道路整備に伴う用地買収を巡り、福岡県が当初算定した補償額の約5倍の高値で地権者から土地を取得していた問題で、県は13日、県庁で開いた記者会見で適切でなかった点が複数あったとし、不適切な用地買収だったと認めた。地権者から今回の用地買収について再度検討したいとの申し出があったと明らかにし、不動産鑑定士らの見解も踏まえて補償額を見直す方針。
問題となっている土地は、福岡県赤村にある計2505平方メートルの山林。県道の整備事業に伴い、県が2025年4月、地権者で部落解放同盟福岡県連の副委員長の男性(75)と買収契約を結んだ。県は6月、男性に用地補償として計2165万円を支払った。
しかし、毎日新聞が入手した内部資料などから、県は買収交渉を始めた24年10月、適正な補償額として430万円を提示していたことが判明。交渉を担当した県の出先機関「田川県土整備事務所」は、男性に安価だなどとして難色を示されると、2度にわたり委託業者に土地の評価をやり直させ、最終的に当初算定額の約5倍に値上げしていた経緯が明らかになった。
13日の会見には、県事務所を管轄する県土整備部の二場正義次長らが出席。「現地の状況を把握せずに2度にわたり、提示額を変更したことは適切ではなかった」とした。
増額については、山林の約半分(1099平方メートル)を「造成地」と評価し直し、整備費用などを加算したことが大きく影響した。県事務所は、その際に委託業者に「平米単価1万3700~1万4400円」とする「希望単価」を示し、造成費名目での加算を求めていた。
県は会見で、当初は山林価格で算定したが、地権者から交渉で「山林ではない。宅地に近い」「坪単価2万~3万円が相場」などと言われたため、2度にわたって土地評価をやり直し増額したと説明。地権者が示した「相場」に沿うように「希望単価」を伝えたことについて「参考として伝えた。(この値段に)近づけさせようとしたわけではない」と述べたが、「今となっては不適切だった」と陳謝した。
委託業者は県の希望単価に沿って評価をやり直し、造成地を「平米単価1万3900円」とした。県事務所は、これにさらに3600円を上乗せし、最終的に「同1万7500円」と算定していた。この造成地の値段の高さは周囲と比べて突出していた。福岡県が24年に示した赤村の基準地価(住宅地、3カ所)は平米単価3800~6550円で、その約4・6~2・6倍に当たる。周囲の宅地の標準的な取引価格(平米単価9000円)=坪単価2万9752円=と比べても約1・9倍だった。
県は会見で、この点についても「周辺の宅地価格よりも高額になっており、不適切だった」と陳謝。一方で「(増額したのは)地権者の機嫌を損ねたくなかったわけではない。早期に用地交渉を妥結して速やかに発注したかったからだ」などと述べ、地権者にそんたくしたとの見方は否定した。
県は今後の再発防止策として、造成費を加味するなど特殊な算定の場合は、出先機関だけでなく、本庁と協議して決めるように改めるという。【志村一也、栗栖由喜、川畑岳志、金将来】
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「盗撮が楽しかった」高校教諭、校内に小型カメラ20台以上…女子更衣室の点検口などに
栃木県警人身安全少年課は13日、宇都宮市の県立高校教諭の男(38)を性的姿態撮影処罰法違反(撮影)と建造物侵入の容疑で逮捕した。校内では、撮影用とみられる小型カメラが十数か所で計20台以上見つかった。
発表によると、男は今月上旬、勤務する県立高校の女子更衣室に侵入し、動画を撮影できる小型カメラを天井の点検口に設置し、着替えをする女性を盗撮した疑い。
調べに対し、「盗撮することが楽しかった」と容疑を認めているという。
5日に学校関係者が女子トイレでカメラを見つけて発覚した。県警は、男の関係先から数十点のSDカードやカメラの設置に使われたとみられる工具を押収した。カメラは自作した可能性があるという。
万博アンゴラ館建設工事 無許可請負 「いまさら投げ出せなかった」 男性社長が釈明
大阪・関西万博のアンゴラ館の建設工事を無許可で請け負ったとして、大阪府警生活経済課は13日、建設業法違反(無許可営業)の疑いで、建設会社「一六八(いろは)建設」(大阪市鶴見区)の40代男性社長の居住先など関係先を家宅捜索した。
開幕4カ月を迎えた日に異例とも言える会期中の家宅捜索。「一六八建設」の男性社長は産経新聞の取材に、「問題なく取得できていると認識していたが、工事がほぼ完了する3月ごろに無許可であることを把握した」と説明。「工期が迫る中でいまさら仕事を投げ出すことはできなかった」と話した。
一六八社を巡っては、下請け業者への未払い問題も指摘されているが、社長は「元経理担当者に一六八社の資金約1億2千万円を横領された」と支払いが滞っている理由を説明した。
関係者によると、一六八社は令和5年7月に創業。今の社長が6年9月に引き継ぎ、数人で運営、経理作業や事務手続き、下請け業者への支払いなどは全て元経理担当者に一任していた。2月ごろに下請け業者から「工事代金の支払いが滞っている」と連絡があり、元経理担当者に問い合わせたが、連絡がつかなくなったという。建設業の許可を取得する手続きも元経理担当者が担っていたとしている。社長は「支払いが滞っている下請け業者には申し訳ない」と述べた。
一方、元経理担当者は産経新聞の取材に、横領の事実はなく、「一六八社の経営状況は厳しかった。万博の建設工事とは別の工事の支払いなどに使われただけで不正はない」と反論。建設業の許可についても「取るつもりだったが、手続きに不備が生じた」と説明する。
社長は7月、元経理担当者が約1億2千万円を着服したとして、業務上横領罪の告訴状を府警に提出。下請け業者も元経理担当者を提訴した。
下請け業者は5月末、「被害者の会」を設立。万博を巡っては、米国や中国など複数の海外館で、受発注業者間の工事費未払いが発生しており、同会は大阪府や万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)に未払い分の立て替えなど救済措置を求めた。
同会は「『国の事業だから少なくとも支払いの問題はない』という信頼のもとに、過酷な環境で働いてきた」と主張。未払いによる下請け企業の連鎖倒産の恐れもあると窮状を訴える。
府は7月、建設業法に違反し無許可で営業をしていたとして、一六八社の30日間の営業停止処分を決定。同会の要望については事業者間の仲裁などを行う府建設工事紛争審査会や、公的金融機関の融資制度などを活用するよう提案している。
包丁を持ち出した父親(85)と息子(58)が殴り合い 母親は「やめなさい」と仲裁も…暴行の疑いで父子をともに逮捕
札幌・豊平警察署は2025年8月11日、暴行の疑いで札幌市豊平区の新聞配達員の息子(58)と無職の父親(85)を現行犯逮捕しました。
2人は11日午後3時20分ごろ、同居する自宅でけんかとなり、息子は父親の頬を拳で殴る暴行を加えた疑いで、父親は息子の額を包丁の柄で殴打する暴行を加えた疑いが持たれています。
警察によりますと、11日午後3時半ごろ、2人と同居する母親から警察に通報がありました。
「やめなさい もう」と2人の仲裁に入っているような言葉が聞こえたあと、電話が切れたということです。
警察官が駆けつけると、2人のけんかは終わっていて、父親は包丁を握っていました。
調べに対し息子は「父親が包丁の柄で私を殴ったのでやり返すために殴ったんです」と供述し、父親は「息子が私の顔を殴ってきたのでやり返したんです」と話していて互いに容疑を認めていますが、主張に食い違いがあるということです。
警察は事件の原因や経緯を詳しく調べています。
ホームから倒れこんでくるのを運転士が確認…駅で電車にはねられた39歳男性が死亡 意識ある状態で搬送も容体急変
愛知県小牧市の名鉄小牧線・味岡駅で8月11日午後、男性が電車にはねられ、搬送先の病院で死亡しました。 警察によりますと、11日午後4時前、名鉄小牧線・味岡駅の構内で、犬山発ー平安通行の普通電車に男性がはねられました。 はねられたのは、小牧市内に住む無職の39歳の男性で、顔から血を流し意識がある状態で病院に搬送されましたが、その後に容体が急変し、およそ2時間後に死亡が確認されました。 運転士の男性(54)は、男性がホームから倒れ込んでくるのを確認して急ブレーキをかけたものの、間に合わず衝突したと話しているということです。 電車には乗客27人が乗っていましたが、ケガ人はいませんでした。 この事故で、名鉄小牧線は小牧駅から犬山駅の間で1時間半あまり運転見合わせとなり、およそ800人が影響を受けました。
それでも石破内閣は続くのか?世論調査から見える展望
8月8日、自民党の両院議員総会が行われ、自民党全議員の8割を超える250人以上が出席した。党大会に次ぐ重要な意思決定機関で、今後、選挙管理委員会に対応を一任し、総裁選を前倒しで実施するかどうか検討することが決まった。
党則では所属国会議員と都道府県連代表(各1名)の総数の過半数の要求があれば、任期満了前でも総裁選を前倒しで実施することができる。この規定に基づく総裁選の実施は前例がなく、総会に出席した「ポスト石破」候補の1人は「感覚としては9割ぐらいが前倒しに賛成の雰囲気だった」という。今後、過半数の賛同が得られるかが最大の焦点となる。
果たして石破総理はもう“終わった”のだろうか。
石破総理が辞めないこれだけの理由
石破総理は総会で、重ねて続投を表明したが、去年の衆院選、今年の都議選、参院選と3連敗で、本来であれば「スリーアウトチェンジ」(茂木前幹事長)のはずだった。これまでの常識を覆し、総理が続投したい理由はいくつか考えられる。
表向きに総理が語っているのは日米の関税交渉だ。トランプ政権と石破政権の合意であるから最後までやり抜くということ。そして「戦後80年の見解」を発出するという強い思いだ。さらには衆参ともに少数与党となり、自公連立政権に野党を加え安定基盤を作るまでやりきりたいのではないか、と解説する官邸幹部もいる。
こうした“使命感”とは別の理由もありそうだ。
参院選直後の「辞任報道」への反発や“石破おろし”の主体が旧安倍派、旧茂木派など、かつての主流派であったり“裏金”議員であることから、石破総理は「おろされてたまるかという気持ちになっている」(総理に近い議員)という。
村上誠一郎総務大臣も8日のTBSのCS番組の収録で“石破おろし”の動きについて、「参院選の敗因を作った皆さん方が総理の責任を問うというのは身勝手ではないか」と述べ、旧安倍派の議員らが主導していることを批判し、総理を“援護”している。
かねてから石破総理は旧安倍派に起因する裏金問題が、自民党敗北の根底にあると感じているようだ。ただそうはいっても、自民党の「政治とカネ」の問題に刷新感を出せなかったのは石破総理自身の責任である。
石破総理が辞めない「外的要因」もある。
まずは自民党内。派閥がなくなった影響で“石破おろし”の核となる人物、主体が見えにくくなっている。仮に派閥が残っていれば領袖の一声で“おろし”はうねりのように広がっていったはずだ。派閥不在は総理に有利に働いている。
派閥がなくなった影響はほかにもある。かつて菅総理に対して、近しい関係である小泉進次郎環境大臣(当時)が、総裁選に出馬しても勝てる見込みがなかったことから“名誉ある撤退”を促したことがあった。今、自身の派閥もなくなり、仲間の少ない石破総理に撤退を促すような人物はいなさそうだ。
さらに野党側にも問題がある。少数与党下において内閣不信任案はこれまで以上に野党にとっては強力なカードであるはずだが、提出の気運は高まっていない。提出は本来、野党第一党である立憲民主党が主導するが、立憲は参院選で議席を増やせず戦略の立て直しが喫緊の課題になっている。いまの状態で衆院解散・総選挙になっても立憲は勝ち筋を描けず、参院選で議席を伸ばした国民民主党や参政党がさらに勢いづく可能性がある。
このように石破総理が持ちこたえているのは、与野党双方の“お家事情”が影響している。
総理を後押しする「世論」 なぜ?内閣支持率が上昇
最新のJNN世論調査で石破内閣の支持率が前月と比べて4.0ポイント上昇し、36.8%となった。参院選に敗北したこのタイミングでなぜ内閣支持率が改善したのか。
それを解明するヒントとなる数字がある。
今回の参院選の敗北を受け石破総理が辞任すべきかどうかを聞いたところ「辞任すべき」が43%で「辞任する必要はない」は47%。「辞任の必要がない」ほうがやや上回った。さらに自民党支持層と立憲民主党支持層で分析すると、自民支持層で「辞任の必要なし」は65%、立憲支持層でも「辞任の必要はなし」が63%で両者の差がほとんどなかった。
つまり石破内閣は野党支持層、リベラル層から一定の支持があるということが推察される。今回の参院選で初当選した社民党のラサール石井氏がXに「石破総理は一番まともだ」と投稿したり、れいわ新選組の山本太郎代表も「石破総理の続投が安全策」と会見で話すほか、広島原爆の日の6日、平和記念式典での総理の挨拶は野党からも評価する声があがっている。こうした野党層が「辞任の必要なし」と答え、内閣支持率をも押し上げている側面がある。
「次の総理にふさわしい人」という設問についても、石破総理は「3位」にランクインしている。そもそもこの設問は各社、時の総理の“終わりが見え始めた”頃に設問して取り上げられる傾向にあり、例えば岸田総理が辞める直前の24年8月のJNN世論調査で同じ質問をしたところ、岸田総理は「6位」だった。
そもそも石破氏は、総理就任前は常に総裁候補のトップを走ってきた人ではあるが、現役総理が3位になるのは異例だ。
自民党支持率20.4% 政権奪還後「最低」の数字に
一方で、自民党の支持率は20.4%となった。この数字は民主党に政権交代する直前、2009年9月の麻生内閣の時(20.8%)と同じ水準であり、2012年末に自民党が民主党から政権を奪取して以来、“過去最低”の数字である。
内閣支持率はアップする一方、自民党支持率が“過去最低”になる奇妙な結果となった。というのも歴代政権は内閣支持率が下がっても、自民党支持率が3割前後で安定推移する傾向にあったが、今回は逆転現象が起こっている。
さらに「今回の参院選で自民党が敗北した理由が何だと思うか」という設問については1位が「自民党に期待できないから」で46%、2位の「石破政権に期待できないから」20%を大きく上回っていることも、総理の続投を後押ししている可能性がある。
今回のJNN世論調査の結果に石破総理は周囲に対し「支持率が下がらなくて良かった」と安堵しているという。その他にも、他社の世論調査で同様の結果がみられた7月28日での会見で総理は「国民世論というものと我が党の考え方というものが一致することが大事」だと話している。つまり、いまは党内世論と国民世論が違うということが言いたいと見られ、各社の世論調査を意識していることがうかがえる。
8月最終週「参院選の総括」が最初のヤマ場
8月最終週には参院選の敗因などがまとまり報告書がだされる。これをもって森山幹事長は「幹事長として自らの責任について明らかにしたい」と述べていて辞任の可能性を示唆している。森山幹事長だけではなく、選挙の責任者である木原選対委員長、選挙公約をまとめた小野寺政調会長なども辞任するものとみられ、早晩、石破総理は党役員人事に取りかからねばならないが、後任人事に行き詰まる可能性がある。これまで内閣の屋台骨だった森山幹事長が辞任すれば、前倒しの総裁選が行われるにせよそれを待つことなく石破内閣が瓦解する恐れがあり、8月最終週が総理にとってまずはヤマ場となる。
その後、前倒しで総裁選が行われるかどうかが最大の焦点だ。臨時の総裁選が行われることになれば、石破総理も出馬は可能ではあるが現時点では勝てる可能性は少なく、勝てる見込みがなければ出馬を見送るだろう。辞任にむけ外堀が埋まりつつある。
選挙に負けて誰も、何も責任を取らない組織はあってはならないし、より結果責任が求められる政治の世界ではなおさらだ。現在、参院選の敗因について有識者のヒアリングが行われていて、指摘されているのは、石破総理が「政治とカネ」の問題で刷新感を出せなかったことや自民党が物価高対策に有効な施策を打ち出せなかったことなどだ。そうした根本原因を放置して、党内の権力争いに終始しているようでは、ますます自民党は国民から見放されるだろう。
TBS政治部 世論調査担当デスク室井祐作
【8月JNN世論調査 設問と回答は以下】 ●石破内閣の支持率は36.8%(前月調査より4.0ポイント上昇)。不支持率は60.5%(前月調査より3.1ポイント下落)
●政党支持率は、自民党20.4%(前月より0.4ポイント下落)、立憲民主党6.9%(前月より0.6ポイント上昇)、日本維新の会2.7%(前月より1.4ポイント下落)、国民民主党8.7%(前月より2.8ポイント上昇)。参政党は10.2%(前月より4.0ポイント上昇)
●日米関税交渉の合意について「評価する」50%、「評価しない」33%
●参院選の結果について「与党がもっと議席を取った方が良かった」23%、「野党がもっと議席を取った方が良かった」33%、「結果に満足している」35%
●今回自民党が参院選で敗北した理由について「石破政権に期待ができなかったから」20%、「自民党に期待ができなかったから」46%、「他の野党の方が期待できるから」15%、「それ以外の理由」16%
●参院選の敗北を受けて石破総理が「辞任すべき」は43%、「辞任する必要はない」は47%
●望ましい政権のあり方は「自民・公明を中心とする政権の継続」は39%(6月より4ポイント下落)、「いまの野党を中心とする政権に交代」は49%(6月より8ポイント上昇)
●自公連立政権に新たに野党が加わる場合、望ましいのは「立憲民主党」17%、「日本維新の会」14%、「国民民主党」23%、「参政党」15%、「それ以外の政党」16%
●次の総理にふさわしい人は 1位 小泉進次郎氏 20.4% 2位 高市早苗氏 16.7% 3位 石破茂氏 11.1% 4位 河野太郎氏 5.2% 5位 玉木雄一郎氏 4.4% 6位 野田佳彦氏 3.8% 7位 林芳正氏 3.4% 8位 上川陽子氏 2.3% 9位 小林鷹之氏 1.7% 10位 茂木敏充氏 1.1% 11位 加藤勝信氏 0.8% 12位 前原誠司氏 0.5% 「その他の政治家」 18.1%
【調査方法】 JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。8月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2531人〔固定843人、携帯1688人〕に調査を行い、そのうち39.6%にあたる1003人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話498人、携帯505人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。
「123便の陰謀論が流布される背景は…」元航空自衛官があえて指摘する“自衛隊が本当に苦手なこと”とは
〈 「日本航空123便墜落事故」の陰謀論を元航空自衛官が実名で否定する“明確な論拠”「ないですね。これは即答です」 〉から続く
1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故。事故から40年を経た現在、墜落に自衛隊が関与しているという陰謀論が広がっている。そうした主張の中でも、もっとも大きな影響を及ぼしているのが、元日航客室乗務員の青山透子氏による一連の著作だ。
しかし、青山氏の著作での主張は、様々な専門家から疑問視されている。ここでは、元航空自衛隊関係者から話を伺い、青山氏の主張について検証する。
筆者が次に話を伺ったのは、元航空自衛官で情報専門官として情報畑を歩み、現在は軍事ライターとして特に中国軍事を専門として活躍されている薗田浩毅氏だ。薗田氏には軍事情報の専門家として、またご自身の経験から青山氏の主張について、さらには自衛隊と情報について伺った。
「草むらかき分けたら生首が…」
薗田浩毅氏(以下、薗田) 航空自衛隊に入隊して、熊谷基地の教育部隊からそのまま熊谷基地の第4術科学校に入ったんですけど、周りの班長クラスや熊谷勤務が長い幹部は、ほぼ全員が御巣鷹に派遣されていました。空自の部隊で御巣鷹の現場に一番近いですからね。みんなおしなべて口が重いんですよ。新兵の僕らも、彼らが行ったということはなんとなく分かるんですが、聞きにくい雰囲気があって話題にするのは避けていました。
ある夜、演習で教場の建物を警備してたんですが、警備体制が下がって休憩みたいになり、僕の課程の若い教官と御巣鷹の話になりました。事故の日は夏休暇に入ったばかりで、静岡のご実家に帰る最中に上野でお店か何かのテレビで臨時ニュースのテロップを見て、これはやばいと部隊に戻ったそうなんです。戻ると熊谷基地は大騒ぎで、上からまだ指示来てないけど、現場へ進出の命令が来るんじゃないかと、基地司令も全部かかれと災害派遣に必要な機材を車両に載せるなどの態勢を整えてました。
現地に着いたら、陸自が先に入っていて、道がないので啓開して獣道のようなものを作っていたんですが、航空自衛官なので陸自の1.5倍から2倍くらいかかって現場に入ったと言ってました。空自さんはそこやってくださいと言われたんですが遺体がないんです。ないじゃんと思って草むらかき分けたら生首が。見える所は片付けられてたけど、実はそこらじゅうにバラバラ遺体だらけで、ハッと気づいて木の上を見たら、枝に遺体の一部が引っかかっているとか、そんな状況だったそうです。
その教官はそこから話さなくなって、新兵に聞かせる内容じゃないと思ったのかもしれませんが、泣いていましたね。人づてに聞いた話ですが、派遣中の食事で米の缶詰と副食で肉類のおかずが出るんですが、肉が遺体の一部に見えたりとか、米粒が蛆虫に見えて食べられなかった隊員がいっぱいいたそうです。
当時の熊谷基地って、隊員の自殺がたびたびあったんですが、あの事故が影響していたのかと今になって思うことがあります。たぶんメンタルケアって言葉も無かった時代ですから、あの凄惨な現場に行った隊員に影響していたと思うんです。話してくれた教官の目に涙が溜まっていくところは、今でもよく覚えています。
――先ほど、教官が墜落の日に夏季休暇だったとおっしゃいましたね。青山氏はこの日にミサイル試験が行われたとしていますが、もう盆の前日ですよね。こんな時期に試験なんてやるんでしょうか?
薗田 そこで試験やる場合、とんでもなく遅れてたとかでしょうけど、それでも12日はやらないですよ。
――メーカーの休暇もありますしね。
薗田 航空総隊隷下の戦闘機部隊とかは休暇を前段後段とかに分けて取らせてますけど、24時間態勢とる必要のない技術系の部隊とか試験やってる部隊なんかはスッパリ休んじゃいますよ。休める時休めが空自の文化ですから。
――事故の際、墜落現場の位置特定が二転三転した問題で、米軍との情報共有について「防衛庁と米軍でやりとりがあったのだろう」という中曽根康弘総理の回顧録の記述を、青山氏は防衛組織図の指揮系統を根拠に「防衛庁と米軍が総理を飛び越えてやりとりした」として、「防衛庁長官と幕僚長の首が飛ぶ事態」と批判しています。緊急時の日米の情報共有は普通のことと思いますが、どうでしょうか?
薗田 特に空軍の組織は上意下達よりも、機能が違う多くの組織を繋げて使うので、統制・調整系統が大事なんです。横田(米軍基地)には昔から航空総隊の連絡幹部がいて、それは横の系統なんです。青山さんは多分、その横の系統というのを全く理解していないんですよ。
通常の飛行運用をやる中で、事故マターは当然やっています。当時いたかは分かりませんが、横田空域の調整をやるために英語に堪能な航空管制官が横田に派遣されていました。いわゆる横田空域は米軍の占有みたいな事を言う人もいますが、何のために日本人がそこに行くかというと、調整という名で日本の主張を通すためです。
「民航機をターゲットになんかやらないですよ」
――災害時にはそれが横の繋がりとして機能するわけですよね。
薗田 そうです。そして、当時の技術を考えれば事故現場の特定は二転三転して当たり前で、レーダーで追っててもロストしてからどのくらい飛行機が動いたとか、バラバラになっている可能性もあるわけです。実際、残骸が広範囲に散らばってましたしね。自分がどこを飛んでいるのかも数マイルの誤差込みじゃないと分からない時代なんですよ。
――航空支援集団にいたこともあるそうですが、試験開発の支援のご経験はありますか? 青山氏はミサイル試験で日航機を標的に見立てたと推測していますがどう思われますか?
薗田 試験に関わったこともありますけど、民航機をターゲットになんかやらないですよ。なんでかというと、試験で撃つとしてターゲットはどういう動きで最大の成果が得られるとか、どういうターゲットに対する効果が欲しいのかを考えると、民航機をターゲットにする意図が分かりませんね。なんでそんな発想になるの? って。目的を達成するために、必要な要素がないんですよね。方面隊幕僚として色んな戦闘演習も見てきましたけど、見たことないですね。
――青山氏は自衛隊か米軍が火炎放射器で証拠隠滅した可能性を主張しています。仮にこういう秘密作戦を行ったとして、漏洩を防ぐのは可能でしょうか?
薗田 さっき言ったみたいに墜落地特定すら怪しい中で、どうやって探して降りて証拠隠滅するのとか、どうやって到着するのとか。そうなると、疑われるのはいちばん最初に入った陸自になると思うんだけど、武器払い出し手続きや点検とかどうするのか。
百歩譲って員数外の装備を持っている部隊がいるとして、でもその部隊の存在を隠し通せるんですかと。かつて、陸幕2部別班という組織がありましたけど、これが知られているのだって、国会答弁で名前が出たからですよ。
愚痴めいた話になるんですが、自衛隊って自分たちの記録を残すのが本当に苦手なんですよね。部内誌とかに書かれても後世の人間がそれを集めるのは大変なんです。
今、Webにある情報で一番少ないのが80年代だと思うんですよ。それ以前のものは歴史になっているし、90年代の後半からWebが普及し始めて、そこから先はデジタルアーカイブになっている。要は80年代、90年代は歴史になってない。でも80年代はWebがない。ヒストリカルなデータをデジタル化するのは、80年代が後回しになってしまう。
僕は123便の陰謀論が流布されるのはそれが背景にあると思ってて、デジタルアーカイブにアクセスしにくい時期だったのも大きいんじゃないかと。これは半分自衛隊に対する批判だけど、その時の運用記録を残せないんですよね。お役所だから大量に文書はあるけど、保管できない、保管する規則がなかったんで、どんどん廃棄されるんです。
「自衛隊や防衛庁が活動を詳細に総括したものを残していたらここまで陰謀論が跋扈することはなかった」
国民の自衛隊、のはずなんですよね。故に納税者に対して、いいことも悪いことも記録を残さなければいけないと思うんです。何もなかったことも残さないといけない。それは自衛官となった国民の姿が残されているからです。
中東に派遣されていた時、基地内の移動で乗った車に、米軍のヒストリアン・セルに大学から派遣されているおじいさんが乗っていました。ヒストリアン・セルは総務担当の士官と大学から予備役が来てて、司令部の活動を秘密も含めて毎日記録しているんです。そのおじいさんは「司令部の秘密も含めてすべて記録に残すし、それはいつ公開されるか分からないけど大事な仕組みだ。これがないと次の戦争に勝てないからだ」と言っていました。
123便に限らないですけど、自衛隊や防衛庁が活動を詳細に総括したものを残していたらここまで陰謀論が跋扈することはなかったと思いますよ。活動を総括するのは日本人は苦手だと思うんですけど、それをしないと禍根を後世に残すことになるのではないでしょうか。
(石動 竜仁)
「期末テストそっちのけ」中学生記者・川中だいじさん(14)が抜いた特ダネスクープの“思わぬ端緒”「斎藤知事ボランティアに“選挙慣れ”した女性が…」《突撃著書サイン時間稼ぎ作戦で玉木氏を直撃取材》
7月3日に公示され、20日に投開票された参議院議員選挙。選挙戦序盤の7月6日、「日刊ゲンダイDIGITAL」に、とある記者が寄稿した1本の記事が配信された。そして、その記事は13人の候補者が3つの議席をかけて争った兵庫選挙区の当落に大きな影響を与えることになる──。
タイトルは「仰天! 参院選兵庫選挙区の国民民主党候補は、県知事選で『斎藤元彦陣営ボランティア』だった。記事を書いたのは、「日本中学生新聞」を主宰する中学3年生の川中だいじさん(14)だ。国民民主党の多田ひとみ候補(45)が、昨年11月に行われた兵庫県知事選で斎藤元彦候補(現県知事)のボランティアをしていたことを本人に認めさせた“特ダネスクープ”だった。
川中さんの取材に同行することもあるという保護者は「もうクタクタです」と笑うが、実際、彼は数多くの現場に足を運び取材しているようだ。彼は中学生ながらに、いかにして特ダネをスクープしたのだろうか──。【全3回の第1回】
小3で“選挙マニア”、「忖度しない」を掲げ新聞を創刊
──まず、川中さんが選挙や政治に興味を持ったきっかけを教えてください。
「小学3年生だった2019年にも参院選があったのですが、その時に街中で大人がマイクを持って大きな声で何かを訴えていて、手を振ってきたんです。僕も手を振り返したら『ありがとうございます!』って言われて、『何をやっているんだろう? 何か面白そうだぞ!』と思ったのがきっかけでした。
そこから選挙があるたびに候補者の政策や公約パンフレットを片っ端から集めるコレクター活動を始めました。大声で右翼的な主張を叫ぶ、目つきの鋭いリーゼントの候補者でも、意外と子どもには優しいんですよ。ほとんどの大人が目を合わせないようにして素通りしていたけど、勇気を出して『チラシください』って頼んだら、『お母さんに見せてね』ってくれるんです。それが楽しくて、出会った候補全員から集めていました」
──“選挙マニア”がなぜ記者活動を?
「2023年のG7広島サミットがきっかけでした。小学6年生の修学旅行で被爆者から原爆の恐ろしさを聞いた広島でG7サミットが行われることを知り、各首脳の核兵器禁止条約への考えを取材したいと思ったんです。しかし、中学1年生だった僕は記者としての実績がない。だから記者申請のための実績づくりとして「日本中学生新聞」を創刊しました。最初は手書きの新聞を1000部印刷して、いろいろな所に配り歩きました。その後noteやX、YouTubeチャンネルも開設し、選挙を中心とした記事や動画を配信するようになりました」
「犬は何匹飼っていますか」親し気なメッセージが投資詐欺の入り口…被害額1000万円以上 実態語る
1000万円以上をだまし取られた札幌市の女性が被害の実態を語りました。
女性にはある日突然、「犬は何匹飼っていますか」と親し気なメッセージが送られてきたといいます。
北海道内で相次ぐ詐欺の手口を取材しました。
(被害にあった女性)「私が話していた人が詐欺師だと言われたときは、楽しく会話をしていたときがあったのでショックでしたね」
被害額は1000万円以上。
投資詐欺の被害にあった札幌市に住む50代の女性です。
ある日突然、何も投稿をしていない自身のSNSのアカウントに、韓国人男性を名乗る人物からメッセージが届きました。
(メッセージ)「犬は何匹飼っていますか?本当にかわいいですね」
(被害にあった女性)「プロフィールの写真で犬を使っているんですけど、犬についての質問だったんです。(日本語にするには)翻訳アプリを使っているんだと言っていました」
1か月近くTikTokやLINEでたわいもない会話が続き、相手に対する警戒心が薄れていきました。
するとー
(被害にあった女性)「いろいろ話をしたので、私がいまお金を必要としているというのを相手はわかったうえで、10万やってみない?という感じになって。(投資は)生活資金のためです」
投資サイトに誘導され、始めてみるとすぐに少額の利益がー
(被害にあった女性)「ここをクリックしてとわかりやすく指示してくるんです」
利益を含めた金額が実際に自身の銀行口座に振り込まれ、相手を信じ切ってしまったといいます。
その後、女性が投資した金額は1000万円以上にのぼりました。
(被害にあった女性)「ほんとに注意していたつもりだったんですよね。お金の話になったときにいったん立ち止まって、冷静になって考えるべきだなと思います」
こうした投資詐欺に限らず、道内での詐欺被害はあとを絶ちません。
道警が公開したのは、70代の女性が警視庁の警察官を名乗る人物と電話でやりとりをする音声です。
(電話)「お世話になります。カネムラです。ちょっと事件の話させてください。重要人物として勾留しなきゃいけない可能性がでてきます」
(被害にあった女性)「あ、そうですか」
これは、警察官をかたる「オレオレ詐欺」の手口です。
じつは道内の特殊詐欺の被害は過去最悪のペースになっていて、被害額はすでに11億円を超えています。
中でも急増していたのが、警察官をかたる「オレオレ詐欺」です。
被害にあった女性はこれまで2000万円以上をだましとられていました。
(電話)「2800万円をいま警視庁の本部でお預かりしている形になりますので、自分でも記録をとってますよね?」
この電話のあと、男が女性の自宅を訪れ、偽の警察手帳などを提示。
さらに500万円をだまし取ろうとしたため、警戒していた警察官がその場で逮捕したということです。
道内で相次ぐ特殊詐欺。
道警は不審に思うことがあれば、警察に相談するよう呼びかけています。
【注意】立ち入り禁止の防波堤 釣り中の大学生が海中転落 クーラーボックス浮きにして救助待つ 小樽
12日未明、小樽市の港で釣りをしていた大学生が海に転落し消防に救助されました。転落事故があったのは立ち入り禁止の防波堤で、警察などが注意を呼び掛けています。
12日午前0時40分ごろ、「小樽築港の南防波堤から1人が海に落ちた」と海上保安庁に通報がありました。警察などによりますと、転落したのは実家に帰省中だった大阪府池田市の22歳の男子大学生で、投げ釣りをしていたところ前方にバランスを崩して海面から高さおよそ3mの防波堤から落ちたということです。
男子大学生は、友人が投げ入れたクーラーボックスを浮きにして防波堤にしがみつき、駆けつけた消防隊員が引き揚げました。男子大学生に、けがはありません。
事故があった防波堤は小樽市が立ち入り禁止にしいますが、人気の釣りスポットで事故当時も他に釣り人がいたということです。また、海上保安庁は転落事故に備え、釣り人にライフジャケットの着用を呼び掛けています。