもあり、このあとも土砂災害などに厳重な警戒が必要です。
きょうは前線が日本列島を南下するため、西日本や東日本でも広い範囲で雨が降るでしょう。北日本から西日本の日本海側では、午前中を中心に雷を伴った非常に激しい雨が降り、東日本では午後を中心に雷を伴った非常に激しい雨が降って、大雨となる所があるでしょう。あす午前6時までに予想される24時間雨量は、多い所で、▼東北地方・関東甲信地方100ミリ、▼北海道地方・近畿地方80ミリとなっています。
前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、北日本から西日本の広い範囲で大気の状態が不安定です。関東地方など、日中晴れ間のある地域でも、局地的な雷雨に注意が必要です。また、日中晴れ間がある関東などを中心に、きょうも気温が上がります。
■きょうの各地の予想最高気温 札幌 :30℃ 釧路 :26℃ 青森 :32℃ 盛岡 :30℃ 仙台 :34℃ 新潟 :30℃ 長野 :33℃ 金沢 :32℃ 名古屋:35℃ 東京 :36℃ 大阪 :35℃ 岡山 :34℃ 広島 :32℃ 松江 :31℃ 高知 :33℃ 福岡 :34℃ 鹿児島:34℃ 那覇 :33℃
東京はきょうで過去最長、10日連続の猛暑日となる見込み。また、年間の猛暑日の日数も、きょうで23日目となり過去最多記録を更新しそうです。
厳しい暑さが続いている関東地方ですが、きょうの雨で、あすは少し暑さが落ち着く見込みです。東京のあすの予想最高気温は32℃、きょう38℃まで上がる予想の熊谷や前橋でも、あすは6℃下がって32℃の予想です。
ただ、暑さが和らぐのは一時的。週末から来週にかけて、日差しと共に危険な暑さが戻ってきますので、まだまだ熱中症などに注意が必要です。

「面識ない女性」3度ともターゲットに 神戸刺殺容疑者、後つけマンション侵入繰り返す

神戸市中央区のマンションで20日夜、会社員の片山恵さん(24)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)が、3年前だけでなく5年前にもオートロック式のマンションに侵入し、女性につきまとうなどして逮捕されていたことが明らかになった。いずれも今回と手口が酷似し、ターゲットも全て面識のない女性だった。3年前の事件では判決で「再犯が強く危惧される」と指摘されていたが、3度目の事件を防げなかった。
裁判資料などによると、谷本容疑者は令和4年5~6月、ストーカー規制法違反容疑などで兵庫県警に逮捕されていた。同年1月以降、神戸市内のオートロック式のマンションに当時23歳だった女性の後に続き侵入。5月下旬には、別の人が出てきた際にマンションに侵入して待ち伏せした上、女性が帰宅した際に室内に押し入り、腕を回して首を絞めるなどし全治3週間のけがをさせた。路上で見かけて一方的に好意を抱き、約5カ月間にわたりストーカー行為を繰り返していたという。
神戸地裁は同年9月の判決で、「再犯が強く危惧されると言わざるを得ない」と指弾。一方で、犯行を認めて反省の態度を示しているとして、執行猶予付きの有罪を言い渡していた。
関係者らによると、谷本容疑者は2年にも、神戸市内に住む面識のない別の女性に対するストーカー規制法違反などで逮捕されていた。この事件でも女性の後を追って、オートロック式マンションの扉から侵入していたという。
今回の事件で片山さんは今月20日午後6時半ごろ、勤務先だった神戸市内の損保会社を退勤。会社付近から郵便局に立ち寄り、電車を乗り換えるなどして帰宅するまでの約50分間にわたり、谷本容疑者とみられる男が片山さんの後をつける様子が確認されている。
同日午後7時20分ごろには、片山さんの後を追うように、容疑者とみられる男がオートロック式の扉をすり抜ける姿が防犯カメラで確認された。容疑者は県警の調べに「まったく知らない人です」と供述している。
警察庁の統計によると、6年中のストーカー犯罪の加害者と被害者の関係の内訳は、「交際相手」が37・1%と最多だった。ただ「面識なし」も8・8%あった。
ストーカー被害者らを支援するNPO法人「ヒューマニティ」(東京)の小早川明子理事は、今回の事件について「谷本容疑者が一定期間つきまとった可能性も考えられる」と推測。一方で「たとえ見知らぬ人でも特別の関心を寄せて執着したりし、ストーカーに発展することは少なくない」とした上で、「殺人に至ることはまれだとしても、被害者側からすれば、目をつけられたという予兆に気づきにくい。防ぐのが非常に難しい」と話している。

沖縄県内生息のゴキブリ、新種を発表 「ヒメマルゴキブリ属」の1種 鹿児島や台湾にも分布

沖縄県内に生息し、ダンゴムシのように丸くなる「ヒメマルゴキブリ属」の1種が新種として日本昆虫分類学会が発行する学術誌に記載された。磐田市竜洋昆虫自然観察公園(静岡県)の柳澤静磨副館長らの研究者チームが26日までに発表した。柳澤さんは「日本や台湾の多様なゴキブリの種類を解明する一歩となる」と話している。
ダンゴムシの脚は14本に対し、ヒメマルゴキブリ属は6本。沖縄県内全域に加え、鹿児島県から台湾にかけ広く分布している。体長は10~15ミリほどで木の上でよく見つかるという。
柳澤さんらが2024年、ヒメマルゴキブリ属のゴキブリ約70匹の形態観察とミトコンドリアDNAを解析したところ、2種が混在していることが判明。知られていなかった種を「ペリスファエルス・ホライアヌス」として新種記載した。和名はヒメマルゴキブリを対応させた。
新種はもう一つの種に比べて雌の成虫の頭部の上半分が暗赤色で、腹部の背面の穴の数も異なっているという。論文は同学会の学術誌「Japanese Journal of Systematic Entomology」に記載された。
(社会部・塩入雄一郎)

「小学生時代は不登校気味」「1人でエアガンをバンバン撃っていた」“異常な思考”はいつ芽生えたのか…谷本将志容疑者の少年時代とは【神戸市・24歳女性刺殺】

「彼は、勉強が得意ではない印象です。小学校の高学年からちょくちょく学校にこなくなって、中学に進学してからもあまり見かけていない。だから友人と呼べる人はほとんどいないんじゃないかな……」──神戸市のマンションのエレベーター内で、片山恵さん(24)を刺殺した谷本将志容疑者(35)の同級生はそう振り返った。
谷本容疑者は調べに対し、片山さんについて「まったく知らない」と供述している。2022年5月に、別の女性に対し一方的に好意を抱き、ストーカー行為の挙句に首を絞めて逮捕・起訴された際も、被害者とは面識がなかった。
見知らぬ女性に一方的に好意を寄せ、接近するという“異常な思考”は、いつ芽生えたのだろうか。
容疑者の知られざる過去
公判の記録などによれば、谷本容疑者は1989年9月、大阪市出身。ある同級生は「小学校2~3年のころに転校してきました」と語るが、小学生からはしばらく大阪府下の別の市で過ごした。両親は離婚しており、父親と生活していた時期が長かったようだ。容疑者と同じ小中学校に通っていた男性が語る。
「理由は分かりませんが、彼は小学4年生のころから不登校気味でした。気づいたら学校にあまりこなくなって、中学2年生くらいにはほとんど姿を見かけなくなりました。
小学校の時は放課後によく宿題やプリントを友達ともっていきましたよ。大人しい感じでしたけど、遊ぶとニコニコして穏やかな男子。ただ成績はかなり悪いほうだったと記憶しています」
他の同級生からは「印象が薄い」との声が多く聞かれた容疑者だが、こんな“趣味”をもっていた。
「周りの男子と同じようにテレビゲームとかも好きでしたが、特にエアガンとかミリタリー系が好きでしたね。ハンドガンなどを何丁もコレクションしていて、よくそれを自慢げに見せてきた。
あるとき、友達と歩いていると近所の公園で谷本が1人でエアガンをバンバン撃ちまくっていた。『学校をサボって何をやっているんだろう』と子どもながらに思いましたね。当時は変わったヤツだなくらいにしか感じていなかったけど、まさか人を殺すなんて……」(同前)
在阪の大手紙社会部記者がいう。
「容疑者が2022年に起こした事件の公判では、当時担当だった神戸地裁の安西二郎裁判長が『住居侵入・傷害事件の翌日に、謝って許してもらいたいと考えて、被害者の心情に思いを致すことなく、被害者方へと赴こうとした経緯からしても、思考の歪みは顕著である。再犯が強く危惧されると言わざるを得ない』と述べています」

「静電気で雑草抑制」装置を近畿大教授らが開発 仕組みは“簡単”

近畿大農学部(奈良市)の松田克礼教授は、世界初となる静電気で雑草を抑制する装置を大阪府内の企業2社と共同開発し、発売した。二重の金網を張った95センチ四方のフレームに、獣害防止などで広く使われている通電装置を接続する。フェンスに重ねるように並べて置けば、雑草の繁茂を効率よく防げる。斜面に取り付けるタイプも開発しており、近く発売する。高速道路運営会社やNTTの通信施設など大規模なインフラをもつ企業の利用を想定している。
松田教授は静電気で虫やウイルスを防除する研究を続けてきた。今回は夏に猛烈な繁殖力を見せる雑草に着目した。キャンパス内で行った実験では、網に触れて電気ショックを受けた部分が枯れ、絶大な抑制効果を発揮した。
仕組みは簡単。95センチ四方のフレームに金網を約3センチ離して2枚張り、うち1枚に微弱な電気を流す。通電は1秒に0・03秒だけで、電流は1ミリアンペア程度。冬場の車などで生じる静電気と同程度で、人に被害は出ず、火災の心配もない。もう1枚の網はアースの役割を果たす。太陽電池パネルで発電した電気を使うため配電工事は必要なく、設置も簡単だ。
松田教授によると、草刈り機で容易に除去できる地面の雑草と異なり、フェンスにからみついた雑草は人の手で取るしかなく、除去に時間がかかる悩ましい存在だった。冬には枯れたように見えるが、根と茎は生きており、翌年はそれまで育った茎から葉を出すので放置するとどんどん繁茂してしまう。また、除草の手数料設定は通常は面積当たりで決まるため料金にも反映できないという問題もあった。
斜面に設置するタイプも基本的な仕組みは同じ。台座に乗せたフレームを斜面に置く。枯れるのは網に触れた葉や茎のみで根は生きているため斜面崩落を抑える効果は変わらない。
松田教授は「害虫やウイルスより雑草の方が深刻な状況になっており、抑制装置を開発した。取り付けも簡単。研究成果で社会に貢献できたら研究者冥利に尽きる」と話している。【大川泰弘】

なぜ伊東市長の学歴詐称問題は終わらないのか…東洋大関係者が見た「田久保劇場」というドロ沼の正体

田久保市長は、東洋大学を卒業していない。市長みずから「除籍」と認めているし、東洋大学も、そのように発表しているからである。
田久保氏は、8月13日の伊東市議会の百条委員会で、「除籍である、つまり卒業していないという事実を知ったのは(2025年)6月28日」と答弁している(テレしずニュース「百条委に田久保市長が出頭も何ひとつとして解明ならず 除籍を知ったのは6月28日の一点張り 証言を拒否する場面も散見 事実上の“ゼロ回答”『真実を語っているとは思えない』」2025年8月13日18時16分配信)。
また、東洋大学は、8月6日に「本学に係る報道について」との声明を出し、次のように述べている。
本人も大学も「卒業していない」と確認している以上、もはや、学歴詐称「疑惑」ではない。単なる「学歴詐称」である。すると、田久保市長は、すぐに辞職しなければならないのか。実は、そう単純ではない。
産経新聞がまとめている通り、「政治の世界では過去にも多くの学歴詐称疑惑が取りざたされてきた」(「ペパーダイン大、サッチー…政治における学歴詐称疑惑 虚偽事項公表なら公選法違反罪も」産経新聞2025年7月2日14時41分配信)。
たとえば、民社党(当時)から参院選に出馬、当選した新間正次氏は、在宅起訴後、有罪判決が確定し、その身分を失うまで2年を要している。ほかにも、起訴猶予処分になったり、不起訴処分になったり、と、学歴を偽っていたとしても、職を追われたケースは多くはない。
警察や検察が捜査したとしても、逮捕や起訴すら一般的ではない。有罪となり失職まで行くとしても、かなりの時間を要するだろう。田久保氏が、そこまで高をくくっているかどうかは、わからない。
仮に、伊東市議会が市長の不信任案を可決したとしよう。すると、ジャーナリストの小林一哉氏が「プレジデントオンライン」で推測したように、出直し選挙になる。そして、兵庫県知事選と同じように、「オールドメディアが田久保氏を厳しく責め立てるほど、SNSを通じたボランティアが集まる構図が伊東市長選でも繰り返されるだろう」(小林一哉「学歴詐称疑惑の伊東市長は『第二の斎藤元彦』になる…出直し市長選で田久保氏の『返り咲き』が否定できないワケ」2025年7月15日8時配信)。
学歴詐称「疑惑」でなくなったのに、田久保市長が痛痒を感じていないように見える背景は、ここにある。開き直って居座る市長は困ったものだ、そう済ますというか、済ますほかないというか、それ以上でもそれ以下でもなさそうに見える。
それなのに、なぜ私たちは、ここまでこのニュースに耳目を奪われるのだろうか。
私は、先月、プレジデントオンラインで、この件における「学歴」がポイントだと書いた(「なぜ人口6万人の伊東市長の『学歴詐称』が“祭り”になっているのか…東洋大学関係者だから気付いた根本原因」2025年7月11日6時配信)。ただ、もはや「学歴」に関しては解決済みなので、私の推定は、効力を失ったのかもしれない。
このニュースが学歴詐称にとどまらず、さまざまなネタを提供してくれているのは確かである。卒業証書の「チラ見せ」はコントのように面白く、すでにコントにもなっているほどである(スケッチブック「19.2秒だけ卒業証書を見せる市長【コント】」2025年8月17日配信)。
あるいは、百条委員会で、四宮和彦委員(伊東市議会議員)から、仮に田久保市長に正当性があるのなら、と仮定した上で、「東洋大学が悪いに決まっている」、「東洋大学は悪の組織と言っていいくらい」と発言した。これに対して、市長が市議会に対して東洋大への謝罪を求めたのである。
この「悪の組織」発言と、それについての謝罪要求については、もうコントを通り越して脱力するほかないのだが、それでも、伊東市議会議長が、東洋大に謝罪文を送付するように、常に「ネタ」を提供してくれている。
メディアにとっては、「夏枯れ」とも呼ばれる8月のニュースが少なくなる時期に、絶え間なく話題を供給してくれているから、ここまで報じられ続ける。それだけなのだろうか。
伊東市は、東京に近い観光地として知られている。田久保氏が訴えてきた「図書館建設計画の中止や、メガソーラー計画の白紙撤回」は、争点ではあるものの、地域住民の生死にかかわるほどとは言いがたいのではないか。
伊東市は、人口減少と高齢化の2つが同時に進む典型的な地方都市である。2005年の7万2441人をピークに人口は減り続け、2025年7月末現在では6万3798人(うち外国人1155人)にまで、10年間で約8000人のマイナスである。高齢化率も、隣の熱海市(48.7%)よりは低いとはいえ、44.4%と、県内7番目の高さである。
図書館やメガソーラーといった、賛否が別れがちなテーマよりも、人の数が少なくなり、高齢者の割合が増えるなかで、どのように行政の舵を取るのか。そのほうが、伊東市民の関心事であるはずだし、また、そうあるべきだと言えよう。
だからこそ、伊東市の話題は、そこに住んでもおらず、かかわりのない大多数の人たちの関心を惹きつけるのではないか。
どこにでもありそうな都市で、しかし、どこにもいなさそうな、強情と言えば良いのか、変わっていると言うべきか、一筋縄ではいかない市長がいる。学歴がどうであろうと、すぐには刑事事件になりそうもなく、かといって、人々の生き死にに直結するほどの大問題とは言いにくい。
外野からすれば、適度に面白がれるし、適度に深刻な顔をして憂うる話題だから、発覚から1カ月半が過ぎてもなお、いや、過ぎて、ますます盛り上がっているのではないか。
おりしも書店では、心理学者の榎本博明氏による『絶対「謝らない人」』(詩想社新書)という本が売れている。心理学にとどまらず、日本文化に照らして、「謝らない人」を解き明かしている。
田久保氏は、どうか。なるほど、伊東市長として、学歴でウソをつきながらも、その点については謝罪していない。7月31日の記者会見の冒頭で、次のように発言している。
あくまで、「ご不安やご心配」「ご迷惑」「失望」「大きな混乱」について「お詫び」をしているに過ぎない。「卒業した」としながら実際は除籍だった点については、何も言っていない。とはいえ、一応、頭を下げてはいるし、陳謝はしている。
この態度こそ、榎本氏が名付けた「謝らない謝罪」、すなわち「一見謝罪しているようでありながら、じつは謝っていない、偽りの謝罪」(同書63ページ)にほかならない。ここに、私たちがこのニュースに目を奪われ続けている理由がある。
もし、田久保氏が、完全に「絶対『謝らない人』」であったなら、世論は、もっとヒートアップしていただろう。「なぜ辞めない」とか「責任をとれ」といった声でメディアが満たされていたに違いない。
けれども、彼女は、形の上(だけ)では、謝っている。この落差にこそ、私たちが怒りや戸惑いを覚えているのである。暖簾に腕押しであり、何を言っても手応えがなく、明後日の方向に答えを出す。そんなチグハグさの沼から抜け出せなくなっている。
記者や市議会議員と、田久保氏とのやりとりを見ていて、私は、AIを思い出す。昨今では、多くのウェブサイトにAIによるチャット(ボット)が導入されており、簡単な質疑応答をしてくれる。あのAIは、果たして、どこまで私(たち)の質問に答えてくれているだろうか。
たとえば、伊東市議会の百条委員会で、東洋大学の卒業証書のコピーを示されながら、自分のものと同じかどうか問われ、田久保市長は「問題ない」と答弁している。その後、追加の質問を経て、ようやく「同じと思って問題ないのではないか」と応じている。
質問に対してストレートに答えてはいないものの、答えていないとか、間違った返答をしているわけではない。それなのに、何か違和感を覚えさせる。開き直りとも違うし、サイコパスと呼ばれるほどの、根っからの嘘つきではないように映る。この、「じゃない」感は、私(たち)が日常で使っているAIとのやりとりで抱く感覚に通じるのではないか。
ただAIは、それも優秀なAIであれば、瞬時に的確な返事をしてくれる。時には、想定を超えた優れた返しもある。
対する田久保市長は、どこまでも、自分本位である。AIが、プロンプト(指示)をする人間を快適にさせるよう尽く(そうと)しているのに比べると、はるかに出来が悪い。むろん、田久保氏が人間だからであり、私たちは、その、良くも悪くも人間らしいところに惹かれているのである。
出来損ないのAIに対したときのような徒労感を、田久保市長に見ているのであり、さらには、そのむなしさが、変に癖になっているのかもしれない。
いや、というよりも、このように強弁でもしなければ納得できないくらい、田久保市長は、不気味で解釈し尽くせない存在なのである。
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(神戸学院大学現代社会学部 准教授 鈴木 洋仁)