大災害の発生時に、自治体が被災者向けに情報をきめ細かく届ける臨時災害放送局は、平成7年の阪神大震災で、兵庫県が開局した「復興通信FM796フェニックス」を嚆矢(こうし)とする。県庁の一角に置かれた小さな放送局は、自らも被災したボランティアらによって支えられ、45日間と短期間ながら、身近な情報や被災者の意見を伝え続けた。その教訓は、中越地震や東日本大震災でも引き継がれた。 (藤原由梨)
自身も被災者たちがボランティアで
「JOAZ-FM。阪神・淡路大震災の被災地域のみなさん、こちらは兵庫県庁の2階に開局しました県災害FM放送局『FM796フェニックス』です」
7年2月15日正午、第一声でこう呼びかけたのは、現在「エフエムたじま」(豊岡市)でパーソナリティーを務める臼杵(うすき)良祐さん(53)。「声が震えた。どのような情報を伝えたらいいのか、不安もあった」と振り返る。
フェニックスの聴取エリアは神戸、尼崎、西宮、明石などの各市から淡路島まで。連日正午から午後8時まで8時間放送を続けた。自治体の災害対策本部からのお知らせと被災地リポート、ボランティア紹介などを番組の柱とした。
臼杵さんは民放テレビ局で約4年間アナウンサーとして働き、前年の12月に退職したばかりだった。西宮市の実家に戻っていたところ、自宅半壊の被災。それでも新聞で知ったボランティア募集に応じた。
勤めていたテレビ局では、原稿を正確に読み、VTRの映像につなげることが仕事だった。しかし、ラジオでは言葉だけで、誰にでも分かるように伝える必要がある。「代替(だいたい)を『だいがえ』と読んでくれと指示されましたね。『だいがえバス』のほうが、分かりやすいから。そんな読み方はしないと言うと、『ここはそういう放送局じゃない』と一喝されました」
当時、「頑張って」という言葉は使わなかった。被災者はもう、頑張っている。決まり文句を言うのはやめようと会議で決めた。
「被災者の1人としてみんながしんどい思いをしていることを伝えたかった」
「血の通った情報を」
臨時災害放送局は、放送法に基づき災害時に「その被害を軽減するために役立つこと」を目的に設立される。ただ、免許人になった県には、わずかな準備期間しかなかった。
震災発生から約半月後の2月6日、県から外郭団体に出向していた芝地稔さん(73)に「臨時災害放送局を担当してくれ」と命が下った。広報課で放送部門の担当をした経験を買われた。開局は9日後に迫り、閉局は3月31日に決まっていた。技術面はNHKのOBがサポートしてくれることになった。
ただ、人手が足りない。翌日から取材や編集、アナウンスができるボランティア募集を始め、30人超が応じた。そして、県庁一角にスタジオを設営できたのが開局の2日前。「廊下の突き当たりの小さな会議室で、壁に毛布を張って吸音できるようにした。野戦放送局のようだった」
臨時災害放送局は全国初の試みで、ノウハウはなかった。芝地さんは「被災者の近くにいるボランティアたちの提案を最大限採用しよう」と決めた。印象的な取り組みの1つは、女性ボランティアが提案した入浴施設の情報だ。「公衆浴場 東灘区。●●の湯、14時から20時半まで。銭湯××、10時から整理券配布。続いて灘区です…」。アナウンサーが情報を読み上げ続けた。「役所の感覚では血の通った情報にならない。役所が伝えたいものではなく、被災者が必要とする情報を伝えようとした」
3月に入ると復興に向けての胎動を紹介できるようになり、終盤では生活再建への提言も交えた。
芝地さんは「放送免許を出した郵政省(現・総務省)も、大規模災害時にFMをどう使うか、実験的な意味があったのでしょう。第一走者としての役割は果たせたのではないか」と総括する。
阪神大震災を教訓に審査迅速化
課題も残った。開設時期が被災約1カ月後と立ち上げが遅いと指摘を受けた。臨時局だけに存在が十分に周知されなかったことも指摘された。
臨時災害放送局に詳しい関西大の市村元(はじめ)客員教授は「大混乱の中でだれが聞いていたかなど、具体的な成果は分からないものの、新しいスキームが誕生し、道が開けたことが大事だ」とフェニックスが果たした役割を評価する。
その後発生した中越や中越沖地震などでは、既存のコミュニティーFMが臨時災害放送局に移行した。東日本大震災の発生当日、岩手県花巻市のコミュニティーFMに電話による申請で免許が出るなど、設置の審査は迅速化。東北3県と茨城県で30の局が設立された。
ただ、今後の臨時災害放送局のあり方について、市村さんは「ラジオは停電でも送信が途切れない強みがあるが、受信機やカーラジオを持つ人は減少している」とラジオの影響力の低下を懸念する。その一方で、広域のテレビなどでは取り上げられない地元密着の情報を発信し、SNSなどにうとい高齢者らにとって身近な音声放送は欠かせないと考える。臨時災害放送局への移行が期待されるコミュニティーFMの多くは経営が厳しいが、「インターネット放送の活用など、自立した経営を維持する手法はある。次の災害に備えて、改めてノウハウの継承が必要だ」と指摘している。
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緊急事態宣言の夜、店は満席になった 新宿の居酒屋が「時短要請」を拒否する理由
新型コロナウイルス対策のための、緊急事態宣言の対象地域では、2月7日まで、飲食店などへの「午後8時までの時短営業要請(酒の提供は午後7時まで)」が行なわれる。 人通りが大幅に減ることもあり、要請に従う店舗も多いが、都内のある居酒屋は1日6万円の協力金ではとても足りないと話す。 「閉めるも地獄、開けるも地獄、そんななか、覚悟を決めて店を開けているんです」 時短要請を拒否し、深夜まで営業している新宿の居酒屋の店長が、匿名で取材に応じた。 ●時短に応じないことを決めた新宿の店 東京・新宿で居酒屋を経営する男性店長(47)は、昨年11月から今でも時短要請に応じず、協力金を受け取っていない。ランチタイムから夜の0時まで、通しで店を開いている。 昨年4月に宣言が出され、店は4~5月、休業要請に応じた。 宣言が解除されて、6月から店を再開。それ以降、都度、出される時短要請に従ってきた。しかし、11月に応じることをやめた。以下、その理由を店長に語ってもらおう。 ●語られる理由「固定費は月900万円」 夜の8時まで、10時まで。その時間設定の根拠がわかりませんでした。10時を過ぎて酒を飲むと、感染率が10倍にでもなるんでしょうか。人を出歩かせないための単なる抑止力ですよね。 時短させるけど、GoToキャンペーンで経済は動かしたいし、感染は怖いから収束させたいし…。そんなフラフラと落ち着かない政策に納得できなくなったんです。 店は、5人ほどの正社員と、20人ほどのアルバイトで回しています。 アルバイトにも、厚生年金、有給休暇など、正社員と同様の待遇にしています。雇用調整助成金、持続化給付金などの申請をして、解雇せず、やってきました。 コロナ禍で、2020年の売り上げは、前年とくらべて6割減の月もありました。店の固定費(家賃や人件費など)には、多くて月に900万円かかります。月に180万円の協力金をもらっても、カバーしきれません。 うちは、1~2人での利用客が多いので、団体利用を見込む居酒屋であれば、もっと厳しい数字になっていたでしょう。多店舗展開しているところは、借金して、破産してもおかしくないと思います。 たとえば、カウンター6席くらいの店をひとりでやっているなら、協力金6万円をもらったら儲かりますよ。1日に2~3万円の売上を出せばいい。いろいろ引いて、利益は1万円くらいでしょうか。6万もらえば、毎日大儲けです。そんな店もあるでしょう。
新型コロナウイルス対策のための、緊急事態宣言の対象地域では、2月7日まで、飲食店などへの「午後8時までの時短営業要請(酒の提供は午後7時まで)」が行なわれる。
人通りが大幅に減ることもあり、要請に従う店舗も多いが、都内のある居酒屋は1日6万円の協力金ではとても足りないと話す。
「閉めるも地獄、開けるも地獄、そんななか、覚悟を決めて店を開けているんです」
時短要請を拒否し、深夜まで営業している新宿の居酒屋の店長が、匿名で取材に応じた。
東京・新宿で居酒屋を経営する男性店長(47)は、昨年11月から今でも時短要請に応じず、協力金を受け取っていない。ランチタイムから夜の0時まで、通しで店を開いている。
昨年4月に宣言が出され、店は4~5月、休業要請に応じた。
宣言が解除されて、6月から店を再開。それ以降、都度、出される時短要請に従ってきた。しかし、11月に応じることをやめた。以下、その理由を店長に語ってもらおう。
夜の8時まで、10時まで。その時間設定の根拠がわかりませんでした。10時を過ぎて酒を飲むと、感染率が10倍にでもなるんでしょうか。人を出歩かせないための単なる抑止力ですよね。
時短させるけど、GoToキャンペーンで経済は動かしたいし、感染は怖いから収束させたいし…。そんなフラフラと落ち着かない政策に納得できなくなったんです。
店は、5人ほどの正社員と、20人ほどのアルバイトで回しています。
アルバイトにも、厚生年金、有給休暇など、正社員と同様の待遇にしています。雇用調整助成金、持続化給付金などの申請をして、解雇せず、やってきました。
コロナ禍で、2020年の売り上げは、前年とくらべて6割減の月もありました。店の固定費(家賃や人件費など)には、多くて月に900万円かかります。月に180万円の協力金をもらっても、カバーしきれません。
うちは、1~2人での利用客が多いので、団体利用を見込む居酒屋であれば、もっと厳しい数字になっていたでしょう。多店舗展開しているところは、借金して、破産してもおかしくないと思います。
たとえば、カウンター6席くらいの店をひとりでやっているなら、協力金6万円をもらったら儲かりますよ。1日に2~3万円の売上を出せばいい。いろいろ引いて、利益は1万円くらいでしょうか。6万もらえば、毎日大儲けです。そんな店もあるでしょう。
暴力は「子どものため」と主張…タバコを押し当て、真冬のベランダに立たせた夫 離婚を決意した妻【判例を読む】
4人の子どもたちに恵まれ、夫が経営する事業に協力して従事してきた夫婦。一見すると、経済的に安定した幸せな家族だったが、実際には家庭内に平穏はなかった。 夫は不倫に走り、妻子に暴力をふるっていたからだ。当時7、8歳だった長男の手の甲などに火のついたタバコを押しあてたり、長女を真冬のベランダに立たせたりするなどの体罰をおこなったこともあるという。 そんな夫と離婚し、離婚慰謝料などを請求すべく妻は裁判を起こした。 しかし、夫は妻の主張を否認し、不貞行為は「(妻の)誤解による憶測に過ぎない」、妻に対する暴力は「多少」おこなったことを認めつつ故意ではない、子どもたちへの暴力はしつけという意味で、「子供達のためにと思って」おこなったと主張した。 これから紹介するのは、そんな夫婦が争った裁判例(広島高裁岡山支部平成16=2004年6月18日判決)だ。裁判所は、どのように判断したのだろうか。 ●子どもたちへの体罰…「連帯責任」と称して叱ることも 高裁が認めた事実によれば、夫婦は1973年11月に結婚。夫は結婚当初から夫婦喧嘩をした際に妻に手を上げることがあったという。また、夫は子どもたちに対しても体罰をおこなっていたとされる。 夫は1985年または1986年ごろ、当時7、8歳の長男が近所の子どもたちと火遊びをしていたことから、火遊びの危険性を教えるため、火のついたタバコを長男の手に押しつけた。 また、夫は、ピアノ教師に来てもらっているのに長女が駄々をこねて練習しようとしなかったのを見咎め、長女を真冬のベランダに立たせたという。 ほかにも、夫は、関係ない子どもたちを「連帯責任」と称して叱ることもあったほか、長女が希望した高校への進学も許さず、別の高校へ進学させるなどしていた。 ●夫の不倫が明るみに… そんな夫の不倫が明るみになったのは、1997年のことだ。夫が経営する事業の顧客である女性に不可解な行動がみられたことから、妻は夫の不倫を疑うようになった。 同じ年の3月に不倫のことなどをめぐり、夫婦で口論に発展したことを機に、妻は一時的に実家に戻った。妻の主張によれば、このとき離婚する決意をしたものの、夫が謝罪して不貞行為を止めることを約束したことから離婚の決意が揺らぎ、冷却期間をおくため一時的に実家に戻ったという。 ところが、しばらく冷却期間を置いた後、自宅に戻ってきた妻に、夫は離婚届を突きつけた。妻はこれに応じなかったが、つらい出来事はその後も続いた。
4人の子どもたちに恵まれ、夫が経営する事業に協力して従事してきた夫婦。一見すると、経済的に安定した幸せな家族だったが、実際には家庭内に平穏はなかった。
夫は不倫に走り、妻子に暴力をふるっていたからだ。当時7、8歳だった長男の手の甲などに火のついたタバコを押しあてたり、長女を真冬のベランダに立たせたりするなどの体罰をおこなったこともあるという。
そんな夫と離婚し、離婚慰謝料などを請求すべく妻は裁判を起こした。
しかし、夫は妻の主張を否認し、不貞行為は「(妻の)誤解による憶測に過ぎない」、妻に対する暴力は「多少」おこなったことを認めつつ故意ではない、子どもたちへの暴力はしつけという意味で、「子供達のためにと思って」おこなったと主張した。
これから紹介するのは、そんな夫婦が争った裁判例(広島高裁岡山支部平成16=2004年6月18日判決)だ。裁判所は、どのように判断したのだろうか。
高裁が認めた事実によれば、夫婦は1973年11月に結婚。夫は結婚当初から夫婦喧嘩をした際に妻に手を上げることがあったという。また、夫は子どもたちに対しても体罰をおこなっていたとされる。
夫は1985年または1986年ごろ、当時7、8歳の長男が近所の子どもたちと火遊びをしていたことから、火遊びの危険性を教えるため、火のついたタバコを長男の手に押しつけた。
また、夫は、ピアノ教師に来てもらっているのに長女が駄々をこねて練習しようとしなかったのを見咎め、長女を真冬のベランダに立たせたという。
ほかにも、夫は、関係ない子どもたちを「連帯責任」と称して叱ることもあったほか、長女が希望した高校への進学も許さず、別の高校へ進学させるなどしていた。
そんな夫の不倫が明るみになったのは、1997年のことだ。夫が経営する事業の顧客である女性に不可解な行動がみられたことから、妻は夫の不倫を疑うようになった。
同じ年の3月に不倫のことなどをめぐり、夫婦で口論に発展したことを機に、妻は一時的に実家に戻った。妻の主張によれば、このとき離婚する決意をしたものの、夫が謝罪して不貞行為を止めることを約束したことから離婚の決意が揺らぎ、冷却期間をおくため一時的に実家に戻ったという。
ところが、しばらく冷却期間を置いた後、自宅に戻ってきた妻に、夫は離婚届を突きつけた。妻はこれに応じなかったが、つらい出来事はその後も続いた。
岡田晴恵教授、大江戸線運転士の集団感染「蛇口」原因の可能性に「換気がすごく大事」
白鴎大の岡田晴恵教授が15日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)にスタジオ生出演した。
番組では、東京都営地下鉄大江戸線が昨年末から今月11日まで間引き運行した原因となった運転士間の新型コロナウイルスの集団感染が、共同利用する庁舎の洗面所の蛇口経由で広がった可能性が高いことを報じた。
このニュースに岡田氏は「でも、私はこの集団感染は蛇口は、もちろんあるとは思うんですが、飛沫とエアロゾルだと思うんです」と指摘した。
その理由を「ですから、歯磨きをしたら、長時間、そこにいますよね。長時間いて呼吸していると。そして、うがいとかを吐くときに飛沫が出ると。で、洗面所はたいてい暖房ございませんので、低温で寒いと。で、窓が開いてなければそこに充満すると。人が入れ替わると」と解説した。
その上で「ですから換気がすごく大事だったんじゃないかなって。換気をちゃんとしてということも大事だったんだろう。両方だと思います」とコメントしていた。
「経験したことのない速度・爆発的な感染拡大を疑わせる水準」…都会議で危機感
東京都は14日、専門家を交えた新型コロナウイルスのモニタリング(監視)会議を開き、独自に4段階で評価している感染状況と医療提供体制の警戒レベルについて、ともに最も深刻なレベルを維持した。14日までの1週間平均の新規感染者数は1611人と増加が続き、専門家からは「経験したことのない速度で感染者が増加し、爆発的な感染拡大を疑わせる水準だ」と強い危機感が示された。
会議では、都の入院調整本部に各保健所から日に400件以上の調整依頼が殺到し、翌日以降に調整を持ち越す例が続出している厳しい現状が報告された。救急の受け入れ体制も
逼迫
( ひっぱく ) し、多くの医療機関で受け入れ困難となっていることも伝えられた。出席した国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「入院治療と宿泊療養の受け入れの限界を超え、極めて深刻な感染状況だ」と説明し、引き続きの対策の必要性を強調した。
小池知事は会議後、自宅療養中の感染者が死亡したことを受け、血液中の酸素濃度を測定する機器「パルスオキシメーター」を一部の自宅療養者に貸与する考えを明らかにした。都から各保健所を通じ、高齢や基礎疾患のある自宅療養者らに貸し出すという。
また、都立広尾病院(渋谷区)が実質的な新型コロナ専門病院となることに伴い、同院で出産を予定していながら民間病院などへの転院を余儀なくされる妊婦が相次ぐことから、転院で生じる差額費用などを都が支援する方針も表明した。
岡田晴恵教授、宮城、和歌山の地方で過去最多の感染者に「大都市も抑えきれないし、全国的に厳しくしないと無理」
白鴎大の岡田晴恵教授が15日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)にスタジオ生出演した。
番組では、14日に判明した新型コロナウイルスの全国の新規感染者が6604人、重症者数が920人だったことを報じた。中でも首都圏の千葉県に加え宮城県、和歌山県が過去最多を更新し、地方で増えている現実に岡田氏は「大都市で増えて近隣にしみ出ていて、それから飛び火していく典型例だと思うんです」と指摘した上で「国の資料によると、まず大都市をぐっと抑えて、それで全国を抑えていこうということだったんですけど、ここまで来ると大都市も抑えきれないし、全国的に厳しくしないと無理だということが出てきている」と話した。
さらに「もうひとつ、問題なのは、この数字って10日前ですよね。こういうふうに数字で出てくる時には遅い。ですから、先手先手でやるには全国的にもっと厳しくやっていく必要があるなと思っています」と提言していた。
訓練中に「ポンコツ」「できないなら住民に謝れ」、消防職員をパワハラで懲戒処分
福島県の郡山地方広域消防組合は14日、同僚にパワハラをくり返したとして、30歳代男性職員を13日付で減給3か月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。男性職員は2018年~20年春、訓練中の同僚男性に「ポンコツ」「できないなら住民に謝れ」などと暴言を浴びせ、ヘルメットの上から頭をたたいたり、足や尻を蹴ったりするなどした。他の職員から組合に情報提供があった。組合の調査に、男性職員は「育てたいという思いがあって指導がいきすぎてしまった」とパワハラを認めたという。
官製談合容疑、小学校の備品入札でも 青森・西目屋村長、3度目逮捕
青森県西目屋村の官製談合事件で、県警は14日、村長の関和典被告(53)=官製談合防止法違反などで起訴=を同法違反などで再逮捕した。関容疑者の逮捕は3度目で、今回は小学校の備品購入を巡る入札で特定の業者が落札できるよう便宜を図ったとして逮捕された。また、青森市の電子機器関連会社役員、土岐恒純容疑者(53)を公契約関係競売入札妨害の容疑で逮捕した。
関容疑者の再逮捕容疑は2018年11月~19年10月中旬ごろ、村発注の村立西目屋小学校で使用する教職員用パソコンの購入先を決める指名競争入札で、土岐容疑者の会社が落札できるよう有利な業者を選定するなどしたとしている。土岐容疑者の逮捕容疑は、自社の落札を承諾すると見込まれる業者を関容疑者に選定させて落札し、公正な入札を妨害したとしている。
県警や村によると、村が土岐容疑者の会社から購入したのはノートパソコン14台やデスクトップパソコン1台など。予定価格は非公表で、入札には土岐容疑者が役員を務める「よつば」社を含め4社が参加した。契約額は305万8000円だった。
一方、青森地検は14日、村発注の除雪ドーザーの購入を巡る指名競争入札で特定の業者が落札できるよう予定価格を漏らしたとして関容疑者を官製談合防止法違反などで追起訴した。
関被告は、すでに弁護士を通じて村議会に辞職届を提出しており、15日に開かれる臨時議会で過半数の同意が得られれば、正式に辞職が決まる。【南迫弘理、平家勇大】
村議時代から便宜? 職員に土岐容疑者紹介
村によると、関和典容疑者は2006年に村長選で初当選する以前の村議時代から土岐恒純容疑者と付き合いがあったとみられ、当時から「何かあったら使って」と土岐容疑者を村職員に紹介していたという。土岐容疑者は当時、青森市の別の電子機器関連会社にいた。村関係者は「関氏が村長になってから、村と土岐容疑者の会社との契約が増えたように思う」と話す。
村は昨年、国が進める小中学生が1人1台の端末を使って学べるようにする「GIGAスクール構想」を受けて、村内の小学生用にタブレット端末52台を整備。業者は指名競争入札で選定され、4社が参加したが、ここでも土岐容疑者が役員を務める「よつば」社が落札した。購入額は700万円以上だった。【平家勇大】
若者感染増に危機感 北海道、ススキノ飲食店に時短要請 集中対策1カ月延長
新型コロナウイルス感染拡大を受け、北海道は14日、15日までの集中対策期間を1カ月延長し、札幌市のススキノ・狸小路地区の飲食店に午後10時までの営業時間短縮を要請するなどの対策強化を決めた。同市を中心に感染拡大が続く現状に危機感を示し、道内で20・5人(11日時点)となっている直近1週間の10万人当たりの新規感染者数が25人を超えれば、国に緊急事態宣言を要請する考えも示した。【高橋由衣、源馬のぞみ、山下智恵】
新たな時短要請の対象は、酒類の提供の有無に関係なく、ススキノ・狸小路地区(中央区南3~8、西2~6、狸小路1~7の狸小路に面する区域)の飲食店やカラオケ店など。市内全域の接待を伴う飲食店に対する午後10時までの時短要請も継続する。要請に応じた場合、1店舗当たり1日2万円(最大62万円)の支援金を支払う。
鈴木直道知事は記者会見で、対策強化の理由について、若い世代の感染増加を挙げた。道内で最も感染拡大傾向が顕著だった20年11月の予兆として、同10月ごろに飲食店のクラスター(感染者集団)発生が相次ぎ、若い世代の感染確認が増えた後、医療・福祉施設でのクラスターにつながったとの見方を示した。20年12月19~25日の年代別割合は30代以下で32%だったが、1月6~12日で44%と12ポイント上昇している。
鈴木知事は「感染拡大の兆しがある中で減少に転じさせる分水嶺(ぶんすいれい)。対策を強化しないと感染爆発の恐れもある」と述べた。ススキノ地区に限った点については「人出が戻りつつある。対策を飲食に絞る中で飲食店が多い繁華街の対応が必要になる」と理解を求めた。
国に対しては、緊急事態宣言を出す基準の明確化を求め、宣言地域にならないよう独自に取り組んでいる地域が不利にならないように、中小企業への給付金など宣言地域と同等の対応を要請した。
また、秋元克広・札幌市長は感染者数の高止まりに危機感をあらわにし、「(道独自の警戒ステージ)3の目安を目指し、市内で1日当たり42人未満にとどめる。同居家族以外と飲食を控え、企業はテレワークやローテーション勤務を進め、出勤人数を2割削減してほしい」と求めた。
今回の要請のポイント
<1月16日~2月15日(1カ月)>
◎ススキノ・狸小路地区の飲食店に午後10時までの営業時間の短縮を要請
○札幌市内の接待を伴う飲食店に午後10時までの営業時間の短縮を要請
◎緊急事態宣言の対象地域との不要不急の往来自粛
○札幌市での不要不急の外出、同市との往来の自粛(感染リスクを回避できない場合)
◎同居していない人との飲食を控える
※○は継続された要請、◎は新たに出された要請
<緩和された措置>
・旭川市での不要不急の外出(感染リスクを回避できない場合)
甲府市職員死亡から1年、市長が対応策を説明 労働環境是正の姿勢強調
甲府市職員の向山敦治(あつじ)さん(当時42歳)が長時間労働の末に自殺してから17日で1年となるのを前に、樋口雄一市長が14日の定例記者会見で、職員の労働時間の適正管理に向けた対策の進捗(しんちょく)状況を説明した。
樋口市長は「二度と悲しい出来事が起こらないように職員の健康管理体制や労務マネジメントの取り組みを推進している最中だ」と述べ、勤務上の不安や悩みを匿名で受け付ける意見箱を庁舎内に設置したことを明らかにした。また、今年度中に業務用パソコンの過度な使用を抑制するシステムを導入する意向も示した。「すぐには結果は出せない問題」として、継続して労働環境是正に当たる姿勢を強調した。
このほか、職員組合と共同で「職場環境改善ワーキンググループ」を立ち上げたことや、職員を対象としたアンケートを実施したことを報告した。
向山さんの自殺を巡っては、亡くなる前の2019年12月に勤務時間外で向山さんのパソコンが起動していた時間が180時間超に上っていたことが判明。遺族は20年12月、長時間労働が自殺の原因として、民間の労災に当たる公務災害の認定を申請している。【梅田啓祐】