「北方領土の日」を前に…ロシアが国後島沿岸で軍事演習強行の思惑

7日は「北方領土の日」。その直前の5日、ロシア軍が国後島沿岸で射撃訓練を開始した。27日まで実施の予定だが、外交オンチの菅首相は関心薄だ。

4日にロシアから軍事演習を通告された政府は、「我が国の立場と相いれない」と抗議したという。ロシアは昨年の改憲で領土割譲を禁止し、4島返還拒否をにおわせてきた。このタイミングでの演習にどのような意図があるのか。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。

「露メディアが1日に報じた前首相のメドベージェフ安全保障会議副議長の発言は決定的でした。〈日本の交渉相手は解決できないと理解しているが、国内コンセンサスに基づくとされる内部方針があり、撤回が許されない〉という趣旨の内容だった。〈交渉相手〉は恐らく安倍前首相を指し、日本政府は返還不可能だと承知の上で交渉を進めていたというのです。事実にしても外交儀礼上、表に出す話ではない。あえて口にしたのは交渉終了を知らしめるためでしょう。北方領土の日を狙い撃ちにした射撃訓練も〈ロシア領に近づくな〉という警告です」

7日開催が恒例の「北方領土返還要求全国大会」はコロナ対応で一般参加なし、ネット生配信と初めて尽くし。根室など全国4カ所をオンラインでつなぎ、菅首相はビデオメッセージで参加する。

「1992年開始のビザなし交流は例年7~9月に実施。2月には準備が始まるのですが、今年は動きがない。昨年はコロナ禍で全面中止。ロシア側はこれを既成事実化し、交流を打ち切るつもりなのではないか」(中村逸郎氏)

北方領土を巡っては、2018年のシンガポール合意で「1956年宣言(日ソ共同宣言)を基礎として平和条約を加速させる」としたため、安倍前首相は2島返還に舵を切ったと批判された。しかし、菅首相は施政方針演説で「これまでの諸合意を踏まえて交渉を進める」と言及。5日の衆院予算委で立憲民主の岡田元外相に「路線は変わったのか。元に戻したのか」などと問われても、菅首相は真正面から答えず、「両国間の文書、合意を踏まえて交渉していく」などと言葉少なにのらりくらり。日ロ首脳会談は19年9月を最後に開かれていない。強まる実効支配に菅首相は目をつむり続けるのか。

「鬼滅」キャラで運転免許証模したカード作って販売…「違法だと思っていなかった」

人気アニメ「

鬼滅
( きめつ ) の


( やいば ) 」などに登場するキャラクターを印刷したカードを作り、無断で販売したとして、茨城県警つくば署などは5日、岡山市北区、インターネット通信販売業の男(42)を著作権法違反の疑いで逮捕したと発表した。
男は2019年12月中旬~20年2月下旬、著作権を持つアニメ制作会社の承諾を受けずに、運転免許証を模した自作のカードを1枚約1000円で販売した疑い。「違法だと思っていなかった」と容疑を否認しているという。

感染装い店員の手を握った男「これでお前も濃厚接触者や」

新型コロナウイルスに感染しているように装い、店舗の業務を妨害したとして富山県警高岡署は5日、富山県射水市、アルバイト従業員の男(56)を威力業務妨害の疑いで逮捕した。
発表によると、男は同日午前10時頃、高岡市内の店舗の店員に対し、「PCR検査を受けてきた。これでお前も濃厚接触者や」などと言って手を握り、同店の接客を中断させるなどして業務を妨害した疑い。
男は「そのようなことは言っていない」と否認している。感染を疑うような症状はなく、濃厚接触者にも特定されていなかったという。

中国の海警局船が尖閣領海に侵入 武器使用の法施行後2日連続

第11管区海上保安本部(那覇)は7日、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に午前3時50分ごろから、中国海警局の船2隻が侵入し、大正島の南南東約22キロの海上で、航行していた日本漁船1隻に船首を向けて接近しようとする動きを見せたと発表した。中国海警局の武器使用を認める海警法が1日に施行後、中国当局の船が尖閣周辺の領海に侵入したのは2日連続。
11管によると、日本漁船には5人が乗っており、海保が漁船の周囲に巡視船を配備し、安全を確保した。領海から出るよう海警局船に警告。2隻は7日午前9時10分ごろ、相次いで領海外側の接続水域に出た。

森喜朗会長「女性は話が長い」に「私のこと」とラグビー協会初の女性理事・稲沢裕子さん

日本ラグビー協会初の女性理事、昭和女子大特命教授の稲沢裕子さん(62)が6日までに取材に応じ、森喜朗会長(83)が女性蔑視(べっし)発言の中で、同協会理事会の議事進行に倍の時間がかかったと述べた点について、「直感として私のことを指摘されているのかなと思った」と語った。
稲沢さんは、森氏が同協会会長だった2013年に理事就任。ラグビーに詳しい理事が多い中で「私が素人の視点で質問して時間は延びたと思う」と振り返った。だからといって「女性が会議を長引かせるのかといったら、全然イコールではない」と訴える。
森氏がJOC臨時評議員会で発言した際、笑いが起きたことに触れ、過去の自分なら「心の中ではおかしいと思っていても一緒になって笑っていたと思う。声を上げることで『また女は』と言われることを避けようとしてきた」と明かす。
ラグビー協会の会長当時、森氏が女性を差別するような振る舞いはなく「森さんに女性を蔑視している意識はないだろう。それでもあの発言が出たのはアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)があるから」と指摘。森氏だけの問題でなく「この根強い偏見に気付き、変えていくことが日本社会にとって大事」と願った。

北富士演習場でまた火災 米兵訓練中に下草に火

防衛省南関東防衛局は6日、陸上自衛隊北富士演習場(山梨県富士吉田市、山中湖村)で同日午前11時40分ごろ、下草火災が発生したと発表した。約14ヘクタールを焼き、午後3時40分に鎮火が確認されたという。同演習場では在沖縄米海兵隊が実弾射撃訓練を実施しており、射撃によって下草に火が付いたとみられる。
同演習場では4日にも射撃が原因とみられる下草火災が発生している。訓練には米海兵隊約200人が参加し、14日までの訓練期間中、155ミリりゅう弾砲などの射撃訓練が予定されている。【山下俊輔】

「“性差別”高速で時速320キロのスピード違反」森喜朗氏“女性蔑視発言”を海外メディアはこう報じた

「女性がたくさん入っていると会議は時間がかかる」――。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が2月3日、JOC(日本オリンピック委員会)臨時評議員会でした発言は、瞬く間に国内外で報道され、「性差別的」と猛批判を受けた。ただでさえ、新型コロナウイルスの流行が収まらない中での東京五輪・パラ開催に暗雲が立ち込めていたが、また一つ悩みの種を抱えることとなった。
首相退任も失言がきっかけだった
これまでも失言続きだった森会長。首相時代の2001年2月、高校生ら9人が死亡したえひめ丸事故では、一報を受けてもゴルフを続けたことを非難されると「私が(官邸に)行かないことで、何が遅れたのか」と開き直った。これも世論の反感を買い、森政権は退陣に追い込まれた。
女性蔑視発言の前日には、自民党本部の会合で、コロナ禍で開催が危ぶまれていることについて「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」と述べたのも、「世論軽視」と炎上した。
3日のJOC臨時評議員会。問題の女性蔑視発言が出たのは、JOCが女性評議員を増やすことについて話し合われているときだった。
「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。だけど女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手を挙げて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね」
参加者からは笑いが起こったという。
「#Moriresign(「森は辞任しろ」)」も拡散
発言はすぐさま国内外で発信され炎上。米紙ワシントンポストは「(森会長が)女性は会議で話が長くて迷惑だと発言」と発信。同じく米紙のニューヨークタイムズも「女性の制限を示唆」、ロイター通信も「東京大会トップの森会長が性差別発言」と伝えるなど、各メディアが森会長が女性を蔑視していると厳しく報じた。
翌4日に、森会長が謝罪会見を開き、発言を撤回しても、ワシントンポスト紙は「『反省』の意を表明したが、時折笑顔も見せていた」と皮肉った。森会長が会長職を辞退するつもりはないと述べたことについて、BBCはSNS上で「#Moriresign(「森は辞任しろ」の意)」というハッシュタグも出回っていると報じた。
「大ポカを繰り返すことで知られる」と仏メディアは紹介
数ある海外メディアの報道の中でとりわけ痛快だったのは、仏フリーペーパーの「ヴァンミニュツ」。森会長の発言を「“性差別”高速道路を時速320キロのスピード違反で走り、速度取り締まり機に引っかかった」と表現。「頼まれてもいないのに」持論を語ったとしている。森会長については「大ポカを繰り返すことで知られる」と紹介した。
国内の新幹線で最高速度が出る東北新幹線「はやぶさ」と、フランスの高速鉄道TGVはともに最高時速が320キロ。高速道路を新幹線並みのスピードで走ったら、世界中どこでも一発アウトだろう。
謝罪会見で記者から「組織委員会の会長をされるのは適任なんでしょうか」と問われた森会長は、こう答えた。「さあ。あなたはどう思いますか」。世界中の人は森会長の発言をどうとらえただろうか。
(村田 珠里/Webオリジナル(特集班))

東京五輪は開催すべきなのか? 懸念される“3つのリスク”「追加費用、感染爆発」あと1つは?

新型コロナウイルスの世界的流行で延期された東京2020オリンピック・パラリンピック。国際オリンピック委員会(IOC)と東京2020組織委員会は延期決定から半年が過ぎても、選手や観客の感染防止対策と追加費用の負担先を明らかにしないまま、なし崩しで開催を強行しようとしている。
世界最大のスポーツイベントの興行主としての利益を再優先するIOCの驕慢を許せば、「コロナ禍を克服した象徴」としてのオリンピック開催により、日本は3つのリスクに見舞われることになる。
「早い段階でお示ししたい」
組織委は9月25日に行われたIOCと大会経費削減についての会合後の記者会見で、オリンピック1年間延期に伴う追加費用を公表しなかった。理由として、「コロナ対策をどのようにやっていかなければならないのか、大変難しい課題」が解決していないことを挙げた。
IOCのコーツ調整委員長は会合前、「新型コロナウイルス感染症があろうとなかろうとオリンピックを開催する」と発言し、バッハ会長もワクチンなしの開催に言及していた。
武藤敏郎組織委事務総長も7月末、英BBCのインタビューで「ワクチンなしで開催できないわけではない」と述べた。3月には「世界保健機関(WHO)の助言に従う」(バッハ会長)と述べていたはずが、IOCも組織委も感染症対策に頬かむりし、開催ありきで動いている。
IOC幹部の強気の裏にはツール・ド・フランスの成功
IOC幹部の強気の発言は、8月末~9月の自転車レース「ツール・ド・フランス」実施を受けたものだ。100年の歴史の中で、戦争以外で中止されたことがない同大会はコロナ禍で2カ月延期後、開催された。IOCはこれを「成功」と受け止め、バッハ会長は10月7日、「今もスポーツの大会が開かれ、(コロナ下でも)実施できると分かってきた」と述べた。
だが、ツール・ド・フランスは大会委員長が、コロナの陽性反応で運営から外れ、大会後に「最後までたどりつけないのではないかと恐れていた」と話すなど、実際は見切り発車に過ぎなかった。
同レースのコロナ対応は選手176人、スタッフの一団を隔離し、定期的なPCR検査を義務付け、7日間で2人が陽性のチームは失格する厳しいものだった。これは、自転車だけの1競技で人数も少ないため可能な対応だったが、それでもスタッフや取材記者に複数の陽性者が確認されている。選手がリタイアしたり、レースが中止されたりしなかったのは僥倖に過ぎない。
一方、東京2020オリンピックは33競技・339種目で約1万1000人、パラリンピックは22競技・539種目で約4400人。選手だけで1万5000人にのぼる。東京2020大会でツール・ド・フランス同様の防疫体制を整えれば、それだけで巨額の追加費用が発生する。
さらに、観客を入れ、11万人にのぼるボランティアの感染対策を加えれば、コロナ禍を想定していなかった大会予算を大きく上回るのは確実だ。追加費用は数1000億円にのぼるとみられているが、組織委に負担する財政的能力はない。
“追加費用”は都民の負担に…
だが、IOCと組織委が10月7日にようやくまとめた延期に伴う大会経費削減は約300億円だけ。IOCは早い段階で自身の追加負担は約700億円までと表明している。追加費用が足りないのは明らかなのに、IOCと組織委に焦りが見られないのは、オリンピック独特の財政ルールのためだ。
開催都市契約は費用負担を組織委と東京都に義務付けている。IOCは用意周到に、都が万一負担できなければ、日本政府が債務保証する約束を取り付けている。
300億円しか節約できない組織委が追加費用を負担出来ないのは明らかだ。都も預貯金にあたる財政調整基金約1兆円のほぼ全額をコロナ対策で使い切る寸前だ。コロナ禍で税収減は確実なため、追加費用は都が公債発行で負担するしかない財政状況だ。つまり、将来的には都民が地方税増税や行政サービス低下の形で、オリンピックの追加費用を支払うことになる。
国民負担も既に巨額にのぼる。オリンピック招致時に約7300億円だった大会費用は既に1兆3500億円に膨らんだ。だが、会計検査院はオリンピック関連で国の支出は2018年度までに1兆600億円にのぼると指摘。
招致後に関連予選が増えた組織委と都の負担分を合わせると関連経費は総額3兆円を超える。このうえ、オリンピック関連でのPCR検査数を増やすなどの対策を取れば、追加費用は数1000億円で済まないだろう。
だが、オリンピック招致段階で、「日本国政府及び東京都は、大会組織委員会の費用負担なしに、大会に関係するセキュリティ、医療、通関、出入国管理その他の政府関連業務を提供する」との保証をIOCに提出している。
つまり、IOCと組織委はコロナ対策の追加費用の大半の支払いを逃れられ、政府は追加費用をコロナ対策予算に混ぜることが出来るのだ。追加費用を未だに公表しないのは、なし崩しで都民・国民に白紙の請求書を回す行為に等しい。
IOCに呼応して、経済効果を理由にオリンピック開催を求める声も国内で強くなっている。自民党の観光産業振興議員連盟(会長・細田博之元幹事長)は10月5日、政府に対し、選手や競技関係者、観客など全員を対象に新型コロナウイルスの検査を実施する態勢を整えるよう要望。細田氏は「無観客でやるなどということは考えられない。閑古鳥の五輪・パラとなれば、日本経済は大変な打撃を受けるだろう」と述べた。
しかし、この発言は経済学上全くの誤りだ。
まず、大会を無観客で開こうが、中止しようが、オリンピック関連費用の大半は既に支出済みだ。今さら取り戻しようもない費用は、経済学で「サンクコスト」(埋没費用)と呼ばれる。過去の支出を将来の損得の判断材料にしてはならない。
また、オリンピックの経済効果は2018年がピークと日銀などが分析している。大会を中止したとしても、経済効果の大半は既に終わっている。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「オリンピックというのはスポーツイベントとしては非常に重要だけれども、経済のイベントとしては日本経済に与える影響は限定的」と指摘する。
オリンピックの費用負担と効果の検証がないまま、追加費用を都民・国民へ負担転嫁することこそ、オリンピック強行開催の最大のリスクだ。
2つ目のリスクは“感染爆発”
2つ目のリスクは、オリンピックが引き起こす内外の感染爆発だ。
そもそも、政府も組織委もIOCもオリンピックで選手、観客の感染防止がどうすれば可能なのか具体策を示していない。オリンピックがクラスター(感染者の集団)を作るリスクは大きい。
その一因が、オリンピック開催強行に伴う入国規制の緩和だ。
政府と組織委はオリンピック選手に対し、入国後2週間の自主隔離を義務付けない方針だ。出国元の陰性証明を条件としているが、PCR検査の精度は100%でなく、陽性者が陰性と出る「偽陰性」もある。しかも、これはあくまで検査時点の状態を示すもので、検査後に陽性となったり、飛行機や船などの移動中に感染したりする可能性は否定できない。このため、世界各国は入国後の隔離を行ってきたが、日本は根拠なく制限を緩和しようとしている。
しかも、入国した選手が都道府県のホストタウンに移動することも認めている。ツール・ド・フランスの厳しい防疫体制とは真逆の姿勢だ。
また、相手国の検査を真正とする前提も無謀だ。
オリンピックは、ドーピングに手を染める選手が後を絶たないのが現実だ。世界ドーピング防止機構(WADA)は2017年、1804件、114カ国・地域の選手を処分した。コロナの陰性証明を偽装したり、発熱を隠したりする選手、国がないと考えるのは無謀だ。ドーピングと異なり、他の選手や日本国内への感染拡大を招きかねない。
選手村もクラスターになる可能性
オリンピック選手村もクラスターとなる恐れがある。
IOCはオリンピック憲章で「すべての競技者、チーム役員、またその他のチームスタッフが1カ所に集う」場所として、オリンピック村を位置づけている。オリンピックは単なる競技大会ではなく、スポーツを通じて平和を実現するオリンピズムを広める運動であり、その場のひとつがオリンピック村だ。
だが、東京2020大会のオリンピック村の宿泊施設の多くは、マンションの一室を分割する形で提供されている。1室にベッド2床の部屋が基本で、リビング1部屋を複数の選手がシェアする形態が多い。
また、食堂は2階建てのメインダイニングに4500人を収容する形だ。政府と都、組織委は10月9日、食堂の人数制限や座席の削減、テーブルへのアクリル板設置、選手の交流拠点の入場制限を打ち出したが、それで十分なのか。
米疾病対策センター(CDC)や学術誌サイエンスは10月、新型コロナウイルスは空気中の微粒子(エアロゾル)を介して空気感染すると発表した。感染制御学などが専門の愛知県立大学・清水宣明教授は「世界で感染拡大が続いており、現時点でオリンピック開催を判断できる状況にない。
空気感染対策が必要なのは、日本流の十分と思える対策下でもプロ野球や興行、そしてなにより感染制御の専門家集団が運営する病院でさえ、感染が相次ぐ事実で明らかだ。まして行動様式が日本と異なる海外の選手を日本流で感染防止するのは困難だ。世界保健機関(WHO)がパンデミック終息を宣言していないのに、IOCや政府、組織委は何を根拠に開催してよいと判断できるのか」と指摘している。
最後のリスクは、オリンピックの倫理と価値の棄損だ。
新型コロナウイルスのワクチンは世界中で開発が進められ、早ければ年末にもワクチン接種は始まるが、オリンピック開催までは世界の人口の一部に供給が限られている。
このため、世界各国は医療従事者や高齢者、基礎疾患を持つ人、介護福祉従事者にワクチンを優先的に接種することを検討しており、若くて頑健なオリンピック選手は本来、後回しにされる対象だ。
ワクチン接種は誰から行うのか?
ただ、オリンピック選手はコロナに感染しないわけではない。
日本政府の入国時の隔離免除やホストタウンへの移動、オリンピック村での集団生活を考えると、ワクチン接種が望ましい。だが、感染時に死亡率が高い高齢者や基礎疾患を持つ人より優先すべきなのか。オリンピック開催強行は、IOCだけでなく、日本人の倫理が問われる。
逆に言えば、基礎疾患のある選手も参加するパラリンピックはワクチン接種が不可欠だが、ワクチンの安全性は通常、数年単位で副作用を確認する。接種しないリスクが接種時のリスクを下回らない限り、ワクチンは強制できるものではない。ワクチン接種を義務化した結果、副作用で選手生命を奪われる恐れもあるからだ。
実際、IOCのコーツ調整委員長は、ワクチン接種をオリンピック参加資格とするか、発症時の出場停止を規則化できるかは、各競技団体で未定としている。コロナをどう防ぎ、どうやれば安全に競技が行えるか、具体策を示さないまま、IOCが開催を叫んでいるだけだ。
欧州では10月、感染拡大のため再び都市封鎖する国が相次ぎ、2020年冬に収束するかどうかは誰にもわからない。それを逆手に取り、IOCは来年のオリンピック開催時の状況が誰にも見通せないと、開催判断の先送りを正当化し続けてきた。
しかし、コロナは現在も世界で感染拡大が続いている。来春、オリンピック予選にこぎつけることが出来たとして、選手の練習不足は否めない。流行が収束しなければ参加できない国・地域も出かねない。IOCはオリンピックを「世界最高のスポーツ大会」と称し、放送権料を釣り上げてきた。万全でない状況で、一部の国のみの選手が参加するオリンピック開催は、オリンピズムを逸脱した自己否定ではないか。
1908年ロンドン大会で、英米選手の対立を諫めようと、聖パウロ教会で米人司教が説いた言葉に触発されたIOCのクーベルタンが「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである」と伝え、オリンピックが世界に広まる大きな原動力となった。
ところが今のIOCと組織委、日本政府は「オリンピックは開催することに意義がある」と言わんばかりだ。11月2日にはボクシング世界戦が選手の新型コロナ陽性反応で中止に追い込まれ、改めて感染防止の難しさを示した。おざなりな“感染対策”でオリンピックを強行し、選手や観客の健康を危険にさらすことは許されない。そうなれば、オリンピックの価値は地に落ちるだろう。
(後藤 逸郎/文春ムック 文藝春秋オピニオン 2021年の論点100)

日本マクドナルド・原田元社長を逮捕 歌手の妻・谷村有美に暴行容疑

自宅で妻に暴力を振るったとして、警視庁渋谷署が「日本マクドナルド」元社長の原田泳幸容疑者(72)を逮捕したことが6日、同署への取材で分かった。認否を明らかにしていない。

妻はシンガー・ソングライターで歌手の谷村有美(55)。逮捕容疑は5日、都内の自宅で谷村の足を殴るなど暴行した疑い。ゴルフの練習器具で殴りつけたとの情報もある。谷村とは2002年に結婚した。

同署によると、谷村から通報を受け、原田容疑者に事情を聴いていた。詳しい経緯を調べている。

原田容疑者は電子機器大手「ヒューレット・パッカード」などを経て1997年、アップルコンピュータ日本法人の社長に就任。その後、日本マクドナルドの社長となり「マックからマックへ」などと話題になった。教育大手「ベネッセホールディングス」でも社長を務めるなど“プロ経営者”として知られる。2019年から、タピオカ入りミルクティーなどの専門店を展開する「ゴンチャジャパン」の会長兼社長に就任。先月には雑誌のインタビューに「(ゴンチャは)30年前のアップルに似ている」と話し、コロナ禍でタピオカブームに陰りが見える中での経営に前向きな姿勢を見せていた。

日本マクドナルドでは、創業者の藤田田社長が退任した後の混乱から短期間で経営を立て直した。しかし、改革のマイナス面がその後表面化し、業績が悪化。ベネッセでは就任直後の14年に約2895万件の個人情報漏えいが発覚。信頼回復や体制の立て直しはならず、16年5月に退任した。会見では「道半ばで断腸の思いだ」と声を詰まらせたが、その経営手腕を疑問視する声も多かった。

《谷村「信じるものに救われる」などヒット》谷村は“クリスタルボイス”と呼ばれるほど透明感のある爽やかな歌声が特徴。1986年に、当時のCBSソニーによるオーディションでグランプリを受賞し、87年にデビュー。「がんばれブロークン・ハート」(89年)、「信じるものに救われる」(95年)などのヒットを放った。他にもラジオDJや、エッセー本の出版など、多方面でマルチな活動を行ってきた。共通の友人の紹介で当時アップルコンピュータの社長だった原田容疑者と出会い、数年の交際を経て2002年に結婚。超玉の輿(こし)婚として世間から祝福された。その後は家庭を優先し、09年のベストアルバム「タニムラベスト」以来、リリースはしていない。

◆原田 泳幸(はらだ・えいこう)1948年(昭23)12月3日生まれ、長崎県佐世保市出身の72歳。東海大工学部通信工学科を卒業。97年、アップルコンピュータ・ジャパンの社長兼米国アップルコンピュータ副社長に就任。その後2004年に日本マクドナルドホールディングス社長兼CEO、14年にベネッセホールディングス会長兼社長、19年からゴンチャジャパン会長兼社長兼CEOを務める。

接種の開始、39市区が4月上旬 27市は「医師めど立たず」

新型コロナウイルス感染症を巡る共同通信調査で、47都道府県庁所在地の自治体のうち39市区が、住民の中で最初に行われる65歳以上の高齢者へのワクチン接種を開始する時期について「4月上旬」と見込んでいることが6日分かった。5市はめどが立たないとした。集団接種会場での医師らの確保の現状を問うと「めどが立っていない」が27市に上った。
4月上旬開始とした市区にも「国の方針に従い間に合わせるしかない」(長崎市)との声もあり、状況次第でずれ込む例も出そうだ。調査は2~5日、47都道府県庁所在地(東京は都庁のある新宿区)を対象とした。