国内で新たな変異ウイルス検出、英国型や南ア型とは別タイプ…抗体弱まる可能性

国立感染症研究所は18日、新たな変異を持つ新型コロナウイルスが、国内で検出されたと明らかにした。感染力が高いとされる英国、南アフリカ型とは別タイプで、感染力など詳細は不明だが、感染研は「

蔓延
( まんえん ) 状況は過小評価されている可能性がある」と指摘し、警戒を呼びかけている。
今月2日現在、関東全域で91件、空港検疫で2件検出された。海外から流入したとみられる。ウイルスは表面の突起先端部に、従来型に対する抗体が効きにくくなる「E484K」という変異があった。この変異は南ア型にもあり、ワクチンの効果が低下し、再感染のリスクが高まることが懸念されている。東京医科歯科大も18日、同様の変異を持つウイルスを3人から確認したと発表した。

「5時に帰ろうとするとは何事だ」と職場環境を悪化…パワハラで海自佐官を停職処分

海上自衛隊第4航空群司令部は18日、厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の航空集団司令部に所属する50歳代の男性佐官がパワーハラスメントを行っていたとして、同日付で停職1か月の懲戒処分にしたと発表した。
発表によると、男性佐官は2019年3月~20年5月の間、前の所属部隊で複数の部下に対し、「バカ」「ボケ」などの人格を否定する言動を繰り返した。また、「5時に帰ろうとするとは何事だ」などの言葉を浴びせ、定時に帰りにくい雰囲気を作り出して職場環境を悪化させた。

「ツーブロック」禁止7割・下着の色指定5割…千葉市立中高の校則

千葉市は、市立中学・高校の校則に関する調査結果を明らかにした。側頭部を短く刈り上げる髪形「ツーブロック」を67%が禁止し、49%は下着の色を指定していた。
市立中学・高校57校を対象に今月5日、校則にあたる「学校生活のきまり」や、「生徒心得」の身だしなみに関わる内容を調べた。
下着の色を指定している学校のうち、ほぼ半数が「基本的に白を基調とし、華美でないもの」と明記。生徒の頭髪をチェックしている学校は12%で、茶髪などの場合、生まれつき髪が黒色でないことを示す「地毛証明書」の提出を求める学校はなかった。ツーブロック禁止は中学だけで、「中学生らしくない」というのが理由とみられる。
椛沢洋平市議(共産)が17日の市議会で、この問題を取り上げ、「理不尽な校則が根強く残っている」とただした。時代の変化に合わせた校則の見直しについて、磯野和美教育長は「生徒が話し合う機会を設け、生徒や保護者が参加した上で決定することを各校に推奨していく」と答弁した。

菅首相、長男の接待疑惑「森友以上」の深刻度 不祥事が政権危機につながるボディブローに

ワクチン接種や森喜朗元首相の女性蔑視発言に揺れる永田町で、菅義偉首相の長男が絡んだ総務省幹部への接待疑惑が政権の新たな火種となっている。 立憲民主党など主要野党の追及に対し、菅首相は「息子は別人格」と色をなして反論。いらだちを露わにしている。 2月17日には『週刊文春』が接待時のやりとりを記録した音声をネット上に公開し、与党内では「首相の身内が絡んだスキャンダルとしては、安倍前政権での森友問題以上に深刻」(自民幹部)との声が広がっている。 ■22日にも総務省幹部を処分 総務省は菅首相が副大臣と大臣を務めて以来の「菅首相の天領」(政府筋)とされる。今回の接待疑惑で国家公務員倫理法違反に問われている4人の同省幹部も、菅首相の知遇を得て出世の階段をのぼってきた人物ばかりだ。 総務省は「できる限り迅速に調査を終わらせ、ルールに則って厳しく対応する」(武田良太総務相)として、22日にも処分を決める方針だ。4幹部が懲戒処分ともなれば、「今後の総務省幹部人事も大混乱」(政府筋)となるのは必至で、菅首相の指導力も問われる。 野党側は2021年度予算案の衆院通過に絡め、さらに攻勢を強めている。人事による霞が関支配を権力の源泉としてきた菅首相にとって、身内の不祥事が国会運営にも影響することになり、「政権危機にもつながる深刻なボディブローになる」(閣僚経験者)との見方が広がる。 事の発端は、森元首相の女性蔑視発言で政界が大騒ぎになった3日、『週刊文春』が菅首相の長男・正剛氏が、現職の総務省幹部らを接待漬けにしていたことを暴露したことだった。「世襲打破」「苦労人」が売り物の菅首相にとって、事実なら手痛い身内のスキャンダルともなりかねず、政界に波紋が広がった。 『週刊文春』によると、2020年10月に東京・日本橋の高級料亭で、映像制作などの事業を手がける東北新社の二宮清隆社長らが、総務省内で次の事務次官の呼び声が高い谷脇康彦総務審議官を接待。同社が数万円の食事代を負担し、手土産やタクシーチケットも渡すなど、国家公務員倫理法違法の疑いがある接待をした。 同席した正剛氏の肩書は、同社の趣味・エンタメコミュニティ統括部長とされた。同社は都内に本社を置き、基幹事業の1つが衛星放送事業。総務省は電波法に基づき放送の許認可を行っており、同省幹部が衛星放送を手がける会社の社長らから接待を受けた事実が認定されれば、国家公務員倫理規程違反で懲戒処分の対象となる。 ■総務省幹部を野党が厳しく追及

ワクチン接種や森喜朗元首相の女性蔑視発言に揺れる永田町で、菅義偉首相の長男が絡んだ総務省幹部への接待疑惑が政権の新たな火種となっている。
立憲民主党など主要野党の追及に対し、菅首相は「息子は別人格」と色をなして反論。いらだちを露わにしている。
2月17日には『週刊文春』が接待時のやりとりを記録した音声をネット上に公開し、与党内では「首相の身内が絡んだスキャンダルとしては、安倍前政権での森友問題以上に深刻」(自民幹部)との声が広がっている。
■22日にも総務省幹部を処分
総務省は菅首相が副大臣と大臣を務めて以来の「菅首相の天領」(政府筋)とされる。今回の接待疑惑で国家公務員倫理法違反に問われている4人の同省幹部も、菅首相の知遇を得て出世の階段をのぼってきた人物ばかりだ。
総務省は「できる限り迅速に調査を終わらせ、ルールに則って厳しく対応する」(武田良太総務相)として、22日にも処分を決める方針だ。4幹部が懲戒処分ともなれば、「今後の総務省幹部人事も大混乱」(政府筋)となるのは必至で、菅首相の指導力も問われる。
野党側は2021年度予算案の衆院通過に絡め、さらに攻勢を強めている。人事による霞が関支配を権力の源泉としてきた菅首相にとって、身内の不祥事が国会運営にも影響することになり、「政権危機にもつながる深刻なボディブローになる」(閣僚経験者)との見方が広がる。
事の発端は、森元首相の女性蔑視発言で政界が大騒ぎになった3日、『週刊文春』が菅首相の長男・正剛氏が、現職の総務省幹部らを接待漬けにしていたことを暴露したことだった。「世襲打破」「苦労人」が売り物の菅首相にとって、事実なら手痛い身内のスキャンダルともなりかねず、政界に波紋が広がった。
『週刊文春』によると、2020年10月に東京・日本橋の高級料亭で、映像制作などの事業を手がける東北新社の二宮清隆社長らが、総務省内で次の事務次官の呼び声が高い谷脇康彦総務審議官を接待。同社が数万円の食事代を負担し、手土産やタクシーチケットも渡すなど、国家公務員倫理法違法の疑いがある接待をした。
同席した正剛氏の肩書は、同社の趣味・エンタメコミュニティ統括部長とされた。同社は都内に本社を置き、基幹事業の1つが衛星放送事業。総務省は電波法に基づき放送の許認可を行っており、同省幹部が衛星放送を手がける会社の社長らから接待を受けた事実が認定されれば、国家公務員倫理規程違反で懲戒処分の対象となる。
■総務省幹部を野党が厳しく追及

島根県知事に「注意する」発言の竹下亘とは何者?「実は遠ざけられていた男」

自民党竹下派の竹下亘会長(74)の発言が波紋を広げている。島根県の丸山達也知事が、東京オリンピックの聖火リレーを中止することを検討すると表明したことについて、「知事の発言は不用意だ。注意しようと思っている」と語った件だ。ネット上では「県の首長に一国会議員が注意するってどういうこと?」「何様?」「上から目線すぎる」など批判の嵐が巻き起こっている。
竹下氏は島根2区出身。政界ではサラブレッドであることや自民党総務会長や島根県連会長などを務めた経験から“自分のほうがエライ”と思っている本音がポロッと出た形だろうが、そもそも彼は自民党でどんな道を歩んできたのか。
中学校までは島根で過ごし、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部に進学。卒業後はNHKで記者として務め、その後、異母兄である故・竹下登元首相の秘書に転じた。異母兄弟といっても年齢は20歳以上違い、政界では“親子”のような関係である。一族は地元の有力な造り酒屋を代々経営し、父・勇一氏も島根県議会を務めた。勇一氏が1984年に亡くなった際には、当時の竹下登氏とライバル関係にあった田中角栄元首相が、田中派の議員を60人以上も引き連れて島根の体育館で行われた葬儀に参列したという逸話も持つ。
小泉旋風が吹き荒れる直前の2000年、竹下亘氏は竹下登氏の引退に伴って島根2区から出馬、初当選を果たす。2005年の郵政選挙では、元自民党で郵政民営化に反対して“小泉政権の敵”となった亀井久興氏(国民新党から出馬)を破って3選。その論功行賞で環境大臣政務官に就いた。
初入閣は2014年、第2次安倍内閣の復興大臣だ。順調に出世してきたかに見えるが、実は竹下氏はその後、長期政権となった安倍晋三・前首相から遠ざけられた。自民党古参秘書が語る。
「当選7回もして派閥領袖まで務めているが、やった大臣は約1年間の復興相だけ。中枢となる財務相や外務相といった大臣職は経験させてもらっていない。というのも、安倍氏は細田派、麻生派で支えられており、竹下派は総裁選のたびに“政策的には岸田(文雄氏)がいい”などと態度がフラフラしていたから。長期政権になるにつれて、どんどん遠ざけられていった」
その間、竹下氏は自民党の総務会長や国会対策委員長も務めているが、官邸中心の権力構造で“政高党低”と言われた中で「低い」扱いをされていたことは否めない。
昨年9月の菅義偉首相が選ばれた自民党総裁選でも、若手が茂木敏充外相の総裁選出馬を求める中で一時は派閥の意見をまとめきれず、「竹下派分裂か」と懸念されるほどだった。ギリギリで菅支持を取り付けた竹下氏は「一枚岩」をアピールしたが、かつては全員で同じ弁当を食べて“一致団結、箱弁当”と表現されたほど鉄の結束を誇った竹下派もいまや見る影なし。竹下氏の求心力のなさが露呈した出来事だった。
前出の自民党古参秘書が語る。
「竹下氏は前回(2019年)の島根県知事選で、聖火リレー中止を検討すると表明した丸山知事とは別の候補を支援していた。44年ぶりの保守分裂になって大混乱し、しかも自分の推した候補が負けた責任を取る形で県連会長を退いたのだから、竹下氏は丸山知事を“注意”できる立場にもない(苦笑)」
官邸中枢からも遠ざけられ、地元・島根でも地盤が崩れつつある竹下氏。かつては100人以上を誇った竹下派も、いまや50人あまり。今回の「注意する」発言は、小さくなった猿山のボスが精一杯、存在感を見せようとしたということなのだろうか。
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南海トラフ・相模トラフ連動の巨大地震 高層ビルの揺れ幅は5mにも

2月13日深夜に発生した地震は、津波こそ発生しなかったものの、交通機関を中心に大きな被害が発生。10年前の東日本大震災の記憶を揺り起こされた人も多かったはずだ。 もう二度とあのような悪夢が繰り返されるのはまっぴらごめんだが、政府の発表によれば、「南海トラフ地震」は30年以内の発生確率が70%以上とされている。さらに、それに連動する形で「相模トラフ地震」が立て続けに起き、「スーパー南海地震」となる可能性も指摘されている。もしも、史上最悪の巨大地震がやってきた場合、どんな被害が出るのか、シミュレーションした。 わずか8分で34m級の大津波 ×月×日、東京・新宿。穏やかに晴れた日曜日の午後、JR新宿駅前は多くの人で賑わっている。次の瞬間、各々のスマホから一斉に緊急地震速報の警報音が鳴り響いた。直後、大きな揺れが発生する。 転倒するほどではないものの、怯えた表情で地面に手をついている人もいる。数十秒続いた揺れがようやく収まった頃、新宿アルタの大型ビジョンに、地震関連のニュースが流れ始めた。和歌山県南方沖を震源とする、マグニチュード8.5の南海トラフ地震が発生。東海や近畿、四国では震度7が観測されたというのだ。 和歌山市内ではビルの窓ガラスが割れ、逃げまどう歩行者の姿や、街灯が激しく揺れる様が映し出される。アナウンサーはこわばった表情で、「津波への警戒」を呼びかけている。しばらくするとカメラが切り替わり、静岡県の沿岸部に津波が迫って来る映像になった。高さ30m近い真っ黒な津波が市街地を襲い、ビルを丸ごとのみ込んでいく。 「東日本大震災では、津波の高さは最大で16.7mでした。しかし南海トラフ地震の場合、静岡県では津波の高さが最大30mを超えると予想される地域もあります。これは一般的なビルの8~9階分の高さに相当します。浸水面積は東日本大震災の倍近く、1000平方キロメートルを超えます。これは東京23区の面積の約1.6倍もの地域が浸水すると考えられます」(名城大学特任教授の川崎浩司さん) 浜松市、静岡市、焼津市などの沿岸部の都市はほぼ全域が浸水し、静岡県内だけで約32万棟が被害を受ける。7万人を超える死者が出ることが想定されている。 「政府が発表している津波の想定のなかには、高知県の黒潮町に、地震発生後わずか8分で最大34mの津波が襲うとのシナリオもあります。ただ、震源によっては、静岡県、和歌山県、徳島県などは、もっと早く津波が到達する可能性もあります」(前出・川崎さん)
2月13日深夜に発生した地震は、津波こそ発生しなかったものの、交通機関を中心に大きな被害が発生。10年前の東日本大震災の記憶を揺り起こされた人も多かったはずだ。
もう二度とあのような悪夢が繰り返されるのはまっぴらごめんだが、政府の発表によれば、「南海トラフ地震」は30年以内の発生確率が70%以上とされている。さらに、それに連動する形で「相模トラフ地震」が立て続けに起き、「スーパー南海地震」となる可能性も指摘されている。もしも、史上最悪の巨大地震がやってきた場合、どんな被害が出るのか、シミュレーションした。
わずか8分で34m級の大津波
×月×日、東京・新宿。穏やかに晴れた日曜日の午後、JR新宿駅前は多くの人で賑わっている。次の瞬間、各々のスマホから一斉に緊急地震速報の警報音が鳴り響いた。直後、大きな揺れが発生する。
転倒するほどではないものの、怯えた表情で地面に手をついている人もいる。数十秒続いた揺れがようやく収まった頃、新宿アルタの大型ビジョンに、地震関連のニュースが流れ始めた。和歌山県南方沖を震源とする、マグニチュード8.5の南海トラフ地震が発生。東海や近畿、四国では震度7が観測されたというのだ。
和歌山市内ではビルの窓ガラスが割れ、逃げまどう歩行者の姿や、街灯が激しく揺れる様が映し出される。アナウンサーはこわばった表情で、「津波への警戒」を呼びかけている。しばらくするとカメラが切り替わり、静岡県の沿岸部に津波が迫って来る映像になった。高さ30m近い真っ黒な津波が市街地を襲い、ビルを丸ごとのみ込んでいく。
「東日本大震災では、津波の高さは最大で16.7mでした。しかし南海トラフ地震の場合、静岡県では津波の高さが最大30mを超えると予想される地域もあります。これは一般的なビルの8~9階分の高さに相当します。浸水面積は東日本大震災の倍近く、1000平方キロメートルを超えます。これは東京23区の面積の約1.6倍もの地域が浸水すると考えられます」(名城大学特任教授の川崎浩司さん)
浜松市、静岡市、焼津市などの沿岸部の都市はほぼ全域が浸水し、静岡県内だけで約32万棟が被害を受ける。7万人を超える死者が出ることが想定されている。
「政府が発表している津波の想定のなかには、高知県の黒潮町に、地震発生後わずか8分で最大34mの津波が襲うとのシナリオもあります。ただ、震源によっては、静岡県、和歌山県、徳島県などは、もっと早く津波が到達する可能性もあります」(前出・川崎さん)

「卒業の記念のつもり」で教諭が全裸写真撮影…男子生徒「怖くて何も言えなかった」

埼玉県教育委員会は18日、教え子だった男子生徒の全裸の写真を撮影したとして、県立高の男性教諭(42)を減給10分の1(1か月)の懲戒処分にした。卒業式から2日後の撮影だったため、県教委は原則免職としている教え子へのわいせつ行為ではなく、セクハラにあたると判断し、減給にとどめたとしている。
発表によると、教諭は2019年3月11日、校内で生徒に服を脱ぐよう求め、デジタルカメラで撮影した。約100枚のうち、30枚ほどが裸の写真だったという。
昨年8月、生徒が高校に相談して発覚。生徒は「怖くて何も言えなかった」と話したという。県教委に対し、教諭は「卒業の記念のつもりだった」「断ってもいいと伝えた」と説明したという。

さよなら「ロン」 触れ合いで人気のレッサーパンダ死ぬ

茶臼山動物園(長野市)は17日、レッサーパンダ「ロン」(雄15歳)が16日に死んだと発表した。死因は腸閉塞(へいそく)による胃拡張と誤嚥(ごえん)性肺炎による呼吸不全だった。
同園によると、16日午前9時20分ごろ、死んでいるロンを担当飼育員が発見した。前日まで体調に異変はなかったといい、飼育員は「元気な姿を見せてくれていたので驚いている。非常に残念な気持ち」と肩を落とす。
ロンは2005年6月に同園で生まれ、全国的にも珍しい「触れ合えるレッサーパンダ」として多くの市民に愛された。同園は20日~3月31日、ゾウ舎横の臨時テントに献花台とロンへのメッセージを記入できるノートを設置する。【皆川真仁】

「そんなものは副頭取までなんだよ」住友銀行・元大物頭取の訃報はなぜ伏せられたのか?《尾を引くイトマン事件の怨念》

2月5日、東京・築地本願寺では97歳で天寿をまっとうしたある銀行家の葬儀がひっそりと執り行われていた。住友銀行の頭取、会長を歴任した巽外夫の葬儀だった。
“ラストバンカー”と呼ばれ、昨年9月に亡くなった西川善文(元三井住友銀行頭取)に次ぐ、巽の死によって、戦後最大の経済事件“イトマン事件”に深く係わった住友銀行頭取はいなくなった。
しかし、コロナ禍とはいえ、巽の葬儀はある意味、異様な葬儀だった。かつて大物と呼ばれた銀行家が亡くなったのは1月31日。その事実ばかりか、葬儀の日程など一切マスコミに明らかにされなかった。
家族はなぜ葬儀の公表を拒んだのか
筆者が巽の逝去、そして葬儀を知ったのも偶然からだった。
その日、筆者は取材の関係で通信社幹部と携帯電話で話していた。すると、その通信社幹部がこんなことを言うのだった。
「今、築地本願寺の前を歩いているんだけども、タツミの葬儀をやってるみたいなんだよ……」
かつて金融記者としてならしたその通信社幹部がいう“タツミ”は住友銀行の元頭取、巽に違いなかった。その情報のプロである彼でさえ、巽の逝去を知らなかった。
「タツミ」
と聞かされ筆者の脳裏に浮かんだのは、その表情とともに「まだ生きていたっけ……」というものだった。半信半疑のまま筆者は日経新聞の金融担当幹部に連絡を取った。巽逝去を確かめる為だった。
「エっ? 巽がですか?」
こうした反応でも分かる通り、日経新聞の幹部でさえ、巽の情報を持っていなかった。小一時間してその日経幹部から、「確認が取れました。やはり巽は亡くなっていました」との連絡を貰う。
今回、巽が亡くなったことを公にしないで欲しいと強く望んだのは家族だったという。三井住友銀行側が巽の実績などを踏まえて、マスコミ発表を一切しないことへの難色を示すと、最終的に折り合ったのが葬儀が終わってからの発表というものだった。
バブル期、闇の勢力に飲み込まれた銀行
家族が頑にマスコミ発表を拒んだ理由の一つが、イトマン事件に連なる闇の勢力への恐怖だったという。
巽の名を金融界、産業界に知らしめたのは常務時代から手がけ、自らも「ライフワークだ」とも話していた東洋工業(現、マツダ)の再建だった。米フォード・モーターとの資本提携の橋渡しに始まり、経営の建て直し、そして自ら社外取締役に就任するなどその係わりは20年以上にも及んだ。
後には総合商社「安宅産業」や住友銀行が合併した「平和相互銀行」の残務処理なども手がけて来た。
けれども、何と言っても巽を語る上で欠かせないのが、イトマン事件だった。住友銀行を崖っぷちまで追い込んだイトマン事件の最中に頭取となった巽は最前線で指揮を執り続けた。
許永中、伊藤寿永光といった希代の詐欺師らに食い物にされた住友銀行からは数千億円もの資金が闇の勢力に流れた。その実態に巽は衝撃をうける。それ以上に巽を暗澹たる思いにさせたのは、かつては、後にイトマン事件の主人公となる河村良彦らとともに「磯田(一郎。元住友銀行頭取)さんを頭取にするのが夢だ」とも語り、仰ぎ見ていた磯田の老醜だった。権力欲に塗れ、取り巻きの追従に溺れた哀れな姿だった。
巽はかつての同僚で、イトマン社長となっていた河村を呼び出し、同社に入社させていた不動産担当の伊藤寿永光を切ることを求める。ところが、河村はそれを拒否したばかりか、逆に伊藤を役員に昇格させてしまう。イトマン、住友銀行は釣瓶落としのように闇の勢力に飲み込まれようとしていた。
イトマン、住友銀行を食い物にする許や伊藤らにとって巽は排除すべき存在だった。それからだった。巽に尾行がついたのは。
特攻隊員の生き残りだった巽
巽は特攻隊員の生き残りだった。沖縄に向けて特攻に向かう直前、天候不良で特攻は中止となる。巽は九死に一生を得る。人の死を間近に見続けてきた巽はある意味、諦観の人であったが、一方、胆力、腹の据わりようは尋常ならざるものがあった。
「許永中らは人の弱点を見抜く天才的な詐欺師だった。磯田さんはそこにつけ込まれ、骨の髄までしゃぶられた」
寡黙であっただけに、こう語る巽の述懐は口を挟めぬ迫力があった。巽とは東洋工業(マツダ)救済以来の付き合いのあった元新聞記者によれば、巽への許らの尾行は3カ月にも及んだという。許らは巽の弱点を探し出して黙らせるつもりだったのだろう。
近くのホテルに入って、裏口からタクシーに……
「俺には女なんかいやしないのに」
巽は当時を振り返り、苦笑していたという。しかし、尾行されていた当時は、銀行の通用門から出てはタクシーに乗り、予め数キロ先に待たせていた公用車に乗り換えたりしていた。こんな日常を巽は愚痴をこぼすこと無く続けた。
巽は長野県・蓼科に山小屋風の小体な別荘を持っていた。自ら車を運転しては、妻とともにその別荘で過ごすことが巽は好きだった。その別荘へも尾行はついた。
「一旦近くのホテルに入って、裏口からタクシーに乗って……、面倒なことだったな……」
剛胆な巽は他人事のように呟いていたが、そうしたことを間近に見ていた子供等には目に見えぬ恐怖が知らぬ間に植え付けられていた。巽が会長職にあった時代に起きた名古屋支店長射殺事件(1994年9月)はそうした恐怖を決定的にした。
イトマン事件からおよそ30年。少なくない時間が経過したが、身を以て恐怖を体験した家族から闇の勢力への恐れが消えることはなかった。それがゆえに、巽の逝去を公にすることを頑に拒んだのも、妙な輩が葬儀に来ては困る、という理由からだった。
イトマン事件の呪縛は未だに人の心を縛り付けていた。
「深い怨み」を抱える“伝説のバンカー”
巽の親族とは別に、やはりその呪縛に囚われている人物がいた。その人物は巽逝去の一報に触れ、フェイスブックにこんな書き込みをした。
「元住友銀行頭取の巽がやっと死んだようです。僕は彼には今も深い怨みがあります」
死者に鞭打つような書き込みをしたのは、元住友銀行幹部にして、楽天副会長だった國重惇史だ。
実を言えば、巽の死を間接的に伝えたのは筆者だった。現在、國重は喋ることもままならず、立って歩くことさえ出来ない状態にある。その國重を甲斐甲斐しく面倒を見ているある女性に筆者が巽逝去の一報を伝えたのだった。
2016年に『住友銀行秘史』(講談社)を上梓したことでも話題になった國重は、イトマン事件から住友銀行を救った救世主でもあった。事実、1人で金融当局、マスコミ、検察などを動かし、事件解決の道筋をつけた國重に対し、当時の頭取、巽も直に國重に頭を下げている。
「今回の君の奔走には感謝する。今後も、その馬力(頭脳)でがんばってくれ」(『住友銀行秘史』)
しかし、その救世主を銀行から飛ばしたのも巽だった。すでに家庭を持っていながら、磯田の秘書と情を通じ、子どもまで儲けていた國重の素行に激怒したのが巽だった。その怒りが銀行からの放逐の原因だとされた。
「そんなものは副頭取までなんだよ、國重君」
けれども、それは表向きの理由に過ぎなかった。筆者が巽逝去の2日前に上梓した『 堕ちたバンカー 國重惇史の告白 』(小学館)には“できる”が故に銀行員としては危険と見なされた國重を次のように描いた。
場面は、イトマン事件が終息して数カ月が経過した1991年頃、東京・紀尾井町の料亭の席。國重を接待していたのは頭取の巽だった。
〈当時、住友銀行はイトマンの不良債権の処理をするための受け皿会社をいくつか作っていた。國重は、その1つに出向することを強く希望していた。その会社は名古屋に設置され、主に伊藤寿永光、許永中に食い物にされ、数千億円が闇に消えたと言われる絵画取引の中心になっていた会社だった。國重は、この会社に出向いて、伊藤や許と対峙してみたかった。それを想像するだけで國重の気分は昂揚した。
しかし、銀行はそうした“危険な行員”を望んでいるわけではなかった。國重は感謝する頭取、巽にこう言っている。
「自分の強みは官庁への太いパイプと闇の勢力の情報です。その強みを受け皿会社で生かしていきたいです」
堂々と言う國重に、巽はちょっと困った表情を見せながらこう返事をした。
「そうは言うけども、頭取になる人間にはそんな情報なんか必要ないんだよ。そんなものは副頭取までなんだよ、國重君」
巽にとり、“闇の勢力の情報”などは、所詮、“そんなもの”だったと國重は即座に理解した。そして、口にはしなかったが、巽が言う“そんなもの”のお陰でイトマンは、いや住友銀行は助かったんじゃないか、と。
結局、國重の希望は叶えられることはなかった。國重に下された辞令は本店営業第一部長というものだった。赴任地は大阪。イトマン事件から住友銀行を救った男に報いるとは到底、思えぬ人事だった〉
“闇の勢力”との付き合いが必要な時代は、すでに終わりを告げていた。そんな状況を直接ぶつけ合った巽と國重の会話は、金融界におけるバブル終結を象徴するかのような場面だった。
「たかが女性問題で……、イトマンは僕じゃなければ」
國重は図抜けた才の持ち主だった。
イトマン事件の前段となる「平和相互銀行」の合併劇において、大蔵省(現、財務省)、日銀、検察、そして佐藤茂という平和相互銀行の大株主だが、正体不明な怪人物らを向こうにまわして丁々発止のやり取りをしていたのが、わずか39歳の時だった。
すでにMOF担(大蔵省担当)として伝説ともなっていた國重だったが、平和相互銀行の合併事件、イトマン事件を通じて知らず知らずのうちに“けものみち”に深く入り込んでしまっていた。そこは普通の銀行員が立ち入らぬ場所でもあった。
“けものみち”が常態となっていた國重は、やはり巽の目には“まともな銀行員”とは映らなかった。
「たかが女性問題で……、イトマンは僕じゃなければ処理できなかったじゃないか……」
國重はふとこんな言葉を漏らすことがあった。やはり銀行員であり続けたかった國重にとって、巽は許し難い存在だった。その積年の思いが表出したのが、先のフェイスブックへの書き込みだった。
かつての闇の勢力の恐怖におののき続けた元頭取の一家、かたや今も私怨を抱えて生きる元バンカー。巽の死を以て、國重の自伝的な本でもある『堕ちたバンカー』の出版を以て、イトマン事件というバブルの清算がようやく終わるのだろうか。
ちなみに2月6日の日経新聞の朝刊は巽の逝去を1面4段のスペースで報じた。その最終面の40面には『堕ちたバンカー』の広告がデカデカと掲載されていた。バブルの呪縛はやはり因縁めいている。
(文中敬称略)
(児玉 博/Webオリジナル(特集班))

森喜朗に引導を渡したアメリカの“ラスボス”とは?

2月12日、東京2020オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で引責辞任し、大会中止の秒針がまたひとつ進んだ。辞任に至るドタバタがさらけ出したのは「スポーツ興行主」の国際オリンピック委員会(IOC)が、食い扶持としてのオリンピックを新型コロナウイルス感染対策に優先する本音だ。
森氏の問題発言は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)で飛び出した。森氏は2日に自民党本部でも「コロナがどういう形であろうと(五輪は)やる」と述べ、タレントのロンドンブーツ1号2号の田村淳さんの聖火ランナー辞退を招いている。
オリンピック憲章に反する女性蔑視発言をした森氏を庇ったのは、他ならぬIOCだった。森氏が4日に発言を撤回すると、すかさずIOCは不問に付した。オリンピックを「平和の祭典」だと思っていた世界中の人々を驚かせた。
だが、IOCは9日、「(森氏の発言は)完全に不適切」と、あっさり手の平を返す。前日夜、IOCと組織委の会談で、「最上位スポンサーの反発が強い」と森氏に告げたためと、朝日新聞は伝えた。IOCのスポンサーは契約金と権限でランク付けされ、1業種1社から選ばれた14社の「TOP(ワールドワイド・オリンピック・パートナー)」が最上位だ。TOPであるトヨタ自動車や民泊仲介大手の米エアビーは10日以降、森発言を批判する声明を出している。
「森氏は去るべき」との記事を掲載したサイトとは…
だが、IOCの背中を押した最も大きな力は、アメリカのテレビ局3大ネットワークのひとつ、NBCだ。同社は10日、自社サイトに「森氏は去るべき」との記事を掲載した。直接的に辞任を求める厳しい論説に驚くが、最も影響力があったのは、IOCに対する米NBCの立場だ。
米NBCは14~32年の夏冬のオリンピック放映権料を120億3000万ドル(約1兆2600億円)で契約。IOCの13~16年の総収入57億ドルのうち、放映権料が41億ドル余り、TOPスポンサー料は10憶ドルだ(拙著『オリンピック・マネー』文春新書)。放映権料のうち、米NBCは20億ドルを負担した。つまり、IOCにとって、米NBCは1社でTOPスポンサーの2倍の資金を提供する最上位中の最上位の存在なのだ。
米NBCは19年末時点で、東京オリンピックのCM枠を約12億ドル販売済みだ。18年と20年のオリンピックで米NBCが負担する放映権料は23億8000万ドルのため、半分は回収のめどが立ったはずだった。
ところが、コロナ禍で大会は延期され、CM契約も持ち越された。さらに延期した1年間に世界中で感染が拡大するばかりで、日本人の大半は通常開催が困難と考え、中止の機運が高まってきた。そんな状況での森氏の女性蔑視発言は、CMスポンサー離れを招き、大会中止リスクを高める。米NBCが森氏辞任を後押しし、IOCが手のひら返しで追従する。商売としてのオリンピックの現実がここにある。
IOCの興行主としての本性が世界に暴露された
そもそもオリンピック夏季大会が真夏の7~8月に開かれるのは、米NBCのスポーツ中継のオフシーズンにあたるからだ。また、巨額の放映権料がIOCに振り込まれるのは、大会終了後だ。
つまり、先の森氏同様、IOCのコーツ副会長・東京大会調整委員長が昨年9月、「新型コロナウイルスの有無に関係なく」大会開催を主張したのは、放映権料のためなのだ。 “ラスボス”の米NBCが公然と森氏辞任を主張したことで、IOCの興行主としての本性が世界に暴露された。彼らの態度からは、コロナ禍で生活を律し、感染抑制に努める日本人への気遣いも、コロナ感染抑制への強い意思も、どちらも感じられない。
東京都の小池百合子知事は、IOCと組織委がまとめた選手などの感染対策の冊子「プレイブック」が森氏辞任騒動の陰に隠れていると不満を漏らした。だが、その中身たるやお粗末で、選手間の感染拡大リスクが大きい選手村の同部屋宿泊の抜本的対策は記されていない代物だ。それを知ってか知らずか、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は12日、東京大会開催には「ガイドラインが必要」と指摘した。
3月の聖火リレーの具体的な感染防止策も未だ示さない政府、組織委のコロナ対策の不備、コロナ変異型のリスク、「令和の大政翼賛会」としてオリンピックを資金支援する日本の報道機関などの諸課題は、発売中の『文藝春秋』3月号掲載の「 東京五輪を中止すべき『7つの理由』 」で詳述している。
(後藤 逸郎/文藝春秋 2021年3月号)