市職員の男、親族のマイナを不正入手し扶養に申請した疑い…所得税控除目的で延べ40人以上申請か

公務員の立場を利用して親族の個人番号(マイナンバー)を不正に入手したとして、埼玉県警は10日、同県所沢市職員の男(31)(東京都八王子市)をマイナンバー法違反(職権乱用収集)容疑で逮捕した。マイナンバーを使って扶養に入っていない親族を確認し、自身や妻の扶養家族として市に申請していたという。延べ40人以上を申請していたといい、県警は所得税の控除などを受ける目的だったとみている。同法の職権乱用収集を適用した事件の摘発は全国で初めて。
発表によると、男は2023年2月27日~3月23日、市役所の住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)にアクセスし、7都府県に住む30~90歳代の親族14人のマイナンバーを不正に入手した疑い。当時、税を担当する部署に所属し、住基ネットの専用端末にアクセスできる権限を持っていたという。
男は14人の扶養状況や収入などを把握した後、扶養に入っていない親族を自分や妻が扶養しているように偽って申請し、所得税の控除を受けるなどしていた。逮捕前の調べに「生活が苦しく、お金がほしかった」などと話したという。市は24年11月、男がマイナンバーを入手していたことを知り、県警に相談していた。
住基ネットを運営する「地方公共団体情報システム機構」(東京)によると、自治体職員が住基ネットにアクセスしてマイナンバーを確認するには、対象者の氏名や生年月日といった個人情報が必要になる。県警は親族が暮らす自治体に何らかの手段で照会して個人情報を得ていたとみている。
マイナンバー法では、国や地方自治体の職員らが職務で使わない個人情報の収集を禁じており、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される。

児童62人がプール授業で尻にやけど プールサイドのマットで待機 滋賀・守山市

滋賀県守山市の小学校で9日、プールの授業を受けた児童62人が尻に軽いやけどをしました。
プールサイドで座っていたことが原因とみられています。
守山市教育委員会によりますと、市立河西小学校で9日午前11時前から正午ごろまでプールの授業が行われ、6年生129人が参加しました。
授業後の着替えの際に、児童同士で尻が赤くなっていることに気づき、62人が病院を受診していずれも軽いやけどでした。
児童らは、授業が始まる前の数分間、プールサイドに敷いた厚さ7ミリほどのマットの上に座っていたということです。
当時の天気は晴れで、教師が授業前に測った気温は35.9度、学校は、暑さ対策でマットの上に水を撒いていました。
市教委は、暑い日はプールサイドでの待機時間を短くするよう、注意喚起するとしています。

東京・東葛西で路線バスとトレーラーが衝突、バスの乗客0歳~70歳代の12人けが

10日午前10時55分頃、東京都江戸川区東葛西の都道交差点で、路線バスがトレーラーと衝突した。警視庁葛西署によると、バスに乗っていた0歳~70歳代の運転手と乗客の男女12人が救急搬送された。いずれも軽傷という。直進したバスと右折したトレーラーが衝突したとみられ、同署が詳しい状況を調べている。
現場は東京メトロ東西線葛西駅から北に約400メートルの地点。

熊本で150匹の猫が死んだ 動物愛護団体の女性スタッフを刑事告発 現場に立ち会った関係者が語る混乱と後悔

熊本市北区の住宅で約150匹もの猫の死骸が見つかった問題で、熊本市は6月10日、熊本県内で活動をする動物愛護団体の女性スタッフを動物愛護管理法違反の疑いで刑事告発したと発表しました。現場の保護活動に関わった女性スタッフ所属の団体の関係者は、発覚当日の混乱と、把握できなかった経緯、そして今後の活動について語りました。
関係者によると、熊本市動物愛護センターは10日、市役所で記者会見を開き、女性スタッフの自宅から猫の死骸約150匹、生きて保護された猫が15匹だったことを明らかにしました。ただし、そのうち2匹は死亡、1匹は別の団体が引き取り、現在は13匹を関係者らが世話を続けているといいます。
※今回報道する側は、事実を通じて問題提起を目的に発信しております。動物愛護団体関係者への誹謗中傷などはおやめください。
「現実なのか分からなかった」現場で立ち尽くした夜
今回の問題は5月27日、市外の住民から「預けた猫が死んでいた」との市動物愛護センターへの通報で発覚しました。当日、先にセンター職員やボランティアらが現場へ。さらに女性スタッフが所属する団体の関係者は仕事を終えてすぐに女性スタッフの自宅に向かったといいます。
「立ち尽くしました。何が起こっているのか、現実なのか…。とにかく混乱しました。夜だったので外での確認にとどまりましたが、当日は死骸までは見ていません」
また6月2日には複数の動物愛護団体のボランティアが現場に入り、生きている猫の保護と、腐敗や白骨化した死骸の回収が行われました。
「なぜ防げなかったのか」把握できなかった背景
女性スタッフは所属する団体のスタッフとして、保護猫の預かりも担当していました。他の団体や個人から直接女性スタッフに連絡が入り、猫を預かるやり取りが個人間で進められていたといいます。
「女性スタッフはとてもフットワークの軽い人で、信用していました。ただ、他団体が直接スタッフに連絡を取り、私たちに報告が来ていないケースが多くありました。SNSのDMなどからスタッフが個人の連絡先を教えて直接やり取りしていたのです。『あの猫どうなった?』『そんなに猫預かって大丈夫?』 『報告はかならずして』 と強く、踏み込んで言うべきだったと後悔しています…」(関係者)
結果的に、大量の猫を一人で抱え込む形となり、管理が行き届かなくなったとみられています。
捜査進む中で「二度と同じことを繰り返さない」
関係者は現在、被害にあったとみられる猫の情報照合を進めています。女性スタッフの自宅に残された猫の救助を最優先に、警察の捜査にも協力しているといいます。
「現在、警察と愛護センターが捜査に入っているため、詳細はお話しできませんが、お問い合わせいただいた猫たちとスタッフ宅にいた猫、譲渡された猫、亡くなった猫を突き合わせていますが、照合は難航しています。今後も犬猫の命を最優先に考え、無事に譲渡していきたいです」
最後に関係者は、応援してくれた人々や、被害を受けた家族への謝罪を口にしました。
「この度は多大なご迷惑とご心配をおかけして、本当に申し訳ありません」
※今回報道する側は、事実を通じて問題提起を目的に発信しております。動物愛護団体関係者への誹謗中傷などはおやめください。
守れなかった命156匹 熊本・動物愛護団体、全活動終了と代表謝罪(7月3日公表)
ご報告
猫のご遺体について 現在、警察の証拠品になっております。 裁判所の許可がおり、7/4に東京へ検死に向かうことになりました。 守りきれなかった命たちをしっかりとお見送りいたします。 戻ってくるのは10ヶ月から1年後の予定ときいております。
調査に関するご報告
ご遺体は156匹。 お問い合わせの数107匹。 うち照合できた数18匹。
生存猫たちは、ありがたくお申し出をいただきました団体様へ、抗体検査や治療が終わった段階で、団体間移譲を進めさせていただきました。6/30付で、全ての猫たちの移譲が完了したこをご報告させていただきます。たくさんのご支援、ご理解とご協力のもと、未来へと繋ぐことができました。 心から敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。
刑事事件として、現在も捜査は継続中です。
「あの猫どうなった?」 「そんなに猫預かって大丈夫?」 「報告はかならずして」 と強く、踏み込んで言うべきだった。と悔やまれてなりません。
今後の動物愛護団体は、これだけの失態を犯し、守りきれなかったたくさんの猫たちがいたことを深く反省し、活動を全て終了、解散する方向です。 代表である私も今後犬猫に関わることはありません。 改めて、深くお詫び申し上げます 。
調査は今後も継続して行ってまいりますが、全てのご遺体は証拠品でもあるため、検死へ向かうことを警察から聞いております。
お問い合わせいただきました方、譲渡情報との照合により、合致した方には個別に連絡を入れさせていただいております。また、ご遺体との照合作業は難航を極め、現在も照合できず消息不明のままとなっており、ご連絡を差し上げることができない方も多数おられます。明確にお答えすることが出来ず、誠に申し訳ございません。
このたびの調査にご協力いただきました方々、心より感謝申し上げます。 そして、お預けになられた皆様へ、重ねて深くお詫び申し上げます。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

新宿タワマン女性刺殺 男に懲役17年求刑 検察側「疑似恋愛関係に過ぎない」

東京・新宿区のタワーマンションの敷地内で当時25歳の女性を殺害した罪に問われた52歳の男に対し、検察側は懲役17年を求刑しました。
和久井学被告は去年5月、新宿区のタワーマンションの敷地内で当時25歳の女性の胸などをナイフで複数回刺し、殺害した罪に問われています。
10日の裁判では、女性の両親が意見陳述を行い、父親が「二度と社会に戻れない刑を求めます。娘を守ってあげられなくてごめんなさい」と話しました。
その後、検察側は、「2人は店のキャストと客という、売り上げのための疑似恋愛関係に過ぎない」「女性に執着し殺害しており、動機に酌量の余地は乏しい」として懲役17年を求刑しました。
一方、弁護側は「『人生をかけてくれたら結婚する』と言われ、命の次に大切な車やバイクまで売って1600万円以上渡した」「ライブ配信で悪口を言われたことが最後の追い打ちとなった」として、懲役11年が相当だと主張しました。

市職員採用試験で「女性はマイナス1点」公益通報…調査委「市長指示に蓋然性」も認定行わず

愛知県蒲郡市は9日、2013~14年度の正規職員採用試験で不正操作が行われたとする公益通報に関する調査結果を公表した。試験の採点を巡り、受験者が女性の場合はマイナス1点、市外居住者もマイナス1点、とする操作が行われたとの通報が寄せられていた。市の調査委員会は「蓋然性は相当程度ある」とした一方で、調査に限界があり、不正の有無についての認定は行わなかった。
報告書によると、昨年4月、市職員から通報があった。不正操作は主に2点で、〈1〉13、14年度の採用試験で当時の市長から「地元の男をとれ」との指示があり、書類審査で女性と市外居住者の点数を1点ずつ引き下げた(満点は13年度は10点、14年度は5点)〈2〉受験者がパニック障害を患っているとの情報を受験者が通う学校側から違法に入手し、病気を理由に点数を引き下げ、不合格にした――との内容だった。
市は、弁護士らで構成する調査委員会(委員長・永戸力愛知大法学部准教授)を設置。12年度~14年度の試験に携わった職員や元職員、元市長などから事情を聞いた。
その結果、女性と市外居住者の点数引き下げについては「市長から指示があった蓋然性は相当程度ある」とし、病気を理由とする点数引き下げについても「可能性はある」とした。しかし、いずれも「10年以上前の事案であり、事実として認定するまでには至らなかった」と結論づけた。
これを受け、市は来年度以降に実施する試験について、書類審査を廃止するなど4項目の対策を行い、公正な採用試験実施の徹底に努めるという。
鈴木寿明市長は「『相当程度の蓋然性がある』という結果を重く受けとめ、今後は組織として疑いをもたれないよう、法令遵守(じゅんしゅ)を徹底し、信頼回復に全力で取り組んでいく」との談話を発表した。

【速報】上越市長の“兵庫・三田のコメはまずい”発言 三田市長が会見で改めて怒り「取り返しのつかない重要な過ち」「予期せぬ風評被害を考えると強い憤り」

新潟県上越市の中川幹太市長が、以前住んでいた兵庫県三田市の米について「まずい。これあんまり言ったら怒られるんですけど」などと発言した問題。三田市の田村克也市長は7月10日、記者会見を開き「取り返しのつかない重要な過ちであり、関係者の努力や産品に込められた思いを踏みにじる発言」「予期せぬ風評被害を考えると強い憤りを感じている」などと述べました。
▼上越市長は「上越のお米がおいしいですよということを伝えたかった」と釈明
新潟県上越市の中川幹太市長は7月1日に行われた懇談で、以前住んでいた兵庫県三田市の米について「まずい。これあんまり言ったら怒られるんですけど」などと発言。
また、その2日後には上越市内の専門学校生と意見交換した際にも、三田市で食べた米を「あまりおいしくない」と話したということです。
これに対し、三田市の田村克也市長は、中川市長に抗議状を送付。三田産や兵庫県産米の不当な評価の回復に取りくむことや、公式の場で関係者に謝罪することなどを求めました。
中川市長は9日、臨時の会見を開いて陳謝。三田市長にも電話で謝罪したと明らかにしました。
上越市・中川幹太市長
「誠に申し訳ございませんでした」
「上越のお米がおいしいですよということを伝えたかった。ただ、引き合いとして他の所の米を不適切な発言で評価してしまったことは、おわび、謝罪をしなければいけないと思っております」
▼「取り返しのつかない重要な過ちで、関係者の努力や産品に込められた思いを踏みにじる発言」三田市長が改めて強い憤り示す
この問題をめぐり三田市の田村克也市長は10日、記者会見を開き、改めて強い憤りをあらわにしました。
三田市・田村克也市長
「(9日の上越市長の謝罪)会見を受けての私の受け止めですが、ただただ、農業者、関係者の皆様の努力、思い、そして予期せぬ風評被害という影響を考えると、強い憤りを感じているという点に変わりはない。取り返しのつかない重要な過ちであり、関係者の努力や産品に込められた思いを踏みにじる発言だという認識で変わらない」
「(9日の会見での)中川市長の発言の中で、30年前の三田の中学・高校時代の米の評価については、中川市長の自宅でのお米をあくまで評価したものであり、三田米を批判したものではないという発言がありましたけれども、それについても、発信された内容や経緯、マスコミの報道内容を加味しても、私としては理解ができないというところである」
▼7月中に上越市長が三田市を訪れ「直接謝罪」へ
三田市の田村市長は会見でまた、上越市の中川市長が“三田市を訪れ直接謝罪したい意向”を示している点について、7月中に謝罪の場を設ける方向で調整していることを明らかにしました。市内の農業関係者も出席する形を想定しているということです。

外来種のカメ放出をSNSに投稿 甲府市議から環境省聞き取り調査

甲府市議が6月、特定外来生物のアカミミガメとみられるカメを路上で拾い、川に放す様子を自身の交流サイト(SNS)で投稿していたことが分かった。アカミミガメは原則野外への放出が禁じられており、情報提供を受けた環境省関東地方環境事務所が10日までに、市議から聞き取り調査をした。
カメを放したのは村松裕美市議で、6月26日に甲府市内の道路で拾ったカメを段ボール箱に入れて移動させ、近くの川に放出した。SNSには画像とともに「炎天下のアスファルトの上では死んでしまうかもしれない」「川に放ちました」などと投稿していた。
市議は取材に「法律を把握していなかった」「ご厚意のある方から指摘を受けてすぐに投稿を削除した」と説明。関東地方環境事務所は「違反行為に該当するか慎重に検討する」としている。
アカミミガメは北中米原産で、幼体がミドリガメとも呼ばれる。2023年6月、外来生物法に基づき、ペットとしての飼育など一部の規制が当面の間、適用除外される条件付特定外来生物に指定された。

石破首相は「もう疲れたよ、本当に」と周辺に漏らした…自民支持層の5割に見放された自公政権の結末

東京都議選(6月22日投票)で自民党が大敗を喫し、参院選(7月3日公示―20日投票)に向け、石破茂政権に暗雲が漂っている。
今回の参院選は、改選定数124議席と非改選の東京選挙区の欠員を補う合併選挙の1議席を合わせた125議席を争う。石破首相(自民党総裁)は、6月23日の国会閉幕を受けた記者会見で、参院選の勝敗ラインを問われ、「非改選と合わせて(与党で)過半数を頂戴できるよう全力を尽くしたい」と述べ、自民、公明両党で参院定数248の過半数である125議席に設定していることを改めて表明した。
与党の非改選議席は、自民党の62議席(関口昌一議長を含む)と公明党の13議席の計75議席ある。今回、自公両党で50議席以上獲得すれば、過半数を維持できる計算だ。改選過半数の63議席よりも相当低い目標となる。
石破首相が東京都議選告示の6月13日、国民1人当たり2万円の給付を発表したほか、小泉進次郎農相が主導した備蓄米放出などによるコメ高騰対策やガソリンの値下げなどが世論の一定の評価を得るなどし、内閣支持率がやや下げ止まったため、自民党内には都議選を乗り切って、参院選で与党過半数を維持できれば、石破政権が継続する目もある、との楽観論も出ていた。
だが、参院選の前哨戦と位置付けられる都議選の結果は、衝撃的だった。自民党は告示前の30議席から21議席に落ち込み、過去最低だった2017年の23議席を下回った。公明党は3人が落選して9回連続の全員当選を逃し、19議席にとどまった。これに対し、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は、告示前の26議席から31議席に伸ばし、第1党の座を自民党から奪還した。
参院選は、自公両党で改選50議席の維持が微妙な情勢となっている。その先の政局も、政権の連立拡大か、衆院解散か、自公両党の下野か、予断を許さない。
東京都議会第1党は、2009年に民主党、13年に自民党、17年に都民ファースト、21年に自民党、25年は都民ファーストと、その時々の国政や世論に連動して変遷してきている。
今回の都議選(定数127)は、小池知事与党とされる都民ファースト、自民、公明の3党で71議席を得て過半数を維持した。読売新聞の都議選出口調査(6月22日)では、3期目の小池知事への支持率は61%に上る。
参院選には都民ファーストは候補を擁立しない。この都民ファ票の行方も注目される。
立憲民主党は都議選告示前の12議席から17議席に伸ばし、共産党は19議席から14議席に後退した。議席がなかった国民民主党が9議席、参政党が3議席を得て躍進した。対照的に、日本維新の会、れいわ新選組、石丸伸二前広島県安芸高田市長が率いる再生の道は議席ゼロだった。
読売新聞の出口調査によると、支持政党では自民党が20%と最多だったが、この中で自民党に投票したのは54%にとどまり、都民ファに16%、公明党に投じた人が6%いた。
自民党が大敗した要因は、物価の高騰に賃上げが追いつかない、少子化への歯止めがかからないなど、石破政権への不満の標的になったことがまず挙げられる。
読売新聞出口調査では、争点として重視したテーマとして物価高や賃上げ対策が33%で突出し、医療や福祉が10%、少子化対策、政治とカネがそれぞれ9%だった。
石破首相は、敗戦の責任回避からか、選挙戦の前面に出なかった。最終日の21日に初めて葛飾、墨田両区で街頭演説に立ち、「今困っている人たちにすぐに役に立つ政策が給付金だ」「消費税減税は、実際に下げるのに1年ぐらいかかる」などと給付の方が物価高対策として効果的だと訴えたが、都民の耳には届かなかった。給付は「バラマキ」「選挙目当てだ」などと評判が悪く、テレビ朝日の世論調査(6月21~22日)では「評価しない」が69%に上り、「評価する」は26%だった。
首相に近い筋は「2万円給付は、公明党や参院自民党が『武器がない』というから踏み切ったけれど、東京(都議選)では裏目に出たかも知れない」と述懐した。
自民党にとって誤算だったのは、小泉農相の「コメ劇場」人気が1か月しか持たなかったことだ。都議選で小泉氏が遊説に入った選挙区でも自民党候補を落とし、「進次郎効果がなかった」(首相周辺)と見られている。
農林水産省が23日に発表した、全国のスーパーで9~15日に販売されたコメ5キロの平均価格が前週比256円安の3920円で、首相が責任ラインとしていた3000円台を3か月半ぶりに達成したにもかかわらず、である。
コメの高騰は、農水省が説明した流通の目詰まりなどではなく、長年の減反政策がもたらした、自民党農政の失敗で生じたコメの絶対量不足によるもので、税金を使った備蓄米放出はその目くらましだったと、都民に見透かされたのだろう。
自民党の敗因としては、都議会自民党による政治資金パーティー収支報告書の不記載問題も挙げられる。この逆風に対し、自民党は候補も42人と大幅に絞ったうえ、会派の幹事長経験者6人を公認しなかったが、そのうち4人が落選し、追加公認3人を含めても、21人の当選にとどまった。
都議会自民党の不記載問題を判断材料にしたかどうかについては「した」が40%に達し、その投票先は都民ファに18%、無所属に16%、立民、共産両党にそれぞれ14%だった。
国会論戦や政治報道では、自民党の「政治とカネ」の問題は下火になっていたが、都民の審判は予想以上に厳しかったと言えよう。
自民党は、参院選で政治資金収支報告書に不記載のあった改選組のうち参院政治倫理審査会で弁明した17人中13人を真相究明に至らなかったのに公認し、元衆院議員2人も擁立した。公明党から不記載3人が推薦を受けている。
自民党の木原誠二選挙対策委員長は6月23日未明、党本部で記者団に「今回の都議選の結果が参院選に直結するものではない」と強弁したが、その根拠を示すことはなかった。
公明党も都議選で痛手を負った。目黒区から撤退して22人の候補を擁立したが、新宿区と大田区2議席を失い、4議席減だった。新宿区は党本部と創価学会本部が置かれ、大田区は池田大作創価学会名誉会長(23年11月死去)の出生地で、言わば「おひざ元」だった。
選挙戦は斉藤鉄夫代表ら公明党幹部だけでなく、小池知事も連日のように応援に入ったが、得票結果は計53万票で、21年から10万票も減らし、参院選に不安を残した。
公明党は、過去3回の参院比例選の得票が757万票(16年)、653万票(19年)、618万票(22年)と漸減し、24年の衆院選では比例選の得票が計596万票に落ち込んでいる。
立憲民主党は、都議会の野党第1党の座を共産党から奪ったが、定数3人以下の選挙区で候補者を一本化し、両党がそれぞれ7議席を上積みした。選挙共闘は功を奏した。
共産党は6月28日に参院選で福島、鹿児島両選挙区で候補者を取り下げるなど、公示までに32ある1人区のうち17選挙区で立民党公認・推薦候補との一本化を実現させている。
国民民主党は、玉木雄一郎代表の備蓄米をめぐる「一年経てば動物のエサ」発言が批判され、山尾志桜里元衆院議員の参院比例選擁立見送りによる混乱の影響が懸念されたが、都議選は「大善戦」(榛葉賀津也幹事長)で、参院選にも期待をつないでいる。
参政党は、都議選4選挙区に候補を立て、効率よく大田、世田谷、練馬の3区で初めて議席を獲得した。「日本人ファースト」「外資によるインフラ買収反対」などという主張を掲げ、自民党支持層を切り崩したとも言われている。参政党は、参院選の全選挙区に候補を擁立し、各党の消長に影響を与える存在になっている。
報道機関の参院選序盤情勢調査(7月3~4日)は5日に明らかになった。
「自公過半数微妙」「立民・国民堅調」「参政は議席増」(読売新聞)、「与野党、過半数競る」「自民減の公算、立憲堅調」(共同通信)、などと自公過半数をめぐる攻防で、自公両党が改選50議席を獲得できるかどうか微妙だ、と1面で報じている。
7日の毎日新聞・TBSのインターネット調査(5~6日)は、推定当選者数を自民33~46、公明4~10とし、両党の惨敗を予想している。
自公両党苦戦の理由は、都議選の敗因とほぼ変わっていない。自民党支持層の5割前後が自民党に投票しようとしない。党勢が復調する材料も見当たらない。
日米関税交渉では、トランプ米大統領から7日、日本に対して8月1日から25%の関税を課すと通告され、石破首相の無為無策が明らかになった。対米投資を増やし、自動車への追加関税引き下げを求める戦略で、赤沢亮正経済再生相を毎週のように訪米させたが、「やっている感」を醸しただけだった。
衆院で与党が過半数割れしている状況で、参院選でも大敗するとなると、自公連立政権の枠組みはどう変容するのか。
連立政権のあり方については、6月29日、財界人や学識者らによる「令和臨調」の各党代表らとの政策対話で取り上げられた。
石破首相は「一定の一致を見た上で連立というものは組まれるべきものであって、まず連立ありきということではない」と述べ、自公連立の拡大に含みを残した。
立憲民主党の野田佳彦代表は「ワンポイントで大連立はない。基本は自分たちで単独政権を目指す。そして自分の考え方に近い政党とよく協議する」と述べ、立民党を主軸に国民党などとの連立政権を目指す考えを示した。
日本維新の会の吉村洋文代表は「連立に入るつもりはない。公約の実現を図る、そういったことを是々非々で進めていきたい」と述べ、自公連立への参加を否定して見せた。
国民党の玉木代表は「誰と組むかより、何を成し遂げるかを判断の基準において政治判断をしていきたい」と述べていた。
参院選で自公両党が50議席を割った場合、直ちに石破首相の責任問題になる。首相は辞めるのか、辞めないのか。連立政権の枠組みは変わるのか。政権交代はあるのか。事態打開のための衆院解散はあるのか。参院選後の政局の起点は、首相の進退となる。
首相の心境はどうなのか。選挙戦に入って、周辺に「(元気に見えると言われるが)カラ元気だ。もう疲れたよ、本当に。大平さん(正芳首相=当時)が亡くなったのは70歳だったよね。そのことを思い起こしている。具合が悪くなったのは(1980年衆参同日選の参院選)公示日だった。そのまま入院して帰らぬ人となった」などと、自ら68歳の体力や気力への不安を訴えてきた。
首相が退陣すれば、8月に自民党総裁選が行われる。後継候補には高市早苗前経済安全保障相、小泉農相、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安全保障相らの名前が上がるが、火中の栗を拾う人が出てくるのか。
衆参両院で少数与党なら、首相に就任しても、自分が掲げる政策も意のままにならないだけでなく、国会で予算案や政府提出法案を成立させるため、野党各党にひたすら頭を下げ、妥協しないと政権運営ができないからだ。これまで党内に「石破降ろし」が起こらなかった所以でもある。
衆院で自公が過半数割れしているため、新総裁が首相指名選挙で首相に選出される保証もない。立民党が国民党や共産党、れいわ新選組などの野党を束ねて野田代表を首相に押し上げる可能性がゼロに近いとはいえ、まったくないとは言えないからだ。この状況は昨年10月の衆院選で自公が少数与党に転落しながら、石破首相が続投してきたところから変わってはいない。
仮に自民党新総裁が、首相指名選挙で野党が結束できず、首相に就任すれば、直ちに組閣したうえで、政権運営を円滑にするため、衆参両院で連立政権の枠組み拡大を目指すことになる。「夏休みの宿題」(自民党筋)の一環である。
与党公約の現金給付を実現するための25年度補正予算案は、少数与党のままでは、今年秋の臨時国会で成立させられないからだ。
連立拡大交渉の対象は、維新の会や国民党のほか、各党からの離党組の「一本釣り」も視野に入るだろう。連立拡大協議が不調に終われば、新首相が衆院を解散し、自公だけで過半数を目指すか、自公両党が下野するか、二者択一ということになる。
衆院解散は今秋の臨時国会の補正予算案を提出するタイミングが有力だ。
自民党内には下野論も根強くある。「政治とカネの問題などへの有権者の怒りは、自民党が一度下野しないと収まらない」(現職閣僚)、「立憲民主党などが政権を奪取しても長続きしないから、自民党がすぐ政権復帰できる」(首相周辺)という思惑からだ。
しかし、参院で少数与党になっても、石破首相の続投は、あり得る。参院選後の臨時国会では首相指名選挙が予定されていない。衆院で比較第1党の自民党が引き続き政権を担うと決めれば、当面それが可能だからだ。
この少数与党が続くケースでは、維新の会などとの連立協議や一本釣りに期待が高まるが、不調に終われば、自公の下野か、衆院解散かという流れになる。
ただ、自民党には党国会議員、都道府県代表の合計の過半数の要求で臨時総裁選が行われるという「リコール規定」がある。石破首相では政権が持たないとなると、この規定が適用される可能性もないではない。
一方で、参院選で自公両党が50議席を維持した場合、石破首相は続投することになる。
どちらに転んでも、衆院で少数与党のまま政権継続するには限界があるため、秋の臨時国会に向け、衆院解散をめぐって与野党をまたぐ駆け引きが始まるのではないか。
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(政治ジャーナリスト、読売新聞東京本社調査研究本部客員研究員 小田 尚)

【独自】一体誰が?ニセコ五色温泉の源泉を勝手にせき止め露天風呂設置…旅館の営業を妨害

廣瀬美羽記者:「蘭越町の温泉旅館ですが、お湯が張られていません。こちらには露天風呂もあるのですがこちらもお湯は張られていません。」
イワオヌプリから湧き出る源泉かけ流しが人気の蘭越町にある「ニセコ五色温泉旅館」。この旅館の2つある温泉のうち1つの温泉が入れない事態となっています。その原因となっているのが・・・
ニセコ五色温泉を運営 佐藤観光・佐藤直樹取締役:「昔から、常連さんとかは知っている人はあっちに源泉があるってわかっていて、観光地じゃないですけど、楽しみに見られている方もいるんですよね」
川沿いに続く険しい道を旅館から200メートルほど登ったところで沸き出しているという源泉。その現場に行ってみると。
佐藤観光・佐藤直樹取締役:「地形変えられて掘られている場所なんですよ。くぼみになっている所って、元々こんな場所はなくて、川みたいに流れていた場所なんですよね。」
石で源泉をせき止めて溜められたお湯。2、3人が入れる大きさの露天風呂になっています。何者かが持ち込んだのでしょうか、風呂のそばにはバスマットや風呂桶として使われたとみられる植木鉢も残されていました。
佐藤観光・佐藤直樹取締役:「このホース上から引かれていて、水が出ているんですけど、だれかが勝手にひいたやつで温泉を水で冷たくして薄めてちょうど入りやすいように調整している。」
今月1日、温泉のお湯が出なくなったことから従業員が源泉付近を調べたところ何者かが勝手に作った露天風呂を発見したということです。さらに、犯人は何度もこの場所に侵入しているといいます。
佐藤観光・佐藤直樹取締役:「温泉止まるとみなさん困るので、元に埋めて戻したりするんですけど、4日、5日くらい連日、元に戻されちゃうんですよね。」
この影響で供給されるお湯の量が減った旅館は、温泉1つを閉鎖する事態に追い込まれています。旅館の利用客は。
神奈川から来た利用客:「温泉は先駆けがいて、そこに作ってるわけですから、そこの湯に入ればいいものを、なぜほかに入ろうとして抜くのか理解できない。」
佐藤観光・佐藤直樹取締役:「100年近くずっと温泉をやっているので、ここはメンテナンスしたり管理したりしてきたので、地形を変えたりはやめてほしい。」
旅館の営業を妨害する身勝手な行為。源泉が沸く場所は国定公園内で、土地の形状を変えることは自然公園法違反にあたることから、旅館を運営する佐藤観光は警察に被害届を提出する方針です。