国内で新たな変異ウイルス検出、英国型や南ア型とは別タイプ…抗体弱まる可能性

国立感染症研究所は18日、新たな変異を持つ新型コロナウイルスが、国内で検出されたと明らかにした。感染力が高いとされる英国、南アフリカ型とは別タイプで、感染力など詳細は不明だが、感染研は「

蔓延
( まんえん ) 状況は過小評価されている可能性がある」と指摘し、警戒を呼びかけている。
今月2日現在、関東全域で91件、空港検疫で2件検出された。海外から流入したとみられる。ウイルスは表面の突起先端部に、従来型に対する抗体が効きにくくなる「E484K」という変異があった。この変異は南ア型にもあり、ワクチンの効果が低下し、再感染のリスクが高まることが懸念されている。東京医科歯科大も18日、同様の変異を持つウイルスを3人から確認したと発表した。

「5時に帰ろうとするとは何事だ」と職場環境を悪化…パワハラで海自佐官を停職処分

海上自衛隊第4航空群司令部は18日、厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の航空集団司令部に所属する50歳代の男性佐官がパワーハラスメントを行っていたとして、同日付で停職1か月の懲戒処分にしたと発表した。
発表によると、男性佐官は2019年3月~20年5月の間、前の所属部隊で複数の部下に対し、「バカ」「ボケ」などの人格を否定する言動を繰り返した。また、「5時に帰ろうとするとは何事だ」などの言葉を浴びせ、定時に帰りにくい雰囲気を作り出して職場環境を悪化させた。

「ツーブロック」禁止7割・下着の色指定5割…千葉市立中高の校則

千葉市は、市立中学・高校の校則に関する調査結果を明らかにした。側頭部を短く刈り上げる髪形「ツーブロック」を67%が禁止し、49%は下着の色を指定していた。
市立中学・高校57校を対象に今月5日、校則にあたる「学校生活のきまり」や、「生徒心得」の身だしなみに関わる内容を調べた。
下着の色を指定している学校のうち、ほぼ半数が「基本的に白を基調とし、華美でないもの」と明記。生徒の頭髪をチェックしている学校は12%で、茶髪などの場合、生まれつき髪が黒色でないことを示す「地毛証明書」の提出を求める学校はなかった。ツーブロック禁止は中学だけで、「中学生らしくない」というのが理由とみられる。
椛沢洋平市議(共産)が17日の市議会で、この問題を取り上げ、「理不尽な校則が根強く残っている」とただした。時代の変化に合わせた校則の見直しについて、磯野和美教育長は「生徒が話し合う機会を設け、生徒や保護者が参加した上で決定することを各校に推奨していく」と答弁した。

菅首相、長男の接待疑惑「森友以上」の深刻度 不祥事が政権危機につながるボディブローに

ワクチン接種や森喜朗元首相の女性蔑視発言に揺れる永田町で、菅義偉首相の長男が絡んだ総務省幹部への接待疑惑が政権の新たな火種となっている。 立憲民主党など主要野党の追及に対し、菅首相は「息子は別人格」と色をなして反論。いらだちを露わにしている。 2月17日には『週刊文春』が接待時のやりとりを記録した音声をネット上に公開し、与党内では「首相の身内が絡んだスキャンダルとしては、安倍前政権での森友問題以上に深刻」(自民幹部)との声が広がっている。 ■22日にも総務省幹部を処分 総務省は菅首相が副大臣と大臣を務めて以来の「菅首相の天領」(政府筋)とされる。今回の接待疑惑で国家公務員倫理法違反に問われている4人の同省幹部も、菅首相の知遇を得て出世の階段をのぼってきた人物ばかりだ。 総務省は「できる限り迅速に調査を終わらせ、ルールに則って厳しく対応する」(武田良太総務相)として、22日にも処分を決める方針だ。4幹部が懲戒処分ともなれば、「今後の総務省幹部人事も大混乱」(政府筋)となるのは必至で、菅首相の指導力も問われる。 野党側は2021年度予算案の衆院通過に絡め、さらに攻勢を強めている。人事による霞が関支配を権力の源泉としてきた菅首相にとって、身内の不祥事が国会運営にも影響することになり、「政権危機にもつながる深刻なボディブローになる」(閣僚経験者)との見方が広がる。 事の発端は、森元首相の女性蔑視発言で政界が大騒ぎになった3日、『週刊文春』が菅首相の長男・正剛氏が、現職の総務省幹部らを接待漬けにしていたことを暴露したことだった。「世襲打破」「苦労人」が売り物の菅首相にとって、事実なら手痛い身内のスキャンダルともなりかねず、政界に波紋が広がった。 『週刊文春』によると、2020年10月に東京・日本橋の高級料亭で、映像制作などの事業を手がける東北新社の二宮清隆社長らが、総務省内で次の事務次官の呼び声が高い谷脇康彦総務審議官を接待。同社が数万円の食事代を負担し、手土産やタクシーチケットも渡すなど、国家公務員倫理法違法の疑いがある接待をした。 同席した正剛氏の肩書は、同社の趣味・エンタメコミュニティ統括部長とされた。同社は都内に本社を置き、基幹事業の1つが衛星放送事業。総務省は電波法に基づき放送の許認可を行っており、同省幹部が衛星放送を手がける会社の社長らから接待を受けた事実が認定されれば、国家公務員倫理規程違反で懲戒処分の対象となる。 ■総務省幹部を野党が厳しく追及

ワクチン接種や森喜朗元首相の女性蔑視発言に揺れる永田町で、菅義偉首相の長男が絡んだ総務省幹部への接待疑惑が政権の新たな火種となっている。
立憲民主党など主要野党の追及に対し、菅首相は「息子は別人格」と色をなして反論。いらだちを露わにしている。
2月17日には『週刊文春』が接待時のやりとりを記録した音声をネット上に公開し、与党内では「首相の身内が絡んだスキャンダルとしては、安倍前政権での森友問題以上に深刻」(自民幹部)との声が広がっている。
■22日にも総務省幹部を処分
総務省は菅首相が副大臣と大臣を務めて以来の「菅首相の天領」(政府筋)とされる。今回の接待疑惑で国家公務員倫理法違反に問われている4人の同省幹部も、菅首相の知遇を得て出世の階段をのぼってきた人物ばかりだ。
総務省は「できる限り迅速に調査を終わらせ、ルールに則って厳しく対応する」(武田良太総務相)として、22日にも処分を決める方針だ。4幹部が懲戒処分ともなれば、「今後の総務省幹部人事も大混乱」(政府筋)となるのは必至で、菅首相の指導力も問われる。
野党側は2021年度予算案の衆院通過に絡め、さらに攻勢を強めている。人事による霞が関支配を権力の源泉としてきた菅首相にとって、身内の不祥事が国会運営にも影響することになり、「政権危機にもつながる深刻なボディブローになる」(閣僚経験者)との見方が広がる。
事の発端は、森元首相の女性蔑視発言で政界が大騒ぎになった3日、『週刊文春』が菅首相の長男・正剛氏が、現職の総務省幹部らを接待漬けにしていたことを暴露したことだった。「世襲打破」「苦労人」が売り物の菅首相にとって、事実なら手痛い身内のスキャンダルともなりかねず、政界に波紋が広がった。
『週刊文春』によると、2020年10月に東京・日本橋の高級料亭で、映像制作などの事業を手がける東北新社の二宮清隆社長らが、総務省内で次の事務次官の呼び声が高い谷脇康彦総務審議官を接待。同社が数万円の食事代を負担し、手土産やタクシーチケットも渡すなど、国家公務員倫理法違法の疑いがある接待をした。
同席した正剛氏の肩書は、同社の趣味・エンタメコミュニティ統括部長とされた。同社は都内に本社を置き、基幹事業の1つが衛星放送事業。総務省は電波法に基づき放送の許認可を行っており、同省幹部が衛星放送を手がける会社の社長らから接待を受けた事実が認定されれば、国家公務員倫理規程違反で懲戒処分の対象となる。
■総務省幹部を野党が厳しく追及

島根県知事に「注意する」発言の竹下亘とは何者?「実は遠ざけられていた男」

自民党竹下派の竹下亘会長(74)の発言が波紋を広げている。島根県の丸山達也知事が、東京オリンピックの聖火リレーを中止することを検討すると表明したことについて、「知事の発言は不用意だ。注意しようと思っている」と語った件だ。ネット上では「県の首長に一国会議員が注意するってどういうこと?」「何様?」「上から目線すぎる」など批判の嵐が巻き起こっている。
竹下氏は島根2区出身。政界ではサラブレッドであることや自民党総務会長や島根県連会長などを務めた経験から“自分のほうがエライ”と思っている本音がポロッと出た形だろうが、そもそも彼は自民党でどんな道を歩んできたのか。
中学校までは島根で過ごし、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部に進学。卒業後はNHKで記者として務め、その後、異母兄である故・竹下登元首相の秘書に転じた。異母兄弟といっても年齢は20歳以上違い、政界では“親子”のような関係である。一族は地元の有力な造り酒屋を代々経営し、父・勇一氏も島根県議会を務めた。勇一氏が1984年に亡くなった際には、当時の竹下登氏とライバル関係にあった田中角栄元首相が、田中派の議員を60人以上も引き連れて島根の体育館で行われた葬儀に参列したという逸話も持つ。
小泉旋風が吹き荒れる直前の2000年、竹下亘氏は竹下登氏の引退に伴って島根2区から出馬、初当選を果たす。2005年の郵政選挙では、元自民党で郵政民営化に反対して“小泉政権の敵”となった亀井久興氏(国民新党から出馬)を破って3選。その論功行賞で環境大臣政務官に就いた。
初入閣は2014年、第2次安倍内閣の復興大臣だ。順調に出世してきたかに見えるが、実は竹下氏はその後、長期政権となった安倍晋三・前首相から遠ざけられた。自民党古参秘書が語る。
「当選7回もして派閥領袖まで務めているが、やった大臣は約1年間の復興相だけ。中枢となる財務相や外務相といった大臣職は経験させてもらっていない。というのも、安倍氏は細田派、麻生派で支えられており、竹下派は総裁選のたびに“政策的には岸田(文雄氏)がいい”などと態度がフラフラしていたから。長期政権になるにつれて、どんどん遠ざけられていった」
その間、竹下氏は自民党の総務会長や国会対策委員長も務めているが、官邸中心の権力構造で“政高党低”と言われた中で「低い」扱いをされていたことは否めない。
昨年9月の菅義偉首相が選ばれた自民党総裁選でも、若手が茂木敏充外相の総裁選出馬を求める中で一時は派閥の意見をまとめきれず、「竹下派分裂か」と懸念されるほどだった。ギリギリで菅支持を取り付けた竹下氏は「一枚岩」をアピールしたが、かつては全員で同じ弁当を食べて“一致団結、箱弁当”と表現されたほど鉄の結束を誇った竹下派もいまや見る影なし。竹下氏の求心力のなさが露呈した出来事だった。
前出の自民党古参秘書が語る。
「竹下氏は前回(2019年)の島根県知事選で、聖火リレー中止を検討すると表明した丸山知事とは別の候補を支援していた。44年ぶりの保守分裂になって大混乱し、しかも自分の推した候補が負けた責任を取る形で県連会長を退いたのだから、竹下氏は丸山知事を“注意”できる立場にもない(苦笑)」
官邸中枢からも遠ざけられ、地元・島根でも地盤が崩れつつある竹下氏。かつては100人以上を誇った竹下派も、いまや50人あまり。今回の「注意する」発言は、小さくなった猿山のボスが精一杯、存在感を見せようとしたということなのだろうか。
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南海トラフ・相模トラフ連動の巨大地震 高層ビルの揺れ幅は5mにも

2月13日深夜に発生した地震は、津波こそ発生しなかったものの、交通機関を中心に大きな被害が発生。10年前の東日本大震災の記憶を揺り起こされた人も多かったはずだ。 もう二度とあのような悪夢が繰り返されるのはまっぴらごめんだが、政府の発表によれば、「南海トラフ地震」は30年以内の発生確率が70%以上とされている。さらに、それに連動する形で「相模トラフ地震」が立て続けに起き、「スーパー南海地震」となる可能性も指摘されている。もしも、史上最悪の巨大地震がやってきた場合、どんな被害が出るのか、シミュレーションした。 わずか8分で34m級の大津波 ×月×日、東京・新宿。穏やかに晴れた日曜日の午後、JR新宿駅前は多くの人で賑わっている。次の瞬間、各々のスマホから一斉に緊急地震速報の警報音が鳴り響いた。直後、大きな揺れが発生する。 転倒するほどではないものの、怯えた表情で地面に手をついている人もいる。数十秒続いた揺れがようやく収まった頃、新宿アルタの大型ビジョンに、地震関連のニュースが流れ始めた。和歌山県南方沖を震源とする、マグニチュード8.5の南海トラフ地震が発生。東海や近畿、四国では震度7が観測されたというのだ。 和歌山市内ではビルの窓ガラスが割れ、逃げまどう歩行者の姿や、街灯が激しく揺れる様が映し出される。アナウンサーはこわばった表情で、「津波への警戒」を呼びかけている。しばらくするとカメラが切り替わり、静岡県の沿岸部に津波が迫って来る映像になった。高さ30m近い真っ黒な津波が市街地を襲い、ビルを丸ごとのみ込んでいく。 「東日本大震災では、津波の高さは最大で16.7mでした。しかし南海トラフ地震の場合、静岡県では津波の高さが最大30mを超えると予想される地域もあります。これは一般的なビルの8~9階分の高さに相当します。浸水面積は東日本大震災の倍近く、1000平方キロメートルを超えます。これは東京23区の面積の約1.6倍もの地域が浸水すると考えられます」(名城大学特任教授の川崎浩司さん) 浜松市、静岡市、焼津市などの沿岸部の都市はほぼ全域が浸水し、静岡県内だけで約32万棟が被害を受ける。7万人を超える死者が出ることが想定されている。 「政府が発表している津波の想定のなかには、高知県の黒潮町に、地震発生後わずか8分で最大34mの津波が襲うとのシナリオもあります。ただ、震源によっては、静岡県、和歌山県、徳島県などは、もっと早く津波が到達する可能性もあります」(前出・川崎さん)
2月13日深夜に発生した地震は、津波こそ発生しなかったものの、交通機関を中心に大きな被害が発生。10年前の東日本大震災の記憶を揺り起こされた人も多かったはずだ。
もう二度とあのような悪夢が繰り返されるのはまっぴらごめんだが、政府の発表によれば、「南海トラフ地震」は30年以内の発生確率が70%以上とされている。さらに、それに連動する形で「相模トラフ地震」が立て続けに起き、「スーパー南海地震」となる可能性も指摘されている。もしも、史上最悪の巨大地震がやってきた場合、どんな被害が出るのか、シミュレーションした。
わずか8分で34m級の大津波
×月×日、東京・新宿。穏やかに晴れた日曜日の午後、JR新宿駅前は多くの人で賑わっている。次の瞬間、各々のスマホから一斉に緊急地震速報の警報音が鳴り響いた。直後、大きな揺れが発生する。
転倒するほどではないものの、怯えた表情で地面に手をついている人もいる。数十秒続いた揺れがようやく収まった頃、新宿アルタの大型ビジョンに、地震関連のニュースが流れ始めた。和歌山県南方沖を震源とする、マグニチュード8.5の南海トラフ地震が発生。東海や近畿、四国では震度7が観測されたというのだ。
和歌山市内ではビルの窓ガラスが割れ、逃げまどう歩行者の姿や、街灯が激しく揺れる様が映し出される。アナウンサーはこわばった表情で、「津波への警戒」を呼びかけている。しばらくするとカメラが切り替わり、静岡県の沿岸部に津波が迫って来る映像になった。高さ30m近い真っ黒な津波が市街地を襲い、ビルを丸ごとのみ込んでいく。
「東日本大震災では、津波の高さは最大で16.7mでした。しかし南海トラフ地震の場合、静岡県では津波の高さが最大30mを超えると予想される地域もあります。これは一般的なビルの8~9階分の高さに相当します。浸水面積は東日本大震災の倍近く、1000平方キロメートルを超えます。これは東京23区の面積の約1.6倍もの地域が浸水すると考えられます」(名城大学特任教授の川崎浩司さん)
浜松市、静岡市、焼津市などの沿岸部の都市はほぼ全域が浸水し、静岡県内だけで約32万棟が被害を受ける。7万人を超える死者が出ることが想定されている。
「政府が発表している津波の想定のなかには、高知県の黒潮町に、地震発生後わずか8分で最大34mの津波が襲うとのシナリオもあります。ただ、震源によっては、静岡県、和歌山県、徳島県などは、もっと早く津波が到達する可能性もあります」(前出・川崎さん)

「卒業の記念のつもり」で教諭が全裸写真撮影…男子生徒「怖くて何も言えなかった」

埼玉県教育委員会は18日、教え子だった男子生徒の全裸の写真を撮影したとして、県立高の男性教諭(42)を減給10分の1(1か月)の懲戒処分にした。卒業式から2日後の撮影だったため、県教委は原則免職としている教え子へのわいせつ行為ではなく、セクハラにあたると判断し、減給にとどめたとしている。
発表によると、教諭は2019年3月11日、校内で生徒に服を脱ぐよう求め、デジタルカメラで撮影した。約100枚のうち、30枚ほどが裸の写真だったという。
昨年8月、生徒が高校に相談して発覚。生徒は「怖くて何も言えなかった」と話したという。県教委に対し、教諭は「卒業の記念のつもりだった」「断ってもいいと伝えた」と説明したという。

さよなら「ロン」 触れ合いで人気のレッサーパンダ死ぬ

茶臼山動物園(長野市)は17日、レッサーパンダ「ロン」(雄15歳)が16日に死んだと発表した。死因は腸閉塞(へいそく)による胃拡張と誤嚥(ごえん)性肺炎による呼吸不全だった。
同園によると、16日午前9時20分ごろ、死んでいるロンを担当飼育員が発見した。前日まで体調に異変はなかったといい、飼育員は「元気な姿を見せてくれていたので驚いている。非常に残念な気持ち」と肩を落とす。
ロンは2005年6月に同園で生まれ、全国的にも珍しい「触れ合えるレッサーパンダ」として多くの市民に愛された。同園は20日~3月31日、ゾウ舎横の臨時テントに献花台とロンへのメッセージを記入できるノートを設置する。【皆川真仁】

森喜朗に引導を渡したアメリカの“ラスボス”とは?

2月12日、東京2020オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で引責辞任し、大会中止の秒針がまたひとつ進んだ。辞任に至るドタバタがさらけ出したのは「スポーツ興行主」の国際オリンピック委員会(IOC)が、食い扶持としてのオリンピックを新型コロナウイルス感染対策に優先する本音だ。
森氏の問題発言は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)で飛び出した。森氏は2日に自民党本部でも「コロナがどういう形であろうと(五輪は)やる」と述べ、タレントのロンドンブーツ1号2号の田村淳さんの聖火ランナー辞退を招いている。
オリンピック憲章に反する女性蔑視発言をした森氏を庇ったのは、他ならぬIOCだった。森氏が4日に発言を撤回すると、すかさずIOCは不問に付した。オリンピックを「平和の祭典」だと思っていた世界中の人々を驚かせた。
だが、IOCは9日、「(森氏の発言は)完全に不適切」と、あっさり手の平を返す。前日夜、IOCと組織委の会談で、「最上位スポンサーの反発が強い」と森氏に告げたためと、朝日新聞は伝えた。IOCのスポンサーは契約金と権限でランク付けされ、1業種1社から選ばれた14社の「TOP(ワールドワイド・オリンピック・パートナー)」が最上位だ。TOPであるトヨタ自動車や民泊仲介大手の米エアビーは10日以降、森発言を批判する声明を出している。
「森氏は去るべき」との記事を掲載したサイトとは…
だが、IOCの背中を押した最も大きな力は、アメリカのテレビ局3大ネットワークのひとつ、NBCだ。同社は10日、自社サイトに「森氏は去るべき」との記事を掲載した。直接的に辞任を求める厳しい論説に驚くが、最も影響力があったのは、IOCに対する米NBCの立場だ。
米NBCは14~32年の夏冬のオリンピック放映権料を120億3000万ドル(約1兆2600億円)で契約。IOCの13~16年の総収入57億ドルのうち、放映権料が41億ドル余り、TOPスポンサー料は10憶ドルだ(拙著『オリンピック・マネー』文春新書)。放映権料のうち、米NBCは20億ドルを負担した。つまり、IOCにとって、米NBCは1社でTOPスポンサーの2倍の資金を提供する最上位中の最上位の存在なのだ。
米NBCは19年末時点で、東京オリンピックのCM枠を約12億ドル販売済みだ。18年と20年のオリンピックで米NBCが負担する放映権料は23億8000万ドルのため、半分は回収のめどが立ったはずだった。
ところが、コロナ禍で大会は延期され、CM契約も持ち越された。さらに延期した1年間に世界中で感染が拡大するばかりで、日本人の大半は通常開催が困難と考え、中止の機運が高まってきた。そんな状況での森氏の女性蔑視発言は、CMスポンサー離れを招き、大会中止リスクを高める。米NBCが森氏辞任を後押しし、IOCが手のひら返しで追従する。商売としてのオリンピックの現実がここにある。
IOCの興行主としての本性が世界に暴露された
そもそもオリンピック夏季大会が真夏の7~8月に開かれるのは、米NBCのスポーツ中継のオフシーズンにあたるからだ。また、巨額の放映権料がIOCに振り込まれるのは、大会終了後だ。
つまり、先の森氏同様、IOCのコーツ副会長・東京大会調整委員長が昨年9月、「新型コロナウイルスの有無に関係なく」大会開催を主張したのは、放映権料のためなのだ。 “ラスボス”の米NBCが公然と森氏辞任を主張したことで、IOCの興行主としての本性が世界に暴露された。彼らの態度からは、コロナ禍で生活を律し、感染抑制に努める日本人への気遣いも、コロナ感染抑制への強い意思も、どちらも感じられない。
東京都の小池百合子知事は、IOCと組織委がまとめた選手などの感染対策の冊子「プレイブック」が森氏辞任騒動の陰に隠れていると不満を漏らした。だが、その中身たるやお粗末で、選手間の感染拡大リスクが大きい選手村の同部屋宿泊の抜本的対策は記されていない代物だ。それを知ってか知らずか、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は12日、東京大会開催には「ガイドラインが必要」と指摘した。
3月の聖火リレーの具体的な感染防止策も未だ示さない政府、組織委のコロナ対策の不備、コロナ変異型のリスク、「令和の大政翼賛会」としてオリンピックを資金支援する日本の報道機関などの諸課題は、発売中の『文藝春秋』3月号掲載の「 東京五輪を中止すべき『7つの理由』 」で詳述している。
(後藤 逸郎/文藝春秋 2021年3月号)

菅首相は逃げ、小池都知事も判断せず…「殺気立ってもいた」感染症専門家たちの苦悩と葛藤

11都府県への緊急事態宣言発出は遅きに失した――2月に入っても解除のめどが立たないほどに患者が膨れ上がってしまい、政府に対する批判が後を絶たない。さらには外国由来の変異株の登場で、解除後のリバウンドに懸念も膨らむ。
いったん解除したとしても、次の急増局面で日本はきちんと対処できるのだろうか。2度目の緊急事態宣言から導き出される教訓とは何か。
◆ ◆ ◆
「専門家の先生方は非常に問題視していて殺気立ってもいた」
「年末はもう蛇口が開きっ放しで風呂桶も溢れている状態、誰か止めてくれという思いでした。(11月の段階で対策をしておけば)あの12月には、別のシナリオがあり得たのではないか……と思います」
そう語るのは鳥取県知事の平井伸治だ。全国知事会を代表して新型コロナウイルス感染症対策分科会に出席している。
平井がその“分水嶺”として振り返るのは、今から3カ月ほど前、北海道で感染拡大が見られ、その後、大阪府、東京都でも感染が拡大した11月下旬のことだ。18日には、全国の感染者数が初めて2000人を突破し、翌19日には東京都の感染者数が500人を突破した。首都圏から地方へと感染が広がる局面で、これを抑えるためには複合的な対策を集中させる必要があった。
尾身茂が率いる分科会は20日に、感染拡大地域で酒を提供する飲食店への営業時間短縮の要請やGo Toトラベル事業の一時停止など6項目にわたる強い対策を記した提言を発表する。
「当時、注目が集まっていた自治体のうち大阪府や北海道はこれを受けてステージ3対策に動きました。でも動きがないところもあった」(同前)
「動きがないところ」とは東京都のことだ。感染対策を強化する大阪府と北海道の意向を踏まえるかたちで政府は24日、大阪市と札幌市を目的地とする旅行についてGo Toの対象から除外すると決めた。すでに北海道は11月上旬から先んじて時短要請を始めており、その後、歓楽街での休業要請にまで踏み込むことになる。
これに対して東京都は、Go Toについては自らの判断を避け、時短要請は「午後10時まで」に止め、中途半端な対策を続けて時間を浪費した。
平井は「やはり(東京は)動くべき時だったと思います。実際、専門家の先生方は非常に問題視していて殺気立ってもいた」と話す。
11月25日、平井は、動きの鈍い東京都に苛立つ専門家たちと顔を合わせた分科会で、印象的な提案をした。
「サルでもステージ3とわかる資料を出すべきではないか」
「『サルでもステージ3とわかる資料を(分科会の専門家から)出すべきではないか』と申し上げたんです。誰が見ても『厳しい対策に踏み出すべき段階に入った』と一目でわかってもらえるような資料があれば、報道を通じて住民の方にも『(厳しい対策指示が出ても)もうしようがない』と思ってもらえるのではないか。そうなれば知事も判断しやすい環境になる、と。『サルでもわかる』という言い方が先生方の笑いを誘いましてね」
平井が口にした「ステージ」とは、感染状況を評価するために分科会が策定した基準だ。「新規感染者数」や「病床の逼迫度合い」など6つの指標それぞれがどれほど深刻化しているかによって、大別して「散発的感染」から「感染爆発」までの4つのステージに当てはまるかを判定する。一番上のステージ4は「緊急事態宣言を出すべき状況」で、ステージ3はその一歩手前だ。
ただ、6つの指標の数値だけではどれだけ緊迫したものなのか、一般の国民には伝わりづらい。そこでそれぞれの指標が、県ごとにどの水準にあるか、「ステージ3ならオレンジ」、「ステージ4なら赤」とぱっと見てわかるようにして見せる表現の工夫は、のちに新聞やテレビが採用する方式だが、そうしたイメージを平井は先取りしていた。しかも平井の提案は、それを分科会資料として出してはどうかというものである。
実現していれば、何が起きたか――。
「ステージ3」は、緊急事態宣言をできるだけ回避するため、早期に対策の引き金を引くステージだ。だが、平井が提案した時点で、東京都では「陽性率」を除く5指標がすでにステージ3の水準を超えていた。
6つのうち5つの枠がオレンジ――そんなポンチ絵を分科会が出せば、取材する記者たちがオーソライズされた判定と見てとって「東京都・ステージ3」という新聞の見出しやテレビのヘッドラインが大きく報じられた可能性は確かにある。少なくとも、都知事の小池が他地域に比べ緩やかな対策で済ませる理由をより厳密に問われることになったのは間違いない。
平井がそんな提案をしたのは、当時のステージ判定に難しさを感じていたからだった。
「感染が急激に広がる局面では、緊急事態宣言に相当するステージ4に行く前にブレーキをかけた方がいい。でもこれを客観指標でなく知事の判断とされるとなると、重荷になるんです。強い対策に切り替えるとなると、地元の観光やもろもろの業界のことを考え始める。圧力を感じもする。専門家も西村大臣も『知事が総合的に判断を』と仰るのですが、知事自身に判断の責任を負わせると、やるべき対策を取らなくなってしまうかもしれない、と私は思っていたのです」
「ステージ判断は我々の仕事ではない」としつつ
大阪府と北海道の知事はそれでも厳しい対策に踏み出した。まともな知事ならきちんと判断してくれると思ったかどうかはわからないが、結局、分科会は平井が提案した『サルでもわかる資料』を公表はしなかった。
一方で分科会長の尾身は、記者からステージ3該当地域はどこかと問われると、「ステージ判断は我々の仕事ではない」としつつ、言葉を慎重に選びながら東京23区を含めた4地区を挙げた。平井の提案を意識した発言だったに違いない。
とはいえ、「紙」のあるなしで記者たちの情報価値の判断も変わってくる。「東京都・ステージ3」が翌日の全国紙の見出しになることはなかった。
ここで国や分科会が「東京都・ステージ3」をくっきりと見える化していれば12月はずいぶん違ったかもしれない――それが、平井のいう「別のシナリオ」である。
浮き彫りになったのは、知事に「総合的に判断」させる仕組みのあやうさだ。選挙によって直接住民から選ばれる知事に判定を任せると今後も同じ轍を踏む可能性はある。
遅れの遠因を作ったのは、そもそも現首相の菅を含む政府
なぜ「総合的な判断」が知事に任されることになったのか。そのいきさつについては菅政権発足前後の政府内の内幕を描いた読売新聞政治部の『 喧嘩の流儀――菅義偉、知られざる履歴書 』(20年12月刊)に興味深い記述がある。
昨年7月末から8月にかけて「6つの指標」を作成するにあたっての裏話だ。
「指標づくりは西村(康稔経済再生担当相)が持ちかけ、尾身も快諾した。(略)話を聞いた今井(尚哉首相秘書官〔当時〕)は『総理の選択肢の幅を狭める』と真っ向から反対した。数値に縛られれば、政治判断の余地を失うことを恐れた。菅(義偉官房長官〔当時〕)も指標には冷ややかで、『見ているのは重症者とベッドの数』と素っ気なかった」
「西村は指標に幅を持たせることで、官邸の了承を何とか取り付けた」
西村の「根回し不足」の逸話として書かれているが、結局、政府に裁量の余地を残すために、幅を持たせることで決着した。
このため客観指標は「あくまで目安」と強調した上で、国や都道府県が「総合的に判断する」ことになった。これが「知事が総合的に判断する」の元になる。客観指標で判定することを避け、今回の遅れの遠因を作ったのは、そもそも現首相の菅を含む政府だった。
客観指標をこしらえたのは尾身をはじめとした専門家たちだが、それに基づいた判定は、「政治判断の領分」として専門家から切り離された。
平井の提案に乗る道はあった一方で、「自分たち科学者の任務は助言で、判断するのは政治」という線引きに忠実であろうとした節も窺える。責任を負うことができるのはあくまで国民に選ばれた者、専門家ではない、と。
そこに尾身をはじめとした専門家たちの葛藤も浮かびあがってくる。
2度目の緊急事態宣言に至るプロセスは、 「文藝春秋」3月号 に「 『尾身会長VS政府』苦悩する科学者たち 」と題したルポルタージュにまとめた。解除後も続く重大局面の伏線を記したつもりだ。
(文中敬称略)
(広野 真嗣/文藝春秋 2021年3月号)