横浜市長暴言疑惑で決議可決 市議会、第三者調査求める

山中竹春市長が市職員から暴言やパワーハラスメントを疑われる行為を告発されたことを受け、横浜市議会は28日の本会議で、市に対し、専門性を持つ第三者的な組織の調査を求める決議を全会一致で可決した。
決議は、山中氏の疑惑が払拭されておらず「市政に対する深刻な不信感を生じさせている」と指摘。真相究明に向け、公正、中立な組織が調査し、進捗や結果を市議会と市民へ報告するよう要求した。加えて、調査に協力する職員に不当な扱いをしないよう市に求めた。
決議を受け、山中氏は本会議で「重く受け止める。誠実に対応し、今後自らの言動に一層気をつける」と述べた。

「司法は死んでいる」=再審請求棄却、支援者ら怒り―菊池事件

「わが国の司法は死んでいる」。「菊池事件」の再審請求が28日、棄却されたことを受け、支援者からは怒りや落胆の声が上がった。
午後2時5分すぎ、弁護団が熊本地裁前で「不当決定」などと書かれた紙を掲げた。ハンセン病国賠訴訟の全国原告団協議会長、竪山勲さん(77)は「司法が責任を取らない怖い国だ。徹底的に抗議する」と憤った。
国立療養所「菊池恵楓園」入所者自治会長代行の太田明さん(82)は、報道陣の取材に「長いトンネルの先にかすかな光が見えたと思ったが、それは幻だった」と心境を吐露。「裁判長の歴史的な英断に期待したが、大外れだった」と話した。
菊池恵楓園の退所者らでつくる「ひまわりの会」の中修一会長(83)も取材に応じ、国の隔離政策を違憲と認めた2001年の熊本地裁判決などを念頭に、「同じ裁判所で不当決定。こんなばかな裁判はない」と批判。「(菊池事件は)ハンセン病が故の偏見と差別に満ち満ちた裁判だった」とした。
熊本市内で記者会見した弁護団の徳田靖之共同代表は、「再審開始を絶対に認めるわけにはいかないという結論があって、それに沿う形で判断しただけの決定だ」と非難した。 [時事通信社]

スカウトG「ナチュラル」会長逮捕奄美大島での潜伏生活に迫る 電話で指示するような様子に趣味のサーフィンも?

逃亡生活の末、奄美大島で逮捕された日本最大の風俗スカウトグループトップの男。男が何度も通った飲食店の従業員が取材に応じ、潜伏先での様子を証言しました。
風俗スカウトグループ「ナチュラル」の会長・小畑寛昭容疑者(40)。女性の風俗店への違法スカウト行為を黙認してもらう代わりに、暴力団側にみかじめ料を渡した疑いで手配され、おととい、潜伏先の鹿児島県奄美大島で逮捕されました。
警視庁が1年にわたって行方を捜していた小畑容疑者。去年12月下旬には奄美大島に滞在していたことが確認されていて、島内のホテルを偽名で予約していたこともわかりました。
いったい、なぜこの島を選んだのか。ヒントとなるキーワードが「サーフィン」です。
捜査関係者 「小畑容疑者はサーフィン好きとの情報がある」
年間を通してサーフィンが楽しめる「サーフィンの聖地」として知られる奄美大島で、潜伏生活中も趣味を楽しんでいたのでしょうか。
島で取材を進めると、小畑容疑者が通っていた飲食店がわかりました。
小畑容疑者が訪れていた飲食店の従業員 「帽子とひげをはやしていた。穏やかな感じの人でした」
いつも入り口近くの席に座り、2日おきの頻度で来店していたという小畑容疑者。スマートフォン2台を机に置きながらイヤホンをつけて、常に誰かと電話をしていたことが印象に残っているといいます。
小畑容疑者が訪れていた飲食店の従業員 「何か指示してるような、『お願いね』とか何か言いながら」
潜伏中も配下のメンバーと連絡を取り合っていたのでしょうか。
しかし、全国に指名手配された先週水曜日ごろを境に、小畑容疑者は店に来なくなったといいます。
小畑容疑者が訪れていた飲食店の従業員 「(Q.最後に来たのは?)5日ほど前ですかね。そのときにお金はなくて忘れて、30分後に持ってきました。少し多めに1000円ぐらい置いていった」
小畑容疑者をめぐっては、関西の海沿いのホテルでも似た人物が宿泊していたという情報が警視庁に寄せられているということで、警視庁は小畑容疑者の潜伏中の足取りを調べています。

札幌市、生活道路を緊急排雪へ 積雪110cm 市が全額負担

25~26日に札幌圏を襲った記録的な大雪を受け、札幌市は28日、生活道路(住宅街の道路)の緊急排雪を行うことを決めた。幹線道路の作業後、2月1日にも始める。希望する町内会と市が費用を分担して排雪する従来の制度は今シーズンは全て中止し、市が初めて市内全域の生活道路(総延長3800キロ)で費用の全額を負担して排雪を行う。
市によると、26日時点の市内の積雪量は110センチ。大雪に見舞われた22年(81センチ)と比べても多く、5年平均(55センチ)を大きく上回っている。積雪量が1メートルを超えたのは22年3月6日以来4シーズンぶり。
市は現在、バス路線や幹線道路の渋滞解消を狙い、拡幅や排雪を進めており、31日までに作業を完了する見通し。幹線道路の対応終了後に順次、生活道路の作業に移る。
生活道路の排雪が滞れば、ゴミの収集や宅配サービスなどの市民生活に影響が生じる恐れがある。希望する町内会と市が費用を分担する従来の「パートナーシップ排雪」は町内会のエリアごとに作業を進めることから、スピード感に欠ける懸念があった。
今回の緊急排雪は、町内会のエリアでなく、市が地域内で交通量が多く、幅員の広い路線を選び、2月中旬まで優先して作業を行う。全生活道路の排雪は2月中に終える。【水戸健一】

「菊池事件」特別法廷審理は「違憲」も再審認めず 弁護団が即時抗告へ

熊本県で起きた殺人事件を巡り、ハンセン病患者とされた男性が隔離先の「特別法廷」で死刑判決を受けて1962年に執行された「菊池事件」の第4次再審請求審で、熊本地裁は28日、やり直しの裁判(再審)を認めない決定を出した。中田幹人裁判長は特別法廷を憲法違反と認めた一方、「確定判決の事実認定に重大な誤認を生じさせたとまではいえず、再審開始理由に当たらない」と判断した。弁護側は即時抗告する。
特別法廷の設置は厳密な検討が必要だが、最高裁は48~72年、ハンセン病を理由に95件を機械的に許可。そのうち菊池事件は唯一の死刑事件だった。最高裁は2016年に出した調査報告書で特別法廷は「合理性を欠く差別」と認め、謝罪。20年には菊池事件を巡る訴訟で熊本地裁が特別法廷を違憲と認定し、翌21年に遺族が再審請求した。「違憲の特別法廷で審理されたこと自体が再審開始理由になる」という弁護側の主張を地裁がどう判断するかが焦点だった。
地裁決定はまず、確定判決の審理手続きに憲法違反があり、事実認定に重大な誤認を生じさせる場合は再審開始の余地があると判示した。
その上で菊池事件の特別法廷を検討。ハンセン病が不治の病ではなくなっていたのに十分検討せずに事実上非公開の特別法廷で審理したのは「合理的理由のない差別」とし、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反すると認めた。人格権を保障した13条に違反する疑いも強く、裁判の公開原則を定めた82条1項違反の疑いもあるとも述べた。
一方、審理経過からは差別的な取り扱いによって被告の弁護人選任権などが侵害されたとまでは認められないと指摘。「憲法に適合した公開法廷で審理を実施したとしても証拠に変動はない」とし、憲法違反を理由に再審開始は認められないと判断した。
弁護側は、有罪の根拠とされた凶器や親族供述には疑義があるとする鑑定書を新証拠として提出したが、決定は「確定判決に合理的疑いを生じさせるものではない」とし、再審請求を棄却した。
熊本地検の加藤和宏次席検事は「請求棄却の結論は妥当」とのコメントを出した。【野呂賢治】
熊本地裁決定 骨子
・菊池事件の特別法廷は合理的理由のない差別で、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する
・審理手続きの違憲性が直ちに再審理由とはならない。菊池事件は憲法適合の審理をしたとしても確定判決の証拠に変動はなく、再審開始は認められない
・弁護側提出の新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的疑いを生じさせず、再審請求を棄却する
菊池事件
熊本県北部の村で1951年8月に起きた元村職員殺人未遂事件で、国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園(けいふうえん)」=同県合志(こうし)市=への入所勧告を拒んでいた男性(当時29歳)が逮捕された。患者だと県に報告されたことを恨んでの犯行とされ、園内に設置された特別法廷で懲役10年が言い渡されたが、1週間後に逃走。指名手配中の52年7月に元村職員が刺殺体で見つかった。殺人容疑などで逮捕された男性は再び特別法廷で裁かれ、53年8月に1審で死刑判決を受けて57年に確定。62年9月に第3次再審請求が棄却され、翌日に死刑が執行された。

ギタリスト山下和仁さん死去 64歳、超絶技巧を駆使

オーケストラ作品をクラシックギター1本で演奏するなど、高度な技術と表現力で知られた世界的ギタリストの山下和仁(やました・かずひと)さんが24日午後2時23分、病気のため東京都で死去した。64歳。長崎市出身。告別式は近親者で行った。喪主は長女紅弓(こゆみ)さん。
8歳で父からギターを学び、16歳でイタリア・アレッサンドリア、パリなど世界3大国際ギターコンクールで優勝した。ギターの超絶技巧を駆使したピアノ作品やオーケストラ作品の編曲で知られ、ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」やドボルザークの交響曲第9番「新世界より」の編曲・演奏で高く評価された。
世界各国でソロリサイタルを開催し、大規模フェスティバルにも招かれて演奏したほか、各地の民族音楽の調査・研究を重ねた。アルバム「黎明期の日本ギター曲集」で1999年度文化庁芸術祭大賞を受賞。

15年前の抗争、殺人容疑などで元組員2人逮捕 元No.2も再逮捕へ

佐賀県伊万里市で2011年、指定暴力団「九州誠道会」(福岡県大牟田市、現・浪川会)系組幹部ら2人が銃撃され死傷した事件で、福岡、佐賀、熊本、長崎の4県警合同捜査本部は28日、対立抗争中だった指定暴力団「道仁会」(福岡県久留米市)系元組員の男性2人を殺人と殺人未遂、銃刀法違反の容疑で逮捕した。道仁会で当時ナンバー2の理事長だった坂本康弘被告(70)=別の殺人罪などで公判中=についても殺人容疑などで逮捕状を取っており、29日にも再逮捕する。捜査関係者への取材で判明した。
捜査関係者によると、元組員2人と坂本被告は実行役の男性組員らと共謀し11年4月5日午後1時10分ごろ、伊万里市の病院の正面出入り口前で拳銃で弾丸4発を発射し、九州誠道会系の男性組幹部(当時57歳)を殺害したほか、一緒にいた男性に重傷を負わせた疑いが持たれている。坂本被告は事件の「指示役」で、元組員のうち1人は実行役を車に乗せて逃走を支援したとみられるという。
事件を巡り、捜査本部は11年7月までに殺人や殺人ほう助などの容疑で道仁会系幹部や組員ら計8人を逮捕したが、うち7人は不起訴処分となった。唯一、殺人罪などで起訴された実行役の組員は12年3月に佐賀地裁で無期懲役判決を受け、12年6月に確定した。
28日に逮捕された元組員2人も、この時に不起訴処分となっていた。刑事手続きでは同一容疑での逮捕は1回までとする「一罪一逮捕一勾留の原則」があるが、新証拠の発見など特別な事情があれば2回目の逮捕も可能という。捜査本部は14年超に及ぶ捜査で、坂本被告と元組員2人が事件に深く関与したとする新たな証言などを入手した模様だ。
対立抗争は、06年の道仁会の会長人事に反発した一部組員が分裂して九州誠道会を結成したことで始まった。坂本被告は、08年9月に大牟田市で九州誠道会幹部を射殺したとして22年11月までに殺人などの容疑で逮捕、起訴されていた。この事件でも捜査当局は「指示役」だったとみているが、坂本被告は今月16日に福岡地裁で開かれた初公判で「すべて違っている」などと述べ、起訴内容を全面否認している。

被告の手錠・腰縄の運用見直し 傍聴人から見えない形へ 最高裁通知

刑事裁判の法廷での被告の手錠・腰縄の着脱について、最高裁が26日、運用を見直す通知を全国の裁判所に出したことが関係者への取材で判明した。これまでは手錠と腰縄を付けて入廷するのが原則だったが、入廷時についたての裏で拘束を解き、傍聴人から手錠・腰縄姿の被告を見られないようにする。被告の人権に配慮した措置となる。
手錠・腰縄の装着には被告の逃走を防ぐ目的があり、裁判官の指示があるまで法廷内では手錠・腰縄を付けているのが一般的な運用だ。
一方で、拘束された姿を傍聴人に見られることは、「『罪人』のように見え、推定無罪の原則に反する」との批判があった。最高裁は2025年から被告の護送を担う法務省、警察庁と見直しの必要性について協議していた。
新たな手順は、①裁判官が入廷し、被告の入廷前に裁判所書記官が出入り口付近についたてを設置②被告はついたての裏で待機し、護送の職員は出入り口を施錠する③裁判官の指示で職員はついたての裏で手錠・腰縄を解き、被告は職員とともに法廷内の自席に移動する――を想定する。
退廷時も同様に、ついたてを設置し、傍聴人から手錠や腰縄が見えないようにする。
最高裁は26日付の通知に、運用イメージとして一連の流れを明記した。法廷の構造や設備など各裁判所の事情に応じて、関係機関と打ち合わせをして具体的な運用を検討するよう求めている。準備が整った裁判所から新たな運用が始まる。
ただし、被告に逃亡や自傷などの恐れがある場合は、従来通り法廷内での手錠・腰縄の装着を認める。
09年に始まった裁判員裁判制度では、裁判員の入廷前に被告の手錠・腰縄を解く運用が定着している。裁判員に「被告が犯人」と予断を与えることを防ぐためで、今回の被告の人権への配慮とは目的が異なる。
日本弁護士連合会は24年、逃走の現実的な恐れがあるような場合を除き、刑事裁判の入退廷時には、被告に手錠・腰縄を使用しないことを求める会長声明を出している。【三上健太郎】

《衆院選公示日》なぜ3カ月待てなかったのか…高市首相のポストを読んで思い出した、蕎麦屋の出前

本日は衆院選の公示日。選挙戦が始まる。それにしても、なぜ今なのだろう。
高市首相のポストを読んで思い出した、蕎麦屋の出前
「衆院きょう解散 予算影響 『なぜ今』争点に」(産経新聞1月23日)という見出しもあった。選挙によって経済対策が後回しになるのではないか、という指摘は少なくない。
高市首相はこうした声を意識したのか、Xに長文のポストを投稿した。
・「今回の解散総選挙によって物価高対策が遅れるのではないか」との御指摘をいただいておりますが、そうしたことはありません。
このポストを要約するとこうだ。解散があってもすでに決めた予算と政策に基づき、減税や光熱費・ガソリン支援などは止まらず進んでいる、という趣旨である。
これを読んで思い出したのが、蕎麦屋の出前だ。高市首相の説明は蕎麦屋でよく聞く「今、出ました」によく似ている。店は出たと言う。しかし、客(国民)の家にはまだ実感が届いていない。「実施」と「実感」は同義ではない、という点だ。
しかも今回は出前が届く前に店の宣伝を始めた。配達より先に「この蕎麦屋に任せていいか」という“信任投票”を求めてきたのである。かなり強気だが、まずは配達に専念したほうがよかったのでは。あの蕎麦はいま、どこにあるのか。
振り返ると、去年から取り沙汰されていた解散の時期は予算成立後、たとえば4月解散説だった。あと3カ月弱である。なぜ、この時間を待てなかったのか。もしかすると、この3カ月にヒントがあるのか。
普段なら今ごろ何があるのか。「国会」があった。通常なら国会が始まっている時期である。ということは、国会で取り上げられたくない、話題にされたくない何かがあるのではないか。
相当に都合の悪いものがあったのだろうか
高市首相の立場になって考えてみよう。台湾有事をめぐる答弁をきっかけに、中国との対立はレアアース輸出規制など経済戦の様相を帯びている。国内では物価高対策が続く。しかし、それだけではなさそうだ。
週刊文春最新号 には、次のような解説が載っていた。
「国会が始まれば追及必至の問題が次々噴出。林芳正総務相の選挙買収疑惑、高市氏への宗教法人からの不透明な多額献金に加え、『週刊文春』などが報じた統一教会『TM特別報告』の存在が不安視されていた。野党は材料を集め、手ぐすね引いて待っていました」(政治部デスク)
これらを回避するために、高市氏が「経済対策最優先」という前言を翻して切ったカードが、通常国会冒頭での解散だった、という見方である。相当に都合の悪いものがあったのだろうか。
ちなみに、高市氏への宗教法人からの不透明な多額献金問題については、週刊現代が熱心に追いかけ、文春も報じている。「高市総理に3000万 謎の宗教法人から出た『真っ黒』決算報告書」(週刊現代2月2日号)などだ。
では、こちらも気になる『TM特別報告』とは何か。
この『TM特別報告』は、旧統一教会幹部が韓鶴子総裁に提出した内部文書とされ、政治家との関係が詳細に記されている。安倍晋三元首相については「少なくとも5回会った」との記述があり、言及は約500回に及ぶ。
報告書には、2019年7月、自民党本部で安倍首相(当時)と萩生田光一幹事長代行に教団幹部が面会し、参院選比例代表で北村経夫候補(元産経新聞政治部長)の支援について話題になった、との記述もある。
教団側は「誇張の可能性」を否定していないが、日時など辻褄が合う部分も少なくない。だからこそ検証が必要ではないか。
毎日新聞は文書を入手し検証に踏み込み(1月23日付朝刊)、琉球新報も独自に検証している。ならば、他もどんどん続くべきだろう。
嘘なら大々的に反論すればよいが…
とりわけ注目されるのが、報告書に名前がある平井卓也議員の地元紙・四国新聞である。周知の通り、同紙は平井一族がオーナーを務める新聞だ。
サンデー毎日は「教団に近い『5人の大臣』」(菅政権時)の一人として平井氏の名を挙げている(「『TM特別報告』が浮き彫りにする自民党と統一教会の恐るべき蜜月」)。
教団と近いとされる元大臣の名前が内部文書に記され、その地元紙が“身内”の問題をどう扱うのか。これは政治報道である以前に、メディア自身の姿勢が問われる局面だ。
嘘なら大々的に反論すればよい。もし事実なら、それを伝えるのが新聞の役割ではないか。完全スルーで沈黙という選択肢は、少なくとも誇りある地元紙の態度とは言いにくい。さて、四国新聞はどうするのだろうか。注目である。
そしてこれは過去の政権だけの話ではない。高市首相も決して他人事ではないからだ。現政権においても、教団と関係が深いとされる議員が要職に就いている。
『安倍銃撃事件の当日、“高市首相・最側近”佐藤啓副長官は統一教会集会に招かれていた!《自民調査に「支援なし」と虚偽回答》』(「週刊文春」編集部2026年1月14日)
選挙期間に入れば、『TM特別報告』をめぐる話題は、新聞やテレビから姿を消す可能性が高い。だが、それこそが、解散によって国民の視線をそらしたかったとも言われてしまうのではないか。そんな疑念すら抱かせる――「そんなことより解散」である。
(プチ鹿島)

石破政権の「対中外交」は戦略なき外交の実例だ…前中国大使・垂秀夫氏が警告する“戦略的思考の欠如”

立命館大学教授で、前日本国駐中国特命全権大使の垂秀夫氏が、現在の日本における外交の問題点や、石破政権の「対中外交」への評価について語った。
◆◆◆
垂氏が考える「日本外交に足りないもの」
いま日本外交に欠けているものは何か――。
この問いは、外務省に40年近く身を置き、中国問題に携わり続け、最終的には北京で日本大使として任に就いた私が、外交官人生の終盤に至って最も強く意識するテーマとなった。
答えを端的に言えば「戦略的思考」である。
戦略とは、善悪の価値判断でも、目先の政策の巧拙でもない。まして、各部局の意見を寄せ集め、「折衝」の末に落としどころを探す作業でもない。戦略とは本来、「国家として何を目指し、どの順序で、どの手段を使い、どう実現するか」という未来の設計図である。
また、戦略とは、個々の外交官の勘や場当たりの「職人芸」を超え、国家として繰り返し運用できる“習慣”でなければならない。危機が起きた瞬間だけ声高に唱えるのではなく、平時から目標と手段を結び、政策の順序を整え、資源配分を決めておく――その地味な作業の積み重ねが、危機の瞬間に国を救う。
この基本が、日本外交から徐々に薄れてきたのではないか。
私がそう案じる理由は、理念的な抽象論ではない。外交の現場で、私はこの「戦略の欠如」の光景を何度も、そして痛切なかたちで見てきたからである。
戦略なき外交の実例――石破政権の対中外交
象徴的な例として、石破茂政権の対中外交を、あえて「起承転結」で整理してみたい。
【起】2024年10月の政権発足時、石破政権は対中関係の「改善意欲」を繰り返し示し、首相自身も訪中に前向きな姿勢をにじませた。12月の外相・岩屋毅氏の訪中は、そのシグナルを補強した。中国側もこれを前向きに受け止め、李強首相を含む要人との会談を設定するなど、「両国関係を動かせるのではないか」という期待が生まれた。ここまでは、対話の糸口をつかむ上で決して悪くない。石破首相は対中関係改善のシグナルを送ったと日中双方が受け止めた。
【承】翌2025年1月、米トランプ政権が再び始動すると、北京の空気は一段と硬くなった。米中の角突き合いが先鋭化する局面で、米国側の同盟網が固まることを中国は恐れる。そこで対外的には、日本を含む周辺国や欧州、豪州、韓国などに対して「微笑外交」を強め、「対話」「協力」を前面に出す。日本側から見れば、石破政権発足時の対中アピールと中国側の融和姿勢が噛み合い、一見すると“相思相愛”の気配すら漂っていた。
【転】2月、石破首相は訪米し、トランプ大統領との会談後に日米首脳共同声明が発出された。声明は、中国による東シナ海・南シナ海・台湾海峡での力または威圧による一方的な現状変更への反対、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認した。内容自体は近年の共同声明の延長線上にある。しかし中国側の受け止めは別である。北京は「日本が主導して作った共同声明だ」「結局、石破政権もこれまでの政権と変わりはない」と位置づけ、対日観の軸足を再び“警戒”へ戻す。
【結】そして3月、日中韓外相会談出席のため王毅外相が訪日し、日中外相会談が行われた。中国側はこの機会に、台湾問題を含む「四つの政治文書」の履行を改めて求め、とりわけ歴史問題を繰り返し取り上げた。以後、「抗日戦争勝利80周年」に託(かこつ)けて、中国国内で世論を抗日的に誘導する動きが強まり夏から秋にかけ厳しい抗日映画の封切りなどを含む一連の抗日キャンペーンが展開されることになった。その際、中国側には当初対中アピールを投げかけた石破政権への配慮は微塵も感じられなかった。
こうして見ると、政権発足時の「改善」アピールとは逆方向に、対中関係が揺り戻されている。重要なのは、石破政権の個々の対応が正しかったか、間違いだったか、といった近視眼的な基準で判断しないことである。中国との対話を志向し、日米同盟を堅持し、必要な局面では言うべきことを言う――それ自体は当然であり、間違っているわけではない。
問題は、政権中枢に一貫した対中戦略が存在していないために、行き当たりばったりの“その場しのぎ外交”になってしまい、「起」と「結」のベクトルが噛み合わなくなっている点にある。結果として、「一体何を求めようとしていたのか」と問われても仕方のない対中政策であったと言わざるを得ない。
そしてこれは石破政権に限らない。現在の高市早苗政権も発足とともに、「戦略不在」という同様の問題を抱えている。
※本記事の全文(約8000字)は、文藝春秋2月号および、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(垂秀夫「 米中露『三国志』時代の日本外交 」)。全文では、以下の内容をお読みいただけます。

・現場で突きつけられた「日本には戦略がない」現実

・中国に学ぶべき「時間を操る思考法」

・官邸に「戦略の中枢」を
(垂 秀夫/文藝春秋 2026年2月号)