【続報】日本製鉄工場で稼働中に火事 発生から10時間以上…消火活動続く 高炉を一時停止し確認中
12月1日未明、室蘭市の日本製鉄の工場で火事がありました。
これまでにけが人は確認されていません。
火事があったのは室蘭市仲町にある日本製鉄の工場です。
午前0時55分ごろ、「高炉の付帯設備の熱風炉で火災が発生した」と消防に通報がありました。
消防などによりますと、熱風炉からおよそ2メートルの炎が立ち上ったということです。
従業員らは避難していてこれまでにけが人は確認されていません。消防車両12台が出動し、午前4時現在も消火活動を続けています。
真っ赤な眼光、50種類の大音響でクマ撃退 北海道の町工場考案の「モンスターウルフ」
真っ赤な目を点滅させ、左右を見回しながら大音響で相手を威嚇する―。野生動物を撃退するオオカミ型の装置「モンスターウルフ」が全国から注目されている。開発したのは北海道奈井江(ないえ)町の町工場「太田精機」。SNSで批判を受けながらも地道に改良を重ね、今ではクマをはじめとする野生動物の被害にあえぐ日本を「救ってくれ」と投稿されるなど頼られる存在へと変わっている。
LEDがヒントに
モンスターウルフはとにかく迫力がすごい。犬がほえる声や人間の叫び声など50種類の〝音〟を搭載。オオカミをかたどった装置は両目からLED(発光ダイオード)の真っ赤な光を放ち、左右に動く首は侵入者を探すように周囲をねめまわす。野生動物の食害などに悩む農家や農協、一般企業などが関心を寄せて11月時点で全国330台以上が稼働中だ。
開発したのは北海道奈井江町の金属部品加工会社「太田精機」の太田裕治社長(67)。道内有数の米どころでも知られる同町では、エゾシカによる農作物の食害が頻発。農家から直接悩みを聞く機会もあり、「自分が携わるモノづくりで貢献できないか」と常々考えていたという。
実際に野生動物撃退のモノづくりに乗り出すきっかけになったのは、省エネ機運が高まった北海道洞爺湖サミット(平成20年)だ。この頃は国内外でLED(発光ダイオード)が注目。「長寿命で明るく、電力消費も少ない。電球のように球切れすることもない」として自社開発を始めたが、大手企業との競争は厳しく、獣害対策での活用に活路を求めた。大学関係者の助言の下、平成21年に赤色や青色のLED光を点滅させ、大音量を出す装置「モンスタービーム」の商品化に成功した。
口コミで全国に
太田さんがターゲットにしたのはクマ、シカ、イノシシ、サルなどの野生動物。エゾシカ農場で行った実証試験では野生動物が装置に近寄らないなどの効果が確認できた。
その後も小さな改良を重ねていたが、「野生動物たちはオオカミが最大の天敵だと遺伝的に学習している」という大学関係者の助言をヒントに、オオカミをかたどった姿へと〝フルモデルチェンジ〟する。
毛皮はフェイクファー(人工毛皮)で代用。マスクは市販品の中から一番怖そうなものを選ぶなど、細かなディテールにもこだわった。
改良を重ねて28年に発売した「モンスターウルフ」はユニークなスタイルが注目され、テレビや新聞などからの取材が殺到。しかし、商品の問い合わせなどは1件もなし。「SNSでは『子供だまし』とか『ふざけているのか』など批判的な書き込みばかり。最初の3年間は20台しか売れなかった」。
太田さんは全国各地を巡る中で「効果を検証させてもらえないか」と農家などに試験設置を要請。地道な種まき作業だったが、モンスターウルフを見たシカやクマなどが逃げたり、千葉県ではイノシシの被害を完璧に押さえ込むという実績を挙げるなど着実に成果を上げてきた。
太田さんは「変化なしというケースは聞いたことがない」と胸を張る。
令和3年には、経済産業省のものづくり日本大賞で「北海道経済産業局長賞」を受賞し、業界でも認められる存在になった。
オオワシ型も実証中
今年に入り、新しい需要も生まれている。クマ出没でゴルフ大会が中止になったことをきっかけに、会場周辺に設置したいという依頼が増えたのだ。「作業員の安全を確保するため、山中の工事現場に導入するケースも多くなった」と農業分野以外にも裾野が広がり始めている。
「モノづくり会社の経営者として自社のオリジナル製品をつくりたいという夢があった」と太田さん。現在は民間企業や大学、研究機関などと共同で自動走行や遠隔操作できるモンスターウルフも開発中だ。
農業者の高齢化が進む中、「故郷を離れた子供世代が都会からモンスターウルフを動かせるシステムをつくることが地方創生にもつながると思うんです」と思いを語る。
鳥類やウサギなどの被害を防ぐオオワシ型の野生動物撃退装置「モンスターイーグル」も実証中。さらにモンスターウルフの機能を小さな犬のぬいぐるみに搭載した携帯型のクマよけ装置も開発中だ。
SNSでは今、「モンスターウルフ、日本を救ってくれ」「頼んだぞ、モンスターウルフ!」など好意的な書き込みが増えているという。「導入した農家の中には、毎日のように毛をブラッシングしながら『今日も頼むな』と声かけする人も。地方の零細企業だけど、これからも挑戦を続けていきたいですね」と太田さんは笑顔で話している。(坂本隆浩)
《福岡・保育士10人が集団虐待》「残さず食べなさいがエスカレート」「虐待の線引きを決めなあかん」逮捕の中村麗奈容疑者(25)の夫が語った「妻の責任」
福岡県田川市の私立「松原保育園」で、保育士10人が園児に虐待などの行為をしていた事件。8月に懲戒解雇されていた保育士・中村麗奈容疑者(25)は11月19日、福岡県警に傷害と暴行の容疑で逮捕された。取材に応じた中村容疑者の夫は、「麗奈は園でいじめられ追い詰められていた」と主張。虐待行為の大半を占めたという給食時間の虐待の実態とは。【前後編の後編。前編から読む】
今後は「完食義務の廃止」
園を運営する社会福祉法人『松原福祉会』は11月20日、虐待行為に関する改善報告書を公表。園に防犯カメラを設置した6月から約2か月間で、100件を超える虐待を含む不適切事案が記録されていたとし、その多くは給食の時間に行われていたという。全国紙社会部記者が語る。
「1974年に認可された松原保育園は、ベテランの保育士も多く、子供に言うことを聞かせるために強く言ったり行動を促すような伝統があったと言います。
園では『残さず食べましょう』という呼びかけをしており、それがエスカレートして保育士が『無理やり食べさせても構わない』と誤解するようになったと分析されている。今後の対策として、『給食の完食義務の廃止』を掲げています」
中村容疑者の逮捕容疑も、まさに給食の時間中に行われた虐待行為だった。自身も栄養士として2023年から1年間松原保育園で働いていた中村容疑者の夫は、「やっぱり、手をあげてはダメ。麗奈は悪いことをしたし、それは大前提」とした上で、こう主張する。
「麗奈は(逮捕当時)5歳児クラスで、一番大変なクラスやった。子供は言うこと聞かず反抗もするし、わかった上で他の子に意地悪もする。
ウチは、給食は最後まで食べましょうっていうスタイルやった。そういう時に、腕握ってもアウト、口にあーんって入れてやるのもアウトとなったら、難しいよ。それを相談できるような環境はなかった。 水遊びの際に、子供がほかの子供を水の中に引きずり込んで、溺れかけたっちゅうこともあってん。そういう時にダメだよー、で話聞くと思います? そういう状況やったら『何しよんねん!』って怒って、引っ張り上げないかんでしょ。でも、それで虐待って言われたら、はぁ? ってなるでしょ」
そして、「業界全体で、虐待の線引きを決めなあかんと思う」と主張したのだった。
「何をしたのか全部言ってほしい」
保護者にとって子供に手をあげられる環境はたまったものではないだろう。「2歳の子と5歳の子を預けている」という女性が語る。
「園の説明に納得はしてないです。先輩たちがしてたけん、麗奈先生もしよったんじゃないかなと思っちょる。麗奈先生が悪いけど、園全体、おった先生たちが悪い。(懲戒解雇された2人以外の)残りの8人の先生が何してたんか、全部言ってほしい。
園長が変わって働きにくくなったってことは、先生方がめっちゃ保護者に言うんですよ。でも、職場の悪口を保護者に言うっておかしくないですか。上司が変わって働きにくくなって、それで辞めてったんだと思います。上の子も、おでこを押されたとは言っていた。
何をしたのか全部言ってくれないと、安心して子供を預けられない」
ある平日の午後、子供らが帰った後に園長に話を聞くため保育園を訪れると、職員が「(園長は)いません。何も話すことはありません」と対応するばかりだった。
何よりも、子供が安心して保育を受けられる環境が整うことを祈るばかりだ──。
(了。前編から読む)
婚活アプリで「独身」とウソ、「貞操権を侵害」と交際男性に賠償命令…大阪地裁「女性に判断の機会失わせる行為」
独身しかいないはずの婚活マッチングアプリで出会った男性には妻子がいた。その事実を交際解消後に知った女性は、性的関係を持つ相手を自ら決定できる「貞操権」の侵害を司法に訴えた。慰謝料など334万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は独身偽装による貞操権の侵害を認め、男性に55万円の支払いを命じた。(林信登)
訴訟資料や女性への取材によると、脱毛サロンで働いていた大阪府内の女性(30歳代)は2019年3月、出会いの機会を求めて「独身限定」をうたう大手婚活マッチングアプリに登録。まもなく、年下の男性から「いいね」が届き、ラインや電話でやり取りをするようになった。
5月に初めて食事し、女性の自宅で性的関係を持った。女性は読売新聞の取材に「2か月ほどやり取りを続ける中で好意を持つようになった」と話した。コロナ禍に加え、音楽活動で多忙な男性とは会う機会が限られたが、その後も関係は続いた。しかし、20年11月に会ったのを最後に徐々に疎遠になって自然消滅した。
女性が男性の「うそ」に気付いたのは、22年9月だった。男性の活動に関するウェブサイトに幼稚園児ほどの年齢の子どもの写真があり、説明を求めると、「伝えとかなあかんかったよね申し訳ないです」とラインで連絡があった。女性は23年10月、貞操権の侵害を主張して大阪地裁に提訴した。
貞操権は法律上の規定はないが、自分の生き方を自由に決められる自己決定権の領域に位置づけられる。相手にだまされたり、脅迫されたりして性的関係を持った場合に侵害が認められるケースがある。
2人が利用していたアプリは、規約で未婚者だけが登録可能と定められていた。
女性は訴訟で、「アプリに登録していること自体、当初から未婚者であると偽る意思を有していたことは明白だ」と主張。「既婚者であることを認識できれば、肉体関係は結ばず、交際も継続しなかった」と訴えた。
これに対し、男性側は既婚者だったことを認めた上で、女性とデートもしておらず、性交渉だけの関係で、女性もそのことを了解していたと主張。「貞操権を侵害しておらず、自由な色恋の範ちゅう」と反論した。
10月21日の判決で、寺田幸平裁判官は、交際相手を探す人にとって相手の婚姻の有無は「性的関係を伴う交際をするかどうかを判断する重要な情報」と言及。2人が交際関係にあったことを認め、「(男性の独身偽装は)女性にそうした判断の機会を失わせる行為だ」とし、貞操権の侵害を認定した。一方、結婚が前提の関係ではなかったことなども踏まえ、男性の賠償額を55万円とした。
訴訟では、女性が一連のトラブルをSNSの有名配信者を通じて公表したことについても審理された。不貞関係の暴露で社会的評価が低下し、名誉が傷つけられたとして男性が女性に慰謝料など約450万円を求めて反訴したためで、判決は女性にも34万円の賠償を命じた。
女性は判決後、取材に「男性のうそが認定されて安心した」と語り、男性側は「何もお答えできない」と述べた。双方とも控訴せず、判決は確定した。
「アプリで出会い」最多の25%
マッチングアプリは累計会員数が2000万人を超えるものもあり、出会いの手段として定着している。
昨年のこども家庭庁の調査によると、直近5年間に結婚した40歳未満の2000人のうち、アプリでの出会いが最多の25・1%で、職場や仕事関係(20・5%)を上回った。
ただ、昨秋の別の民間調査では、アプリを利用したことがある男女1064人の7割以上が「トラブルがあった」と回答。マルチ商法の勧誘や投資詐欺のほか、パートナーの存在を隠される行為も目立った。
アプリ事業者は対策に乗り出している。
大手事業者が加盟する「恋愛・結婚マッチングアプリ協会」(東京)は今年6月、マイナンバーカードを活用した本人確認の推進に向け、デジタル庁と協定を締結。一部のアプリは、利用者が 登録時にカードを読み取り、戸籍情報から独身と確認 できた場合、プロフィル欄で「独身証明」と明記している。独身偽装が疑われる利用者に対し、公的な独身証明書の提出を求める場合もある。
同協会は「真剣に出会いを求める利用者の気持ちにつけ込む行為は断じて容認できない」としている。
《赤坂ライブハウス刺傷事件》独身“偽装”不倫に溺れた43歳自衛官の親族が語る“休日”のリアル素顔
勤務先の埼玉・朝霞駐屯地から犯行現場の東京・赤坂まで、片道約20キロメートルの道のり。犯行前後に自転車で往復計約40キロメートルを走破したのは、体力に自信があっただけではあるまい。
殺人未遂の疑いで逮捕
主要道路などに設置される自動車ナンバー自動読取装置「Nシステム」にマイカーが記録されるリスクを回避したかったのではないか。自転車を利用しつつも、街にあふれる防犯カメラを欺く目的か、途中4回も服を着替える“偽装工作”までしていた――。
東京都港区赤坂の雑居ビルでライブ出演前の40代女性を刃物で刺して重傷を負わせたとして、警視庁は11月22日に東京都練馬区在住の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)を殺人未遂の疑いで逮捕した。陸上自衛隊朝霞駐屯地に所属する勤続25年のベテラン2等陸曹で、災害支援で活躍するブルドーザーや油圧ショベルといった重機などの管理を担当していた。「私はやっていません」と容疑を否認している。
全国紙社会部記者の話。
「犯行当日の11月16日午前6時半ごろ自転車で駐屯地を出発し、同8時ごろには現場のビル周辺に到着していたようです。被害女性はアマチュア音楽家でこの日はユニットを組む仲間と年に一度のライブがあり、開演2時間以上前の同10時半ごろビルに入りました。その後を追った大津容疑者が地下1階のライブハウス前で襲いかかり、犯行は約30秒と手際のよいものでした。指紋や靴跡を残さないように手袋と靴カバーをはめるなど計画的犯行とみられています。女性は左脇腹と左手を刺され、内臓まで達する深い傷を負って入院治療中です」
大津容疑者は当日のアリバイについて「休日だったが、朝から昼まで職場にいた」と主張。しかし、昼すぎに自転車で駐屯地に帰ってくる姿が防犯カメラに映っていた。犯行現場から防犯カメラ映像をつなぐ長距離リレー捜査が実ったかたちだ。
「大津容疑者の話によると、被害女性とは約9年前にSNSを通して知り合ったそうです。“妻子がいることを伏せて交際していました。今年6月ごろ女性のほうから別れを切り出されて円満に別れました”などと不倫関係にあったことを認めつつ、トラブルはなかったと主張しています。自宅の家宅捜索では、被害女性と誕生日を祝ったとみられる写真が見つかったようですから、家族に対してもひどい裏切りです」(前出・記者)
犯行直前にはライブハウス付近に貼られた被害女性らのライブを告知するポスターに黒いスプレーで「×」印をつけていた。
容疑者は“まじめ”なタイプ
東京都内の戸建て住宅で、妻と子ども3人と暮らしており、近所に住む女性は、
「仲のよさそうな家族でしたから、事件とはどうにも結びつきません」
とショック冷めやらぬ様子。近所に住む男性は、容疑者が自衛官とは知らなかったという。
「挨拶をしてくれる礼儀正しい男性です。でも、声に張りがないというか、ハキハキしていないし、号令で行動しているようには思えませんでした。筋肉質にも見えませんでしたね」
昨年2月まで青森・八戸市での勤務だったため、自宅周辺では影が薄かった。容疑者は土日休み。休日に周辺をジョギングする姿を近隣住民が目撃している。怠惰な生活を送っていたわけではなく、家庭を顧みなかったわけでもなさそうだ。
容疑者の親族はこう話す。
「ひと言でいえばまじめな人。宿直勤務で家を空けることはあっても、留守がちということはありませんでした。ジョギングについては走る目的を聞いたことはありませんが、週末に2~3時間は走っていたようです。お酒はたしなみますが、自分で買ってきたりしないし、勧めても飲みません。飲み会があれば行く程度です」
女性が接客するスナックなどに立ち寄ることもなかったという。不倫には気づかなかったのか。
「逮捕後に初めて知りました。“まさか?”という感じです。帰宅後にどこかに出かけるようなことはありませんでしたし……。傍目には“寡黙”に見えるかもしれませんが、決して無口だったわけではない。打ち解けた相手にはけっこう話す、まじめないい人なんですよ」(同・親族のひとり)
人見知りする性格だったのかもしれない。しかし、どれほど根はまじめだったとしても、かかる嫌疑は殺人未遂。被害女性の口を封じるつもりだったからこそ、容疑者として特定されないように偽装工作をはかったのではないか。容疑が事実ならば、これほどひどい不倫解消はない。
特別支援学校生を18歳人口から除外 文科省、大学進学率が不正確に
文部科学省の学校基本調査で、大学進学率などに使用される18歳人口の集計から、障害のある児童・生徒が通う特別支援学校(特支)の卒業者が除外されていることが、毎日新聞の調査で判明した。
18歳人口は中央教育審議会(文科相の諮問機関)でも参照される教育政策の重要指標で、大学進学率も不正確になる。
学校基本調査は国が重要と認める「基幹統計」の一つで、学校数や児童・生徒数、入学者・卒業者数などを幼稚園や小中学校、高校、大学、特別支援学校などから毎年聞き取って集計している。
大学進学率(学部のみ、短大など除く)は1999年度の報告書に初めて登場。「大学入学者」を「3年前の中学校卒業者」で割って算出されているが、「中学卒業者」に特支中学部の卒業者は含まれていない。現在も同じ運用が続いている。
2024年の18歳人口は106万3451人、24年度の大学進学率は59・1%と算出し、過去最高に上ったと説明した。
一方、特支中学部の卒業者は24年に1万892人で、21年の特支卒業者(9836人)を「中学卒業者」に合算すると18歳人口は107万3287人になり、大学進学率は58・6%に下がる。
99年以降の特支中学部卒業者を含めて大学進学率を計算すると、文科省が公表している数字のほうが0・17~0・54ポイント高く、差は拡大傾向にあった。【斎藤文太郎】
脳死下での臓器提供、年間で過去最多に…11月末時点で134件
2025年の脳死下での臓器提供が11月30日で134件となり、年間で過去最多となったことが、日本臓器移植ネットワーク(JOT)への取材で分かった。臓器移植についての国民の理解や脳死判定を行う医療機関への国による財政支援が進んだことなどが背景にあるとみられる。海外との比較では、依然として低水準にとどまっており、増加に向けたさらなる取り組みが求められている。
JOTは29日、福岡市立こども病院に入院していた6歳未満の女児が、今年133件目となる改正臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表した。23年の132件を上回り、過去最多を更新した。30日には、18歳未満の男子が脳死判定され、134件となった。
脳死となった人からの臓器移植を可能とした臓器移植法が1997年に施行された当初は、本人の意思表示などが必要で、年間の提供件数は数件にとどまっていた。2010年に家族の承諾だけでの提供を可能とする改正法が施行され、増加傾向が続いていた。
厚生労働省は、臓器提供の経験が豊富な医療機関から、経験の浅い医療機関に医師らを派遣する事業や臓器提供への診療報酬の加算などを進めてきた。
ただし、24年の人口100万人あたりの臓器提供件数は1・13人で、 米国の49・70人や韓国の7・75人より大幅に低いのが現状だ。
日本移植学会理事長の小野稔・東京大教授は「命が救われる移植医療の意義が浸透してきた。自分や身内が脳死になった時に、『貢献したい』という思いがさらに広がれば」と話す。
「21兆円の経済対策」はインフレを悪化させるだけ…「円安・株安・債券安」で明らかになった高市首相の”深刻な誤算”
高市政権の政策の隙をついて、金融市場ではわが国の株売り・円売り・債券売りの懸念が高まっている。11月21日に政府が発表した経済対策に対して、高市首相は財務省の渋い当初案を「しょぼいどころではない。やり直し」と差し戻したようだ。高市氏としては、大規模な補正予算が必要との認識なのだろう。
大規模な経済対策による財政悪化懸念もあり、外国為替市場では円安が進行した。11月20日、1ユーロ=182円台の過去最安値を更新した。ドル/円は157円80銭台までドル高・円安は進行した。
現在、わが国経済はインフレ状況にある。それにもかかわらず、高市政権はデフレ脱却を目指す“リフレ政策”を主眼としている。リフレ(リフレーション)とは、通貨膨張などを意味し、緩和的な金融政策と拡張的な財政政策を組み合わせる政策をいう。
高市政策には、財政悪化という大きなリスクを抱えている。物価上昇の中で財政出動を増やし補助金を気前よく配ると、物価はさらに上昇しやすくなる。それに伴い、財政悪化と“悪い金利上昇”は深刻化し、財政破綻の懸念すら高まる。そうした懸念から、11月後半、円売り・株売り・債券売りの“トリプル安”が起きた。
円安にはメリットもあるものの、現在の円安は物価上昇というデメリットが大きい“悪い円安”だ。円安は輸入物価の再上昇、国内の生産者、消費者物価の押し上げにつながる恐れがある。個人消費の下押し圧力も強まることも考えられる。
むしろ、高市首相は、日本経済の実力の向上と財政健全化に向けた明確な考えを示すべきだ。その対応が遅れると、わが国の経済環境は一段と厳しい状況に陥ることも想定される。
10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、前年同月比で3.0%上昇した。総合指数の上昇は50カ月連続だ。現在、わが国はインフレ環境にある。2%の物価安定の目標を掲げる日本銀行は、慎重に利上げを実施すべき局面を迎えているといえるだろう。
わが国経済の再生には、新しい需要創出に向けた規制の緩和や起業の増加や産業育成が必要だ。それによって新しいモノやサービスの創出が増えれば、一時的な痛みはあるものの経済は持続的な成長に向けての道が開ける。実質ベースで賃金も増えるだろう。
高市政権の政策は、日銀に対して緩和的な金融政策を求めているように見える。その影響は、10月の金融政策決定会合でも確認できるとの指摘は多い。
植田総裁が“春闘での賃上げの初動”を見たいと述べたのは、利上げまでの時間を稼ごうとするスタンスに映ったようだ。一方、米国やユーロ圏では、政策金利の一時据え置きの公算は高まった。その結果、わが国と主要国の金利差を狙って円売りは加速した。
高市政権の経済対策で円売りは増えた。11月21日午後、高市首相は臨時閣議を開き21.3兆円規模の総合経済対策を決定した。一般会計からの支出は17.7兆円、あわせて2.7兆円の減税なども実施する。これは2023年、24年の13兆円台の対策を上回る。
しかも、高市総裁は減税などの財源を明示しなかった。基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化に単年度ではなく、数年単位で取り組む方針も表明した。財源なき積極財政、財政健全化のコミット低下は財政悪化に直結する。結果として、国債の発行は増え、日銀の金融政策正常化はさらに難しくなるだろう。
高市政策には、ある意味で矛盾がありそうだ。物価を抑制し、財政健全化を急がなければならない状況下、補助金や金融政策正常化の遅れでインフレは止まらない恐れは高い。それと同時に、国債の格下げ、財政破綻のリスクは上昇する。そうした展開を懸念した投資家は円を売った。
円安には、メリットもデメリットもある。2012年11月以降に本格始動したアベノミクスは、日銀に異次元緩和を拡充させ、超円高から円安へ為替レートの流れを変え、企業業績をかさ上げした。
当時、円安が進むと企業業績期待は上昇し、日経平均株価も上昇した。2012年当時のデフレ(あるいはディスインフレ)気味の経済環境では、一時的な刺激策として異次元緩和を推進する意義はあった。問題は、個人や企業のリスクテイクを促す成長戦略の推進が十分ではなかったことだ。
高市政権は、インフレ環境下でそうした政策を推進している。その結果として、円安圧力は高まった。現在の円安は、わが国経済を圧迫する恐れは高い。メリットよりもデメリットが大きくなる恐れは高い。
特に懸念されるのは、円安の進行による輸入金額の増加だ。原油、天然ガス、食料の価格動向にもよるが、円の独歩安が続くと輸入物価は上昇するだろう。3%近傍で推移している、わが国の消費者物価に一段と押し上げ圧力がかかることも想定される。
すでに、円安による価格押し上げが顕在化した品目は多い。足元では、ユーロ高・円安の急伸により、オリーブオイルの値段が上がった。スペイン産の生ハムやワインもそうだ。円安などを背景とする食品価格の上昇は、家計を直撃している。
名目賃金の上昇ペースよりも食品、日用品の値上がりペースは高く、個人消費に勢いはない。円安がさらに進むと、個人消費が低迷して実質GDP成長率がマイナスに沈むリスクもある。
海外旅行も難しくなる。円が他の通貨に対して下落する分、わが国の個人や企業が海外の取引先に支払うお金の額は増える。これは、国の富が海外に流出することになる。円安により、政府が打ち出した、あるいはこれから打ち出す経済対策の効果は減殺されてしまう恐れもある。
有権者の支持を得るために、財政支出を減らすことは容易ではない。円安で物価がさらに上昇し消費者マインドが悪化すると、高市政権はさらに補正予算を組み、追加の経済対策を打つ可能性がある。そうなると財政悪化は一段と深刻化し、最終的に財政破綻のリスクも上昇する。
そうした展開を警戒する大手投資家は増えている。11月17日の週、円売り・株売り・債券売りのトリプル安が進んだ。11月20日、円安が進んだ局面で、国債増発への警戒感が高まったことなどを背景に、新発10年国債の流通利回りは1.80%を突破した。それは悪い金利上昇だ。21日は米国株の下落の影響もあり、日本株が下落した。
今後も高市政権が緩和的金融政策、財源なき財政拡張路線を重視すると、円、日本国債、日本株が同時に下落する恐れが高まるかもしれない。それは、いわゆる「日本売り」だ。わが国の経済・金融市場の不安定感が急上昇するリスクは高まっている。
2022年9月、英国ではトラスショックが起きた。トラス首相(当時)は財源を確保しないまま財政支出を急拡大して経済対策を発動しようとした。当時、英国でもインフレが進行していたが、トラス首相は財政支出を増やして消費者を支援しようとした。
政策の矛盾を突いた投資家は、ロンドン市場で英ポンド、ギルト(英国債)、英国株を一斉に投げ売ったのである。その結果、英国の年金基金は損失を抱え、社会心理も悪化した。トラス首相は市場、そして国民の信認を失い44日で辞任した。トリプル安に直撃されたにもかかわらず、英国では増税などによる財政立て直し議論が難航している。
高市首相は冷静にわが国の実情を理解し、物価抑制のための金融政策正常化の必要性、医療負担の見直しをはじめ「中負担・中福祉」と呼ばれるわが国の社会保障関係費の見直し、それによる財政健全化を明確に示すべきだ。それに加えて、人工知能(AI)関連分野の成長加速というように的を絞った成長戦略を実行すればよい。
高市政権が迅速に、経済政策の矛盾をただし、理論的に信頼感の高い政策を実行できるか否かが問われている。11月後半の円安、債券安、株安は、世界の投資家からわが国に対する警告だ。
———-
———-
(多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫)
国際電話の着信ブロック=防犯アプリに新機能、特殊詐欺対策―警視庁
警視庁は1日、同庁の防犯アプリ「デジポリス」に、国際電話や特殊詐欺に利用されたとみられる電話番号からの着信を遮断する新機能を搭載した。同庁が今年上半期に把握した詐欺電話の約8割が「+」で始まる国際電話だったといい、アプリの活用を呼び掛けている。
新機能を有効にすると、同庁が把握している詐欺電話の番号や国際電話からの着信はアプリが自動で遮断。着信履歴に残らないようにすることも可能だ。米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」は、詐欺電話の番号は遮断できるが、国際電話はできないため、別の対策を取るための設定画面を表示するという。
同庁によると、特殊詐欺の発信に使用された電話回線は、2022年は固定電話とIP電話が大半だったが、24年は国際電話が約7割を占め、今年上半期では約8割に上った。
詐欺電話は、23年は約9割が固定電話にかかってきていたが、今年は10月末時点で携帯電話が5割近くまで増加。スマホのビデオ通話に誘導し、偽の逮捕状や警察手帳を示すなど手口が巧妙化していることが背景にあるとみられる。
東京都内の今年の特殊詐欺被害額は10月末時点で約236億8400万円に上り、前年同期比で140億円以上増加した。
同庁で1日に開かれた新機能の発表式で、タレントで警察庁「特別防犯支援官」の城島茂さんは「家族や仲間、年上年下は関係なく、詐欺被害防止のアプリがあるよといった声掛けをし合うことが大事だ」と利用を呼び掛けた。 [時事通信社]
朝鮮総連が未返済の債務566億円、遅延損害金594億円 参院拉致特別委で金融庁答弁
経営破綻した在日朝鮮人系信用組合の不良債権を巡って、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が整理回収機構に返済した額は約62億円にとどまり、債務残高は約566億円、遅延損害金が約594億円に上っていると、金融庁が明らかにした。11月28日の参院拉致問題特別委員会で日本保守党の百田尚樹代表に答弁した。
破綻の処理に莫大な公的資金が投入されたことについて、金融庁の田部真史・監督局参事官は「預金保険機構は預金者を保護するため総額1兆1443億円の金銭贈与を行っている。これは、その後回収を行う性質のものではない」と説明した。
朝鮮総連の債務を巡っては、整理回収機構が遅延損害金を含めて約910億円の支払いを求めた訴訟で、全額返済を命じる判決が平成29年に確定しているものの、返済は進んでいない。
整理回収機構は債権回収のため朝鮮総連本部(東京都千代田区)の土地・建物の競売を申し立て、現在は山形県酒田市の企業が所有し、総連は賃借して使用を続けている。百田氏は「総連が支払っている賃料の額はいくらなのか。払える現金があるなら、整理回収機構はなぜ差し押さえないのか」とたずねた。
田部氏は「個別具体的な債権回収に関わる事柄であり差し控えたい」とし、「整理回収機構が厳正な回収に努めるよう指導する」と述べた。