30代の姉妹2人がスーパーで総菜を盗んだ疑い「警備員が万引きした女性を確保」店長が110番 盗んだ総菜を買える所持金あり 北海道江別市

1日午後、北海道江別市のスーパーマーケットで、共謀して惣菜1点を盗んだとして、30代の姉妹が逮捕されました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、いずれも江別市に住むパート従業員の32歳と31歳の女2人です。
警察によりますと2人は姉妹で、1日午後2時ごろ、江別市内のスーパーマーケットで、惣菜1点(販売価格428円)を共謀して盗んだ疑いがもたれています。
犯行を目撃した警備員が2人に声を掛けて取り押さえ、店長が警察に「警備員が食料品を万引きした女性を確保している」と110番通報しました。
取り調べに対し、2人とも容疑を認めているということです。
当時の2人の所持金は明らかになっていませんが、盗んだ総菜を買える金額はあったということです。
警察は、詳しい手口など当時の状況を調べるとともに、余罪があるとみて動機などを調べています。

石破首相が意欲「終戦80周年談話」は逆効果の可能性…ICU教授が「世界から政治的お芝居と見下される」と語る訳

第二次世界大戦終結から80周年を迎える今年、恒例のように首相談話への注目が集まっている。石破茂首相は今年3月、「戦後70年や60年の節目にわれわれは平和への思いを込めていろいろな形でメッセージを発してきた。過去の検証とともに未来への思いを込めて考えていきたい」と述べ、メッセージを出したいという考えを示している。
しかし、これまでの「談話」を振り返ると、果たして真の和解や地域安定に寄与してきたのか疑問が残る。むしろ、定期的に繰り返される謝罪声明は、本来の目的を離れて政治的なパフォーマンスの側面が強くなっている、というのが国際的な評価だ。
戦後日本が世界平和と国際協力に果たしてきた実質的な貢献を正当に評価し、未来志向の外交政策を構築するためには、従来の「談話外交」のあり方を根本的に見直す必要がある。
2015年の安倍談話は、戦争責任について重要な視点を提示した。日本の侵略と植民地支配の事実を認めつつ、戦後世代が過去の重荷を背負い続けることの是非を問うたのである。この視点は、歴史を否定するものではなく、「謝罪」が外交上の道具として使われる現実に対する問題提起だったと理解できる。
確かに、日本は朝鮮半島を併合し、「慰安婦」問題も存在した。満州国を樹立し、中国本土に侵攻して多くの犠牲者を出した。これらの歴史的事実を決して否定することはできない。同時に、これらの行動が帝国主義が当然視されていた時代背景の中で起きたことも歴史的文脈として重要である。
1993年の河野談話と1995年の村山談話は、戦後50年の節目において日本の公式見解を示した重要な声明だった。これらの談話が果たした役割は決して小さくない。
しかし問題は、その後も定期的に同様の謝罪声明が求められ、それに応じることが外交的な「儀式」と化してしまったことだ。本来、心からの反省と謝罪は一度きりの真摯なものであるべきで、繰り返されることで逆にその真正性が疑われる結果を招いている。
日本の戦時の過去に対する真の「声明」は、言葉よりもむしろ80年間の実際の行動にこそ表れている。1945年以来、日本は一度も他国に対して武力行使を行っていない。この事実は、世界の主要国の中でも極めて稀有な平和実績である。
具体的には、国連平和維持活動への財政的貢献は世界第2位であり、政府開発援助として45兆円を超える資金を提供してきた。自衛隊は人道支援と災害救援にのみ従事し、国際法と民主的価値の擁護に一貫して取り組んでいる。
ドイツは戦時中の行為について、毎年フランスで元敵国とともに平和への誓いを新たにし、ホロコーストの責任を教育プログラムで継承している。この取り組みは確かに評価されるべきだが、日本とドイツでは置かれた地政学的環境が根本的に異なる。
ドイツの和解相手は民主主義国家であり、対等な立場で未来志向の関係を築くことができる。一方、日本が直面する課題はより複雑だ。特に中国のような権威主義体制では、謝罪が政治的な道具として利用される構造的な問題がある。
中国に対する日本の「謝罪外交」は、単なる過去の清算ではなく、残念ながら、中国共産党の政治体制を支える武器として機能しているのが実情だ。この問題を理解することが、日本の対中外交戦略を考える上で不可欠だと思われる。
中国共産党は建国以来、抗日戦争の歴史を意図的に書き換えてきた。史実では、日中戦争の主要な戦闘は国民党軍が担い、共産党軍の活動は限定的だった。しかし現在の公式歴史では、共産党が「抗日戦争の英雄」として位置づけられている。この歴史改変は偶然ではなく、党の政治的正統性を確保するための戦略である。
実際に2013年の中国共産党「9号文件」と呼ばれる内部報告書によると、以下の3つの領域を「歴史虚無主義」として規定し、事実上の言論統制を正当化している。歴史虚無主義とは、中国共産党が使用する政治的用語で、「党にとって都合の悪い歴史的事実や解釈を否定・批判すること」を指す。客観的な歴史研究や批判的検証を「虚無主義」として弾圧する思想統制を支えるコンセプトである。
1.党史への批判的検証――大躍進政策による3000万~4500万人の餓死、文化大革命による社会破壊、天安門事件の真相究明
2.抗日戦争史の客観的分析――国民党軍の実際の戦績、共産党軍の限定的役割、当時の勢力関係の実態
3.現代政策への歴史的批判――ウイグル・チベット政策への批判、香港「一国二制度」の変質への指摘
興味深いことに、中国の教科書は19世紀のアヘン戦争に20世紀の文化大革命よりも多くのページを割いている。上海歴史博物館では1949年から1978年の展示が意図的に省略され、共産党統治の初期30年間の「不都合な真実」が消去されている。
このような体制下では、日本の謝罪は本来の和解目的とは正反対の機能を果たしてしまう。日本の指導者が謝罪するたびに、それは即座に党のプロパガンダに組み込まれ、「永続的な日本の脅威」という公式ナラティブの「証拠」として利用される。謝罪は和解への一歩ではなく、軍事拡張と国内統制を正当化する道具に転用されるのだ。
そうは言っても、中国の歴史問題政治利用を批判する一方で、日本国内にも解決すべき課題があることを認識する必要がある。一部の政治家や論者による歴史事実の矮小化や否定的発言は、国際的な信頼を損ね、中国側に「日本の歴史修正主義」という批判の口実を与えてしまっている。
日本政府は、歴史事実を率直に認めた上で、それとは別次元で80年間の平和実績の評価を国際社会に堂々とアピールすべきだ。歴史問題で「負い目」を感じる必要はないが、同時に事実を否定したり矮小化したりすることも絶対に避けるべきである。
中国側の歴史利用を批判する際も、「自分たちは客観的事実に基づいて議論している」という立ち位置を維持することが重要だ。そのためには、日本国内での歴史教育の充実と、政治家の歴史認識発言への慎重さが不可欠である。
韓国との関係は、中国とは根本的に異なる可能性を秘めている。民主主義体制下では真の草の根交流が可能であり、特に世代交代が進む中で新たな関係構築のチャンスが広がっている。
実際に40歳未満の韓国人の対日認識は、従来世代と大きく異なる傾向を示している。K-POPや日本のアニメ・ゲーム文化の相互交流を通じて、歴史問題よりも現代的価値を重視する若者が増加している。この変化を政策的に後押しするため、以下の具体的プログラムを提案したい。
・ 予算規模:年間150億円(1億ドル)
・ 対象:40歳未満の専門家・研究者・起業家
・ 重点分野:AI・ロボティクス、再生可能エネルギー、バイオテクノロジー、創造産業
・ 成果指標:年間1000人の交流、共同研究プロジェクト50件、合弁企業設立20社
歴史対話よりも効果的なのは、共通の現代的課題での協力である。以下の分野で二国間作業部会を設置する。
・ 半導体・電池・レアアースなどの戦略物資での協力
・ 第三国依存リスクの共同評価と代替策の開発
・ 緊急時の相互供給メカニズムの構築
・ 少子高齢化対策のベストプラクティス共有
・ 介護ロボット・遠隔医療技術の共同開発
・ 外国人労働者受け入れ制度の相互参照
・ 人道支援の連携強化
・ 統一後のインフラ整備構想の共同策定
・ 脱北者支援プログラムの協力
ただし、上記の提案の実現には、いくつか政治的課題をクリアする必要がある。
まず、日韓未来リーダー基金150億円は、防衛費増額が議論される中では決して非現実的な規模ではない。むしろ「防衛」よりも「協力」への投資として、国民の理解を得やすい可能性がある。既存のODA予算の一部振替や、経済産業省の産業振興予算との連携により調達可能だろう。
そして、韓国との経済・技術協力は、保守・リベラルを問わず支持を得やすいテーマだ。特に地方経済への波及効果を強調することで、地方選出議員の支持を獲得できる。野党に対しては、平和的手段による地域安定への貢献という側面を強調する。
さらに、外務省、経済産業省、文部科学省にまたがる政策のため、内閣官房主導での省庁間調整が必要だ。既存の「戦略的互恵関係」の枠組みを活用し、段階的に拡充していく手法が現実的だろう。
一方で韓国国内にも歴史問題を重視する勢力が存在する。この現実を踏まえ、いくつか配慮すべきもあると考えられる。
第一に、韓国の保守層は安全保障での日韓協力を重視する傾向がある。北朝鮮問題や中国の台頭といった共通の脅威認識を基盤として、実務協力の必要性を説明していく。
第二に、歴史問題を重視する進歩層に対しては、協力によって得られる経済的利益や技術革新が、結果的に韓国社会全体の発展に寄与することを説明する。特に気候変動対策や人口減少対策での協力は、進歩的価値観とも親和性が高い。
第三に、政府間だけでなく、両国の市民社会、学術界、経済界を巻き込んだ重層的な関係構築により、政治的変動に左右されにくい基盤を築く。
こういった実務協力を通じて、歴史問題を相対化し、未来志向の関係を構築するのはどうだろうか。重要なのは、歴史認識の違いを完全に解決することではなく、歴史を乗り越える共通利益と価値観を創出することだ。韓国の民主主義体制と自由な市民社会は、中国とは不可能だと考えられる本物の「和解」を受け入れることができるだろう。
ただし、このような外交政策の転換を実現するためには、日本国内での合意形成が不可欠だ。従来の「談話外交」からの脱却には、予想される反対論に対する周到な準備が必要である。
日本人の一部は、談話外交をやめることに対して「歴史修正主義」と批判するだろう。だが、歴史的事実と政策を明確に区別して説明しなければいけない。日本の戦時行為を否定するのではなく、80年間の平和実績を正当に評価し、それを基盤とした未来志向の外交を強調する。
「近隣諸国との関係悪化への懸念」については、韓国との関係改善に向けた具体的成果を段階的に積み重ねることで、建設的外交の有効性を実証していく戦略が重要だ(下記、筆者の私案参照)。
・ 80周年声明で基本方針を表明
・ 日韓未来リーダー基金の設立準備
・ 国内シンクタンクでの政策研究推進
・ 韓国との実務協力を小規模から開始
・ 成果の可視化と国内外への発信
・ 政策効果の検証と改善
・ 成功事例を基にした政策の全面実施
・ 他の民主主義国への適用拡大
・ 新たな地域協力枠組みの構築
戦後80周年にあたって日本が示すべきは、過去に囚われない前向きなビジョンである。これは歴史を無視することではなく、歴史の教訓を活かして未来志向の国際貢献を継続していくという意思表明だ。
必要なのは、儀式的な謝罪ではなく、地域と世界の安定への具体的な貢献策である。平和的発展と国際協力における日本の実績を基盤として、新たな国際的役割を積極的に担っていく姿勢を明確にすべきだろう。
過去の過ちを認めつつ、それによって永続的に制約されることを拒否するのは、むしろ日本の政治的成熟を世界に示すだろう。実際に日本の戦後実績は言葉以上に多くを語っているのだから、日本の政治はもっと自己評価を高く保つべきだ。
重要なのは、この実績を踏まえて、共有された繁栄と平和に基づく未来を構築することだ。歴史は国家を言葉ではなく、継続的で一貫した行動によって判断する。その基準で見れば、日本は十分にその責任を果たしてきたと言えるのではないだろうか。
戦後80年の節目は、従来の「談話外交」から「行動外交」への転換を図る好機だ。日本が世界に示すべきは、過去への悔恨ではなく、未来への建設的なビジョンなのである。
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(国際基督教大学 政治学・国際関係学教授 スティーブン・R・ナギ)

立憲民主党、参院選検証で執行部に不満相次ぐ…「党に魅力なくなった」「けじめつけるべきだ」

立憲民主党は1日、両院議員懇談会を国会内で開き、参院選の検証を行った。政権批判票の受け皿となれず、改選22議席の維持にとどまったことで、出席者からは執行部への不満が相次いだ。
非公開で行われた会合では「党に魅力がなくなってきている」「大敗だったと認めるべきだ」といった注文が出た。「けじめをつけるべきだ」と野田代表ら党執行部の刷新を求める声も一部から出たという。
立民は先の参院選で、与党が惨敗したにもかかわらず議席を積み増すことができず、比例選の得票も前回2022年参院選から大きく伸びず約740万票にとどまった。
野田氏は同日、懇談会に先立つ両院議員総会で選挙結果について「痛恨の極みだった。厳しく総括し、次に備えたい」と述べた。立民執行部は参院選の総括を月内に取りまとめる方針だ。

台風9号、花火大会などイベント中止・延期相次ぐ…夏休み本番で家族連れ「残念」

8月に入って初めての週末となった2日、台風9号が関東地方に接近した。大きな被害は確認されていないものの、暴風や高波の影響があった太平洋側では花火大会など「夏のイベント」の延期や中止が決まり、夏休み本番を迎えた地元の人たちからは残念がる声が聞かれた。離島の宿泊施設では、津波警報が発表された7月末に続き、キャンセルが相次いだ。(駒崎雄大、竹田章紘)

関東平野の最東端に位置する千葉県銚子市。市などの実行委員会が主催する「銚子みなとまつり花火大会」は、毎年8月の最初の週末に開かれる一大イベントだ。太平洋に注ぐ利根川に浮かべた台船から打ち上げられる8000発を目当てに、7万人の人出でにぎわう。
今年も2日に開催される予定だったが、1週間後の9日に開かれることになった。台風9号が接近する可能性が判明した先月30日、早々に延期を決めたという。
同市では1日午前、既に強い風が吹き、利根川の水面(みなも)もうねっていた。市観光商工課の石毛里美さん(37)は「多くの人が楽しみにしてくれているが、安全が第一で、やむを得ない判断だった」と語った。
小学生の娘2人と「大きな花火を見ようね」と「みなとまつり」を心待ちにしていた同市のパート従業員(29)は「残念だけど、9日は良い天気になり、にぎやかな花火大会になってほしい」と期待を込めた。
2日に予定されていた花火大会ではこのほか、神奈川県茅ヶ崎市の「サザンビーチちがさき花火大会」や同県横須賀市の「久里浜ペリー祭」が中止に。同県真鶴町でも伝統行事「岩海岸夏まつり」が中止になった。
一方、東京都板橋区の「いたばし花火大会」や江戸川区の「江戸川区花火大会」、栃木県足利市の「足利花火大会」などは予定通り2日に行われるという。
「もう今年の夏は終わった」嘆く子供ら

台風9号は東京と伊豆諸島を結ぶフェリーの運航にも影響を及ぼした。離島では先月末発表の津波警報も重なり、スポーツチームなどの合宿のキャンセルに見舞われている。
スポーツクラブ「GONA」(東京都福生市)は先月29日から今月2日の予定で、約160人の中高生らで八丈島を訪れ、4か所の民宿に分かれてサッカーなどの合宿を企画していたが中止を決めた。
代表の男性(50)は「八丈島合宿は今年で10周年を迎えるはずだった。島の人たちとの交流を楽しみにしていた子どもたちも『もう今年の夏は終わった』と嘆いている」と話した。
島にある民宿「椿荘」では、GONAの一部のメンバーを含め、サッカーチームの子供たちや観光客ら計約110人の予約が入っていたが、全てキャンセルに。宿を営む佐藤朱寿香(あすか)さん(51)は「書き入れ時に大きな痛手。それよりも、夏休みに毎年島に来てくれる人たちと会えないのが本当に悲しい」と残念がった。

朝鮮半島出身の被爆者悼む、広島 戦後80年で初集会

在日朝鮮人の被爆者らでつくる広島県朝鮮人被爆者協議会(朝被協)は2日、米軍による広島への原爆投下で犠牲になった朝鮮半島出身の被爆者を追悼する集会を開いた。朝被協の追悼集会は戦後80年で初めて。
広島、長崎への原爆投下で、出稼ぎや徴用で来日していた朝鮮半島出身者が多数被爆した。計約7万人が被爆し、うち約4万人が直後に死亡したとの推計がある。
在日韓国人では、在日本大韓民国民団広島県地方本部が毎年、平和記念公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑前で慰霊祭を開いており、今年は5日に開催予定。朝被協側は南北統一の慰霊碑建設を待って追悼行事を行おうとしてきたが、見込みが立たないため今年初開催となった。

国歌斉唱で起立せず都立校教員に減給処分は「重すぎて違法」…東京地裁が取り消し命じる

国歌の起立斉唱命令に従わず、東京都教育委員会から減給や戒告の懲戒処分を受けた都立校の現・元教員15人が処分の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁(清藤健一裁判長)は7月31日、戒告を適法とする一方、減給は「重すぎて違法」として取り消しを命じる判決を言い渡した。
判決によると、15人は、入学式や卒業式で国歌の起立斉唱命令に従わず、2013~20年に懲戒処分を受けた。
判決は、「起立しない行為は学校行事の秩序を損なう」などとし、給与に直接の不利益が及ばない戒告は妥当だとした。一方、起立しないことで式の進行を積極的に妨害したとの事情はないとし、減給は重すぎると結論付けた。

支払いめぐりトラブルか 酒に酔って飲食店関係者を殴った疑い 45歳の男逮捕《新潟》

柏崎市で8月2日、住所・職業不詳の男(45)が暴行の疑いで現行犯逮捕されました。
警察によると、飲食店の駐車場で店の関係者の頭を殴ったということです。
男は酒に酔っていて、飲食料金の支払いをめぐりトラブルになったとみられます。
店の別の関係者が通報し、午前1時ごろに現行犯逮捕されました。
男は「殴っていない」と容疑を否認していて、警察が詳しい経緯を調べています。

記録的な猛暑・少雨がコメどころ直撃…ダム貯水率0%、水田ひび割れ「収穫は減るだろう」

今夏は記録的な猛暑、少雨となっている。月平均気温は2か月連続で過去最高を更新し、熱中症患者も増加。「コメどころ」の東北や北陸では、少雨による水不足も重なり、農作物の生育に影響が出始めている。貯水率が0%のダムもあり、国や自治体は節水への協力を呼びかけている。
「6、7月と連続で過去の統計を塗り替えた、異常な気温と言える」。気象庁の担当者は1日、今夏の記録的な暑さをそう強調した。
同庁によると、過去30年と比べた6、7月の月平均気温はいずれも過去最高を更新。7月の猛暑日(35度以上)の地点数は延べ4565か所に上り、比較可能な2010年以降で最多となった。
熱中症患者も増加している。総務省消防庁によると、6月の熱中症の搬送者は1万7229人に上り、調査を開始した10年以降で最多を更新した。
猛暑の一方で雨は記録的に少ない。気象庁によると、高気圧が張り出して雨雲が発達しにくかった影響で、7月の降水量は平年の半分以下の地域が多く、特に東北日本海側と北陸地方はそれぞれ平年の13%、8%にとどまった。
「今年の収穫量は減ってしまうだろう……」。山形県朝日町のコメ農家(49)はひび割れた田んぼを前にため息をつく。水田約7ヘクタールで県産品種「はえぬき」などを栽培しているが、7月半ばから雨がほとんど降らず、水不足で一部の稲の葉先が茶色く枯れ始めてきた。毎日、約1・5キロ離れた水路からポリタンクで水をくみ、散水しているが「どこまで食い止められるか」と不安を見せる。
農林水産省は水稲の生育への影響が懸念されることから、7月30日に渇水・高温対策本部を設置。ポンプ設置の費用などを補助する。
東北や北陸ではダムの渇水も深刻だ。国土交通省によると、7月31日時点で御所ダム(盛岡市)、鳴子ダム(宮城県大崎市)で最低水位を下回り、貯水率0%となっている。新潟県の正善寺ダム(新潟県上越市)も12%に低下している。
1市2町に農業用水を供給する鳴子ダムでは、稲の出穂期のため残る水も緊急的に放流している。東北地方整備局鳴子ダム管理所の担当者は「このまま雨が降らなければ、約2週間で完全に枯渇する」と話す。
国交省は7月30日、渇水対策本部を設置し、渇水に見舞われている地域の住民に、節水への協力を求めている。同省によると、北海道から中国地方にかけた15水系19河川で取水制限などの渇水対策を行っている。
今夏の猛暑について、中村尚・東京大名誉教授(気候力学)は「地球温暖化の影響も含め複合的な要因で起きている」と指摘。太平洋高気圧が勢力を強めて偏西風を北に押し上げている影響で、北日本ほど顕著に気温が高くなっているといい、「この夏の間は状況が大きく変わることはないだろう」とみる。気象庁も「8月も厳しい暑さになる」との見通しを示す。
一方、8月の降水量について同庁は、少雨の地域では平年並みか平年を上回ると予想する。ただし「これまでの少雨を解消するほどには至らない可能性がある」とし、水の管理に注意するよう呼びかけている。

「モモも夏バテ」「暑さで牛7頭死んだ」…今夏の高温少雨、果物や家畜にも被害

今夏の高温少雨の影響はコメ以外の農作物にも及んでいる。果物がうまく育たず、家畜が死ぬ被害も出ている。猛暑は年々厳しさを増しており、農業関係者は「来年以降も見据えた対策が必要だ」と危機感を募らせる。(福島支局 山本純哉、新潟支局 大竹弘晃)
2日午前5時過ぎ、福島市小田のモモ畑で果樹農家の太田惣市さん(44)が人気品種「あかつき」の収穫を始めた。熟度などを確かめながらもぎ取ると、「例年と比べて白っぽいモモが多い」とこぼした。
今年は高温で生育が1週間ほど遅れ、色づきも例年に比べて良くないという。雨不足で小ぶりのものが多く、大玉を注文した顧客には変更を勧めている。一緒に収穫していた父の与一さん(76)は「モモも完全に夏バテだ」と諦め顔だった。
福島市のJAふくしま未来によると、高温少雨の影響でモモは果実が大きくならず、収穫量が減少する可能性がある。着色の遅れも目立ち、高温で果肉が茶色に変色する「みつ症」の被害も出ている。
JAの担当者は「高温少雨が当たり前になる恐れもある。農家にかん水施設を導入してもらうなど、来年以降を見据えた対策も呼びかけなければならない」と語気を強める。
山形県でも、リンゴやブドウの果実が日焼けしたり、生育不良が起きたりしており、収穫量の減少が懸念されている。
影響は酪農にも及んでいる。新潟県では、連日の猛暑で家畜が死ぬ被害が出始めており、県によると、7月23日時点で鶏約5500羽、牛3頭が死んだことが確認された。
新潟市秋葉区で牛約40頭を飼育する酪農家、中沢和明さん(30)は「人間と同じように、牛も暑さが続くとバテてしまう」と頭を抱える。昨夏は、中沢さんの牛舎でも暑さが原因で7頭が死んだ。牛は気温25度以上になるとストレスを感じ始め、食欲が落ちてやせ細っていくという。
今年は、5年ほど前に設置したミスト付きの大型扇風機に加え、新たにシャワー状の水が自動で散布される装置を導入。これまで被害は出ていないが、暑さが続けば牛が妊娠しづらくなって頭数が減少し、搾乳量が減る恐れもある。中沢さんは「一刻も早く暑さが引いてほしい」と願っていた。

群馬と広島で40度台=全国で連続4日、過去最長に並ぶ―気象庁

東北から九州では2日も晴れた所が多く、厳しい暑さが続いた。気象庁によると、群馬県伊勢崎市で40.1度、前橋市と広島県安芸太田町で40.0度を観測した。全国で40度以上を観測したのは4日連続となり、2013年8月の過去最長記録に並んだ。
今夏は7月30日に兵庫県丹波市で国内統計史上最高の41.2度、京都府福知山市で40.6度など、4地点で40度以上になった。同31日は岡山県高梁市、今月1日は三重県桑名市でそれぞれ40.4度になっており、40度以上の観測点はこれで6府県9地点となった。
2日は桑名市で39.9度、山梨県甲州市で39.8度、甲府市や岐阜県多治見市などで39.6度と、40度に迫る所も相次いだ。関東付近は台風9号が東方海上へ遠ざかり、日差しが再び強まった。
3日は東・西日本のほとんどの都府県と沖縄本島などに熱中症警戒アラートが出された。同庁は屋外の活動を短時間にとどめ、冷房を使うなどして熱中症を防ぐよう呼び掛けている。 [時事通信社]