紀州ドン・ファンと親交、デヴィ夫人「真相一刻も早く明らかに」

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の会社社長、野崎幸助さん(当時77歳)が変死した事件に関連し、野崎さんと親交があったタレントのデヴィ夫人が28日、毎日新聞の取材に応じた。元妻の逮捕について「事件から3年も経過しているが、真相が一刻も早く明らかになることを望んでいる」と語った。
デヴィ夫人は、同県白浜町で開催された野崎さんのパーティーに招待されるなど交流があった。事件直前には野崎さんの愛犬「イブ」が突然死し、葬儀などについて頻繁にやり取りしていたという。
デヴィ夫人は「愛犬を本当に可愛がっており、幸助さんは葬儀をするつもりでいた。その前に覚醒剤を大量に使って自分で死ぬことはあり得ないと思っていた」と振り返った。【澤俊太郎】

東京の感染者「1日500人」で緊急事態解除すると…「再拡大」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い25日に3回目の緊急事態宣言が発令された東京都について、1日当たりの新規感染者数が500人を下回った段階で宣言を解除すると、2カ月で1500人超に新規感染が拡大するとの試算を、東京大の仲田泰祐(たいすけ)准教授(経済学)と藤井大輔特任講師(同)が公表した。経済損失も大幅に増加する可能性があるという。感染力が強いとされる変異株への置き換わりが急激に進んでいる影響で、これまで以上に感染の抑え込みが難しくなっているためとみられる。
試算は4月25日までのデータをもとに、ワクチン接種の状況も加味して、今後の感染者数の推移と経済への影響を予測した。都内で広がりつつある英国由来の変異株の感染力が、従来株の1・5倍と仮定した。
1日当たりの新規感染者が5月第2週に500人を下回った状態で宣言が解除され徐々に飲食店などが営業再開した場合は、新規感染者数は再び増加に転じ、6月第4週には1000人超、7月第1週には1500人を超えると試算。緊急事態宣言を再発令するレベルに達し、経済損失額は約3兆8000億円に膨らむと見込んだ。
5月11日までとしている現在の緊急事態宣言の期間を延長し、6月第2週に250人を下回った段階で解除した場合も、8月第3週には1800人超に達し、経済損失額も3兆5000億円超との結果になった。
一方、1日当たりの感染者数が100人を切ると予測される7月第4週まで宣言を延長した場合は、その後の新規感染者数は緩やかに増加するものの、ワクチンの接種が進む効果もあり、宣言を再発令することなく収束に向かうという。経済損失額も約2兆6000億円となった。
実際の感染者数の推移は、変異株の感染力や人々の行動によって大きく異なってくるとみられる。仲田准教授は「仮に感染者数が横ばいのまま宣言を解除すれば、より早期に感染の再拡大を招き状況はさらに厳しくなる。できる限り、感染者数を下げて解除することが望ましい」と話している。【岩崎歩】

容体急変でも受け入れ先見つからず 大阪で「搬送困難」急増

新型コロナウイルスの感染が拡大している大阪で、療養先の自宅やホテルで容体が急変した患者の受け入れ先の医療機関が見つからず、救急搬送に時間を要するケースが相次いでいる。総務省消防庁によると、搬送に手間取った大阪市内の「救急搬送困難事案」は4月18日までの1週間で前々週に比べて3倍超の130件に上り、その後も高止まりしている。重篤ではないことを理由に搬送されなかったケースもあり、感染者増加に伴い救急現場が難局に直面している現状が浮かぶ。
府によると、自宅やホテルで療養するコロナ感染者は療養先調整中の人数も含めて27日現在、1万5829人。容体が急変した場合は原則、保健所に連絡し、府の「入院フォローアップセンター」が受け入れ先を調整する流れだが、患者や家族が119番で救急搬送を要請するケースも少なくない。
同庁は、医療機関で受け入れが可能かどうか救急隊が4回以上問い合わせ、現場到着から搬送開始まで30分以上かかったケースを「救急搬送困難事案」として集計している。大阪市内で新型コロナが疑われる患者の搬送困難事案は、3月29日~4月4日=39件▽5~11日=71件▽12~18日=130件▽19~25日=109件――と推移している。
市によると、4月16~18日に自宅療養中のコロナ患者から38件の119番があり、うち26件は受け入れ先が決まるまで1時間以上待たされた。この他、19日に通報があったケースでは搬送先の決定まで46時間53分かかり、患者は酸素マスクをつけたまま自宅待機を強いられた。
「最後の手段」で119番したが
一方、搬送困難事案と認定されるには時間がかかっても受け入れ先に搬送されたことが前提となる。
大阪府吹田市に住む40代女性は、大阪市淀川区の実家に80代の母親と50代の兄が暮らす。4月11日に兄の感染が分かり、女性が実家で食事の世話や看病を始めたが、数日後、容体が急変、ひどくせき込んで意識がもうろうとした状態になったため17日夜に119番をした。到着した救急隊員は玄関先で兄に応急処置を施す間に保健所と搬送先の調整を進めたが、約2時間待たされた末、血中の酸素飽和度に異常が見られないなどとして搬送は見送られた。翌18日、保健所から連絡があり、21日からホテルで療養している。このケースは搬送困難事案の対象とはならないが、女性は「自宅では対応できず、最後の手段と思って救急車を呼んだのに……」と戸惑う。
府内のある保健所では4月に入り、フォローアップセンターに受け入れ先の調整を依頼した後、1時間以内に決まることはほとんどなくなり、6~8時間かかるケースが相次いでいる。業務に携わる保健師は「スムーズな搬送が難しいので自宅療養中の患者らのフォローが大切。様子を見回る看護師を今からでも増やしてほしい」と訴える。
府は22日、搬送先が決まるまで患者を一時的に受け入れる「入院患者待機ステーション」を大阪市内に開設した。酸素吸入装置を備えたベッド8床を設け、救急救命士らが常駐する。原則、救急搬送が多い正午から午後7時までの予定でスタートしたが、搬送先が決まらず夜間に5人程度の患者が待機する日があった。開設以降、28日朝までに計40人が利用した。
「調整に限界」深刻さ増す病床逼迫
深刻さを増す病床逼迫(ひっぱく)がコロナ患者の救急搬送の遅れにつながっている。大阪府内の重症患者は27日時点で376人で、1カ月前に比べて5倍超になった。このうち重症病床(330床)に306人が入り、使用率は92・7%に達する。あふれた70人は軽症・中等症病床などで治療が続く。
軽症・中等症病床(1967床)には、重症用からあふれた患者を含めて1553人が入り、使用率は79・0%と余裕は乏しい。
府は急増するコロナ患者の受け入れに対応するため、府内の医療機関に協力を呼びかけて軽症・中等症、重症を問わず、病床の追加確保を急いでいる。府の入院フォローアップセンターの浅田留美子センター長は「今ある病床を活用して調整したいが限界にきている。増床に協力してほしい」と訴えている。【田畠広景】

停電はカラスが原因 JR鹿児島線、23日に約8時間半不通

JR九州は28日、鹿児島線の海老津(福岡県岡垣町)―東郷(同県宗像市)間で23日に発生した停電は、トンネル内の架線がカラスによってショートし、焼き切れたことが原因の可能性が高いと発表した。
同社によると23日午後0時40分ごろ、現場のトンネル(長さ約730メートル)の入り口付近で博多発大分行き特急ソニックの運転士が火花を確認。トンネルを通過して停車したが、車両の外側やトンネル内の送電設備が壊れた。火花が確認された場所の近くで架線が焼き切れた跡があり、特急の屋根で焦げたカラスが見つかった。
これらの状況から、トンネル内に入り込み架線に止まっていたカラスが、特急の接近で架線が揺れた際に壁面に接触してショートし、架線が焼き切れたと判断。さらに垂れ下がった架線が通過中の車両に引っかかり被害が拡大したと結論付けた。
停電で現場付近は約8時間40分にわたって不通となり、約5万人に影響した。JR九州は「極めてまれなケース。現場は機材が入りにくい場所で復旧に時間を要した」と説明、再発防止策を検討する。【久野洋】

紀州のドン・ファン事件 残された「愛犬イブ」怪死の謎 映像入手

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山の資産家で実業家の野崎幸助氏(享年77)が覚醒剤中毒で死亡した事件。和歌山県警は4月28日早朝、55歳年下の元妻・須藤早貴容疑者(25)を殺人の疑いで逮捕した。週刊ポスト取材班は、野崎氏が倒れる18日前に急死した、愛犬・イブちゃんが埋葬されるシーンの動画を入手していた。
野崎氏が飼っていたイブちゃんは、2018年5月6日に急死。急に具合が悪くなり、獣医師に診せるために深夜に車を飛ばしたが、野崎氏の腕の中でもがき苦しむように亡くなったという。事件当時、県警は野崎氏の愛犬も覚醒剤を摂取させられた可能性があるとみて、自宅の庭に埋葬された犬の以外を掘り起こし、鑑定を実施した。その結果、血液からも臓器からも覚醒剤の成分は検出されなかった。
野崎氏は、この愛犬のために、地元紙に「訃報広告」まで出していた。
〈御挨拶 野崎 イブは五月六日 午前三時三十五分 永眠致しました 葬儀は五月八日に相済ませました いつも野崎イブを可愛がってくださったことに深謝し衷心より御礼申し上げます 平成三十年五月九日〉
そして、「喪主」として野崎氏の名と、「喪主の妻」として元妻・早貴容疑者の名が掲載されていた。
週刊ポストが入手した愛犬が埋葬されるシーンの動画には、野崎家の庭でかなり深く掘られた穴に手厚く葬られる様子が映っていた。野崎さんが手を合わせ、続いて妻の早貴容疑者も手を合わせているように見える。
イブちゃんの体内からは覚醒剤が検出されなかったものの、それまで元気だった愛犬が突然、もがき苦しむように亡くなったという状況には謎が残っている。
野崎氏は、その愛犬のために「お別れの会」を6月11日に行うことが計画されていた。訃報広告まで出すほど可愛がっていた愛犬のために「お別れの会」を開くのに、野崎氏が自ら覚醒剤を飲むことは考えにくいとされていた。イブちゃんの存在は、野崎氏の“自殺”の線を消す重要な手がかりになったと言えるかもしれない。
“女は裏切るけど、犬は裏切らない”──それが野崎氏の口癖だったという。

紀州ドン・ファン「非常に難しい事件」捜査員ら状況証拠積み重ね

「公判に耐えうるレベルで立証するには非常に難しい事件だった」。28日、和歌山県警田辺署で記者会見した保田彰・県警捜査1課長は、逮捕まで約3年を要した理由をそう語った。
野崎幸助さん(当時77歳)は急性覚醒剤中毒で死亡したが、遺体に注射痕はなく、毛髪からも覚醒剤成分は検出されなかった。知人らへの聞き込みを重ねても野崎さんが覚醒剤を常用していたという話は出ておらず、県警は飲食物に混ぜるなどして故意に摂取させられた可能性を調べてきた。
野崎さんは事件当日、ビールを飲んでいたとみられ、県警は野崎さんが経営していた会社などからビール瓶約2500本を押収。しかし、覚醒剤が混入した痕跡は確認されなかったという。
県警は死亡推定時刻から逆算し、野崎さんが覚醒剤を飲まされたとみられる時間帯を特定。防犯カメラの映像では家の外から侵入した形跡がない一方、当時は家政婦の女性が外出しており、野崎さんと須藤早貴容疑者(25)が2人きりだった疑いがあることが分かった。
今後の捜査では覚醒剤の詳しい入手経路や摂取方法、動機の解明などが焦点になる。直接的な証拠が乏しい中、警察や検察は状況証拠の積み重ねによる難しい立証を強いられる可能性がある。【山口智】

小泉環境大臣の「余計な発言」~CO2削減目標 どう言うべきであったか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月28日放送)に数量政策学者・内閣官房参与の高橋洋一が出演。ニュース番組での小泉進次郎環境大臣の発言について解説した。
閣議後、記者団の質問に答える小泉進次郎環境相=2020年3月3日午前、国会内 写真提供:産経新聞社
ニュース番組で、小泉進次郎環境大臣が温室効果ガスについてインタビューに応じた際、「30年度までに温室効果ガスを46%削減する」と目標を掲げたが、それに関する発言が波紋を呼んでいる。
飯田)高橋さんが、連載されている『現代ビジネス』で『小泉環境大臣がCO2削減目標でまたもや「余計な発言」…当人が「本当は言うべきだったこと」』という最新記事を書かれていますが、某テレビのインタビューで、温室効果ガスの2030年度46%削減というものについて、「くっきりとした姿が見えているわけではないけれど、おぼろげながら浮かんで来たのです。46という数字が。シルエットが浮かんで来たのです」と発言した件についてです。
高橋)お父さんの小泉純一郎さんは、ワンフレーズで、何を聞いてもいつも同じことしか言いませんでした。そちらの方がいいのです。もし私がアドバイスするとしたら、「46%は菅総理の政治判断です」でおしまいです。あとは何を聞かれても「政治判断です」と言う。いちばん簡単でしょう。それでいいではないですか。正しいのだから。
飯田)実際は総理の政治決断というところが大きかったのですか?
高橋)そのように気候変動サミットで言ったのだから、そうでしょう。それ以外に言いようがありません。大臣としては、「そのような政治決断があったので、それに向けて全力で努力します」というのが普通の答弁です。それであれば何の問題も出ないでしょう。何も言う必要などないのだから。
飯田)どうしてこの発言をしたのでしょう。「くっきりとした姿が見えるわけではないけれども」と。
高橋)なぜ説明してしまうのですかね。政治判断なんて説明しようがないではないですか。率直に言うと、積み上げで46%になったわけではなく、はっきり言って「エイヤッ」なのですよ。国際政治の話ですから。皆さん、国内だけで考えているけれども、国際政治のなかで、どのように自分のいいポジションを取ろうかと思って喋るだけですよ。
2021年4月22日、気候サミット~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202104/22kikou.html)
高橋)こんな議論は、日本だけでどうのこうのと言っても意味はありません。CO2の排出量で言うと、中国は世界の3割(28%)なのです。アメリカが15.9%で、日本は3.8%なので、日本が仮に全部なくしても、中国が1割削減すれば終わってしまうのです。そんなに真面目に議論する必要はないのです。そういうことを世界の人はみんな知っているから、「どういうポジションを取ったら国益がいちばんよくなるか」ということを考えるだけです。
高橋)いまの情勢で言うと、2030年まで中国は「温室効果ガスを出しまくる」と言っているわけです。そうしたら、それをどうやって防ぐかということしか考えてはいけないと思います。そのときに、中国を抑えつつ、「日本の国益を高めるには、この温室効果ガスをどう世界にアピールするか」というだけですよ。
飯田)なるほど。
高橋)いちばん国益を鑑みてみると、「太陽光を使います」と言えば中国が喜んでしまって、「積極的に生産してしまえ」という話になり、逆にその生産の過程でCO2を出してしまいます。それを考えるのであれば、日本は当面は原発の再稼働と、もう1つ、長期的には小型原発があります。常温で管理できる原発です。これは安全なので、それにシフトするのが国益ですよ。なぜ日本にとって、それが国益かと言うと、原子力であれば再処理できるからです。

総裁選出馬に重ねて意欲=再選挙敗北「私の力不足」―自民・岸田氏

自民党の岸田文雄前政調会長は28日、9月末の菅義偉党総裁任期切れに伴う総裁選について「(参院広島選挙区再選挙で)勝てなかったことは心からおわびしなければいけないが、総裁選への思いは変わっていない。従来通り、チャンスがあれば挑戦したい」と述べ、改めて出馬の意欲を示した。党本部で記者団に語った。
これに先立ち、岸田氏は岸田派会合でのあいさつで「ひとえに私の力不足だ」と謝罪。敗北の一因は「政治とカネ」の問題だと指摘し、「厳しい選挙を戦ったわれわれだからこそ、しっかりと党内で提言をしていく権利がある」と述べた。次期総裁選で「大きなテーマの一つ」になるとの認識も示した。
[時事通信社]

日本に新型コロナワクチンが届かないのには理由がある

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月28日放送)に数量政策学者・内閣官房参与の高橋洋一が出演。JR東日本が首都圏7路線で4月30日、5月6日、7日の3日間、朝の通勤時間帯の運行本数を2割減便すると発表したニュースについて解説した。
大阪で新型コロナワクチン接種開始 ワクチン接種の準備をする看護師ら=2021年2月19日午後0時4分、大阪市中央区の大阪医療センター 写真提供:産経新聞社
JR東日本は4月27日、山手線など首都圏7路線で4月30日、5月6日、7日の3日間、朝の通勤時間帯の運行本数を2割減便すると発表した。新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う、国や東京都からの要請を受けた措置となっている。
飯田)ゴールデンウィークの飛び石の部分という感じです。
高橋)「やっている感」はありますが、あまり現実の生活には関係ないかも知れませんね。
飯田)ダイヤを平日ではなく、休日ダイヤにするなどして、そうすると平日に比べて下がると。
高橋)でもこの時期はお休みの人が多いでしょうからね。コロナ対策はいろいろとありますが、「気合い」にかかる部分が多いですね。エビデンスに基づいてというような感じではないですよね。交通業が感染に関係があるということは、あまり出て来ないですよ。
高橋)日本は感染が多いと言いますが、人口当たりで考えると、急速に下がったイギリスと大差ないのです。イギリスはものすごく下がったのですよ。
飯田)ワクチンの接種が進んで、だいぶ下がったと。
高橋)そのレベルといまの日本は変わらないのです。日本では「オリンピックは開催できるのかどうか」などと言っていますが、世界からは「数字を見ると大丈夫ではないのか」と言われます。
飯田)確かに、「このところ感染者数がものすごく増えて来た」と、きょう(28日)の新聞にも出ていますけれど、世界各国のグラフを見ると、ようやく下がって来たところと合うぐらいのレベルに過ぎない。
高橋)世界のスケールで見ると、日本は波が立っているか立っていないかわからないというレベルですよ。
飯田)あまりに下に貼り付き過ぎて。
【高齢者ワクチン接種・天理市】高齢者の新型コロナワクチン接種が開始された=2021年4月12日午後、奈良県天理市 写真提供:産経新聞社
高橋)日本は「ワクチンが遅い、遅い」とみんな言いますが、よくよく考えてみたら、感染地域からやるのに、日本のような感染者数が(世界水準で)低いところが先にやったら、国際的な非難を受けますよ。
飯田)「感染者数が少ないのに、なぜ日本に優先的に出すのだ」ということになってしまう。
飯田)一部の業種にとって、休業要請などは大きな打撃となっています。特に飲食店。お酒の提供もダメということになると、畳んでしまうところも多いということです。
高橋)休業補償で20万円という話になっていますが、驚きました。今年度、予備費は5兆円用意してあるのです。それを使えばいいだけの話です。去年(2020年)も地方自治体はお金がないから、予備費から4兆円くらい、休業補償のために国が出しているのですよ。それを早く使えばいいだけなのですけれどね。予備費を積んでいるのですから、ケチることはないのです。また多過ぎると文句を言われたくらいだから、使えばいいではないかと思いますけれどね。
飯田)使えないのは、何か理由があるのですか?
高橋)ないと思いますよ。去年も使っているし、休業の協力金の支出というのは予備費から出していますから。
飯田)スキームは変わらない。

《紀州のドン・ファン事件》「月100万円の小遣い」を条件に老資産家と結婚した元妻が「殺人容疑」で逮捕されるまで

早朝5時半過ぎ。大崎駅近くにそびえるタワーマンションの駐車場から、須藤早貴容疑者(25)を乗せたワンボックスカーが姿を現した。カメラのフラッシュが一斉に焚かれると、3列シートの最後尾に座っていたスッピンの早貴は、俯いて素顔を隠す。その身柄は、羽田空港から午前7時30分発の南紀白浜空港行きの空路を使い、事件の舞台である和歌山県田辺市の田辺警察署に移送された。
3回目の命日を前に、“紀州のドン・ファン”事件が大きく動いた。2018年5月24日夜、和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(当時77)が、急性覚醒剤中毒で変死していた事件。 4月28日朝、和歌山県警は野崎氏の3番目の妻・早貴を殺人などの容疑で逮捕した。
「1週間前の4月20日、和歌山県警捜査一課の捜査員10名が都内に入り、早貴の行動確認を続けていました」(捜査関係者)
家政婦が自宅を離れる“約3時間の空白”
事件発生当初から、最も疑わしかったのが、第一発見者の早貴だった。野崎氏が死亡していたのは、自宅2階の寝室。当日午後10時過ぎ、寝室に上がった早貴が、ソファで全裸のまま息絶えた野崎氏を見つけ、自ら119番通報している。
野崎邸には、東京から月に10日ほど通っている家政婦の女性も寝泊まりしていたが、夫婦水入らずの時間帯を捻出すべく、必ず自宅を離れる時間帯があった。その日も家政婦は、午後4時頃から7時半頃まで外出。つまり、早貴が野崎氏に覚醒剤を盛るには十分な、約3時間の空白が存在しているのだ。
「容疑者候補のアリバイを1人ずつ潰していき、その夜、自宅で野崎氏に覚醒剤を経口摂取させられたのは、自宅で2人きりだった妻しかないという結論に至った。野崎氏に覚醒剤使用歴や自殺の可能性も認められない一方、押収した早貴のスマホから覚醒剤について調べた形跡も確認できた。“凶器”の覚醒剤の入手経路についても、すでに早貴と関わった密売人を聴取済。あとはいつ逮捕するかだけだった」(同前)
犯行が可能だったのは早貴しかいない
事件から1年を過ぎた時点で、捜査当局はXデーを見据え、関係者の調書を次々と完成させている。捜査に協力した野崎氏の知人もこう証言する。
「早貴のことを中心に聞かれました。調書作成の際、検事さんから『もし裁判(公判)になったら同じことを証言してくれるか』と聞かれ、了承しました」
だが、そこからしばらく捜査は停滞。別の捜査関係者が明かす。
「任意聴取の様子からも、早貴は徹底的に否認すると思われ、覚醒剤を入手したことが分かっても、その日、殺意を持って野崎氏に覚醒剤を摂取させたことを、どう立証するのか、公判の難しさも想定できた。一方、現場がもたもたしている間に早貴が海外逃亡する可能性も出てきた。状況証拠の積み重ねによる消去法だが、犯行が可能だったのは早貴しかいない。そこで、昨年夏に就任した、前警察庁捜査一課長の親家和仁・和歌山県警本部長と警察庁が主導するかたちで、今回の逮捕に至ったのです」
「殺人容疑で逮捕」の舞台裏
当初は“入口”を詐欺容疑とする方針もあったが、いきなり殺人本件に。それにはこんな舞台裏があった。
「早貴が知人から借りた5000万円を返してない金銭トラブルの立件も検討されたが、早貴の方も、逮捕される日に備えて、腕の立つ弁護士を雇い、入念な打ち合わせをしている。別件で逮捕しても否認は目に見えており、殺人容疑で逮捕すれば、空港で弁護士が来る前に話を聞く時間も確保できる。それなら最初から本件で行こうと」(同前)
裏を返せば、捜査当局はそれだけ殺人の立件に自信を持っているともいえそうだ。
死亡する直前に起きたある“事件”
2017年暮れ、知人の縁を通じて野崎氏と知り合い、翌2018年2月には入籍した早貴。その頃、東京に住んでいた早貴は、結婚の条件として「月に100万円の小遣いをもらうこと」を上げ、野崎氏もこれを了承。55歳年下の美女を娶り、周囲に戸籍を見せびらかすなどして3度目の結婚を大喜びした。だが――。
野崎氏が経営していた会社の元従業員が語る。
「早貴が田辺の野崎邸で同居するようになったのは、4月に入ってから。一日中スマホを見て過ごし、何もしない早貴を目の当たりにして、気の短い(野崎)社長は同居してすぐ『あの女はあかん。離婚や』と言い始めました。お金のために一緒になったと言い切っていた早貴も動揺するでもなく、『それならしっかり慰謝料をもらうから』と。亡くなる当時、社長はすでに別の女性にゾッコンになっていました」
死亡する直前の時期、野崎氏の会社内では、ある“事件”が起きていた。
「早貴が出演しているAV作品を、若い社員がネットで見つけたんです。社長が死んだのは、ちょうどその話題で持ち切りになっていたさなかでした。早貴はAV出演の過去が社長にバレたら、社長からたいした慰謝料が取れなくなると考えたんじゃないでしょうか。早貴はファッションモデルという触れ込みでしたから」(同前)
セレブ生活に憧れて北海道から上京。老資産家と入籍して105日で未亡人となった早貴は、さらに1000日余りを経て、夫殺しの容疑者となった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)