菅義偉・首相は1月18日、コロナワクチン接種の総合調整を行なう「ワクチン担当相」に河野太郎・行革相を起用する人事を発表した。その翌日には、菅首相は河野氏とともに小泉進次郎・環境相を官邸に呼んでワクチン対応を協議し、進次郎氏を河野氏の事実上の“補佐役”に任じた。 河野氏のワクチン担当相起用は政権の屋台骨に亀裂を広げている。大いに不満を鳴らしているのが菅首相の後見人でもある二階俊博・自民党幹事長だ。 「党は人材豊富だが、とりあえず河野君だけでいい」 会見で二階氏は“とりあえず”と人事を渋々認めたものの、ワクチン接種のスケジュールをめぐる河野氏と坂井学・官房副長官の官邸内バトルが勃発すると、“そら見たことか”といわんばかりに、「論評するに至らない。発言を片方が取り消すとか面倒くさい。よく調整してもらいたい」と、突き放した。 二階氏は河野起用の裏に菅首相の“叛意”を感じて警戒している。いまや菅首相と二階氏の関係は急速に冷えつつある。 内閣支持率が急落すると二階氏は距離を置き、ポスト菅の総裁選に野田聖子・幹事長代行を擁立する構えを見せたからだ。 「とにかくこの悪いムードを変えないと選挙を戦えない。そのためには憲政史上初の女性首相とか思いきったことが必要だと二階さんは考えている。野田後継なら選挙はなんとかしのげる」 二階派幹部からそうした情報が流され、党内でも野田氏がポスト菅の有力な総理・総裁候補との見方が広がっていた。ところが、菅首相が「河野カード」を切ったことで目算に狂いが生じた。「ワクチン担当相」という人事一つで、河野氏が野田氏に代わる有力な次期首相候補としてクローズアップされたからだ。政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。 「このまま支持率が回復しなければ、菅首相は9月の自民党総裁選への出馬は見送らざるを得なくなる。“万が一”に備えて後継者として河野氏を擁立し、河野首相・小泉官房長官コンビで総選挙を戦うシナリオも念頭にあるのではないか。党内基盤に乏しい菅首相が退陣後も党内に影響力を残すにはその選択肢しかない」 河野氏にとっても二階氏は人事で“煮え湯”を飲まされた相手だ。 「昨年の菅内閣の組閣の際、菅首相はいったん河野氏を総務相に“内定”して地方創生を担わせようとしたが、二階氏の横槍で土壇場で当時、国家公安委員長だった二階派の武田良太氏が総務相に“昇格”、河野氏は外相から格下の行革相に回ることになり、『ハンコ廃止』というパフォーマンスに走らざるを得なかった」(自民党幹部)
菅義偉・首相は1月18日、コロナワクチン接種の総合調整を行なう「ワクチン担当相」に河野太郎・行革相を起用する人事を発表した。その翌日には、菅首相は河野氏とともに小泉進次郎・環境相を官邸に呼んでワクチン対応を協議し、進次郎氏を河野氏の事実上の“補佐役”に任じた。
河野氏のワクチン担当相起用は政権の屋台骨に亀裂を広げている。大いに不満を鳴らしているのが菅首相の後見人でもある二階俊博・自民党幹事長だ。
「党は人材豊富だが、とりあえず河野君だけでいい」
会見で二階氏は“とりあえず”と人事を渋々認めたものの、ワクチン接種のスケジュールをめぐる河野氏と坂井学・官房副長官の官邸内バトルが勃発すると、“そら見たことか”といわんばかりに、「論評するに至らない。発言を片方が取り消すとか面倒くさい。よく調整してもらいたい」と、突き放した。
二階氏は河野起用の裏に菅首相の“叛意”を感じて警戒している。いまや菅首相と二階氏の関係は急速に冷えつつある。
内閣支持率が急落すると二階氏は距離を置き、ポスト菅の総裁選に野田聖子・幹事長代行を擁立する構えを見せたからだ。
「とにかくこの悪いムードを変えないと選挙を戦えない。そのためには憲政史上初の女性首相とか思いきったことが必要だと二階さんは考えている。野田後継なら選挙はなんとかしのげる」
二階派幹部からそうした情報が流され、党内でも野田氏がポスト菅の有力な総理・総裁候補との見方が広がっていた。ところが、菅首相が「河野カード」を切ったことで目算に狂いが生じた。「ワクチン担当相」という人事一つで、河野氏が野田氏に代わる有力な次期首相候補としてクローズアップされたからだ。政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。
「このまま支持率が回復しなければ、菅首相は9月の自民党総裁選への出馬は見送らざるを得なくなる。“万が一”に備えて後継者として河野氏を擁立し、河野首相・小泉官房長官コンビで総選挙を戦うシナリオも念頭にあるのではないか。党内基盤に乏しい菅首相が退陣後も党内に影響力を残すにはその選択肢しかない」
河野氏にとっても二階氏は人事で“煮え湯”を飲まされた相手だ。
「昨年の菅内閣の組閣の際、菅首相はいったん河野氏を総務相に“内定”して地方創生を担わせようとしたが、二階氏の横槍で土壇場で当時、国家公安委員長だった二階派の武田良太氏が総務相に“昇格”、河野氏は外相から格下の行革相に回ることになり、『ハンコ廃止』というパフォーマンスに走らざるを得なかった」(自民党幹部)
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午後8時以降営業の居酒屋、「行政罰」に反発 「対策徹底、過料は社員のやる気奪う」
京都府を含む10都府県での新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の1カ月延長が2日に決まり、時間短縮営業を余儀なくされている飲食店の苦境脱却はさらに遠のいた。国会で3日に成立する見通しの同法改正案では、時短営業の命令に応じない事業者に過料を科すことが可能となる。飲食業界への逆風が一段と強まる中、一部の店舗からは反発の声も上がる。 「夜の飲食店だけがなぜ悪者なのか」。京都市内で居酒屋業態の5店舗を経営する会社の社長は、憤りを隠さない。雇用している従業員はアルバイトを含めて約60人。社長は2回目の緊急事態宣言で京都府が追加発令された1月14日以降、2店舗の時短を取りやめて午後6時~午前0時の通常営業に戻した。 府が営業終了を要請する午後8時以降は、今も客が途切れず来店する。「夜に外食できる場所がなく困っている人が多い。今は逆にお客さんから感謝される」。社長が疑問視するのは、日中に人が集まる店舗などが黙認され、夜間の飲食営業だけに自粛を求める対応だ。「短期集中でロックダウン(都市封鎖)をするなら理解できる。納得できない政策に対し、心情的に従えない」と話す。 目下の心配は、新型コロナ特措法改正で新設される「まん延防止等重点措置」。発令後に時短営業の命令を拒めば過料が科される恐れがあるためだ。 京都市内で複数の居酒屋チェーンを運営する別の企業も、本店のみで午後8時以降の営業を続ける。70人以上の従業員を雇う社長は「店の感染対策は徹底している。このままでは社員がやる気を失ってしまう」と、行政罰を科す政府の改正案に強く反発する。 昨年末から新酒の仕込みがピークを迎えていた清酒業界も打撃が及ぶ。伏見酒造組合(伏見区)によると、昨年12月に詰めた日本酒が飲食店向けに出荷できず、在庫が大量に発生。1月の出荷量が前年比9割以上減った蔵元もあるという。同組合の増田徳兵衛理事長は宣言延長に理解を示しつつ、「酒類提供が午後7時までに制限された現状が続けば厳しい。日本酒を好む中高年層が夜間出歩かなくなる」と憂慮する。 地元企業の苦境がさらに続く中、京都商工会議所の塚本能交会頭は2日、宣言延長について「重症者数の高止まりと病床の逼迫(ひっぱく)度合いも改善されておらず、やむを得ない」とした上で、苦しい経営が続く事業者に対し「事業継続と雇用の維持を最優先課題とし、全力で支援する」とコメントした。
自転車の水路転落事故多発 6年で14人死亡 柵や蓋設置できず 奈良
自転車乗車中に河川や水路に転落して死亡する事故が奈良県内で相次いでいる。現場を訪ねると、いずれも転落を防ぐための柵や蓋(ふた)などが設置されておらず、周辺の注意喚起も十分になされていない実態が明らかになった。自治体などが対策を急ぐが、直接的な転落防止につなげるには課題もあるようだ。県警は不慮の事故を防ごうと、注意を呼びかけている。【小宅洋介、林みづき】
2020年12月6日午前0時ごろ、奈良市六条2の乾川(幅約5・3メートル、深さ約3・5メートル、水深約7センチ)で、自転車に乗っていた市内の男性(当時72歳)が誤って転落し、死亡する事故が起きた。11月22日午前4時10分ごろには、天理市小田中町の珊瑚珠(さんごじゅ)川(幅約2・1メートル、深さ約1・5メートル、水深約25センチ)の中で、近くに住む男性(同58歳)が自転車と一緒に倒れているのが見つかった。いずれも死因は窒息死だった。
県警交通企画課によると、20年の交通死亡事故で最も多かったのが「自転車乗車時の事故」で、死亡した6人中5人が「河川・水路への転落」によるものだった。過去6年間に同様の事故で亡くなった人は計14人に上る。20年に5人が亡くなった河川・水路には、いずれも転落を防止する蓋や柵が設置されていなかった。
こうした安全対策が進まないのには理由がある。乾川を管理する県奈良土木事務所によると、事故が起きた川の横の道は、水防活動や河川点検時に利用される「河川管理用通路」にあたる。近隣住民が日常的に利用しているものの、道路法上の「道路」とは区別されるため、柵やガードレールなどが設置されていないという。一方、珊瑚珠川は農業用水としても利用されており、川沿いの道を管理する天理市によると、堆積(たいせき)土の撤去や農繁期前の草刈りなど、川の維持管理に支障があるため、柵や蓋を設置できないという。
県警によると、5人が亡くなった河川・水路に関して、注意を促す看板や路面に埋め込む目印「道路鋲(びょう)」を設置するなど間接的な対策を講じた自治体もあるが、いずれもガードレールや蓋の設置といった直接的な転落防止策を進めるには至っていない。担当者は「まずはこうした事故が起きていることを知ってもらい、自転車の安全運転を心がけてほしい」と話している。
市道で「クマが歩いている」通行人が110番…例年なら冬眠の時期
1日午後6時30分頃、宇都宮市横山の市道で、通行人から「クマが歩いている」と110番があった。近くでクマが荒らした形跡はなく、けが人もいなかった。
宇都宮東署によると、クマの体長は約1・2メートル。現場は横山町下公民館付近で、約70メートル先には住宅街がある。クマは近くの山林に入っていったという。近くの同市立伏町でも1月30日、道路を横断するクマが目撃されたが、捕獲されていない。
県自然環境課によると、同市内では昨年11月、新里町で1頭捕獲されたが、ほとんど目撃情報はなく、珍しいという。例年であれば冬眠している時期だが、ドングリの不作など秋にえさを蓄えられないことで冬眠できない年もあるといい、同課は「もし目撃したら音を出さず、静かに離れて」と話している。
「女児用パンツを見せつける」事案が相次ぐ…不審者だけど「犯罪」にあたるの?
「女児用パンツ」でメガネをふく様子を見せつける。コロナ禍で不要不急の外出を控えるよう、国や自治体が呼びかける中で、そんな「不審者」が北海道であらわれた。 札幌テレビ放送(1月30日)によると、恵庭市の路上で1月27日夕方ごろ、男性がポケットからサクランボ柄の「女児用パンツ」を取り出して、小学生低学年の女児にメガネをふく様子を見せつける事案が発生した。 恵庭市内では1月26日にも、別の女児が同じような被害にあっているという。同様の不審者は、恵庭市の隣に位置する千歳市でも目撃されている。千歳市では1月22日に女児用パンツを子どもに見せるという事案が発生していた。 日本不審者情報センターが、3件とも注意喚起をおこなっているが、「小学校の下校時間に近い午後3時半から4時ごろの発生」「目撃された男性はいずれも20歳~30歳くらい」「黒色のジャンバー様のものを着ていた」など共通点があり、同一人物の可能性もありそうだ。 女児用パンツを見せつける人物が不審者なのは間違いなく、見せつけられた子どもの気持ちを考えれば、何かしらの対応も必要だろう。では、こうした行為は犯罪にあたるのだろうか。刑事事件や迷惑防止条例にくわしい鐘ケ江啓司弁護士に聞いた。 ●迷惑防止条例が定める「卑わいな言動」に当たる可能性ある 女児用パンツを見せつける行為は犯罪なのでしょうか。 公然わいせつ罪の成立は難しいと思いますが、「北海道迷惑行為防止条例」違反には当たり得ると思います。この条例は「卑わいな言動」を禁止しています(同2条の2第1号ウ)。 改正前の条例について、最高裁は、「卑わいな言動」について、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」と定義しています(最高裁平成20年11月10日決定)。 また、同条規定の「公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、正当な理由がないのに、著しく差恥させ、又は不安を覚えさせるような」と相まって、日常用語として、「卑わいな言動」を合理的に解釈することが可能だとしています。 私の手元にある「北海道迷惑行為防止条例逐条解説(平成29年5月施行改正版)」でも、「卑わいな言動」について、「いやらしく、みだらな言語、動作で、通常人の性的差恥心を害し、嫌悪感を催させ、又は不安を覚えさせるに足りる言語、動作」としています。 最高裁判例と同じ趣旨とみていいでしょう。 したがって、今回の男性の行為が「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」であり、かつ、被害者を著しく差恥させ、被害者に不安を覚えさせるような言動と評価されれば、迷惑行為防止条例違反になります。
「女児用パンツ」でメガネをふく様子を見せつける。コロナ禍で不要不急の外出を控えるよう、国や自治体が呼びかける中で、そんな「不審者」が北海道であらわれた。
札幌テレビ放送(1月30日)によると、恵庭市の路上で1月27日夕方ごろ、男性がポケットからサクランボ柄の「女児用パンツ」を取り出して、小学生低学年の女児にメガネをふく様子を見せつける事案が発生した。
恵庭市内では1月26日にも、別の女児が同じような被害にあっているという。同様の不審者は、恵庭市の隣に位置する千歳市でも目撃されている。千歳市では1月22日に女児用パンツを子どもに見せるという事案が発生していた。
日本不審者情報センターが、3件とも注意喚起をおこなっているが、「小学校の下校時間に近い午後3時半から4時ごろの発生」「目撃された男性はいずれも20歳~30歳くらい」「黒色のジャンバー様のものを着ていた」など共通点があり、同一人物の可能性もありそうだ。
女児用パンツを見せつける人物が不審者なのは間違いなく、見せつけられた子どもの気持ちを考えれば、何かしらの対応も必要だろう。では、こうした行為は犯罪にあたるのだろうか。刑事事件や迷惑防止条例にくわしい鐘ケ江啓司弁護士に聞いた。
女児用パンツを見せつける行為は犯罪なのでしょうか。
公然わいせつ罪の成立は難しいと思いますが、「北海道迷惑行為防止条例」違反には当たり得ると思います。この条例は「卑わいな言動」を禁止しています(同2条の2第1号ウ)。
改正前の条例について、最高裁は、「卑わいな言動」について、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」と定義しています(最高裁平成20年11月10日決定)。
また、同条規定の「公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、正当な理由がないのに、著しく差恥させ、又は不安を覚えさせるような」と相まって、日常用語として、「卑わいな言動」を合理的に解釈することが可能だとしています。
私の手元にある「北海道迷惑行為防止条例逐条解説(平成29年5月施行改正版)」でも、「卑わいな言動」について、「いやらしく、みだらな言語、動作で、通常人の性的差恥心を害し、嫌悪感を催させ、又は不安を覚えさせるに足りる言語、動作」としています。
最高裁判例と同じ趣旨とみていいでしょう。
したがって、今回の男性の行為が「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」であり、かつ、被害者を著しく差恥させ、被害者に不安を覚えさせるような言動と評価されれば、迷惑行為防止条例違反になります。
自民党が「日の丸損壊罪」法案提出へ…弁護士が批判「全体主義的だ」 違憲のおそれも
自民党の有志議員でつくるグループが、日本の国旗(日章旗)を傷つける行為を罰する「国旗損壊罪」を新設するため、刑法改正案を国会に提出する方向で動いている。 産経新聞(1月26日)によると、改正案をまとめた保守系グループのメンバー、高市早苗前総務相は、「諸外国では自国の国旗損壊に重い刑罰が科される。日本の名誉を守るには、外国国旗と日本国旗の損壊に関して同等の刑罰で対応することが重要」と話したという。議員立法として今国会での成立を目指す方針だ。 現行の刑法は、侮辱を加える目的で外国国旗を損壊することなどについて、「2年以下の懲役または20万円以下の罰金」を定めているが、日本の国旗を損壊する行為を罰する規定はない。 自民党は、野党だった2012年にも「国旗損壊罪」を新設しようと改正案を提出していた。その際は廃案となったが、日本弁護士連合会(日弁連)が「国旗損壊罪」の法制化に反対する旨の会長声明を出すなど、強い批判もあった。 今回の改正案も物議をかもしそうだが、「国旗損壊罪」がこれまで設けられなかった理由や争点について、猪野亨弁護士に聞いた。 ●「外国国章損壊等罪」と「国旗損壊罪」、趣旨が異なる 新設が検討されている「国旗損壊罪」はどのような犯罪だと想定されますか。 侮辱を加える目的で外国国旗を損壊等する「外国国章損壊等罪」(刑法92条)と同じように処罰するということであれば、想定される構成要件や刑罰(2年以下の懲役または20万円以下の罰金)もおそらく同様のものになるでしょう。 国旗は単なる物でしかありませんが、外国国章損壊等罪では、他人の所有物ではなく、自分の所有物であっても処罰される可能性があります。他人の所有物を損壊する行為であれば器物損壊罪(刑法261条、懲役3年以下)で足りますが、それとは別に規定するところに最大の特徴があります。 外国国章損壊等罪の場合、外国の国家機関が公的に掲揚したものに限定すべきとする学説もありますが、今回の法案の趣旨はそうではないと思われます。 外国国章損壊等罪はどのような趣旨で定められているのでしょうか。 外国国章損壊等罪が定められた趣旨は、国旗を損壊等することで、外国との紛争の火種となり外交問題になる可能性があることから、対外的安全と国際関係的安全を保護するためとされています。 国旗損壊罪についてはどうでしょうか。 自民党議員らは「日本の名誉を守るという国家の使命を果たす」ためと述べたようですが、国旗損壊罪の保護法益とまったく異なります。
自民党の有志議員でつくるグループが、日本の国旗(日章旗)を傷つける行為を罰する「国旗損壊罪」を新設するため、刑法改正案を国会に提出する方向で動いている。
産経新聞(1月26日)によると、改正案をまとめた保守系グループのメンバー、高市早苗前総務相は、「諸外国では自国の国旗損壊に重い刑罰が科される。日本の名誉を守るには、外国国旗と日本国旗の損壊に関して同等の刑罰で対応することが重要」と話したという。議員立法として今国会での成立を目指す方針だ。
現行の刑法は、侮辱を加える目的で外国国旗を損壊することなどについて、「2年以下の懲役または20万円以下の罰金」を定めているが、日本の国旗を損壊する行為を罰する規定はない。
自民党は、野党だった2012年にも「国旗損壊罪」を新設しようと改正案を提出していた。その際は廃案となったが、日本弁護士連合会(日弁連)が「国旗損壊罪」の法制化に反対する旨の会長声明を出すなど、強い批判もあった。
今回の改正案も物議をかもしそうだが、「国旗損壊罪」がこれまで設けられなかった理由や争点について、猪野亨弁護士に聞いた。
新設が検討されている「国旗損壊罪」はどのような犯罪だと想定されますか。
侮辱を加える目的で外国国旗を損壊等する「外国国章損壊等罪」(刑法92条)と同じように処罰するということであれば、想定される構成要件や刑罰(2年以下の懲役または20万円以下の罰金)もおそらく同様のものになるでしょう。
国旗は単なる物でしかありませんが、外国国章損壊等罪では、他人の所有物ではなく、自分の所有物であっても処罰される可能性があります。他人の所有物を損壊する行為であれば器物損壊罪(刑法261条、懲役3年以下)で足りますが、それとは別に規定するところに最大の特徴があります。
外国国章損壊等罪の場合、外国の国家機関が公的に掲揚したものに限定すべきとする学説もありますが、今回の法案の趣旨はそうではないと思われます。
外国国章損壊等罪はどのような趣旨で定められているのでしょうか。
外国国章損壊等罪が定められた趣旨は、国旗を損壊等することで、外国との紛争の火種となり外交問題になる可能性があることから、対外的安全と国際関係的安全を保護するためとされています。
国旗損壊罪についてはどうでしょうか。
自民党議員らは「日本の名誉を守るという国家の使命を果たす」ためと述べたようですが、国旗損壊罪の保護法益とまったく異なります。
独自にファクトチェック!政府側の答弁には「深刻な問題」が複数見つかった
【 立岩陽一郎 ファクトチェック・ニッポン!】
蓮舫議員(立憲民主)の質問に菅総理が「失礼じゃないでしょうか」と言ったことが注目された国会だが、不可思議としか言いようのない補正予算を成立させて序盤戦を終了した。
■記者サロンでファクトチェック
1月30日、朝日新聞・国会キャップの南彰記者、「ご飯論法」の命名で知られる法政大学の上西充子教授と私とでファクトチェックを行った。朝日新聞が新たに始めたオンラインでのセミナー「記者サロン」の一環だ。ファクトチェックは、政策の是非は議論しない。今回も政治家の発言について事実関係を確認した。その結果、政府側の答弁にいくつか深刻な問題が見つかった。
まず南記者が代表質問での菅総理の答弁を、歴代総理との違いで示した。答弁時間は3時間45分。文字数で見ると約6万6000字。これは時間比で2020年1月の安倍総理を1時間以上下回り、字数で見ると12年1月の野田総理の11万7000字の半分程度でしかない。蓮舫議員の質問のきっかけとなった菅総理の言葉足らずは、国会の冒頭で既にその姿を現していたことがわかる。
次に、感染症法改正案での罰則についての議論を見た。菅総理は入院勧告に従わない感染者への懲役刑は、全国知事会からの要望を受けたものと答弁した。しかし実際には、全国知事会は罰則こそ求めたが懲役刑までは求めていない。巧妙なのは、質問した小川淳也議員(立憲民主)が懲役刑について質問したのに対して、菅総理は「知事会からも罰則の創設を求める緊急提言もいただいています」と答えている。まさに「ご飯論法」だ。菅総理は誤ったことを言っていないが、質問と合わせることで、「懲役刑を求めたのは全国知事会」という誤った情報を拡散させるものとなっていた。
この罰則については、田村厚労大臣の発言もチェックした。田村大臣は、改正案作成にあたって開かれた厚労省の審議会での議論を問われ、「(賛成、反対の)両方ご意見がありました。しかしおおむね賛成」だったと答弁。しかし事実は全く違った。反対の声が圧倒的に多く、「おおむね賛成」という状況ではなかった。これは虚偽に近いとの意見で一致した。私権を制限する法律を作る際にその前提となる情報で政府が事実と異なる内容を示すという由々しき事態が起きていたということだ。
大臣のツイートもチェックの対象とした。河野大臣がワクチン接種に関してNHKが報じたワクチンのスケジュールを「デタラメ」と発信したものだ。しかしこれは政府が示したスケジュールをNHKが報じたもので、「デタラメ」とは言えない。実際には政府内に混乱があったことも後に判明している。こうした発信はメディアを敵視する空気を社会につくる恐れもあり注意が必要だ。
この「記者サロン」は朝日新聞がオンラインを使って新たに始めた取り組みだ。参加視聴者からも意見や質問を出してもらい双方向で議論を進める。参加者からは、「桜を見る会」についての安倍前総理、日本学術会議をめぐる菅総理の答弁を検証するよう求める声が聞かれた。国会をチェックすることの重要性を再認識する機会となった。
※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
[email protected]
(立岩陽一郎/ジャーナリスト)
玉川徹氏、菅首相の会見を「痛々しくなって見るのやめました」
3日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)で、菅義偉首相が10都府県に緊急事態宣言を3月7日まで延長したことを報じた。
コメンテーターで同局の玉川徹氏は、菅首相の会見に「ちょっとかわいそうになってきちゃった、昨日見てて。痛々しいというか、不得意なことなんですよ、きっと、菅さんにとって」と指摘し「伝わらない、伝わらないってみんな言っちゃうから、何とかしなきゃっていうことで、立場上、国民が先生で総理大臣が生徒みたいな、むしろ国民が親で総理大臣が子供みたいな目で、この伝わる、伝わらないに関しては見ているという感じ」とコメントした。
さらに玉川氏は2日の会見で初めてプロンプターを使ったことに「痛々しくなっちゃって、僕、見るのやめました会見。いいんです、無理なさらないで、実効性のあることを打ち出してくれれば、僕は十分だと思います。不得意なことを無理に要求してもしょうがないんじゃないかなと思うんです」と指摘していた。
店のドアに鍵、警察の立ち入り妨害 新宿のキャバクラ店 3容疑者逮捕 警視庁
風営法に基づく警察の立ち入りを妨害したとして、警視庁保安課は2日、東京都新宿区歌舞伎町1のキャバクラ店「花音(かおん)」従業員、新井義弘容疑者(30)=江戸川区小松川2=ら3人を風営法違反(立ち入り拒否)容疑で逮捕したと発表した。
逮捕容疑は1日午前1時半ごろ、店のドアに鍵をかけ、警察官の立ち入りを妨げたとしている。3人とも容疑を認めている。機動隊員34人がオノなどでドアを破壊したところ、鍵を開けて立ち入りに応じたという。
同店は、2019年12月の開業以降、午後9時~午前5時に営業。風営法や条例が定めた営業時間(午前1時まで)を過ぎており、警視庁が20年5月と11月に是正を求めたが応じなかった。新型コロナウイルスでの2度の緊急事態宣言下でも同様の時間帯に営業を続けていた。これまでの売り上げは約2億9000万円に上り、うち約1億5000万円は午前1時以降分という。【柿崎誠】
戦後最もロシアに友好的な安倍外交への回答は「北方領土の要塞化」だった
「北方領土の日」の2月7日、恒例の「北方領土返還要求全国大会」が、新型コロナ禍で規模を縮小してて東京・渋谷で行われる。だが、肝心のロシアとの領土交渉は、菅義偉政権下でますます後退している。ロシア側は安倍晋三政権末期から高飛車な姿勢を強め、「ゼロ回答」が続く。ロシア社会の反プーチン運動の高揚もあり、領土問題での譲歩はありそうもない。対露戦略の再検討が必要だろう。
菅義偉首相は就任から2週間目の9月29日にプーチン大統領と初の電話会談を行った。日本外務省の発表では菅首相は「日露関係を重視している。平和条約締結問題を含め、日露関係全体を発展させていきたい。北方領土問題を次の世代に先送りすることなく終止符を打たねばならず、プーチン大統領としっかりと取り組んでいきたい」と伝えた。
これに対し、ロシア側の発表では、「露日関係をあらゆる分野で前進させるために努力する意志を確認した」とあるだけで、領土問題や平和条約への言及はなかった。
2020年以降、コロナ禍で日露間の対面交渉は行われておらず、北方領土のビザなし交流も昨年は初めて中止された。
菅政権発足後、ロシア側の対応はますます強硬になっている。ロシアは昨年、事実上の対日戦勝記念日を従来の9月2日から中国に合わせて3日に変更し、国後、択捉、色丹3島で対日戦勝75周年式典を実施した。菅首相とプーチン大統領の電話会談があった9月29日には、北方領土を含む地域で軍事演習が行われた。
昨年10月には、南クリル(千島)の防衛力強化のため、最新型の主力戦車T72B3の配備を開始。12月には、地対空ミサイルS300V4が択捉島に実戦配備された。射程は400キロメートルで、北海道東部上空も射程に収める。近年、最新鋭戦闘機スホイ35が3機、択捉島に配備されるなど、北方領土の「要塞化」が顕著だ。
ロシアは2020年7月、「領土割譲禁止」の条項を盛り込む憲法改正を行ったが、これを踏まえて違反した行為に最大10年の刑を科す刑法改正が制定された。今後、ロシア側交渉担当者は「10年の刑」を意識しながら交渉に臨むわけで、大きな制約となる。「領土割譲を呼び掛ける行為」も最長4年の刑だ。
こうして、第2次世界大戦の戦勝意識を高め、民族愛国主義を前面に出すプーチン路線が、領土交渉に大きな打撃を与えた。
バイデン米政権の誕生も、日露関係にはマイナスに働きそうだ。ラブロフ外相はバイデン氏当選後の会見で、今後の日露交渉について、「多くの分野で実際の政策がどう形成されるか見守る必要がある」と述べ、対日交渉を急がない姿勢を示した。
バイデン大統領は「ロシアは米国の安全保障にとって最大の脅威」「同盟国と結束してロシアに対峙する」と公言する反露派。ロシアはバイデン政権下での日米関係や米露関係を見極めた上で対日交渉を進めるとみられる。
ラブロフ外相はその後も、「日本がロシアを敵視する米国と同盟関係にある以上、懸念は続く」「米国が日本に中距離ミサイルを配備すれば、対抗措置を取る」と対日けん制を強めている。
親露的なトランプ前大統領は安倍政権の対露融和路線を容認したが、バイデン大統領は「同盟国の結束」を重視しており、日本の単独行動を許さないだろう。
日露交渉は歯舞、色丹の引き渡しを明記した1956年日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速化するとの安倍・プーチン合意を受けて、2019年から本格交渉に入ったが、ロシア側首席代表のラブロフ外相は「4島がロシア領であることを公式に認めることが交渉の条件」と強調した。
これを認めるなら、領土問題はその時点で法的に決着するわけで、日本側は到底応じられない。交渉は冒頭から暗礁に乗り上げた。
ロシアでは、昨年8月に毒殺未遂に遭った反政府活動家、アレクセイ・ナワリヌイ氏の組織による動画「プーチンのための宮殿」が大きな反響を呼び、政権の汚職腐敗やナワリヌイ氏の拘束に抗議する反政府デモが1月23日と31日、全国の100都市以上で行われた。経済停滞やコロナ禍で国民の生活苦や不満が高まっており、政権としては、世論の反発をさらに高める領土割譲には応じられない。
こうして安倍首相の退陣後、日露交渉は暗転してしまった。
戦後、安倍首相ほど北方領土問題解決に使命感を持ち、ロシアに友好的な政策を進めた首相はいなかった。安倍首相は計11回訪露し、プーチン大統領と27回首脳会談を行った。国是の「4島返還」を「2島」に譲歩し、米国の対露封じ込めにも同調しなかった。
ロシアだけを対象とした対露経済協力担当相を設置し、経済協力の「8項目提案」を行った。
だが、こうした涙ぐましい努力もロシアには通用しなかった。
北方領土を4度も視察した政権内反日派のメドベージェフ安保会議副議長(前首相)は2月1日の会見で、「(領土割譲禁止という)憲法上の立場がはっきりした以上、ロシア領を日本に引き渡す交渉を行う権利がない。日本との平和条約交渉はテーマがなくなっている」と述べ、“交渉打ち切り”を示唆した。
安倍・プーチン交渉が始まった頃、ロシアには中国と日本を天秤にかける動きがみられた。
だが、2014年のウクライナ領クリミア併合で欧米から経済制裁を受ける中、ロシアは中国に傾斜し、準同盟と言えるほど軍事・経済的連携を強めた。
中露貿易は日露貿易の4倍以上で、プーチン政権が日本よりも中国を選択したことは明らかだ。
「私とウラジーミルの手で必ず平和条約を締結する」「平和条約締結へ確かな手応えを得た」などと期待を煽(あお)った安倍首相は、「平和条約締結が実現しなかったことは断腸の思い」の一言を残して退陣し、交渉の詳しい経緯は不透明なままだ。
実はこの間、欧米諸国が安倍政権の融和的な対露外交に冷ややかな視線を送っていたことはあまり知られていない。
ドイツのメルケル首相は2015年3月の訪日時に安倍首相に対し、「武力でクリミアを併合したプーチンを見逃せば、中国もアジアで同じことをやりますよ」と警告していた。
ある西欧の外相も安倍首相に「主張を弱めると、ロシアは逆に攻撃的になる」と伝えていたという。
米国務省当局者も2年前、筆者に対し、「安倍政権の対露外交はあまりに楽観的で、希望的観測を基に外交を展開している。今のロシアが領土を返すはずがない。プーチン政権の外交・安保戦略の本質を直視すべきだ」と述べていた。
この当局者は「安倍首相の対露外交はどうせ失敗する。日本は教訓を学ぶことになるだろう」と冷淡だったが、結果的に的中した。
安倍首相はトランプ氏と親交を重ねながら、プーチン大統領にも取り入り、「トランプもプーチンも」の二股外交を進めようとした。しかし、米国の厳しい圧力に直面するロシアは、安倍政権の虫のいい対露外交に不信感を抱いていたようだ。
ロシアに融和姿勢を貫いた安倍外交の司令塔は、今井尚哉前首席秘書官ら経済産業省グループだった。経産省は伝統的に、経済協力をてこに外交課題を解決しようとし、主権意識や安全保障への配慮が希薄だ。
外務省ロシアスクールのOBは、「安全保障に配慮し、毅然と交渉しなければ、領土問題が前進するはずがない」と当初から経産省外交の「失敗」を予想していた。
今井氏らは「日本に親近感を持つプーチン大統領の下でしか解決させるのは困難」という発想で臨んだようだが、モスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は「日本側はプーチンが独断ですべて決められる強い指導者との幻想を信じていたのか」と皮肉っていた。
プーチン政権の内政・外交が硬直化する中で、プーチン時代の領土問題解決はもはや不可能とみるべきだろう。安倍外交挫折の代償は大きく、北方領土問題の一層の長期化は避けられない。
一方、反政府指導者のナワリヌイ氏は2年前、北方領土問題で、「世論が返還に反対している。私や他の人物が大統領になっても、結果の出ない交渉を日本と繰り返すだけだ。解決に現実味はない」と突き放していた。(『日本経済新聞』2019年3月14日朝刊)ロシアの政権がどちらに転んでも、日本には厳しい展開が待っている。
この点で、30年前のソ連邦崩壊直後の千載一遇のチャンスに、日本外務省が積極的な外交攻勢を行わず、絶好の機会を逸してしまった責任は重い。
この際、改めて過去の対露外交の「失敗の研究」が必要だろう。
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(拓殖大学海外事情研究所教授 名越 健郎)